JP2006064258A - 空気調和システム、空調制御装置および空調制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 インテリアゾーンIZとインテリアゾーンIZに対して空間的に連続可能なペリメータゾーンPZとを有する部屋80を対象として空気調和を行うためのコラボレーション空調システムであって、エアハン14と、室内機203と、エアハン還気調製装置70とを備えている。エアハン14は、インテリアゾーンIZに対してエアハン給気SAの給気が可能である。室内機203は、ペリメータゾーンPZに対してビルマル給気SBの給気が可能である。エアハン還気調製装置70は、エアハン14の還気として用いるエアハン還気RAを調製する。このエアハン還気調製装置70は、少なくともインテリアゾーンIZの空気であるインテリア還気RA1とペリメータゾーンPZの空気であるペリメータ還気RA2とを組み合わせ、インテリア還気RA1とペリメータ還気RA2との比率を調整することにより、エアハン還気RAを調製する。
【選択図】 図2
Description
ここでは、調製装置が、第1温度検知部が検知する値に基づいて、第1空気と第2空気との混合比率を調整する。このため、第1エリアの温度に応じて、第1空調装置の空調負荷をより効率的に低減させることができるようになる。
ここでは、第1給気量調整部が第1温度検知部において検知される値に基づいて第1調和空気の給気量を調整する。このため、調製装置によって第1対象空気の温度が所定の温度に調整された場合に、第1給気量調整部による給気量が調整されることにより、第1エリアの空調負荷の変動に対応した空調を行うことができるようになる。
ここでは、調製装置が、第1対象空気の温度が第1調和空気の温度と等しくなるように、第1空気と第2空気との比率を調整する。このため、第1空調装置における熱交換を不要とし、送風運転による第1エリアの空調が可能となる。このため、空調負荷をなくし、より効果的な省エネを図ることができる。
ここでは、調製装置によって調製される第1対象空気の温度が第1エリアの設定温度以下の場合に、第1空調機能を停止して、第1対象空気を第1調和空気として第1エリアに対して給気する送風運転を行う。したがって、第1空調装置は、このように調製された第1対象空気を第1エリアに対して送風することで、第1エリアの温度が上がり過ぎないようにすることができ、第1エリアの快適性を損ないにくくすることができる。これにより、第1空調装における空調負荷をなくしつつ、第1エリアの快適性を損なわないようにすることができる。
ここでは、第1温度検知部によって検知される温度が第2エリアの設定温度以上の場合に、第2空調装置は、第2空調機能を停止して、第1空気を第2調和空気として第2エリアに対して給気する送風運転を行う。すなわち、第1エリアの温度が第2エリアの設定温度よりも高い場合において、より熱量を多く含んだ第1空気を第2エリアに対して給気することができる。これにより、第2空気の温度が第2エリアの設定温度よりも低い状態を緩和することが可能となり、第2エリアの快適性を損ないにくくすることができる。これにより、第2空調装置における空調負荷をなくしつつ、第2エリアの快適性を損なわないようにすることができる。
第10発明に係る空気調和システムは、調製装置は、第1空気と外気との間のエンタルピおよび/または温度との関係に基づいて、外気の比率を調整する。
第11発明に係る空気調和システムは、第2エリアは、空間のうち外周近傍エリアのペリメータゾーンであり、第1エリアは、空間のうちペリメータゾーンよりも内部のエリアのインテリアゾーンである。
第12発明に係る空気調和システムは、第1エリアと第1エリアに対して空間的に連続可能な第2エリアとを有する空間を対象として空気調和を行うための空気調和システムであって、第3空調装置と、第2空調装置とを備えている。第3空調装置は、第1エリアに対して第3調和空気の給気が可能である。第2空調装置は、第2エリアに対して第2調和空気の給気が可能である。この第3空調装置は、還気として用いる第3対象空気の調製が可能であり、少なくとも第1エリアの空気である第1空気と第2エリアの空気である第2空気とを組み合わせる。そして、第3空調装置は、組み合わされる第1空気と第2空気との比率を調整することにより、第3対象空気を調製するための調整部を有している。なお、第1空気と第2空気との比率の調整は1カ所において行われる必要はなく、例えば、所定量の第1空気を取り込むためのダンパ等と第1空気の量に応じた量の第2空気を取り込むためのダンパ等が別々に設けられて、比率が調整されるというような場合も含まれる。
第2発明に係る空気調和システムでは、第1エリアの温度に応じて、第1空調装置の空調負荷をより効率的に低減させることができるようになる。
第3発明に係る空気調和システムでは、調製装置によって第1対象空気の温度が所定の温度に調整された場合に、第1給気量調整部による給気量が調整されることにより、第1エリアの空調負荷の変動に対応した空調を行うことができるようになる。
第5発明に係る空気調和システムでは、第1空調装置における熱交換を不要とし、送風運転による第1エリアの空調が可能となる。このため、空調負荷をなくし、より効果的な省エネを図ることができる。
第7発明に係る空気調和システムでは、第1空調装における空調負荷をなくしつつ、第1エリアと第2エリアとの快適性を損なわないようにすることができる。
第9発明に係る空気調和システムでは、第1空調装置における空調負荷を低減でき、省エネ化を図ることができる。
第10発明に係る空気調和システムでは、第1空調装置における空調負荷をより確実に低減させることができ、省エネ化をより効果的にすることができる。
第12発明に係る空気調和システムでは、第1エリアと第2エリアとの環境が異なる状況であっても、混合ロスを効果的に低減させることが可能になる。
第14発明に係る空調制御方法では、第1エリアと第2エリアとの環境が異なる状況であっても、混合ロスを効果的に低減させることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る協調空調システムを、図1に示す。協調空調システムは、インテリジェント化されたビル等を対象として空調設備の運転・管理を行うシステムであって、セントラル空調システム100とビル用マルチ空調システム200とが、上位のシステムである設備管理装置12によって協調制御されることにより運用されるシステムである。
設備管理装置12は、図1に示すように、セントラル空調システム100とビル用マルチ空調システム200とから各種データを取得する取得部12aと、取得部12aで取得したデータに基づいてこれらの各システムの制御を行う制御部12bとを備えている。設備管理装置12は、セントラル空調システム100とビル用マルチ空調システム200とを協働させて、空調対象エリアの快適化を図る協調制御を行う。
セントラル空調システム100は、本協調空調システムが採用される複数の部屋等から構成される1つのビルに対して、1つの中央熱源機器110を運転することにより、複数の部屋等の全てを対象として空調を行う構成となっている。したがって、セントラル空調システム100の中央熱源機器110の運転が停止されると、全てのエリアにおける熱交換ができなくなり、空調が行われなくなる。
このエアハンコントローラ31は、さらに、後述するVAVユニット16のVAVコントローラ61を介してVAVダンパ62を制御したり、VAVユニット16やインテリア温湿度センサ18から部屋80のインテリアゾーンIZの温度データ等を受信したりする。
VAVコントローラ61は、接続ポート61aによってローカル通信ライン20に接続されている。
ローカル通信ライン20は、エアハンコントローラ31が持つ3つの接続ポート31a,31b,31cのうちローカル通信用接続ポート31bから延びるツイストペアケーブルである。
エアハン14内のエアハンコントローラ31は、VAVコントローラ61へと制御データを送信するとともに、VAVコントローラ61から送信されてくる監視データを受信する。制御データとは、発停指令、室内温度設定、冷暖房モード指令、VAV起動/停止指令などである。監視データとは、給気温度計測値、室内計測温度、室内計測湿度、VAV状態、VAV要求風量、VAV計測風量、VAV開度状態などのデータである。
(エアハンコントローラと調製装置コントローラとの接続)
調製装置コントーラ32は、接続ポート32aによってローカル通信ライン22と接続されている。
エアハン14内のエアハンコントローラ31は、調製装置コントーラ32へ後述する混合ロス低減制御に関するデータを送信するとともに、調製装置コントーラ32から送信されてくる検知データを受信する。ここでの検知データとしては、ビル用マルチ空調システム200による調和空気の温度や湿度データ、ペリメータゾーンPZからの還気の温度や湿度データ、インテリアゾーンIZからの還気の温度や湿度データ、外気の温度や湿度等のデータ、室内温度設定データ、冷暖房モードデータ、VAV起動/停止指令データ、VAV要求風量、VAV計測風量、VAV開度状態等のデータがある。また、混合ロス低減制御に関するデータとしては、例えば、調製装置コントーラ32において上記検知データを基にして算出されるデータである、インテリア還気RA1とペリメータ還気RA2との混合比率制御データ、外気導入量制御データ等がある。例えば、混合比率制御データの算出は、主に、エアハン14におけるエアハン給気SAの給気量や、インテリア温湿度センサ18の検知する値や、導入する外気OAの温度、室内機203の設定温度またはビルマル給気SBの温度に基づいた算出が行われる。
本発明の協調空調システムの一部を構成するビル用マルチ空調システム200の冷媒回路の概略図を、図3に示す。ビル用マルチ空調システム200は、図1に示すように、主に、複数台の空冷式の室外機201、202・・・(なお、図3では複数のうちの1台である室外機202を例として図示する)と、それに並列に接続された複数台の室内機203,204,205・・・(なお、図3では室外機202に接続される複数の室内機203、204、205を図示する)とを備えており、上述のビル等のオフィス毎の空調に適用される。
室内機203、204、205・・・は、主に、膨張弁213、214、215と、室内熱交換器223、224、225とを有している。膨張弁213、214、215は、室外熱交換器212において熱交換されて凝縮された冷媒液を減圧する。室内熱交換器223、224、225は、膨張弁213、214、215において減圧された冷媒によって各室内の空気と熱交換させるための機器である。
以上のように、機器および冷媒配管が接続されて、ビル用マルチ空調システム200の冷媒回路が構成されている。また、上記室内機203は、図5に示すように、送風機243や、ペリメータ温湿度センサ253等が備えられ、部屋80のうち主にペリメータゾーンPZを対象として空調を行う室内機である。
<協調空調システムを含むBAS>
エアハンコントローラ31を備えるセントラル空調システム100と、ビル用マルチ空調システム200とは、上位のシステムであるBAS(ビル・オートメーション・システム)を構成する複数のサブシステムのうちの1つとして位置づけられる。BASは、ネットワークの技術を利用したオープンシステムであり、通信ライン10にセントラル空調システム100やビル用マルチ空調システム200等のような複数のサブシステムおよびビル管理用の設備管理装置12が接続される構成となっている。そして、セントラル空調システム100やビル用マルチ空調システム200等のサブシステムは、設備管理装置12によって制御や監視を受けることになる。また、設備管理装置12は、上述のように、セントラル空調システム100とビル用マルチ空調システム200とから各種データを取得する取得部12aと、取得部12aで取得したデータに基づいてこれらの各システムの制御を行う制御部12bとを備えている。設備管理装置12では、取得部12aで取得したデータに基づいて制御部12bによってエアハン14やVAVユニット16、調製装置コントーラ32等への制御指令が作成され、送信される。また、この設備管理装置12の取得部12aは、外気冷房の制御に必要なデータである外気温度および外気湿度等のデータを、外気温湿度センサ79による検知データを調製装置コントーラ32を介することで取得する。
調製装置コントーラ32は、混合空気温湿度センサ74によって検知される還気混合空気RA3の温度・湿度等のデータを、エアハンコントローラ31を介して、設備管理装置12に対して送信する。
<セントラル空調システムによるインテリアゾーンを対象とした空調制御>
エアハンコントローラ31および調製装置コントーラ32は、セントラル空調システム100において、給気温度制御、給気露点温度制御、ウォーミングアップ制御、給気風量制御、給気温度ロードリセット制御および外気冷房制御等を行う。これによって、図5において示すように、セントラル空調システム100によって、部屋80のうち、主としてインテリアゾーンIZを対象とした空調を行うことができる。ここでのセントラル空調システム100による空調は、インテリア温湿度センサ18が検知する温湿度に基づいて行われる。ネットワークの通信ライン10を介して上位の設備管理装置12と接続された後には、設備管理装置12からの指令によってエアハンコントローラ31が各種制御を行うことになるが、エアハンコントローラ31が上位のシステムと接続されていない状態であっても、エアハンコントローラ31が主体的に各種制御を実行することが可能である。この場合には、図示しないリモコンや本体操作スイッチからのエアハンコントローラ31への操作入力に従って各種制御が実行される。
室外機202は、ネットワークの通信ライン10を介して上位の設備管理装置12と接続され、設備管理装置12からの指令を受けることによって、ビル用マルチ空調システム200において、室内機204、205とともに室内機203を稼働させる。これにより、図5において示すように、室内機203が、部屋80のうち、主としてペリメータゾーンPZを対象とした空調を行うことができる。ここでのビル用マルチ空調システム200による空調は、ペリメータ温湿度センサ253が検知する温湿度に基づいて行われる。
<セントラル空調システムとビル用マルチ空調システムによる協調制御>
セントラル空調システム100では、図5において示すように、室内機203によって調和された空気の一部である流用空気SB1、ペリメータゾーンPZからの還気RAと2、インテリアゾーンIZからのインテリア還気RA1と、外気OAとが混合されてエアハン14のエアハン還気RAを構成し、エアハン14のフィルタ53、冷却部41,加熱部42,加湿部43等によって調和・清浄されてインテリアゾーンIZに対して給気されることにより、部屋80のうち主にインテリアゾーンIZの空調が行われる。具体的には、インテリア還気RA1はダクト1を介することで、ペリメータ還気RA2はダクト8およびダクト2を介することで、各空気が混合されて還気混合空気RA3となる。この還気混合空気RA3の温度は、混合比率調整ダンパ73の混合比率の制御や、外気導入ダンパ77の外気導入量制御等によって調整される。ここで、混合比率調整ダンパ73や外気導入ダンパ77は、上述した調製装置コントーラ32によって、インテリア温湿度センサ18の検知する値、室内機203の設定温度またはビルマル給気SBの温度、導入する外気OAの温度、エアハン14におけるエアハン給気SAの給気量に基づいて、ダンパ72とダンパ76との開度が制御される。ここでは、調製装置コントーラ32が混合比率制御部71および外気導入量制御部75に対して制御信号を送信することで、混合比率制御部71がダンパ72の開度を調整し、外気導入量制御部75がダンパ76の開度を調整して、それぞれ風量の増減制御が行われることで、還気混合空気RA3の温度が調整される(図2参照)。これにより、エアハン還気RAが調製され、エアハン14の還気側に供給される。このエアハン還気調製装置70の外気導入ダンパ77では、上述のように、外気導入量制御部75によってダンパ76の開度が制御され、後述する外気冷房制御を行う時以外では、外気OAの導入量が一定の量に維持されるように調整される。なお、ここでは、外気OAの導入量は、最低外気補償量を越える所定の量とされる。エアハン還気RAは、エアハン14の冷却部41,加熱部42,加湿部43等によって調和され、エアハン給気SAとなる。この調和されたエアハン給気SAは、給気ファン47によってダクト5を介して各VAVユニット16まで供給され、各VAVユニット16において風量が調整されることによりインテリアゾーンIZに対して給気される。
上述のように部屋80のインテリアゾーンIZとペリメータゾーンPZとを対象として空調が行われている場合において、インテリアゾーンIZとペリメータゾーンPZとで空調負荷が異なることに起因して、セントラル空調システム100による調和空気とビル用マルチ空調システム200による調和空気との間で、混合ロスが生ずる場合がある。
本協調空調システムでは、このように混合ロスが生じる状況に対応するために、図4において示すように、部屋80の状況に応じて4つの状態で遷移する混合ロス低減制御が行われる。なお、この混合ロス低減制御は、インテリアゾーンIZとペリメータゾーンPZとを有する空間を対象として空調する場合の、冬場の空調制御として主に適用されるが、上述のように混合ロスが生じる様々な状況においても適用される。例えば、図5において示すように、冬場において、窓11からの輻射冷気を受けて暖房負荷の掛かるペリメータゾーンPZと、OA機器等が設置されていることにより発熱を伴い冬場でも冷房負荷が掛かるインテリアゾーンIZとを対象として空調する場合に、上述の逆負荷が生じやすくなり、混合ロス低減制御が行われる。
(暖房運転)
冬場、例えば、朝7時頃において、インテリアゾーンIZとペリメータゾーンPZとの両方が設定温度に満たない状態では、図6において示すように、ビル用マルチ空調システム200の室内機203(図では「ビルマル」と示す)およびセントラル空調システム100のエアハン14の両方が暖房運転を行う。具体的には、図6において示すように、エアハン14は、エアハン還気調製装置70における混合比率制御によって、15℃のペリメータ還気RA2、22℃のインテリア還気RA1および5℃の外気OAが混合されて20℃に調整されたエアハン還気RAを取り込む。そして、混合比率制御によって温度が調整されたエアハン還気RAを、加熱部42によって暖めることで28℃のエアハン給気SAを調製し、風量調整部17によってインテリアゾーンIZの各エリアに対して給気することでインテリアゾーンIZを暖房する。ここでのエアハン還気調製装置70における混合比率の調整は、エアハン給気SAの設定温度値に近い温度となるように調整され、空調負荷を低減させる。また、室内機203は、22℃のビルマル還気RBを、室内熱交換器223によって暖めて36℃のビルマル給気SBとして、送風機243によってペリメータゾーンPZに対して給気することで暖房する。
また、朝10時頃になると、インテリアゾーンIZに設置されているOA機器等からの発熱によってインテリアゾーンIZの温度が上昇し、インテリアゾーンIZが設定温度に到達する。ここで、ペリメータゾーンPZは未だ設定温度に満たない状態では、図7において示すように、セントラル空調システム100のエアハン14が送風運転となり、ビル用マルチ空調システム200の室内機203は暖房運転を続け、暖房勝手運転となる。具体的には、図7において示すように、エアハン14は、エアハン還気調製装置70における混合比率制御によって、15℃のペリメータ還気RA2、26℃のインテリア還気RA1および5℃の外気OAが混合されて22℃に調整されたエアハン還気RAを取り込む。そして、混合比率制御によって温度が調整されたエアハン還気RAを、熱交換することなくそのままエアハン給気SAとして送風運転し、風量調整部17によってインテリアゾーンIZの各エリアに対して給気する。ここでのエアハン還気調製装置70における混合比率の調整は、調製されるエアハン還気RAの温度がエアハン給気SAの設定温度と等しくなるように調整して、エアハン14における空調負荷をなくするように調整する。また、室内機203は、26℃のビルマル還気RBを、室内熱交換器223によって暖めて36℃のビルマル給気SBとして、送風機243によってペリメータゾーンPZに対して給気することで暖房する。
また、正午頃において、インテリアゾーンIZのOA機器等からの発熱量が増加して温度がさらに上昇し、暖房勝手運転を行っていても、インテリアゾーンIZの設定温度を超えてしまう。ここで、ペリメータゾーンPZが未だ設定温度に満たない状態では、図8において示すように、セントラル空調システム100のエアハン14が冷房運転となり、ビル用マルチ空調システム200の室内機203は送風運転となり、冷房勝手運転となる。具体的には、図8において示すように、エアハン14がエアハン還気調製装置70における混合比率制御によって、20℃のペリメータ還気RA2、28℃のインテリア還気RA1および10℃の外気OAが混合されて26℃に調整されたエアハン還気RAを取り込む。そして、混合比率制御によって温度が調整されたエアハン還気RAを、冷却部41によって冷却して、22℃のエアハン給気SAとして、風量調整部17によってインテリアゾーンIZの各エリアに対して給気することで冷房する。ここでのエアハン還気調製装置70における混合比率の調整は、調製されるエアハン還気RAの温度がエアハン給気SAの設定温度値に近づけて空調負荷を低減できるように調整する。また、室内機203は、28℃のビルマル還気RBを、室内熱交換器223による熱交換を行うことなく送風運転し、そのままビルマル給気SBとして、送風機243によってペリメータゾーンPZに対して給気する。
また、正午過ぎにおいて、インテリアゾーンIZのOA機器等からの発熱量が著しく温度がさらに上昇し、冷房勝手運転を行っていても、インテリアゾーンIZの設定温度を超えてしまう。ここで、ペリメータゾーンPZの温度も設定温度に近づいて冷房負荷が大きくなった状態では、セントラル空調システム100のエアハン14と、ビル用マルチ空調システム200の室内機203との両方が冷房運転を行う。具体的な空気の流れは、上述とほぼ同様であり、省略する。
(1)
従来の空気調和システムでは、インテリアゾーンに対して給気される調和空気とペリメータゾーンに対して給気される調和空気との関係で生じる混合ロスの低減を目的としている。しかし、従来の空気調和システムでは、空調対象エリアの一部の状態が他の空調対象エリアに影響を及ぼすことがあり、当該一部の状態によっては、他の空調対象エリアに対する空調負荷の低減を十分に行えないおそれがある。
これに対して、上記協調空調システムでは、エアハン還気調製装置70が、エアハン還気RAの調製において、インテリアゾーンIZの空気とペリメータゾーンPZの空気と混合させ、これらの混合空気の比率を調整して、エアハン還気RAをインテリアゾーンIZに対して給気する目的の空気の状態に近づけることができる。これにより、インテリアゾーンIZとペリメータゾーンPZとの環境が異なる状況であっても、インテリアゾーンIZに対する効果的な空調が可能になる。
上記協調空調システムでは、エアハン給気SAの温度とインテリア温湿度センサ18が検知する値との関係に基づいて、VAVユニット16の給気量が調整される。また、エアハン還気調製装置70によって、エアハン還気RAの温度がエアハン給気SAの温度に近づくように、混合比率が調整される。このため、インテリアゾーンIZを快適にするために要するエアハン給気SAの流量を調整できる。さらに、エアハン還気RAの温度がエアハン給気SAの温度に近づけられることにより、エアハン14の空調手段(冷却部41、加熱部42、加湿部43、中央熱源機器110)における空調負荷を軽減させることができる。このため、インテリアゾーンIZの快適性の向上とセントラル空調システムの省エネ運転とを同時に実現することができる。
(3)
上記協調空調システムでは、エアハン還気調製装置70によってエアハン還気RAの温度が所定の温度に調整された場合に、風量調整部17による給気量が調整されることにより、インテリアゾーンIZの空調負荷の変動に対応した空調を行うことができる。
上記協調空調システムでは、インテリア温湿度センサ18によって検知される温度が、ペリメータゾーンPZの設定温度に満たない場合に、室内機203は、熱交換器を稼働させて、ビルマル還気RBから調和されたビルマル給気SBを調製し、ペリメータゾーンPZに対して給気する暖房運転を行う。このため、ペリメータゾーンPZについても省エネ運転により快適性を損なわれにくいようにすることができる。
上記協調空調システムでは、ペリメータ還気RA2の温度がペリメータゾーンPZの設定温度よりも低く、インテリア還気RA1の温度がペリメータゾーンPZの設定温度以上の場合に、室内機203は、熱交換器を停止してインテリア還気RA1をビルマル給気SBとしてペリメータゾーンPZに対して給気する送風運転を行い、エアハン14は、中央熱源機器110を稼働させて、エアハン還気RAを還気としてエアハン給気SAを調製してインテリアゾーンIZに対して給気する冷房運転を行う。すなわち、インテリア還気RA1の温度がペリメータゾーンPZの設定温度よりも高い場合において、より熱量を多く含んだインテリア還気RA1をペリメータゾーンPZに対して給気することができる。これにより、ペリメータ還気RA2の温度がペリメータゾーンPZの設定温度よりも低い状態が緩和され、ペリメータゾーンPZの快適性を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記協調空調システムでは、セントラル空調システム100において取り込む外気量を所定の値に固定した空調制御を例に挙げて説明した。
上記協調空調システムでは、セントラル空調システム100のエアハン還気調製装置70に備わる混合比率調整ダンパ73と外気導入ダンパ77とが別個に設けられている構成を例に挙げて説明した。
これに対して、図9において示すように、外気導入ダンパと混合比率調整ダンパとが1つのダンパ376から構成され、インテリア還気RA1とペリメータ還気RA2と外気OAとが一箇所において同時に混合するようにしもよい。
上記協調空調システムでは、セントラル空調システム100におけるエアハン還気調製装置70がエアハン14とは別個に設けられ、混合比率調整ダンパ73と外気導入ダンパ77とを制御する場合を例に挙げて説明した。
これに対して、エアハン還気調製装置70は、図9において示す混合比率調整部370ように、比率調整内蔵エアハン314に内蔵されている構成であってもよい。この場合でも、上記別個に構成されている場合と同様の作用および効果を奏することができる。
上記協調空調システムでは、エアハン還気調製装置70において、温度が調整されたエアハン還気RAを調製している。
これに対して、インテリア還気RA1と、ペリメータ還気RA2と、外気OAとの混合比率の調整は、1カ所において行われる必要はない。例えば、所定量のインテリア還気RA1を取り込むためのダンパ等と、ペリメータ還気RA2を取り込むためのダンパ等と、外気OAを取り込むためのダンパ等とが別々に設けられて、結果的に混同比率が調整されるというような構成であってもよい。
上記協調空調システムでは、インテリアゾーンIZは主としてセントラル空調システム100によって空調され、ペリメータゾーンPZは主としてビル用マルチ空調システム200によって空調され、両システムが上位の設備管理装置12によって協調制御されて運用されるシステムを例に挙げて説明した。
さらに、ペリメータゾーンPZに対して、上記実施形態で示したビル用マルチ空調システム200の代わりにセントラル空調システム100を適用して、インテリアゾーンIZに対して、上記実施形態で示したセントラル空調システム100の代わりにビル用マルチ空調システム200を適用して、インテリアゾーンIZおよびペリメータゾーンPZがこれら2つの空調システム100,200によって協調制御される空調システムとしてもよい。
12a 第1温度取得部(取得部)
12b 制御部
14 第1空調装置(エアハン)
17 第1給気量調整部(風量調整部)
18 第1温度検知部(インテリア温湿度センサ)
41 第1空調機能(冷却部)
42 第1空調機能(加熱部)
43 第1空調機能(加湿部)
70 調製装置(エアハン還気調製装置)
80 部屋
110 第1空調機能(中央熱源機器)
203 第2空調装置(室内機)
223 第2空調機能(室内熱交換器)
253 第2温度検知部(ペリメータ温湿度センサ)
314 第3空調装置(比率調整内蔵エアハン)
370 調整部(混合比率調整部)
IZ 第1エリア(インテリアゾーン)
OA 外気
PZ 第2エリア(ペリメータゾーン)
RA 第1対象空気(エアハン還気)
RA1 第1空気(インテリア還気)
RA2 第2空気(ペリメータ還気)
SA 第1調和空気(エアハン給気)
SB 第2調和空気(ビルマル給気)
Claims (14)
- 第1エリア(IZ)と前記第1エリア(IZ)に対して空間的に連続可能な第2エリア(PZ)とを有する空間(80)を対象として空気調和を行うための空気調和システムであって、
前記第1エリア(IZ)に対して第1調和空気(SA)の給気が可能な第1空調装置(14)と、
前記第2エリア(PZ)に対して第2調和空気(SB)の給気が可能な第2空調装置(203)と、
前記第1空調装置(14)の還気として用いる第1対象空気(RA)を調製する調製装置(70)と、
を備え、
前記調製装置(70)は、少なくとも前記第1エリア(IZ)の空気である第1空気(RA1)と前記第2エリア(PZ)の空気である第2空気(RA2)とを組み合わせ、前記第1空気(RA1)と前記第2空気(RA2)との比率を調整することにより、前記第1対象空気(RA)を調製する、
空気調和システム。 - 前記第1空調装置(14)は、前記第1空気(RA1)の温度を検知可能な第1温度検知部(18)を有しており、
前記調製装置(70)は、前記第1温度検知部(18)が検知する値に基づいて、前記比率を調整する、
請求項1に記載の空気調和システム。 - 前記第1空調装置(14)は、前記第1エリア(IZ)に対する前記第1調和空気(SA)の給気量を調整可能な第1給気量調整部(17)を有し、
前記第1給気量調整部(17)は、前記第1温度検知部(18)が検知する値に基づいて、前記第1エリア(IZ)に対する前記第1調和空気(SA)の給気量を調整する、
請求項2に記載の空気調和システム。 - 前記第1給気量調整部(17)は、前記第1調和空気(SA)の温度と前記第1温度検知部(18)が検知する値との関係に基づいて、前記第1エリア(IZ)に対する前記第1調和空気(SA)の給気量を調整し、
前記調製装置(70)は、前記第1対象空気(RA)の温度が前記第1調和空気(SA)の温度に近づくように、前記比率を調整する、
請求項3に記載の空気調和システム。 - 前記調製装置(70)は、前記第1対象空気(RA)の温度が前記第1調和空気(SA)の温度と等しくなるように、前記比率を調整する、
請求項4に記載の空気調和システム。 - 前記第2空調装置(203)は、前記第2空気(RA2)の温度を検知可能な第2温度検知部(253)を有しており、
前記第1温度検知部(18)によって検知される温度が前記第2エリア(PZ)の設定温度よりも高く、前記第2温度検知部(253)によって検知される温度と外気の温度との少なくともいずれか一方が前記第1エリア(IZ)の設定温度よりも低い場合に、前記第1空調装置(14)が第1空調機能(41,42,43)を停止して送風運転を行うか、もしくは、前記第2空調装置(203)が第2空調機能(223)を停止して送風運転を行か、少なくともいずれか一方の運転を行う、
請求項2から5のいずれか1項に記載の空気調和システム。 - 前記調製装置(70)によって調製される前記第1対象空気(RA)の温度が前記第1エリア(IZ)の設定温度以下の場合に、前記第1空調装置(14)は、前記第1空調機能(41,42,43)を停止して、前記第1対象空気(RA)を前記第1調和空気(SA)として前記第1エリア(IZ)に対して給気する送風運転を行う、
請求項6に記載の空気調和システム。 - 前記第1温度検知部(18)によって検知される温度が前記第2エリア(PZ)の設定温度以上の場合に、前記第2空調装置(203)は、前記第2空調機能(223)を停止して、前記第1空気(RB)を前記第2調和空気(SB)として前記第2エリア(PZ)に対して給気する送風運転を行う、
請求項6に記載の空気調和システム。 - 前記調製装置(70)は、さらに外気(OA)を組み合わせ、前記第1空気(RA1)と前記第2空気(RA2)と前記外気(OA)との比率を調整することにより、前記第1対象空気(RA)を調製する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空気調和システム。 - 前記調製装置(70)は、前記第1空気(RA1)と前記外気(OA)との間のエンタルピおよび/または温度との関係に基づいて、前記外気(OA)の比率を調整する、
請求項9に記載の空気調和システム。 - 前記第2エリア(PZ)は、前記空間(80)のうち外周近傍エリアのペリメータゾーンであり、
前記第1エリア(IZ)は、前記空間(80)のうち前記ペリメータゾーンよりも内部のエリアのインテリアゾーンである、
請求項1から10のいずれか1項に記載の空気調和システム。 - 第1エリア(IZ)と前記第1エリア(IZ)に対して空間的に連続可能な第2エリア(PZ)とを有する空間(80)を対象として空気調和を行うための空気調和システムであって、
前記第1エリア(IZ)に対して第3調和空気(SA)の給気が可能な第3空調装置(314)と、
前記第2エリア(PZ)に対して第2調和空気(SB)の給気が可能な第2空調装置(203)と、
を備え、
前記第3空調装置(314)は、還気として用いる第3対象空気(RA)の調製が可能であり、少なくとも前記第1エリア(IZ)の空気である第1空気(RA1)と前記第2エリア(PZ)の空気である第2空気(RA2)とを組み合わせ、前記第1空気(RA1)と前記第2空気(RA2)との比率を調整することにより、前記第3対象空気(RA)を調製するための調整部(370)を有する、
空気調和システム。 - 第1エリア(IZ)に対して第1調和空気(SA)を給気可能な第1空調装置(14)と、前記第1エリア(IZ)に対して空間的に連続可能な第2エリア(PZ)に対して第2調和空気(SB)を給気可能な第2空調装置(203)とによる空調を制御するための空調制御装置(12)であって、
前記第1エリア(IZ)の温度データを取得する第1温度取得部(12a)と、
少なくとも前記第1エリア(IZ)の空気である第1空気(RA1)と前記第2エリア(PZ)の空気である第2空気(RA2)とを組み合わせ、前記第1空気(RA1)と前記第2空気(RA2)との比率を調整することにより、前記第1空調装置(14)の還気として用いる第1対象空気(RA)を調製する場合において、前記第1温度取得部(12a)が取得する温度データに基づいて、前記比率を制御する制御部(12b)と、
を備えた空調制御装置(12)。 - 第1エリア(IZ)と前記第1エリア(IZ)に対して空間的に連続可能な第2エリア(PZ)とを対象として空気調和を行うための空調制御方法であって、
前記第1エリア(IZ)に対して第1空調装置(14)によって第1調和空気(SA)を給気するステップと、
前記第2エリア(PZ)に対して第2空調装置(203)によって第2調和空気(SB)を給気するステップと、
少なくとも前記第1エリア(IZ)の空気である第1空気(RA1)と前記第2エリア(PZ)の空気である第2空気(RA2)とを組み合わせ、前記第1空気(RA1)と前記第2空気(RA2)との比率を調整することにより、前記第1空調装置(14)の還気として用いる第1対象空気(RA)を調製するステップと、
を備えた空調制御方法。
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