JP4308893B2 - エポキシ樹脂用硬化剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤組成物に関し、特に、エポキシ樹脂を低温で硬化させうると共に、高温下において圧縮特性に優れた硬化物を提供しうる硬化剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エポキシ樹脂に対する硬化剤としては、種々のものが用いられている。例えば、脂肪族ポリアミン類や脂環式ポリアミン類が広く用いられている。しかし、この脂肪族又は脂環式ポリアミン類は、不快な臭気がする、或いは硬化物が大気中の炭酸ガスを吸収し白化するという欠点があった。
【0003】
このため、近年、脂肪族又は脂環式ポリアミン類に代えて、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体を硬化剤とすることが提案されている(特開平8−253556号公報)。ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とは、2,5−及び2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタンとエポキシ樹脂とを反応させて得られるものである。確かに、この硬化剤を用いると、脂肪族又は脂環式ポリアミン類に比べて、不快な臭気は減少するし、また硬化物の白化も低減する。また、低温硬化性も良好である。しかしながら、低温で硬化させた硬化物を、低温下又は高温下に置いた場合、この硬化物の圧縮特性が著しく劣るということがあった。
【0004】
また、脂肪族又は脂環式ポリアミン類に代えて、マンニッヒ塩基化合物と脂肪族ポリエーテルジアミンとの混合物を硬化剤とすることも提案されている(特開平10−339040号公報)。マンニッヒ塩基化合物とは、活性メチレン炭素がアミノメチル化された構造を持つ化合物のことで、例えば、メタキシレンジアミンやイソホロジアミン等をベースアミンとするものである。確かに、この硬化剤を用いると、脂肪族又は脂環式ポリアミン類に比べて、低温硬化性がいく分優れており、また硬化物の塗布面への被着も強固で良好である。しかしながら、低温で硬化させた硬化物を、高温下に置いた場合、この硬化物の圧縮特性が著しく劣るということがあった。
【0005】
ところで、このような硬化剤とエポキシ樹脂とよりなる接着剤は、種々の用途に用いられているが、例えば、橋梁や建築物の梁或いは柱等を補強する際に、次のようにして用いられることがある。即ち、補強したい梁或いは柱の表面(被補強体面)に、硬化剤とエポキシ樹脂とを混合してなる接着剤を塗布する。次いで、この塗布面に、炭素繊維シートやアラミド繊維シート等の繊維シートを積層する。この後、繊維シート面に硬化剤とエポキシ樹脂とを混合してなる接着剤を再度塗布し、繊維シートが概ね完全に接着剤で含浸された状態とする。そして、この状態で放置(養生)しておくことにより、接着剤を硬化させ、被補強体面に強固に繊維シートを含有する硬化物を被着させる。以上のようにして、橋梁や建築物の梁或いは柱等を補強することができるのである。
【0006】
このような補強は季節を問わず行われ、冬季にこのような補強を有効に行うためには、低温での接着剤の硬化性が良好でなければならない。従って、前記したノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体を硬化剤とするエポキシ樹脂、又はマンニッヒ塩基化合物と脂肪族ポリエーテルジアミンとの混合物を硬化剤とするエポキシ樹脂は、低温硬化性に優れており、好ましいものである。しかしながら、エポキシ樹脂が硬化した後の硬化物は、梁や柱に負荷される荷重(特に地震により負荷される荷重)に伴い、圧縮する場合がある。また、季節に拘わらず圧縮するため、高温下においても圧縮特性が良好でなければならない。しかるに、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体を硬化剤とするエポキシ樹脂、又はマンニッヒ塩基化合物と脂肪族ポリエーテルジアミンとの混合物を硬化剤とするエポキシ樹脂の場合、硬化後における圧縮特性に劣るということがあった。このため、被補強体に大きな圧縮荷重が負荷されると、被補強体面上の硬化物が破壊(爆裂)し、補強の実効性が著しく低下するという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、低温硬化性はもとより、硬化物の圧縮特性に優れたエポキシ樹脂系接着剤を開発すべく、種々研究を重ねていたところ、エポキシ樹脂の硬化剤として、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とポリオキシアルキレンジアミンとの混合物を用いることにより、硬化物の圧縮特性を改良しうることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、なされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とポリオキシアルキレンジアミンとを含有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物に関するものである。
【0009】
本発明で用いるノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とは、ノルボルナンジアミンとエポキシ樹脂とを反応させて得られるものであり、例えば、特開平8−253556号公報に記載されているものを用いることができる。ここで、ノルボルナンジアミンとは、2,5−及び2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタンのことである。ノルボルナンジアミンは、従来公知の方法で得ることができ、例えば、ジシクロペンタジエンとアクリロニトリルを反応させて得られるシアノノルボルネンを、シアン化水素と反応させてジシアノノルボルナンとした後、これを水素化する方法により合成することができる。
【0010】
また、このノルボルナンジアミンと反応させるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるもの、又はフェノール或いはクレゾールとホルムアルデヒドを付加縮合したノボラック樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるもの等が単独で又は混合して用いられる。特に、エポキシ当量が150〜600g/eqで、1分子中にエポキシ基を2個以上含むエポキシ樹脂が好ましい。また、このエポキシ樹脂は、一般的に液状又は半固体状のものである。これらの中でも最も好ましいのは、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロロヒドリンとを反応させて得られる液状の樹脂であって、エポキシ当量が150〜300g/eqである、ビスフェノールAジグリシジルエーテル又はビスフェノールFジグリシジルエーテルである。
【0011】
本発明で用いるポリオキシアルキレンジアミンとしては、以下の化2に示した構造式で表される化合物が用いられる。
【0012】
【化2】
(式中、R2,R3は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜20の任意の整数を表す。)
この化2で表されるようなジアミンは、エチレンジアミンやプロピレンジアミン等のアルキレンジアミンに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1〜20モル付加させて得られるものである。
【0014】
ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とポリオキシアルキレンジアミンとの配合量は、任意であるが、一般的に、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体100重量部に対して、このポリオキシアルキレンジアミン1〜10重量部の範囲であるのが好ましい。ポリオキシアルキレンジアミンの配合量が1重量部未満であると、エポキシ樹脂硬化物を高温下において圧縮すると、硬化物が破壊(爆裂)しやすくなる傾向が生じる。また、ポリオキシアルキレンジアミンの配合量が10重量部を超えると、低温硬化性に劣る傾向が生じる。また、本発明に係る硬化剤組成物中には、その他の公知の任意成分が配合されていても良い。具体的には、重質炭酸カルシウム,表面処理炭酸カルシウム,カオリン,クレー,タルク,珪砂,シリカ等の充填剤、酸化チタン,カーボンブラック,染料等の顔料、アルコール類,ケトン類,芳香族炭化水素等の有機溶剤,モノ或いはジ或いはトリエポキサイド化合物等の反応性希釈剤、シランカップリング剤、顔料分散剤、消泡剤、チタンカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤が配合されていても良い。
【0015】
本発明に係る硬化剤組成物は、エポキシ樹脂を硬化させる際に用いられるものである。硬化剤組成物は、エポキシ樹脂100重量部に対して、30〜70重量部程度添加すれば、エポキシ樹脂を十分硬化させることができる。硬化させるエポキシ樹脂として、例えば、ビフェニール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等とエピクロルヒドリンを反応させて得られるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等や、これらを水添化あるいは臭素化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂等があげられるが、硬化して良好な被着性を示すものであれば、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明に係る硬化剤組成物は、エポキシ樹脂と共に、橋梁や建築物の梁或いは柱等を補強する際に、次のようにして用いられるのが好ましい。即ち、本発明に係る硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを混合した接着剤を、梁や柱等の被補強体面に積層された繊維シートに含浸した後、該接着剤を硬化させて、梁や柱等の被補強体を補強させるために用いるのが好ましい。
【0017】
このような補強方法を具体的手順に基づいて、説明すると、以下のとおりである。まず、梁や柱等の被補強体面を研削又は洗浄して下地処理を行う。下地処理の後、プライマーをローラやコテ等で塗布する。一方、エポキシ樹脂と本発明に係る硬化剤組成物とを混合した接着剤を準備する。混合比は、エポキシ樹脂100重量部に対して、硬化剤組成物30〜70重量部程度で良い。この接着剤を、プライマー層の上にローラ等で塗布する。この後、塗布された接着剤層の上に、炭素繊維シートやアラミド繊維シート等の繊維シートを積層する。この際、接着剤層は未だ十分に硬化していないため、繊維シート中に接着剤が侵入する。この後、繊維シート面に、前記の準備した接着剤をローラ等で押圧しながら塗布する。これによっても、繊維シート中に接着剤が侵入し、結果的には、接着剤が繊維シートに含浸された状態となる。即ち、繊維シートの積層前に塗布された接着剤と、繊維シートの積層後に塗布された接着剤とが繊維シートに含浸された状態となるのである。なお、接着剤の使用量にもよるが、一般的には、接着剤が繊維シートに含浸されると共に、繊維シートの表裏面に接着剤層が形成された状態となる。そして、このように被補強体面に積層された繊維シートに接着剤が含浸された状態で、数日間放置(養生)しておけば、接着剤が十分に硬化すると共に、補強体面に繊維シート含有エポキシ樹脂硬化物が強固に被着するのである。以上で、被補強体の補強は終了するのであるが、一般的に表面には硬化したエポキシ樹脂が露出していることになる。従って、硬化したエポキシ樹脂表面に、塗料等でコート層を形成しても良いし、またモルタルやセメント等を塗布して保護層を設けても良い。
【0018】
以上のようにして、橋梁や建築物の梁や柱等の表面には、繊維シートを含有した硬化エポキシ樹脂層が形成され、いわゆるFRP〔Fiber Reinforced Plastic(繊維強化プラスチック)〕の如きものが形成され、梁や柱等が補強されるのである。このような補強は、橋梁や建築物の梁や柱だけでなく、トンネル,港湾施設,煙突,サイロ,水槽,煙害被害コンクリート構造物,桟橋,河川構造物等の各所に適用されうるものである。
【0019】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とポリオキシアルキレンジアミンとを含有する硬化剤組成物を用いて、エポキシ樹脂を硬化させると、エポキシ樹脂硬化物の圧縮特性が向上するとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0020】
〔ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体の調製〕
4つ口フラスコ中に、2,5−及び2,6−ビス(アミノメチル)−ジシクロ〔2,2,1〕ヘプタンの混合物154gを仕込み、80℃に昇温する。昇温後、分子量380のビスフェノールAジグリシジルエーテル76gを1時間かけて滴下し、反応させる。滴下後、更に2時間、80℃に保ち、ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体を製造した。
【0021】
実施例1
上記したノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体100重量部に対して、ポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman社製、ジェファーミンD−230。上記化2において、R2,R3がプロピレン基であり、nが2.6のもの)6.25重量部を混合して、硬化剤組成物を準備した。この硬化剤組成物50重量部を、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製、商品名エピコート828)100重量部に混合し、粘度約20000Pa・sの粘稠な接着剤を得た。この接着剤を用いて、以下の項目について、試験を行い、その結果を表1に示した。
【0022】
〔圧縮特性〕
硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを0℃雰囲気下で混合し、接着剤を得た。この接着剤を、シリコーン製の型枠に注型し、0℃下で3日間放置し、硬化させた。硬化後、硬化物の寸法を調整し、圧縮試験を行った。圧縮試験は、0℃下での試験と、20℃で硬化物を3時間放置した後における20℃下での試験との二通りの方法で、最大強度を測定した。なお、操作はJIS K 7208に準じて行い、試験機としては株式会社島津製作所製の島津オートグラフAG−50kNを用い、試験速度(圧縮速度)は12mm/minとした。
この圧縮試験の際、図1に示すようなS−S曲線を描くものについては、降伏強さを最大強度(靭性破壊、表1中「T」で表す。)とした。図2に示すようなS−S曲線を描くものについては、硬化物が圧縮方向に5%変形(圧縮ひずみ)した際の降伏耐力を最大強度(ゴム状破壊、表1中「G」で表す。)とした。また、図3に示すようなS−S曲線を描くものについては、硬化物がガラス状に割れる際の圧縮強さを最大強度(脆性破壊、表1中「F」で表す。)とした。
【0023】
〔低温硬化性〕
(1)硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを0℃雰囲気下で混合し、接着剤を得た。この接着剤を、ガラス板上に250μ厚に塗布し、RCI式塗膜乾燥試験機を用いて、塗膜硬化時間(ゲル化開始時間と硬化完了時間)を測定した。なお、硬化中の雰囲気温度は、0℃とした。
(2)硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを0℃雰囲気下で混合し、接着剤を得た。この接着剤を、ガラスビン中に250g入れ、熱電対式レコーダーにて接着剤の温度変化を測定した。そして、最大発熱時間を求めた。なお、硬化中の雰囲気温度は、0℃とした。
【0024】
〔耐白化性〕
硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを0℃雰囲気下で混合し、接着剤を得た。この接着剤を、スレート板上に200g/m2塗布し、0℃下で1日放置した。この後、5℃下で蒸留水を噴霧し、放置した。1日後、その表面状態を目視し、白化(曇り)のあったものを「×」と評価し、白化(曇り)のなかったものを「○」と評価した。
【0025】
〔含浸性〕
硬化剤組成物とエポキシ樹脂とを0℃雰囲気下で混合し、接着剤を得た。この接着剤を、スレート板上に300g/m2塗布した後、直ちに目付300g/m2のカーボンシート(炭素繊維が集積されてなるシート)を塗布面に貼り付け、脱泡ローラーにてカーボンシート表面からスレート板に向けて圧締(押圧)し、接着剤をカーボンシートに含浸させた。そして、1日放置し、接着剤を硬化させた。硬化後、カーボンシート表面にカーターナイフをこすりつけ、カーボンシートの繊維を掻き取るようにしたとき、その繊維のほつれ状態を確認し、以下のとおり評価した。即ち、カーボンシートの繊維がほつれにくく、掻き取った場合でもささくれた状態になるときは、十分に接着剤がカーボンシートに含浸されているのであり、「○」と評価した。一方、カーボンシートの繊維がほつれやすく、ほつれた繊維が毛玉状になるときは、十分に接着剤がカーボンシートに含浸されていないのであり、「×」と評価した。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例2
上記したノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体100重量部に対して、ポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman社製、ジェファーミンD−230。上記化2において、R2,R3がプロピレン基であり、nが2.6のもの)8.3重量部と、メタキシレンジアミンをベースアミンとするマンニッヒ塩基化合物(昭和電工株式会社製、ショーアミン2010)33.3重量部とを混合して、硬化剤組成物を準備した。そして、実施例1の場合と同様にして、接着剤を得た後、実施例1と同様にして各項目について試験を行い、その結果を表1に示した。
【0028】
比較例1
上記したノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体を硬化剤(実施例1の硬化剤組成物において、ポリオキシプロピレンジアミンを用いないもの)とし、実施例1の場合と同様にして、接着剤を得た後、実施例1と同様にして各項目について試験を行い、その結果を表1に示した。
【0029】
比較例2
メタキシレンジアミンをベースアミンとするマンニッヒ塩基化合物(昭和電工株式会社製、ショーアミン2010)100重量部に対して、ポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman社製、ジェファーミンD−230。上記化2において、R2,R3がプロピレン基であり、nが2.6のもの)5重量部を混合して、硬化剤組成物を準備した。そして、実施例1の場合と同様にして、接着剤を得た後、実施例1と同様にして各項目について試験を行い、その結果を表1に示した。
【0030】
表1の結果から明らかなように、実施例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときには、比較例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときに比較して、エポキシ樹脂硬化物の圧縮特性が格段に優れていることが分かる。即ち、0℃下での圧縮試験においては、実施例1,実施例2及び比較例2が、各々、靭性破壊における最大強度であり、この値は実施例1及び2の方が、比較例2よりも高い。また、比較例1において、最大強度の値は実施例1及び2よりも高いが、これは脆性破壊における最大強度であり、最大強度を超えるとたちまちガラス状に爆裂してしまうものである。従って、硬化物は、実施例1及び2の方が、比較例1よりも破壊されにくいものである。また、20℃下での圧縮試験においては、実施例1の最大強度は、比較例1及び2よりも高いものである。また、実施例2の最大強度は、比較例2よりも高い。なお、実施例2の最大強度は、比較例1よりも低いが、実施例2はゴム状破壊における最大強度であり、比較例1は靭性破壊における最大強度であり、実施例2は粘りがあり、破壊されにくいものである。依って、総合的にみて、実施例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときには、比較例1及び2に係るものを用いたときに比較して、エポキシ樹脂硬化物の圧縮特性が格段に優れているのである。
【0031】
また、実施例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときには、低温硬化特性、耐白化性及び含浸性の点でも、優れているものである。
【0032】
以上の各項目を実用的見地からまとめて、次の三段階で評価すると、表2のとおりである。
「○」:実用性は十分である。
「△」:実用性はある。
「×」:実用性はない。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の結果より明らかなとおり、実施例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときは、各項目共に、いずれも実用性のあるものである。一方、比較例1及び2に係る硬化剤組成物を用いたときには、圧縮特性及びその他の項目において、実用性に欠けるものである。
【0035】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る硬化剤組成物を用いて得られた、エポキシ樹脂硬化物は、圧縮特性に優れるという効果を奏する。即ち、本発明に係る硬化剤組成物を用いれば、低温でエポキシ樹脂を硬化しうると共に、硬化後のエポキシ硬化物が、低温下及び高温下に置かれて大きな圧縮荷重が負荷されても、破壊(爆裂)しにくいという効果を奏するものである。
【0036】
従って、本発明に係る硬化剤組成物は、橋梁や建築物の梁或いは柱等を、エポキシ樹脂と繊維シートで補強する際に、エポキシ樹脂の硬化剤として用いれば、梁や柱等の補強が強固に行える。即ち、予期せぬ地震等によって、梁や柱等に大きな圧縮荷重が負荷されても、エポキシ樹脂硬化物が破壊(爆裂)しにくく、梁や柱等の破壊、ひいては橋梁や建築物の倒壊を未然に防止しうるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮試験のときに描かれる圧縮応力−圧縮ひずみ曲線(いわゆるS−S曲線)であり、靭性破壊する場合に描かれるS−S曲線の一例を示したものである。
【図2】圧縮試験のときに描かれる圧縮応力−圧縮ひずみ曲線(いわゆるS−S曲線)であり、ゴム状破壊する場合に描かれるS−S曲線の一例を示したものである。
【図3】圧縮試験のときに描かれる圧縮応力−圧縮ひずみ曲線(いわゆるS−S曲線)であり、脆性破壊する場合に描かれるS−S曲線の一例を示したものである。
Claims (3)
- ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体とポリオキシアルキレンジアミンとを含有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- ノルボルナンジアミン−エポキシアダクト体100重量部に対して、ポリオキシアルキレンジアミン1〜10重量部が配合されている請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- エポキシ樹脂と、請求項1又は2記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物とを混合した接着剤を、被補強体面に積層された繊維シートに含浸した後、該接着剤を硬化させることを特徴とする被補強体の補強方法。
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