JP2006070120A - 帯電防止コート用被覆液組成物およびこれを被覆した被覆プラスチック物品 - Google Patents

帯電防止コート用被覆液組成物およびこれを被覆した被覆プラスチック物品 Download PDF

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JP2006070120A JP2004253682A JP2004253682A JP2006070120A JP 2006070120 A JP2006070120 A JP 2006070120A JP 2004253682 A JP2004253682 A JP 2004253682A JP 2004253682 A JP2004253682 A JP 2004253682A JP 2006070120 A JP2006070120 A JP 2006070120A
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Abstract

【課題】 透明樹脂本来の光学的特性を損なうことなく良好な帯電防止性と耐擦傷性を示す硬化膜を形成するための被覆液組成物を提供する。
【解決手段】 (A)(イ)LiまたはKを陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミドを陰イオンとするイオン性化合物、または(ロ)イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類または4級アンモニウム類を陽イオンとし、ビスパーフルオロアルキルスルホンイミド、PF またはBF を陰イオンとするイオン性化合物、および(B)R Si(OR4−a−bで表されるケイ素化合物またはその部分加水分解物を含有する帯電防止コート用被覆液組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は帯電防止コート用被覆液組成物、特に透明樹脂基材の表面に被覆して耐摩耗性、帯電防止性に優れた透明被覆膜を形成する被覆液組成物およびそれを塗布硬化して透明被覆膜で被覆された被覆プラスチック物品に関する。
ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂等の透明合成樹脂は、易成形性、軽量性、耐衝撃性などの特徴を有し、そのため種々の用途に広く用いられている。しかし、これらの合成樹脂表面は、傷が付きやすく、帯電し易いため、傷や付着したホコリにより、外観が著しく悪くなり、透明性が低下するなどの難点がある。
これら透明樹脂基材に湿式コーティングにより帯電防止性および耐擦傷性を付与する方法としては、ハードコート膜となるマトリックス樹脂に、(1)ITO、ATOのような導電性金属酸化物ゾルを添加する、(2)界面活性剤を添加することが提案されている。
また特許文献1には、分子中に少なくとも2個のエーテル基及び/またはエステル基を有するシラン系熱重合性化合物例えばメチルシリケート、特定のオルガノポリシロキサン例えばメトキシポリエチレングリコールアリルエーテル等をヒドロシリル化反応によりグラフトさせることにより得たもの、および電解質塩例えば過塩素酸リチウムからなる帯電防止コーティング組成物が記載されている。
特許文献2には無機酸化物微粒子例えばアンチモンゾル、少なくとも一個以上の重合可能な反応基を有するシラン化合物例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを主成分とし、ヘテロポリ酸及び/またはヘテロポリ酸塩例えば珪タングステン酸を添加した帯電防止コーティング組成物が記載されている。
特開平9−48950号公報 特開2001−49185号公報
しかしながら上記の導電性金属酸化物ゾルを添加する方法では、不揮発分に換算して30%以上添加する必要があり、マトリックス樹脂がもつ本来の性能を発揮させることができず、例えば耐擦傷性が不十分となったり、透明性が十分ではなくて光透過性を要する用途には適さなくなる。また導電性金属酸化物ゾルと樹脂の相溶性を得るためにはゾルの表面処理が必須となり、さらに導電性金属酸化物ゾルの有する帯電防止性能を弱める原因となる。
界面活性剤を添加する方法では、導電性金属酸化物ゾルを添加する方法に比べて帯電防止性能が小さく、また湿度等の雰囲気の影響を受けやすい。
特許文献1記載の方法では、ある程度の帯電防止性能は得られるもののまだ不十分であり耐擦傷性も不十分である。
特許文献2記載の方法では、優れた耐擦傷性が得られるものの、帯電防止性能は不十分である。
本発明の課題は、透明樹脂本来の光学的特性を損なうことなく良好な帯電防止性と良好な耐擦傷性を示す硬化膜を形成するための被覆液組成物、およびこれを塗布硬化した被覆プラスチック物品を提供することにある。
すなわち本発明は、(A)(イ)LiまたはKを陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミドを陰イオンとするイオン性化合物、または(ロ)イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類または4級アンモニウム類を陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミド、PF またはBF を陰イオンとするイオン性化合物、および(B)下記式(1)で表されるケイ素化合物またはその部分加水分解物を含有する帯電防止用被覆液組成物である。
Si(OR4−a−b (1)
式(1)において、Rはエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基もしくはメルカプト基を含有するかまたは含有しない炭素原子数1〜12の有機基、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基または炭素数1〜8のアシル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアシル基であり、aは0または1、bは0,1または2である。
以下被覆液組成物の各成分について説明する。
(A)成分は膜に帯電防止性を付与する成分であり、後述の(B)成分を主成分とするマトリックス中で分散された構造で、特に膜の表面付近に分散したイオン対が電荷を流すように働いて膜の表面電気抵抗を小さくする。(A)成分は高い導電率(例えば10-3S/cm以上)を有するイオン導電性に優れるイオン対であり、炭素数が1から4のアルコールに溶解可能である。
(A)成分の(イ)LiまたはKを陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミドを陰イオンとするイオン性化合物としては、例えばリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、カリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、リチウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミドおよびカリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミドを挙げることができる。
(A)成分の(ロ)イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類または4級アンモニウム類を陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミド、PF またはBF を陰イオンとするイオン性化合物としては、例えば1,3-エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1,3-エチルメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1,3-ブチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1,3-ブチルメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、エチルメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ブチル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ブチル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−メチル-3-オクチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−メチル-3-オクチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−オクチル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−オクチル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−デシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−デシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ドデシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ドデシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−エチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−エチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ブチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ブチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ヘキシル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ヘキシル−2,3-ジメチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド;
1,3-エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3-エチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1,3-ブチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3-ブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、エチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−メチル-3-オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル-3-オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−デシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−デシル-3-メチルイミダゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ドデシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ドデシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−エチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ヘキシル−2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート;
1−エチルピリジニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−ブチルピリジニウムビストリフルオロエタンスルホンイミド、1−ヘキシルピリジニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1−エチルピリジニウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ブチルピリジニウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1−ヘキシルピリジニウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド;
1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート
、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート;
1−エチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−エチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2−メトキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロフォスフェート;
1-メチルピラゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、1-メチルピラゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、3-メチルピラゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、3-メチルピラゾリウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミド、1-メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3-メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、1-メチルピラゾリウムヘキサフルオロフォスフェートおよび3-メチルピラゾリウムヘキサフルオロフォスフェートを挙げることができる。
これらの(A)成分の中で陽イオンがLiであるもの、すなわちリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミドおよびリチウムビスペンタフルオロエタンスルホンイミドが表面抵抗値を下げる効果が大きいので特に好ましく用いられる。
本発明の帯電防止コート用被覆液組成物の(B)成分は、膜の硬度を高くして膜のクラックの発生を防止する成分であり、下記式(1)で表されるケイ素化合物またはその部分加水分解物である。
Si(OR4−a−b (1)
式(1)において、Rはエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基もしくはメルカプト基を含有するかまたは含有しない炭素原子数1〜12の有機基、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基または炭素数1〜8のアシル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアシル基であり、aは0または1、bは0,1または2である。
前記式(1)において4-a-b=1である化合物としては、例えばトリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシランを挙げることができる。
前記式(1)において4-a-b=2である化合物としては、例えばジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメトキシジエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランをあげることができる。
前記式(1)において4-a-b=3である化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを挙げることができる。
前記式(1)において4-a-b=4である化合物としては、例えばテトラエチルオルソシリケート、テトラメチルオルトシリケートを挙げることができる。
これらの中で、4-a-b=1〜3で、かつRがエポキシ基含有有機基であるケイ素化合物が、膜の表面電気抵抗値をさらに小さくするので、特に好ましく用いられる。このケイ素化合物としては、例えばγ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメトキシジエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを挙げることができる。
本発明の帯電防止コート用被覆液組成物は、(A)成分および(B)成分の不揮発分合計重量に対して、(A)成分を不揮発分として0.1〜40重量%、(B)成分を不揮発分(R SiO(4−a−b)/2)として60〜99.9重量%それぞれ含有することが好ましい。より好ましくは(A)成分を不揮発分として1〜20重量%、(B)成分を不揮発分として80〜99重量%それぞれ含有する。(A)成分含有量が0.1重量%未満では得られる帯電防止性能が不十分となり、(B)成分含有量が60重量%未満では膜の密着性や膜硬度が不十分となる。
本発明の被覆液組成物は、上記(A)成分および(B)成分以外に、下記に詳述するように、(C)無機酸化物微粒子、(D)成分、(E)硬化触媒、(F)レベリング剤、潤滑性付与剤その他の添加剤等を含有することができる。
(C)無機酸化物微粒子としてはSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,InおよびTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物の微粒子をあげることができる。無機酸化物微粒子を帯電防止コート液に含有させることにより、膜の耐擦傷性をさらに向上させたり、膜の屈折率を樹脂基材の屈折率に近づけることにより干渉縞を見えにくくしたり、膜の屈折率を低くして反射を防止することができる。なおこの反射防止性能をもたせるときには膜厚を薄くする必要があるので膜の耐擦傷性は若干低下する傾向がある。これらの金属酸化物としては、例えばSiO,Al,SnO,Sb,Ta,CeO,La,Fe,ZnO,WO,ZrO,In,TiOなどを挙げることができる。これらの金属の複合酸化物としてはチタンとケイ素の複合酸化物(TiO2・SiO2)、チタンとセリウムとケイ素の複合酸化物(TiO2・CeO2・SiO2)、チタンと鉄とケイ素の複合酸化物(TiO2・Fe23・SiO2)、チタンとジルコニウムとケイ素の複合酸化物(TiO2・ZrO2・SiO2)、チタンとアルミニウムとケイ素の複合酸化物(TiO2・Al23・SiO2)などを挙げることができる。これらの複合酸化物中にSiO2成分が5モル%以上(モル比 金属:SiO2=9.5:0.5 以上)含まれていることが好ましい。これらの金属の酸化物、複合酸化物の微粒子は1〜200nmの粒径を有することが好ましく、1〜100nmの粒径を有することがより好ましい。
帯電防止コート膜の屈折率と基材樹脂の屈折率との差が大きい場合に干渉縞が目視しやすくなるので、この屈折率差をできるだけ小さくなるようにして干渉縞が目立たなくするためにも、基材樹脂の種類に応じて上記(C)成分の種類、含有量を調整して膜の屈折率を制御することが好ましい。膜の屈折率を低下させたいときにはSiの酸化物微粒子またはこれを主成分とする複合金属酸化物微粒子を用いるのが好ましい。Siの酸化物微粒子としては球状微粒子以外にネックレス状の鎖状シリカ微粒子または中空シリカ微粒子を用いることができる。膜の屈折率を上昇させたいときには、Ti、Zr、Ce、Fe、Zn、Sbから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子またはこれを主成分とする複合酸化物微粒子を用いるのが好ましい。
前記金属酸化物(以下複合酸化物を含む)微粒子は固形分が10〜50質量%になるように溶媒に分散させて使用されることが好ましい。この溶媒への分散性を高めるために有機シラン化合物で金属酸化物微粒子表面を改質してもよい。有機シラン化合物の添加量は微粒子質量に対して0〜20質量%である。表面改質処理は、加水分解させずに、または加水分解した有機シラン化合物を金属酸化物微粒子と混合し、その後に加熱または乾燥させることにより行われる。
表面改質に用いられる有機ケイ素化合物としては、R3SiX(Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基を有する有機基、Xは加水分解可能な基)で表される単官能性シラン、例えばトリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、R2SiX2で表される二官能性シラン、例えばジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメトキシジエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、RSiX3で表される三官能性シラン、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3.4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、SiX4 で表される四官能性シラン、例えばテトラエチルオルソシリケート、テトラメチルオルトシリケートを挙げることができる。
金属酸化物の微粒子の分散溶媒としては 水;飽和脂肪族アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール;セロソルブ類、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ;プロピレングリコール誘導体類、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート;エステル類、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル;エーテル類、例えばジエチルエーテル、メチルイソブチルエーテル;ケトン類、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン;芳香族類、例えばキシレン、トルエン;その他有機溶媒、例えばエチレングリコール、テトラヒドロフラン、N,N,-ジメチルホルムアミド、ジクロロエタンなどが用いられる。
SiO微粒子としては、例えば「Nalco1057」(Nalco社製、平均粒度20nm、固形分30%、プロポキシエタノール分散液)、「スノーテックスO−40」(日産化学(株)製、平均粒度20nm、固形分40%の水分散液)、「IPA−ST」(日産化学(株)製、平均粒度20nm、固形分30%のイソプロピルアルコール分散液)、「スノーテックスOUP」(日産化学(株)製、平均粒度40〜100nm、固形分15%の水分散鎖状シリカ)、「ELCOM V-8203」(触媒化成工業(株)、IPA分散、平均粒径10nm、不揮発分20%、屈折率1.29、中空シリカ分散液)等が用いられる。
Al微粒子の市販品としては、例えば日産化学工業(株)製 水分散品:アルミナゾル−100、−200、−520;住友大阪セメント(株)製 イソプロパノール分散品:AS−150I;住友大阪セメント(株)製 トルエン分散品:AS−150T等を挙げることができる。
SnO微粒子の市販品としては、例えば石原産業(株)製 アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾル:SN−100Dを挙げることができる。CeO微粒子の市販品としては、例えば多木化学(株)製 酸化セリウム水分散液:ニードラールを挙げることができる。ZrO微粒子の市販品としては、例えばとしては、住友大阪セメント(株)製 ジルコニアのトルエン分散品:HXU−110JCを挙げることができる。酸化チタン、酸化インジウム、および酸化亜鉛の各微粒子の市販品としては、例えばシーアイ化成(株)製 粉末及び溶剤分散品:ナノテックを挙げることができる。
(A)成分および(B)成分以外に、添加することができる(D)成分としては、(D−1)〜(D−10)の化合物を挙げることができる。
(D−1)成分は、分子中にただ一つのOH基もしくはSH基を有し、さらに分子主鎖中に少なくとも一つの-O-、-CO-O-、-S-、-CO-S-、-CS-S-基を含み、さらに少なくとも一つの不飽和基を有する有機化合物であって水または炭素数1〜4の低級アルコールに可溶な有機化合物である。(D−1)成分としては、例えばポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)モノアクリレート、ポリ(ブタンジオール)モノメタクリレート、1,4-ブタンジオールモノビニルエーテル、1,6-ヘキサンジチオールモノアクリレート、ジ(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルアミン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレートおよび2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパンを挙げることができる。
(D−1)成分の好ましい例として、下記式(D1)、下記式(D2)、下記式(D3)および下記式(D4)で表される化合物を挙げることができる。
CH2=C(R6)CO-O-(CH2)b-OH (D1)
ここでRは水素原子またはメチル基、bは2〜10の整数、好ましくは4〜6の整数である。
CH2=C(R11)CO-(O-R12)-OH (D2)
ここでR11は水素原子またはメチル基、R12は-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH2-、gは2〜9の整数、好ましくは2〜4の整数である。
CH2=CH-(CH2)-O-(CH2)-OH (D3)
ここでjは2〜10の整数、hは0または1である。
CH2=CH-(CH2)h-(O-R12)-OH (D4)
ここでR12は-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH2-、jは2〜9の整数、hは0または1である。
式(D1)で表される化合物としては、例えば4-ヒドロキシブチルアクリレートおよび4-ヒドロキシブチルメタクリレートを挙げることができる。
式(D2)で表される化合物としては、例えばジエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレートおよびポリプロピレングリコールモノメタクリレートを挙げることができる。
式(D3)で表される化合物としては、例えば4-ヒドロキシブチルアリルエーテルおよび4-ヒドロキシブチルビニルエーテルを挙げることができる。
式(D4)で表される化合物としては、例えばジエチレングリコールモノアリルエーテルおよびトリエチレングリコールモノビニルエーテルを挙げることができる。
(D−2)成分は分子中に少なくとも2個のOH基または少なくとも1個のSH基を有し、さらに少なくとも1個の不飽和基を有する有機化合物であって水または炭素数1〜4の低級アルコールに可溶な有機化合物である。(D−2)成分として、例えばエポキシ化合物とメタアクリル酸からなる化合物を挙げることができ、その市販品としてそれぞれ共栄社化学(株)製のエポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、およびエポキシエステル3002Mを挙げることができる。
(D−3)成分は不飽和二塩基酸、その環状無水物またはそのイミド化合物である。不飽和二塩基酸として、例えばイタコン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸およびマレイン酸を挙げることができる。不飽和二塩基酸の環状無水物として、例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸および無水マレイン酸を挙げることができる。不飽和二塩基酸のイミド化合物として、例えばコハク酸イミド、グルタル酸イミド、フタル酸イミドおよびマレイン酸イミドを挙げることができる。
(D−4)成分は飽和多価カルボン酸、その環状無水物またはそのイミド化合物である。飽和多価カルボン酸として、例えばアジピン酸およびスベリックアシッドを挙げることができる。飽和多価カルボン酸の環状無水物として、例えば無水アジピン酸を挙げることができる。飽和多価カルボン酸のイミド化合物として、例えばアジピン酸イミドを挙げることができる。
(D−5)成分はアミン類である。(D−5)成分として、例えばポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジアミン、N-アミノメチルビペラジン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミン、テトラクロロパラキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’-メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルフォン、ベンジジン、トルイジン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-チオジアニリン、4,4’-ビス(o-トルイジン)ジアニシジン、o-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、メチレンビス(o-クロロアニリン)、ジアミニジトリルスルフォン、ビス(3,4-ジアミノフェニル)スルフォン、2,6-ジアミノピリジン、4-クロロ-o-フェニレンジアミン、4-メトキシ-6-メチル-m-フェニレンジアミン、m-アミノベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシプロパン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N’-ビス[(2-ヒドロキシ)プロピル]ピペラジン、N-メチルホルモリン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピラジン、キノリン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチロール)フェノール、N-メチルピペラジン、ピロリジンおよびホルモリンのようなアミン、上記アミンと有機カルボン酸、環状エーテル、ケトン、アルデヒドまたはハイドロキノン等との付加物、あるいは縮合物を挙げることができる。
(D−6)成分は尿素およびそのホルムアルデヒド付加物である。
(D−7)成分はアルキル置換メチロール化メラミンである。
(D−8)成分はOH基もしくはSH基を少なくとも2個有する化合物である。(D−8)成分として、例えば1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、カテコール、レゾルシノール、アルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールおよびポリカプロラクトンテトラオールを挙げることができる。
(D−9)成分はエポキシキ基を少なくとも2個有する化合物である。(D−9)成分としては、例えば前記(D−8)成分の多価アルコールのグリシジルエーテルを挙げることができる。
(D−10)成分はジシアンジアミド、ヒドラジド、チオ尿素、グアニジン、エチレンイミン、スルフォンアミドおよびこれらの誘導体である。
(E)硬化触媒。
帯電防止コート用被覆液組成物は透明樹脂基材表面に塗布された後、液の(B)成分は部分的に加水分解したシラノール化合物となって、縮合反応することにより硬化し、塗膜が緻密になり、外部から応力に対し強度が大となる。硬化触媒はこの反応を効率的に促進させる。
硬化触媒として、酢酸ナトリウム等のカルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、アセチルアセトンの金属塩およびアンモニウム塩、エチルアセトアセテートの金属塩、アセチルアセトンとエチルアセトアセテートが配位した金属塩、第1級〜第3級アミン、ポリアルキレンアミン、スルフォン酸塩、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機金属塩、SnCl4、TiCl4、ZnCl2等のルイス酸等が用いられる。またこれらの化合物と有機メルカプタンやメルカプトアルキレンシランを併用することも可能である。本発明の硬化触媒の添加時期は混合液調合時でもよく塗布直前でもよい。また、本発明の硬化触媒はコーティング組成物中の不揮発分重量に対して0.001〜10重量%用いる。
(F)レベリング剤、潤滑性付与剤その他の添加剤
本発明における被覆液組成物は必要に応じてレベリング剤、潤滑性付与剤として、例えばポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体を全液量に対して0.001〜10重量%含有させることができる。またその他の添加剤として、必要に応じて酸化防止剤、耐候性付与剤、ブルーイング剤、光安定剤等を添加することができる。
本発明における被覆液組成物はさらに必要に応じて溶媒を含有する。溶媒としてはアルコール類、グリコール類、脂肪族環状ケトン類、酢酸エステル類等が用いられる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールを挙げることができる。グリコール類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルを挙げることができる。脂肪族環状ケトン類としては、例えばシクロヘキサノン、o-メチルシクロヘキサノン、m-メチルシクロヘキサノン、p-メチルシクロヘキサノンを挙げることができる。酢酸エステル類としては、例えば酢酸エチル酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルを挙げることができる。その他にソルベントナフサ、メチルエチルケトン等を用いることができる。
本発明の被覆液組成物は上記各成分を混合、撹拌して、有効成分の濃度が0.1〜30重量%になるように上記溶媒による溶液または分散液として調整された後、室温で10〜100時間熟成させることにより調製される。
本発明の被覆液組成物は透明樹脂基材の表面、例えば1〜5mm厚みの透明樹脂板基材の片側表面または両表面に塗布する。塗布は、例えばディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、スピンコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、はけ塗り法等により行うことができる。膜の厚みが小さすぎると得られる硬度が低下し、厚みが大きすぎると、膜にクラックが発生しやすくなるので、硬化後の膜厚が0.02〜10μm、好ましくは0.5〜5μmとなるような厚みで塗布が実施することが好ましい。より優れた耐擦傷性のためには膜厚が2〜5μmであることが好ましく、優れた反射防止性能のためには膜厚が0.02〜0.15μmであることが好ましい。
塗布後、被覆液組成物の塗膜を加熱することにより帯電防止コート膜が形成される。加熱は80〜200℃で30分〜10時間行われる。
帯電防止コート膜の密着性等を向上させるために、あらかじめ透明樹脂基材の表面に下記のようなプライマー層を設けたり、アルカリ処理、酸処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理等の前処理を行うことができる。
前記樹脂基材に対する記帯電防止コート膜の密着性、染色性、耐衝撃性、耐候性等をさらに高めるために、樹脂基材表面と膜の間にプライマー層を設けることができる。このプライマー層としては例えば、ウレタン樹脂やアクリル樹脂が用いることができる。このプライマー層の好ましい厚みは2〜50nmである。プライマー層用処理液の溶媒としてはアルコール等の有機溶媒の他、水でもよい。プライマー層用処理液中の前記有機珪素化合物の濃度はプライマー層の厚みおよび塗布方法などによって決められるが、通常は0.2〜5重量%である。塗布方法は、ディッピング法、スプレー法、フローコート法、ロールコート法、スピンコート法などいずれでもよい。
樹脂基材としてポリカーボネートが用いられる場合は、プライマー層用処理液としてウレタン樹脂やアクリル樹脂が好ましく用いられる。
本発明において透明樹脂基材としては、ポリウレタン樹脂、ポリエピスルフィド樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような(メタ)アクリル系重合体、アリル系重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリカーボネート、MS樹脂、環状ポリオレフィン等各種合成樹脂からなる基材を挙げることができる。樹脂基材としては、平板状、曲板状、フィルム状等の形状のものが使用される。
本発明における被覆プラスチック物品は、眼鏡レンズ、建築用透明樹脂板、携帯電話導光板、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニター、PDP、PDAの最表面処理)、タッチパネルモニター、携帯電話窓、高光学特性が要求される部位、自動車用透明部品などに用いられる。
本発明によれば、透明樹脂基材に対して、透明樹脂本来の光学的特性を損なうことなく透明で優れた耐擦傷性及び優れた帯電防止性能を有する被膜を得ることができる。また透明で優れた反射防止性能及び優れた帯電防止性能を有する被膜を得ることができる。
以下に実施例をあげて本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施例および比較例で用いた帯電防止コート液の調製、プライマー液の調製、プライマー液および帯電防止コート液の塗布および硬化、帯電防止コート膜の評価方法等は次の通りである。
[実施例帯電防止コート液1〜10の調製]
帯電防止コート液1の調製
SiOゾル(水分散、平均粒径10nm、不揮発分40%、pH=3)288gを秤取り、攪拌及び冷却しながら、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを244gを徐々に添加し、添加終了後1時間撹拌した。次に、2-プロパノールを450g添加した後、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを6g添加し、攪拌溶解させた。さらに、イオン性化合物としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液1を得た。
帯電防止コート液2の調製
上記帯電防止コート液1の調製でレベリング剤「L-7001」を添加する際に同時にさらにテトラエチレングリコールモノメタクリレートを25g添加した以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液2を得た。
帯電防止コート液3の調製
上記帯電防止コート液1の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gの代わりに、1-メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート15gを使用する以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液3を得た。
帯電防止コート液4の調製
上記帯電防止コート液1の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gの代わりに、1−ブチルピリジニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド10gを使用する以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液4を得た。
帯電防止コート液5の調製
SiOゾル(水分散、平均粒径10nm、不揮発分40%、pH=3)270gを秤取り、そこへ蒸溜水を67g添加、攪拌及び冷却する。メチルトリメトキシシラン34gとγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを95g徐々に添加し、添加終了後1時間撹拌した。次に、1-メトキシ−2−プロパノールを248gと、エタノール248gを添加し、さらにコハク酸を24g添加し、攪拌溶解させ、均一な溶液とした。さらに、イオン性化合物としてエチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド14gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液5を得た。
帯電防止コート液6の調製
SiOゾル(水分散、平均粒径10nm、不揮発分40%、pH=3)300gを秤取り、攪拌及び冷却しながら、メチルトリメトキシシランを365gを徐々に添加し、添加終了後1時間撹拌した。次に、酢酸35gと2-プロパノールを282g添加した後、硬化触媒として酢酸ナトリウムを3g添加し、攪拌溶解させた。さらに、イオン性化合物としてN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド15gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液6を得た。
帯電防止コート液7の調製
TiO,ZrO2,SiOからなる複合酸化物ゾル (メタノール分散、平均粒径10nm、不揮発分30%)を308g計り取る。そこへ、蒸留水120gを撹拌しながら添加した。γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを160g徐々に添加する。添加終了後さらに2時間撹拌した。その後、混合液を撹拌しながら、1-メトキシ−2−プロパノールを350g添加し、さらに硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを4g添加し、攪拌溶解させた。さらに、イオン性化合物としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド2gを添加攪拌し、溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液7を得た。
帯電防止コート液8の調製
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 235gとγ-グリシドキシプロピルジメトキメチルシシラン 105g及び酢酸27gを秤取り、混合攪拌した。次に混合液を冷却攪拌しながら、蒸溜水142gを滴下した。添加終了後さらに2時間撹拌することで均一な溶液が得られた。次に、2-プロパノールを466gを添加した後、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを5g添加し、攪拌溶解させた。さらに、イオン性化合物としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド 20gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液8を得た。
帯電防止コート液9の調製
1−メトキシ−2−プロパノール885gに、「MSH-4」(テトラオルソメチルシリケートのオリゴマー、三菱化学製、不揮発分16%)63gを攪拌しながら添加する。次に、中空SiO2ゾル(IPA分散、平均粒径10nm、不揮発分20%、屈折率1.29)50gを秤取り、攪拌しながら添加し、均一な溶液とする。さらに、イオン性化合物としてカリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液9を得た。
帯電防止コート液10の調製
密閉容器にSiOゾル(「スノーテックスOUP」:日産化学(株)製、水分散、平均粒径40〜100nm、不揮発分15%)161gを秤取り、攪拌しながら1規定の塩酸1gを添加する。さらに、テトラエチルオルソシリケート 21gを秤取り、攪拌しながら添加し、密閉後50℃に加温しながら3時間攪拌することにより、均一な溶液になった。次に、2-プロパノール 815gを秤取った容器に上記溶液を攪拌しながら添加し、さらに、イオン性化合物としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド 2gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液10を得た。
帯電防止コート液11〜18の調製
上記帯電防止コート液1の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gの代わりに、表1に示すように下記の種類および配合量のイオン性化合物を使用する以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液11〜18を得た。

[表1]
───────────────────────────────────
帯電防止
コート イオン性化合物 配合量
液番号
───────────────────────────────────
11 エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート 15g
12 エチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート 15g
13 1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート 12g
14 1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート 12g
15 N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム
テトラフルオロボレート 12g
16 N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム
ヘキサフルオロフォスフェート 12g
17 1-メチルピラゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド 15g
18 1-メチルピラゾリウムヘキサフルオロフォスフェート 15g
───────────────────────────────────
[比較例帯電防止コート液19〜24の調製]
帯電防止コート液19の調製
導電性微粒子ITOゾル(DAA/エタノール分散、不揮発分20%)500gを秤取り、そこへ蒸溜水97gを添加した。その液を攪拌及び冷却しながら、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを212g徐々に添加した。添加終了後1時間撹拌した。次に、2-プロパノールを186g添加した後、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを5g添加し、攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液19を得た。
帯電防止コート液20の調製
上記帯電防止コート液1の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gの代わりに、帯電防止剤「サンコノールPETA−20R」(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びリチウム塩化合物、三光化学工業(株)製、Li塩濃度20%)3gを使用する以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液20を得た。
帯電防止コート液21の調製
上記帯電防止コート液1の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド12gを使用しないこと以外は帯電防止コート液1の調製と同様の方法で帯電防止コート液21を得た。
帯電防止コート液22の調製
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン353gと酢酸28gを秤取り、混合攪拌した。次にこの混合液を冷却攪拌しながら、蒸溜水161gを滴下した。添加終了後さらに2時間撹拌することで均一な溶液が得られた。次に、2-プロパノールを466gを添加した後、硬化触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを5g添加し、攪拌溶解させた。さらに、下記式(2)で表されるオルガノポリシロキサン25gおよびイオン性化合物としての過塩素酸リチウム17gを添加し攪拌溶解させた後、レベリング剤としてシリコーン界面活性剤「L-7001」 (日本ユニカー(株)製)を0.4g添加し、1時間撹拌した。上記混合液を20℃で48時間熟成し、帯電防止コート液22を得た。

R1 R1 R1 R1
| | | |
R1-SiO-(SiO)m-(SiO)n-Si-R1 (2)
| | | |
R1 R1 | R1
R2O-(R3O)a-(R4O)b-R5

(式中、R1:メチル基、R2:プロピレン基、R3:エチレン基、R4:ポロピレン基、R5:メチル基、m=30,n=3,a=10,b=0)
帯電防止コート液23の調製
ブチルセロソルブ4.41gにエタノール/メタノール分散アンチモンゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク」、固形分濃度30.5%)10.37gを混合した後、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.08gを混合した。この混合液に0.05N塩酸水溶液1.12gを攪拌しながら滴下した後、さらに1時間攪拌した。この液に珪タングステン酸0.6gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L-7604」)200ppmを添加した攪拌、1昼夜熟成させて帯電防止コート液23を得た。
帯電防止コート液24の調製
上記帯電防止コート液10の調製において使用したリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド 2gを使用いなかった以外は帯電防止コート液10の調製と同様の方法で帯電防止コート液(反射防止コート液)24を得た。
プライマー液の調製
蒸留水856gを秤取り、次にレベリング剤としてポリエーテル変性シリコーン(日本ユニカー製、「L-77」)を1g添加し攪拌する。その液を攪拌しながら、ウレタンエマルジョン水分散液「Permuthane WF-41-035」(スタールジャパン(株)製)を143g添加し、均一な溶液としたものをプライマー液とした。
[プライマー液、帯電防止コート液の塗布および硬化]
10×11cmで厚み2mmのポリカーボネート板(筒中プラスチック製、「ポリカエースECK-100」)に上記プライマー液をフローコート法にて塗布し、70℃で10分間加熱して硬化した。引き続いて、そのプライマー硬化膜の上に上記帯電防止コート液1〜24をフローコート法にて塗布し、120℃で60分間加熱して硬化することにより塗布サンプルを得た。
プライマー硬化膜の厚みおよび帯電防止コート膜の厚みを測定するために、ガラス板に上記と同様にしてプライマー液、帯電防止コート液1〜24の塗布および硬化を行った。プライマー硬化膜の厚みは0.5μmであった。また帯電防止コート膜の表面抵抗を測定するために10×11cmで厚み1mmのSUS304のステンレス板に上記と同様にしてプライマー液、帯電防止コート液1〜24の塗布および硬化を行った。
[評価方法]
以下に示す各実施例、比較例で得られた被覆した被膜の評価方法は次の通りである。
(a)密着性試験:碁盤目試験JIS K5600に準拠して行った。すなわちセロハンテープを帯電防止コート被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引き剥がすいわゆるクロスハッチ試験方法で、被膜の密着性を評価し、帯電防止コート被膜の100個のます目のうち剥がれなかったます目の数z個によって百分率100×(z/100)で判定した。
(b)耐擦傷性(SW硬度):市販のスチールウール(#0000)を用いて1kgの荷重をかけて10往復表面を擦り、キズ付き具合を目視で評価を行った。評価結果を次のように1〜5の5段階で表した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
5: 全く傷が付かない
4: 若干の傷が付く
3: 傷が付く
2: ひどい傷が付く
1: 基材まで傷が付く
━━━━━━━━━━━━━━━━━
(c)表面抵抗
ステンレス板に塗布したサンプルを用いて、JIS K6911に準拠し、高抵抗率計(三菱化学製、「ハイレスタ-UP」および「MCP-JB03」)により膜の表面抵抗を測定した。
(d)膜厚測定
ガラス板に各コート液を塗布、硬化した後、塗膜の一部を削り取り、削り取って露出したガラス板表面と塗膜表面の段差を触針法で測定して膜厚を求めた。
(e)反射率
ポリカーボネート板に上記コート液9,10,21,24を両面塗布、硬化し、日立製作所U-3000形分光光度計を用いて可視域の反射率を測定し、ボトム波長での反射率の値を表に示した。なお、ポリカーボネート板そのものの反射率は8.3%であった。
[実施例1]
前記のプライマー液を塗布硬化した前記ポリカーボネート板に帯電防止コート液1を塗布、加熱硬化して帯電防止コート被膜を形成した。得られた帯電防止コート被覆板について帯電防止コート膜厚、耐擦傷性(SW硬度)、密着性および表面抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
[実施例2〜18、比較例1〜6]
実施例1で用いた帯電防止コート液1に代えてそれぞれ帯電防止コート液2〜24を用いる以外は実施例1と同様にして帯電防止コート被膜を形成し、帯電防止コート膜厚および各性能を測定した。その結果を表2に示す。
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
帯電防止コ SW 密着性 膜厚 表面抵抗 反射率
ート液No 硬度 [μm] [Ω/□] [%]
───────────────────────────────────────
実施例1 1 5 100% 3 4×109
実施例2 2 5 100% 3 5×108
実施例3 3 5 100% 3 9×1010
実施例4 4 5 100% 3 4×1010
実施例5 5 5 100% 3 8×1010
実施例6 6 5 100% 3 9×1011
実施例7 7 5 100% 2 8×1010
実施例8 8 4 100% 2 3×109
実施例9 9 2 100% 0.1 7×108 0.1
実施例10 10 2 100% 0.1 9×108 0.3
実施例11 11 5 100% 2 5×1011
実施例12 12 5 100% 2 6×1011
実施例13 13 5 100% 2 7×1011
実施例14 14 5 100% 2 4×1011
実施例15 15 5 100% 2 8×1011
実施例16 16 5 100% 2 9×1011
実施例17 17 5 100% 2 5×1010
実施例18 18 5 100% 2 4×1011
比較例1 19 3 100% 2 4×1010 6.8
比較例2 20 3 100% 3 2×1011 6.0
比較例3 21 5 100% 3 2×1015 6.2
比較例4 22 2 100% 3 9×1012 5.8
比較例5 23 3 100% 2 1×1011 6.6
比較例6 24 2 100% 0.1 3×1015 0.3
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表2に示す結果から、実施例1〜8、11〜18については耐擦傷性(SW硬度)および密着性に優れ、表面抵抗は5×108〜9×1011Ω/□であって優れた帯電防止性を示している。これに対して導電性金属酸化物粒子を用いた比較例1、「サンコノールPETA−20R」を用いた比較例2および珪タングステン酸を用いた比較例5については表面抵抗は4×1010〜2×1011Ω/□であって帯電防止性能は優れているが、耐擦傷性(SW硬度)が劣ることがわかる。また過塩素酸リチウムおよび特定のポリシロキサンを用いた比較例4については、帯電防止剤を含まず帯電防止性を示さない比較例3に比して帯電防止性能を有するものの、実施例に比して帯電防止性能および耐擦傷性(SW硬度)が劣ることがわかる。
また、表2に示す結果から、実施例9,10については、密着性に優れ、反射率は0.1〜0.3%であって反射防止性に優れ、表面抵抗は7×108〜9×108Ω/□であって優れた帯電防止性能を示している。これに対し比較例1、2、5では反射防止性能が劣り、比較例3,4では帯電防止性能および反射防止性能が劣り、比較例6では帯電防止性能が劣ることがわかる。

Claims (5)

  1. (A)(イ)LiまたはKを陽イオンとしビスパーフルオロアルキルスルホンイミドを陰イオンとするイオン性化合物、または
    (ロ)イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類または4級アンモニウム類を陽イオンとし、ビスパーフルオロアルキルスルホンイミド、PF またはBF を陰イオンとするイオン性化合物、
    および
    (B)下記式(1)で表されるケイ素化合物またはその部分加水分解物
    を含有する帯電防止コート用被覆液組成物。
    Si(OR4−a−b (1)
    式(1)において、Rはエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基もしくはメルカプト基を含有するかまたは含有しない炭素原子数1〜12の有機基、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルケニル基または炭素数1〜8のアシル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアシル基であり、aは0または1、bは0,1または2である。
  2. 前記(A)成分および前記(B)成分は、それらの不揮発分合計重量に対して不揮発分として0.1〜40重量%および60〜99.9重量%それぞれ含有する請求項1記載の帯電防止コート用被覆液組成物。
  3. さらに無機酸化物微粒子を前記(A)成分および前記(B)成分の不揮発分合計重量に対して不揮発分として1〜100重量%含有する請求項1または2記載の帯電防止コート用被覆液組成物。
  4. さらに下記(D−1)〜(D−10)の化合物の少なくとも1つを不揮発分合計で前記(A)成分および前記(B)成分の不揮発分合計重量に対して0.1〜150重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止コート用被覆液組成物。
    (D−1)分子中にただ一つのOH基もしくはSH基を有し、さらに分子主鎖中に少なくとも一つの-O-、-CO-O-基、-S-、-CO-S-基または-CS-S-基を含み、さらに少なくとも一つの不飽和基を有する有機化合物であって、水または炭素数1〜4の低級アルコールに可溶な有機化合物
    (D−2) 分子中に少なくとも2個のOH基または少なくとも1個のSH基を有し、さらに少なくとも一つの不飽和基を有する有機化合物であって水もしくは炭素数1〜4の低級アルコールに可溶な有機化合物
    (D−3)不飽和二塩基酸、その環状無水物またはそのイミド化合物
    (D−4)飽和多価カルボン酸、その環状無水物またはそのイミド化合物
    (D−5)アミン類
    (D−6)尿素またはそのホルムアルデヒド付加物
    (D−7)アルキル置換メチロール化メラミン
    (D−8)OH基またはSH基を少なくとも2個有する化合物
    (D−9)エポキシ基を少なくとも2個有する化合物
    (D−10)ジシアンジアミド、ヒドラジド、チオ尿素、グアニジン、エチレンイミンもしくはスルフォンアミドまたはこれらの誘導体
  5. 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止コート用被覆液組成物を透明樹脂基材の表面に塗布し加熱硬化した被覆プラスチック物品。
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