以下、本発明を詳細に説明する。
従来より、トナーへの帯電安定性の付与のため、荷電制御樹脂を添加することは知られている。本発明者らは、磁性トナーの物性と、荷電制御樹脂種の最適な組み合わせを検討し、
少なくとも結着樹脂、磁性体及び荷電制御樹脂を含有する磁性トナーにおいて、
(i)該結着樹脂が少なくともポリエステルユニットを含有しており
(ii)該トナーの重量平均粒径が5.0〜9.0μmであり、
(iii)該トナーの真比重が1.3〜1.7g/cm3であり、
(iv)該トナーの796kA/mにおける飽和磁化が20〜35Am2/kgであり、
(v)該荷電制御樹脂が少なくともスルホン酸又はスルホン酸塩又はスルホン酸エステル基含有ビニル系単量体ユニットを含有する重合体又は共重合体である
ことを特徴とする磁性トナーである。
本発明者らの研究により、耐静電オフセット性、及び現像性のうち特に印字比率の高い画像を連続画出しする場合の画像濃度安定性は、磁性トナーの磁力、真比重を制御した上で、スルホン酸を始めとするスルホニル基を含有する重合体又は共重合体を微分散させることで両立出来ることを知見した。
印字比率の高い画像を出力する場合、即ち現像担持体上のトナーが高速で入れ替わる状況でも均一な画像濃度を提供し、且つ低湿環境下においても静電オフセットを引き起こさないためには、トナーは均一帯電性、迅速な立ち上がり特性に加え、トナー表面性を制御することが必要である。本発明者らの検討によると、トナーの表面性を制御する方法としては、まずスルホン酸を始めとするスルホニル基を含有する重合体又は共重合体の製造工程において、重合後、20℃において、10(1/sec)のせん断速度で5分間撹拌して形成した懸濁状態が、無撹拌下、20秒以上60分以内に少なくとも2相に分離する条件で重合を行うことで荷電制御樹脂の分散径を調整することが挙げられる。また、磁性体からの制御方法としてはSEMフェレ径を0.08〜0.3μmとすることでトナー中への分散性を調整する、トナー製造時の粉砕工程からは、排出温度を35〜55℃とすることで磁性体、荷電制御樹脂の表面への露出度を調整する、などが挙げられる。上記各方法を組み合わせることで、本発明の磁性トナーに適した荷電制御樹脂及び磁性体の分散状態及び表面存在状態とすることができる。
本発明の効果発現のメカニズムであるが、磁性体、スルホニル基含有ユニットを有する荷電制御樹脂が相互作用することで互いの分散性を促進しており、磁性体、荷電制御樹脂共に良好な微分散性を得ることによって、トナー中の全領域で帯電性に優れ、且つ均一帯電量を得ることが出来ていると推察している。更に、トナー表面への存在状態を両者ともに一定にしているため、定着ローラーに対して静電的に付着するような過剰帯電部分や逆極性部分の発生を抑止していると思われる。また、ポリエステルユニットの存在下で得られる理由としては、スルホニル基含有ユニット、磁性体の両方が親水性であり分散に有利であるため、と考えている。
以下で本発明の磁性トナーに用いることの出来る材料について述べる。
本発明において、磁性トナー中の結着樹脂はポリエステルユニットを有するものを用いることが有効である。ポリエステル系の樹脂は、磁性体及びスルホン酸やスルホン酸塩、スルホン酸エステルとの親和性が比較的高いため、本発明の帯電安定性誘電率の制御を行う上で好ましいからである。
本発明において、磁性トナーの重量平均粒径は5.0〜9.0μmである。これは、潜像に対する充分なドット再現性及び安定した帯電性を得るために必要な範囲である。
本発明において、磁性トナーの真比重は1.3〜1.7g/cm3であり、且つ796kA/mにおける飽和磁化は20〜35Am2/kgである。真比重が1.3より小さい、または飽和磁化量が20より小さい場合、トナーの磁力が低すぎるため画像濃度が不安定になり、また過剰帯電になることで静電オフセットが起こりやすい。一方、真比重が1.7以上、具体的には磁性体量が多い場合、帯電量低下に伴って濃度が低下したり、磁性体の微分散性が低下することで耐静電オフセット性が若干低下する傾向にある。トナー磁力が35を上回る場合は、トナー担持体への引き戻しが強く、濃度が低下する傾向にある。
次に本発明に用いる荷電制御樹脂について詳細に説明する。
本発明では、荷電制御樹脂が磁性トナーに対してより高い分散性を持つものであると、磁性体の微分散性向上に対して望ましいことが本発明者らの検討によって示唆されている。荷電制御樹脂の分散性の向上には、使用する荷電制御樹脂の第一の酸価と第二の酸価を規定する必要があった。
即ち、荷電制御剤が、
1)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bを有し、
2)第一の酸価Aは2mg/mgKOH乃至10mg/mgKOHであり、
3)第一の酸価Aと第二の酸価Bは下記式(1)
1.20≦B/A≦2.00 (1)
を満足することが望ましい。
本発明で用いる荷電制御樹脂の第一の酸価Aは、スルホン酸に起因すると考えられる酸価を示しており、荷電制御樹脂の帯電付与性に寄与する値である。また、第二の酸価Bは、荷電制御樹脂全体の酸価、即ちスルホン酸及び他の酸基を中和するのに要するKOH量の和であり、荷電制御樹脂の結着樹脂中における分散性に寄与している。即ちB/Aは荷電制御樹脂中の全酸基数/荷電制御樹脂中のスルホン酸基数に相当しており、分散性と帯電付与性の比を表している。
第一の酸価Aとしては2〜10mgKOH/gの範囲であれば、トナー化後の帯電付与性及び分散性に対して問題は無い。酸価が2mgKHO/g未満となる場合には、帯電付与性の面で劣る場合があり、濃度が低下しやすくなる。一方、10mgKOH/gを超える場合は、過剰帯電になりやすく、耐静電オフセット性は悪化する傾向にある。
また、第二の酸価Bは1.20≦B/A≦2.00となる範囲であれば、トナーへの帯電付与成分との共重合が十分であり、トナー中への分散に対して問題は無い。酸価B/Aが1.20未満となる場合には、トナーの帯電量が上昇し、耐静電オフセット性が悪化する傾向がある。また、2.00を超える場合は、帯電量が低い又は不均一になることで濃度低下や濃度ムラの発生が起こりやすくなる。
本発明の荷電制御樹脂の製造に使用するモノマーとしては、スルホン酸又はスルホン酸塩又はスルホン酸エステル基含有ビニル系モノマー、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーがある。本発明ではスルホン酸又はスルホン酸塩又はスルホン酸エステル基含有ビニル系モノマーと任意のモノマーを組み合わせて製造することが出来る。特に、スルホン酸基含有ビニル系モノマーを用いると、荷電制御樹脂はトナー中への微分散性に優れ、高温高湿下での濃度が安定化するため好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸塩基含有モノマーとしては、スルホン酸基含有のモノマーのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)塩、アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジメチルベンジルアミン等)塩及び4級アンモニウム塩(トリブチルベンジルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
これらスルホン酸又はスルホン酸塩基含有モノマーのうち好ましい物は、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カリウムであり、更に好ましいものは、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
また、スルホン酸基を含有する樹脂に対して、スルホン酸基をエステル化することによってスルホン酸エステル基としたものを用いることも出来る。その際、エステル化は公知の方法によって行うことが出来、例えばトリメチルシリルジアゾメタンに代表されるようなメチルエステル化剤を用いたメチルエステル化法により容易に行うことができる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、スチレンのハイドロカルビス(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン、並びにビニルナフタレン等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンであり、更に好ましいものは、スチレン、α−メチルスチレンである。
炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとしては、炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−エトキシ(メタ)アクリレート等、グリシジル(メタ)アクリレート等;炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち共重合性、共重合体のガラス転移点の観点から好ましいものは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましい物はアクリル酸、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、本発明の荷電制御樹脂の機能を損なわない範囲で、他のラジカル共重合性モノマーを共重合させることができる。他のラジカル共重合性モノマーとしては、炭素数2〜12のアルケノール、例えば、(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル誘導体[モノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール;炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル;炭素数2〜20のアルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;モノ、ジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えば、シクロセキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テンペル類、例えば、ピネン、リモネン及びインデン;(メタ)アクリロニトリル等;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等;不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等が挙げられる。
本荷電制御樹脂のそれぞれのモノマー構成としては、スルホン酸基又はスルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基含有モノマー量は、帯電性、分散性の面から、質量に基づいて、1〜24%とすることが良く、好ましくは2〜15%、更に好ましくは3〜10%とすることで、他モノマーとの重合性及びトナー化した際の帯電付与性が得られる。
スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーの量は、50〜98%と1〜49%とすることが良く、好ましくは55〜96%と2〜43%、更に好ましくは65〜90%と3〜32%である。上記モノマーの配合比はスルホ基含有モノマー量及び共重合体のガラス転移点の設計により調整される。
本発明の荷電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は70〜85℃であると、結着樹脂との親和性に優れるため好ましい。Tgが70℃未満又は85℃超となると、荷電制御樹脂の良好な分散状態を制御し難く、帯電量が不均一となることで濃度ムラが生じやすく、静電オフセットが悪化する傾向がある。
本発明の磁性トナーにおいて、荷電制御樹脂の数平均分子量(Mn)は2000〜20000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜50000であることが好ましい。Mnが2000未満であると、荷電制御樹脂は結着樹脂と相溶してしまい、帯電特性が劣ることに起因する画像濃度の低下が見られる。Mnが20000超となると、荷電制御樹脂が結着樹脂に対して分散し難くなり、帯電が不均一になりやすく、静電オフセットが悪化する傾向がある。また、Mwが20000未満であると、荷電制御樹脂が結着樹脂に対して相溶してしまうため、帯電量が一部低下することにより、濃度にムラが出る傾向にある。Mwが200000超となると、結着樹脂と相分離し、トナー粒子から遊離しやすくなるため、帯電量は低く不均一になるため、濃度低下と濃度ムラが生じやすい。
本発明の荷電制御樹脂の製造方法は、前記モノマーをラジカル重合開始剤を用いて一括重合又は滴下重合することができる。
重合温度は、好ましくは30〜140℃、更に好ましくは50〜120℃である。この時、一定温度で重合してもよく、温度を段階的又は連続で変化させながら重合してもよい。
重合時間は、好ましくは1〜30時間、更に好ましくは2〜20時間である。重合温度、時間をそれぞれ、30〜140℃、1〜30時間とすることで、スルホ基含有モノマーの熱劣化を防ぐことができる。
また、圧力は、反応槽の形態、目的樹脂の生産性に応じて適宣、常圧、加圧、減圧のいずれを選択してもよく、これら2種以上の圧力状態を経て目的樹脂を得てもよい。
重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)及びアゾビスシアノ吉草酸;有機過酸化物系重合開始剤、例えば、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンソエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びtert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
これらの内好ましいものは、共重合の観点から、20℃の水への溶解性が5質量%以下の非水溶性である、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンソエートである。
重合開始剤の使用量は、モノマー全量に基づいて0.1〜10%、好ましくは0.2〜8%、更に好ましくは0.3〜6%である。
重合溶媒としては、水と有機溶剤の混合系を用いる。溶媒を混合系とすることで、水溶性のスルホ基含有モノマーと油溶性のスチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとを効率よく共重合することができる。
水と混合する有機溶剤としては、炭素数5〜20の炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等;炭素数1〜12のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン等;炭素数2〜18のエーテル、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等;炭素数3〜18のケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等;炭素数3〜18のエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等;炭素数1〜18の含窒素化合物、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アニリン、ピリジン、N−メチルピロリドン等;炭素数1〜8の含ハロゲン化合物、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。これらの単独又は2種以上を併用して用いる。
これらの内、沸点又は水との親和性更に経済性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジンの単独又は2種以上の併用が好ましい。
更に好ましくは、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドの単独又は2種以上の併用である。
更に、水への溶解性が大きく異なる溶剤を2種以上組み合わせる事で、スルホ基含有モノマーと、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとの共重合性が向上し、好ましい。特に好ましい有機溶剤系列を例示すると、[少なくともメタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともメタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともエタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともエタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、トルエンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともアセトン、トルエンが混合された系]、[少なくともアセトン、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともアセトン、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、トルエンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、シクロヘキサンが混合された系]等が挙げられる。
水と有機溶媒との比は、特に制限はないが、重合時に半懸濁状態を形成させる観点から、質量に基づき20−90:80−10が好ましく、50−80:50−20が特に好ましい。
本発明の荷電制御樹脂の製造方法は、重合前のモノマー、重合開始剤及び溶媒の混合物の状態において、撹拌等のせん断を受けている時は分散し、無せん断下、静置すると少なくとも2相に相分離する半懸濁状態で重合を行う。半懸濁状態で重合を行うことで、重合後の共重合体が溶媒中に分散析出するために、溶媒との分離が容易になる。20℃において、10(1/sec)のせん断速度で5分間撹拌して形成した懸濁状態が、無撹拌下、20秒以上60分以内に少なくとも2相に分離する条件で重合を行うことがよい。好ましくは、30秒以上30分以内、更に好ましくは、1分以上20分以内である。この条件とすることで適度な分散径を有する共重合体がえられやすい。
ここで滴下重合を行う場合の半懸濁状態については、滴下液と反応槽への仕込み原料を全て合わせた状態の物を判定すれば良い。
上述の製造方法とすることで、重合溶媒の除去は、場合により塩析等の前処理を行った後、公知の方法で固液分離を行えば良い。公知の固液分離法としては、フィルタープレス、スクリューデカンタ、遠心分離機等を用いる方法、スプレードライ、真空乾燥等が挙げられる。また、重合後適宣減圧等として加熱により溶媒を系外へ留去し、目的の樹脂を溶融状態で得てもよい。
本発明の荷電制御樹脂は、重合時に分散剤を添加しない為、重合後これらの除去を行う必要が無い。分散剤は水溶性或は半水溶性である場合が多く、荷電制御樹脂の不純物としてはトナーの環境依存性を悪化させる要因となる。このため、分散剤を用いた場合にはこれらを除去する工程が必須であり、製造工程自体の複雑化、長期化となる。更に、左記工程を導入しても、荷電制御樹脂をトナー中に良分散させる目的で微粒子化させた場合、全量を取りきることは困難であり、環境安定性の面で劣る物となる。
次に、本発明に用いられる磁性体のSEMフェレ径は0.08μm以上0.3μm以下であり、且つ、795.8kA/mにおける飽和磁化が80Am2/kg以上、残留磁化が10Am2/kg以上であるものが好ましい。SEMフェレ径が0.08μm以下になると、磁性体自身が赤みを帯びることによりトナーの色味も赤味を増してしまうと共に、樹脂中での微分散性が悪化することで、濃度安定性が悪化する傾向がある。また、0.3μm以上ではトナーの着色力が低下すると共に、磁性体が遊離しやすくなるため、遊離した磁性体が現像器内又はトナー担持体に残留し、画像濃度を低下させる傾向がある。また、飽和磁化が80Am2/kg未満の場合は、トナー担持体上の穂の形成が不十分となりやすく、トナー担持体上の穂の形成が不十分となりやすく、画像濃度にムラが出やすい。また、残留磁化が10Am2/kg未満の場合、トナーをトナー担持体方向へ引き戻す磁力が不十分となり、画像濃度にはムラが出やすくなカブリが悪化する傾向がある。
本発明で用いる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトなどの酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bf,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。従来より、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(Cd3Fe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られている。このような磁性材料を単独で或いは2種以上組合せて使用することができる。特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ三二酸化鉄の微粉末である。
また、本発明においては、磁性体の内部及び/または表面に、ケイ素、亜鉛、チタンなどの異種金属を含有させることが好ましい。これは磁気凝集性を低下させることが可能となり、磁性体の分散性の制御を容易にすることができるからである。
次に、本発明におけるトナーの誘電特性について述べる。本発明者らの検討によって、該磁性トナーの100kHzにおける温度に依存した誘電正接(tanδ)が、下記式(2)を満足するように磁性体の微分散性を制御すると、本発明の効果が顕著になることが示唆されており、好ましい。
(tanδH−tanδL)/tanδL≦0.20 式(2)
tanδH;トナーのガラス転移温度(℃)+10℃での誘電正接
tanδL;トナーのガラス転移温度(℃)−10℃での誘電正接
温度に依存した誘電正接の変化率を制御するには、磁性体の粒度分布、磁性体合成後に磁気凝集抑制処理を行う、磁性体に無機物や有機物を被覆し流動性を向上させる、などの磁性体からの改良が挙げられる。また、トナー製造時の及び磁性体種、結着樹脂種によって決定する。上記式の左辺が0.20を超える場合、磁性体の分散性低下によって帯電性が不均一になることで、濃度ムラは発生しやすく、耐静電オフセット性は低下する傾向が見られる。
次に、本発明で使用するポリエステルユニットを含有する樹脂を製造することができるモノマーとしては以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、また、(i)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(ii)式で示されるジオール類が挙げられる。
また、2価のカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物:フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂のその他のモノマーとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、さらには、例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、好ましくは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物である。
また、本発明においては、ポリエステル樹脂とスチレン/アクリル樹脂のようなビニル系樹脂、及びポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットとを有しているハイブリッド樹脂成分を含有しても良い。
また、本発明のトナーには、必要に応じて離型剤として1種もしくは2種以上のワックスを含有しても良い。
該ワックスとしては例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;それら脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス及びモンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類:ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
本発明のトナーには、その帯電量を更に安定化させる為に、必要に応じて荷電制御剤を併用することができる。負帯電性のものとしては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯体及びその金属塩、無水物、エステル類やビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正帯電性に制御するものとして下記の物質がある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物がある。これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明のトナー対して、好適に用いられる外添剤としてはシリカ微粒子が挙げられる。シリカ微粒子には、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。また、好ましいシリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものがあり、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は下記の一般式(3)で表されるものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl (3)
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらもシリカとして包含する。その粒径は、平均粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粒子に疎水化処理した処理シリカ微粒子を用いることが好ましい。
疎水化方法としては、シリカ微粒子と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
該シリカ微粒子は、シリコーンオイル処理されても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30〜1000mm2/s(センチストークス)のものが用いられ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が好ましい。
シリコーンオイル処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;べースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法;を用いることが可能である。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンの如きシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
また、外添剤は本発明のトナー100質量部に対して、0.1〜5質量部使用するのが好ましい。
このような外添剤として例えば、上述した以外の帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、離型剤、滑剤、研磨剤などの働きをする各樹脂微粒子や各無機微粒子などが挙げられる。より具体的には、例えば、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましく挙げられる。あるいは、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましく挙げられる。あるいは、酸化アルミニウムなどの流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましく挙げられる。あるいはケーキング防止剤や、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズなどの導電性付与剤、または、逆極性の微粒子を挙げることができる。
本発明の磁性トナーは、その製造方法について特に限定されないが、上述した結着樹脂、着色剤及び/または磁性体、離型剤、荷電制御剤またはその他の添加物を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融、混練して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化後粉砕機を用いて粉砕し、分級機により厳密な分級を行うことにより磁性トナー粒子(トナー母体)を得て、さらに、流動性向上剤及び/または外添剤と共にヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合することにより、また必要に応じ、篩い装置をもちいて粗粒などを除去することにより、トナー粒子表面に流動性向上剤及び/または外添剤を有する磁性トナーが得られる。
以下に、トナー製造用装置として使用できる装置の例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
混合機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製);等が挙げられる。
混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製);等が挙げられる。
粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);等が挙げられる。
分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
さらに、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置を用いることも好ましく、篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明の磁性トナーは、以下のような画像形成方法に用いられるものである。
コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器、導電性ローラ、ファーブラシ、磁気ブラシ等の帯電手段を用いて、電圧を印加して、感光体に接触又は非接触状態で帯電する。帯電された感光体をレーザ、LEDなどの露光手段により静電潜像を形成し、磁性トナーで現像する。
感光体は、アモルファスシリコン等の電子写真無機感光体、感光層として電荷発生材と電荷輸送材を含有する単層構造、電荷発生材を含有する電荷発生層上に電荷輸送材を含有する電荷輸送層を設けた又は電荷輸送層上に電荷発生層を設けた機能分離型積層構造の電子写真有機感光体などが使用できる。更に、感光層上に保護層を設けることも可能である。
現像手段としては、磁石を内包したスリーブをトナー担持体とし磁性ブレード又は弾性ブレードによりトナー層を規制する構成を含む磁性1成分現像手段をもちい、1成分磁性トナーとして使用することが好ましい。特に、該スリーブは樹脂組成物によって形成された樹脂被覆層を有し、導電性物質及び正帯電性の第4級アンモニウム塩化合物を含有するものが好ましい。
このように得られた、磁性トナー像は、コロナ帯電器又はローラ、ブレード、ブラシ等の導電性部材を電圧印加手段とし、感光体と接触又は非接触の状態で転写材に転写するか、ベルト、ドラムなどを中間転写部材としてトナーの転写像を形成した後に,転写材に転写する。
感光体又は中間転写部材に残留したトナーは、クリーニング手段より除去される。クリーニング手段の例としては、弾性ブレート、弾性ローラ、ファーブラシ、磁気ブラシを利用したクリーニング手段を挙げることができ、弾性ブレードを用いるのがこのましい構成である。
転写材に形成したトナー像は、熱又は圧力等により定着される。
本発明のトナーを、静電荷像を保持する潜像保持体と磁性トナーを表面に担持するトナー担持体とを現像部において一定の間隙を設けて配置し、磁性トナーをトナー担持体上に前記間隙よりも薄い厚さに規制して現像部に搬送し、現像部において直流バイアスと交流バイアスをトナー担持体と潜像保持体との間に印加することにより交流バイアス電界を形成し、現像側電圧成分と逆現像側電圧成分とを有する交流バイアス電界において現像側電圧成分を逆現像側電圧成分と同じかまたはより大きく設定している構成からなる現像方法に用いるのがより好ましい。
次に、実施例中で測定した各種物性データの測定方法を以下に示す。
(1)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布,体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、トナー粒径を測定するときは100μmアパーチャーを用い、無機微粉末粒径を測定するときは13μmアパーチャーを用いて測定する。トナー及び無機微粉末の体積,個数を測定して、体積分布と、個数分布とを算出した。それから体積分布から求めた重量基準の重量平均径を求める。
(2)真比重の測定
本発明においては正確かつ簡便な方法としてヘリウムによるガス置換式の測定法を採用した。
測定器はアキュピック1330(島津製作所社製)を用い測定を行った。測定法は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cm3のセルに、測定サンプルを4g入れる。次いで、試料セル中の磁性トナーの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの重さから磁性トナーの密度が求められる。
(3)磁気特性の測定
本発明に係わる磁性トナー及び磁性体の磁気特性は振動試料型磁力計VSM−P7(東英工業製)を用いて795.8kA/m)で測定した。
(4)磁性体のSEMフェレ径の測定
本発明に係わる磁性体のSEMフェレ径は走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、算出した。
(5)荷電制御樹脂の酸価の測定
荷電制御樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
(i)試薬
0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液、メタノール(試薬1級)、アセトン(試薬1級)、トルエン、ブロムチモールブルー(BTB指示薬)、フェノールフタレイン(PP指示薬)
(ii)装置・器具
電位差滴定装置(装置例;京都電子製AT−117等)
200mlビーカー、回転子、スターラー、化学天秤(0.1mg単位)
(iii)操作
1)メタノール1Lとアセトン1Lを混合し、BTBを1滴加え、フェノールフタレイン30mlを加えた後、0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液を微赤紫色になるまで加える。
2)200mlビーカーに試料約1gを精秤し(Sg)、トルエン50mlと上記混合溶液50mlを加え、回転子で撹拌して均一に溶解する。
3)0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液(力価=f)により、電位差滴定する。
4)滴定開始から第一の変曲点までの滴定量(Aml)と滴定開始から第二の変曲点までの滴定量(Bml)を求め、次式により算出する。
第一の酸価A=5.61×f×A/S
第二の酸価B=5.61×f×B/S
電位差滴定チャートの参考例(図1)を添付する。
(6)荷電制御樹脂及び磁性トナーのガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとした。
(7)荷電制御樹脂の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
(8)磁性トナーの誘電正接(tanδ)の測定
4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1kHz及び1MHzの周波数で校正後、誘電率の測定値から誘電正接(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
磁性トナーを0.7g秤量し、39200kPa(400kg/cm2)の荷重を2分間かけて、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度130℃まで加熱して溶融固定する。その後、温度25℃まで冷却し、0.49N〜0.98N(50〜100g)の荷重をかけた状態で100kHzの周波数一定として、毎分2℃の昇温速度で15秒毎に測定値を取り込みながら、200℃まで加熱することにより得られる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(荷電制御樹脂の製造例−1)
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286質量部を仕込み、スチレン810質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール401質量部及び水2575質量部の混合懸濁溶液と、メチルエチルケトン755質量部、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)35質量部の混合溶液とを78℃で2時間かけて同時に滴下して重合した。更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥することで荷電制御樹脂(CA−1)を得た。
CA−1の第一の酸価は8.0mgKOH/g、第二の酸価は12.0mgKOH/g
重量平均分子量(Mw)は28000、個数平均分子量(Mn)は11500、ガラス転移点(Tg)は80.5℃であった。
(荷電制御樹脂の製造例−2〜8)
荷電制御樹脂の製造例−1に対して、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の添加部数を表1のように変更する以外は同様にして、荷電制御樹脂CA−2〜CA−8を得た。得られた荷電制御樹脂の物性を表1に記す。
(荷電制御樹脂の製造例−9)
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にスチレン810質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール2000質量部、メチルエチルケトン1500質量部、メタノール500質量部を仕込み、撹拌しながら75℃まで加熱した。次に、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)10質量部を2−ブタノン100質量部で希釈した溶液を2時間かけて滴下して、5時間重合した。更に、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)10質量部を2−ブタノン100質量部で希釈した溶液を1時間かけて滴下して、3時間重合した。重合溶媒を減圧蒸留した後、反応装置から取り出し、重合体をハンマーミルにて粗粉砕することで、荷電制御樹脂(CA−9)を得た。
(荷電制御樹脂の製造例−10)
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にスチレン850質量部、2−エチルヘキシルアクリレート100質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸50質量部、メタノール500質量部、メチルエチルケトン1500質量部、アゾビスイソブチロニトリル10重量部を仕込み、これらを撹拌しながら、窒素導入下70℃で10時間溶液重合を行った。溶液重合終了後、溶液にNaOH(10重量%メタノール溶液)100質量部を加え、70℃で1時間撹拌した。アルカリ剤による処理後、溶液を減圧加熱炉に移してメタノール、メチルエチルケトンを脱溶剤して、荷電制御樹脂(CA−10を得た。
(荷電制御樹脂の製造例−11)
<樹脂Aの製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にメタノール645質量部、トルエン485質量部、メチルエチルケトン805質量部を仕込み、窒素気流下で還流した。次に、スチレン840質量部、2−エチルヘキシルアクリレート65質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸95質量部を混合し、モノマー混合液を調整した。このモノマー混合液に、さらに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル29質量部を撹拌しながら滴下し、10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下50℃で乾燥し、樹脂Aを得た。
<樹脂Aのメチルエステル化>
次に、得られた樹脂A10.0質量部を反応容器に中に加え、クロロホルム350質量部、メタノール87.5質量部を加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)7.6質量部を加えて、4時間撹拌した。その後、蒸留を行って溶剤を留去した。更に、トルエン350質量部、メタノール80質量部、メチルエチルケトン80質量部を加えて、ポリマーを再溶解させ、蒸留により溶媒を留去した。この再溶解/蒸留の操作を3回繰り返し、減圧下、50℃で乾燥し、荷電制御樹脂CA−11を得た。
得られた荷電制御樹脂の物性を表1に記す。
(ポリエステル樹脂の製造例)
無水トリメリット酸 4mol%
テレフタル酸 28mol%
イソフタル酸 15mol%
無水ドデセニルコハク酸 3mol%
前記式(i)で示されるビスフェノール誘導体 25mol%
(プロピレンオキサイド2.2mol付加物)
前記式(i)で示されるビスフェノール誘導体 25mol%
(エチレンオキサイド2.2mol付加物)
上記モノマーを4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕し、ポリエステル樹脂を得た。
(スチレン−アクリル樹脂の製造例)
スチレン 83質量%
ブチルアクリレート 17質量%
上記モノマーを130℃に保持したまま3時間熟成し、230℃に昇温して反応を行い、スチレン−アクリル樹脂を得た。
<実施例1>
・ポリエステル樹脂 100質量部
・磁性体粒子1 50質量部
・C105(サゾール社製ワックス) 5質量部
・荷電制御樹脂CA−1 0.5質量部
上記の処方の材料(用いた磁性体粒子については表2に記載する。)を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度150℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルを用いて1mm以下に粗粉砕した。この粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)を用い、微粉砕した。なお、粉砕時のトナー排出温度は約48℃に調整した。
粉砕して得た微粉砕品を、気流式分級機で分級し、磁性トナー分級品を得た。この磁性トナー分級品100質量部に対して、シリカ微粒子100質量部当りヘキサメチルジシラザン20質量部で疎水化処理したBET比表面積280m2/gの疎水性シリカ微粒子1質量部、チタン酸ストロンチウム微粉体3.0質量部をヘンシェルミキサーにて外部添加して磁性トナー1を得た。得られた磁性トナーの粒径、飽和磁化、真比重、誘電率、ガラス転移温度については表3に記載する。
評価1.画像濃度評価
画像濃度は、空気中の水分量が多い場合に帯電量不足による低下が起こりやすい。特にベタ画像のごとき現像剤の入れ替わりが激しい画像を出力する場合には、帯電立ち上げ時間が短いため、均一且つ充分な帯電量が得難く、画像上に濃度ムラが生じやすい。そこで本発明では、厳しい条件下での性能を評価するため、高温高湿環境下でベタ黒画像を連続で画出しする評価法を採用した。
磁性トナー1を300g秤量し、市販の電子写真複写機IR6000(キヤノン株式会社製)とIR6000用現像器と共に高温高湿環境(32.5℃,82.5%、以下H/H)に12時間調温・調湿した。その後、磁性トナー1を現像器へ投入し、IR6000へ設置し、現像スリーブを3分間空回転させた後、ベタ黒画像をA4で1000枚画出しした。得られたベタ黒画像を100枚毎にサンプリングし、反射濃度計RD918(マクベス社製)で一枚につき6点の濃度を測定した。なお、濃度の測定位置はA4用紙を長辺を3分割、短辺を2分割して出来る6つの長方形それぞれの中心部分とした。得られた60点のデータ中での濃度最高値と最低値を記録した。
評価2.耐静電オフセット試験
静電オフセットは、トナーの載った紙が定着器を通過する際、トナーが定着ローラー側に静電気的に付着することにより発生する現象である。従って、低湿環境の如き過剰帯電を促す環境下で、且つ連続通紙後のような定着ローラーが帯電する状況下での評価が、静電オフセットに対して最も厳しいものとなる。また、通紙する用紙も表面がコートされたものであると、再生紙の如き通常紙に比べてトナー、定着ローラー共に帯電しやすくなるため静電オフセットは生じやすくなる。これらのことを考慮して本発明の磁性トナーを評価した。
1)再生紙評価
磁性トナー1を300g秤量し、電子写真複写機IR6000とIR6000用現像器と共に高温低湿環境(32.5℃,5%、以下H/L)に12時間調温・調湿した。その後、磁性トナー1を現像器へ投入し、IR6000へ設置し、現像スリーブを3分間空回転させた後、ベタ白画像をA4用紙(キヤノン株式会社製再生紙EW100)で1000枚通紙した。その後、画像の前半半分がベタ黒、後半半分が白地の静電オフセット試験用チャートを用いて連続100枚の画出しを行い、目視にて耐静電オフセット性の評価を行った。
2)コート紙評価
再生紙評価後の現像器を用いて、用紙をコート紙(イメージコートグロス100、キヤノン株式会社製)に換えて再びベタ白画像を1000枚通紙した。その後、再生紙評価と同様の静電オフセット試験用チャートを用いて連続100枚の画出しを行い、目視にて耐静電オフセット性の評価を行った。
なお、1)、2)における耐静電オフセット性の評価基準は以下のように定めた。
◎ 全くみられない。
○ 白地部にごく一部にかすかに見られる。
△ 白地部の所々にかすかに現れる。
△× 白地部の広範囲に現れる。
× 白地部に著しく現れる。
<実施例2〜3>
使用する磁性体を磁性粒子2,3とした以外は、実施例1と同様にして評価用磁性トナー2、3を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<実施例4〜13>
使用する荷電制御樹脂をCA−2〜11とした以外は、実施例1と同様にして評価用磁性トナー4〜13を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<実施例14>
使用する磁性体を磁性粒子4とし、添加量を40部とした以外は、実施例1と同様にして評価用磁性トナー14を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<実施例15>
使用する磁性体を磁性粒子5とし、添加量を70部とした以外は、実施例1と同様にして評価用磁性トナー15を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<比較例1>
磁性体の添加量を10部とした以外は、実施例1と同様にして磁性トナー16を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<比較例2>
磁性体の添加量を90部とし、結着樹脂としてスチレン・アクリル樹脂を使用し、荷電制御樹脂を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして磁性トナー17を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<比較例3>
結着樹脂としてスチレン・アクリル樹脂を使用し、荷電制御樹脂を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして比較評価用磁性トナー18を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。
<比較例4>
粉砕時のトナー排出温度を約58℃に調整した以外は、比較例3と同様にして比較評価用磁性トナー19を作製し、実施例1と同様に評価し、表4の結果を得た。