JP2006063278A - 摺動材料 - Google Patents

摺動材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2006063278A
JP2006063278A JP2004250439A JP2004250439A JP2006063278A JP 2006063278 A JP2006063278 A JP 2006063278A JP 2004250439 A JP2004250439 A JP 2004250439A JP 2004250439 A JP2004250439 A JP 2004250439A JP 2006063278 A JP2006063278 A JP 2006063278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
lubricating oil
forming material
sliding
pore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004250439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4851695B2 (ja
Inventor
Hideyuki Tsutsui
英之 筒井
Masakazu Hirata
正和 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2004250439A priority Critical patent/JP4851695B2/ja
Priority to CN2005800188448A priority patent/CN1973023B/zh
Priority to US11/628,484 priority patent/US7703983B2/en
Priority to PCT/JP2005/010568 priority patent/WO2005121288A1/ja
Publication of JP2006063278A publication Critical patent/JP2006063278A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4851695B2 publication Critical patent/JP4851695B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】高機械的強度と潤滑油高配合とを両立させた摺動材料であって、真空条件下での使用においても潤滑油起源のガス発生がなく低発塵性である摺動材料を提供する。
【解決手段】 30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に、40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下の潤滑油を含浸してなる摺動材料であって、上記樹脂多孔体は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて上記成形体から上記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有する。
【選択図】 無

Description

本発明は摺動部材を形成するための摺動材料に関し、特に清浄雰囲気、真空などの低圧雰囲気下で使用される摺動部材を形成するための摺動材料に関する。
潤滑性樹脂組成物などの摺動材料を成形して得られる摺動部材に求められる機能は、年々厳しさを増しており、初期状態における優れた低摩擦・低摩耗化と、その初期摺動性を長期間維持することが強く求められている。上記摺動材料として、潤滑油を配合した樹脂材料を用いる場合、基材となる樹脂と潤滑油の親和性調整、潤滑油の導通路となる充填材の配合、混合条件の調整などで摺動特性の向上を目指してきた。近年では、例えば、潤滑油を含浸した多孔質シリカを配合した樹脂材料を用いることで、更なる摺動特性の向上を実現させたもの(特許文献1参照)が開示されている。
また、半導体の製造設備などにおける閉された清浄な雰囲気、特に真空などの低圧の清浄雰囲気で使用される真空用の摺動材料では、潤滑剤から発生する蒸気や飛散する微粒子が存在すると精密部品の性能に悪影響を及ぼすため、上記要求特性に加えて、高い低発塵性も要求されている。このような摺動材料では、その充填材として、低蒸気圧の液体潤滑剤や、ポリテトラフルオロエチレン、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの固体潤滑剤、または金、銀、鉛などの軟質金属が使用されている。
しかしながら、従来の潤滑油を配合した樹脂材料は、摺動部材への成形時において該潤滑油が分解されることを避けるため、樹脂の成形温度に耐え得る耐熱性を有する潤滑油を選定する必要があった。よって、樹脂として成形温度の高いスーパーエンプラは使用できないという問題がある。また、真空条件下の用途に用いる場合、使用する潤滑油の蒸気圧が、真空条件に耐え得る程度に低い場合であっても、該潤滑油の分解温度が低い場合では使用できないという問題があった。
繊維補強材などを配合して機械的強度を向上させる場合、該繊維と樹脂との濡れ性が重要となるが、介在する潤滑油の影響のため十分に強度を向上させることが難しい。また、射出成形時において樹脂とスクリューの間で滑りを生じさせずに安定した原料供給量を確保するため、配合できる潤滑油量は最大でも 10 体積%程度であり、使用条件によっては潤滑油量が不足する場合があった。
潤滑油を含浸した多孔質シリカを配合した樹脂材料(特許文献1参照)は、潤滑油配合量を従来より多量に配合できるよう改善したものであるが、その場合でも潤滑油配合量は最大で 30 容量%であり、過酷な使用環境では潤滑油不足となる可能性がある。また、上述の樹脂と潤滑油の選定問題は残っており、耐熱性の必要とする用途などにおける使用は困難である。
また、上記した半導体の製造設備などの清浄雰囲気や低圧雰囲気に使用されている固体潤滑方式の摺動材料は、高面圧や高速などの過酷な使用条件では十分な摺動特性を有するとはいえない。例えば、ポリテトラフルオロエチレンは高速条件では自身の摺動発熱により溶融摩耗するため耐摩耗性が低いという問題がある。また二硫化モリブデンは主にコーティングとして使用されるが、高面圧条件では薄いコーティング膜が剥離しやすいという問題がある。
特開2002−129183号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、高機械的強度と潤滑油高配合とを両立させた摺動材料であって、真空条件下での使用においても潤滑油起源のガス発生がなく低発塵性である摺動材料の提供を目的とする。
本発明の摺動材料は、30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に、40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下の潤滑油を含浸してなることを特徴とする。
また、上記潤滑油がアルキル化シクロペンタン系油であることを特徴とする。
また、上記潤滑油がパーフルオロポリエーテル油であることを特徴とする。
上記樹脂多孔体は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて上記成形体から上記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有することを特徴とする。
本発明の摺動材料は、30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に 40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下の潤滑油を含浸してなるので、該摺動材料を用いた各種摺動部材は、真空条件下においても上記潤滑油の蒸発がなく優れた低発塵性を有するとともに、その耐久性にも優れ長期使用が可能である。
また、樹脂多孔体を成形した後に該樹脂多孔体に潤滑油を含浸させて得られるので、上記低蒸気圧の潤滑油に対して、用途や仕様に応じた任意の樹脂を選択できる。この結果、真空条件下で使用でき、かつ優れた強度、耐熱性、低摩擦係数、耐摩耗性などを併せもつ摺動材料とできる。また、バックメタルなどの補強部材を併用することなく、摺動材料のみを用いて必要特性を満足する摺動部材を形成できる。
本発明の摺動材料に含浸する潤滑油としては、 40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下である任意の潤滑油を使用できる。潤滑油の 40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下であると、真空中で潤滑油の発散を防止することができ、真空条件下でも好適に使用することができる。
上記潤滑油としては、例えば、上記の低蒸気圧となるように高度に精製した石油系潤滑油、アルキル化シクロペンタン系油、パーフルオロポリエーテル油などが挙げられる。
真空条件下での使用に十分耐えうる潤滑油であり、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性および耐荷重性などに優れることからアルキル化シクロペンタン系油を用いることが好ましい。また、摺動面にかかる面圧が低い場合には、パーフルオロポリエーテル油を好適に用いることができる。
上記アルキル化シクロペンタン系油は、下記の化1に示す構造の潤滑油である。
Figure 2006063278
式中、Rは直鎖状または分岐状のアルキル基であり、mは 3 〜 4 の整数である。
上記アルキル化シクロペンタン系油の具体例としては、トリ(2−オクチルドデシル)シクロペンタン(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-8 Pa NYE LUBICANTS社製NYE SYNTHETIC OIL 2001A)が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル油としては、上記蒸気圧条件を満たすものであれば直鎖状、分岐状のいずれも使用できる。パーフルオロポリエーテル油の具体例としては、デムナムS−200(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-6 Pa ダイキン工業社製)、フォンブリンYHVAC140/13(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-9 Pa ソルベイソレクシス社製)、フォンブリンZ25(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-9 Pa ソルベイソレクシス社製)、フォンブリンZ60(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-11 Pa ソルベイソレクシス社製)、クライトックス143AC(蒸気圧( 40 ℃):1.0 ×10-5 Pa デュポン社製)、クライトックス143AD(蒸気圧( 40 ℃):8.0 ×10-7 Pa デュポン社製)、クライトックスL220(蒸気圧( 40 ℃):6.0 ×10-8 Pa デュポン社製)などが挙げられる。
上記潤滑油は、上記蒸気圧条件を満たすものであれば、単独で、または混合して使用できる。
また上記潤滑油には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、流動点降下剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、界面活性剤、摩耗調整剤などを配合できる。酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、イオウ系などを単独または、混合して使用できる。
本発明の摺動材料は、上記潤滑油を用途や仕様に応じた任意の樹脂からなる樹脂多孔体に含浸させることで、真空用摺動部材の材料として使用することができる。なお、含浸方法は後述する。摺動部材としては、例えば、滑り軸受、歯車、滑りシート、シールリング、ローラ、転がり軸受の保持器、転がり軸受のシール、直動軸受のシール、ボールねじのボールとボールの間に入れるスペーサ、転がり軸受のレース、各種キャリッジなどが挙げられる。
以下、連通孔率、および本発明の摺動材料を構成する樹脂、気孔形成材、成形方法、抽出方法について説明する。
球体を点接触により最も密に充填する形態として面心立方格子、六方最密充填があり、それらの充填率は、(球の体積÷外接立方体の体積)÷(正三角形の高さ÷底辺)÷(正四面体の高さ÷一辺)で計算され、共に 74 %である。(100−充填率)として定義される気孔率としては 26 %になる。
以上の計算は、同一サイズの球体を考えた場合であるが、複数のサイズの球体を充填した場合は、六方最密充填よりも充填率は大きくなり、気孔率は小さくなる。
また、粉末状の球体樹脂粒子を圧縮成形した後に焼結する場合、点接触はあり得ず、球体樹脂粒子は変形して面接触する。このため、六方最密充填よりも充填率はより大きくなり、気孔率はより小さくなる。このため従来の焼結樹脂成形体の気孔率は 20 %程度が限界となっている。
本発明における連通孔率は、上記の気孔率と略同一定義で、かつ気孔が連続している状態の気孔率をいう。すなわち、相互に連続している気孔の総体積が樹脂成形体に占める割合をいう。
具体的には、連通孔率は数1内の式(1)に示す方法で算出した。
Figure 2006063278
上記、数1において、各符号の意味を以下に示す。
V;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の体積
ρ;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の密度
W;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の重量
1;樹脂粉末の体積
ρ1;樹脂粉末の密度
1;樹脂粉末の重量
2;気孔形成材の体積
ρ2;気孔形成材の密度
2;気孔形成材の重量
3;洗浄後の多孔体の体積
3;洗浄後の多孔体の重量
V’2;洗浄後に多孔体に残存する気孔形成材の体積
本発明においては、以下に述べる製造方法により、30 %以上、好ましくは 30%〜 90 %、より好ましくは 30 〜 70 %の連通孔率を有する合成樹脂組成物の樹脂多孔体が得られる。
本発明に使用できる樹脂多孔体は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて成形体から気孔形成材を抽出して得られる。例えば、成形温度X℃の樹脂Aに、このX℃より高い融点Y℃を有する水溶性粉末Bを配合して、X℃で成形して成形体とした後、該成形体より水溶性粉末Bを水で抽出して多孔体が得られる。
なお、樹脂多孔体の製造方法は、これに限られるものでなく、30 %以上の連通孔率となる任意の方法を採用できる。
本発明に使用できる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーまたはゴムなどの樹脂粉末やペレットを使用できる。樹脂粉末、ペレットの粒径や形状は、溶融成形する場合には、溶融時に気孔形成材と混練されるので、特に限定されるものではない。ドライブレンドしてそのまま圧縮成形する場合には1 〜 500 μm の平均粒径が好ましい。
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを例示できる。また、上記合成樹脂から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリマーアロイなどを例示できる。
本発明の摺動材料は、真空条件下での使用が主な目的であり、該真空条件下では熱伝導率が大気中での場合と比較して低くなるので、軸受の使用温度は高くなる場合が多い。よって上記列挙した樹脂の中で、特にポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂などが好ましい。
エラストマーまたはゴムとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等の加硫ゴム類;ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー類が例示できる。
気孔形成材としては、樹脂の成形温度よりも高い融点を有し、該樹脂に配合されて成形体とされた後、その樹脂を溶解しない溶媒を用いて成形体から溶解されて抽出できる物質であれば使用できる。
気孔形成材は、無機塩化合物、有機塩化合物、またはこれらの混合物であることが好ましく、特に洗浄抽出工程が容易となる水溶性物質であることが好ましい。また、アルカリ性物質、好ましくは防錆剤として使用できる弱アルカリ性物質が好ましい。弱アルカリ塩としては、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、無機アルカリ金属塩、無機アルカリ土類金属塩などが挙げられる。未抽出分が脱落したときも、比較的軟らかく、転動面やすべり面を損傷し難いことから、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。なお、これらの金属塩は1種または2種以上混合して用いてもよい。また、洗浄用溶媒として安価な水を使用することができ、気孔形成時における廃液処理などが容易となることから水溶性の弱アルカリ塩を使用することが好ましい。
また、成形時における気孔形成材の溶解を防止するため、気孔形成材は使用する樹脂の成形温度よりも高い融点の物質を使用する。
本発明に好適に用いることができる水溶性有機アルカリ金属塩としては、安息香酸ナトリウム(融点 430 ℃)、酢酸ナトリウム(融点 320 ℃)またはセバシン酸ナトリウム(融点 340 ℃)、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。融点が高く、多種の樹脂に対応でき、かつ水溶性が高いという理由から、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムまたはセバシン酸ナトリウムが特に好ましい。
無機アルカリ金属塩としては、例えば、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。
気孔形成材は摺動材料の用途に応じた平均粒径を管理する。
気孔形成材の割合は、樹脂粉末、多孔体形成材料および充填材などの他の材料を含めた全量に対して、30 体積%〜 90 体積%、好ましくは 40 体積%〜 70 体積%とする。30 体積%未満では多孔体の気孔が連続孔になり難く、90 体積%をこえると所望の機械的強度が得られない。
また配合時において、気孔形成材の抽出に使用する溶媒に不溶な充填材を配合してもよい。
例えば摺動材料の摩擦・摩耗特性を改善して各種機械物性を向上させる目的で、ガラス繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化硼素繊維、石英ウール、金属繊維等の繊維類またはこれらを布状に編んだもの、炭酸カルシウム、リン酸リチウム、炭酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、タルク、シリカ、クレー、マイカ等の鉱物類、酸化チタンウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカなどの無機ウィスカ類、カーボンブラック、黒鉛、ポリエステル繊維、ポリイミド樹脂やポリベンゾイミダゾール樹脂等の各種熱硬化性樹脂などを配合できる。
また、摺動性を向上させる目的で、アミノ酸化合物やポリオキシベンゾイルポリエステル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、液晶樹脂、アラミド樹脂のパルプ、ポリテトラフルオロエチレンや窒化硼素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等を配合できる。
また、摺動材料の熱伝導性を向上させる目的で、炭素繊維、金属繊維、黒鉛粉末、酸化亜鉛、窒化アルミ粉等を配合してもよい。および上記充填材を複数組み合わせて使用することも可能である。
なお、この発明の効果を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く適用しえる添加剤を併用してもよい。例えば離型剤、難燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤等の工業用潤滑剤を適宜添加してもよく、これらを添加する方法も特に限定されるものではない
樹脂材料と気孔形成材の混合法は特に限定されるものではなくドライブレンド、溶融混練など樹脂の混合に一般に使用する混練法が適用できる。
また、気孔形成材を液体溶媒中に溶解させて透明溶液とした後、この溶液に樹脂粉末を分散混合させて、その後、この溶媒を除去する方法を用いることができる。
分散混合させる方法としては、液中混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、ボールミル、超音波分散機、ホモジナイザー、ジューサーミキサー、ヘンシェルミキサーなどが例示できる。また、分散液の分離を抑えるために少量の界面活性剤を添加することも有効である。なお、混合時においては、混合により気孔形成材が完全に溶解するよう溶媒量を確保する。
また、溶媒を除去する方法としては、加熱蒸発、真空蒸発、窒素ガスによるバブリング、透析、凍結乾燥などの方法を用いることができる。手法が容易で、設備が安価であることから加熱蒸発により液体溶媒の除去を行なうことが好ましい。
樹脂に気孔成形材を配合した混合物の成形に関しては、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、真空成形、トランスファ成形などの任意の成形方法を採用できる。また成形前に作業性を向上させるため、ペレットやプリプレグなどに加工してもよい。成形は最終製品である摺動部材の形状に合せて成形することが好ましい。また、成形後において切削加工などにより形状仕上げを行なう。
得られた成形体からの気孔形成材の抽出は、上記気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒で成形体を洗浄することにより行なう。
該溶媒としては、例えば、水、および水と相溶しうる溶媒としてアルコール系、エステル系、ケトン系溶媒などを用いることができる。これらの中で、樹脂および気孔形成材の種類によって上記条件に従い適宜選択される。また、これらの溶媒は1種または2種以上を混合し使用してもよい。廃液処理などが容易、安価などの利点から水を用いることが好ましい。
該抽出処理を行なうことにより、気孔形成材が充填されていた部分が溶解され、該溶解部分に気孔が形成された樹脂製多孔体が得られる。
本発明の摺動材料は、該樹脂多孔体に上述した低蒸気圧の潤滑油を含浸させることで得られる。
含浸方法としては、樹脂多孔体の内部まで含浸できる方法であればよい。潤滑油が満たされた含浸槽に樹脂多孔体を浸漬した後、減圧して含浸する減圧含浸が好ましい。また、加圧含浸することもでき、さらには、これらを組み合わせた加圧減圧含浸としてもよい。
以上のように本発明の摺動材料は、その成形時においては潤滑油を含有していないため、樹脂材料として成形温度が200℃以下のポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂などから、300℃をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などまで広範囲に自由に選択できると共に、充填材も潤滑油の影響なく配合できる。例えば、真空用の摺動材料において、樹脂多孔体を繊維強化すれば高強度の摺動材料とでき、耐熱性の高い樹脂を使用すれば耐熱性摺動材料とできる。
実施例1
ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末(ビクトレックス社製150PF)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 50 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 360 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にアルキル化シクロペンタン油(NYE LUBICANTS社製NYESYNTHETIC OIL 2001A)を真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
実施例2
ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末(ビクトレックス社製150PF)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 50 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 360 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にパーフルオロポリエーテル油(ソルベイソレクシス社製フォンブリンZ60)を真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
実施例3
ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末(ビクトレックス社製150PF)と炭素繊維(東レ製MLD100)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 40 : 10 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 360 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にアルキル化シクロペンタン油(NYE LUBICANTS社製NYESYNTHETIC OIL 2001A)を真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
比較例1
ポリフェニレンサルフィド樹脂粉末(大日本インキ(株)製T4AG)とアルキル化シクロペンタン油(NYE LUBICANTS社製NYESYNTHETIC OIL 2001A)とを体積比 95 : 5 の割合でミキサーにて5分間混合した後、加熱圧縮成形( 330 ℃× 30 分)し、切削加工にて所定の試験片(φ3mm ×13mm )を得た。
実施例1、実施例2、実施例3および比較例1で作製した試験片について、試験片のφ3mm 面を回転するディスク相手に接触させるピンオンディスク試験を行なった。試験条件を以下に示す。
試験片:φ3mm×13mm, 軌道径 23 mm
相手材:φ33mm×6mm, SUS440C(硬さ:HRC60、表面粗さ:Ra=0.5μm )
面圧: 1 MPa
周速: 4.2m/分
温度: 常温(25 ℃)
時間: 20時間
評価方法として、試験前のピン長さと試験後のピン長さとの差から摩耗量を計算した。動摩擦係数と併せて結果を表1に示す。
Figure 2006063278
表1に示すように、本発明の摺動材料からなる実施例1〜実施例3の試験片は、すべて比摩耗量が比較例1に比べて小さく、耐摩耗性に優れていた。また、動摩擦係数も 0.05 と低い値を示した。
本発明の摺動材料は、真空条件下においても潤滑油起源のガス発生がなく低発塵性であり、かつ長期使用が可能であることから、真空条件下で用いられる装置や、クリーンルーム内で用いられる装置などの基幹部品材料として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に、40 ℃における蒸気圧が 1.0×10-5Pa 以下の潤滑油を含浸してなることを特徴とする摺動材料。
  2. 前記潤滑油がアルキル化シクロペンタン系油であることを特徴とする請求項1記載の摺動材料。
  3. 前記潤滑油がパーフルオロポリエーテル油であることを特徴とする請求項1記載の摺動材料。
  4. 前記樹脂多孔体は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ前記樹脂を溶解しない溶媒を用いて前記成形体から前記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の摺動材料。
JP2004250439A 2004-06-10 2004-08-30 摺動材料 Expired - Fee Related JP4851695B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004250439A JP4851695B2 (ja) 2004-08-30 2004-08-30 摺動材料
CN2005800188448A CN1973023B (zh) 2004-06-10 2005-06-09 滑动材料和滑动轴承
US11/628,484 US7703983B2 (en) 2004-06-10 2005-06-09 Sliding material and sliding bearing
PCT/JP2005/010568 WO2005121288A1 (ja) 2004-06-10 2005-06-09 摺動材料およびすべり軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004250439A JP4851695B2 (ja) 2004-08-30 2004-08-30 摺動材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006063278A true JP2006063278A (ja) 2006-03-09
JP4851695B2 JP4851695B2 (ja) 2012-01-11

Family

ID=36110037

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004250439A Expired - Fee Related JP4851695B2 (ja) 2004-06-10 2004-08-30 摺動材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4851695B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008069971A (ja) * 2006-09-14 2008-03-27 Federal-Mogul Deva Gmbh プラスチック外輪を有する球面すべり軸受およびその製造方法
KR101119236B1 (ko) * 2008-02-21 2012-03-20 가부시키가이샤 아루박 베인의 제조방법
JP2015097984A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 日本電産コパル株式会社 振動アクチュエータ
CN114149611A (zh) * 2021-11-09 2022-03-08 安徽省众望科希盟科技有限公司 一种使用聚酰胺酸改性膨化聚四氟乙烯的改性方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS616429A (ja) * 1984-06-20 1986-01-13 Youbea Le-Ron Kogyo Kk 軸受保持器
JP2002194131A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Asahi Rubber:Kk 多孔体の製造方法及び多孔体
JP2002364647A (ja) * 2001-06-06 2002-12-18 Ntn Corp 含油摺動材およびすべり軸受
JP2004036788A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Nsk Ltd 転動装置及び転動装置用セパレータ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS616429A (ja) * 1984-06-20 1986-01-13 Youbea Le-Ron Kogyo Kk 軸受保持器
JP2002194131A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Asahi Rubber:Kk 多孔体の製造方法及び多孔体
JP2002364647A (ja) * 2001-06-06 2002-12-18 Ntn Corp 含油摺動材およびすべり軸受
JP2004036788A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Nsk Ltd 転動装置及び転動装置用セパレータ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008069971A (ja) * 2006-09-14 2008-03-27 Federal-Mogul Deva Gmbh プラスチック外輪を有する球面すべり軸受およびその製造方法
KR101119236B1 (ko) * 2008-02-21 2012-03-20 가부시키가이샤 아루박 베인의 제조방법
US8402651B2 (en) 2008-02-21 2013-03-26 Ulvac, Inc. Method of manufacturing vane
JP2015097984A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 日本電産コパル株式会社 振動アクチュエータ
CN114149611A (zh) * 2021-11-09 2022-03-08 安徽省众望科希盟科技有限公司 一种使用聚酰胺酸改性膨化聚四氟乙烯的改性方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4851695B2 (ja) 2012-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7703983B2 (en) Sliding material and sliding bearing
JP4848121B2 (ja) 摺動材料
US7771125B2 (en) Retainer for rolling bearing, and rolling bearing
US7670055B2 (en) Sliding bearing
WO2005103128A1 (ja) 樹脂製多孔体およびその製造方法
JP4074444B2 (ja) 摺動材組成物
JP2002098189A (ja) すべり免震装置
JP2008174593A (ja) 摺動材組成物
JP2007016905A (ja) すべり免震装置
JP2009036380A (ja) 含油摺動材およびすべり軸受
JP4541765B2 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP4851695B2 (ja) 摺動材料
JP5170856B2 (ja) 導電性摺動材組成物
JP5033311B2 (ja) 樹脂製保油体およびその製造方法
JP2007186621A (ja) 樹脂多孔質体
JP4155981B2 (ja) 樹脂製多孔体およびその製造方法
JP2006125482A (ja) シール部材および該シール部材を用いた軸受
JP2006009834A (ja) すべり軸受
JP2006250262A (ja) 精密摺動部品用すべり軸受
JP4206377B2 (ja) 樹脂製保油体およびその製造方法
JP2006063279A (ja) 液中摺動材料
JP4541769B2 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP4478085B2 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2006123058A (ja) 工作機械用摺動部材
JP4543742B2 (ja) 固体潤滑剤及び摺動部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111004

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111021

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141028

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees