JP2007063589A - 棒鋼・線材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.15〜0.6%、Si:0.05〜0.8%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.02〜0.05%、Cr:0.1〜2.0%、Al:0.01〜0.05%、N:0.004〜0.025%を含み、残部はFeと不純物からなり、不純物中のP≦0.025%、Ti≦0.003%、O≦0.0015%の化学組成を有し、且つ、棒鋼・線材の長手方向に平行である断面において、極値統計法によって求められる介在物の最大長径が、硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物については、1.0×104mm2中250μm以下且つ1.0×107mm2中400μm以下で、更に、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物又はこれらを主体とする複合介在物については、1.0×104mm2中50μm以下且つ1.0×107mm2中80μm以下である棒鋼・線材。
【選択図】図1
Description
「金属疲労 微小欠陥と介在物の影響」、233〜239ページ、(著者:村上敬宜、発行日:1993年3月8日、発行所:養賢堂)。
〈2〉上記S0中で最大の長径を有する介在物を選び、その長径Lmax(μm)を測定する。
〈3〉上述した測定を、重複しない場所でn回繰り返して行う。
〈4〉測定したn個のLmaxを小さい順に並べ直し、それぞれLmax,j(j=1〜n)とする。
〈5〉それぞれのjについて下記の基準化変数yjを計算する。
yj=−ln[−ln{j/(n+1)}]。
〈6〉極値確率用紙の座標横軸にLmax、縦軸に基準化変数yをとって、j=1〜nについてプロットし、最小二乗法により近似直線を求める。
〈7〉評価したい面積をS(mm2)、T=S/S0として下記の式からyの値を求め、上記の近似直線を用いて、前記yの値におけるLmaxを求めれば、これがその評価面積における介在物の最大長径である。
y=−ln[−ln{(T−1)/T}]。
C:0.15〜0.6%
Cは、部品としての強度を確保するために必須の元素である。しかし、その含有量が0.15%未満では前記の効果が不十分である。一方、Cの含有量が0.6%を超えると、強度が高くなりすぎるため、冷間鍛造での限界加工度及び切削性が大きく低下する。したがって、Cの含有量を0.15〜0.6%とした。なお、Cの含有量は0.15〜0.25%にすることが好ましい。
Siは、部品としての強度を確保するために必須の元素である。しかし、その含有量が0.05%未満では前記の効果が不十分である。一方、Siの含有量が0.8%を超えると、冷間鍛造での変形抵抗が大きく増加し、鍛造金型の寿命を短くする。したがって、Siの含有量を0.05〜0.8%とした。鍛造金型の寿命をより重視する場合には、Siの含有量は0.05〜0.3%にすることが好ましい。
Mnは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果があり、部品としての強度を確保するために必須の元素である。しかし、その含有量が0.2%未満では前記の効果が不十分である。一方、Mnの含有量が1.5%を超えると、強度が高くなりすぎるため、冷間鍛造での限界加工度及び切削性が大きく低下する。したがって、Mnの含有量を0.2〜1.5%とした。なお、Mnの含有量は0.5〜0.9%にすることが好ましい。
Sは、硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物を形成し、切削性を高める作用を有する。しかし、その含有量が0.02%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Sの含有量が多くなると、硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物が粗大化しやすくなる。特に、Sの含有量が0.05%を超えると、様々な工夫を施しても硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物の最大長径を後述する本発明の規定内に制御することが困難になって、冷間鍛造での限界加工度が大きく低下する。したがって、Sの含有量を0.02〜0.05%とした。なお、Sの含有量は0.02〜0.03%にすることが好ましい。
Crは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果があり、部品としての強度を確保するために必須の元素である。しかし、その含有量が0.1%未満では前記の効果が不十分である。一方、Crの含有量が2.0%を超えると、強度が高くなりすぎるため、冷間鍛造での限界加工度及び切削性が大きく低下する。したがって、Crの含有量を0.1〜1.5%とした。焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗の向上効果をより重視する場合には、Crの含有量は1.0〜2.0%とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.05%
Alは、鋼を脱酸して鋼中の酸素量を低減するために必須の元素である。また、AlはNと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化して部品の靱性や疲労強度を高める効果も有する。しかしながら、Alの含有量が0.01%未満ではこれらの効果が得難くなる。一方、Alの含有量が0.05%を超えると、介在物の最大長径を後述する本発明の規定内に制御することが困難になって、冷間鍛造での限界加工度が大きく低下する。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Alの含有量は0.02〜0.04%にすることが好ましい。
Nは、Al、Nb、V及びTiと結合してAlN、NbN、VN及びTiNを形成しやすく、本発明においては、上記の窒化物のうちでAlN、NbN及びVNは結晶粒微細化に有効で、延性を高める効果がある。しかし、Nの含有量が0.004%未満では前記の効果は得難い。一方、Nの含有量が0.025%を超えると、凝固段階でボイドが形成されやすくなり、これが棒鋼・線材中でもクラックとして残存するため、冷間鍛造での限界加工度が大きく低下する。したがって、Nの含有量を0.004〜0.025%とした。なお、Nの含有量は0.012〜0.020%にすることが好ましい。
Pは、粒界偏析して粒界を脆化させやすい元素で、特に、その含有量が0.025%を超えると、粒界脆化が顕著になって冷間鍛造での限界加工度が大きく低下する。したがって、Pの含有量を0.025%以下とした。なお、Pの含有量は0.020%以下にすることが好ましい。
Tiは、Nと結合してTiNを形成しやすい。TiNは非常に硬質で、且つ、形状が角状であるため、冷間鍛造での割れの起点となりやすい。そのため、Tiの含有量が0.003%を超えると、介在物の最大長径を後述する本発明の規定内に制御しても、冷間鍛造での限界加工度が大きく低下して、後述する本発明の目標値に達しない。したがって、Tiの含有量を0.003%以下とした。なお、不純物元素としてのTiの含有量はできるだけ少なくすることが望ましいが、原料及び製鋼でのコストを考慮すると0.001%以下にすることが好ましい。
Oは、Alと結合して硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、特に、Oの含有量が0.0015%を超えると、介在物の最大長径を後述する本発明の規定内に制御することが困難になって、冷間鍛造での限界加工度が大きく低下する。したがって、Oの含有量を0.0015%以下とした。なお、不純物元素としてのOの含有量はできる限り少なくすることが望ましいが、製鋼でのコストを考慮すると、0.0010%以下にすることが好ましい。
Moは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める作用を有し、前述したMn及びCrによる強度確保の効果を補完するのに有効である。しかしながら、Moの含有量が0.8%を超えると、強度が高くなりすぎるため、冷間鍛造での限界加工度及び切削性が大きく低下する。したがって、Moの含有量を0.8%以下とした。なお、前記したMoの効果を確実に得るためには、その含有量を0.05%以上とすることが好ましい。したがって、より望ましいMoの含有量は0.05〜0.8%である。
Nbは、部品の靱性や疲労強度を高める効果を有する。すなわち、Nbは、C及びNと結合して、NbC、NbN及びNb(C、N)を形成しやすく、前述したAlNによる結晶粒微細化作用を補完するのに有効で、部品の靱性や疲労強度を高める効果を有する。しかしながら、Nbを0.08%を超えて含有させても前記の効果が飽和し、コストが嵩むだけである。したがって、Nbの含有量を0.08%以下とした。なお、前記したNbの効果を確実に得るためには、その含有量を0.01%以上とすることが好ましい。したがって、より望ましいNbの含有量は0.01〜0.08%である。
Teは、MnS中に固溶して、硫化物のアスペクト比を小さくして最大長径を短くし、冷間鍛造や熱間鍛造の際の限界加工度を高める効果を有する。しかしながら、Teの含有量が0.008%を超えると、様々な工夫を施しても後述するMnとTeを主体とする介在物の生成を抑制することが困難になって、熱間鍛造時に割れや疵が多発するようになる。したがって、Teの含有量を0.008%以下とした。なお、前記したTeの効果を確実に得るためには、その含有量を0.002%以上とすることが好ましい。したがって、より望ましいTeの含有量は0.002〜0.008%である。
本発明の棒鋼・線材においては、その長手方向に平行である断面において、極値統計法によって求められる硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物の最大長径が、1.0×104mm2中250μm以下且つ1.0×107mm2中400μm以下を満たす必要がある。既に述べたように、「硫化物を主体とする複合介在物」とは、硫化物が面積率で50%以上である介在物を指す。
(1-2)1570〜1590℃で40分保持して、十分な脱ガス処理を実施。
(1-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素とAlを添加し、その後90秒以内に出鋼。
例えば、30kgのインゴットの場合には、1200〜1250℃で60分〜120分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように一次熱間鍛造し、室温まで放冷して直径が30mmの棒鋼にした後、1220〜1270℃×8〜12時間の均質化処理条件で熱処理してから室温まで放冷し、次いで、1150〜1200℃で30〜60分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように二次熱間鍛造し、室温まで放冷して、直径25mmの棒鋼を作製する。且つ、上記のa、bを満たしていれば、硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物に関して、本発明の規定内の最大長径が得られる。
本発明の棒鋼・線材においては、その長手方向に平行である断面において、極値統計法によって求められる酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物又はこれらを主体とする複合介在物の最大長径が1.0×104mm2中50μm以下且つ1.0×107mm2中80μm以下を満たす必要がある。既に述べたように、「酸化物、窒化物、炭化物又は炭窒化物を主体とする複合介在物」とは、酸化物、窒化物、炭化物又は炭窒化物が介在物に占める面積率が合計で50%以上である介在物を指す。
(2-2)1570〜1590℃において表4に示した時間保持し、脱ガス処理を実施。
(2-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素とAlを添加して、表4に示した時間が経過してから出鋼。
(3-2)1570〜1590℃において表4に示した時間保持し、脱ガス処理を実施。
(3-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素を添加して、表4に示した時間が経過してから出鋼。
例えば、30kgのインゴットの場合には、下記(4-1)〜(4-3)に記載した溶解方法で、且つ、上記のe、fを満たしていれば、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物又はこれらを主体とする複合介在物に関して、本発明の規定内の最大長径が得られる。
(4-2)1570〜1590℃で40〜60分保持して、十分な脱ガス処理を実施。
(4-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素とAlを添加し、その後90秒以内に出鋼。
棒鋼・線材の長手方向に平行である断面積100mm2中におけるMnとTeを主体とする介在物の存在割合が1個以上の場合には、熱間鍛造時に割れや疵が生じる場合がある。このため、上記断面積100mm2中におけるMnとTeを主体とする介在物の存在割合は1個未満とするのがよい。
表5に示す化学組成を有する鋼a〜uを真空溶解炉で溶解した後、インゴットに鋳造した。なお、鋼aは150kg真空溶解炉で溶解した後、シリカ鋳型を用いて鋳造した。また、鋼b〜uは30kg真空溶解炉で溶解した後、鋳鉄鋳型を用いて鋳造した。インゴットの平均直径は150kgインゴットが220mmであり、30kgインゴットが120mmである。
(E1-2)1570〜1590℃において表6及び表7に示した時間保持し、脱ガス処理を実施。
(E1-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素とAlを添加して、表6及び表7に示した時間が経過してから出鋼。
(E1-5)1570〜1590℃において表7に示した時間保持し、脱ガス処理を実施。
(E1-6)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素を添加して、表7に示した時間が経過してから出鋼。
・切り込み深さ:1.0mm、
・送り量:0.15mm/rev.、
・ 潤滑:なし(乾式)。
表9に示す化学組成を有する鋼イ〜チを30kg真空溶解炉で溶解した後、鋳鉄鋳型を用いて平均直径が120mmのインゴットに鋳造した。
(E2-2)1570〜1590℃において表10に示した時間保持し、脱ガス処理を実施。
(E2-3)C及びAl以外の合金元素を添加した後、通常の方法で迅速分析を行い、目標の含有量に達していない合金元素とAlを添加して、表10に示した時間が経過してから出鋼。
・切り込み深さ:1.0mm、
・送り量:0.15mm/rev.、
・ 潤滑:なし(乾式)。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.15〜0.6%、Si:0.05〜0.8%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.02〜0.05%、Cr:0.1〜2.0%、Al:0.01〜0.05%、N:0.004〜0.025%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のP:0.025%以下、Ti:0.003%以下及びO(酸素):0.0015%以下の化学組成を有し、且つ、棒鋼・線材の長手方向に平行である断面において、極値統計法によって求められる介在物の最大長径が、硫化物又は硫化物を主体とする複合介在物については、1.0×104mm2中250μm以下且つ1.0×107mm2中400μm以下であるとともに、酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物又はこれらを主体とする複合介在物については、1.0×104mm2中50μm以下且つ1.0×107mm2中80μm以下であることを特徴とする棒鋼・線材。
- Feの一部に代えて、Mo:0.8%以下を含有する請求項1に記載の棒鋼・線材。
- Feの一部に代えて、Nb:0.08%以下及びV:0.15%以下から選択される1種以上を含有する請求項1又は2に記載の棒鋼・線材。
- Feの一部に代えて、Te:0.008%以下を含有し、且つ、棒鋼・線材の長手方向に平行である断面積100mm2中におけるMnとTeを主体とする介在物の存在割合が1個未満である請求項1から3までのいずれかに記載の棒鋼・線材。
- 不純物中のZr:0.0005%以下、Ca:0.0005%以下、Mg:0.0005%以下及びREM(希土類元素):0.0010%以下である請求項1から4までのいずれかに記載の棒鋼・線材。
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