JP2006059994A - 希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法 - Google Patents

希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐酸化性、高磁気特性を発揮し、特に減磁曲線の角形性が大きく高残留磁束密度を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法とそれにより得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を提供する。
【解決手段】希土類酸化物粉末と鉄及びマンガンを必須成分として含有する遷移金属粉末とから還元拡散法によって得られる母合金粉末を窒化する前に、予め母合金粉末を分級して粒径が20〜76μmでかつ累積体積百分率径D50(平均粒径)が30〜35μmの母合金粉末とし、さらに、窒化後に得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級して微粉を除去し、粒径20μm未満の磁石粉末の含有量を18重量%以下にする。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、優れた耐酸化性、高磁気特性を発揮し、特に減磁曲線の角形性が大きく高残留磁束密度を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法とそれにより得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末に関する。
Sm−Fe−N合金粉末で代表される希土類−遷移金属−窒素系磁石合金は、高性能でかつ安価な希土類−遷移金属−窒素系磁石材料として知られている。
従来、希土類−遷移金属−窒素系磁石合金は、希土類と遷移金属を溶解して合金を作製する溶解法や、希土類酸化物と遷移金属の原料にアルカリ土類金属を還元剤として配合し、希土類酸化物を金属に還元するとともに遷移金属との合金を合成させる還元拡散法によって製造されている。
しかし、溶解法では、原料として使用する希土類金属が高価であるという理由から、希土類−遷移金属−窒素系磁石合金の製造方法としては、安価な希土類酸化物粉末を原料として利用できる還元拡散法の方が望ましいと考えられている。
このような還元拡散法では、まず希土類酸化物原料、遷移金属粉末原料、および希土類酸化物の還元剤(アルカリ土類金属)を配合した混合物を非酸化性雰囲気中において加熱焼成して希土類−遷移金属系合金を合成する。その後、得られた希土類−遷移金属系合金を湿式処理して粉末状にした後、この希土類−遷移金属系合金を窒化処理することで所望の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を製造している。
さらに、これらにより得られた粉末状の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金は、ある特定範囲の粒度まで微粉砕処理される。この場合、希土類−遷移金属−窒素系磁石合金における保磁力の発生機構はニュークリエーション型であることから、磁気特性の一つである減磁曲線の角形性、保磁力を高めるためには、数μmまで微粉砕し希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の粒度を揃えることが必要であった。
しかし、希土類を含む磁石合金は、細かくすればするほど酸化が進みやすくなり、結果として磁石特性が低下し易くなる。特に、高温下における磁石特性の劣化は顕著である。このため、高温下での使用には限界があることが問題となっていた。
この問題を解決するために、粗粉末でも高い保磁力が得られるピンニング型の磁石が提案されており(例えば、特許文献1参照)、母合金にMnを添加し、窒素をSmFe17の割合よりも過剰に入れることにより、平均粒径が10μm以上でも保磁力が高いSm−Fe−N系磁石が得られるとしている。この発明によれば高い保磁力、優れた耐酸化性が得られるものの、飽和磁化や残留磁束密度については低い値しか得られず、また、減磁曲線の角形性も低いため、最大エネルギー積が低いという問題があった。
Mnを添加した希土類−鉄−マンガン系母合金を窒化処理した希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末は、ThZn17型結晶構造を有するSm(Fe、Mn)17主相と、該主相より窒素量の多いアモルファス相で構成され、約10nmの微細構造を有することによって高い保磁力(iHc)が得られ、主相の大きさが均一であれば高い角形性(Hk)が得られることが知られている。
また、高磁気特性化には、窒素量をSm(Fe、Mn)17に対して、3.5〜6重量%として磁石粉末内のどの場所でも窒素の均一な分布が必要とされている。均一な窒化を行うためには、粒径が小さく粒度分布がシャープである必要がある。
ところが、希土類−遷移金属合金粉末を窒化した場合、窒素は粒子の外側から内部へと拡散していくので、大きな粒子ではその外周付近と内部で窒素量が異なり、窒素の分布が不均一になり減磁曲線の角形性が低下する場合がある。また、小さな粒子では窒素が過剰に拡散し過窒化になり磁化と角形が低下する。溶解法で作製した母合金を使用する場合は、上記問題を回避するために粗粉砕を行うが、この時10μm以下の粒子は表面が酸化しやすく磁気特性の保磁力を低下させる原因となるため通常除去されている。
実際に、溶解法で作製した希土類−遷移金属合金では、窒化する前に合金を粗粉砕及び分級しており、例えば、希土類−遷移金属合金粉末を篩分け、平均粒径を50μm程度に粒度調整すること(特許文献2参照)、また、平均粒径を45μm程度に調整してから窒化すること(例えば、特許文献3参照)が行われている。これにより窒化の処理時間は短縮されるものの、実施例によれば得られた磁石粉末の磁気特性がそれほど高くない。これにより、粒度分布が広く、サブミクロンの小粒子や、100μmを超える粒径の大粒子も存在しているものと推定される。
上記還元拡散法で作製された希土類−鉄−マンガン系合金粉末では、原料粉末の粒度を調整しているため溶解法で作製した粉末よりも粒度分布は狭く特性の向上が見られるが、分級を行うと粒度分布ができてしまう。このような粒度分布のある希土類−鉄−マンガン系合金粉末を同一の条件で窒化した場合、溶解法で作製した合金と同様に大きな粒子では外周付近と内部で窒素量が異なり不均一になりやすい。また、10μm以下の小さな粒子では窒素が過剰に拡散し磁気特性を低下させる傾向がある。したがって、窒化のむらによる磁気特性の低下が完全には解消されたわけではなかった。
還元拡散法で作製した希土類−鉄−マンガン系磁石粉末を窒化した希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末について、その粒径と粒子内の窒素分布について詳細に調べてみると、粒度分布が広くなると磁石粉末内の場所による窒素の差が大きくなり、アモルファス相を主相によって均一微細化できなくなり、磁気特性の角形性が低くなるものと推定される。
このような状況下、還元拡散法で得られた合金粉末を用いて、減磁曲線の角形性が大きく、高い残留磁束密度を持ち、優れた耐酸化性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を比較的容易に製造し得る方法の出現が切望されていた。
特開平8−55712号公報 特開平8−144024号公報 特開平11−135311号公報
本発明の課題は、優れた耐酸化性、高磁気特性を発揮し、特に減磁曲線の角形性が大きく高残留磁束密度を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法とそれにより得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、粗粉末でも高い保磁力が得られるピンニング型の希土類−鉄−マンガン−窒素系合金磁石に着目し、還元拡散によって得られる希土類−鉄−マンガン合金粉末を分級して、平均粒径を特定の範囲内にしてから窒化することで、得られる磁石合金粉末が高磁気特性を有するようになり、窒化後さらに分級して粒径を特定の範囲内とすることで、角形性に優れるだけでなく高い残留磁束密度を有する磁石粉末が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類酸化物粉末と鉄及びマンガンを必須成分として含有する遷移金属粉末とから還元拡散法によって得られる母合金粉末を窒化して優れた耐酸化性と高磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を製造する方法において、窒化する前に、予め母合金粉末を分級して粒径が20〜76μmでかつ累積体積百分率径D50(平均粒径)が30〜35μmの母合金粉末とし、さらに、窒化後に得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級して該磁石粉末に含まれる微粉を除去し、粒径20μm未満の磁石粉末の含有量を18重量%以下にすることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級する際、予め解砕して粉末の結晶歪(積分幅)を0.09deg.以下にすることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、さらに、分級によって粒径64μm以上の磁石粉末の含有量を5重量%以下にすることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかに記載の方法で得られた優れた耐酸化性と高磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末であって、その組成は、22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnと、4〜5重量%のNと、残部が実質的にFeであるか又はFeの20重量%以下をCoで置換したFeおよびCoからなり、かつ、ThZn17型結晶構造を有する主相とアモルファス相とを含有することを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、窒素が磁石粉末の粒子内部に3.5〜6重量%含有されていることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第4の発明において、残留磁束密度が1.0T(10kG)以上であって、かつ角形性が240kA/m(3kOe)以上であることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末が提供される。
本発明によれば、還元拡散法で製造された希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を窒化する前に分級し、分級された母合金粉末を窒化後、さらに分級することによって、窒素が磁石粉末の粒子内部に均一に分布した磁石粉末が得られ、高い残留磁束密度、角形性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を提供することができることから、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法、得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末について項目毎に詳しく説明する。
1.希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石用合金粉末の製造方法
本発明の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法は、(1)還元拡散法により希土類−鉄−マンガン母合金粉末を得て、必要により水素処理後、さらに水洗、デカンテーション、酸洗を行い、(2)得られた母合金粉末を分級した後、(3)特定の粒径分布になった粉末を窒化し、(4)必要により、この希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を解砕し、(5)次いで分級することにより、粒径20μm未満の磁石粉末が18重量%以下となるようにする方法である。
すなわち、本発明は、希土類酸化物粉末、遷移金属粉末、及び還元剤からなる混合物を加熱処理して、還元拡散法により希土類−鉄−マンガン母合金粉末を得てから、微粉、粗粉を分級除去した後、これを窒化し、窒化された合金粉末をさらに分級調整して希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石用合金粉末を得る方法である。
従来、希土類−鉄−マンガン系合金の原料となる合金粉末は、溶解法、共沈法あるいは還元拡散法で製造されているが、製造コストが低くなること、粉末を容易に製造できることから、以下に詳述する還元拡散法を用いた製造方法が優れている。
(1)希土類金属の遷移金属への還元拡散
まず、希土類酸化物粉末、遷移金属粉末、及び還元剤を配合し、互いに均一に混合し原料混合物を調整する。必要により、その他の原料粉末を配合してもよい。
(希土類酸化物粉末原料)
本発明に用いられる希土類酸化物粉末としては、特に制限されないが、Sm、Tb、およびCeから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。中でもSmが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させることが可能となるので特に好ましい。Smが含まれるものの場合、高い保磁力を得るためにはSmを希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にすることが必要である。
(遷移金属粉末原料)
遷移金属粉末としては、Fe、Cu、Mn、Co、Cr、Ti、Ni、Zrの少なくとも1種以上などを含有するものが挙げられるが、磁気特性の面からFeとMnを必須成分として含有する必要がある。Fe量は、40〜80重量%が好ましい。Feが40重量%未満であると磁化が低くなり、一方、80重量%より多くなっても保磁力が低くなってしまう。
Mnは保磁力を発現させるための必須元素であるが、7重量%を超えると本発明の磁石粉末の磁化が低下する。好ましいMn量は2〜6重量%、より好ましいMn量は3〜5重量%である。磁気特性を損なうことなく温度特性や耐食性を改善する目的で、その一部をCu、Co、Cr、Ti、Ni、Zrから選択された1種以上で置換することができる(以下、これらの元素を添加元素Mという)。添加元素Mは、粗い粒径の合金粉末で高い保磁力を出すためには必須である。添加元素Mの中ではCuが好ましい。
添加元素Mの量は、12重量%より多いと非磁性相の割合が多くなりすぎ、磁化が低くなってしまう。
希土類酸化物粉末、鉄、マンガンを含む遷移金属粉末、及び還元剤からなる原料粉末混合物の粒度分布は、目標製品の粒度に近い分布が望ましい。すなわち、上記の遷移金属粉末としては、例えば、粒径10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末と、粒径0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるマンガン酸化物粉末が好ましく、希土類酸化物粉末としては、粒径0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるものを用いることによって、良好な角形性を有するとともに配向性が大きく高飽和磁化を有し、製造再現性に優れた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を得ることができる(特願2003−395676号参照)。
(還元拡散)
上記希土類酸化物粉末、鉄、マンガンを含む遷移金属粉末の原料粉末と還元剤とを反応容器に投入し、特定条件で加熱処理することによって、希土類酸化物と他の酸化物原料とを還元するとともに希土類元素を鉄−マンガン粉末に拡散させて、希土類−鉄−マンガン系合金粉末を生成させる。
還元剤としては、Li又はCa、あるいはこれらの元素とNa、K、Rb、Cs、Mg、SrあるいはBaから選ばれる少なくとも1種からなるアルカリ金属又はアルカリ土類金属元素が使用できる。
これら還元剤を使用するにあたっては、その投入量、還元剤および希土類酸化物の粉末性状、各種原料粉末の混合状態、還元拡散反応の温度と時間を注意深く制御する必要がある。なお、上記還元剤の中には、取り扱い安全性とコストの点から、金属Li又はCaが好ましく、特にCaが好ましい。
Caが、希土類−鉄−マンガン系合金粉末の結晶相内部に0.001〜0.1重量%含有して均一に分布している場合は、窒化処理を短くできる効果がある。ただし、0.1重量%を超えると希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石用合金の磁気特性、特に磁化が低下するので好ましくないことが知られている。
還元剤は、上記原料粉末と混合するか、カルシウム蒸気が原料粉末と接触しうるよう分離して配置することもできる。分離して配置すると均一窒化を促進でき、得られた磁石粉末の角形性を向上させることができる。
上記原料粉末とともに、後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加剤を混合することも効果的である。崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩や酸化カルシウムなどを用いることができ、原料粉末と同時に均一に混合する。
各原料粉末は、それぞれの粉体特性差によって分離しないように均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえばリボンブレンダー、タンブラー、S字ブレンダー、V字ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、振動ミル、アトライター、ジェットミルなどが使用できる。
上記混合物は、アルゴンガスなどの不活性ガスが流通する非酸化性雰囲気中において、還元剤が蒸発しない温度まで昇温保持し加熱焼成する。加熱処理は900〜1250℃程度の温度範囲とし、5〜15時間かけて加熱する。加熱温度が900℃未満では鉄粉に対して希土類元素の拡散が不均一となり、これを用いて製造される希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の保磁力や角形性が低下する。1250℃を越えると、生成した希土類−鉄−マンガン系金属母合金が粒成長を起こすとともに互いに焼結するため、均一窒化が困難になり磁石粉末の角形性が低下する。
希土類元素、鉄、マンガンを含む合金を室温まで冷却した後、必要により下記の要領で水素処理してから、該還元生成物を水中に投入し、デカンテーションにより洗浄し、次いで酸洗して、固液分離して希土類−鉄−マンガン系金属母合金粉末を製造する。
(水素処理)
希土類−鉄−マンガン系母合金を含んだ反応生成物は、粉砕が困難なことから、水中投入時の崩壊性の改善を目的として、水素処理を行うこともできる。水素処理では、希土類−鉄−マンガン系母合金を含んだ反応生成物をステンレス容器に入れ、アルゴンガスを封入し、容器を加熱炉に入れ加熱し、アルゴンガスを水素ガスに置換し、水素ガスを流しながら一定時間加熱する。水素を導入することにより、強固に凝集している反応生成物の未反応還元剤や酸化カルシウム等が反応し、凝集がほぐれていくことが確認されている。
水素処理された還元生成物は、室温に冷却された後では、水との反応性が増し、大気中に曝されるだけで大気中の水分と反応し自然崩壊が進行し、還元生成物を1cm角大に破砕する工程が必要なく、その後の水洗分離工程において、分級、デカンーション操作の回数などを大幅に削減して、合金粉末を得ることができる。
(水洗、デカンテーション、酸洗)
水素処理により得られた反応生成物を大気中に約0.5〜3時間放置した後、例えば反応生成物1kgあたり約1リットルの水中に投入し、0.1〜3.5時間撹拌して反応生成物を崩壊させる。その後、得られたスラリーを粗い篩を通し水洗槽に移す。このときスラリーのpHは11〜12程度が好ましく、崩壊せずに残留する塊はなく、篩上に残ったロスは非常に少なくなる。
この後、スラリーのpHが10以下になるまでデカンテーションを繰り返す。デカンテーション条件は、任意に選択できるが、注水し、撹拌1分、静置分離1分後、排水することを標準条件とすればよい、デカンテーション開始から終了までの時間を1回の水洗時間とし、その結果、スラリーのpHが10になるまでの水洗時間の合計量は約60〜120分を目安とする。
その後、スラリーのpHが5〜6になるように酢酸などの鉱酸を添加し、酸洗を行い固液分離し、乾燥すれば希土類−鉄−マンガン系合金粉末が得られる。
この時、還元剤として用いたCaは、希土類−鉄−マンガン系合金粉末の結晶相外に残留している量ができるだけ少なくなるようにすることが好ましい。
これら水素処理、その後の水洗処理などによって希土類−鉄−マンガン系母合金は、微粉砕を必要としないほど適度な粒径をもつ粉末とすることができる。ただし、母合金の粒径が充分に小さくない場合は粉砕を行ってもよい。
(2)希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の分級
上記の工程で得られた希土類−鉄−マンガン系合金粉末は、かなり広範な粒度分布を有しているため次いで分級を行う。
例えば、表1に示すように、粒径は106μmもの粗い粒子から数μm以下の細かい粒子まで広く分布している。この状態で窒化を行うと、大きな粒子と小さな粒子では窒化後の窒素の量、分布に差が生じてしまう。具体的には、大きな粒子は窒化不足や不均一窒化が生じ、小さな粒子では過窒化となり磁気特性の低下が起こる。
窒化後の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末で、粒径76μm以上、平均粒径40μm、粒径20μm以下の粒子について、その断面の窒素分布をEPMAで調べると、例えば、図1−A、B、Cに示すようになる。
還元拡散法で作製し、その後窒化した希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉を、目開き106μmで分級して大粒径の磁石粉を除去した。篩下の平均粒径(D50)は26μmであった。窒化磁石粉末の平均粒径(累積体積百分率粒径D50)は、レーザー回折式粒度分布計 HELOS Particle Size Analysisで測定した。
図1−Aに示す粒径76μm以上の粒子では、窒素が高いところで4.5重量%、低いところで2.8重量%であり分布は均一ではなかった。同様の粒径をもつ5個の粒子について窒素分布を測定したが同様の結果が得られた。図1−Bに示した粒径20μm以下の粒子でも、窒素が高いところで3.6重量%、低いところで2.9重量%であり均一ではなかった。
一方、図1−Cに示した平均粒径40μm粒子の場合、窒素は、3.8〜4.0重量%と均一であった。この篩下の粉末の窒素量は全体で4.6重量%であった。
全体の窒素量が内部より高いということは、粒子内部の窒素が場所によって大きな差があることを意味している。希土類−鉄−マンガン系合金粉末の粒度分布が広くなると、磁石粉末内部の窒素量の差が大きくなり、アモルファス相を主相で均一微細化できずに磁気特性の角形性は低くなる。
上記の窒化後の状況から、希土類−鉄−マンガン系合金粉末の分級を行い、粒度分布をシャープにして窒化することで、合金内の窒素量および分布を均一化でき、減磁曲線の角形性、残留磁束密度を高めることができるのである。分級後の粒径は、大粒径側で76μm以下とし、小粒径側では20μm以上とすることが必要である。より好ましくは、粒径38〜53μmの範囲が好ましい。粒径が76μmを超えると、窒素の拡散に時間がかかるため、合金内部の中心部と外側では、窒素の分布が不均一となり減磁曲線の角形性が低下する。また、20μmよりも小さいと、窒素が合金に過剰に入り減磁曲線の角形性と磁化が低下する。
同時に、平均粒径(累積体積百分率D50)は30〜35μmとなるように分級されることが必要である。粒度分布がシャープなほど粒子内部窒素の分布が均一になるからである。この範囲をはずれて、平均粒径が30μmよりも小さくなると、小さな粒子の個数が多くなり、そこでは過窒化になり減磁曲線の角形性と磁化が低下する。平均粒径が35μmを越えると、窒素の拡散に時間がかかるため合金粉内部の中心部と外周部では、窒素の分布が不均一となり減磁曲線の角形性が低下する原因となる。
(3)窒化処理
次に、上記で得られたシャープな粒度分布を有する希土類−鉄−マンガン系合金粉を窒化して磁石粉にする。希土類−鉄−マンガン系合金粉は、合金粉を電気炉に投入し、窒素雰囲気として加熱することで窒化できる。
窒化のための窒素雰囲気は、窒素又はアンモニアを含む雰囲気である。アンモニアは、水素との混合ガスとして用いることが好ましく、それは、窒素ガスに比較し短時間で行えるためである。また、静置で窒化するのに比較し、均一な窒化を行うために攪拌しながら窒化するのが好ましい。アンモニアと水素の混合割合は、特に限定されないが、10〜70:30〜90、好ましくは30〜60:40〜70が好ましい。この範囲を外れ、アンモニアが少なすぎると窒化の効率が低下し、一方、アンモニアの割合が多すぎると部分的に窒化が進み均一な窒化が行えない。
窒化温度は、300〜650℃の範囲が好ましい。300℃未満では窒化速度が遅く、650℃を超えると、希土類−鉄−マンガン系合金が、希土類元素の窒化物と鉄、マンガンに分解してしまう。アンモニア−水素混合ガス中で窒化した後の合金粉中に水素が多く残留していると、この合金粉を磁石化しても磁気特性が低下するため、場合によっては真空加熱を行うなどの方法で十分に除去しておく必要がある。
希土類−鉄−マンガン母合金磁石粉末の篩い分けによる粒度分布は、表1に示すように、粒子径は106μm以下であるが、粒度分布は広くなっており、大きな粒子は窒化不足や不均一窒化を生じ、小さな粒子では過窒化となり磁気特性の低下が起こる傾向にある。しかしながら、本発明では、上記希土類−鉄−マンガン母合金磁石粉末の粒径が20〜76μmとなり、かつ累積体積百分率径D50(平均粒径)が30〜35μmとなるよう分級しているので、このような問題が生じることはない。
(4)希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の解砕
窒化処理前に、すでに76μmを超える大粒径の粉末は除去されているが、ここで磁石粉末に解砕処理を加えることで、窒化処理前の分級では篩を通過したが還元拡散時に焼結した粉末を一つ一つ解離させることができる。
解離した個々の粉末(以下、これを単一粒子ともいう)は、その内部にアモルファス相と微小強磁性相を有し、該微小強磁性相は結晶方向のほぼ揃った状態であり、磁石化時磁場中で単一粒子の結晶方向をより多く磁場方向に揃えることによって配向度を高め、高飽和磁化を達成できる。
本発明者等は、特願2003−058679号において、アモルファス相と結晶方向が不揃いの微小強磁性結晶相が混在した希土類−遷移金属−窒素系合金粉末を粗粉砕した後、平均粒径が150μm以下になった合金粉末を解砕処理することにより、微小強磁性結晶相の結晶方向が揃った平均粒径が10μm以上の合金粒子を80体積%以上含有する合金粉末を得ることを提案した。
本発明でも、このような解砕方法を採用できる。焼結した部分や粒界のみを解砕することが好ましく、強磁性相の結晶方向が揃った単一粒子を砕いてしまったり、磁石粉末の結晶歪が大きくなり耐熱性が低下し、その結果保磁力が低くなる。したがって、解砕を行うには、マイルドな条件、すなわち粉末に必要以上の応力を加えることなく、短時間で解砕することが重要である。
例えば、アトライターやジェットミルなどの粉砕装置を用いて解砕できる。ジェットミルで解砕を行う場合には、SmFe17を粉砕するような強い粉砕条件では結晶方向の揃った粒子も砕いてしまうので目的の解砕はできず、ガス流量や流速を下げ、粉末供給量を多くするなどの条件で行わなければならない。また、アトライターで解砕を行う場合には、メディアの量を減らす、溶媒量を多くする、解砕量を多くする、回転数を低くするなどの条件で行わなければ、本発明の目的とする解砕はできない。
上記解砕で、飽和磁束密度、保磁力、角形性等に悪影響を与えないためには、解砕後の磁石粉末の結晶歪(積分幅)が、0.09deg.以下であることが必要である。0.09deg.を越えると、結晶歪が蓄積された部分で、その後の製造工程中でThZn17型を持つ相がα−Feと酸化サマリウムに分解しやすくなるからである。
(5)希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉の分級
希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末は、分級して、得られた粉末中の20μm未満の粉末を18重量%以下とする。さらには、得られた粉末中の粒径64μm以上の粉末が5重量%以下となるように分級することが好ましい。
窒化して得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を、目開き64μmの篩で分級して大粒径の磁石粉を除去し、分級後の粒度分布を測定すると表2に示すようになった。篩下は平均粒径(D50)が26μmであった。
上記解砕処理を行わなかった希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉は、粒子径はほぼ76μm以下であるが、その分級前の粒度分布が広くなっており、大きな粒子は窒化不足や不均一窒化を生じ、小さな粒子では過窒化となり磁気特性の低下が起こる傾向にある。
上記母合金粉末を窒化して得た希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を、目開き64μmの篩で分級して大粒径の磁石粉を除去した。分級後の粒度分布は、表2に示すように、篩下は平均粒径(D50)が26μmであった。また、窒化磁石粉末の平均粒径(累積体積百分率粒径D50)は、レーザー回折式粒度分布計 HELOS Particle Size Analysisで測定した。
この希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の粒度分布の中から、粒径76μm、40μm、20μmの粒子について、その断面の窒素分布をEPMAで調べた。その結果は前記したように、図1−A、B、Cに示すとおりであった。測定では、磁石粉末を樹脂中に埋め込み研磨によって粒子断面を出し、該粒子断面でEPMA分析を行っており、粒子粒径と組成分析距離とは必ずしも一致しない。
図1−Aに示す76μm粒子の窒素は、高いところで4.5重量%、低いところで2.8重量%であり均一ではなかった。同様の粒径をもつ5個の粒子について窒素分布を測定したが同様の結果を示した。図1−Bに示した20μm粒子の窒素は、高いところで3.6重量%、低いところで2.9重量%であり均一ではなかった。
一方、図1−Cに示した40μm粒子の窒素は、3.8〜4.0重量%と均一であった。この粉末の篩下の窒素量は、全体で4.6重量%であった。全体の窒素量が内部より高いのは、粒子内部の窒素分布が場所によって大きな差があることを示しているものと考えられる。
粒径が>73μm、38〜53μm、<20μmの各粒度範囲になるように篩い分けした希土類−鉄−マンガン系合金粉末と、それを窒化した希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末のSEM像を図2(写真1)の(a)〜(f)に示す。
粒径が>73μmの場合、窒化後の磁石粉末(d)を見ると、大きな粒子の周りに20μm以下の鱗片状粒子が分散している状態が観察される。これは希土類−鉄−マンガン系母合金粉末が窒化膨張して割れ、小さな粒子を形成した部分が存在するためと考えられる。
粒径が38〜53μmの場合、窒化後の磁石粉末(e)は、上記と同様に大粒子の場合に比較して少ないが鱗片状の粒子が確認された。
一方、粒径が<20μmの磁石粉末(f)の場合、窒化前後で粒子の大きさや形状に変化はみられなかった。しかし、窒素の分布が均一ではなく、磁気特性が低かった。これは、粒径が20μmよりも小さいと窒化膨張による割れが起こりにくく粒子表面に新生面が生成しないため、窒化しづらくなり窒素分布が均一にならなかったものと推定される。
上記の鱗片状の磁石粒子は、窒化を行うことによって、磁石粉末が窒化膨張して該粒子表面に割れが入り、さらに剥がれ落ちて生成したものと、写真1のSEM像から推定される。窒化は、磁石粉末の窒化膨張による表面割れが起こることによって粒子に新生面ができ、さらに該新生面の窒化が進むことによって進行していくと考えられるが、40μmを越える母合金粒子では、窒化の進行に伴い鱗片状粒子の数が増え、該鱗片状粒子では、割れた面が新生面となり窒化の進行が早くなるため過窒化となり磁気特性が低下しやすくなり、また、粒子が大きいと窒素の拡散距離も長くなり粒子内部の窒素の分布も不均一になるものと考えられる。
上記の知見により、希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級した篩上粉末中、20μm未満の粒子の量で磁気特性が変化し、その量は少ないほど良好であるといえ、本発明においては、分級後の20μm未満の粒子量を18重量%以下とすることにより、磁気特性を改良するものである。
上記に加えて、窒素分布の不均一な大粒子粉末を除去することによって、減磁曲線の角形性、残留磁束密度を高めることができる。分級後の粒度分布においては、粒径64μmを超える粉末が5重量%以下になるようにすることが好ましく、具体的には、篩い分けでは、目開き64μm、好ましくは目開き53μmの篩を用いることが好ましい。粒径が64μmを超える大粒子の場合、上記の通り、窒素の拡散に時間がかかるため合金内部の中心部と外側では、窒素の分布が不均一となり減磁曲線の角形性が低下してしまう。また、粒径が20μm未満の粒子のうち、窒化時に割れない粒子では粒子表面状態の影響で不均一な窒化が起こり、また、窒化膨張で割れてできた鱗片状粒子では、窒素が合金に過剰に入ることによって減磁曲線の角形性と磁化が低下するものと推定される。
2.希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末
本発明の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末は、希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を分級後、窒化処理し、得られた磁石粉末の微粉側を分級除去して、磁石粉末中の20μm未満の残留粉末量が、分級後の全体量の18重量%以下となるようにしたものである。
本発明の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末は、22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnを含み、4〜5重量%のNと、残部が実質的にFe、またはFeおよびCoの組成を有するものである。
希土類元素としては、Smを希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にすることが高い保磁力を得るために必要である。希土類元素が22重量%未満であると、磁石粉末に希土類元素が未拡散の鉄(−コバルト)−マンガン相が残留するので、磁化、保磁力および角形性が低下する。また、希土類元素が27重量%を超えると、ThZn17型のSm(Fe、Mn)17化合物結晶相よりも希土類リッチ窒化物相が形成され、磁石粉末の磁化と角形性が低下する。
Mnは、保磁力を発現させるための必須元素であるが、7重量%を超えると本発明の磁石粉末の磁化が低下する。好ましいMn量は2〜6重量%、より好ましいMn量は3〜5重量%である。
N量は、4重量%未満では保磁力と角形性が低下し、5重量%を超えると、磁石粉末中のアモルファス相が増加するとともに、個々のセルにおいてThZn17型結晶構造を持つSm(Fe、Mn)17化合物結晶相のc軸が揃わなくなってくるため、磁化が低下する。好ましいN量は、4.1〜4.9重量%、より好ましいN量は、4.2〜4.8重量%である。なおFeの20重量%以下をCoで置換するとキュリー温度が上昇し、磁化や磁化の温度係数を改善できる。
なお、こうして得られた磁石粉末には、必要により、燐酸、カップリング剤などを用いて表面処理を施すことで大気中の酸素や高温高湿度に対する耐候性を向上させることができる。そして、この希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石合金粉末に熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれかをバインダーとして配合すれば、ボンド磁石用樹脂組成物を製造できる。さらに、このボンド磁石用樹脂組成物を成形することにより優れた磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系ボンド磁石を得ることができる。
次に、実施例、比較例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。なお、得られた窒化粉末の特性は次の方法で測定した。
(1)磁気特性
合金粉末の磁気特性は、日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、1600kA/mの配向磁界をかけてパラフィン中で希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉を配向させ試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁して測定した。磁石合金粉末の比重を7.67g/cmとし、反磁場補正をせずに最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計を用いて、残留磁束密度:Br(T)、角形性:Hk(kA/m)を測定した。
なお、上記希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石であれば、残留磁束密度1.0T(10kG)以上、角形性240kA/m(3.0kOe)以上ならば十分な性能を有するものといえる。
(2)結晶歪測定
X線回折装置(理学電機株式会社製Rotaflex RAD−rVB)を用いて得られた窒化合金粉末のX線回折測定を行い、SmFe17(113)回折ピークの積分幅を求めた。積分幅は(113)回折ピークの面積をピーク高さで割った値で算出した。測定条件はゴニオン半径185mm、発散スリット1.0°、散乱スリット1.0°、受光スリット0.3mm、湾曲グラファイトモノメーターを用いた光学系で行った。
(3)粗粉、微粉量の測定
粗粉、微粉末の分級は、ミクロ形電磁振動ふるい器M−2型(筒井理化学機器株式会社製)を用いて行った。測定粉末を目開き20μmの篩に投入し、振動調整(重力加速度 8g程度)振動時間20分で行い、測定粉末の投入量に対する篩下微粉末の重量から20μm未満の微粉末量の割合を算出した。また、測定粉末を目開き64μmの篩に投入し、振動調整(重力加速度8g程度)振動時間20分で行い、測定粉末の投入量に対する篩上粗粉末の重量から64μm以上の粗粉末量の割合を算出した。
(4)粒子内部窒素分布の測定
窒素量は、樹脂に埋め込んだSm−Fe−Mn−N合金粉末を研磨し、個々の粒子断面を電子線プローブ微小部分析装置(EPMA;島津製作所製 EPMA−2300)によって線分析および定量分析を行って測定した。測定ビームサイズは約1μmとした。
(5)粒子の形状観察
合金粉末および窒化粉末の粒子表面、形状観察は、走査電子顕微鏡(SEM;日立製作所製 S800)で行った。
(6)粒度分布測定
窒化粉末の平均粒径(累積体積百分率粒径D50)は、レーザー回折式粒度分布計 HELOS Particle Size Analysisで測定した。
(実施例1)
以下の要領で、(1)原料粉末、還元剤を混合して加熱処理し、還元拡散法でSm−Fe−Mn系母合金粉末を調製し、分級後、(2)これを窒化し、さらに分級し、Sm−Fe−Mn−N系磁石粉末を製造した。
(1)還元拡散、分級
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)690gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の83%を占める二酸化マンガン粉末(MnO純度91%)62.5gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%)335gを秤量し、5mm以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)208gをVブレンダーで混合した。
これをステンレススチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1180℃まで昇温して、4時間保持し冷却した。次に、Arガスを水素ガスに切り替えて昇温して、250℃で4時間保持して冷却した。反応容器から取り出した時点で反応生成物は崩壊しており、その全量が16メッシュ(タイラーメッシュ、目開き0.991mm)の篩を通過するものであった(以下、特に記載がない限り、崩壊物全量が16メッシュの篩を通過した。)。
取り出した崩壊物を直ちに純水中に投入したところ、ガス発生を伴う反応が激しく起こった。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後2時間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返した。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0にて15分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回掛水洗浄し50℃で真空乾燥することによって、約1000gのSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。
この粉末組成は、Sm25.7重量%、Mn3.6重量%、Oが0.09重量%、Hが0.49重量%、Ca0.02重量%、残部Feとなっていた。この母合金粉末100gを目開き20μmと76μmの篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き20μmから76μmの間にある粉末を試料粉末とした。この粉末の粒度分布を測定したところ平均粒径は33μmであった。
(2)窒化、分級
この合金粉末をキルンに入れ、水素−アンモニア混合ガスを1:1の割合で流しながら、430℃で5時間窒化した。
得られたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末の10gを、東京スクリーン(株)製の目開き20μm篩で3分間分級し篩上を試料とした。試料中には、なお20μm未満の微粉末が分級されずに残っており、20μm未満の微粉末量は前述の方法で評価したところ17重量%であった。得られた粉末の磁気特性と化学分析値を評価した。結果を表3に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.05T、角形(Hk)341kA/mの高特性を得た。窒素量は4.65重量%であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で4分間振動させ分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料中の20μm未満の微粉末量は全体量の10重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表3に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.10T、角形(Hk)370kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.60重量%であった。
(実施例3)
実施例1と同様にして作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で5分間振動させ分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料中の20μm未満の微粉末量は全体量の5重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表3に示す。篩上粉末中の20μm未満は全体量の5重量%であった。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.14T、角形(Hk)385kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.58重量%であった。
(比較例1)
実施例1で作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で1分間振動させ分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は全体量の18.1重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表3に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)0.95T、角形性(Hk)230kA/mであり磁気特性は低かった。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.72重量%であった。
(実施例4)
実施例1と同様にして作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μm篩と38μm篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き20μmの篩と38μm篩の間にある粉末を試料粉末とした。試料粉末中、20μm未満の微粉末は全体量の15重量%であった。得られた合金粉末の化学分析、EPMA分析および磁気特性を測定した。結果を表4に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.10T、角形(Hk)360kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.65重量%であった。粒子内窒素量は3.7〜3.8重量%で均一であった。
(実施例5)
実施例1と同様にして作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き38μmの篩と53μmの篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き38μm篩と53μm篩の間にある粉末を試料粉末とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は全体量の5重量%であった。実施例4と同様の評価をした結果を表4に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.15T、角形(Hk)400kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.51重量%であった。粒子内窒素量は3.8〜4.0重量%で均一であった。
(実施例6)
実施例1と同様にして作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き53μmの篩と64μmの篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級した。目開き53μmと64μmの間にある粉末を試料粉末とした。試料篩上の20μm未満の微粉末は全体量の3重量%であった。実施例4と同様の評価をした結果を表4に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.13T、角形(Hk)360kA/mの高特性を得た。窒素量は4.60重量%であった。粒子内の窒素量は3.6〜3.9重量%で均一であった。
(比較例2)
実施例1で作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で20分間振動させ分級した。篩下の粉末を試料とした。試料は20μm未満の微粉末だけである。実施例4と同様の評価をした。結果を表4に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)0.91T、角形性(Hk)220kA/mであり、磁気特性は低かった。化学分析から得られた粉末の窒素量は5.00重量%であった。EPMAで調べた粒子内窒素量分布は4.2〜5.5重量%であり不均一であった。
(参考例1)
実施例1で作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き64μmの篩で5分間振動させ分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末はなかった。実施例4と同様の評価をした結果を表4に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)0.95T、角形性(Hk)225kA/mであり、磁気特性は低かった。窒素量は4.30重量%であった。粒子内窒素量は2.9〜4.0重量%で不均一であった。
(実施例7)
実施例1と同様に作製したSm−Fe−Mn−N母合金粉末500gをキルンに入れ、水素−アンモニア混合ガスを1:1の割合で流しながら、430℃で5時間かけて窒化した。窒化粉末520gを得た。該窒化粉末をアトライター(三井鉱山(株)製)に入れ、エタノール1000g、200rpm、7分間循環ポンプでスラリー状の試料を循環させながら解砕した。
所定の時間解砕した後、アトライターからポンプで濾過機に移して、ろ過し、溶媒がある程度除去できた時点でヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製 FM20C/I型)に移した。そして、ヘンシェルミキサーで500rpmで撹拌しつつ真空引きを行いながら、120℃で1時間加熱乾燥を行った。次に、目開き20μmの篩で粉末を3分間分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は17重量%であった。粉末の歪みをX線回折装置で前記積分幅から算出した。また、磁気特性および大気中、180℃10時間の耐熱試験後、保磁力をVSMで評価した。得られたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末の磁気特性、歪み結果を表5に示す。併せて化学分析結果を表6に示す。
歪み(積算幅)は0.0866deg.であった。磁気特性は残留磁束密度(Br)1.10T、保磁力880kA/m、角形性(Hk)280kA/mの高特性を得た。耐熱試験後の保磁力は850kA/mを示し、低下はほとんど見られなかった。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.69重量%であった。
(比較例3)
実施例7と同様にして、窒化粉末を作製した。該窒化粉末をアトライターに入れ、エタノール1000g、200rpm、10分間循環ポンプでスラリー状の試料を循環させながら解砕した。実施例7と同様にヘンシェルミキサーを用いて乾燥し、その後目開き20μmの篩で3分間分級した。
得られたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末において、20μm未満の粉末量、磁気特性、歪み測定結果を表5に示す。また化学分析結果を表6に示す。
篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は19重量%であった。歪み(積算幅)は0.1203deg.であった。磁気特性は残留磁束密度(Br)1.11T、保磁力900kA/m、角形性(Hk)285kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.79重量%であった。磁気特性は良好であったが耐熱特性が悪かった。歪の増加で加熱時、主相がα−Feと酸化サマリウムに分解するためであると考えられる。
(実施例8)
実施例1と同様にしてSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。この母合金粉末100gを目開き20μm篩と64μmの篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き20μm篩と64μm篩の間にある粉末を試料粉末とした。この粉末の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計で測定したところ、平均粒径は30μmであった。得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を実施例1と同様にして窒化した。
作製されたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μm篩で3分間分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料中の20μm未満の微粉末は全体量の17.5重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表7に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.03T、角形(Hk)285kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.68重量%であった。
(実施例9)
実施例1と同様にしてSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。この母合金粉末100gを目開き38μm篩と76μmの篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き38μmと76μmの間にある粉末を試料粉末とした。この粉末の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計で測定したところ平均粒径は35μmであった。得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を実施例1と同様にして窒化した。
作製されたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で3分間分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料中の20μm未満の微粉末は全体量の3.5重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表7に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)1.10T、角形(Hk)370kA/mの高特性を得た。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.60重量%であった。
(比較例4)
実施例1と同様にしてSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。この母合金粉末100gを目開き20μm篩と53μm篩の篩を重ねた篩上に投入し、5分間振動させて分級して、目開き20μm篩と53μm篩の間にある粉末を試料粉末とした。この粉末の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計で測定したところ平均粒径28μmであった。得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を実施例1と同様にして窒化した。
作製されたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μm篩で3分間分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は全体量の19重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表7に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)0.90T、角形(Hk)220kA/mと低かった。理由は、粒径が小さいので過窒化になったために合金内部の主相が低下したものと推定される。化学分析から得られた粉末の窒素量は4.85重量%であった。
(比較例5)
実施例1と同様にしてSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。この母合金粉末100gを目開き38μm篩上に投入し、5分間振動させて分級した。この粉末の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計で測定したところ、平均粒径は37μmであった。得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を実施例1と同様に窒化した。
作製されたSm−Fe−Mn−N系磁石粉末10gを、目開き20μmの篩で3分間分級した。篩上に残った粉末を試料とした。試料粉末中の20μm未満の微粉末は全体量の3.5重量%であった。実施例1と同様の評価をした。結果を表7に示す。
磁気特性は残留磁束密度(Br)0.95T、角形(Hk)230kA/mと低かった。理由は、粒径が大きいために窒素が場所によって不均一に分布したためと推定される。
化学分析から得られた粉末の窒素量は4.40重量%と低かった。
[評価]
実施例1〜3で還元拡散した希土類−鉄−マンガン系合金粉末を粒径が20−76μmとなるように分級し、かつ、平均粒径D50を30〜35μmと粒度を揃えて、その後、窒化して得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末中には、窒化中に新たに窒化膨張割れで20μm以下の磁石粉末が生成している。窒化後に磁気特性に悪影響を与える粒径20μm未満の粒子を篩いによって除去することによって、さらに磁気特性の優れた磁石粉末が得られることが確認された。
比較例1のように本発明の範囲から外れた粒度分布となった場合は、磁石粉末は減磁曲線の角形性、残留磁束密度が低下してしまう。
実施例4〜6、8、9では、磁石粉末や母合金粉末の分級粒度を変えることによって粒子内部が均一窒化された粒径のみが得られるために、磁気特性に優れた磁石粉末が得られる。一方、比較例2、4、5のように本発明の範囲から外れた粒度分布で得られた磁石粉末は減磁曲線の角形性、残留磁束密度が低下している。
さらに、実施例7と比較例3を対比することで、磁石粉末への解砕をマイルドな条件によって行う必要があることが分かる。
以上の理由から、還元拡散した希土類−鉄−マンガン系合金粉末を目開き20−76μmで分級し平均粒径D50を30〜35μmと粒度を揃え窒化し、目開き20−64μmの篩いで再分級して20μm未満の残留希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を全重量の18重量%以下にすることで磁気特性に優れた磁石粉末が得られることが理解される。
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図1は、還元拡散法で作製したSm−Fe−Mn−N系磁石粉末の粒径が異なる粒子断面をEPMA線で分析した結果のグラフである。 図2は、希土類−鉄−マンガン系母合金と希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末のSEM像(写真1)である。

Claims (6)

  1. 希土類酸化物粉末と鉄及びマンガンを必須成分として含有する遷移金属粉末とから還元拡散法によって得られる母合金粉末を窒化して優れた耐酸化性と高磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を製造する方法において、
    窒化する前に、予め母合金粉末を分級して粒径が20〜76μmでかつ累積体積百分率径D50(平均粒径)が30〜35μmの母合金粉末とし、さらに、窒化後に得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級して該磁石粉末に含まれる微粉を除去し、粒径20μm未満の磁石粉末の含有量を18重量%以下にすることを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法。
  2. 希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を分級する際、予め解砕して粉末の結晶歪(積分幅)を0.09deg.以下にすることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法。
  3. さらに、分級によって粒径64μm以上の磁石粉末を5重量%以下にすることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で得られた優れた耐酸化性と高磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末であって、
    その組成は、22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnと、4〜5重量%のNと、残部が実質的にFeであるか又はFeの20重量%以下をCoで置換したFeおよびCoからなり、かつ、ThZn17型結晶構造を有する主相とアモルファス相とを含有することを特徴とする希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末。
  5. 窒素が磁石粉末の粒子内部に3.5〜6重量%含有されていることを特徴とする請求項4に記載の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末。
  6. 残留磁束密度が1.0T(10kG)以上であって、かつ角形性が240kA/m(3kOe)以上であることを特徴とする請求項4に記載の希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016105482A (ja) * 2013-02-04 2016-06-09 インターメタリックス株式会社 焼結磁石製造方法

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