JP2006052240A - 集束繊維シート接着用組成物およびそれを用いた対象物の補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】集束繊維シートをコンクリート面に強固に接着させ、かつ低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れた集束繊維シート接着用組成物、およびそれを用いた対象物の補強方法を提供する。
【解決手段】メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含むアミン系硬化剤およびエポキシ樹脂主剤を主成分として含有している。エポキシ基含有反応性希釈剤の代わりに、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを用いてアダクト変性物にすることもできる。集束繊維シート接着用組成物を用いてコンクリート面に集束繊維シートを接着させてコンクリート構築物を補強する。
【選択図】なし

Description

本発明は、集束繊維シートをコンクリート構築物などの対象物に接着させる集束繊維シート接着用組成物および、この集束繊維シート接着用組成物を用いた対象物の補強方法に関する。
従来、コンクリート橋梁などのコンクリート構築物としての対象物の補強方法として、鋼板接着による補強方法に代えて、炭素繊維をエポキシ樹脂で集束させた集束炭素繊維シートをコンクリート構造物の補強すべき面にエポキシ樹脂接着剤を用いて1層または多層に接着し、硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この補強方法によれば、鋼板接着による補強方法に比べ、格段に軽量化を図ることができ、かつ作業性がよく、しかもコンクリート構築物の曲げ応力、疲労寿命、変形靭性の向上が期待できる。
さらに、この補強方法においては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂主剤とアミン系硬化剤とからなる二液型のエポキシ樹脂接着剤が用いられている。この二液型のエポキシ樹脂接着剤は、2回以上の重ね塗りや光沢のある仕上がりが求められるので、一般塗料や重防食塗料として用いられている。
特開平11−140416号公報
しかしながら、上述したエポキシ樹脂接着剤では、冬季の低温時に樹脂粘度が上昇することによって、作業性の悪化を招いたり、集束繊維シートへの樹脂の含浸不足が生じたりして、必ずしも設計した補強が充分になされないおそれがある。そして、低温時の粘度上昇の対策として溶剤型の接着剤が用いられているが、近年の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)の問題や、作業環境の悪化などを招くという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、集束繊維シートを対象物に強固に接着させ、かつ低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れた集束繊維シート接着用組成物および、この集束繊維シート接着用組成物を用いた対象物の補強方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の集束繊維シート接着用組成物は、補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートを対象物に接着させる集束繊維シート接着用組成物であって、エポキシ樹脂主剤と、アミン系硬化剤とを含有し、このアミン系硬化剤は、エポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルとのいずれか1つと、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含んでいるものである。
そして、低粘度で作業性の向上に寄与する硬化剤としてメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれか1つとのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含むアミン系硬化剤およびエポキシ樹脂主剤を含有した集束繊維シート接着用組成物とした。この結果、この集束繊維シート接着用組成物にて集束繊維シートを対象物に接着すれば、強固かつ信頼性のある接着ができるとともに、低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れているから、設計された補強を達成できる。
請求項2記載の集束繊維シート接着用組成物は、請求項1記載の集束繊維シート接着用組成物において、補強繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維およびポリエチレンテレフタレート繊維のいずれかであり、集束繊維シートは、前記補強繊維に樹脂を付して集束させたシートであるものである。
そして、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維およびポリエチレンテレフタレート繊維のいずれかの補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートとすることによって、この集束繊維シートの製造が容易になるとともに、この集束繊維シートを強固にできる。
請求項3記載の集束繊維シート接着用組成物は、請求項1または2記載の集束繊維シート接着用組成物において、対象物は、構築物であるものである。
そして、対象物が構築物であるから、この構築物に集束繊維シート接着用組成物を用いて集束繊維シートを接着すれば、強固かつ信頼性のある接着ができるとともに、低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れているから、設計された補強を達成できる。
請求項4記載の集束繊維シート接着用組成物は、請求項1ないし3いずれか記載の集束繊維シート接着用組成物において、塗料用であるものである。
そして、集束繊維シート接着用組成物は、塗料として求められる低温高湿度下での養生後の二次接着性を有しているので、重防食あるいは一般塗料として使用できる。
請求項5記載の対象物の補強方法は、補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートを対象物に接着する対象物の補強方法であって、エポキシ樹脂主剤とアミン系硬化剤とを含有し、このアミン系硬化剤がエポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれか1つとメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含んでいる集束繊維シート接着用組成物にて前記集束繊維シートを前記対象物に接着するものである。
そして、低粘度で作業性の向上に寄与する硬化剤としてメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれか1つとのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含むアミン系硬化剤およびエポキシ樹脂主剤を含有した集束繊維シート接着用組成物にて集束繊維シートを対象物に接着すれば、強固かつ信頼性のある接着ができるとともに、低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れているから、設計された補強を達成できる。
本発明によれば、集束繊維シート接着用組成物にて集束繊維シートを対象物に接着することによって、強固かつ信頼性のある接着ができるとともに、低温高湿度下での養生後においても二次接着性に優れているから、設計された補強を達成できる。
以下、本発明の集束繊維シート接着用組成物の一実施の形態の構成を説明する。
集束繊維シート接着用組成物は、エポキシ樹脂系であり、補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートを対象物に接着させて補強する。ここで、この集束繊維シートは、補強繊維に樹脂を付着または含浸させて集束させて構成されている。そして、集束繊維シート接着用組成物は、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とを付加反応させたアダクト変性物を合成し、この合成したものを一般的なアミン系硬化剤に混合した硬化剤と、エポキシ樹脂主剤とを主成分として含有したものからなる。なお、このアダクト変性物としては、エポキシ基含有反応性希釈剤の代わりにメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルのいずれかを付加反応させたアダクト変性物を用いることもできる。
さらに、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)、またはメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)中のメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物は、アミノ化合物群から選ばれるアミノ化合物の1種以上を主成分として含むアミノ組成物である。また、このメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物は、化1に示す構造である。
Figure 2006052240
そして、アダクト変性物(B1)は、未反応のジアミンの含有量が15質量%未満であり、かつ化1においてR1、R2およびR3のいずれもが水素であるアミノ化合物のアミノ化合物群全量に対する割合が50質量%以上100質量%以下の範囲であるアミノ組成物としてのメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物にエポキシ基含有反応性希釈剤を付加反応させることによって得られる。同様に、アダクト変性物(B2,B3)は、アダクト変性物(B1)中のエポキシ基含有反応性希釈剤の代わりに、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステルを付加反応させることによって得られる。
さらに、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物に付加反応させるエポキシ基含有反応性希釈剤としては、オレフィンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、3−(ペンタデシル)フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジペンテンモノオキサイド、α−ピネンオキサイド、tert−カルボン酸のグリシジルエステルなどのモノエポキシ化合物が例示される。
そして、その他のエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどの低粘度多官能性エポキシ化合物などが例示できる。
特に、エポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどの低粘度多官能性エポキシ化合物が好ましい。
次いで、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物に付加反応させるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシルペンタデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの炭素数が1以上20以下の炭化水素基を有する低粘度モノメタクリル酸エステルモノマが例示される。
そして、その他のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、プロピレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジメタクリル酸エステル、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステル、1,4−ブタンジオールジメタクリル酸エステル、1,5−ペンタジオールジメタクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリル酸エステル、1,9−ノナンジオールジメタクリル酸エステル、トリメチロールプロパンポリメタクリル酸エステルなどのアルコール由来の炭素数1以上20以下の炭化水素基を有する低粘度多官能性メタクリル酸エステルモノマなどが例示できる。
特に、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、プロピレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジメタクリル酸エステル、1,3−ブタンジオールジメタクリル酸エステル、1,4−ブタンジオールジメタクリル酸エステル、1,5−ペンタジオールジメタクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリル酸エステル、1,9−ノナンジオールジメタクリル酸エステル、トリメチロールプロパンポリメタクリル酸エステルなどの低粘度多官能性メタクリル酸エステルモノマが好ましい。
一方、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物に付加反応させるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシルペンタデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの炭素数1以上20以下の炭化水素基を有する低粘度モノアクリル酸エステルモノマが例示される。
そして、その他のアクリル酸エステルモノマとしては、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、プロピレングリコールジアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジアクリル酸エステル、1,3−ブタンジオールジアクリル酸エステル、1,4−ブタンジオールジアクリル酸エステル、1,5−ペンタジオールジアクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、1,9−ノナンジオールジアクリル酸エステル、トリメチロールプロパンポリアクリル酸エステルなどのアルコール由来の炭素数1以上20以下の炭化水素基を有する低粘度多官能性アクリル酸エステルモノマなどが例示できる。
特に、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、プロピレングリコールジアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジアクリル酸エステル、1,3−ブタンジオールジアクリル酸エステル、1,4−ブタンジオールジアクリル酸エステル、1,5−ペンタジオールジアクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、1,9−ノナンジオールジアクリル酸エステル、トリメチロールプロパンポリアクリル酸エステルなどの低粘度多官能性アクリル酸エステルモノマが好ましい。
そして、アダクト変性物は、化1に示すメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物と、エポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれか1つとを付加反応させて製造される。このとき、このアダクト変性物は、反応当量比(活性水素/エポキシまたはビニル)が1.0以上5.0以下(好ましくは2.4以上4.0以下)の範囲であって、反応温度が室温以上130℃以下(好ましくは室温以上80℃以下)の範囲で合成される。また、このアダクト変性物の合成を停止させる条件としては、反応液を水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detecter:FID)搭載のガスクロマトグラフィ(カラム:OV−1、30m)あるいは赤外分光分析装置で分析し、原料ピークの消失をもって反応を停止させた。
次に、本発明の集束繊維シート接着用組成物をより詳細に説明する。
まず、集束繊維シートを対象物に接着する集束繊維シート接着用組成物1としては、主成分としてエポキシ樹脂主剤(A)および、特定量のメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)を含むアミン系硬化剤(C1)が用いられる。また、集束繊維シート接着用組成物2としては、主成分としてエポキシ樹脂主剤(A)および、特定量のメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)を含むアミン系硬化剤(C2)が用いられる。さらに、集束繊維シート接着用組成物3としては、主成分としてエポキシ樹脂主剤(A)および、特定量のメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)を含むアミン系硬化剤(C3)が用いられる。
このとき、これら集束繊維シート接着用組成物1,2,3のそれぞれは、アダクト変性物(B1,B2,B3)が特定量含有されている点がポイントである。このとき、これら集束繊維シート接着用組成物1,2,3に、任意成分としてエポキシ基含有反応性希釈剤(D)やカップリング剤(E)などを配合させることも可能である。
そして、エポキシ樹脂主剤(A)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂などが例示され、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いることもできる。特に、エポキシ樹脂主剤(A)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン系樹脂などが好ましい。
また、任意成分であるエポキシ基含有反応性希釈剤(D)としては、オレフィンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、3−(ペンタデシル)フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジペンテンモノオキサイド、α−ピネンオキサイド、tert−カルボン酸のグリシジルエステルなどのモノエポキシ化合物が例示される。
そして、その他のエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどの低粘度多官能性エポキシ化合物などが例示できる。
また、任意成分であるカップリング剤(E)としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、有機リン系カップリング剤などが例示できる。
そして、硬化剤に占めるアダクト変性物(B1,B2,B3)の割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは1質量%以上80質量%以下、より好ましくは2質量%以上60質量%以下に設定される。さらに、これらアダクト変性物(B1,B2,B3)に混合して用いる、その他の硬化剤成分としては、脂肪族系アミン(脂肪族ジアミン、脂肪族ポリアミン、芳香環含有脂肪族ポリアミン、脂環ポリアミン、環状ポリアミン)、芳香族系アミン、第三アミン硬化剤、含リンまたは、含ハロゲンアミン硬化剤、変性ポリアミン、ポリアミノアミド硬化剤などのアミン硬化剤が例示される。そして、このアミン硬化剤の他、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、イミダゾール類、アミンイミド、ルイス酸ブレンシュテッド酸塩、レゾール型フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート、ブロックイソシアネートなどを用いることもできる。
さらに、任意成分であるエポキシ基含有反応性希釈剤(D)としては、集束繊維シート接着用組成物全体に占める割合が0質量%以上40質量%以下(好ましくは5質量%以上30質量%以下)となるようにすることが望ましい。また、任意成分であるカップリング剤(E)としては、0質量%以上10質量%以下(好ましくは0.1質量%以上5質量%以下)となるようにすることが望ましい。
そして、硬化剤(C)の割合は、使用するエポキシ樹脂主剤(A)の種類との関係で大きく異なるが、(エポキシ当量/活性水素当量)の比に基づく必要量と、実験的に定めた最適量とを参考にして決めればよく、一般にエポキシ樹脂主剤(A)100質量部に対し、10質量部以上100質量部以下とすることが多い。この結果、上述した量的範囲において、二次接着性および要求される諸特性のそれぞれが好ましい集束繊維シート接着用組成物となる。
一方、この集束繊維シート接着用組成物中には、可塑剤(フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ジカルボン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤)や、軟化剤(石油樹脂、クマロン、インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリイソブチレン低重合物、ロジン類、フェノール類、タール類、オイル類など)をはじめとする粘度低下ないし相溶性向上のための添加剤を含有させることができる。そのほかにも、この集束繊維シート接着用組成物中に、エポキシ樹脂接着剤に用いられる種々の添加剤を含有させることができる。
次に、上記集束繊維シート接着用組成物を用いた対象物の補強方法について説明する。
まず、集束繊維シートは、補強繊維に樹脂を付着または含浸させて集束させたシートである。ここで、この補強繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などである。そして、これら繊維は、ロービング、ロービングクロス、ストランドマット、ヤーン、ファブマットおよび多軸組布をはじめとする適量の形態で取り扱われる。また、集束のための樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、アリル樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられ、場合によっては熱可塑性の樹脂を併用することもできる。これらのうち、素線径が例えば7μm以上10μm以下程度の炭素繊維にエポキシ樹脂を付着あるいは含浸させてシート状に集束整列させた集束炭素繊維シートが特に好ましい。
そして、上述した集束繊維シート接着用組成物は、エポキシ樹脂主剤(A)と、必須成分としてメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)、またはメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)を含有するアミン系硬化剤(C1,C2,C3)の二液型とされている。したがって、これら集束繊維シート接着用組成物は、使用の直前に混合されるか、二頭ガンなどを用いて使用と同時に混合されるのが通常であり、任意成分であるエポキシ基含有反応性希釈剤(D)や、カップリング剤(E)あるいはその他の添加剤は、エポキシ樹脂主剤(A)と硬化剤(C1,C2,C3)とのどちらかまたは双方(特に、エポキシ樹脂主剤(A))に予め混合しておく。ただし、硬化剤(C1,C2,C3)の種類あるいは用途によって一液型とすることもできる。
また、上記集束繊維シート接着用組成物を用いて集束繊維シートを接着する対象物としては、コンクリート面、金属面、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)面、セラミックス面あるいはプラスチックス面などが例示される。さらに、この集束繊維シート接着用組成物として重要な対象物としては、構築物、特にコンクリート構築物である。そして、対象物(特にコンクリート構築物)を補強するにあたっては、補強繊維に樹脂を付着または含浸させて集束させた集束繊維シートを、上述した集束繊維シート接着用組成物を用いて対象物に接着させる。
このとき、まず上述の集束繊維シート接着用組成物を前処理が済んだ対象物側に塗布する。そして、この集束繊維シート接着用組成物の上から集束繊維シートを貼る。さらに、この集束繊維シートの上から集束繊維シート接着用組成物を1回または数回塗布含浸した後に、必要に応じて次の集束繊維シートを貼ってから集束繊維シート接着用組成物を1回または数回塗布含浸する作業を繰り返す。仕上げは必ずしも必要ではないが、美観あるいは景観の点からモルタル仕上げや樹脂塗装仕上げなどの処理をすることもできる。
上述のように、集束繊維シート接着用組成物の硬化剤として、低粘度で作業性の向上に寄与するメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物を見出し、これを用いることによって冬季においても作業性に優れる性状を有した集束繊維シート接着用組成物を製造できた。しかしながら、この集束繊維シート接着用組成物は、低温で且つ高湿度下(85%RH以上)養生後において二次接着性に欠けることがあった。
さらに、橋脚やトンネルを代表とするコンクリート構築物の補強や補修に用いられるエポキシ樹脂接着剤は、1年を通して過酷な気象条件下で使用されることから、低温高湿度下において接着剤表層がダメージを受けた後でも優れた二次接着性を有していることが求められている。これは一般塗料や重防食塗料にも求められる性能である。
そこで、本発明において、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)、およびメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)のいずれか1つを含む硬化剤(C)、およびエポキシ樹脂主剤(A)を主成分とする集束繊維シート接着用組成物を見出した。
この結果、この集束繊維シート接着用組成物を用いてコンクリート面などの対象物に集束繊維シートを接着させると、単に集束繊維シート自身が強化物となりかつ集束繊維シートが対象物面に接着するだけでなく、低粘度で作業性の向上に寄与する硬化剤(C1,C2,C3)に含まれる必須成分のメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)、またはメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)が硬化物に可塑性を付与し、優れた二次接着性を示すことから、接着剥離試験をしてもコンクリート内部で破壊する割合が多くなり、計画した補強を達成できる。
そして、上記集束繊維シート接着用組成物中にエポキシ樹脂含有反応性希釈剤(D)をさらに含有させることにより、接着強度の低下を抑制しながら低粘度化の調整を容易にできる。また、この集束繊維シート接着用組成物中にカップリング剤(E)を含有させることにより、コンクリートなどの対象物あるいは繊維シートとの密着性をより向上できる。
さらに、集束繊維シート接着用組成物は、優れた二次接着性を示すことから、一般塗料、重防食塗料、コンクリート剥落防止工法用接着剤などとしても使用できる。
次に、本発明の集束繊維シート接着用組成物の実施例を具体的に説明する。
なお、以下「部」とは質量部を意味する。
(実施例1)
<アダクト変性物の合成>
まず、温度計、攪拌機、窒素導入管、滴下ロートおよび冷却管を付した1.5リットルフラスコへ、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物494.4g(4.8当量)を秤取攪拌した。そして、このメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物中に、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル330.0g(2.0当量)を33分間費やして逐次添加した。このとき、内温を室温に保ったままで8時間熟成反応させて、全量を淡黄色液状のアダクト変性物(B1−1)とした。
<集束繊維シート接着用組成物の調整>
エポキシ樹脂主剤(A)として、EP4100(旭電化社製)汎用液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂80部に、エポキシ基含有反応性希釈剤(D)として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル20部と、カップリング剤(E)の一例として、シラン系カップリング剤1部を混合してA液を調整した。また、硬化剤(C1−1)として、上記アダクト変性物(B1−1)20部と、MXDA系ポリアミン硬化剤などのアミン系硬化剤30部とを混合して、硬化剤(C1−1)液を調整した。そして、上記A液100部と、硬化剤(C1−1)液50部とを使用直前に混合して集束繊維シート接着用組成物である接着剤組成物を調合した。
<接着剥離試験>
上記により調合した接着剤組成物を10℃雰囲気下でコンクリート面上に塗布した直後から10℃×85%RH以上の条件に設定されたチャンバ内で2日間養生を実施した。そして、塗布した接着剤組成物が硬化した後、さらにその上に上記接着剤組成物を塗布してから目付量300g/mの市販されている集束繊維シートを貼り付け、さらに上記接着剤組成物を塗布含浸させた後に、10℃×7日で硬化させた。この硬化の後、集束繊維シートにて構成されたFRPを端部から引き剥がして、剥離強さの測定と破壊状況の観察をした。この結果、FRPは強固にコンクリート面に接着しており、このコンクリート母材の破壊となった。
(実施例2〜12)
アダクト変性物の合成に用いるエポキシ基含有反応性希釈剤と、このエポキシ基含有反応性希釈剤の反応当量比を変えた以外は、実施例1と同様にしてアダクト変性物を合成して接着剤組成物を調合してから、これら接着剤組成物の接着剥離試験をした。このとき、これらアダクト変性物の合成に使用したエポキシ基含有反応性希釈剤種、反応当量比および結果については表1に示す。
Figure 2006052240
(実施例13)
<アダクト変性物の合成>
まず、温度計、攪拌機、窒素導入管、滴下ロートおよび冷却管を付した1.5リットルフラスコへ、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物494.4g(4.8当量)を仕込んでから窒素気流下で攪拌しながら80℃に昇温した。そして、80℃に保ちながら、このメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物中に1,6−ヘキサンジオールジメタアクリル酸エステル254.0g(2.0当量)を26分間費やして滴下した。
この滴下が終了した後、80℃で1時間保った。この後、この1,6−ヘキサンジオールジメタアクリル酸エステルが滴下されたメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物に80℃の蒸留水を添加してから15分間攪拌した後に5分間静置した。そして、2層に分離したフラスコ内液の下層を別のフラスコに移し、同様の操作を7回繰り返した後、下層に溶解した蒸留水を減圧蒸留して留去し、反応物であるアダクト変性物(B2−13)を得た。
<集束繊維シート接着用組成物の調整>
エポキシ樹脂主剤(A)として、EP4100(旭電化社製)汎用液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂80部に、エポキシ基含有反応性希釈剤(D)として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル20部と、カップリング剤(E)の一例として、シラン系カップリング剤1部とを混合してA液を調整した。また、硬化剤(C2−13)として、上記アダクト変性物(B2−13)20部と、MXDA系ポリアミン硬化剤などのアミン系硬化剤30部とを混合して、硬化剤(C2−13)液を調整した。そして、上記A液100部と、硬化剤(C2−13)液50部とを使用直前に混合して集束繊維シート接着用組成物である接着剤組成物を調合した。
<接着剥離試験>
上記により調合した接着剤組成物を実施例1と同様の方法で接着剥離試験した。この結果、FRPは強固にコンクリート面に接着しており、コンクリート母材の破壊となった。
(実施例14〜24)
アダクト変性物の合成に用いるメタクリル酸エステルと、このメタクリル酸エステルの反応当量比を変えた以外は、実施例13と同様にしてアダクト変性物を合成して接着剤組成物を調合してから、これら接着剤組成物の接着剥離試験をした。このとき、これらアダクト変性物の合成に使用したメタクリル酸エステル種、反応当量比、結果については表2に示す。
Figure 2006052240
(実施例25)
<アダクト変性物の合成>
まず、温度計、攪拌機、窒素導入管、滴下ロートおよび冷却管を付した1.5リットルフラスコへ、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物494.4g(4.8当量)を仕込んでから窒素気流下で攪拌しながら80℃に昇温した。そして、80℃に保ちながら、このメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物中に1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル226.0g(2.0当量)を23分間費やして滴下した。
この滴下が終了した後、80℃で1時間保った。この後、この1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステルが滴下されたメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物に80℃の蒸留水を添加してから15分間攪拌した後に5分間静置した。そして、2層に分離したフラスコ内液の下層を別のフラスコに移し、同様の操作を7回繰り返した後、下層に溶解した蒸留水を減圧蒸留して留去し、アダクト変性物(B3−25)を得た。
<集束繊維シート接着用組成物の調整>
エポキシ樹脂主剤(A)として、EP4100(旭電化社製)汎用液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂80部に、エポキシ基含有反応性希釈剤(D)として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル20部と、カップリング剤(E)の一例として、シラン系カップリング剤1部とを混合してA液を調整した。また、硬化剤(C3−25)として、上記アダクト変性物(B3−25)20部と、MXDA系ポリアミン硬化剤などのアミン系硬化剤30部とを混合して、硬化剤(C3−25)液を調整した。そして、上記A液100部と、硬化剤(C3−25)液50部とを使用直前に混合して集束繊維シート接着用組成物である接着剤組成物を調合した。
<接着剥離試験>
上記により調合した接着剤組成物を実施例1と同様の方法で接着剥離試験した。この結果、集束繊維シートは強固にコンクリート面に接着しており、コンクリート母材の破壊となった。
(実施例26〜36)
アダクト変性物の合成に用いるアクリル酸エステルと、このアクリル酸エステルの反応当量比を変えた以外は、実施例25と同様にしてアダクト変性物を合成して接着剤組成物を調合してから、これら接着剤組成物の接着剥離試験をした。このとき、これらアダクト変性物の合成に使用したアクリル酸エステル種、反応当量比、結果については表3に示す。
Figure 2006052240
(比較例1)
一般的な集束繊維シート接着用二液型エポキシ樹脂接着剤を用いて、実施例1と同様に接着剥離試験をした。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
(比較例2)
エポキシ樹脂主剤(A)として、EP4100(旭電化社製)汎用液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂80部に、エポキシ基含有反応性希釈剤(D)として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル20部と、カップリング剤(E)の一例として、シラン系カップリング剤1部とを混合してA液を調整した。また、硬化剤(C)として、式1で示されるメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物20部と、MXDA系ポリアミン硬化剤などのアミン系硬化剤30部とを混合して、硬化剤(C)液を調整した。
そしてA液100部と硬化剤(C)液50部とを使用直前に混合して接着剤組成物を調合し、実施例1と同様に接着剥離試験をした。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
(比較例3)
実施例1で調整した集束繊維シート接着用組成物に使用したアダクト変性物(B1−1)20部に相当するメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物12部と、MXDA系ポリアミン硬化剤などのアミン系硬化剤30部とを混合して硬化剤(C4−3)液を調整した。また、実施例1で調整した集束繊維シート接着用組成物に使用したアダクト変性物(B1−1)20部に相当する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル8部と、実施例1で調整した集束繊維シート接着用組成物のA液100部とを混合してエポキシ樹脂主剤(A4−3)液を調整した。そして、このエポキシ樹脂主剤(A4−3)液108部と硬化剤(C4−3)液42部とを使用直前に混合して接着剤組成物を調合し、実施例1と同様に接着剥離試験をした。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
(比較例4)
実施例13で調整した集束繊維シート接着用組成物に使用したアダクト変性物(B2−13)20部に相当するメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物13部と、MXDA系ポリアミン硬化剤等のアミン系硬化剤30部とを混合して硬化剤(C4−4)液を調整した。また、実施例13で調整した集束繊維シート接着用組成物に使用したアダクト変性物(B2−13)20部に相当する1,6−ヘキサンジオールジメタクリル酸エステル7部と、実施例13で調整した集束繊維シート接着用組成物のA液100部とを混合してエポキシ樹脂主剤(A4−4)液を調整した。そして、このエポキシ樹脂主剤(A4−4)液107部と硬化剤(C4−4)液43部とを使用直前に混合して接着剤組成物を調合し、実施例1と同様に接着剥離試験をした。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
(比較例5)
実施例1のアダクト変性物の合成に用いるエポキシ基含有反応性希釈剤としてC12−13モノグリシジルエーテル(ヘロキシ(登録商標)WC−8)と、このC12−13モノグリシジルエーテルの反応当量比を2.4(活性水素/エポキシ)とした以外は、実施例1と同様にしてアダクト変性物を合成して接着剤組成物を調合してから、これら接着剤組成物を実施例1と同様に接着剥離試験した。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
(比較例6)
実施例1において、アダクト変性物の合成の反応当量比を6.0(活性水素/エポキシ)とした以外は、実施例1と同様にしてアダクト変性物を合成して接着剤組成物を調合してから、これら接着剤組成物を実施例1と同様に剥離強さを測定した。この結果、FRPが弱い力で剥離し、このFRPと低温高湿度下に養生した面との界面剥離となった。
以上から、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とエポキシ基含有反応性希釈剤とのアダクト変性物(B1)、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とメタクリル酸エステルとのアダクト変性物(B2)、あるいはメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とアクリル酸エステルとのアダクト変性物(B3)のいずれかを使用せず、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物のみを配合した場合は、剥離強さに劣り、接着剤の要求特性を備えることが難しいことがわかる。

Claims (5)

  1. 補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートを対象物に接着させる集束繊維シート接着用組成物であって、
    エポキシ樹脂主剤と、
    アミン系硬化剤とを含有し、
    このアミン系硬化剤は、エポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルとのいずれか1つと、メタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含んでいる
    ことを特徴とした集束繊維シート接着用組成物。
  2. 補強繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維およびポリエチレンテレフタレート繊維のいずれかであり、
    集束繊維シートは、前記補強繊維に樹脂を付して集束させたシートである
    ことを特徴とする請求項1記載の集束繊維シート接着用組成物。
  3. 対象物は、構築物である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の集束繊維シート接着用組成物。
  4. 塗料用である
    ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載の集束繊維シート接着用組成物。
  5. 補強繊維に樹脂を付して集束させた集束繊維シートを対象物に接着する対象物の補強方法であって、
    エポキシ樹脂主剤とアミン系硬化剤とを含有し、このアミン系硬化剤がエポキシ基含有反応性希釈剤、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれか1つとメタキシリレン系ジアミンのスチレンマイケル付加物とのアダクト変性物を1質量%以上100質量%以下の割合で含んでいる集束繊維シート接着用組成物にて前記集束繊維シートを前記対象物に接着する
    ことを特徴とする対象物の補強方法。
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EP1978048A1 (de) * 2007-04-05 2008-10-08 Uppc Ag Härter für Epoxidharze, Verfahren zur Aushärtung eines Epoxidharzes sowie Verwendung des Härters
WO2022054897A1 (ja) * 2020-09-14 2022-03-17 株式会社Adeka エポキシ樹脂用硬化剤組成物、エポキシ樹脂組成物及び塗料
WO2023135890A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 三菱瓦斯化学株式会社 エポキシ樹脂組成物、目地用装飾材料、及びこれらの使用方法

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