JP2006056997A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
難燃性や、電気的特性、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(A)末端カルボキシル基量が30eq/t以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して
(B)臭素系難燃剤 3〜50重量部
(C)酸化アンチモン系化合物 1〜30重量部
(D)α−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体 0.1〜30重量部
(E)粘度平均分子量1万〜100万のポリオレフィン樹脂 0〜30重量部
を含有することを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び該組成物を成形してなる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性や、電気的特性、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。
熱可塑性ポリエステル樹脂の中で代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBTと略記することがある)は、成形加工の容易さ、機械的物性、耐熱性、その他の物理的、化学的特性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、精密機器部品などの分野で広く使用されている。ポリブチレンテレフタレートは、結晶化速度が速く、射出成形に好適であるが、さらに結晶化速度を向上し、成形サイクルを短縮して生産性を高めることが望まれている。
ポリブチレンテレフタレートは、低吸湿性であるために、常温では水の影響を本質的に受けない。しかし、高温では水や水蒸気によってエステル基が加水分解されてヒドロキシル基とカルボキシル基が生成し、カルボキシル基が自己触媒となってさらに加水分解を促進するので、湿熱環境下における使用は制限される。このために、加水分解に対する安定性が高く、湿熱環境においても使用可能なポリブチレンテレフタレートが望まれている。
また、電気、電子部品、自動車部品その他の電装部品、機械部品等に使用される樹脂には、難燃性が求められる。近年、電気、電子部品や電装部品は、各種機器の小型化、軽量化の趨勢から薄肉小型化されてきており、それに利用される各種成型品も小型化と薄肉化が進んでいる。薄肉成形品においては、その最も薄い部分に対応する難燃性が要求される場合が多く、難燃性としてはUL−94に規定されるランクV−0の難燃性が指標とされ、一般に成形品が薄肉になるほど難燃化の達成は困難になる。所定の難燃性を達成するために、難燃剤を多量に配合したPBTは、耐加水分解性や電気特性(例えばCTIランク)の悪化がより惹起されやすくなる。CTIランクとは比較トラッキング指数(Comparative Tracking Index)であり、固体電気絶縁材の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたときにおけるトラッキングによる導通トラブルに対する抵抗性を示すものであり、より高い数値が求められる。
特許文献1には、PBT樹脂を含む芳香族ポリエステルに対し、ハロゲン含有ビニル系共重合体(臭素系難燃剤)、酸化アンチモン系化合物、及びα−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体を含有せしめた難燃化ポリエステル組成物が開示されており、機械的性質及び電気特性(絶縁破壊電圧)の熱老化安定性(滞留安定性)を改良すること、すなわち成形サイクルに対する依存性の改良を発明の目的としている。
この特許文献1の実施例によると、成形サイクル35秒と65秒の違いで、大半の実施例において、180℃における熱老化での引張強度の半減時間が◎(400時間以上)から○(300〜400時間)に低下しており、熱老化安定性を更に改善する必要がある。
また、特許文献1においては、PBT樹脂の製造条件の詳細な記載がないため、広範囲に及ぶ末端カルボキシル基量が想定され、末端カルボキシル基が特定量以下のPBT樹脂(A)を使用することにより、PBT樹脂組成物の熱老化安定性が改善されることは示唆されていない。更に、グリシジル基含有共重合体(D)を使用すると、電気特性(CTI特性)自体や機械的性質自体が向上し、更には耐加水分解性や離型性も向上するという知見についても開示されておらず、これら全ての特性が総合的に良好な樹脂組成物が必要とされていた。
一方、特許文献2は、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であり、降温結晶化温度が175℃以上のPBT樹脂、及びガラス繊維を含有する樹脂組成物に関し、PBT樹脂の末端カルボキシル基量を30eq/t以下とすることにより、樹脂組成物の耐加水分解性及び離型性が向上することが開示されている。しかし、末端カルボキシル基が特定量以下のPBT樹脂(A)を使用することにより、PBT樹脂組成物の熱老化安定性(滞留安定性)が改善される知見については記載されていない。また、グリシジル基含有共重合体(D)を組み合わせて使用すると、電気特性(CTI特性)自体や機械的性質自体が向上し、更には耐加水分解性や離型性が向上することについても示唆されておらず、これら全ての特性が総合的に良好な樹脂組成物が必要とされていた。
特開昭60−252652号公報 特開2002−322352号公報
本発明の目的は、難燃性や、電気的特性、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の難燃剤(B)及び難燃助剤(C)を含むPBT樹脂組成物において、末端カルボキシル基量が30eq/t以下のPBT樹脂(A)と特定のグリシジル基含有共重合体(D)を組み合わせて使用することにより、高い難燃性や電気特性(CTI特性)、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、
(A)末端カルボキシル基量が30eq/t以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して
(B)臭素系難燃剤 3〜50重量部
(C)酸化アンチモン系化合物1〜30重量部
(D)α−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体 0.1〜30重量部
(E)粘度平均分子量1万〜100万のポリオレフィン樹脂 0〜30重量部
を含有することを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び該組成物を成形してなる成形品に存する。
本発明により、高い難燃性や、電気的特性(CTIランク)、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有する難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することができ、リレー部品などの電気・電子部品用材料に好適に使用することができる。
本発明に使用される(A)ポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするポリエステル樹脂であり、その末端カルボキシル基量は、30eq/t以下である。好ましくは28eq/t以下であり、より好ましくは25eq/t以下である。末端カルボキシル基量は、PBTを有機溶媒に溶解し、水酸化アルカリ溶液を用いて滴定することにより求めることができる。PBTの末端カルボキシル基量を30eq/t以下とすることにより、特に本発明の樹脂組成物の熱老化安定性(滞留安定性)を改善することができ、また、耐加水分解性を著しく高めることができる。PBT中のカルボキシル基は、加水分解に対して自己触媒として作用するので、多量の末端カルボキシル基が存在すると早期に加水分解が始まり、生成したカルボキシル基が自己触媒となって、連鎖的に加水分解が進行し、樹脂の重合度が急速に低下するが、本発明樹脂組成物は、末端カルボキシル基量が30eq/t以下のPBTを使用することにより、高温、高湿の条件においても、早期の加水分解および酸化劣化の進行が抑制される。
本発明に好ましく使用される、(A)ポリブチレンテレフタレートの降温結晶化温度は175℃以上であり、より好ましくは177℃以上である。本発明において、降温結晶化温度は、示差走査熱量計で、降温速度20℃/分の条件で測定した結晶化温度を意味し、この降温結晶化温度は、PBTが溶融した状態から降温速度20℃/分で冷却したときに現れる結晶化による発熱ピークの温度である。降温結晶化温度は、結晶化速度と対応し、降温結晶化温度が高いほど結晶化速度が速い。降温結晶化温度が175℃以上であると、本発明樹脂組成物を射出成形するに際して冷却時間を短縮し、生産性を高めることができる。降温結晶化温度が175℃未満であると、射出成形に際して結晶化に時間がかかり、射出成形後の冷却時間を長くせざるを得なくなり、成形サイクルが伸びて生産性が低下するおそれがあり、成形時の滞留時間が長くなり、それにより成形滞留安定性が低下する可能性がある。成形サイクルは、一定の成形条件下で射出成形を行い、成形片の離型の容易さ及び突き出しピン跡の有無(離型性)により評価することができる。結晶化速度が遅くなるに従い、突き出しピンの跡が発生し、さらに遅くなると離型が不可能となる。
本発明に使用される(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、固有粘度が0.5dl/g以上、更には0.6dl/g以上、特には0.7dl/g以上が好ましく、一方上限は1.5dl/g以下、更には1.3dl/g以下、特には1.2dl/g以下であることが好ましい。(A)ポリブチレンテレフタレートの固有粘度が0.5dl/g未満であると、成形品の機械的強度が低下するおそれがある。固有粘度が1.5dl/gを超えると、本発明樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、流動性が低下して、成形性が低下するおそれがある。なお、本発明においてPBTの固有粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用いて30℃で測定した溶液粘度から求められる値である。
上述の末端カルボキシル基量および好ましい降温結晶化温度などの特性を有する本発明の(A)ポリブチレンテレフタレートの製法は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールを主原料とする連続重合により得ることが出来る。回分法では取り出し時間がかかり、その間に熱分解し末端カルボン酸量が多くなるが、連続法によれば、連続的に取り出されるためにポリブチレンテレフタレートの分解を防ぎ末端カルボン酸量を低く抑えることができる。主原料とは、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオール成分の50モル%以上を占めることをいう。テレフタル酸は、全ジカルボン酸成分の80モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。1,4−ブタンジオールは、全ジオール成分の80モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。一般的には、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオール以外の共重合成分が多いと降温結晶化温度が低下するので、共重合成分の含量には上限が存在するが、共重合方法によって上限は変化する。
本発明において、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分に特に制限はなく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。
本発明において、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分に特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
本発明においては、さらに、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールなどの三官能以上の多官能成分などを共重合成分として用いることができる。
本発明においては、連続重合の方法に特に制限はないが、直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合することが好ましい。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を、1基又は複数基のエステル化反応槽内で、エステル化反応触媒の存在下に、好ましくは150〜280℃、より好ましくは180〜265℃の温度、好ましくは6.67〜133kPa、より好ましくは9.33〜101kPaの圧力で、攪拌下に2〜5時間で連続的にエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、1基又は複数基の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下に、好ましくは210〜280℃、より好ましくは220〜265℃の温度、好ましくは26.7kPa以下、より好ましくは20kPa以下の減圧下で、攪拌下に2〜5時間で連続的に重縮合反応させることができる。重縮合反応により得られたポリブチレンテレフタレート樹脂は、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷されたのちに、ペレタイザーで切断されてペレット状などの粒状体とされる。
用いるエステル化反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などを挙げることができる。エステル化反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。本発明に用いる重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを挙げることができる。重縮合反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。
本発明に用いるエステル化反応触媒に特に制限はなく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物などを挙げることができる。これらの中で、チタン化合物を特に好適に用いることができる。エステル化触媒として用いるチタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタンアルコラート、テトラフェニルチタネートなどのチタンフェノラートなどを挙げることができる。チタン化合物触媒の使用量は、例えば、テトラブチルチタネートの場合、ポリブチレンテレフタレートの理論収量に対して、チタン原子として90ppm以下(重量比)であることが好ましく、10〜85ppm(重量比)を用いることがより好ましい。チタンは、通常ポリブチレンテレフタレートの重合触媒に由来するが、チタンの量が90ppmより多いと、耐加水分解性が低下する。その理由は定かではないが,触媒由来のチタン含量が多いと高温でのポリブチレンテレフタレートの分解が促進され、耐加水分解性が低下すると考えられる。ただ、10ppm以下であると重合速度が低下するばかりでなく、強化充填剤との密着性が悪化し、機械的強度が低下する傾向にある。本発明に好ましく使用されるポリブチレンテレフタレートは、例えばテレフタル酸と1,4−ブタンジオールに、触媒であるテトラブチルチタネートをポリブチレンテレフタレートの理論収量に対しチタン原子として10〜90ppmとなる分量添加し、温度180〜240℃の範囲で常圧でエステル交換反応させてオリゴマーを得て、それを230〜270℃、減圧下で重縮合を進めて得ることができる。チタン含有量は、添加された触媒量から求めることもできるが、測定は、電子工業用高純度硫酸および硝酸でPBTを湿式分解し、高分解能ICP(Induced Coupled Plasma)−MS(Mass Spectrometer)(サ−モクエスト社製)を使用しておこなう。
本発明に用いる重縮合反応触媒としては、新たな触媒の添加を行うことなく、エステル化反応時に添加したエステル化反応触媒を引き続いて重縮合反応触媒として用いることができ、あるいは、重縮合反応時に、エステル化反応時に添加したエステル化反応触媒と同じ又は異なる触媒をさらに添加することもできる。例えば、テトラブチルチタネートをさらに添加する場合、その使用量は、ポリブチレンテレフタレートの理論収量に対して、チタン原子として、90ppm(重量比)以下であることが好ましく、85ppm(重量比)以下であることがより好ましい。エステル化反応触媒と異なる重縮合反応触媒としては、例えば、三酸化二アンチモンなどのアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物などを挙げることができる。
エステル化反応及び/又は重縮合反応においては、前記の触媒の他に、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、又は、これらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物などの反応助剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3',5'−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール化合物、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオジプロピオネート)などのチオエーテル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどの燐化合物などの抗酸化剤、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルなどの長鎖脂肪酸又はそのエステル、シリコーンオイルなどの離型剤や他の添加剤を存在させることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法には、テレフタル酸ジメチルなどと、1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応を経る方法と、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの直接エステル化反応を経る方法がある。テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを出発原料とする直接エステル化反応は、原料コスト面から有利である。また、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを出発原料とする直接エステル化反応によれば、エステル交換反応を経る方法に比べて、結晶化速度が高いポリブチレンテレフタレートを容易に得ることができる。
本発明で使用するポリブチレンテレフタレート樹脂は、回分法でも製造することができる。但し、前記の通り、回分法では末端カルボキシル基量が増大しやすいので、溶融重合の後に固相重合を行うことが好ましい。例えば、回分法で、エステル交換反応、又はエステル化反応と重縮合反応を行い、所望の固有粘度より0.20dl/g以上小さい固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂を得、該樹脂を減圧下、融点より3〜20℃ほど低い温度で長時間加熱することにより、実施可能である。
さらに、本発明の成形品がリレー部品などのような電気的接点を有する電気・電子部品に使用される場合には、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂中の残存テトラヒドロフラン量は、300ppm(重量比)以下が好ましく、より好ましくは200ppm(重量比)以下である。PBT中の残存テトラヒドロフラン量は、PBTペレットを水に浸漬して120℃で6時間処理し、水中に溶出したテトラヒドロフラン量をガスクロマトグラフィーで定量することにより、求めることができる。PBT中の残存テトラヒドロフラン量を300ppm(重量比)以下とすることにより、本発明樹脂組成物から得られる成形品を高温で使用してもテトラヒドロフランなどのガスの発生が少なく、電気的接点の腐食のおそれが少なく、リレー部品などの電気・電子部品に好適に使用することができる。PBT中の残存テトラヒドロフラン量が300ppm(重量比)を超えると、成形品を高温で使用した際に、テトラヒドロフランなどのガスの発生が多くなり、金属の腐食を引き起こすおそれがある。
残存テトラヒドロフラン量の下限は、特に限定されるものではないが、通常、50ppm(重量比)程度である。残存テトラヒドロフラン量が少ない方が、有機ガスの発生が少なくなる傾向はあるものの、残存量と、ガス発生量は必ずしも比例するものではない。また、特開平8−209004に記載される如く、少量のテトラヒドロフランの存在は、電気接点の腐食を抑制する効果も期待される。
本発明で用いられる(B)臭素系難燃剤としては、樹脂に使用される臭素系難燃剤として知られている芳香族系化合物であり、例えばテトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリブロモフェニルエーテル、ブロム化ポリスチレン、ブロム化エポキシ、ブロム化イミド、ブロム化ポリカーボネート等が挙げられる。熱安定性の良好な点より、ポリブロモ化ベンジル(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマー、ブロム化ポリカーボネートが好ましく、更に好ましくはポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)が使用可能である。
本発明で好ましく用いられるポリブロモ化ベンジル(メタ)アクリレートは、臭素を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であり、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1〜5個、好ましくは4〜5個の範囲である。
臭素を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロムベンジルアクリレート、テトラブロムベンジルアクリレート、トリブロムベンジルアクリレート、ペンタクロルベンジルアクリレート、テトラクロルベンジルアクリレート、トリクロルベンジルアクリレート、またはそれらの混合物などがあげられる。また、臭素を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートがあげられる。
臭素を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用されるビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類、スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸またはその無水物、酢酸ビニル、塩化ビニル、などがあげられる。これらは通常、臭素を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対し等モル量以下、好ましくは0.5倍モル量以下が使用できる。
また、架橋性のビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロムキシレンジアクリレート、テトラブロムキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソブレン、ジビニルベンゼンなどを使用することもでき、これらは通常、臭素を含有するベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートに対し0.5倍モル量以下が使用できる。
臭素系難燃剤(B)の配合量は、PBT樹脂100重量部に対して3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは7〜22重量部である。配合量が3重量部未満では難燃性の向上効果が得られず、50重量部を超えた場合にはポリブチレンテレフタレート樹脂の機械的性質を損なう傾向があり好ましくない。
本発明で使用される難燃助剤としての(C)酸化アンチモン系化合物とは酸化アンチモンまたは酸化アンチモンと他の金属の複塩であり、具体例としては、三酸化アンチモン(Sb)、四酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)等の酸化物或いはアンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸塩が挙げられる。
(C)酸化アンチモン系化合物の配合量は、PBT樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。1重量部より少ないと、難燃助剤効果が発揮されない。30重量部を超えると配合効果が飽和し、また樹脂成形部材の機械的強度を低下させる。
本発明における、α−オレフィンとα、β−不飽和グリシジルエステルとからなるグリシジル基含有共重合体(D)とは、PBT樹脂(A)およびポリオレフィン樹脂(E)と相溶性があり、ポリオレフィン樹脂(E)を均一に分散する機能を有する。また、CTIランクなどの電気特性の改良効果を発揮する。なお、後述するように、(E)成分は、CTIランクなどの電気特性の改良効果があるが、(E)成分単独では、ポリブチレンテレフタレート樹脂に分散しないため、実質的には電気特性の改良効果は得られないが、(D)成分との併用により、均一に分散し、電気特性の改良を実現できる。該(D)成分におけるα−オレフィン(D1)とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1などであり、中でもエチレンが特に好ましい。
(D)成分におけるα、β−不飽和グリシジルエステル(D2)とは、下記の一般式[I]で表される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどである。α、β−不飽和グリシジルエステル(D2)は、単独でも2種以上の混合物であってもよい。α、β−不飽和グリシジルエステル(D2)の中で特に好ましいのは、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルである。
Figure 2006056997
(一般式[I]において、Rは水素原子、低級アルキル基またはグリシジルエステル基で置換された低級アルキル基である)
(D)成分におけるα、β−不飽和グリシジルエステル(D2)の共重合比率は、(D1)と(D2)の合計に対して0.5〜40重量%が好ましい。共重合比率が0.5重量%未満であると、D成分を配合してもポリオレフィンの分散改良効果が十分でなく、また40重量%を越えると樹脂組成物の成形時流動性が低下し、いずれも好ましくない。α、β−不飽和グリシジルエステル(D2)の共重合比率の好ましい範囲は1〜30重量%であり、中でも2〜20重量%の範囲が特に好ましい。
(D)成分には、上記α−オレフィン(D1)とα、β−不飽和グリシジルエステル(D2)と共重合可能な他の不飽和単量体(D3)を(D1)と(D2)と(D3)の合計に対して40重量%未満の範囲で共重合させることができる。他の不飽和単量体(D3)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリロニトリル、スチレン、一酸化炭素、無水マレイン酸などが挙げられる。
(D)成分は、α−オレフィン(D1)とα、β−不飽和グリシジルエステル(D2)、さらに要すれば共重合可能な他の不飽和単量体(D3)とを、標準的なランダム共重合法またはグラフト共重合法によって、容易に製造することができる。共重合反応は不活性溶媒中で遂行する方法が一般的であり、不活性溶媒としてはベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などが挙げられる。
好ましい(D)成分としては、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−一酸化炭素共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−メタクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。中でも、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−メタクリル酸メチル共重合体が特に好ましい。このような共重合体の一例として、住友化学社から製造・販売されているボンドファースト(登録商標)が挙げられる。
グリシジル基含有共重合体(D)の配合量としては、PBT樹脂(A)100重量部に対して0.1〜30重量部である。好ましくは0.2〜20重量部である。グリシジル基含有共重合体(D)の配合量が0,1重量部より少ないと、靭性と耐加水分解性の向上効果はなく、また、ポリオレフィン樹脂(E)が配合された場合には、その分散効果が少なく外観不良が発生する。また、30重量部より多いと溶融粘度が上がり、コンパウンドおよび成型時にトラブルが発生する。
グリシジル基含有共重合体(D)自体は、靭性とCTI特性、耐加水分解性の改善効果を狙ってグリシジル基含有共重合体を大量に配合しがちであるが、成型特性の観点からは、グリシジル基含有共重合体の配合量は制約があり、グリシジル含有共重合体(D)とポリオレフィン樹脂(E)との併用が好ましく、グリシジル基含有共重合体(D)とポリオレフィン樹脂(E)の配合量の比(D)/(E)は、0.1以上、更には0.2以上であり、特には0.5以上が好ましく、一方上限は3以下、更には1.5以下、特には1.2以下にするのが好ましい。
次に、本発明において使用する(E)ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ4−メチルペンテン-1その他のα−オレフィンが好ましい。
耐加水分解性、電気特性の改良効果が高いポリオレフィン樹脂(E)としては、高結晶性が好ましく、例えば高密度ポリエチレンやホモのポリプロピレンが好ましく、特に比重0.94以上の高密度ポリエチレンが好ましい。しかし、分子量が低くなりすぎると機械的強度を保持できなくなり、また燃焼時にドリップが激しくなる。(E)成分の分子量範囲としては、ASTM D2857法に従い測定した粘度平均分子量が1万〜100万であり、好ましくは2万〜40万である。また、ガラス繊維などの繊維状補強剤を配合した組成物では、ポリオレフィンの分子量が高くなると、溶融混錬時に繊維の破損が大きくなり、機械的強度の低下が危惧され、分子量2万〜10万が好ましい。一般的に分子量1〜10万のポリオレフィンは、射出または押出成形用に、10万〜100万の範囲のものはインフレーションフィルム用に好適である。
通常、試験片表面の一部で燃焼が始まれば、それを起点に激しく燃焼が始まり、難燃特性が悪化する。つまり、成型品表面はきわめて均一性が要求され、したがって、ポリオレフィンがポリエステル樹脂内に均一に微細に分散しないと、難燃性を十分に改善することができない。ここで、ポリオレフィン樹脂(E)をPBT樹脂(A)に分散するために、ベース(海)となるPBT樹脂と島となるポリオレフィン樹脂(E)との溶融粘度が近いことが求められる。したがって、ポリオレフィン樹脂(E)の分子量は、ベースとなるPBT樹脂(A)の溶融粘度から決められるべきで、PBT樹脂(A)とポリオレフィン樹脂(E)の温度270℃、せん断速度1000sec−1における溶融粘度の比(A)/(E)が0.3〜2.0の範囲であるのが好ましい。更には0.35〜1.8の範囲が好ましい。
ポリオレフィン樹脂(E)の配合量としては、PBT樹脂(A)100重量部に対して0〜30重量部、更には0.5〜20重量部が好ましい。30重量部より多いと成型品にポリオレフィン樹脂(E)の遊離現象が認められる。
本発明のPBT樹脂組成物は、(A)PBT樹脂100重量部に対して、(B)臭素系難燃剤3〜50重量部、(C)酸化アンチモン系化合物1〜30重量部、(D)グリシジル基含有共重合体0.1〜30重量部を必須の成分として含有するものであるが、成形時の離型性の観点から(E)ポリオレフィン樹脂の配合が好ましい。また、剛性または寸法安定性が必要とされる場合には、任意成分として(F)無機充填材を配合してもよい。また、燃焼時の樹脂の滴下をより一層防止したい場合には、(G)滴下防止剤を配合してもよい。
本発明において使用される(F)無機充填材としては、繊維状物、板状物、粒状物及びこれらの混合物が挙げられる。具体的にはガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維、金属繊維、セラミックスウイスカー、ワラストナイト等の繊維状物;ガラスフレーク、マイカ、タルクなどの板状物及び/又は層状珪酸塩;シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の粒状物など周知のものが挙げられる。これらの選定の基準は製品の必要とされる特性によるが、機械的強度や剛性については繊維状物、特にガラス繊維が選定され、成形品の異方性およびソリの低減が重要な際は板状物、特にマイカが選ばれる。また、粒状物は成型時の流動性も加味された全体的なバランスのもとで最適なものが選ばれる。
上述の層状珪酸塩としては、層状珪酸塩、変性層状珪酸塩(層間に4級有機オニウムカチオンを挿入した層状珪酸塩)、反応性官能基を付与した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩が挙げられるが、層状珪酸塩の本発明樹脂組成物への分散性および滴下防止能の観点から、変性層状珪酸塩、反応性官能基を付加した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩が好ましく、特にはエポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基、カルボキシル基、酸無水物等の反応性官能基を付加した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩が好適に使用される。官能基付与方法としては、官能化試薬(シランカップリング剤)で処理する方法が簡単で好ましい。
官能化試薬としては、例えは、エポキシ基を有するクロロシラン類、カルボキシル基を有するクロロシラン類、メルカプト基を有するクロロシラン類、アミノ基を有するアルコキシシラン類、エポキシ基を有するアルコキシシラン類などが挙げられる。特に、3-グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルクロロシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリクロロシラン等のエポキシ基を有するクロロシラン類、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン類、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン類が好ましい。これら官能化試薬の層状珪酸塩への接触は、無溶媒または極性溶媒中での混合により行なうのが好ましい。
本発明で使用する層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スブチンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母などの膨潤性合成雲母、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられ、天然品、合成品の何れでもよい。特に、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母などの膨潤性合成雲母が好ましい。
本発明で使用する変性層状珪酸塩の層間に挿入される4級オニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム等が挙げられる。
以上のような層状珪酸塩を使用した場合には、該珪酸塩は(F)無機充填材として機能するばかりではなく、後で述べる(G)滴下防止剤としての機能を副次的に果たす。
(F)無機充填材の配合量は、PBT樹脂100重量部に対して0〜200重量部であり、要求される剛性や寸法安定性のレベルに応じて配合量を決定すればよい。柔軟性を目的とする場合など無機充填材を配合しない場合もあるが、配合する際には、通常、5〜120重量部、さらに好ましくは10〜100重量部である。200重量部を超えると、機械的強度が低下する。
また、本発明において用いられる(G)滴下防止剤とは、燃焼時の樹脂の滴下を防止する性質を有する化合物を指し、前記(F)無機充填材に該当するものは除外される。その具体例としては、シリコンオイル、フッ素(含有)樹脂、などが挙げられ、特に、組成物の難燃性の観点から好ましい滴下防止剤は、フッ素含有樹脂である。
(G)滴下防止剤として使用されるフッ素樹脂としては、例えば、ASTM D−1457-56Tに示された熱処理条件で成形した試料の比重(Standard specific gravity(SSG)と、放射性末端基法や溶融粘度および高温での溶液粘度法から求めて補正した数平均分子量が100万以上、好ましくは200万以上であるフッ素樹脂が挙げられる。具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、フッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィン等が挙げられる。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体が更に好ましい。
また、(G)滴下防止剤として使用されるフッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましい。すなわち、樹脂中に容易に分散し、且つ重合体同士が結合して繊維状材料を作る傾向を示すものであり、滴下防止剤として好適に機能する。
これらは、例えば、ファインパウダーやモールディングパウダー等と称してして市販されており、具体的には、ダイキン化学工業社の「ポリフロンFA-500」「ポリフロンF-201L」、「ポリフロンM−18」旭硝子社の「フレオンCD-123」、「フレオンG−190」、三井・デュポンフロロケミカル社の「テフロン(R)6−J」「テフロン(R)7A−J」、ダイニオン社の「TF−2071」「TF−1750」等があげられる。
(G)滴下防止剤として使用されるフッ素樹脂の350℃における溶融粘度は、通常1.0×102〜1.0×1015(Pa・s)、好ましくは1.0×103〜1.0×1014(Pa・s)、更に好ましくは1.0×1010〜1.0×1012(Pa・s)である。溶融粘度が1.0×102(Pa・s)未満の場合は燃焼時の滴下防止能が不充分であり、1.0×1015(Pa・s)より大きい場合は組成物の流動性が著しく低下する。
(G)滴下防止剤としてはシリコンオイルも好ましい。シリコンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン骨格を有する化合物であり、末端または側鎖の一部もしくは全部がアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性を受け官能基化されていてもよい。
(G)滴下防止剤として使用するシリコンオイルの粘度は、25℃において、通常1000〜30000(cSt)、好ましくは2000〜25000(cSt)、更に好ましくは3000〜20000(cSt)である。粘度が1000(cSt)未満の場合は、燃焼中の滴下防止作用が充分でなくなり難燃性が低下し、30000(cSt)より大きい場合は、増粘効果により組成物の流動性が低下する。
本発明の難燃性PBT樹脂組成物において、(G)滴下防止剤の含有量は、PBT樹脂100重量部に対し、通常、0〜15重量部、好ましくは0.01〜15重量部である。(G)滴下防止剤の含有量が15重量部を超える場合は、流動性や機械的物性の低下を招く恐れがある。
本発明の難燃性PBT樹脂組成物において、(G)成分として分子量100万未満のフッ素樹脂を含有させることにより、成形性を更に向上することができるため好ましい。分子量100万未満のフッ素樹脂としては、上述した樹脂が挙げられる。好ましい樹脂の種類も同様であるが、最も好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。分子量100万未満のフッ素樹脂としては、例えば、ダイキン化学工業社製の「ルブロンL−5」「ルブロンL−2」などがある。この場合(G)成分の含有量はPBT樹脂100重量部に対して、通常、0〜20重量部、好ましくは1〜20重量部であり、1重量部未満では成形性向上の効果は低く、20重量部を超える場合は機械物性が低下する。
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)(B)(C)(D)(E)(F)及び(G)以外に、必要に応じて、組成物の特性を阻害しない範囲で、周知の種々の添加剤を配合することができる。例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸(例えば、ステアリン酸等)及びその塩またはエステル、シリコンオイル等の離型剤;そして、ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル系、硫黄含有エステル化合物系等の熱安定剤;結晶化促進剤;紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤;染料、顔料、発泡剤等を含有してもよい。
また、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロンMXD6等の各種ナイロン、各種ナイロンエラストマー、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ABS、AS、MS等のスチレン系樹脂、各種アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、そして、エラストマーとして、イソブチレンーイソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴムースチレン、エチレンープロピレンゴム、アクリル系エラストマー、アイオノマー樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカプロラクタム等、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含有してもよい。さらに、接点の腐食防止のため、多価アルコールまたはその誘導体、ハイドロタルサイト類化合物、エポキシ化合物などを少量配合してもよい。
本発明の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、前記の各成分(A)(B)(C)(D)(E)(F)及び(G)、並びに必要に応じて用いられる各種添加成分を配合し、混練することによって得ることができる。 配合は通常用いられる方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンセルミキサー、ドラムブレンダー等で行われる。溶融混練には各種押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等が使われる。溶融混練に際しての加熱温度は、通常230〜290℃である。混練時の分解を抑制する為に、前記の熱安定剤を用いるのが好ましい。各成分は、付加的成分を含め、混練機に一括して供給することができ、または、順次供給することもできる。また、付加的成分を含め、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくこともできる。ガラス繊維などの繊維状無機充填材は、押出機の途中から樹脂が溶融した後に添加することにより、破砕を避け、高い特性を発揮させることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート成形品は、上述の方法により得られたPBT樹脂組成物を既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等の方法により得ることができる。特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を240〜280℃コントロールするのが好ましい。これらの成形方法により、本発明の樹脂組成物は、リレー、スイッチ、コネクター、センサー、アクチュエーター、マイクロセンサー及びマイクロアクチュエーターなどの電気・電子部品に好適に加工される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[原材料]
*(A)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂
PBTの特性の評価は次の方法にて行った。
(1)末端カルボキシル基量;
ポリブチレンテレフタレート0.1gをベンジルアルコール3mlに溶解し、 水酸化ナトリウムの0.1モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定した。
(2)降温結晶化温度;
示差走査熱量計[パーキンエルマー社、型式1B]を用い、昇温速度20℃/分で室温から300℃まで昇温したのち、降温速度20℃/分で80℃まで降温し、発熱ピークの温度を測定し、降温結晶化温度とした。
(3)固有粘度;
ポリブチレンテレフタレートをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ型粘度計を用い、30℃において、PBT濃度1.0g/dl、0.6g/dl及び0.3g/dlの溶液粘度を測定し、粘度数を濃度0に外挿して算出した。
PBT−1
三菱化学製 固有粘度 1.10dl/g、降温結晶化温度178℃、末端カルボキシル基量24eq/t。
〔製造法〕 テレフタル酸1.0モルに対して1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリー2,976重量部(テレフタル酸9.06モル部、1,4−ブタンジオール16.31モル部)を、連続的にギヤポンプにより、温度230℃、圧力101kPaに調整した第一エステル化反応槽に移送するとともに、テトラブチルチタネート1.0重量部を供給し、滞留時間2時間で、攪拌下にエステル化反応させてオリゴマーを得た。
第一エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度240℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間1時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。
第二エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度250℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間2時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽から、プレポリマーを、温度250℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間6時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は24eq/tであり、降温結晶化温度は178℃であり、固有粘度は1.10dl/gであり、溶融粘度は70Pa・sec(270℃、せん断速度1000/sec)であった。
PBT−2
三菱化学製 固有粘度 1.10dl/g、降温結晶化温度169℃、 末端カルボキシル基量23eq/t。
〔製造法〕 テレフタル酸ジメチル1.0モルに対して、1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で、合計3230重量部をエステル交換反応槽に供給し、テトラブチルチタネート1.0重量部を添加し、温度210℃、圧力101kPaで、3時間エステル交換反応させて、オリゴマーを得た。
引き続いて、このオリゴマーを、重縮合反応槽に移送し、攪拌下に、温度250℃、圧力133Paで、4時間重縮合反応を進めてのポリマーを得た。次いで、窒素圧をかけてストランド状に抜き出し、ペレタイザーで切断することにより、ペレット状の固有粘度0.9dl/g、末端カルボキシル基39eq/tポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。これを200℃、0.4mmHg,4時間固相重合し、固有粘度1.1dl/g,末端カルボキシル基23eq/t、溶融粘度70Pa・sec(270℃、せん断速度1000/sec)のポリブチレンテレフタレートを得た。
PBT−3
三菱化学製 固有粘度1.10dl/g、降温結晶化温度169℃、 末端カルボキシル基量45eq/t。
〔製造法〕 テレフタル酸ジメチル1.0モルに対して、1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で、合計3230重量部をエステル交換反応槽に供給し、テトラブチルチタネート1.0重量部を添加し、温度210℃、圧力101kPaで、3時間エステル交換反応させて、オリゴマーを得た。
引き続いて、このオリゴマーを、重縮合反応槽に移送し、攪拌下に、温度250℃、圧力133Paで、6時間重縮合反応を進めてポリマーを得た。次いで、窒素圧をかけてストランド状に抜き出し、ペレタイザーで切断することにより、ペレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレートの末端カルボキシル基量は45eq/tであり、降温結晶化温度は169℃であり、固有粘度は1.10dl/gであり、溶融粘度は70Pa・sec(270℃、せん断速度1000/sec)であった。
*(B)臭素系難燃剤
(B−1)ポリペンタブロモベンジルアクリレート
(ブロモケム・ファーイースト社製、PBBPA−FR1025)
(B−2)テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル・コポリマー(臭素化エポキシ樹脂)
(阪本薬品工業社製、SR−T5000)
(B−3)臭素化ポリカーボネートオリゴマー
(三菱エンジニアリングプラスチックス製、FR−53)
*(C)酸化アンチモン化合物
(C−1)三酸化アンチモン(森六製)
(C−2)酸化ナトリウムと五酸化アンチモンの複塩(n=1)
(日産化学社製、サンエポックNA1070L)
*(D)グリシジル基含有共重合体(エチレン系)
(D−1)エチレンとグリシジルメタクリレート(6wt%)とアクリル酸メチル(30wt%)の共重合体(住友化学工業(株)製ボンドファースト7M(BF−7M))
(D−2)エチレンとグリシジルメタクリレート(6wt%)の共重合体(住友化学工業(株)製ボンドファースト2C(BF−2C))
*(E)ポリオレフィン樹脂
(E−1)直鎖状ポリエチレン(日本ポリケム(株)製ノバテックHD,HJ490、密度0.958g/cc、ASTM D2857法による粘度平均分子量3.6万、溶融粘度90Pa・sec(270℃、せん断速度1000/sec))
[性能評価法]
(1)難燃性試験
試験片(厚み1/32インチ)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter's Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。
(2)比較トラッキング指数(Comparative Tracking Index)試験(略称:CTIランク試験)
試験片(厚み3mm)について、IEC 112に定める試験法によりCTIランクを決定した。このランクは、固体電気絶縁材料の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたときにおけるトラッキングに対する対抗性を示すものであり、50滴に耐えるボルトで示した最大電圧の数値である。但し、試験電圧とそのCTIの値は25で割り切れることが必要である。
(3)引張試験(引張強度、引張伸度:ISO527に準拠して測定した。
(4)曲げ試験(曲げ強度、曲げ弾性率:ISO178に準拠して測定した。
(5)衝撃強度:シャルピー式衝撃試験法によりISO179(ノッチ付)に準拠して測定した。
(6)耐加水分解性
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物よりASTM1号ダンベル片を射出成形し、121℃、飽和水蒸気中、203kPaで50時間湿熱処理する。処理前後の引張強度を、ASTM D−638に従って測定し、次式に従って、強度保持率を求めた。
強度保持率(%)=(処理後の引張強度/処理前の引張強度)×100
(7)離型性
小型射出成形機[ファナック(株)、FANUC−50B]を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物より、外径10mm、長さ30mm、筒状部分の厚み1mmの薄肉筒状成形品を成形し、最低充填圧、冷却時間10秒、金型温度80℃の条件で、離型の可否と突き出しピンの跡のつき具合から、下記の基準により離型性を評価する。
○:離型可能で、ピン跡がない。
△:離型可能であるが、ピン跡がある。
×:離型できない。
[実施例1〜7および比較例1〜2]
表−1に示す配合にて、(A)PBT樹脂、(B)臭素系難燃剤、(C)酸化アンチモン化合物、(D)グリシジル基含有共重合体(E)ポリオレフィン樹脂を一括してスーパーミキサー(新栄機械社製SK−350型)で混合し、2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST L/D=42)のホッパーに投入し、吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下押出してPBT樹脂組成物のペレットを得た。その樹脂組成物ペレットについて、射出成型機(住友重機械社製、型式SH-100)を使用して、シリンダ温度250℃、金型温度80℃の条件で各種試験片を成形した。試験片は、縦横10cm、厚さ3mm縦横10cm、の試験片(CTI試験用)と厚さ1/32インチであるUL−94規格規定の試験片と機械的強度測定用試験片である。結果を表−1に示す。
Figure 2006056997
実施例2及び比較例1と同様の方法により得たPBT樹脂組成物のペレットについて、射出成型機(住友重機械社製、型式SH-100)を使用して、シリンダ温度250℃、金型温度80℃の条件で成形サイクル(射出時間/冷却時間/中間時間)10秒/15秒/10秒(成形サイクルA)で成形し、ISO527に準じた引張試験片を得た。また、成形サイクル(射出時間/冷却時間/中間時間)10秒/15秒/40秒(成形サイクルB)に変えたのみで、他の条件は同じにして引張試験片を得た。180℃オーブン中にてこれらの引張試験片に対して経時を変えて熱老化処理を行い、ISO527に準じて引張試験を実施した。その引張強度の経時変化から初期値の50%になるまでの時間を評価した。結果を表−2に示す。
Figure 2006056997
表−1および表−2より次のことが判明した。
(1)表−1中の実施例2を比較例2と比べると、グリシジル基含有共重合体(D)を使用した場合には、電気特性(CTI特性)及び機械的性質(引張伸度、衝撃強度)自体が良好であり、更に耐加水分解性と離型性も改善されていることが分かる。
(2)表−1中の実施例2及び7を比較例1と比べると、末端カルボキシル基量が30eq/t以下のPBT樹脂を使用した場合には、耐加水分解性に優れることが分かる。更に、表−2中の実施例2を比較例1と比べると、末端カルボキシル基量が30eq/t以下のPBT樹脂を使用した場合には、当該量が30eq/tを超えるPBT樹脂よりも熱老化安定性に優れていることが分かる。
(3)表−1中の実施例3を実施例5及び6と比べると、臭素系難燃剤(B)のうち、ポリペンタブロモベンジルアクリレートが最も電気特性(CTI特性)、機械的性質(引張伸度、衝撃強度)が良好であり、耐加水分解性にも優れることが分かる。
(4)表−1中の実施例3を実施例2と比べると、オレフィン樹脂(E)を併用した場合には、耐加水分解性が改善されることが分かる。
(5)表−1中の実施例2を実施例7と比べると、降温結晶化温度が175℃以上のPBT樹脂を使用した場合には、離型性に優れることが分かる。
(6)表−1中の実施例3及び実施例4を他の実施例と比べると、(A)末端カルボキシル基量が30eq/t以下で、降温結晶化温度が175℃以上のPBT樹脂、(B)ポリペンタブロモベンジルアクリレート、(C)酸化アンチモン系化合物、(D)グリシジル基含有共重合体、オレフィン樹脂(E)からなる樹脂組成物は、難燃性や電気特性(CTI特性)、機械的性質、離型性を良好に維持しつつ、耐加水分解性を更に改善し、総合的に優れた特性を示すことが分かる。
本発明により、難燃性や、電気的特性、機械的性質を維持しつつ、耐加水分解性、離型性及び熱老化安定性が改善され、総合的に良好な特性を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することができ、リレー部品などの電気・電子部品用材料に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. (A)末端カルボキシル基量が30eq/t以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して
    (B)臭素系難燃剤 3〜50重量部
    (C)酸化アンチモン系化合物 1〜30重量部
    (D)α−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体 0.1〜30重量部
    (E)粘度平均分子量1万〜100万のポリオレフィン樹脂 0〜30重量部
    を含有することを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂が、示差走査熱量計で降温速度20℃/minにて測定した降温結晶化温度が175℃以上のポリブチレンテレフタレートである請求項1に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. (B)臭素系難燃剤がポリハロゲン化ベンジル(メタ)アクリレートである請求項1又は2に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. グリシジル基含有共重合体(D)とポリオレフィン樹脂(E)の配合量の比が、(D)/(E)=0.1〜3である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。


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