JP2006063395A - 再加熱割れ感受性が低く、熱間加工性に優れるNi−Cu−Al合金 - Google Patents
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Abstract
【構成】重量%でC:0.05〜0.30%、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.010%以下、Cu:20.0〜40.0%、Al:1.0〜5.0%、Fe:3.0%以下、Cr:4.0%以下、Ti:0.03〜1.0%を含み、さらにMg:0.050%以下、Ca:0.050%以下から選ばれる少なくとも1種以上を含み、且つ、次式(1)を満足することを特徴とする、残部がNiおよび不可避な不純物からなるNi-Cu-Al合金。
(Mg%+Ca%)≦0.050 % (1)
Description
この合金が高強度である理由は、熱処理により金属間化合物(ガンマプライム:Ni3Al)相が析出するためであり、いわゆる析出強化型合金に属するものである。これより、高強度を得るためにAlが重要な役割を担っていることが判る。
しかしながら、例えば、非特許文献1に示されているようにNi-Cu合金は熱間加工性が悪い合金として知られているが、Alを含有するNi-Cu-Al合金の熱間加工性は、さらに悪いことが知られている(非特許文献2)。
Metals Technology p370 1976年8月発行 3rd International SAMPE Metals Conference M219〜 1992年10月発行
しかしながら、Ni-Cu-Al合金の熱間加工工程での割れ発生を防止することが強く求められているものの、Ni-Cu-Al合金の熱間加工性改善に関する提案は行われておらず、この合金の熱間加工工程での割れ、つまり、再加熱割れと熱間加工割れの対策は不明なままであった。
そこで、Ni-Cu合金の対策をそのままNi-Cu-Al合金に適用したところ、S量の低減、予歪の導入などの方法は、一定の効果を示すものの満足のいくものではなく、どうしても大きな割れが発生してしまう。
加えて、再加熱割れについては、Ni-Cu合金には認められない現象であり、熱間加工時の割れとは発生温度が異なり、対策は不明であった。
その結果、時効硬化により高強度化が達成される程度までAl含有量が増えると、600〜800℃で低引張速度(0.05mm/sec)で引張試験を行った時の絞り値が小さくなる、いわゆる中間温度脆性域が生じることが判った。この脆性が再加熱割れの原因であると考える。しかしながら、Alは高強度を得るために必須の元素であり、Alを添加した状態で再加熱割れを防止する必要である。
同じく引張試験により、試験時の引張速度を100mm/secとし、1100℃付近の熱間加工性についても評価を実施した。引張速度が異なるのは、それぞれの割れ発生メカニズムを考慮し決めたためである。しかしながら、1100℃付近の絞り値に対するAlの影響はあまり大きくは無かった。そこで、この試験での破断部と生産ラインにて製造したスラブに発生した割れ部を詳細に比較したところ、スラブの破断部近傍にのみNi-Mg化合物、Ni-Ca化合物が観察された。この結果をもとに前述と同じ様に実験室で10kg合金塊を溶解しMg、Caの影響を調査したところ、これら含有量が多いものほど絞り値が小さいことが判った。この実験に使用した合金の組成は、29%Cu-3%Al-0.3%Si-2%Cr-0.6%Mn-1%Fe-0.06%Ti-0.016%C-残Niで鋳造ままのものである。
加えて、同じ母組成の合金を用い中間温度脆性におよぼすMg、Caの影響も調査したところ、これら元素の含有量が増えると600〜800℃の絞り値がゼロとなってしまうことが判った。Alの添加により生じる中間温度脆性をさらに悪化させていた。Caの場合を例に500〜1100℃での絞り値におよぼす影響を図2に示す。Ca量の多いものは600〜800℃で絞り値がゼロであることが判る。1100℃付近の加工性よりも、むしろ、600℃〜800℃で加工性劣化は割れ発生に対しての悪影響が非常に大きいと考える。なぜなら、加熱途中で割れが発生してしまっては、1100℃付近の熱間加工性に関わらず、割れ発生は防止できないからである。
Mg、Caの熱間加工性におよぼす影響、特に中間温度域での加工性に対する影響を確認したが、これら元素は積極的に添加したものではなく、生産ラインでの混入源は不明であった。そこで、製造工程を詳しく調査した結果、Mg、Caとも、原料、精錬工程での炉材から混入していることが判明した。原料、炉材を厳選することで混入は完全に防止できることを確認した。加えて、MgとCaの含有量についても詳細に検討した結果、(Mg%+Ca%)≦0.050 %で良好な結果が得られることをつきとめた。
本発明はかかる新知見に基づいてなされたものである。
C:固溶強化により室温での強度を上昇させる元素である。強度確保のためには、すくなくとも0.05%は必要である。しかしながら、0.30%を越えて添加すると粗大な未固溶炭化物が生じ、冷間圧延時に割れが発生し、製造性を著しく悪化させる。このため、0.05〜0.30%。より好ましくは0.05〜0.25%、より好ましくは0.10〜0.20%とする。
Si:脱酸に必要な元素であるが、1.5%を越えて添加すると溶接性の低下を招くためその上限を規定する。
Mn:Siと同様、脱酸に必要な元素であるが、2.0%を越えて添加すると熱間圧延のために再加熱したときに異常酸化が生じるためその上限を規定する。
S:Sもスクラップ中に含有する元素であり、その含有量が0.010%を越えると再加熱割れ感受性が高くなり、熱間加工性も悪化させ、歩留りを著しく低下させるため、その上限を0.010%と規定する。より好ましくは、0.005%以下とする。
Al:Siと同様、脱酸に必要な元素であり、熱処理により金属間化合物(Ni3Al)相を析出させ、強度を上昇させる重要な元素である。強度確保のためには、すくなくとも1%は必要である。しかしながら、5%を越えて添加すると熱間加工性が著しく劣化し製造困難となるため、1〜5%。より好ましくは、1.5〜4.5%、より好ましくは2〜4%である。
Fe:スクラップ中に含有する元素であり、その含有量が3%を越えると耐食性が劣化するため、その上限を3%と規定する。
Ti:合金中の窒素を固着しガス欠陥を防止する作用がある。このため、0.03%は必要である。しかしながら、過剰の添加は粗大な炭窒化物を形成し製造性を悪化させるため、0.03〜1.0%とする。
Ca:本発明のポイントであり、過剰の含有は再加熱割れ感受性を高くし、熱間加工性も悪化させる。このため、0.05%以下とする。より好ましくは、0.025%以下とする。
(Mg%+Ca%)≦0.050%:本発明のポイントであり、過剰の含有は再加熱割れ感受性を高くし、熱間加工性も悪化させる。このため、0.050%以下とする。より好ましくは、0.025%以下とする。
再加熱割れの評価は、一旦、熱間加工が可能となる温度まで加熱後、炉から抽出、冷却し、割れの有無を調査した。
熱間加工性の評価は、加熱後、厚み25mmまで圧延し、冷却後、割れの有無、大きさを測定した。これらは、別々のスラブを用い行った。それは、非常に大きな割れは熱間圧延直前、赤熱状態でも確認できるが、割れが微細な場合、赤熱状態では確認が難しいためである。得られた結果を表2に示した。
Claims (1)
- 重量%でC:0.05〜0.30%、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.010%以下、Cu:20.0〜40.0%、Al:1.0〜5.0%、Fe:3.0%以下、Cr:4.0%以下、Ti:0.03〜1.0%を含み、さらにMg:0.050%以下、Ca:0.050%以下から選ばれる少なくとも1種以上を含み、且つ、次式(1)を満足することを特徴とする、残部がNiおよび不可避な不純物からなるNi-Cu-Al合金。
(Mg%+Ca%)≦0.050 % (1)
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2004
- 2004-08-27 JP JP2004247757A patent/JP2006063395A/ja active Pending
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