JP2006065259A

JP2006065259A - 放射線カセッテ用ガイドシート及びそれを組み込んだ放射線カセッテ

Info

Publication number: JP2006065259A
Application number: JP2004272902A
Authority: JP
Inventors: Hitoshi Tomita; 斉冨田; Munekazu Shibata; 統和柴田
Original assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Current assignee: Mitsubishi Chemical Corp
Priority date: 2004-07-29
Filing date: 2004-09-21
Publication date: 2006-03-09

Abstract

【課題】放射線カセッテに設けられている鉛シートとガイドシートの接着工程を省略化できる放射線遮蔽性を有する放射線カセッテ用ガイドシート及びそれを組み込んだ放射線カセッテをを提供する。
【解決手段】放射線遮蔽粉体を含有することを特徴とする放射線カセッテ用ガイドシート及び放射線遮蔽粉体を含有する放射線カセッテ用ガイドシートを組み込むことを特徴とする放射線カセッテ。好ましくは、ガイドシートの素材が熱可塑性樹脂であるか、ガイドシートの素材が熱硬化性樹脂である。また、放射線遮蔽粉体が非鉛系であり、特にタングステン粉であることが、望ましい。そして、鉛当量が０．１以上であると好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線遮蔽粉体を含有する放射線カセッテ用ガイドシート及びそれを組み込んだ放射線カセッテに関するものであり、従来の放射線カセッテに比べて製造工程が簡素化できる。

例えば、蓄積性蛍光体を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報を一旦記録し、この放射線画像情報を写真フィルム等の写真感光材料等に再生し、あるいはＣＲＴ等に可視像として出力されるシステムが知られている。蓄積性蛍光体は、放射線（Ｘ線、α線、γ線、電子線、紫外線等）の照射によりこの放射線エネルギーの一部を蓄積し、後に可視光等の励起光の照射によって蓄積されたエネルギーに応じて輝尽発光を示す蛍光体をいう。この蓄積性蛍光体は、通常、シート状に構成され蓄積性蛍光体シートとして使用されている。

一方、人体等の被写体に放射線、例えば、Ｘ線を照射してこの被写体の放射線画像情報を写真フィルムに直接記録する作業が行われており、この写真フィルムに現像処理が施されることにより可視画像が得られ、この可視画像を使用して医療診断等が行われている。

ところで、上記の放射線画像情報を記録する媒体は、専用のケース（カセッテ）に収納されており、通常、カセッテ内には、放射線の照射面とは反対側に、放射線がカセッテの外に漏れないように鉛シートが設けられている。

さらに、この鉛シートは、ガラスエポキシ基板等のガイドシートに接着、固定されている。

しかし、この鉛シートとガイドシートの接着工程には、接着剤の塗布、鉛シートの均一な貼付及び乾燥が含まれており、時間と手間がかかるものであった。

特開昭６３−１０３２３０号公報特開平７−３６１３１号公報

本発明の目的とするところは、上記従来の問題点を解消すべく、接着工程を省略化できるものであり、具体的には放射線遮蔽粉体を含有する放射線遮蔽性を有する放射線カセッテ用ガイドシート及びそれを組み込んだ放射線カセッテを提供するにある。

上記目的は、放射線遮蔽粉体を含有することを特徴とする放射線カセッテ用ガイドシートを放射線カセッテに組み込むことによって達成される。

本発明のカセッテ用ガイドシートは、それ自体が放射線遮蔽性能を有しており、このガイドシートを放射線カセッテに組み込むことにより時間と手間のかかるガラスエポキシ基板等と鉛シートの接着工程を省略できるため、従来の放射線カセッテに比べて製造工程が簡素化できる。

本発明の放射線カセッテ用ガイドシートは、放射線遮蔽粉体を含有することが肝要である。本発明に使用する放射線遮蔽粉体は、非鉛系の粉体であることが好ましい。具体的には、金属粉や金属化合物粉などが挙げられ、例えば、金属粉としては、タングステン粉、鉄粉、ステンレス鋼粉、銅粉、錫粉、亜鉛粉等が挙げられる。また、金属化合物粉としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の金属窒化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属硫酸塩、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩があげられる。特に、放射線遮蔽の点でタングステン粉が好ましい。

本発明の放射線カセッテ用ガイドシートの素材は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体例としては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶性ポリマー、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。これらは単体、若しくは２種以上の混合物として使用しても良い。

上記熱可塑性樹脂のうち、特に、成形性、機械的特性及び低反り性の面でポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂（ＡＢＳ樹脂）、ポリカーボネート樹脂（ＰＣ樹脂）、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。

上記ポリアミド樹脂としては、具体的にはナイロン６、ナイロン６６、ナイロン１２、ナイロン１１、ナイロン４６、ＭＸＤ６ナイロン、芳香族ナイロン等が挙げられるが、特に、ナイロン６、ナイロン６６及びナイロン１２が好ましい。

また、他の熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマーも使用することができる。

本発明に用いられる熱可塑性エラストマーは、分子中に弾性を持つゴム成分（ソフトセグメント）と、塑性変形を防止するための分子拘束成分（ハードセグメント）との両成分を持っており、ソフトセグメントの分子運動が局所的にハードセグメントによって拘束されているため、常温ではゴム弾性体としての挙動をとるが、温度上昇によって塑性変形をする高分子材料のことである。高温で可塑化して成形が可能となり、常温下ではその形状を保ち、かつ容易に変形することが求められるためである。

具体的には、ハードセグメントがポリスチレン、ソフトセグメントが（水添）ポリブタジエンや（水添）ポリイソプレンであるスチレン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントがポリエチレンやポリプロピレン、ソフトセグメントがエチレン・プロピレン・ジエン共重合体（ＥＰＤＭ）やブチルゴムであるオレフィン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントがポリエステル、ソフトセグメントがポリエーテルや脂肪族ポリエステルであるポリエステル系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントがウレタン構造、ソフトセグメントがポリエーテルやポリエステルであるウレタン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントがポリアミド、ソフトセグメントがポリエーテルやポリエステルであるポリアミド系熱可塑性エラストマーが挙げられる。

また、ハードセグメントがシンジオタクチック１，２−ポリブタジエン、ソフトセグメントが非結晶ポリブタジエンである１，２−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ハ
ードセグメントがトランス１，４−ポリイソプレン、ソフトセグメントが非結晶ポリイソプレンであるトランス１，４−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントが金属カルボキシレートイオンクラスター、ソフトセグメントが非結晶ポリエチレンであるアイオノマー、ハードセグメントが結晶ポリエチレン、ソフトセグメントがエチレン−エチルアクリレート共重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体であるＰＥ／ＥＥＡ,ＥＶＡ系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントがフッ素系樹脂、ソフトセグメントがフッ素系ゴムであるフッ素系熱可塑性エラストマー等を使用することも可能である。

また、上記熱可塑性樹脂にガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカ等の補強材を配合してもよい。

熱可塑性樹脂を放射線カセッテ用ガイドシートの素材として用いた場合、放射線カセッテ用ガイドシートの製造方法は、例えば、予め熱可塑性樹脂に溶融混練等で放射線遮蔽粉体や必要に応じて補強材や添加剤を溶融分散させて得られた組成物を射出成形、押出成形、プレス成形等で所望の形状にすればよい。

また、本発明の放射線カセッテ用ガイドシートの素材が、熱硬化性樹脂であっても好ましい。具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等があげられる。

上記熱硬化性樹脂を用いる場合、そのもの自体は脆いため補強材を併用することが好ましい。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等があげられる。

熱硬化性樹脂を放射線カセッテ用ガイドシートの素材として用いた場合、放射線カセッテ用ガイドシートの製造方法は公知の方法を使用することが出来る。例えば、(1)表面樹
脂を型に塗布して初期硬化した後、予めタングステン粉等の放射線遮蔽粉体と硬化剤を混ぜた樹脂とガラス繊維で積層する方法（ハンドレイアップ成形法）(2)表面樹脂を型にス
プレーし初期硬化した後、予めタングステン粉等の放射線遮蔽粉体、ガラス繊維等のチョップドストランドと硬化剤を混ぜた樹脂を型上にスプレーで吹き付ける方法（スプレーアップ成形法）等があげられるが、これらに限定されない。

本発明の放射線カセッテ用ガイドシートの鉛当量は、好ましくは０．１以上であり、さらに好ましくは０．１３以上である。

例えば、タングステン粉を５７重量％配合したナイロン６の組成物を用いて放射線カセッテ用ガイドシートの厚み１ｍｍを製造した場合、これの鉛当量は０．１３となる。

本発明の放射線カセッテは、放射線遮蔽粉体を含有する上記放射線カセッテ用ガイドシートを組み込んでいることが肝要である。

これによって、従来行われていた、時間と手間のかかるガラスエポキシ基板等と鉛シートの接着工程を省略できる。

以下、実施例で本発明を更に詳しく説明する。尚、物性評価は以下の方法に従って実施した。

・鉛当量：ＪＩＳＺ４５０１に準拠して行った。

実施例１〜５
表１に示した各種の熱可塑性樹脂、補強材、放射性遮蔽粉体を表１に示した配合組成で２軸混練押出機（日本製鋼所社製ＴＥＸ３０α）を用い、樹脂組成物のペレットを作った。得られたペレットを用い、型締圧７５０ｔの射出成形機で１ｍｍ厚のプレートを成形し、鉛当量を評価した。その結果も表１に示した

実施例６
ビスフェノールＡ型エポキシ樹脂（油化シェルエポキシ社製エピコート８２８）を３２重量部、放射性遮蔽粉体として実施例１で使用したタングステン粉を５３重量部、硬化剤としてジエチレントリアミン１重量部を混合して充分撹拌した後ガラス繊維チョップドストランドマットが２０重量部になるようにハンドレイアップ法で積層し、厚み１ｍｍの平板成形品を得た。得られた成形品の鉛当量を評価した結果、０．１３であった。

実施例７
不飽和ポリエステル樹脂（大日本インキ社製ポリライトＦＨ−１０３）を３２重量部、放射性遮蔽粉体として実施例１で使用したタングステン粉を５３重量部、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキシド−コバルト石けん１重量部を混合して充分撹拌した後ガラス繊維チョップドストランドマットが２０重量部になるようにハンドレイアップ法で積層し、厚み１ｍｍの平板成形品を得た。得られた成形品の鉛当量を評価した結果、０．１３であった。

実施例８
実施例１−７で得られた平板成形品を切断し、ガラスエポキシ基板が組み込まれていない放射線カセッテに組み込んだ。得られた放射線カセッテに写真フィルムを挿入し、Ｘ線を照射して被写体を撮影した。その結果、従来の鉛を貼り付けたガラスエポキシ基板が組み込まれている放射線カセッテを使用した場合と変わらない画像を得た。

本発明のカセッテ用ガイドシートは、それ自体が放射線遮蔽性能を有しており、このガイドシートを放射線カセッテに組み込むことにより時間と手間のかかるガラスエポキシ基板等と鉛シートの接着工程を省略できる。また、本発明の放射線カセッテは放射線を使用する医療分野に有用である。

Claims

放射線遮蔽粉体を含有することを特徴とする放射線カセッテ用ガイドシート。
ガイドシートの素材が熱可塑性樹脂である請求項１記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーである請求項１または２のいずれかに記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
ガイドシートの素材が熱硬化性樹脂である請求項１記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
放射線遮蔽粉体が非鉛系である請求項１記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
放射線遮蔽粉体がタングステン粉である請求項５記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
鉛当量が０．１以上である請求項１記載の放射線カセッテ用ガイドシート。
放射線遮蔽粉体を含有する放射線カセッテ用ガイドシートを組み込むことを特徴とする放射線カセッテ。