JP2006073393A - 水素分離膜型燃料電池およびその単位セル - Google Patents

水素分離膜型燃料電池およびその単位セル Download PDF

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哲 井口
Atsushi Ogino
温 荻野
Hiromichi Sato
博道 佐藤
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康浩 伊澤
Satoshi Aoyama
智 青山
Masahiko Iijima
昌彦 飯島
Naoki Ito
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Abstract

【課題】 シール用のガスケットの劣化が生じにくい燃料電池スタックを構成する。
【解決手段】 電解質膜30を板材45にロウ付けして水素分離膜電池アセンブリ100を構成し、単位セルを積層する際、板材45と金属セパレータ20,15,10との間にガスケット40を挟んでシールを行なう。このとき、流路22,12の最外周の部位からガスケット40の配設部位までの距離Lを所定距離以上とし、更にこの間に空隙部81を設けて、ガスケット40まで至るガスの量を低減する。ガスケットを設けず、板材45と金属はセパレータとを直接ロウ付けしても良い。この場合、接合面には、絶縁層を形成しておく。
【選択図】 図4

Description

本発明は、水素分離膜型燃料電池およびその単位セルに関し、特に水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう単位セルを積層した水素分離膜型燃料電池およびその単位セルに関する。
水素を選択的に透過する水素透過性金属などを利用し、中温域で動作可能な水素分離膜型燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−146337号公報
こうした燃料電池の電解質膜は、通常その外周部を、燃料ガスと酸素含有ガス(通常は空気)の流路を形成するセパレータで挟持されているが、この挟持部でのガス漏れを防止するために、弾性体などのガスケットを用いていた。
しかしながら、燃料電池として使用する際には、ガス流路内の高温ガスが、シール部のガスケットに触れるため、ガスケットが次第に劣化してしまうと言う問題があった。また、シール部には、ガスが残留しやすいため、水素ガスの流路側では、水素分離膜機材が、水素脆化を起こす可能性があることも指摘されていた。
本発明は、こうした課題を踏まえ、水素分離型燃料電池の電解質膜周辺のシール性の向上を目的としてなされた。
本発明の第1の水素分離型燃料電池は、
水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう単位セルを積層した水素分離膜型燃料電池であって、
前記各単位セルにおける前記電解質膜の外周に配設され、該電解質膜が隔てるガスの漏洩を防止するシール用ガスケットと、
前記電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間にあって、前記ガス流路内のガスのうち、前記シール用ガスケットに到達するガス量を低減するガス低減部と
を備えることを要旨とする。
この水素分離膜型燃料電池によれば、電解質膜が隔てるガスの漏洩を防止するために、シール用のガスケットを、各単位セルにおける電解質膜の外周に配設しており、ガス低減部が、電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、シール用ガスケットの配設位置までの間にあって、ガス流路内のガスのうち、シール用ガスケットに到達するガス量を低減する。従って、シール用ガスケットが流路を流れるガスに触れることが抑制され、ガスケットの劣化が抑制される。ガスの温度が高温になる場合や、ガスケットの脆化を促進する性質のあるガスを用いる場合には、こうした効果を顕著なものとなる。
こうした水素分離膜型燃料電池において、単位セルの電解質膜は、その外周に金属材料からなる板材を、シール性を確保して接合してなり、シール用ガスケットを、この板材上に配設した構造としても良い。この場合、シール用ガスケットの部位に電解質膜が存在しないので、ガスケット近傍に水素ガスなどが滞留しても、電解質膜の水素脆化を生じることがない。
また、この水素分離膜型燃料電池において、板材を、熱伝導率を所定値以下の低い材料とすれば、電解質膜側からの伝熱の影響を低減することができる。また、シール用ガスケットは、耐熱性のシール材料を用いることができ、シールコンパウンドでも差し支えない。板材と電解質膜との接合は、シール性が確保できればよく、例えば板材の電解質膜との接合部の厚みを薄くし、薄肉にした部分に電解質膜をロウ付けや溶接により接合しても良い。もとより耐熱性接着剤などを用いることも可能である。
こうした水素分離膜型燃料電池において、単位セルは、電解質膜の両側に設けられ、ガス流路を形成すると共に、該ガス流路内に集電部材を備えたセパレータを有し、このセパレータは、電解質膜の外周に対応する部位において、前記板材上に配設された前記シール用ガスケットを収納する収納部と、板材と絶縁を保ったまま直接接触することで、当該セパレータの前記ガス流路の形成位置において、当該セパレータを前記電解質膜に対して所定の離間位置に保持するよう位置決め可能な突当部とを備えた構成とすることができる。この水素分離膜型燃料電池は、セパレータの外周部にガスケットを収納する収納部を有し、セパレータの外周部には、板材と直接接触する突当部を備えるので、ガスケットに無用な圧縮力がかからないようにすることができる。また、突当部がガスケットなどを介することなく直接板材に当接するので、経年変化などでセパレータと板材との距離が変化することがなく、結果的にセパレータが電解質膜との間に形成するガス流路の寸法を、確保することができる。
こうした水素分離膜型燃料電池において、ガス低減部は、所定体積の空隙部により構成することができる。ガス流路化の端からシール用ガスケットの存在位置までの間に、一カ所以上の凹所を設ければ、ガス流路側から進入するガスは、この凹所に滞留し、ガスケットにまで至るガスは低減される。セパレータを有する構造では、セパレータに凹所を設ければよい。凹所は複数隣接して設け、いわゆるラビリンス構造とすることも、ガスを低減する上で好適である。
こうした水素分離膜型燃料電池において、電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間に、前記シール用ガスケットの配設箇所の温度を低下する冷却用部材を配設することも、シール用ガスケットの耐久性を向上する上で望ましい。
本発明の第2の水素分離型燃料電池は、
水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう単位セルを積層した水素分離膜型燃料電池であって、
前記単位セルの前記電解質膜は、その外周に接合された金属材料からなる板材を備え、
前記単位セルは、前記電解質膜の両側に設けられ、前記ガス流路を形成する導電性のセパレータを有し、
該セパレータは、前記電解質膜外周の前記板材との絶縁を保ったまま該板材に直接接触する構造を備える
ことを要旨とする。
かかる構造を有する水素分離型燃料電池では、セパレータは、電解質膜外周の板材との絶縁を保ったまま該板材に直接接触する構造を備えるから、ガスケットなどが介在せず、寸法制度を高めることができる。また、ガスケットを介していないことから、圧縮接合ではなく、クリープを低減もしくは取り除くことができる。ガスケットを用いないものとすれば、更に部品点数を低減することができ、組み付け工数、省資源の点からも有用である。
こうした水素分離膜型燃料電池において 板材またはセパレータのいずれか一方は、両者の前記接触箇所における表面に絶縁層を形成してもよい。この場合、両者を接合するのにシール用ガスケットなどの弾性体を介装する必要がなく、両者の離間距離を精度良く管理することができる。こうした絶縁層としは、高硬度の酸化層を利用することができる。酸化層としては、20Cr5Al等の高アルミニウム含有ステンレス鋼などを例示的に挙げることができる。
また、水素分離膜型燃料電池においては、セパレータを、ガス流路の形成位置において、電解質膜と小面積で接触する複数の歯部を備え、この歯部の電解質膜と接触する端部を、歯部の接触面に、ガス流路内のガスが進入可能な形状とすることができる。こうすれば、ガス流路内において、セパレータが歯部により電解質膜との距離を確保しつつ、電解質膜におけるガスとの接触面積を十分に確保することができる。
水素分離膜型燃料電池において、こうしたセパレータは、金属製とすることができ、セパレータと板材の外周部との直接の接触は、溶接、ロウ付け、ハンダ付けなどの金属同士の接合によることができる。かかる水素分離膜型燃料電池では、金属同士を接合した箇所ではシール用ガスケットなどが必要なく、電気抵抗を極めて低くできること、積層方向に交差する方向へのズレがほとんど生じないこと、などの効果を得ることができる。
更に、この水素分離膜型燃料電池において セパレータと板材の接触箇所のうち、酸素側は接合を行なわず、両者を当接させる構造とすること好適である。この場合、総ての単位セルが金属同士で直接接合される訳ではないので、熱膨張などにより応力が発生した場合でも、これを適宜逃がすことができる。
上記の第1の水素分離膜型燃料電池の発明に対して、これを構成する単位セルの発明を想定することができる。即ち、本発明の第1の単位セルは、
水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう水素分離型の単位セルであって、
前記電解質膜の外周に配設され、該電解質膜が隔てるガスの漏洩を防止するシール用ガスケットと、
前記電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間にあって、前記ガス流路内のガスのうち、前記シール用ガスケットに到達するガス量を低減するガス低減部と
を備えたことを要旨としている。
同様に、第2の水素分離膜型燃料電池の発明に対応した第2の単位セルは、
水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう水素分離型の単位セルであって、
前記電解質膜は、その外周に金属材料からなる板材を接合して備え、
前記電解質膜の両側には、前記ガス流路を形成する導電性のセパレータを備え、
該セパレータは、前記電解質膜外周の前記板材との絶縁を保ったまま前記板材に直接接触する構造を備える
ことを要旨としている。
これらの水素分離膜型燃料電池または単位セルにおいて、電解質層としては、固体酸化物、例えば、BaCeO3、SrCeO3系のセラミックスを用いることができる。また、固体高分子膜等の他の種類の電解質を用いることもできる。基材としては、水素透過性を有する金属材料とすることができ、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタルおよびこれらの少なくとも一部を含む合金のいずれかを用いることができる。また、パラジウム、パラジウム合金などの貴金属を用いることもできる。さらには、電解質層は、基材の片面のみに設けてもよいし、両面に設けてもよい。
前記構成の燃料電池スタックにおいて、前記基材は、前記水素透過性材料と異種の金属材料で作られたパンチングプレートに、前記水素透過性材料を埋め込んで形成されたものとすることもできる。この構成によれば、水素透過性材料の部分の面積を小さくして、かつその部分を異種の金属材料で囲み込むことができることから、基材の水素膨張を防ぐことができる。この結果、基材の剥離を防止することができる。
また、前記基材は、前記水素透過性材料とステンレスとの混合物で形成されたものとすることができる。さらに、前記基材は、前記水素透過性材料と銅との混合物で形成されたものとすることができる。ステンレスと銅については、水素透過性材料と混合しても素性の悪い合金となることがないことから、水素透過性材料に混合する異種の金属材料としては優れている。
本発明を実施するための最良の形態を以下の項目に分けて説明する。
(A)第1実施例における燃料電池スタック1の構成
(B)シール部の構造
(C)変形例
(D)第2実施例における単位セルの構造
(E)変形例
(F)燃料電池システムの構成
(A)第1実施例における燃料電池スタック1の構成:
図1は、燃料電池スタック1を構成する単位燃料電池(以下、単位セルという)の構成を模式的に示す説明図である。この単位燃料電池は、いわゆる固体酸化物型の燃料電池に分類される。図1では、単位セルはその断面により示されている。このセルは、大まかには、2枚の金属セパレータ10,20で電解質膜30を挟んだ構造となっている。なお、図1は、単位セルにおける発電の原理を主に示すものであり、膜厚などは誇張して描いてある。
金属セパレータ10には、水素リッチな燃料ガスを供給するための流路12が設けられている。この流路12は、図中、紙面に垂直な方向に伸びるストレートタイプの複数の溝によって構成される。一方の金属セパレータ20には、酸化ガスとしての空気を供給するための流路22が付設されている。この流路22は、金属セパレータ20と電解質膜30との間の空間をガスケットで囲み込むことにより形成されているが、そのシール構造については後述する。金属セパレータ10、20は、銅やステンレス材料等の金属材料で形成可能であり、好ましくは、銅やアルミニウム等を含んだ材料で、熱伝導度の大きなものが望ましい。
電解質膜30は、バナジウム(V)で形成された緻密な基材31を中心とする6層構造となっている。基材31は、緻密な水素透過性材料で形成されたものであればよく、バナジウムに換えて、バナジウムとクロム(Cr)の合金、バナジウムとニッケル(Ni)の合金等を用いることができる。その他にも、パラジウム、パラジウム合金などの貴金属、並びにVA族元素、例えば、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などを用いることができる。被膜34.35は、Pdに換えて、触媒作用のあるPdとAgの合金等とすることができる。なお、燃料極としての金属セパレータ10の側に形成される被膜34は、金属セパレータ10に形成された流路12内に形成されるもので、島状に分離されている。
基材31の両面には、緻密体の金属拡散抑制層32,33が備えられている。金属拡散抑制層32,33は、メッキまたは事前に基材31にイオンプレーティング、蒸着等によりコーティングすることにより形成される。基材31の金属セパレータ10側の面に形成される金属拡散抑制層32は、前記間隙に形成される。金属拡散抑制層32,33には、タングステンの酸化物(WO3)を用いることができる。更に金属拡散抑制層32,33の外面には、パラジウム(Pd)の被膜34.35が設けられている。被膜34.35は、メッキすることにより形成される。金属セパレータ10側に形成される被膜34は、金属セパレータ10に形成された流路内に形成されている。
金属拡散抑制層32,33は、基材31と被膜34,35が互いに金属拡散を起こすことを抑制する。金属拡散抑制層32,33は、酸化タングステンに換えて、プロトン伝導体,混合伝導体,セラミックス,およびこれらの複合材料や傾斜材料を用いても良い。例えば、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、Y23SiO2などがある。
さらに、金属セパレータ20側の被膜35の外面には、固体酸化物からなる電解質層36の薄膜が成膜されている。電解質層36は、BaCeO3、SrCeO3系のセラミックスを用いることができる。電解質層36の成膜は、電解質を生成しつつ行なわれるが、例えば、物理蒸着、化学蒸着、スパッタリングなど種々の手法を用いることができる。基材31は緻密であるため、電解質層36の十分な薄膜化が可能である。本実施例では、基材31の厚さは100μm、金属拡散抑制層32,33の厚さは1μm、Pdの被膜34,35の厚さは0.75μm、電解質層36の厚さは0.1μmとした。各層の厚さは任意に設定可能である。
電解質膜30の電解質層36の外面には、電極38が形成されている。電極38は、多孔質の発泡金属あるいは金属メッシュの板材により形成されている。電極38の成膜は、物理蒸着、化学蒸着、スパッタリングなど種々の手法を用いることができる。なお、この電極38には、パラジウム(Pd)または白金(Pt)等の触媒が担持されており、発電過程における反応を促進するための触媒機能を有する。電極38の厚さは、数十〜数百μmとした。
前記のように構成された単位セルでは、発電過程において、金属セパレータ20の流路12に供給された燃料ガス中の水素は、プロトンと電子に乖離して、プロトンは電解質層36を移動し、電極38で酸素と結合して水を生成する。このように水素と酸素が結びついて電気と水が発生する。なお、前記構成の単位セルでは、燃料ガスの流路12を備える金属セパレータ10が燃料極に相当し、電極38が酸素極に相当する。
前記のように構成された単位セルを複数積層した燃料電池を備えるのが燃料電池スタック1である。燃料電池スタック1は、単位セルを、金属セパレータ10、電解質膜30(ガスケット40を含む)、金属セパレータ20の順に複数組、積層した構造である。なお、単位セルと単位セルとの境の金属セパレータは、水素極としての金属セパレータ10と酸素極としての金属セパレータ20とが一体となって構成されている。前記積層の組数は、例えば100〜400組である。
水素極としての金属セパレータ10と酸素極としての金属セパレータ20とが一体となった複合セパレータ15を使って、2個の単位セルを組み付ける様子を示したのが、図2である。図示するように、2組の単位セルは、下から順に、金属セパレータ10(水素極)、水素分離膜電池アセンブリ100、複合セパレータ15(酸素極+水素極)、水素分離膜電池アセンブリ100、金属セパレータ20(酸素極)を組み付けることで構成される。水素分離膜電池アセンブリ100は、図1を用いて説明した矩形の電解質膜30と、電解質膜30をその外周で固定しているSUS材の板材45、板材45の外周付近に配設されたガスケット40から構成されている。電解質膜30とSUSの板材45とは、ロウ材47を用いてロウ付けされている。ガスケット40は、絶縁性のもので、ゴムやプラスチック、高耐熱繊維に一部ゴムを含浸させたもの等で形成可能である。水素分離膜電池アセンブリ100の構成については、全体構成の説明の後で、再度詳しく説明する。
次に、燃料電池スタック1のケーシングについて説明する。図3は、ケーシング60を示す説明図である。燃料電池スタック1は、図示するように、流路マニホールドを形成するケーシング60により外側が覆われている。図には、ケーシング60のコア部61だけを仮想的に外側に引き出した状態が示されている。ケーシング60は、ステンレス(SUS)等の剛性を有する材料により形成されており、その内面には、絶縁性の酸化被膜が形成されている。ケーシング60は、図示するように、六角柱の形状をしたコア部61と、このコア部61の両脇に設けられた冷却ガス用の通路部62,63と、コア部61の前後に設けられた燃料ガス用の入口部64、出口部65と、コア部61の後前に設けられた空気用の入口部66、出口部67とを備える。
ケーシング60は、上側部分と下側部分の2つのパーツから構成されており、燃料電池スタック1は、両パーツによってサンドイッチされてケーシング内に収納される。この収納時には、電解質膜30やガスケット40の部分がコア部61内に位置し、金属セパレータ10,20の張り出し部分、すなわち、電解質膜30やガスケット40の部分よりも外側に張り出した部分が冷却ガス用の通路部62,63に位置する。すなわち、図中A−A線方向に切断したときの燃料電池スタック1の切断面が図1に示したもの(ケーシング60およびシール構造は記載されていない)となる向きに、燃料電池スタック1はケーシング60内に収納される。冷却ガス用の通路部62,63に設けられた孔は、燃料電池スタック1に設けられたボルト50用の孔62hである。すなわち、金属セパレータ10,20の張り出し部分は、冷却ガス用の通路部62,63内に完全に張り出しており、この孔62hに通されたボルト50によりケーシングの上下のパーツも燃料電池スタック1と共に締め付け固定されている。
冷却ガス用の通路部62,63は、前側に入口部62a、63aを、後ろ側に出口部62b、63bを備えており、入口部62a、63aおよび出口部62b、63bは、燃料電池スタック1の単位セルの積層数に応じただけの開口を備える。入口部62a、63aの開口によって分岐されて送られた冷却ガスは、燃料電池スタック1に備えられる各金属セパレータ10,20の前記張り出し部分を伝って出口部62b、63bから排出される。すなわち、その張り出し部分は、放熱フィンとして機能し、上記冷却ガスが送風される。
燃料ガス用の入口部64は、前側の右側部分に設けられており、燃料ガス用の出口部65は、後ろ側の左側部分に設けられている。空気用の入口部66は、後ろ側の右側部分に設けられており、空気用の出口部67は、前側の左側部分に設けられている。コア部61内においては、燃料ガスは、金属セパレータ10に設けられた流路12に対応した分岐路68によって分岐され、空気は、金属セパレータ20に設けられた流路22に対応した分岐路69によって分岐される。燃料ガスと空気は、コア部61内において、流れの高さは違うが平面的にはクロスするようにして燃料電池スタック1内を流れる。なお、燃料ガスと空気は、燃料ガスが前側から後ろ側へ、空気が後ろ側から前側へというように対向流となっているが、これに換えて、空気用の入口部を前側、出口部を後ろ側(あるいは燃料ガス用の入口部を後ろ側、出口部を前側)にして、燃料ガスと空気が同じ向きに流れる並行流となる構成としてもよい。コア部61の分岐路68,69が形成されていない面には、ガスのシールとコア部61を保持する機能を有する絶縁マット(アルミナマット:図中ハッチングの部分)が配設されている。
(B)シール部の構造:
次に、図4を用いて、単位セルにおけるシール構造について説明する。図4は、水素分離膜電池アセンブリ100の外周におけるシール構造を示す断面図、図5は、水素分離膜電池アセンブリ100の構成を示す断面図である。図5に示すように、水素分離膜電池アセンブリ100は、電解質膜30とSUSの板材45とからなり、電解質膜30の外周には、板材45が接合されている。図2に示したように、電解質膜30と板材45との接合は、ロウ材(ブレード)47を用いたロウ付けにより行なわれる。電解質膜30の外形形状は、各セパレータ10,15,20における燃料ガスの流路22,空気の流路12の配設形状と一致している。また、板材45の外周部近傍には、両面にガスケット40が設けられている。このガスケット40は、図4に示すように、水素分離膜電池アセンブリ100を挟持する金属セパレータ20と複合セパレータ15、複合セパレータ15と金属セパレータ10が、それぞれ形成する溝部48に収納される。
各セパレータ10,15,20の水素分離膜電池アセンブリ100側の表面は、本実施例では、それぞれ酸化被膜が形成されており、絶縁層71ない74となっている。実施例では、この絶縁層は、20Cr5Al等の高アルミニウム含有ステンレス鋼である。従って、各セパレータ10,15,20で水素分離膜電池アセンブリ100のステンレス製の板材45を挟持しても、絶縁性は保たれる。更に、この絶縁層71,72,73,74の表面にはガラスシール材がコートされており、単位セルを組み立てると、各セパレータ20,15,10と板材45との接合面は、ガラスシール材によりシールされることになる。この結果、流路22,12側からのガスの侵入は防止される。このように流路22,12側からのガスの侵入が防止されることにより、ガスケット40の耐熱性が向上する。またガスケット40の両側にガラスシール材が存在することにより3重のシール構造となり、シールの信頼性を向上することができる。
流路22,12の最外周からガスケット40が存在する溝部48までは、所定距離(図4では、距離L)だけ離間している。この流路22,12の最外周からガスケット40が存在する溝部48までの間に、本実施例では、ガス低減部として、それぞれ1カ所の空隙部81,82を設けている。各セパレータ20,15,10の対応する位置には溝が形成されており、単位セルを組み立てると、水素分離膜電池アセンブリ100の板材45の両側に位置するように、空隙部81,82が形成される。
単位セル、ひいてはこれを積層した燃料電池スタック1は、運転時には、約500度前後までその温度は上昇する。そこで、複合セパレータ15には、冷却水を流すための冷却水路70が形成されている。冷却水路70の形成位置は、本実施例では、図4に示したように、空隙部81,82とガスケット40の配設位置の間としたが、流路22,12と空隙部の間であっても差し支えない。また、冷却水路70は、複数設けても差し支えない。冷却水に代えて、冷却油など他の媒体を流しても差し支えなく、もとより空冷やヒートパイプなどによる冷却構造を採用することも可能である。
以上説明した第1実施例によれば、燃料ガス(水素ガス)の流路22からガスケット40の配設位置までを所定距離だけ離間し、かつその間に空隙部81,82を設けたので、流路22,12からガスケット40の位置まで到達するガスの量を低減することができる。流路22,12からセパレータ20,15,10の接合面に沿って微量のガスが侵入しても、ガスは、空隙部81,82の存在によりトラップされる。従って、本実施例によれば、燃料電池スタック1の運転時にガスの温度が上昇し、例えば500度程度になったとしても、高温のガスがガスケット40まで至ることはほとんどなく、ガスケット40の劣化は抑制される。また、シール部となる溝部48の近傍には電解質膜30は存在しないので、シール部まで漏洩してきた水素ガスが溝部48近傍に滞留しても、電解質膜30が水素ガスの存在により脆化するということもない。更に、本実施例によれば、空隙部81,82とガスケット40の存在箇所との間に冷却水路70が設けられており、単位セルを冷却しているので、ガスケット40の部位の温度を低下することができ、この点でもガスケット40の劣化を抑制することができる。
本実施例では、ガスケット40やガラスシール材は存在するものの、単位セルを組み立てると、ガスケット40は圧縮され、各セパレータ20,15,10は、板材45にほぼ密着する。このため、電解質膜30とセパレータ20,15,10の底部との離間距離A(図4参照)を高精度に保つことができる。従って、電極38と各セパレータ20,15,10の歯部との接触抵抗を常に一定に保つことができる。また、流路22に集電体となる部材が設けられている場合でも、離間距離Aが一定に保たれることから、集電体と電極38との接触抵抗を一定に保つことができ、同様に好適である。
本実施例では、板材45としてSUSの板材を用いたが、板材の材質としては、熱伝導率の低いものを採用することも好適である。熱伝導率が所定値以下であれば、運転時高温となる電解質膜30側からの伝熱が抑制され、ガスケット40の温度上昇を抑えることができる。熱伝導率の低い金属材料としては、錫、鉛、カリウム、インジウム、ビスマスなどがある。また金属材料以外材料、例えばガラスやセラミックなどを用いれば、熱伝導率を更に低減することができる。また、ガラスやセラミックなどは、絶縁性を有するので、板材45としてこれらの材料を用いれば、絶縁層71ないし74を設ける必要がない。
(C)変形例:
上述した第1実施例の変形例を図6に示した。図6に示した単位セルでは、ガス低減部を構成する空隙部として、複数の空隙部81a,81b,および空隙部82a,82bが板材45と各セパレータ20,15,10との接合面に沿って連設されている。即ち、この変形例では、空隙部は複数設けられたいわゆるラビリンス構造とされており、ガスの侵入を一層効果的に低減もしくは阻止することができる。なお、図7に示したように、この空隙部81a,81bに、高分子材料からなるガス吸収85材を充填し、侵入したガスを捕捉する構成としても良い。ガス吸収材85は、いずれか一方の空隙部のみに備えても良い。
この他、第1実施例では、ガスケット40として、合成樹脂などの固体材料を用いたが、シール用コンパウンドなど、粘性の高いゲル状の材料などを用いることも可能である。また、板材45と電解質膜30とはロウ材47を用いて接合したが、両者の接合はシール性が確保でき、運転時の温度に耐えられればどのような方法によっても良い。例えば耐熱性接着剤を用いて接合しても良いし、板材の端面をU字形の溝構造とし、この溝に電解質膜30を挟み込んで圧着する構造としてもよい。
(D)第2実施例における単位セルの構造:
次に本発明の第2実施例について説明する。第2実施例の燃料電池スタックにおける2組の単位セルのシール構造部分を図8に示した。水素分離膜電池アセンブリ100の構造(図1、図5)や燃料電池スタックの全体形状(図2)などは、第1実施例と同一である。第2実施例の単位セルは、図8に示すように、金属セパレータ20,複合セパレータ15,金属セパレータ10により、水素分離膜電池アセンブリ100を挟持する基本構成においては第1実施例と同一であるが、そのシール構造は、シール用ガスケット40が存在しない点で異なっている。
第2実施例では、図示するように、各セパレータ20,15,10には、ガスケットを収納するための溝部がなく、その外周部はフラットに形成されている。各セパレータ20,15,10の外周部(流路22,12が形成された部位の外周部)は、その表面に、絶縁層91ないし94が形成されている。第2実施例における絶縁層91ないし94は、第1実施例と同様に、20Cr5Al等の高アルミニウム含有ステンレス鋼で形成した。
図8に示した2組の単位セルには、水素分離膜電池アセンブリが存在するので、以下、これを区別するために、金属セパレータ20と複合セパレータ15と挟持される側を水素分離膜電池アセンブリ100aと呼び、複合セパレータ15と金属セパレータ10と挟持される側を水素分離膜電池アセンブリ100bと呼ぶことにする。同様に、水素分離膜電池アセンブリ100aに含まれる方を電解質膜30a,板材45aと呼び、水素分離膜電池アセンブリ100bに含まれる方を電解質膜30b,板材45bと呼ぶ。第2実施例では、板材45aおよび電解質膜30aと複合セパレータ15、板材45bおよび電解質膜30bと金属セパレータ10は、ロウ付けにより接合した。ロウ付けは、接合面にロウ材おいて、ロウ付け用の高温炉に入れることにより行なう。
こうしたロウ材としては、ブレードタイプのもの、メッキタイプのものなどがある。ブレードタイプのものは、融点が850ないし1000℃程度のロウ材を、接合面の形状に合わせて用意し、これをセパレータと板材の間に挟み込み、高温炉内でブレードを溶融してロウ付けを行なう。メッキタイプの場合には、板材のセパレータの両方の接合面あるいは一方の接合面に銅などの融点の比較的低い金属をメッキし、これを同様に高温炉内で溶融して、ロウ付けを行なう。図8では、理解の便を図って、電解質膜30a,30bとのロウ付け箇所をロウ付け層95,96として示したが、板材45a,45bとセパレータ15,10との間にもロウ付け層(図示せず)は存在する。なお、この場合、板材45a,45bにロウ付けされているセパレータの部位が、突当部に相当する。両者は直接ロウ付けされているので、圧縮性のガスケットなどを介しておらず、両者の寸法精度、延いては流路12における電解質膜30a,30bとセパレータ15,10の底部との寸法精度を、極めて高くすることができる。
上述したロウ付けは、他方のセパレータとの間でも行なっても良いが、本実施例では、他方のセパレータとのロウ付けは行なわず、単に積層するだけにしている。なお、単位セルの外周部についてはシール性が必要となるため、金属セパレータ20と板材45aの間、複合セパレータ15と板材45bの間には、ガラスシール材を塗布して積層している。なお、ロウ付けする側は、反対側のみとしても差し支えない。
以上説明した第2実施例では、電解質膜30aと複合セパレータ15、電解質膜30bと金属セパレータ10は、ロウ付けにより接合したので、両者間の電気抵抗を極めて小さくすることができる。また、ロウ付けてしているので、部材間のズレがない。更にガスケットを用いていないので、部品点数を低減でき、更にクリープなどを生じることもない。本実施例では、電解質膜30a,30bとセパレータとのロウ付けは一方の面に限っているので、接合時の残留応力や運転時の温度上昇に起因する膨張に伴って電解質膜30a,30bにかかる応力を低減することができる。更に、燃料ガスである水素ガスの流路22を形成する側でロウ付けを行なっているので、水素ガスの漏洩防止に対して有利である、という利点も有する。
上記の実施例において、電解質膜に接するセパレータの歯部の形状は、ガスの拡散を生じさせやすい構造としているので併せて説明する。図9は、従来の金属セパレータ20a,10aの歯部122の構造を示す説明図である。図の上半分は、歯部の並びを平面的に示し、下半部は単位セルの構成を断面形状で示している。従来は、歯部122は、並行に配設されており、流路22,12を形成している。従ってこの構造では、ガスは歯部122間を、層流に近い状態で流れていく。これに対して、本実施例では、図10に示す形状の歯部123の構成を採用している。即ち、この実施例では、金属セパレータ20b,10bの歯部123は、一つ一つが角柱台形状をしており(図11参照)、しかも各歯部123は千鳥状に配列され、一つ一つの歯部123は、その角部をガス流の上流に対向されている。
かかる構成を採用したことから、本実施例では、ガス流は、より拡散され、電解質膜30全体に満遍なく燃料ガス、酸素ガスが行き渡ることになる。また、歯部123は、先端、即ち電解質膜30側ほど細くなるように形成されているので、電解質膜30の使用効率が高いという利点も得られる。更に、この実施例では、歯部123の電解質膜30との接合面は、図11に示したように、細かいスリット130が多数も受けられていることから、歯部123おいても、ガスは歯下部に入り込み、燃料電池としての発電に関与することができる。
(E)変形例:
次に、第1,第2実施例の変形例を以下に説明する。図12は、変形例としての電解質膜の層構成の一覧を示す説明図である。ケースAは、前記実施例の構造(図1)に相当する。つまり、基材31の両面に金属拡散抑制層32,33を設け、さらに外側にパラジウムPdの被膜34,35を設け、その酸素極側の面に電解質層36を設けた構造である。
実施例の燃料電池スタック1の各単位セルに備えられる電解質膜は、緻密な水素透過性材料の基材と電解質層が設けられていればよく、例えば、ケースBのように、酸素極側の被膜35を取り除いた構成としてもよい。燃料極側の被膜34によっても、燃料ガス中の水素はプロトンと電子に乖離されることから、プロトンは電解質層36を移動することから電池反応を起こすことができる。
また、ケースCのように、両方の金属拡散抑制層32、33を取り除いた構成としてもよいし、ケースD,Eのように、いずれか一方の金属拡散抑制層32(33)を取り除いた構成としてもよい。金属拡散抑制層32,33は、被膜34.35を構成するパラジウムPdと基材31とが互いに金属拡散を起こすことを抑えるために間に置いたもので、金属拡散を容認するならば取り除くこともできる。なお、ケースC〜Eでは、被膜35を設けているが、ケースBと同様に、被膜35を取り除いた構成としてもよい。
さらに、電解質膜は、緻密な水素透過性材料の基材の両側にそれぞれ電解質層を備える構成とすることもできる。詳細には、前記実施例において、基材31と金属拡散抑制層32の間に、電解質層36と同じ電解質層を備えた構成とする。この構成によれば、前記実施例と同様に、電解質層を薄膜化することができることから、固体酸化物型燃料電池の動作温度を低温化することができる。
なお、上記の実施例では、固体酸化物からなる電解質層36は、金属セパレータ20側の被膜35の外面に成膜するように構成されていたが、予め薄膜化しておき、成膜に換えて貼り付ける構成とすることもできる。この構成によっても、電解質層を、緻密な基材31とともに設けることにより十分に薄膜化することが可能である。
実施例では、電極38からの集電は、直接金属セパレータ20を介して行なうものとして説明したが、流路22内に金属製の細板や細線による導電部を配設し、これを電極38に接触させて金属セパレータ20への集電を行なう構造としても良い。もとより電極38を取り除いて、導電部を直接電解質層36に接触する構成とすることもできる。導電部は、細板または細線によって形成し、ばねの働きをする形状に予め形成しておけば、なお好適である。
(F)燃料電池システムの構成
上述した燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1の冷却系統とを備える燃料電池システムについて説明する。図13は、燃料電池システム500の概略構成を示す構成図である。図示するように、燃料電池システム500は、第1,第2実施例として説明した燃料電池スタック1を備える。燃料電池スタック1のケーシングに備えられた冷却ガス用の入口部62a,63aに、冷却空気供給路502が接続されている。冷却空気供給路502の他端には、空気供給ブロア504が接続されており、空気供給ブロア504から空気が冷却空気供給路502を介して燃料電池スタック1に送られる。
冷却空気供給路502の途中には、水供給装置506から水が供給可能となっている。水供給装置506は、電子制御ユニット(ECU)510から制御信号を受けて、水の供給を行なったり中止したりすることができる。水供給装置506から冷却空気供給路502に水の供給が行なわれると、燃料電池スタック1には、液状あるいは霧状となった水が空気と共に供給されることになる。これらの冷却媒体は燃料電池スタック1の冷却ガス用の通路部62,63を通って、金属セパレータ10、20の張り出し部分を伝う。空気中に液状あるいは霧状に含まれた水分は燃料電池スタック1からの熱を受けて一部あるいは全体が蒸発し、蒸発潜熱により燃料電池スタック1が効果的に冷却される。
また、冷却空気供給路502の途中には、ヒータ512が設けられており、冷却空気供給路502を通る空気を加熱することができる。ヒータ512はリレー514と接続されており、ECU510から制御信号をリレー514に受けることで、ヒータによる加熱を行なったり中止したりすることができる。
燃料電池スタック1の所定の部位には、温度センサ516が設けられており、燃料電池スタック1の温度を検出することができる。温度センサ516の出力信号はECU510に送られる。ECU510には、システムスイッチ520が接続されている。システムスイッチ520は、操作者による操作を受けて、この燃料電池システム500を駆動し停止するスイッチである。なお、燃料電池システム500は、燃料電池スタック1の燃料ガス用の入口部64、空気用の入口部66(図3参照)に燃料ガス、空気をそれぞれ送る燃料系統と空気系統とを備えるが、これらの系統については図13では省略した。また、図示はしないが、燃料電池スタック1には、なんらかの負荷が接続されている。この燃料電池システム500が車両に搭載される場合には、負荷は駆動用のモータやヘッドライト、あるいはエアコンその他の補機などを想定することができる。また、この燃料電池システム500が家庭用、事務所用などの用途に用いられる場合には、燃料電池システム500の出力には直流−交流変換器を接続し、変換して得られた交流100ボルト(または200ボルト)の電力を、家庭や事務所内の商用交流電源として供給すればよい。
なお、図13に示したシステムでは、ECU510は、CPU、ROM、RAM等から構成されるいわゆるマイクロコンピュータであり、負荷に応じた運転を制御している。それらの制御の詳細は、省略する。
以上、本発明の種々の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
第1実施例としての燃料電池スタック1における単位セルの構成を模式的に示す説明図である。 燃料電池スタック1の2組の単位セルを組み立てる様子を示す説明図である。 燃料電池スタック1のケーシング60を示す説明図である。 燃料電池スタック1の単位セルにおけるシール構造を示す断面図である。 水素分離膜電池アセンブリ100の構造を示す説明図である。 変形例としての2組の単位セルにおけるシール構造を示す説明図である。 変形例におれる空隙部81a,81bの構成を示す説明図である。 第2実施例の燃料電池スタックにおける2組の単位セルの構成を示す説明図である。 従来の歯部122の構成を説明する説明図である。 実施例における歯部123の構成を示す説明図である。 歯部123の歯下部形状を例示する斜視図である。 電解質膜30のその他の構成例について説明する説明図である。 燃料電池スタック1を用いた燃料電池システム500の構成を示す説明図である。
符号の説明
1…燃料電池スタック
10,20…金属セパレータ
12…燃料ガスの流路
15…複合セパレータ
22…空気の流路
30…電解質膜
31…基材
32,33…金属拡散抑制層
34,35…被膜
36…電解質層
38…電極
40…ガスケット
45…板材
47…ロウ付け材
48…溝部
60…ケーシング
61…コア部
62,63…冷却ガス用の通路部
62a,63a…入口部
62a…入口部
62b…出口部
62h…孔
64…入口部
65…出口部
66…入口部
67…出口部
70…冷却水路
71ないし74…絶縁層
81,82…空隙部
81a,81b,82a,82b…空隙部
91ないし94…絶縁層
100,100a,100b…水素分離膜電池アセンブリ
122,123…歯部
130…スリット
500…燃料電池システム
502…冷却空気供給路
504…空気供給ブロア
506…水供給装置
512…ヒータ
514…リレー
516…温度センサ
520…システムスイッチ

Claims (16)

  1. 水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう単位セルを積層した水素分離膜型燃料電池であって、
    前記各単位セルにおける前記電解質膜の外周に配設され、該電解質膜が隔てるガスの漏洩を防止するシール用ガスケットと、
    前記電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間にあって、前記ガス流路内のガスのうち、前記シール用ガスケットに到達するガス量を低減するガス低減部と
    を備えた水素分離膜型燃料電池。
  2. 請求項1に記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記単位セルの前記電解質膜は、その外周に金属材料からなる板材を、シール性を確保して接合してなり、
    前記シール用ガスケットは、前記板材上に配設された
    水素分離膜型燃料電池。
  3. 請求項2記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記単位セルは、前記電解質膜の両側に設けられ、前記ガス流路を形成すると共に、該ガス流路内に集電部材を備えたセパレータを有し、
    該セパレータは、
    前記電解質膜の外周に対応する部位において、前記板材上に配設された前記シール用ガスケットを収納する収納部と、
    前記板材と絶縁を保ったまま直接接触することで、当該セパレータの前記ガス流路の形成位置において、当該セパレータを前記電解質膜に対して所定の離間位置に保持するよう位置決め可能な突当部と
    を備えた水素分離膜型燃料電池。
  4. 前記金属製の板材は、熱伝導率が所定値以下である請求項2記載の水素分離膜型燃料電池。
  5. 請求項2記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記板材は、前記電解質膜との接合部が、前記シール用ガスケットの配設位置と比較して肉薄に形成され、該肉薄の部分に、前記電解質膜を重ねて接合した構造を有する
    水素分離膜型燃料電池。
  6. 前記ガス低減部は、所定体積の空隙部である請求項1または請求項2記載の水素分離膜型燃料電池。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間に、前記シール用ガスケットの配設箇所の温度を低下する冷却用部材が配設された水素分離膜型燃料電池。
  8. 水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう単位セルを積層した水素分離膜型燃料電池であって、
    前記単位セルの前記電解質膜は、その外周に接合された金属材料からなる板材を備え、
    前記単位セルは、前記電解質膜の両側に設けられ、前記ガス流路を形成する導電性のセパレータを有し、
    該セパレータは、前記電解質膜外周の前記板材との絶縁を保ったまま該板材に直接接触する構造を備える
    水素分離膜型燃料電池。
  9. 請求項8記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記板材または前記セパレータのいずれか一方は、両者の前記接触箇所における表面に絶縁層が形成された水素分離膜型燃料電池。
  10. 前記絶縁層は、高硬度の酸化層である請求項9記載の水素分離膜型燃料電池。
  11. 前記酸化層は、20Cr5Al等の高アルミニウム含有ステンレス鋼である請求項10記載の水素分離膜型燃料電池。
  12. 請求項8ないし請求項11のいずれか記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記セパレータは、前記ガス流路の形成位置において、前記電解質膜と小面積で接触する複数の歯部を備え、該歯部の前記電解質膜と接触する端部を、該歯部の接触面に、前記ガス流路内の前記ガスが進入可能な形状とした
    水素分離膜型燃料電池。
  13. 請求項8記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記セパレータは、金属製であり、
    該セパレータと前記板材の前記外周部との前記直接の接触は、溶接、ロウ付け、ハンダ付けなどの金属同士の接合による
    水素分離膜型燃料電池。
  14. 請求項13記載の水素分離膜型燃料電池であって、
    前記セパレータと前記板材の接触箇所のうち、酸素極側は前記接合を行なわず、両者を当接させる構造とした水素分離膜型燃料電池。
  15. 水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう水素分離型の単位セルであって、
    前記電解質膜の外周に配設され、該電解質膜が隔てるガスの漏洩を防止するシール用ガスケットと、
    前記電解質膜の少なくとも一方の面側に設けられたガス流路から、前記シール用ガスケットの配設位置までの間にあって、前記ガス流路内のガスのうち、前記シール用ガスケットに到達するガス量を低減するガス低減部と
    を備えた単位セル。
  16. 水素透過性材料で形成された基材の少なくとも一方の面にプロトン伝導体層を有する電解質膜を備え、前記電解質膜での水素の透過を伴う発電を行なう水素分離型の単位セルであって、
    前記電解質膜は、その外周に金属材料からなる板材を接合して備え、
    前記電解質膜の両側には、前記ガス流路を形成する導電性のセパレータを備え、
    該セパレータは、前記電解質膜外周の前記板材との絶縁を保ったまま前記板材に直接接触する構造を備える
    単位セル。
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