JP2006063320A - レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂架橋剤 - Google Patents

レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂架橋剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、軟化点がゴムの架橋反応温度より低く、ゴムへの分散性および耐ブロッキング性が良好で、原料であるアルキルフェノールの残留量が低減された樹脂架橋剤を提供する事である。
【解決手段】原料であるアルキルフェノールの残留量が1.0%未満のレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂に可塑剤を1〜30重量%含有させて樹脂架橋剤の軟化点を85〜115℃とすることにより、上記課題が解決された樹脂架橋剤を提供する事ができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール類・ホルムアルデヒド共縮合樹脂からなるゴムの樹脂架橋剤に関するものであり、更に詳しくは可塑剤を含有したレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂からなる樹脂架橋剤に関するものである。
樹脂架橋剤には従来からフレーク状または粒子状のレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂が用いられているが、ゴムへの分散性が悪いことが知られている。樹脂架橋剤をゴムに充分分散させる為には、樹脂の軟化点以上の温度で混練するのが好ましいが、混練温度が120℃以上となるとゴムの架橋反応が開始しだし、均一なゴム組成物が得られなくなる。このため樹脂架橋剤は軟化点が115℃以下のものが一般的に用いられている。
樹脂架橋剤を微粉末状にして用いるか、樹脂架橋剤の軟化点を低くすると分散性が改良されることが知られているが、微粉化したり、軟化点を下げると、保管中に樹脂同士の互着(ブロッキング)が生じて実使用に耐えられない。
樹脂架橋剤の計量、ゴムとの混練作業工程での粉塵防止と、樹脂架橋剤のゴムへの分散性を向上させる方法として、樹脂架橋剤とゴムとのマスターバッチを作成する方法が開示されている。(特許文献1)
一方において近年環境汚染防止が社会的課題となっており、製品中の不純物、残留原料、残留溶剤の削減が求められている。樹脂架橋剤の製造において、原料であるアルキルフェノールの残留量を分離削減するのはなかなか困難であり、縮合反応をできるだけ完結させる方法で残留量を削減するのが製造コスト的にも好ましい方法である。しかしながらこの方法では必然的に得られる樹脂架橋剤の軟化点が高くなり、上記特許文献1記載の方法では、上述したゴムへの分散性の低下が生じてしまう欠点がある。
特開平7-173202号公報
本発明の目的は、軟化点がゴムの架橋反応温度より低く、ゴムへの分散性、ゴムの架橋性能および樹脂架橋剤保管時の耐ブロッキング性が従来品と同等性能を有し、かつ、従来品より残留溶媒、残留未反応アルキルフェノールについて大幅に低減された樹脂架橋剤を提供する事である。
本発明者らは課題解決に向けて鋭意検討した結果、レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂に可塑剤を含有させる事で、本発明の目的が達成できる事を見出した。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂架橋剤は硫黄架橋可能な全てのゴムに適用可能であり、具体的ゴムとしては、天然ゴム、SBR、イソプレンゴム、NBR、ブチルゴム、EPDM、CR等が挙げられる。
本発明で使用されるレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂は、プラスチック材料講座15「フェノール樹脂」(日刊工業新聞社 刊)等に記載の公知の方法で合成可能であり、アルキル基の炭素数は1〜20のものが好適に使用される。共縮合樹脂の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜5000のものが通常用いられる。また環境汚染防止の観点から、レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂中には、原料であるアルキルフェノールの残留量及び反応等に用いる溶媒の残留量は少ない程好ましく、具体的にはそれぞれ1重量%未満のものを選択して使用される。
本発明に用いられるレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂の具体的化合物としては、クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、エチルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ブチルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ブチルフェノール・オクチルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂等が挙げられる。
本発明のレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂中の可塑剤の含有量は、1〜30重量%であり、2〜20重量%が好ましい範囲である。該可塑剤の含有量が1重量%未満であれば軟化点の低減効果が認められず、30重量%を超えると架橋ゴムの硬度の減少、圧縮永久歪の増大等を招き、好ましくない。
本発明における可塑剤は、特に限定はないが、レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂及びゴムの両方に相溶性の良いものが好ましい。
可塑剤として具体的には、脂肪族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、リン酸誘導体等が挙げられ、脂肪族カルボン酸誘導体としては、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族トリカルボン酸エステルおよびそれらの誘導体等が挙げられる。芳香族カルボン酸誘導体としては、芳香族ジカルボン酸エステル、芳香族トリカルボン酸エステル、芳香族テトラカルボン酸エステルおよびそれらの誘導体等が挙げられる。リン酸誘導体としてはリン酸エステル等が挙げられる。
上記可塑剤のうち、式(1)〜(3)
Figure 2006063320
(Rは置換基を有していてもよい炭素数4〜10の脂肪族基、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数4〜13のアルキル基であり、xは、0〜9の整数を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。mは1〜3の整数を表し、mが2〜3の場合、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2006063320
(R4は置換基を有していてもよいベンゼン骨格1個を有する芳香族基であり、nは2〜4の整数を表す。R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。nは2〜4の整数を表し、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2006063320
(R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む事を特徴とする請求項1記載の樹脂架橋剤。
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれることが好ましく、式(1)で表わされる化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルオレート、ブトキシエチルオレート等の脂肪族モノカルボン酸エステルおよびその誘導体、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソトリデシルアジペート、ジメチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジイソトリデシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジイソブチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジイソトリデシルセバケート、ジブトキシエトキシエチルアジペート等の脂肪族ジカルボン酸エステルおよびその誘導体、アセチルトリブチルシトレート等の脂肪族トリカルボン酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。 式(2)で表わされる化合物としては、例えば、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソトリデシルフタレート等の芳香族ジカルボン酸エステルおよびその誘導体、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート等の芳香族トリカルボン酸エステルおよびその誘導体、テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート等の芳香族テトラカルボン酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。 式(3)で表わされる化合物としては、例えば、トリブチルフォスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)フォスフェート、トリ(ブトキシエチル)フォスフェート、2−エチルヘキシル−ジフェニルフォスフェート等のリン酸エステルが挙げられ、式(1)〜(3)で表わされる化合物の中でもジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブトキシエトキシエチルアジペートがより好ましく、ジ(2−エチルヘキシル)セバケートが更に好ましい。
レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂と可塑剤との混合方法は、レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂の有機溶剤溶液に可塑剤を均一に溶解させた後に有機溶剤を留去させる方法が最も簡便な方法であるが、樹脂の軟化点以上の温度で可塑剤と混合する方法も可能である。
本発明の樹脂架橋剤の軟化点は、縮合樹脂の分子量、残留アルキルフェノール量、残留溶媒量、可塑剤の添加量によって決まり、樹脂架橋剤の軟化点が85〜115℃のものが使用され、90〜110℃のものが好ましい。軟化点が85℃より低いと保管中に樹脂同士の互着が生じやすくなるため、本発明の樹脂架橋剤を低温で保管する必要性が生じ、また115℃より高いとゴムのコンパウンド作成時の混練温度が高温となりゴムの架橋反応が部分的に開始されてコンパウンドの品質低下が生じる。
本発明の樹脂架橋剤の使用量に特に制限は無いが、ゴム100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部使用される。
また本発明の樹脂架橋剤は、CR、塩化スズ、ベンゼンスルフォン酸、酸化カルシュウム、モレキュラーシーブ、といった架橋促進剤の併用も可能である。
本発明の樹脂架橋剤を用いた時の架橋温度は、従来の樹脂架橋剤と同じ温度領域が適用可能である。具体的には120〜230℃において、ゴムの種類に応じた適切な温度が選択される。
本発明の樹脂架橋剤は、薬栓、ブラダー、コンデンサーパッキン、タイヤチューブ、インナーライナー、ホース、チューブ、ガスケット、自動車内装材、家電部品、等に使用されるゴム製品、TPE製品に好適に使用される。
本発明により、軟化点がゴムの架橋反応温度より低く、ゴムへの分散性、ゴムの架橋性能および樹脂架橋剤保管時の耐ブロッキング性が従来品と同等性能を有し、かつ、従来品より残留溶媒、残留未反応アルキルフェノールについて大幅に低減された樹脂架橋剤が得られる。
本発明の詳細を、実施例と比較例により本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
下記の方法により樹脂架橋剤の評価をおこなった。
「残留溶剤、残留アルキルフェノ−ルの測定」
樹脂架橋剤1gに、内部標準物質としてアニソールを0.1g加え、アセトン20mlに溶解させ、ガスクロマトグラフィーで測定した。
「軟化点の測定」
JIS K2207準拠
「耐ブロッキング性の測定」
フレーク状の樹脂架橋剤を口径4cmの円筒に厚さ3cmになるように投入し、上部に厚さ1mm、径4cmのプラッスチック板と360gの荷重を載せ、45℃のオーブン中で一週間静置後にフレーク同士のブロッキング状態の観察を行った。ブロッキング部分が5%以上のものを×とした。
「分散性の測定」
東洋精機ラボプラストミル・ローラーミキサー(チャンバー容量60cc)を用いて、下記配合のゴムコンパウンド50gを設定温度90℃、15分混練で作成した。得られたコンパウンドをロールで厚さ0.5mmにシート成形し、目視で凝集物の有無を観察した。凝集物の無い物を分散性〇とし、凝集物があるものを分散性×とした。
<配合>ポリサーブチル402 100重量部
HAFカーボン 50重量部
ステアリン酸 1重量部
亜鉛華 5重量部
樹脂架橋剤 40重量部
「オシレーティング・レオメータによる架橋特性の測定」
(株)東洋精機製作所製ロータレスレオメータ使用。
測定温度180℃、振幅角度3°で測定。
公知の方法に従って、ホルムアルデヒドとアルキルフェノールの1種であるp−オクチルフェノールを原料とし、アルカリ触媒を用いてp−オクチルフェノールの残留量が1.0%未満のレゾール型樹脂を合成し、続いてその樹脂のトルエン溶液に、可塑剤であるジ(2−エチルヘキシル)セバケートを樹脂100重量部に対して12重量部加えた。その後、減圧下にトルエンを留去して、樹脂架橋剤Aを得た。
得られた樹脂架橋剤Aの、残留溶剤量、残留p-オクチルフェノール量、軟化点、耐ブロッキング性、分散性を測定して表1に記載した。
ポリサー・ブチル402(100重量部)、SRFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)、樹脂架橋剤A(12重量部)の配合コンパウンドをロールを用いて通常の混練方法で作成した。得られたコンパウンドのオシレーティング・レオメータによる架橋特性を180℃、60分の条件下に測定し、表2に記載した。
ジ(2−エチルヘキシル)セバケートの配合量を8重量部に変更する以外は実施例1と同様にして樹脂架橋剤Bを合成した。得られた樹脂Bの残留溶剤量、残留p-オクチルフェノール量、軟化点、耐ブロッキング性、分散性、オシレーティング・レオメータによる架橋特性を実施例1と同様にして測定した結果を表1〜2に示した。
ジ(2−エチルヘキシル)セバケートの配合量を4重量部に変更する以外は実施例1と同様にして樹脂架橋剤Cを合成した。得られた樹脂Cの残留溶剤量、残留p-オクチルフェノール量、軟化点、耐ブロッキング性、分散性、オシレーティング・レオメータによる架橋特性を実施例1と同様にして測定した結果を表1〜2に示した。
(比較例1)
ジ(2−エチルヘキシル)セバケートを配合しない以外は実施例1と同様にして樹脂架橋剤Dを合成した。得られた樹脂Dの残留溶剤量、残留p-オクチルフェノール量、軟化点、耐ブロッキング性、分散性、オシレーティング・レオメータによる架橋特性を実施例1と同様にして測定した結果を表1〜2に示した。
(比較例2)
ジ(2−エチルヘキシル)セバケートの配合量を20重量部に変更する以外は実施例1と同様にして樹脂架橋剤Eを合成した。得られた樹脂Eの残留溶剤量、残留p-オクチルフェノール量、軟化点、耐ブロッキング性、分散性について測定した結果を表1に示す。
樹脂架橋剤Eについては、耐ブロッキング性の評価結果が×であったのでオシレーティング・レオメータによる架橋特性は測定しなかった。
Figure 2006063320
Figure 2006063320
T(10):加硫曲線から求められた、トルクの最大値と最小値との差の10%に達するまでの時間(分)
T(90):加硫曲線から求められた、トルクの最大値と最小値との差の90%に達するまでの時間(分)
ML :加硫曲線から求められた、トルクの最小値(kg・cm)
MH :加硫曲線から求められた、トルクの最大値(kg・cm)

Claims (3)

  1. 可塑剤を1〜30重量%含有したレゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂の軟化点が85〜115℃である事を特徴とする樹脂架橋剤
  2. 可塑剤が式(1)〜(3)
    Figure 2006063320
    (Rは置換基を有していてもよい炭素数4〜10の脂肪族基、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数4〜13のアルキル基であり、xは、0〜9の整数を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。mは1〜3の整数を表し、mが2〜3の場合、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2006063320
    (R4は置換基を有していてもよいベンゼン骨格1個を有する芳香族基であり、nは2〜4の整数を表す。R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。nは2〜4の整数を表し、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2006063320
    (R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む事を特徴とする請求項1記載の樹脂架橋剤。
  3. レゾール型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂中の未反応アルキルフェノールの含有量が1.0%未満であることを特徴とする請求項1〜2記載の樹脂架橋剤
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