JP2006070763A - 水力発電水車設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】 漏洩水が発電機収容室内へ侵入するのを防止することができる水力発電水車設備を提供する。
【解決手段】 水没状態で使用される水力発電水車1内に、流入口15から吐出口16へ至る流路が形成され、主軸の先端部が内ケーシングの内部から内ケーシングを貫通して羽根車に連結され、貫通部分の主軸と内ケーシングとの間がメカニカルシールでシールされ、内ケーシングの内部に、発電機収容室と、流路からメカニカルシールを経て内ケーシングの内部に漏洩した漏洩水を溜めるドレン室とが形成され、内ケーシングに、水面2上の大気をドレン室内に導入する導入管路61と、ドレン室内の漏洩水Waを水面2上へ排出する排出管路62とが接続され、排出管路62内を減圧してドレン室内の漏洩水を排出管路62から吸引する真空ポンプ64が排出管路62の上部に設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水面下に没した状態で使用可能な水力発電水車設備に関する。
従来、地上に設置されるインライン型の水力発電水車としては、図7,図8に示すように、高低落差のある配管102,103の途中に据付けられるものがある。この水力発電水車101の外ケーシング104には、上流側の配管102に接続される流入口105と、下流側の配管103に接続される吐出口106とが形成されている。外ケーシング104の内部には、流入口105から吐出口106へ流れる水Wによって回転する羽根車107と、発電機108と、上記羽根車107と発電機108のロータ109とを連動連結する回転自在な主軸110と、上記発電機108を収容する内ケーシング111とが設けられている。
上記外ケーシング104と内ケーシング111との間には、流入口105から吐出口106へ至る流路112が形成されている。また、主軸110の先端部は、内ケーシング111の内部から内ケーシング111を貫通し、内ケーシング111の外部の上記羽根車107に連結されている。さらに、上記貫通部分における主軸110と内ケーシング111との間のシールを行うメカニカルシール113が設けられている。上記内ケーシング111の内部には、発電機108を収容する発電機収容室114と、上記流路112からメカニカルシール113を通って内ケーシング111の内部に漏洩した漏洩水Waを溜めるドレン室115とが形成されている。上記ドレン室115はメカニカルシール113と発電機収容室114との間に配置されている。また、内ケーシング111には、ドレン室115に溜まった漏洩水Waを外ケーシング104の下方外部へ排出するドレン排出口116が形成されている。
これによると、上流側の配管102から水力発電水車101の流入口105へ流入した水Wは、外ケーシング104の内部の流路112を通り、吐出口106から吐出される。この際、上記流路112を流れる水Wによって羽根車107が回転し、主軸110と共に発電機108のロータ109が回転して、発電が行われる。
また、上記流路112からメカニカルシール113を通って内ケーシング111の内部に漏洩した漏洩水Waは、ドレン室115内に溜められ、ドレン排出口116から外ケーシング104の下方外部へ排出される。これにより、漏洩水Waが発電機収容室114へ侵入することを防止することができる(下記特許文献1参照)。
上記図8に示した水力発電水車101を水面下に没した状態で使用する場合、ドレン排出口116を閉塞して、水Wがドレン排出口116からドレン室115内へ逆流するのを防止している。しかしながら、上記のようにドレン排出口116を閉塞してしまうと、流路112からメカニカルシール113を通って内ケーシング111の内部に漏洩した漏洩水Waがドレン室115内に溜る一方で、ドレン室115内の漏洩水Waがドレン排出口116から排出されないため、ドレン室115内の漏洩水Waの量が増加し、漏洩水Waがドレン室115内から発電機収容室114内へ侵入するといった問題が発生し、発電機収容室114内へ侵入した漏洩水Waによって発電機108がショートする恐れがあった。
また、水面下に没した状態で使用され且つ漏洩水Waを排出することが可能な水力発電水車121として、図9に示すものがある。すなわち、水中に設置された空気室122の内部に発電機123が設けられ、空気室122の外部に水車124が設置され、発電機123の入力軸125と水車124の出力軸126とが動力伝達軸127と軸継手128とを介して連結されている。尚、上記動力伝達軸127と空気室122の壁体とはシール装置129によってシールされている。また、空気室122の内部には、圧縮空気を供給するコンプレッサ130が設けられ、さらに、空気室122の壁体の外面には、空気室122内から外部水中にのみ通気可能な逆止弁131が設けられている(下記特許文献2参照)。
これによると、水車124の回転が動力伝達軸127と軸継手128とを介して発電機123に伝達され、発電が行われる。また、コンプレッサ130によって空気室122の内部に圧縮空気を供給し、空気室122の内部の気圧を常に周囲の水圧よりも高く保つことにより、空気室122の外部の水Wがシール装置129を通って空気室122の内部に漏洩することを抑制している。一方、シール装置129の劣化等によって、空気室122の内部に漏洩水Waが漏洩した場合、漏洩水Waは逆止弁131から空気室122の外部の水中へ排出される。
上記の従来形式では、コンプレッサ130を空気室122の内部に設けているため、空気室122が大型化し、これにより、空気室122の内部の気圧を周囲の水圧よりも高くするのに時間がかかり、コンプレッサ130に多大な負担がかかった。特に、空気室122の設置される水深が深くなるほど、空気室122の内部の気圧を高める必要があるため、コンプレッサ130にかかる負担が増大した。
また、漏洩水Waは逆止弁131から空気室122の外部の水中へ排出されるため、万一、水中の異物が逆止弁131に噛み込んで弁体が閉止不能に陥った場合、空気室122の外部の水が逆止弁131から空気室122の内部に逆流する恐れがあった。
さらに、上記逆止弁131は、空気室122内の気圧が外部の水圧より高い場合に、漏洩水Waを外部の水中へ排水するが、空気室122内の気圧が外部の水圧に近くなると差圧が小さくなって気密を保ち難くなる。これにより、コンプレッサ130を連続運転する必要があり、不経済であった。
特開2002−138940 特開2003−155970
本発明は、漏洩水を水力発電水車の外部へ排出して、漏洩水が発電機収容室内へ侵入するのを防止することができ、また、コンプレッサ等の加圧気体供給装置の負担が軽減され、さらに、外部の水が排出管路からドレン室の内部に逆流するのを防止することが可能な水力発電水車設備を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明における水力発電水車設備は、水面下に没した状態で使用される水力発電水車の外ケーシングに、流入口と吐出口とが形成され、
外ケーシングの内部に、流入口から吐出口へ流れる水によって回転する羽根車と、発電機と、上記羽根車と発電機のロータとを連動連結する回転自在な主軸と、上記発電機を収容する内ケーシングとが設けられ、
上記外ケーシングと内ケーシングとの間に、流入口から吐出口へ至る流路が形成され、
上記主軸の先端部は、内ケーシングの内部から内ケーシングを貫通し、内ケーシングの外部の上記羽根車に連結され、
上記貫通部分における主軸と内ケーシングとの間のシールを行うシール装置が設けられ、
上記内ケーシングの内部に、発電機を収容する発電機収容室と、上記流路からシール装置を通って内ケーシングの内部に漏洩した漏洩水を溜めるドレン室とが形成され、
上記ドレン室はシール装置と発電機収容室との間に配置され、
上記内ケーシングに、大気圧以上の圧力の気体を外部からドレン室内に導入する導入管路と、ドレン室内の漏洩水を水面上へ排出する排出管路とが接続され、
上記排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させる差圧発生手段が設けられているものである。
これによると、水は、水力発電水車の流入口から外ケーシングの内部の流路を通り、吐出口から吐出される。この際、上記流路を流れる水によって羽根車が回転し、主軸と共に発電機のロータが回転して発電が行われる。
また、上記流路からシール装置を通って内ケーシングの内部に漏洩した漏洩水はドレン室内に溜められるため、上記漏洩水が直接発電機収容室内へ侵入することを防止することができる。そして、差圧発生手段によって、排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させる。これにより、ドレン室内に溜まった漏洩水が排出管路から水力発電水車の外部の水面上へ強制的に排出され、ドレン室内の漏洩水が発電機収容室内へ侵入するのを防止することができる。したがって、水力発電水車を水没させた状態で、長期間連続して発電することができる。
さらに、ドレン室内に溜まった漏洩水が排出管路を通って水面上へ排出されることにより、水力発電水車の外部の水が排出管路からドレン室内に逆流するのを防止することができる。
また、本第2発明における水力発電水車設備は、差圧発生手段は、排出管路に設けられ且つ排出管路の圧力を減圧してドレン室内の漏洩水を排出管路から吸引する減圧装置と、導入管路に設けられ且つ大気圧よりも高圧に加圧した加圧気体を導入管路からドレン室内へ供給する加圧気体供給装置のいずれか又は両方であるものである。
これによると、差圧発生手段として減圧装置を用いた場合、排出管路の圧力を減圧して、排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させる。これにより、ドレン室内に溜まった漏洩水が排出管路から吸引されて水力発電水車の外部の水面上へ強制的に排出され、ドレン室内の漏洩水が発電機収容室内へ侵入することを防止することができる。
また、差圧発生手段として加圧気体供給装置を用いた場合、加圧気体を導入管路からドレン室内へ導入して、排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させる。これにより、ドレン室内に溜まった漏洩水がドレン室内から排出管路へ押出されて水力発電水車の外部の水面上へ強制的に排出され、ドレン室内の漏洩水が発電機収容室内へ侵入することを防止することができる。
この際、加圧気体供給装置を、ドレン室内ではなく、水力発電水車の外部の導入管路に設けているため、ドレン室が小型化される。これにより、迅速にドレン室内の圧力を周囲の水圧よりも高くすることができ、加圧気体供給装置の負担を軽減することができる。
また、本第3発明における水力発電水車設備は、ドレン室内に、漏洩水の量を検出する検出器が設けられているものである。
これによると、検出器によって、ドレン室内の漏洩水が所定量に達したことが検出されると、差圧発生手段によって、排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させ、ドレン室内に溜まった漏洩水を排出管路から水力発電水車の外部の水面上へ排出する。
以上のように、本発明によると、ドレン室内に溜まった漏洩水を排出管路から水力発電水車の外部の水面上へ強制的に排出して、漏洩水が発電機収容室内へ侵入するのを防止することができ、これにより、水力発電水車を水没させた状態で、長期間連続して発電することができる。また、水力発電水車の外部の水が排出管路からドレン室内に逆流するのを防止することができる。
さらに、差圧発生手段として加圧気体供給装置を用いた場合、加圧気体供給装置はドレン室内ではなく水力発電水車の外部の導入管路に設けられているため、ドレン室が小型化され、これにより、迅速にドレン室内の圧力を周囲の水圧よりも高くすることができ、加圧気体供給装置の負担を軽減することができる。
以下、本発明における第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
1は水面2下に没した状態で使用される水力発電水車であり、例えば、ダム3の維持放流路4の入口側に装着されている。また、維持放流路4の出口側には放流弁5が設けられている。
上記水力発電水車1は以下のように構成されている。
外ケーシング11は、円筒状の外側胴ケーシング部12と、外側胴ケーシング部12の一端に設けられた外側流入ケーシング部13と、外側胴ケーシング部12の他端に設けられた外側吐出ケーシング部14とで構成されている。上記外側流入ケーシング部13には流入口15が形成され、外側吐出ケーシング部14には吐出口16が形成されている。上記外側吐出ケーシング部14が維持放流路4の入口側に接続されている。
上記外ケーシング11の内部には、流入口15から吐出口16へ流れる水Wによって回転する羽根車19と、発電機20と、上記羽根車19と発電機20のロータ21とを連動連結する回転自在な主軸22と、上記発電機20を収容する円筒状の内ケーシング23とが設けられている。尚、上記主軸22と内ケーシング23と外ケーシング11とは同一軸心24上に配置されている。また、上記外ケーシング11の内周と内ケーシング23の外周との間には、流入口15から吐出口16へ至る断面環状の流路25が形成されている。
上記内ケーシング23は、円筒状の内側胴ケーシング部27と、内側胴ケーシング部27の一端に設けられた内側流入ケーシング部28と、内側胴ケーシング部27の他端に設けられた内側吐出ケーシング部29とで構成されている。尚、上記内側胴ケーシング部27の内周面にはステーター30が設けられている。
上記主軸22は内ケーシング23の内部に設けられた流入口側の軸受34と吐出口側の軸受35とによって回転自在に保持されており、これら軸受34,35はそれぞれ軸受ボックス36,37に収納されている。
上記外側胴ケーシング部12と外側流入ケーシング部13との間および内側胴ケーシング部27と内側流入ケーシング部28との間には、一方のスペーサー31が挟まれて内ケーシング23の内部へ突入している。また、上記外側胴ケーシング部12と外側吐出ケーシング部14との間および内側胴ケーシング部27と内側吐出ケーシング部29との間には、他方のスペーサー32が挟まれて内ケーシング23の内部へ突入している。
上記一方のスペーサー31は、両ケーシング部12,13間に挟まれる円環状の外周部31aと、両ケーシング部27,28間に挟まれる円板状の内側隔壁部31bと、外周部31aと内側隔壁部31bとの間に径方向に形成された連結部31cとで構成されている。上記一方の軸受ボックス36は内側隔壁部31bの内周縁に形成されている。尚、上記連結部31cは、流路25内を径方向に横断しており、周方向の上下2箇所に形成されている。また、一方のスペーサー31には、外周面から連結部31cを通って一方の軸受ボックス36内に達する給脂用孔31dが形成されている。この給脂用孔31dはプラグ52で閉止されている。
同様に、上記他方のスペーサー32は、両ケーシング部12,14間に挟まれる円環状の外周部32aと、両ケーシング部27,29間に挟まれる円板状の内側隔壁部32bと、外周部32aと内側隔壁部32bとの間に径方向に形成された連結部32cとで構成されている。上記他方の軸受ボックス37は内側隔壁部32bの内周縁に形成されている。尚、上記連結部32cは、流路25内を径方向に横断しており、周方向の上下2箇所に形成されている。また、他方のスペーサー32には、外周面から連結部32cを通って他方の軸受ボックス37内に達する給脂用孔32dが形成されている。この給脂用孔32dはプラグ53で閉止されている。
上記主軸22の吐出口側の先端部は、内ケーシング23の内部から内ケーシング23の端部隔壁39を貫通し、内ケーシング23の外部の羽根車19に連結されている。上記貫通部分における主軸22と内ケーシング23の端部隔壁39との間のシールを行うメカニカルシール40(シール装置の一例)が設けられている。
上記内ケーシング23の内部には、発電機20(ロータ21,ステーター30)を収容する発電機収容室42と、上記流路25からメカニカルシール40を通って内ケーシング23の内部に漏洩した漏洩水Waを溜めるドレン室43とが形成されている。上記発電機収容室42は上記両スペーサー31,32の内側隔壁部31b,32b間に形成されている。また、上記ドレン室43は、メカニカルシール40と発電機収容室42との間に配置されており、内側隔壁部32bと端部隔壁39との間に形成されている。
外ケーシング11の外側吐出ケーシング部14の上下2箇所にはそれぞれ上部ボス45と下部ボス46が形成されている。また、流路25には、外端が上部のボス45に連設されるとともに内端が内側吐出ケーシング部29の上部に連設された上部の筒部材47と、外端が下部のボス46に連設されるとともに内端が内側吐出ケーシング部29の下部に連設された下部の筒部材48とが設けられている。
尚、上部筒部材47は流路25を径方向へ横断して上部ボス45と内側吐出ケーシング部29との間に連設されている。同様に、下部筒部材48は流路25を径方向へ横断して下部ボス46と内側吐出ケーシング部29との間に連設されている。
上部のボス45の上端面から筒部材47内を貫通してドレン室43の上部に至る上部の連通孔49と、下部のボス46の下端面から筒部材48内を貫通してドレン室43の下部に至る下部の連通孔50とが形成されている。
上記ドレン室43内には、漏洩水Waの量を検出する液面検出器55が設けられている。また、主軸22には、ドレン室43内において、主軸22の外周面と軸受ボックス37の内周面との隙間をドレン室43側から覆う円環状の水切板56が設けられている。また、外ケーシング11の外側流入ケーシング部13には、発電機20に接続されたケーブル57と液面検出器55に接続された検出用ケーブル58とが取付けられている。
上記内ケーシング23の内側吐出ケーシング部29には、上部ボス45と上部筒部材47とを介して導入管路61の下端が接続されているとともに、下部ボス46と下部筒部材48とを介して排出管路62の下端が接続されている。尚、上記導入管路61の下端と排出管路62の下端とはそれぞれ連通孔49,50を介してドレン室43内に連通している。
上記導入管路61の上部は水面2の上方へ突出して大気開放されており、導入管路61を開閉する一方の電磁弁63(開閉装置の一例)が水面2の上方に設けられている。また、上記排出管路62の上部は水面2の上方へ突出しており、排出管路62の上部には、排出管路62内の圧力を減圧する小型の真空ポンプ64(減圧装置の一例)と、排出管路62を開閉する他方の電磁弁65(開閉装置の一例)とが設けられている。上記真空ポンプ64と他方の電磁弁65とは水面2の上方に位置している。尚、上記真空ポンプ64は、排出管路62内の圧力が導入管路61内の圧力よりも低圧になるように排出管路62内と導入管路61内との間に差圧を発生させる差圧発生手段の一例に相当する。
また、水力発電水車設備には、上記液面検出器55からの検出信号に基づいて両電磁弁63,65と真空ポンプ64とを制御する制御部66が備えられている。尚、上記両電磁弁63,65と真空ポンプ64と制御部66とは、ダム3或いはダム3に設けられた架台(図示せず)等に設置されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
放流弁5を開くことによって、ダム3内の水Wが、水力発電水車1の流入口15から流路25を通り吐出口16から維持放流路4に吐出され、維持放流路4からダム3の外に放流される。この際、上記流路25を流れる水Wによって羽根車19が回転し、主軸22と共にロータ21が回転して発電が行われ、発生した電力がケーブル57から送電される。
また、図3に示すように、上記流路25からメカニカルシール40を通って内ケーシング23の内部に漏洩した漏洩水Waはドレン室43内に溜められるため、上記漏洩水Waが直接発電機収容室42内へ侵入することを防止することができる。そして、ドレン室43内に溜まった漏洩水Waが所定量になると、液面検出器55によって漏洩水Waの水面が所定位置に達したことが検出され、制御部66は液面検出器55からの検出信号に基づいて両電磁弁63,65を開放すると共に真空ポンプ64を作動させる。
これにより、排出管路62内の圧力が減圧され、排出管路62内の圧力が導入管路61内の圧力よりも低圧になって排出管路62と導入管路61との間に差圧が発生する。これにより、ドレン室43内に溜まった漏洩水Waが排出管路62から吸引され他方の電磁弁65と真空ポンプ64とを通って水力発電水車1の外部の水面2上へ強制的に排出されると共に、水面2上の大気圧の空気が導入管路61からドレン室43内に導入される。したがって、ドレン室43内の漏洩水Waが発電機収容室42内へ侵入することを防止することができ、水力発電水車1を水没させた状態で、長期間連続して発電することができる。
尚、制御部66は、真空ポンプ64を一定時間作動させ、ドレン室43内から漏洩水Waを排出した後、真空ポンプ64を停止するとともに両電磁弁63,65を閉止する。
また、漏洩水Waは排出管路62から水面2の上方へ排出されるため、万一、漏洩水Wa中の異物が他方の電磁弁65に噛み込んで弁体が閉止不能に陥った場合でも、ダム3内の水Wが排出管路62からドレン室43内に逆流するのを防止することができる。
さらに、水切板56が主軸22の外周面と軸受ボックス37の内周面との隙間をドレン室43の側から覆っているため、漏洩水Waの飛沫等がドレン室43から発電機収容室42へ侵入しようとしても、上記水切板56が邪魔をして漏洩水Waの発電機収容室42への侵入が抑制される。
また、図2に示すように、各給脂用孔31d,32dはそれぞれプラグ52,53によって閉止されているため、ダム3内の水Wが給脂用孔31d,32dに侵入するのを防止することができる。水力発電水車1を水面2上へ引き上げて点検する際、上記各プラグ52,53を取り外し、各給脂用孔31d,32dから軸受ボックス36,37内の軸受34,35へグリース等の潤滑剤を給脂する。
上記第1の実施の形態では、ドレン室43内に液面検出器55を設けているが、液面検出器55を設けなくてもよい。この場合、制御部66が定期的に両電磁弁63,65を開放すると共に真空ポンプ64を作動させることによって、ドレン室43内の漏洩水Waを排出する。
上記第1の実施の形態では、差圧発生手段として真空ポンプ64(減圧装置の一例)を設けたが、次に説明する第2の実施の形態では、図4に示すように、差圧発生手段としてコンプレッサ71(加圧気体供給装置の一例)を用いている。
すなわち、上記コンプレッサ71は、水力発電水車1の周囲の水圧よりも高圧に加圧した加圧空気を導入管路61からドレン室43内へ供給するものであり、導入管路61の上部に設けられ、一方の電磁弁63と共に水面2の上方に位置している。また、制御部66は、液面検出器55からの検出信号に基づいて、両電磁弁63,65とコンプレッサ71とを制御する。尚、上記両電磁弁63,65とコンプレッサ71と制御部66とは、ダム3或いはダム3に設けられた架台(図示せず)等に設置されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
ドレン室43内に溜まった漏洩水Waが所定量になると、液面検出器55によって漏洩水Waの水面が所定位置に達したことが検出され、制御部66は液面検出器55からの検出信号に基づいて両電磁弁63,65を開放すると共にコンプレッサ71を作動させる。
これにより、大気圧よりも高圧に加圧された加圧空気が導入管路61からドレン室43内へ導入され、排出管路62内の圧力が導入管路61内の圧力よりも低圧になって排出管路62と導入管路61との間に差圧が発生する。これにより、ドレン室43内の漏洩水Waは、ドレン室43内から排出管路62へ押出され、排出管路62と他方の電磁弁65とを通って水力発電水車1の外部の水面2上へ強制的に排出される。したがって、ドレン室43内の漏洩水Waが発電機収容室42内へ侵入するのを防止することができる。
尚、制御部66は、コンプレッサ71を一定時間作動させ、ドレン室43内から漏洩水Waを排出した後、コンプレッサ71を停止するとともに両電磁弁63,65を閉止する。この際、ドレン室43内に加圧空気を封入しておくことによって、メカニカルシール40のドレン室43側と羽根車19側との差圧が縮小されるため、メカニカルシール40のシール面の寿命が延長される。
また、上記コンプレッサ71を、ドレン室43内ではなく、水力発電水車1の外部の導入管路61の上部に設けているため、ドレン室43が小型化される。これにより、迅速にドレン室43内の圧力を周囲の水圧よりも高くすることができ、コンプレッサ71の負担を軽減することができる。
さらに、ドレン室43内から漏洩水Waを排出した後、一方の電磁弁63を開放した状態で他方の電磁弁65のみを閉止し、コンプレッサ71で加圧空気をドレン室43内へ供給してドレン室43内の圧力を水力発電水車1の周囲の水圧よりも高くし、この状態で一方の電磁弁63を閉止してもよい。これによると、ドレン室43内の圧力が水力発電水車1の周囲の水圧よりも高圧に保たれるため、流路25からメカニカルシール40を通ってドレン室43内へ漏洩する漏洩水Waの量を減少させることができる。
上記第2の実施の形態では、ドレン室43内に液面検出器55を設けているが、液面検出器55を設けなくてもよい。この場合、制御部66が定期的に両電磁弁63,65を開放すると共にコンプレッサ71を作動させることによって、ドレン室43内の漏洩水Waを排出する。
上記第2の実施の形態では、加圧気体供給装置の一例としてコンプレッサ71を用いたが、コンプレッサ71に限定されるものではなく、例えば、次に説明する第3の実施の形態では、図5に示すように、加圧気体供給装置の一例として、水力発電水車1の周囲の水圧よりも高圧に圧縮された圧縮空気を充填した高圧ボンベ74と、高圧ボンベ74からドレン室43内へ供給される圧縮空気の圧力を調節するレギュレータ75(圧力調節器)とを用いている。
すなわち、高圧ボンベ74は導入管路61の上端部に設けられ、高圧ボンベ74と一方の電磁弁63との間に上記レギュレータ75が接続されている。これら高圧ボンベ74とレギュレータ75とは一方の電磁弁63と共に水面2の上方に位置している。また、制御部66は、液面検出器55からの検出信号に基づいて、両電磁弁63,65を制御する。尚、上記両電磁弁63,65と高圧ボンベ74とレギュレータ75とは、ダム3或いはダム3に設けられた架台(図示せず)等に設置されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
ドレン室43内に溜まった漏洩水Waが所定量になると、液面検出器55によって漏洩水Waの水面が所定位置に達したことが検出され、制御部66は液面検出器55からの検出信号に基づいて両電磁弁63,65を開放する。
これにより、高圧ボンベ74内の圧縮空気は、導入管路61を通り、レギュレータ75で圧力調節された後、一方の電磁弁63を通ってドレン室43内へ導入される。これにより、排出管路62内の圧力が導入管路61内の圧力よりも低圧になって排出管路62と導入管路61との間に差圧が発生じ、ドレン室43内の漏洩水Waは、ドレン室43内から排出管路62へ押出され、排出管路62と他方の電磁弁65とを通って水力発電水車1の外部の水面2上へ強制的に排出される。したがって、ドレン室43内の漏洩水Waが発電機収容室42内へ侵入するのを防止することができる。
尚、制御部66は、両電磁弁63,65を一定時間開放し、ドレン室43内から漏洩水Waを排出した後、両電磁弁63,65を閉止する。この際、ドレン室43内に圧縮空気を封入しておくことによって、メカニカルシール40のドレン室43側と羽根車19側との差圧が縮小されるため、メカニカルシール40のシール面の寿命が延長される。
また、上記高圧ボンベ74とレギュレータ75とを、ドレン室43内ではなく、水力発電水車1の外部の導入管路61の上部に設けているため、ドレン室43が小型化される。これにより、ドレン室43内の圧力を周囲の水圧よりも高くするのに要する圧縮空気の量が低減され、したがって、高圧ボンベ74の容積を小型化することができる。
上記第3の実施の形態では、高圧ボンベ74に、圧縮空気を充填しているが、圧縮窒素ガス等を充填してもよい。
上記第3の実施の形態では、ドレン室43内に液面検出器55を設けているが、液面検出器55を設けなくてもよい。この場合、制御部66が定期的に両電磁弁63,65を開放することによって、ドレン室43内の漏洩水Waを排出する。
次に、第4の実施の形態として、図6に示すように、排出管路62の上部に真空ポンプ64(減圧装置の一例)を設け、導入管路61の上部にコンプレッサ71(加圧気体供給装置の一例)を設けてもよい。この際、制御部66は、液面検出器55からの検出信号に基づいて、両電磁弁63,65と真空ポンプ64とコンプレッサ71とを制御する。
これによると、ドレン室43内に溜まった漏洩水Waが所定量になると、液面検出器55によって漏洩水Waの水面が検出され、制御部66は液面検出器55からの検出信号に基づいて両電磁弁63,65を開放すると共に真空ポンプ64とコンプレッサ71とを作動させる。
これにより、加圧空気が導入管路61からドレン室43内へ導入されると共に、排出管路62内の圧力が減圧され、排出管路62内の圧力が導入管路61内の圧力よりも低圧になって排出管路62と導入管路61との間に差圧が発生する。これにより、ドレン室43内の漏洩水Waは、ドレン室43内から排出管路62を通って、水力発電水車1の外部の水面2上へ強制的に排出される。
最初に述べた第1の実施の形態では、図1に示すように導入管路61の上端は大気開放され、真空ポンプ64のみを設けているため、真空ポンプ64による吸引作用だけでは、水面2から水力発電水車1までの水深が10m以上深くなった場合、ドレン室43内の漏洩水Waを水面2上まで吸い上げることができない。これに対して、上記第4の実施の形態では、図6に示すように、真空ポンプ64に加えて、コンプレッサ71を併用しているため、コンプレッサ71による押出作用が真空ポンプ64による吸引作用に加味される。これにより、水面2から水力発電水車1までの水深が10m以上深くなった場合であっても、ドレン室43内の漏洩水Waを水面2上へ排出することができる。
尚、上記第4の実施の形態では、真空ポンプ64とコンプレッサ71とを設けたが、コンプレッサ71の代わりに、第3の実施の形態で示した高圧ボンベ74とレギュレータ75とを設けてもよい。
上記各実施の形態では、水力発電水車1をダム3の維持放流路4に設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、水路や河川等の堰体又はゲートに設けてもよい。また、水力発電水車1への異物の侵入を防止するために、水力発電水車1の上流側にスクリーンを設けたり、或いは、水力発電水車1の流入口15にストレーナを設けることが望ましい。
本発明の第1の実施の形態における水力発電水車設備の図である。 同、水力発電水車設備の水力発電水車の断面図である。 同、水力発電水車設備の水力発電水車の一部拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態における水力発電水車設備の図である。 本発明の第3の実施の形態における水力発電水車設備の図である。 本発明の第4の実施の形態における水力発電水車設備の図である。 従来の地上に設置される水力発電水車の外観図である。 同、水力発電水車の断面図である。 従来の水中に設置される水力発電水車の図である。
符号の説明
1 水力発電水車
2 水面
11 外ケーシング
15 流入口
16 吐出口
19 羽根車
20 発電機
21 ロータ
22 主軸
23 内ケーシング
25 流路
40 メカニカルシール(シール装置)
42 発電機収容室
43 ドレン室
55 液面検出器
61 導入管路
62 排出管路
64 真空ポンプ(減圧装置)
71 コンプレッサ(加圧気体供給装置)
74 高圧ボンベ(加圧気体供給装置)
75 レギュレータ(加圧気体供給装置)
W 水
Wa 漏洩水

Claims (3)

  1. 水面下に没した状態で使用される水力発電水車の外ケーシングに、流入口と吐出口とが形成され、
    外ケーシングの内部に、流入口から吐出口へ流れる水によって回転する羽根車と、発電機と、上記羽根車と発電機のロータとを連動連結する回転自在な主軸と、上記発電機を収容する内ケーシングとが設けられ、
    上記外ケーシングと内ケーシングとの間に、流入口から吐出口へ至る流路が形成され、
    上記主軸の先端部は、内ケーシングの内部から内ケーシングを貫通し、内ケーシングの外部の上記羽根車に連結され、
    上記貫通部分における主軸と内ケーシングとの間のシールを行うシール装置が設けられ、
    上記内ケーシングの内部に、発電機を収容する発電機収容室と、上記流路からシール装置を通って内ケーシングの内部に漏洩した漏洩水を溜めるドレン室とが形成され、
    上記ドレン室はシール装置と発電機収容室との間に配置され、
    上記内ケーシングに、大気圧以上の圧力の気体を外部からドレン室内に導入する導入管路と、ドレン室内の漏洩水を水面上へ排出する排出管路とが接続され、
    上記排出管路の圧力が導入管路の圧力よりも低圧になるように排出管路と導入管路との間に差圧を発生させる差圧発生手段が設けられていることを特徴とする水力発電水車設備。
  2. 差圧発生手段は、排出管路に設けられ且つ排出管路の圧力を減圧してドレン室内の漏洩水を排出管路から吸引する減圧装置と、導入経路に設けられ且つ大気圧よりも高圧に加圧した加圧気体を導入経路からドレン室内へ供給する加圧気体供給装置のいずれか又は両方であることを特徴とする請求項1に記載の水力発電水車設備。
  3. ドレン室内に、漏洩水の量を検出する検出器が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水力発電水車設備。
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