JP2005280631A - クラッチ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械式自動変速機構5の変速時に、エンジンの吹け上がりや加減速ショックを起こすことのないタイミングでクラッチ断動作を行うことが可能なクラッチ制御装置を提供する。
【解決手段】 変速ECU41のシフト信号生成手段33が変速の必要性を検出しシフト信号を出力すると、エンジン出力制御手段25は、エンジン1の回転速度に対応する、回転抵抗を相殺し変速機に駆動トルクを伝達しないエンジン出力をα値マップ7を参照して獲得し、エンジン出力を制御する。エンジン出力制御手段25は、このエンジン出力に達した時点でクラッチ断指令をクラッチ制御手段23に出力し、クラッチ断動作が行われる。エンジン出力制御手段25は、クラッチ断動作が完了するまでの間同一のエンジン出力を保持するようにエンジン1を制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】 変速ECU41のシフト信号生成手段33が変速の必要性を検出しシフト信号を出力すると、エンジン出力制御手段25は、エンジン1の回転速度に対応する、回転抵抗を相殺し変速機に駆動トルクを伝達しないエンジン出力をα値マップ7を参照して獲得し、エンジン出力を制御する。エンジン出力制御手段25は、このエンジン出力に達した時点でクラッチ断指令をクラッチ制御手段23に出力し、クラッチ断動作が行われる。エンジン出力制御手段25は、クラッチ断動作が完了するまでの間同一のエンジン出力を保持するようにエンジン1を制御する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両用自動クラッチ制御装置に関し、適切なタイミングでクラッチを断作動させるクラッチ制御装置に関する。
近年、自動車の変速機として、マニュアル車と同様の変速ギヤ機構およびクラッチ機構にそれぞれアクチュエータを付設して自動変速を行えるようにした機械式自動変速機が開発、実用化され、主に、トラックやバス等の大型車を中心に適用されている。このような機械式自動変速機では、一般に変速段の切り替え時に、エンジンと変速機との間に設けられた摩擦クラッチ(単に、クラッチという)が断接操作されるが、このとき、車両にショックを与えないようにクラッチを断接することが好ましい。特に、クラッチの断指示のタイミングが適切でないと、車両にショックを与えてしまう。
このようなことから、クラッチの断時に車両にショックを与えないようにするためのクラッチ制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−202038号公報
特許文献1に開示されたクラッチ制御装置は、図6に示すように、機械式自動変速機への変速指示が出た際(t=0)、まず、エンジン出力を減少させるために、スロットル開度または燃料噴射量を徐々に減少させ、所定の時間Tが経過した後(t=T)、クラッチ断指令によってクラッチ断を行う。このクラッチ断時のエンジン回転数とクラッチ回転数との間に所定量以上または所定比以上の差異が生じた場合に、クラッチ断タイミングを補正するものである。すなわち、クラッチ回転数がエンジン回転数に対して所定量以上または所定比以上増加した場合には、クラッチ断のタイミングが遅すぎると判断し、クラッチ断タイミングを所定の時間だけ早め、クラッチ回転数がエンジン回転数に対して所定量以上または所定比以上減少したら、クラッチ断タイミングが早すぎると判断し、クラッチ断タイミングを所定の時間だけ遅らせる。
しかしながら、このクラッチ制御装置は、変速指令後、所定の時間Tで一端クラッチを断作動させたうえで、クラッチ回転数とエンジン回転数の差を基にクラッチ断タイミングを補正する。所定の時間Tは実車の測定により前もって定めるが、時間Tの長さにより影響を受ける可能性がある。すなわち、Tが短すぎるとクラッチ断作動が早すぎ、時間Tが長すぎると、クラッチ断操作が遅すぎ、クラッチ断のタイミングを補正する前の段階で車両に吹け上がりや加減速によるショックを与えるという問題がある。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的は、クラッチ断のタイミングをエンジンの回転数に応じて適切に設定し、クラッチ断時に吹け上がりや加減速ショック等を起こさないクラッチ制御装置を提供することである。
前述する課題を解決するための本発明は、エンジンと、変速機と、エンジンと変速機との間に介装されたクラッチと、クラッチを駆動するクラッチアクチュエータと、クラッチアクチュエータの作動を制御するクラッチ制御手段と、エンジンの出力を制御するエンジン出力トルク制御手段と、を備え、変速時に、エンジン出力トルク制御手段は、エンジンの出力を回転抵抗が相殺されるエンジン出力まで変化させ、回転抵抗が相殺された時点で、クラッチ制御手段が、クラッチを断作動させるようクラッチアクチュエータを制御することを特徴とするクラッチ制御装置である。
エンジン出力トルク制御手段は、エンジンの回転数と、回転抵抗を相殺するエンジン出力値の関係について前もって定めた所定のエンジン出力マップに基づき、エンジンの出力を制御する。すなわち、変速指令が出ると、エンジン出力トルク制御手段は、まず、その時点のエンジンの回転数について回転抵抗を相殺するエンジン出力値をエンジン出力マップを参照することにより求め、そのエンジン出力値に至るまでエンジン出力を変化させる。このとき、エンジン出力の変化量は常に一定にすることが好ましい。これは車両にエンジン出力の変化による加減速ショックを生じさせないようにするためである。そして、回転抵抗を相殺するエンジン出力値に至った後、クラッチ制御手段が、クラッチ断指令を出し、クラッチを断作動させる。
また、エンジン出力トルク制御手段は、エンジンの出力を回転抵抗が相殺されるエンジン出力まで変化させた後、エンジン出力を所定時間保持するように制御してもよい。そうすることにより、クラッチ断処理が完了するまでの間、エンジン出力が一定に保たれ、車両に加速度ショックが生じないようにすることが可能になる。
本発明のクラッチ制御装置により、変速時に、クラッチ断時のエンジン出力を適切に制御することが可能になり、クラッチ断による車両への加減速ショックの発生やエンジンの吹け上がり等の問題をなくすことが可能になる。
特に、エンジンの回転抵抗が相殺される時点でクラッチを断作動させるので、車両への加減速ショックの発生や、エンジンの吹け上がり等をより確実に防止できる。また、本発明のクラッチ制御装置により、エンジン出力をエンジンの回転抵抗が相殺されるエンジン出力まで変化させた後、所定時間、エンジン出力を保持するので、例えば、クラッチ断の開始からクラッチ断が完了するまでの時間、エンジン出力を保持することが可能となり、クラッチ断が完了する前に変速機に出力トルクが伝達されることによる加減速ショックが防止される。
以下、図面に基づいて本発明の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる機械式自動変速機の構成を示す構成図、図2は、変速時のクラッチおよびエンジン制御の概念を示す図、図3は、クラッチ断処理の流れを示すフローチャート、図4は、変速時のエンジン出力変化を示す図、図5は、エンジン出力マップを示す図である。
まず、本発明の形態に係る機械式自動変速機の構成について、図1に沿って説明する。エンジン1は、摩擦クラッチを有するクラッチ機構3と、そのクラッチ機構3を介してエンジン1の出力部に接続された機械式自動変速機構5を備える。クラッチ機構3には、クラッチ用アクチュエータとしてクラッチ用電動モータ(CCU)21が接続され、このクラッチ用電動モータ21が作動することによりクラッチ3が断接される。
また、機械式自動変速機構3は、ギヤシフト用電動モータ(GSU)31によって駆動され、変速操作が行われる。このギヤシフト用電動モータ31は、機械式自動変速機構3内にあるセレクト方向およびシフト方向の各ギヤシフト部材を駆動するための2組の電動モータからなる。変速時には、ギヤシフト用電動モータ31によってギヤシフト部材を駆動して、機械式自動変速機構3の噛合状態を切り替えることにより、変速段を所望の状態にシフトする。
エンジン1は、エンジン電子コントロールユニット(エンジンECU)43が出力するエンジン制御信号141により制御される。エンジンECU43は、制御プログラムに従って演算処理を実行する中央処理装置(CPU)431、後述するエンジン出力制御プログラムを含む制御プログラムや、これも後述するエンジン出力マップ等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)435、演算結果等を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)433、入出力インタフェース437、タイマ439等を有し、エンジン制御信号141や、エキゾーストブレーキ(エキブレ系)53を駆動するためのエキブレ駆動信号143を生成する。
エンジンECU43に入力される信号は、機械式自動変速機構5の出力側に備えられた車速センサ信号をパルスデバイダ49によりカウントして得られる車速信号135、エンジン1の回転数信号137、アクセルペダル9に取り付けられたアクセル踏込み量センサによるアクセル開度信号117、ニュートラル状態にあることを示す信号N位置信号139等であり、入出力インタフェース437を介して入力される。アクセル開度信号117は、例えば、運転者によるアクセルペダル9の踏込み量に応じた電圧値として検出され、A/D変換によりディジタル化された値として入力される。
また、クラッチ用電動モータ21およびギヤシフト用電動モータ31は、変速機電子コントロールユニット(変速機ECU)41の制御信号を介して駆動される。変速機ECU41も、エンジンECU43と同様に、制御プログラムに従って演算処理を実行する中央処理装置(CPU)411、制御プログラムや、後述する印加電圧制限マップ等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)415、演算結果等を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)413、入出力インタフェース417、タイマ419等を有する。
入出力インタフェース417を介して、チェンジレバーユニット13の操作信号であるチェンジレバーユニット信号113、パーキングブレーキ11が引かれるとONとなりパーキングブレーキの作動を伝えるパーキングブレーキ操作信号115、アクセルペダル9に取り付けられたアクセル踏込み量センサによるアクセル開度信号117、ブレーキペダル7が踏込まれるとONになりブレーキの作動を伝えるブレーキペダル操作信号119、クラッチ用電動モータ21が出力するクラッチストローク信号121、ギヤシフト用電動モータ31が出力するシフト・セレクトストローク信号123、クラッチ機構3の出力側回転数であるクラッチ回転数信号125、クラッチ機構3で検出されるクラッチ磨耗・ストローク信号127、機械式自動変速機構5の出力側に備えられた車速センサ信号をパルスデバイダ49によりカウントして得られる車速信号129、エンジン1の回転数信号131等が変速機ECU41に入力される。
そして、変速機ECU41が、これらの入力信号を処理することにより、クラッチ用電動モータ21およびギヤシフト用電動モータ31を駆動するための駆動信号(それぞれ、CCUモータ駆動信号103およびGSUモータ駆動信号105)、電源信号101を入出力インタフェース417を介して出力する。また、変速機ECU41は、機械式自動変速機構5のギヤ位置を示すギヤ位置信号111をインジケータ15に出力する。変速機ECU41が出力したCCUモータ駆動信号103およびGSUモータ駆動信号105、電源信号101は、パワー回路であるドライブユニット45に入力される。ドライブユニット45はバッテリ47に接続されており、前述のCCUモータ駆動信号103に従ってクラッチ用電動モータ21に電圧を印加し、GSUモータ駆動信号105に従ってギヤシフト用電動モータ31に電圧を印加する。
また、変速機ECU41、エンジンECU43、およびその他の図示していない電子コントロールユニット類は、バス42に接続されており、互いに信号をやりとりする。
運転者は、チェンジレバーユニット13により、自動シフトモードと手動シフトモードを切り替えて運転することができる。すなわち、運転者がチェンジレバーユニット13のレバーをドライブ“D”に入れている状態では、入力される車両の種々の走行状態(例えば、車速やエンジン負荷)を示す信号を基に、最適変速段へ変速段切り替えを行うよう、変速機ECU41がクラッチ用電動モータ21およびギヤシフト用電動モータ31を制御し、エンジンECU43も、変速機ECU41からバス42を介して送られるシフト信号や、エンジン回転数信号137等に応じてエンジン出力等を制御する(自動シフトモード)。
一方、運転者が手動操作で変速段のシフト指令を行うことも可能で、運転者がチェンジレバーユニット13のレバーを“+”あるいは“−”に入れると、現在の変速段を1段上げる、あるいは1段下げるためのチェンジレバー操作信号113が変速機ECU41に入力される。この信号に基づいて変速機ECU41がクラッチ用電動モータ21およびギヤシフト用電動モータ31を制御し、エンジンECU43は、変速機ECU41からバスを介して送られるシフト信号等に応じてエンジン出力等を制御する(手動シフトモード)。
すなわち、変速機ECU41は、自動シフトモードの場合、車速やエンジン負荷などの走行状態の情報を基に変速段の切り替えの必要性を判断し、また、手動シフトモードの場合、運転者のシフト指令に基づき、シフト信号を出力し、クラッチ切断−ギヤシフト−クラッチ接合の制御を行う。エンジンECU42は、自動シフトモードと手動シフトモードの如何に関わらず、変速機ECU41が出力したシフト信号を基に、クラッチ切断−ギヤシフト−クラッチ接合を行う間のエンジン1の出力を適切に制御する。
図2に示すように、変速機ECU41は、シフト信号を生成するシフト信号生成手段33と、シフト信号生成手段33が生成したシフト信号に基づいて機械式自動変速機構5のギヤがシフトされるように、ギヤシフト用電動モータ31を制御するギヤシフト制御手段35、および、ギヤシフト前後にクラッチ機構3の断接が適切に行われるように、クラッチ用電動モータ21を制御するクラッチ制御手段23を備える。シフト信号生成手段33、ギヤシフト制御手段35、クラッチ制御手段23の制御プログラムや、必要なデータ等は変速機ECU41のROM415に格納されており、CPU411により処理される。
シフト信号生成手段33は、チェンジレバー操作信号113により、手動シフトモードあるいは自動シフトモードを選択する情報である手動/自動変速指令37を得る。シフト信号生成手段33には、車速信号129、アクセル開度信号117、エンジン回転数信号131等の走行状態情報39の値を基づいて目標変速段を決定する図示していないシフトマップが用意されており、チェンジレバーユニット13によってセレクト位置がDレンジのときは、このシフトマップに基づいて目標変速段が決定され、目標変速段に応じたシフト信号をギヤシフト制御手段35に出力する。
ところで、変速時には、ギヤシフトに先立ってクラッチを切る動作(クラッチ断)を行い、ギヤシフトが完了したらクラッチを接続する動作(クラッチ接)を行う。その際、クラッチ断のタイミングが早すぎると、駆動系にプラスのトルクが加わっている状態でクラッチ断を行うことになり、クラッチに加わっていたプラスのトルクが急に抜けてエンジンの吹け上がりが起きる。逆に、クラッチ断のタイミングが遅すぎると、駆動系にマイナスのトルク(エンジンブレーキトルク)が加わっている状態でクラッチ断を行うことになり、クラッチに加わっていたマイナスのトルクが急に抜けることにより加減速ショックを起こす。よって、クラッチ断のタイミングを適切に行う必要がある。すなわち、エンジン1とクラッチ機構3の間での回転抵抗が相殺された時点でクラッチ断動作を行うことにより、エンジンの吹け上がり、加減速ショックを抑えたスムーズなクラッチ断動作が行える。
これを行うために、エンジンECU43にはエンジン出力制御手段25が設けられている。変速機ECU41のシフト信号生成手段33が目的変速段を決定し、シフト信号を出力するが、このシフト信号は、バス42を介してエンジンECU43のエンジン出力制御手段25に伝えられる。このシフト信号を受け取ると、エンジン出力制御手段25は、アクセル開度信号117の如何にかかわらず、エンジン1の出力を低下させるように制御する。すなわち、運転者がアクセルペダル9を踏み込んでいる場合であっても、変速機ECU41のシフト信号生成手段33が変速の必要性を検出してシフト信号を出力した場合には、エンジン出力制御手段25は、まず、エンジン1の出力を低下させるよう制御する。
エンジン出力制御手段25は、一般に、ガソリン車の場合はスロットル開度を制御することにより、一方、ディーゼル車の場合は燃料噴射量を制御することにより、エンジン1の出力を制御する。
クラッチ断のタイミングを適切に行うために、エンジン出力制御手段25は、駆動系にエンジントルクが伝達されない、回転抵抗が相殺されるエンジン出力が得られるようエンジン1を制御する。この回転抵抗が相殺されるエンジン出力は、エンジン1の回転数により異なる。よって、エンジン1の回転数と、回転抵抗が相殺されるエンジン出力値の関係を示すエンジン出力マップ(α値マップ27)が前もって用意され、エンジン出力制御手段25の制御プログラムとともにエンジンECU43のROM435に格納されている。
エンジン出力制御手段25は、エンジン1からエンジン回転数信号137を受け取り、この回転数に対応する回転抵抗が相殺されるエンジン出力をα値マップ27参照により得て、この値にエンジン出力を変化させるようエンジン1を制御する。エンジン出力が回転抵抗を相殺する出力まで変化した時点で、エンジン出力制御手段25は、変速機ECU41のクラッチ制御手段23にクラッチ断タイミング信号を送り、クラッチ制御手段23は、クラッチ用電動モータ21を制御してクラッチ機構3を断動作させる。
次に、クラッチ断動作に至るエンジン出力制御手段25の処理の流れを、図3、4、5を使用して更に詳しく説明する。図3に示すように、変速機ECU41のシフト信号生成手段33からシフト信号を受け取ると(ステップ301)、エンジン出力制御手段25はエンジン1の回転数M(エンジン回転数信号137)を入出力インタフェース437を介して得る(ステップ302)。そしてα値マップ27を参照し、エンジン回転数Mに対応するα値を読み出す(ステップ303)。
図5では、α値マップ27は、エンジン回転数Mと、回転抵抗が相殺されるエンジン出力を得るための燃料噴射量αの関係を示している。図5は、一般にディーゼル車のエンジン制御を対象とした、エンジン回転数Mと燃料噴射量αの関係をα値マップ27としたものである。例えばガソリン車のように、スロットル開度によりエンジン制御を行う場合には、回転抵抗が相殺されるエンジン出力を得るためのスロットル開度αとエンジン回転数Mの関係をα値マップ27とすればよい。燃料噴射量をα値マップに使用する場合でも、スロットル開度をα値マップに使用する場合でも、α値は、前もって測定することにより得る。この測定で、ディーゼル車の場合、図5に示すように、エンジンのアイドリング回転数である650rpmではα=約7mm3/st、略最高のエンジン回転数である3000rpmではα=約20mm3/stを得た。その間のα値も約200rpmきざみで測定する。ここでstは、エンジンの発火ストロークである。
α値マップ27は、実際には、エンジンECU43のROM内に、600〜800rpmでは7mm3/st、800〜1000rpmでは・・・、2800〜3000rpmでは20mm3/stというように格納されている。ステップ303で、エンジン回転数Mに対応するα値を読み出したら、シフト信号受信時(t=0)におけるスロットル開度または燃料噴射量A0とαの値を大小比較する(ステップ304)。
t=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0がα値マップ27から読み出したα値よりも大きい場合、すなわち、A0>αの場合、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴射量AをA=A0−βtで減少させる(ステップ305)。βの値は、スロットル開度または燃料噴射量の変化率であり、適切な所定の値に設定しておく。この式に従い、時間tにおけるスロットル開度または燃料噴射量Aを求め、エンジン1を制御する。図4に示すように、シフト信号を受信したt=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0が、t=0におけるエンジン1の回転数Mに対応するα値よりも大きい場合、すなわち、A1>α1(直線で図示)、A2>α2(一点破線で図示)では、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴出量Aを一定の変化量(傾きβ)で減少させる。
スロットル開度または燃料噴射量Aが回転抵抗を相殺するスロットル開度または燃料噴射量αに達したか否かを判定し(ステップ306)、A>α(ステップ306のno)ならばステップ305に従ってスロットル開度または燃料噴射量Aを減少させる。一方、スロットル開度または燃料噴射量Aが回転抵抗を相殺するスロットル開度または燃料噴射量αまで減少したら(A≦α、ステップ306のyes)、エンジン出力制御手段25は、クラッチ制御手段23にクラッチ断指令を出力する(ステップ309)。すなわち、図4において、t=0でA=A1、A2だったスロットル開度または燃料噴射量を、それぞれ一定の傾きβでα1、α2まで減少させ、その後、クラッチ断指令を出力する。
一方、 t=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0がα値マップ27から読み出したα値よりも小さい場合(ステップ304のA0<α)、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴射量AをA=A0+βtで増加させる(ステップ307)。この式に従い、時間tにおけるスロットル開度または燃料噴射量Aを求め、エンジン1を制御する。図4に示すように、シフト信号を受信したt=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0が、t=0におけるエンジン1の回転数Mに対応するα値よりも小さい場合、すなわち、A3<α3(破線で図示)では、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴出量Aを一定の変化量(傾きβ)で増加させる。
そして、時間tにおけるスロットル開度または燃料噴射量Aとαの大小比較を行い(ステップ308)、A<αの場合(ステップ308のno)はステップ307の式に従ってスロットル開度または燃料噴射量Aを増加させる。A≧αの場合(ステップ308のyes)、すなわち、図4において、t=0でA3だったスロットル開度または燃料噴射量がα3まで増加したら、エンジン出力制御手段25は、クラッチ制御手段23にクラッチ断指令を出力する(ステップ309)。
エンジン出力制御手段25によりスロットル開度または燃料噴射量Aを変化させる変化率(傾き)を示すβの値は、前もって適切に定めておく。βの値を大きくしすぎると運転者は大きな加減速感を感じ、また、小さくしすぎると、クラッチ断までにかかる時間が長くなるので、適切なβを実験により求める必要がある。このβの値は、t=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0の値によらず一定にするとよい。例えば、t=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0とα値マップ27から読み出したα値の差が大きい場合にβの値を大きくして、回転抵抗を相殺するエンジン出力に達するまでの時間を短くすることも考えられるが、そうすると、加減速ショックを起こすことがあるため、βの値は一定にすることが好ましい。
また、t=0におけるスロットル開度または燃料噴射量A0が、α値マップ27から読み出したα値と同じならば(ステップ304のA0=α)、t=0において回転抵抗が相殺されており、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴射量Aを増減させることなく、クラッチ断指令をクラッチ制御手段23に出力する(ステップ309)。すなわち、図4において、t=0でのスロットル開度または燃料噴射量がA4で、α値マップ27から読み出したα値がα4の場合(A4=α4)である。
ステップ309においてクラッチ断指令をクラッチ制御手段23に出力した後、エンジン出力制御手段25は、その時点のスロットル開度または燃料噴射量Aを所定の時間ΔTだけ保持する(ステップ310)。すなわち、図4において、t=0でA1、A2、A3だったスロットル開度または燃料噴射量がそれぞれα1、α2、α3まで変化した後、時間ΔTの間そのスロットル開度または燃料噴射量(それぞれα1、α2、α3)で保持する。また、t=0でA4=α4の場合には、t=0からΔTの間A=α4を保持する。これは、クラッチ断指令をエンジン出力制御手段25がクラッチ制御手段23に出力してから、実際に、クラッチ用電動モータ21によりクラッチ機構3が駆動され、クラッチ断が完了するのにかかる時間であり、実際には約0.11秒程度の長さである。これにより、クラッチ断が完了するまでの間に機械式自動変速機構5にトルクを加えないようにすることが可能になる。しかし、ΔTは、前述のように短い時間であるため、無視することも可能である。
次に、エンジン出力制御手段25は、クラッチ断が完了したか否かを判定する(ステップ311)。これはΔTが経過したか否かで判断してもよいし、実際に、クラッチ断が完了したことを示す信号をクラッチ制御手段23から受け取ったか否かで判断してもよい。クラッチ断が完了していない場合(ステップ311のno)は、ステップ310のエンジン出力の保持を継続する。クラッチ断が完了した場合には(ステップ311のyes)、エンジン出力制御手段25は、スロットル開度または燃料噴射量Aを0にして(ステップ312)、クラッチ断処理を終了する。
以上の処理により、適切なタイミングでクラッチ断動作を実施することが可能になり、エンジンの吹け上がりや加減速ショックを起こすことなくクラッチ断を行い、目標変速段へのギヤの切り替えに移ることが可能である。
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であり、それらも、本発明の技術範囲に含まれる。例えば、本実施の形態では、前もって測定により得るα値マップ27を図5に示すように、エンジン回転数650rpmではα=約7mm3/st、エンジン回転数3000rpmではα=約20mm3/stとしたが、これは、実車の測定により得られるもので、別の値をとり得る。また、ΔTはクラッチ断動作に要する時間で約0.11秒としたが、これも、実車による測定から得られるものである。さらに短時間の場合もあるし、また、寒冷地や冬場にはさらに長い時間がかかる場合もあり、ΔTの値を別の適切な値に設定することも可能である。
本発明のクラッチ制御装置により、ギヤシフト動作前のクラッチ断の動作を、自動シフトの場合でも、手動シフトの場合でも、エンジンの吹け上がりや加減速ショックを起こすことなく、スムーズに行うことが可能になり、トラック、バス等の機械式自動変速機を搭載した車両における運転性能、乗車性が向上する。
1………エンジン
3………クラッチ機構
5………機械式自動変速機構
21………クラッチ用電動モータ
23………クラッチ制御手段
25………エンジン出力制御手段
27………α値マップ
31………ギヤシフト用電動モータ
33………シフト信号生成手段
35………ギヤシフト制御手段
41………変速機ECU
43………エンジンECU
3………クラッチ機構
5………機械式自動変速機構
21………クラッチ用電動モータ
23………クラッチ制御手段
25………エンジン出力制御手段
27………α値マップ
31………ギヤシフト用電動モータ
33………シフト信号生成手段
35………ギヤシフト制御手段
41………変速機ECU
43………エンジンECU
Claims (5)
- エンジンと、
変速機と、
前記エンジンと前記変速機との間に介装されたクラッチと、
前記クラッチを駆動するクラッチアクチュエータと、
前記クラッチアクチュエータの作動を制御するクラッチ制御手段と、
前記エンジンの出力を制御するエンジン出力トルク制御手段と、を備え、
変速時に、前記エンジン出力トルク制御手段は、前記エンジンの出力を回転抵抗が相殺されるエンジン出力まで変化させ、回転抵抗が相殺された時点で、前記クラッチ制御手段が、前記クラッチを断作動させるよう前記クラッチアクチュエータを制御することを特徴とするクラッチ制御装置。 - 前記エンジン出力トルク制御手段は、前記エンジンの回転数と、回転抵抗を相殺するエンジン出力値の関係について前もって定めた所定のエンジン出力マップに基づき、前記エンジンの出力を制御することを特徴とする請求項1記載のクラッチ制御装置。
- 前記エンジン出力トルク制御手段は、回転抵抗を相殺するエンジン出力値に至るまで一定の変化量でエンジン出力を変化させることを特徴とする請求項1記載のクラッチ制御装置。
- 前記エンジン出力トルク制御手段は、前記エンジンの出力を回転抵抗が相殺されるエンジン出力まで変化させた後、所定の時間保持するよう制御することを特徴とする請求項1記載のクラッチ制御装置。
- 前記所定の時間は、クラッチ断の開始からクラッチ断が完了するまでの時間以上であることを特徴とする請求項4記載のクラッチ制御装置。
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Cited By (4)
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JP2014234008A (ja) * | 2013-05-31 | 2014-12-15 | ボッシュ株式会社 | 変速制御装置 |
KR101574983B1 (ko) * | 2013-01-28 | 2015-12-07 | 봇슈 가부시키가이샤 | 내연 기관 제어 장치 |
CN111677784A (zh) * | 2020-06-23 | 2020-09-18 | 东风柳州汽车有限公司 | 车辆起步阶段的离合器控制系统及方法 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004101599A patent/JP2005280631A/ja active Pending
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CN111677784B (zh) * | 2020-06-23 | 2022-02-11 | 东风柳州汽车有限公司 | 车辆起步阶段的离合器控制系统及方法 |
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