JP2006066139A - 燃料電池セパレータおよびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池セパレータおよびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料ガスや酸化ガスと混合する水蒸気や、発電によって発生する水分がセパレータ表面に結露した場合でも水滴とならず、燃料ガス、酸化剤ガスの流路面に薄く水膜として広がり流路を閉塞しない高分子電解質型燃料電池セパレータを実現する。さらには、燃料電池に接続された負荷が変動しても電圧低下や上昇を起こさない安定した発電性能を有し、発電後に発現した不良品の交換作業等の作業ロスを削減する高分子電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】高分子電解質型燃料電池セパレータとして、導電性カーボン材料1と結合剤2とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、成形後の表面層除去厚みが1μm以上であることを特徴とする。また、前記成形体の成形表面の内、黒鉛結晶のベーサル面(結晶基底面)表出部分の表面全体に占める面積比率が70%以下とすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池を構成する燃料電池セパレータおよびそれを用いた燃料電池に関するものである。
通常、高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、まず、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層を形成する。次に、この触媒反応層の外面に燃料ガスの通気性と、電子導電性とを併せ持つ、例えばカーボンペーパーやカーボンクロスで拡散層を形成し、この拡散層と触媒反応層とを合わせて電極とするものである。
次に、供給する燃料ガスや酸化剤ガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットを配置する。このシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立て、これを、MEA(膜電極接合体)と呼ぶ場合もある。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板を配置する。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
この溝に燃料ガスを供給するためは、燃料ガスを供給する配管を、使用するセパレータの枚数に分岐し、その分岐先を直接セパレータ状の溝につなぎ込む配管治具が必要となる。この治具をマニホールドと呼び、前述するような燃料ガスの供給配管から直接つなぎ込むタイプを外部マニホールドを呼ぶ。このマニホールドには、構造をより簡単にした内部マニホールドと呼ぶ形式のものがある。内部マニホールドとは、ガス流路を形成したセパレータ板に、貫通した孔を設け、ガス流路の出入り口をこの孔まで通し、この孔から直接燃料ガスを供給するものである。
燃料電池は運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却する必要がある。通常、1〜3セル毎に冷却水を流す冷却部をセパレータとセパレータとの間に挿入するが、セパレータの背面に冷却水流路を設けて冷却部とする場合が多い。これらのMEAとセパレータおよび冷却部を交互に重ねていき、10〜400セル積層した後、集電板と絶縁板を介し、端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
このような高分子電解質型燃料電池に用いるセパレータは、導電性が高く、かつ燃料ガスに対して高いガス気密性を持ち、更に水素/酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性、即ち耐酸性を持つ必要がある。このような理由で従来のセパレータは、グラッシーカーボン板または樹脂含浸黒鉛板等の表面に切削加工でガス流路を形成したり、また、ガス流路溝を形成したプレス金型にバインダーと共に膨張黒鉛粉末を入れ、これをプレス加工した後、加熱処理することで作製していた。
また、近年、従来より使用されたカーボン材料に代えて、ステンレスなどの金属板を用いる試みが行われている。金属板を用いたセパレータは、金属板が高温で酸化性の雰囲気に曝されるため、長期間使用すると、金属板の腐食や溶解が起きる可能性がある。金属板が腐食すると、腐食部分の電気抵抗が増大し、電池の出力が低下する。また、金属板が溶解すると、溶解した金属イオンが高分子電解質に拡散し、これが高分子電解質のイオン交換サイトにトラップされ、結果的に高分子電解質自身のイオン電導性が低下する。このような劣化を避けるため金属板の表面にある程度の厚さを持つ金メッキを施すことが通例であった。
高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜内を電離した水素が移動しやすくするため、燃料ガスとしての水素を含むガスや、酸化剤としての酸素ガスを含むガスに水蒸気を混合して供給することが一般的である。一方、発電時の燃焼反応により水分(水蒸気)が生成するため、セパレータに形成された流路溝には燃料や酸化剤と混合する水蒸気と、発電により生成する水分(水蒸気)とが通過する。セパレータ表面は生成した水が必要以上に結露しないように一定の温度に制御されるのが一般的ではあるが、発電した電力の消費量や燃料供給の変化により、燃料電池内部の発生熱量が変化し、内部温度が変動したり、生成水の量が変動したりする。
例えば温度が低下した場合などにはセパレータ表面が結露しやすくなることがあり、このような現象を完全に排除することは不可能である。結露が発生すると、水滴が流路を塞ぎ、その塞いだ場所以降の電極や触媒に対し燃料供給不足が発生するため、徐々に電圧が低下し、またその水滴が排出されると、流路閉塞が解除されるため燃料供給が回復し、電圧が上昇すると言った電圧不安定現象(フラッディング)が発生するという問題があった。
このような問題点を解決するために、セパレータ表面の親水性を高め、結露した水を薄い膜状に広げることで排水性を高めるという方式が提案されている。例えば、特許文献1で提案されているように、親水化のため、親水性樹脂や金属酸化物を添加させ作成した導電性樹脂で作成したセパレータが検討されている。電圧不安定現象(フラッディング)を起こさないようにするためには、セパレータ表面の親水性を、水の接触角が10°以下の超親水状態にする必要がある。そのためには 親水性樹脂や金属酸化物の添加量を増やす必要がある。
しかしながら、添加量を増やすと、セパレータ材料の電気抵抗が大きくなり、抵抗損失による電圧低下が大きくなり電池性能を低下させるという問題があった。また、親水材料を添加させるのではなく、導電性カーボンと結合剤を混合し圧縮成形したセパレータ表面にプラズマ処理を施し、炭素元素CにC=O、やC−OHなどの親水基を形成させる方法があった。圧縮成形されたカーボン表面はカーボン粒子を構成する黒鉛結晶の化学的に安定なベーサル面(結晶基底面)がセパレータ表面に多く表出しているため、プラズマ処理を施しても、化学的に安定なため表面に十分な量の親水基を形成することができないという問題を有していた。
一方、黒鉛結晶のプリズム面(結晶側面)は化学的に不安定なため親水基を形成しやすく表面に多く表出していることが望ましいが、カーボン粒子と結合剤を混練した圧縮成形体では、表層の厚み1μmの層は黒鉛結晶がベーサル面を表出して層状に存在していることが多く、黒鉛結晶のプリズム面は表層から1μm以上内層まで削除すれば表出してくる。
また、結合剤とカーボン材料との混合度合いにもよるが、セパレータに必要とされる導電特性を満足し、かつ強度を維持するためのカーボン材料の全体に占める割合の最適値は一般に70%〜85%であり、表層を削除する前のベーサル面の表出する面積が表面全体に占める面積比率は70%から90%になっている。表層を削除すれば、ベーサル面の表出する面積が表面全体に占める面積比率は10%以上70%以下程度になる。つまりプリズム面の表出する面積が表面全体に占める面積比率が30%より大きくなれば表面の親水性を付与するのに十分な量の親水官能基が形成される。
図3にその模式図を示す。カーボン粒子1は黒鉛結晶8が面方向や層方向に結合した集合体9となっている。カーボン粒子1と結合剤2が圧縮成形されると型に接触する面の近傍のカーボン粒子1は表面に平行にして並んでいるため、前記カーボン粒子1を構成する黒鉛結晶8のベーサル面7も同様に表面に平行にして並んでいる。カーボン粒子1を構成する黒鉛結晶8の集合体9は鱗片状の形状になっており大きさは、厚さ1〜5μm、直径50〜100μmである。そして、成形表面からの深さが1μmまではカーボン粒子が整列して形成されている確立が高いが、1μmより深い部分ではカーボン粒子1の向きはランダムな向きを向いて整列していない粒子が存在する確立が高くなる。つまり、表層の1μm以上を除去すれば、化学的に不安定なプリズム面が多く表出する。
特開2003−217608号公報
燃料ガスや酸化ガスと混合する水蒸気や、発電によって発生する水分(水蒸気)がセパレータ表面に結露した場合でも水滴とならず、燃料ガス、酸化剤ガスの流路面に薄く水膜として広がり流路を閉塞しないセパレータを実現する。さらには、燃料電池に接続された負荷が変動したり、燃料供給量が変動しても電圧低下や上昇を起こさない安定した発電性能を有する燃料電池を提供する。
本発明の目的は燃料電池の高安定運転を実現することである。また、セパレータの表面特性は接触角などで事前に計測できるが、電圧不安定現象は燃料電池を積層し、発電動作を開始させた後に、セパレータ特性と電極特性などの相互作用にて発現するため、発電させてから電圧が不安定のためセパレータを交換するといった作業が実施される場合もあり、このような作業ロスを削減することを目的とする。
第1に導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、成形表面の内、黒鉛結晶のベーサル面(結晶基底面)表出部分の表面全体に占める面積比率が70%以下であることを特徴とする。
第2に導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、ガス流路表面の少なくとも一部の表面において、黒鉛結晶のベーサル面(結晶底面)表出部分の前記表面全体に占める面積比率が70%以下であることを特徴とする。
第3に導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、成形後の表面層除去厚みが1μm以上であることを特徴とする。
第4に導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、ガス流路表面の少なくとも一部の表面の成形後の表面層除去厚みが1μm以上であることを特徴とする。
第5に反応ガスとして少なくとも酸素を含むプラズマ処理にて表面処理したことを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池を構成するセパレータ表面を親水化することができる。そのため、発電により発生した生成水はセパレータ表面に付着し、薄い水膜を形成する。そして流路内に均一に水膜が形成することで、生成した水と流路面との接触角がゼロに等しくなり、生成水が水滴となって流路を詰まらせることなく、水を排出することが可能となる。燃料ガスが流路に安定して供給されるため、安定した発電が可能となる。
まず、触媒層を形成した電極の作成方法を説明する。アセチレンブラック粉末に、平均粒径が約30Åの白金粒子を25重量%担持したものを電極の触媒とした。この触媒粉末をイソプロパノ−ルに分散させた溶液に、パーフルオロカーボンスルホン酸の粉末をエチルアルコールに分散したディスパージョン溶液を混合し、触媒ペースト状にした。
一方、電極の支持体になるカーボンペーパーを撥水処理した。外寸14cm×14cm、厚み360μmのカ−ボン不織布(東レ製、TGP−H−120)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業製、ネオフロンND1)に含浸した後、これを乾燥し、400℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。このカ−ボン不織布の一方の面に、触媒ペーストをスクリ−ン印刷法を用いて塗布することで触媒層を形成した。このとき、触媒層の一部は、カ−ボン不織布の中に埋まり込んでいる。このようにして作成した触媒層とカ−ボン不織布とを合わせて電極とした。形成後の反応電極中に含まれる白金量は0.6mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cm2となるよう調整した。
次に、外寸が15cm×15cmのプロトン伝導性高分子電解質膜の裏表両面に、一対の電極を触媒層が電解質膜の側に接するようにホットプレスで接合し、これを電極電解質膜接合体(MEA)とした。ここでは、プロトン伝導性高分子電解質として、パーフルオロカーボンスルホン酸を30μmの厚みに薄膜化したものを用いた。
次に、本発明のポイントである導電性セパレータについて記載する。まず、平均粒径が約50μmの人造黒鉛粉末を用意し、人造黒鉛粉末80重量%に、熱硬化性フェノール樹脂20重量%を押し出し混練機で混練し、この混練粉末をガス流路用溝と冷却水流路用溝およびマニホールドを成形するための加工を施した金型に投入し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、金型温度150℃、圧力100kg/cm2で10分間とした。得られたセパレータは、外寸が20cm×20cm、厚みが3.0mm、ガス流路および冷却水流路の深さが1.0mmであった。従って、セパレータ板の最も肉薄部の厚みは1.0mmである。導電性カーボン材料について本実施例では、人造黒鉛を用いたが、例えば 天然黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラックなどの適用も可能である。
このようにして作成したセパレータの表面には、厚みが1μm〜5μm程度で直径50〜100μmのベーサル面が表面と平行になった黒鉛粒子で構成されたカーボン粒子の層がある。この層を平均粒子径20μmの酸化アルミ粉を直径5mmのノズルから1kg/minの吐出量で0.5m/minの平面移動速度で吹き付けることによって10μmの厚み分を除去する。
図1は以上のようにして作成した、本実施例による導電性セパレータの断面形状を示したものである。表面に表出していたベーサル面の向きをそろえた黒鉛結晶の層は除去され、表面より突出した突出カーボン粒子3や結晶構造が窪んだ形状になった凹型カーボン粒子4などが多く表出する。凹型カーボン粒子4を拡大したものを図2に示す。黒鉛粒子6a〜6cは表面にプリズム面(結晶側面)5a〜5cを表出している。このプリズム面(結晶側面)5a〜5cはさらに拡大すると図4に示す黒鉛結晶10のような共有結合の一部が未結合の箇所が多く持つ結晶で構成されている。
また、突出カーボン粒子3の表面にも同様に黒鉛結晶10のような共有結合の一部が未結合の箇所を多く持つ結晶で構成される。つまり、化学的に安定したカーボン表面が破壊され、このような未結合箇所が多く表面に表出しているような化学的に不安定な状態の表面が多く表出することになる。このように化学的に不安定な状態の表面に対しては水の分子などが吸着しやすいため表面の親水性が高まる。さらに表層が除去されたときに凹凸形状が形成されているため表面積が増えるという効果もあり、親水性はさらに高くなる。
表層除去後の表面はカーボン材料と結合剤である樹脂が混合されているため、樹脂部分、黒鉛結晶のベーサル面、黒鉛結晶のプリズム面が混在して表出している。電子走査顕微鏡(SEM)にて断面観察を実施したところ、プリズム面の面積が表面全体面積に占める割合は少ない部分でも30%程度、多いところでは90%程度あった。
次に、このような状態のセパレータ表面に酸素活性ラジカルを反応させる目的で酸素プラズマ処理を施す。使用したプラズマ処理装置は減圧方平行平板型の一般的なRFプラズマ装置でRF電源は13.56MHzの周波数、出力500W、酸素供給量は500sccm、処理時間は5分、チャンバー内圧力は0.5Torrとした。このようにプラズマ処理を施すと、1つの炭素原子の周囲の4つ共有結合の一部が化学的に不安定な未結合状態であるため、活性な酸素ラジカル種と反応し、酸素を含む親水官能基を形成する。
このセパレータの表面分析をX線光電子分光分析法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)で行ったところ、カーボン表面には、化1および化2で示した酸化物官能基すなわち親水性官能基が付与されていたことを確認した。
Figure 2006066139
Figure 2006066139
また、水に対する接触角を計測したところ、図5に示すように圧縮成形直後の接触角は80°、ブラスト処理後は100°であったが、プラズマ処理を施すと10°となった。尚、上述の接触角はセパレータ表面が乾燥状態で水滴を滴下した場合の水滴の接触角であるが、表面が100%の加湿状態に暴露している場合に同様に接触角を計測したところ、圧縮成形直後の接触角は70°、ブラスト処理後は20°、プラズマ処理を施すと0°近傍となった。共有結合の未結合箇所が多く表面に表出している化学的不安定な表面が多く表出している部分に、親水官能基を付着させる目的でプラズマ処理を行うと、CとOの結合箇所が多く形成され、さらにCとOの結合強度も高まるため、非常に大きな親水性を示すとともに、耐久性も高まることになる。
尚、プラズマ処理装置は今回は電極が平行に対向している平行平板型を用いたが、電極が円筒チャンバーの側面に配備されたバレル型でも良い。また、今回は減圧処理を施したが、大気圧雰囲気でプラズマを照射する方法でも良い。また、オゾン雰囲気で紫外光を照射するUVオゾン処理でも良い。
このようにして作成したセパレータ2枚を用い、MEAシートの一方の面に酸化剤ガス流路が形成された本実施例によるセパレータを、裏面に燃料ガス流路が形成された本実施例によるセパレータを重ね合わせ、これを単電池とした。この単電池を2セル積層した後、冷却水路溝を形成したセパレータでこの2セル積層電池を挟み込み、このパターンを繰り返して100セル積層の電池スタックを作成した。この時、電池スタックの両端部には、ステンレス製の集電板と電気絶縁材料の絶縁板、さらに端板と締結ロッドで固定した。この時の締結圧力はセパレータの面積当たり15kg/cm2とした。
このように作製した本実施例の高分子電解質型燃料電池を、80℃に保持し、一方の電極側に75℃の露点となるよう加湿・加温した水素ガスを、もう一方の電極側に65℃の露点となるように加湿・加温した空気を供給した。その結果、電流を外部に出力しない無負荷時には、96Vの電池開放電圧を得た。またこのときの積層電池全体の内部抵抗を測定したところ、約45mΩであった。
この電池を燃料利用率85%、酸素利用率50%、電流密度0.7A/cm2の条件で連続発電試験を行い、出力特性の時間変化を計測した。その結果、本実施例の電池は、8000時間以上にわたって約14kW(62V−224A)の電池出力を維持することを確認した。また、表面にプラズマ処理を施さず、ブラスト処理のみで構成し、上述の如く電池を構成し、連続発電試験を実施したが、同様に8000時間以上約14kW(62V−224A)の電池出力を維持することを確認した。
以上のように本発明によれば、カーボン成形体の表面を超親水化処理可能な方法を提供したが、固体高分子型燃料電池セパレータ流路への適用以外に、酸化物型、炭酸溶融塩型燃料電池セパレータにも適用可能である。また、カーボン素材を接合するための接合面の親水化処理にも適用可能である。
本発明の一実施例におけるセパレータ表面付近の断面を示す模式図 本発明の一実施例におけるセパレータ表面付近の凹型カーボン粒子の断面を示す模式図 従来の一実施例におけるセパレータ表面付近の断面を示す模式図 黒鉛結晶の模式図 本発明の一実施例におけるセパレータの表面の接触角を表すグラフ
符号の説明
1 カーボン粒子
2 結合剤
7 ベーサル面
8 黒鉛結晶

Claims (10)

  1. 導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧・加熱成形することで形成された成形体であって、前記成形体の表面のうち、黒鉛結晶のベーサル面(結晶基底面)表出部分の表面全体に占める面積比率が70%以下であること
    を特徴とする高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  2. 導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、ガス流路表面の少なくとも一部の表面において、黒鉛結晶のベーサル面(結晶底面)表出部分の前記表面全体に占める面積比率が70%以下であること
    を特徴とする高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  3. 導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、成形後の表面層除去量が1μm以上であること
    を特徴とする高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  4. 導電性カーボン材料と結合剤とを混練した混合物質を加圧、加熱成形した成形体であって、ガス流路表面の少なくとも一部の表面の成形後の表面層除去量が1μm以上であること
    を特徴とする高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  5. 切削加工により表面層除去することを特徴とする請求項1または2記載の高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  6. 導電性カーボン材料よりも硬度が大きい微粒子を表面に吹き付ける処理により表面層を除去することを特徴とする請求項1または2記載の高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  7. 表面に親水基を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、または6記載の高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  8. 親水基は少なくとも酸素を含むプラズマ処理にて形成した請求項7記載の高分子電解質型燃料電池セパレータ。
  9. 親水基はUVオゾン処理にて形成した請求項7記載の高分子電解質型燃料電池セパレータ
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載のセパレータを用いて構成した高分子電解質型燃料電池。


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