JP2006049280A - 蛍光ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ランプ光束を低下させることなく水銀の消費を抑制できる保護膜を備えることにより、水銀封入量を減らすことのできる蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 内部に水銀2および希ガスが封入され、かつ、電極4が取り付けられたガラスバルブ3の内面に金属酸化物粒子からなる保護膜6と蛍光体層7とが順次積層されており、前記保護膜6は、少なくとも50wt%のシリカを含有するとともに、前記保護膜6の膜厚は、0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、前記水銀2は、前記ガラスバルブ3内に2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されている蛍光ランプ1とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、蛍光ランプに関する。
蛍光ランプにとって水銀は、放電ガスとして、また蛍光体を励起する紫外線の発生源として不可欠な構成材料である。ところが、水銀は、ランプの点灯中に、ガラスバルブのガラスから溶出するアルカリ金属と反応して徐々に不活性化(水銀が不活性化する現象を、以下「水銀消費」と称する)する。そのため、発光に寄与する水銀量が不足して、蛍光ランプのランプ光束が低下する。
そこで、従来から、水銀とアルカリ金属との反応を妨げるため、ガラスバルブと蛍光体層との間に保護膜を設けることが行われている。例えば、特許文献1にはシリカ系の保護膜を設けることが、特許文献2にはアルミナ系の保護膜を設けることが開示されている。その一方で、水銀消費を見越して、予め余分に水銀を封入することも行われている。
しかし、近年、環境に対する意識の高まりから、水銀封入量を低減させる試みがなされている。
水銀封入量を低減させる方法の一つとして、保護膜を厚くし、水銀とアルカリ金属との反応をより効果的に妨げることが考えられる。この方法は、特に、環形蛍光ランプのような屈曲したガラスバルブを備える蛍光ランプに有効である。なぜなら、屈曲したガラスバルブは、曲げ加工の際に加熱されているためガラスからアルカリ金属が溶出し易く、水銀とより反応し易い状態になっているからである。
特開平10−125282号公報 特許第3341443号公報
ところが、上述したように保護膜を厚くすると、保護膜が可視光を遮ってランプ光束が低下するおそれがある。
また、保護膜が厚いと、曲げ加工した際に前記保護膜に亀裂が生じてその上層に形成された蛍光体層が剥離し易くなる。そのため、蛍光体層との接着性が弱いアルミナ系材料を保護膜に使用することが困難である。
本発明は、上記した課題に鑑み、ランプ光束を低下させることなく水銀消費を抑制できる保護膜を備えているため、水銀封入量を減らすことのできる蛍光ランプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明に係る蛍光ランプは、内部に水銀および希ガスが封入され、かつ、電極が取り付けられたガラスバルブの内面に金属酸化物粒子からなる保護膜と蛍光体層とが順次積層されており、前記保護膜は、少なくとも50wt%のシリカを含有するとともに、前記保護膜の膜厚は、0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されている構成を有する。
また、請求項2記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記ガラスバルブは、屈曲したガラスバルブであり、前記保護膜は、膜厚が0.8μm以上であることを特徴とする構成を有する。
さらに、請求項3記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項1または2に記載の蛍光ランプにおいて、前記ガラスバルブは、管内径が17mm未満であって、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に4.4μg/cm以上封入されている構成を有する。
さらにまた、請求項4記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項1乃至3のいずれかに記載の蛍光ランプにおいて、前記保護膜は、イットリアを含有する構成を有する。
加えて、請求項5記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光ランプにおいて、前記シリカは、BET比表面積が25〜180m/gの範囲である構成を有する。
請求項6記載の本発明に係る蛍光ランプは、内部に水銀および希ガスが封入され、内面に保護膜と蛍光体層とが順次積層された発光管と、誘導磁界を発生させる外部電極とを備え、前記保護膜は、少なくとも50wt%のシリカを含有するとともに、前記保護膜の膜厚は、0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されている構成を有する。
また、請求項7記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項6記載の蛍光ランプにおいて、前記保護膜は、イットリアを含有する構成を有する。
さらにまた、請求項8記載の本発明に係る蛍光ランプは、請求項6または7に記載の蛍光ランプにおいて、前記シリカは、BET比表面積が25〜180m/gの範囲である構成を有する。
本発明の構成を有する蛍光ランプは、保護膜が少なくとも50wt%のシリカを含有し、前記保護膜の膜厚が0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、水銀がガラスバルブに2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されているため、ランプ光束を低下させることなく水銀消費を抑えることができる。このように水銀消費が抑制されているため、水銀封入量が少なくても定格寿命を維持することができ、蛍光ランプの水銀使用量の削減による環境負荷の低減を図ることができる。
なお、水銀封入量が少ないにも拘わらず定格寿命を維持することができるのは、保護膜の膜厚が0.5〜5.0μmの範囲であり従来の保護膜よりも厚いからであり、保護膜を厚くすることで水銀とアルカリ金属との反応を妨げて消費水銀量を減らし、ランプ光束の低下を防止しているからである。
また、本発明に係る蛍光ランプは、保護膜の膜厚が0.5〜5.0μmの範囲であり従来の保護膜よりも厚くなっているにも拘わらず、ランプ光束が低下しない。これは、保護膜が可視光を遮ってランプ光束が低下する一方で、保護膜が紫外線を反射することによって蛍光体層における紫外線の利用効率が高まり、ランプ光束が向上するからであると推測される。
加えて、水銀とアルカリ金属との反応が妨げられているためアマルガムの生成量が少なく、前記アマルガムに起因するガラスバルブ表面の黒点や黒ずみの発生を低減させる効果もある。
さらに、保護膜がシリカで形成されており蛍光体層との接着力が強いため、保護膜が厚くなって前記保護膜や蛍光体層に亀裂が生じても前記蛍光体層が剥離し難い。したがって、ランプ光束が低下し難いとともに、蛍光体層の剥離による蛍光ランプの外観不良も生じ難く、製造歩留まりが良い。
その上、膜厚が厚いため保護膜をガラスバルブから機械的に除去し易く、ガラス管の両端を封止する際に封止部分の保護膜を除去する作業や、リサイクルのために廃品のガラスバルブから保護膜を除去する作業が容易である。しかも、既存の設備で製造することができるため新たな設備投資が不要であり、またガラスバルブには従来と同様に安価なソーダライムガラスを使用することができる。
また、本発明の構成を有する蛍光ランプが屈曲したガラスバルブを備えている場合は、ガラスバルブのアルカリ溶出量が多いために水銀が消費し易いが、保護膜の膜厚を0.8μm以上にすることで定格寿命を維持することができる。
さらに、本発明の構成を有する蛍光ランプのガラスバルブの管内径が17mm未満の場合は、ランプの負荷が高いため消費水銀量が多くなるが、ガラスバルブ内に封入する水銀の量を4.4μg/cm以上にすることで定格寿命を維持することができる。
さらにまた、本発明の構成を有する蛍光ランプの保護膜がイットリアを含有している場合は、イットリアが蛍光ランプの水銀消費を抑制するため、蛍光ランプをさらに長寿命化することができる。
さらにまた、本発明の構成を有する蛍光ランプの保護膜に含有されるシリカが、BET比表面積が25〜180m/gの範囲の場合は、均一で耐久性の高い保護膜を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
(1)蛍光ランプの構成
図1は、本発明の一実施形態に係る環形蛍光ランプを示す一部破断平面図および破断部分の一部を模式的に示す拡大図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る蛍光ランプ1は、消費電力が30Wの環形蛍光ランプであって、内部には水銀を供給するための粒状のスズ水銀2と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。
蛍光ランプ1は、環形のガラスバルブ3を備えている。ガラスバルブ3は、ソーダ石灰ガラス製であって、管内径が28mm、肉厚が1.0mm、管軸方向の長さが540mmである。ガラスバルブ3の両端部には、電極4が配置されているとともに、前記両端部を覆うようにして口金5が取り付けられている。
ガラスバルブ3の内面には、保護膜6と蛍光体層7とが順次積層されている。
保護膜6は、金属酸化物粒子からなり、膜厚は0.8μmである。金属酸化物粒子としては、BET比表面積50m/gのシリカ(日本アエロジル工業株式会社製、商品名アエロジル)が使用されている。なお、本発明において、保護膜6の膜厚とは、前記保護膜6全体における平均膜厚を意味する。
蛍光体層7は、青色蛍光体(BaMgAl1627:Eu2+)、緑色蛍光体(LaPO:Ce3+,Tb3+)、および、赤色蛍光体(Y:Eu3+)からなる。
(2)蛍光ランプの製造方法
ガラスバルブ3は、ガラス直管の内面に保護膜6および蛍光体層7を順次積層させた後、環状に曲げ加工して作製する。
保護膜6は、水とポリエチレンオキサイドとの混合液にシリカを分散させてスラリーを作製し、前記スラリーをガラス管内に流し込んで前記ガラス管内面に前記スラリーを塗布し、温風エアーで前記スラリーを乾燥させて形成する。
蛍光体層7は、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の混合物と、無機酸化物(酸化カルシウム、酸化バリウム、ホウ酸およびピロリン酸カルシウムの混合物)の微粒子からなる結着剤とを混合し、保護膜6の上側に積層塗布して形成する。保護膜6および蛍光体層7を形成後は、ガラス管を焼成炉に入れて約550℃で5分間加熱し、保護膜6および蛍光体層7を焼成する。
次に、ガラス管の両端部付近の保護膜6および蛍光体層7を除去し、前記両端部に電極4付きのガラスマウントを封着して前記電極4をガラス管に封着する。そして封着後、ガラス管を800℃以上に加熱し、環形に曲げ加工して、ガラスバルブ3を作製する。ガラスバルブ3内には、図示しない細管からスズ水銀2およびアルゴンガスを封入する。最後に、ガラスバルブ3の両端部をまたいで覆うようにして口金5を取り付けると、環形蛍光ランプ1が完成する。
(3)ランプ寿命についての評価
上記本実施の形態に係る環形蛍光ランプ1(以下、本発明品という)のランプ寿命を、寿命試験によって評価した。比較品として、アルミナ(平均粒径0.05μm、BET比表面積100m/g)で形成した膜厚が0.5μmの保護膜6を備えた環形蛍光ランプ1(以下、比較品という)を用いた。なお、比較品は、保護膜6以外は、本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様の構成を有する。
寿命試験は、本発明品および比較品についてそれぞれ10本ずつの蛍光ランプ1を用意し、点灯安定器を用いて電力30Wで3時間サイクル(2.75時間点灯、0.25時間消灯)で点灯させ、蛍光ランプ1が不点になるまでの時間を測定した。なお、寿命試験では、ランプ寿命の差が顕著に現れるように、通常よりも少ない量の水銀を各環形蛍光ランプ1に封入した。具体的には、通常の1/6以下である0.8mgの水銀を封入した。
実験の結果、本発明品は、6500時間で1本が不点となり、9500時間で全てが不点となった。平均寿命は8000時間であった。一方、比較品は、3500時間で1本が、4000時間でさらに3本が、5000時間でさらに2本が不点となり、6500時間で全てが不点となった。平均寿命は5500時間であった。
以上のように、本実施の形態に係る蛍光ランプ1は、比較品の約1.5倍のランプ寿命を有した。また、本実施の形態に係る蛍光ランプ1は、水銀封入量が通常の1/6であっても、定格寿命の6000時間を上回るランプ寿命を有した。
(4)膜厚と水銀封入量とがランプ寿命に及ぼす影響
保護膜6の膜厚と水銀封入量とがランプ寿命に及ぼす影響について検討した。上記本実施の形態に係る環形蛍光ランプ1をベースに保護膜6の膜厚および水銀封入量について変更を加えた環形蛍光ランプ1を種々作製し、それら環形蛍光ランプ1について上記と同様のランプ寿命試験を行った。
図2は、保護膜6の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。図2のグラフにおいて、「○」は、10本全ての蛍光ランプ1が定格寿命である6000時間を超えて点灯したことを示し、「×」は、6000時間を超えない蛍光ランプ1があったことを示す。
図2のグラフにおいて、曲線Aは、全ての蛍光ランプ1が定格寿命を超えて点灯するであろうと推測される範囲の下限を示している。すなわち、曲線Aを含む前記曲線Aから上側の範囲が、定格寿命を維持するであろうと推測される範囲であって、前記曲線Aよりも下側の範囲が、定格寿命を維持しないであろうと推測される範囲である。
したがって、本発明に係る蛍光ランプ1を得るためには、保護膜6の膜厚および封入水銀量が、曲線Aを含む前記曲線Aから上側の範囲であることが好ましい。また、グラフ中に斜線で示した範囲、すなわち保護膜6の膜厚が0.8〜5.0μmの範囲、かつ、水銀封入量が2.2〜8.8μg/cmの範囲であることがより好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が少ないにも拘わらず定格寿命を維持した蛍光ランプ1を得ることができる。
さらに、水銀封入量が4.4μg/cm以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が従来の蛍光ランプの半分以下となるため、水銀封入量の削減効果が大きいといえる。
なお、保護膜6の膜厚の上限を5.0μmとしたのは、これ以上保護膜6を厚くすると保護膜6が可視光を遮りランプ光束が低下するとともに、封入水銀量の削減効果も頭打ちになるからである。
(5)保護膜の膜厚がランプ寿命に及ぼす影響
保護膜6の膜厚がランプ寿命に及ぼす影響について検討した。上記本実施の形態に係る環形蛍光ランプ1をベースに保護膜6の膜厚に変更を加えた環形蛍光ランプ1を種々作製し、それら環形蛍光ランプ1の特性を評価した。比較例には、アルミナ(平均粒径0.05μm、BET比表面積100m/g)で形成した膜厚が0.5μmの保護膜6を備えた環形蛍光ランプ1を用いた。
図3は、保護膜6の膜厚がランプ寿命に及ぼす影響を示す表である。図3の表における「判定」の欄の評価は、各蛍光ランプ1について上記寿命試験をおこない、10本の蛍光ランプ1が全てが定格寿命である6000時間を超えて点灯していた場合を「○」とし、6000時間を超えない蛍光ランプ1があった場合を「×」とした。
図3に示すように、保護膜6の膜厚を厚くするほど水銀消費を抑える効果が向上し、少ない水銀封入量で長時間ランプを点灯させることが可能である。比較品は、平均寿命が5500時間であるため定格寿命の6000時間に至らず、水銀消費を抑える効果が十分だとはいえない。また、膜厚が約0.5μmの蛍光ランプ1(No.5)は、平均寿命が6000時間であり定格寿命を維持していたが、一部にランプ寿命が6000時間を超えない蛍光ランプ1があったため、水銀消費を抑える効果が十分だとはいえない。一方、膜厚6が0.8μm以上の蛍光ランプ1(No.1〜4)は、平均寿命が8000時間であり定格寿命を維持しているとともに、ランプ寿命が6000時間に満たない蛍光ランプ1もなかったため、水銀消費を抑える効果が大きいといえる。
なお、シリカで形成した保護膜6を備えた本発明に係る蛍光ランプ1は、保護膜6の膜厚を5.0μmにしても蛍光体層7が剥離することがなかった。一方、アルミナで形成した保護膜6は、蛍光体層7が剥離するため膜厚を1.0μm以上にすることができなかった。
本実施の形態に係る蛍光ランプ1は、保護膜6の膜厚を厚くしたにも拘わらず、ランプ光束および光束維持率が低下することがなく、予想に反してランプ光束および光束維持率が向上していた。これは、保護膜6が可視光を遮ってランプ光束が低下する一方で、保護膜6が紫外線を反射することによって蛍光体層7における紫外線の利用効率が高まり、ランプ光束が向上したためであると推測される。
以上のことから、本発明に係る蛍光ランプ1は、保護膜6の膜厚が0.8μm以上であることが望ましく、この範囲であれば、水銀消費を抑える効果を発揮することができる。
(6)保護膜におけるシリカの含有率がランプ寿命に及ぼす影響
保護膜6におけるシリカの含有率がランプ寿命に及ぼす影響を検討した。上記本実施の形態に係る環形蛍光ランプ1をベースに保護膜6の組成に変更を加えた環形蛍光ランプ1を種々作製し、それら環形蛍光ランプ1の特性を評価した。
図4は、保護膜6におけるシリカの含有率がランプ寿命に及ぼす影響を示す表である。図4の表における「判定」の欄の評価は、上述の図3の表における「判定」の欄の評価と同様の基準で行った。
図4に示すように、シリカの含有率が40%の蛍光ランプ1(No.10)は、他の蛍光ランプ1(No.6〜9、No.11〜13)よりも光束維持率および平均寿命が低く、定格寿命まで点灯しないものがあった(「判定」において「×」)。これは、シリカの含有率が少ないため蛍光体層7が剥離し易く、保護膜6の膜厚を0.7μmより厚くすることができなかったからである。また、シリカの含有率が40%の蛍光ランプ1(No.10)では、保護膜6自体も剥離するため、蛍光体層7の厚みが不均一になったり、紫外線の照射を受けてガラスが着色したりする不都合も生じた。一方、シリカの含有量が50%以上の蛍光ランプ(No.6〜9、No.11〜13)では、光束維持率や平均寿命の低下が生じず、ガラスか着色することもなく、全て定格寿命まで点灯した。以上のことから、シリカの含有量は、50%以上であることが望ましい。
なお、シリカの含有量が50%以上であれば他の無機酸化物を添加物として加えても、シリカで形成した保護膜6の特徴を生かしながら前記添加物の特性を得ることができる。
例えば、アルミナが添加された保護膜6を有する蛍光ランプ1(No.6〜9)は、比較品よりもランプ光束および光束維持率が良好であった。そして、アルミナの含有率が増加するほどランプ光束および光束維持率が向上した。このように、保護膜6に適量のアルミナを添加することにより、水銀消費を抑える効果を保ちながら光束維持率を改善することができる。
また、イットリアが添加された保護膜6を有する蛍光ランプ1(No.11)は、比較品や、シリカのみからなる保護膜6を有する蛍光ランプ1よりも長寿命であった。これは、イットリアが水銀を吸着し難い無機酸化物であるため、水銀消費を抑える効果が向上したものと考えられる。さらに、イットリアとアルミナを添加した保護膜6を有する蛍光ランプ1(No.12)は、長寿命を維持しながら光束維持率の改善もみられ、イットリアの水銀消費を抑える効果とアルミナの光束維持率改善効果とが両立していることがわかる。このような結果は、イットリアやアルミナを単体で添加した場合には得られない効果である。
さらに、チタニアを添加した保護膜6を有する蛍光ランプ1(No.13)も、従来の蛍光ランプよりもランプ光束および光束維持率が良好であった。これは、紫外線を遮蔽する効果の高いチタニアが添加されたことによって、保護膜6が紫外線を反射する効果が向上し、蛍光体層7の紫外線利用効率が高まったからであると推測される。また、保護膜6が紫外線を遮蔽する効果が向上し、紫外線によるガラスの劣化が低減したからであると推測される。
以上のように、保護膜6にシリカを50%以上含有させることによって、水銀消費を抑える効果を維持できるとともに、シリカ以外の無機酸化物を添加することにより、ランプ寿命、ランプ光束および光束維持率などのランプ特性を改善することができる。
(7)シリカのBET比表面積が保護膜形成に及ぼす影響
シリカのBET比表面積が保護膜6の形成に及ぼす影響について検討した。実験は、BET比表面積の異なる種々のシリカを用いて保護膜6を形成し、膜厚の均一な保護膜6を形成することができるか否かについて評価した。
図5は、シリカのBET比表面積が保護膜6の形成に及ぼす影響を示す表である。図5に示すように、BET比表面積が20m/gのシリカは、懸濁液中において数時間で沈殿するため、本発明に係る蛍光ランプ1に適さなかった。一方、BET比表面積が300m/gのシリカは、非常にコスト高となるとともに、空気抵抗が小さく安全に扱いにくいため、本発明に係る蛍光ランプ1に適さなかった。
BET比表面積が25m/g〜180m/gのシリカは、一般的な分散剤に対する分散性、膜厚の均一性、ガラス加工時の膜の耐久性を評価した結果も良好であり、本発明に係る蛍光ランプ1に適していることがわかった。
また、BET比表面積が25m/g〜180m/gのシリカは、分散剤に安定に分散させることができるため、スラリーのシリカ濃度の調整が容易で、膜厚が1〜5μmになるように塗布することができた。また、分散剤として使用するポリエチレンオキサイドの添加量を調整することにより、保護膜6に緻密性や耐熱加工性を付与することができた。
なお、分散剤としては、ポリエチレンオキサイドのほかに、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど水溶性の高分子なども一般に使用できる。また、分散剤の溶媒をブタノールや酢酸ブチルにした場合や、アンモニアや酢酸を添加してpHを調整した場合にも、保護膜6の水銀消費を抑える効果が高いことがわかった。また、上記以外に、酸、塩およびアルカリなどによるpHの変化、その他無機酸化物などの混合効果によっても、本発明に係る保護膜6を形成することが可能である。
(8)蛍光ランプの変形例
1.屈曲したガラスバルブを備えた蛍光ランプ
本発明に係る蛍光ランプは、環形蛍光ランプ1に限定されず、例えば、ツイン形蛍光ランプや二重環形蛍光ランプなど、屈曲したガラスバルブを備えた蛍光ランプであってもよい。なお、本発明において、屈曲したガラスバルブとは、曲げ加工または接続加工により成形されたガラスバルブであって、非直線状のガラスバルブをいう。
図6は、本発明の変形例に係るツイン形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。図6に示すツイン形蛍光ランプ10(消費電力36W)は、2本のガラス直管11の一端部同士をブリッジ12で接続してなる略U字形の放電路を有するガラスバルブ13を備えている。
ガラスバルブ13の両端部には、それぞれ電極14が配置されているとともに、それら両端部をまたいで覆うようにして口金15が取り付けられている。また、ガラスバルブ13は、各ガラス直管11の内径が18mm、放電路長が780mmである。
ガラスバルブ13の内面には、保護膜16および蛍光体層17が順次積層されている。また、ガラスバルブ13の内部には、図示しないスズ水銀と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。
図7は、本発明の変形例に係る二重環形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。図7に示す二重環形蛍光ランプ20(消費電力100W)は、大小径の異なる一組の環状ガラス管21、22の一端部同士をブリッジ23で接続してなる二重環形のガラスバルブ24を備えている。ガラスバルブ24は、各ガラス管21、22の内径が17mm、放電路長が2200mmである。
各ガラス管21、22のブリッジ接続されていない側の端部には、それぞれ図示しない電極が配置されているとともに、電極が配置されている側の一対の端部およびブリッジ接続されている側の一対の端部をまたいで覆うようにして口金25が取り付けられている。
ガラスバルブ23の内面には、保護膜26および蛍光体層27が順次積層されている。また、ガラスバルブ23の内部には、図示しないスズ水銀と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。
前記ツイン形蛍光ランプ10および二重環形蛍光ランプ20について、保護膜16、26の膜厚と水銀封入量とがランプ寿命に及ぼす影響を検討するために、上記本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様に寿命試験を行ったところ、前記環形蛍光ランプ1と同様の結果が得られた。
2.直管形蛍光ランプ
本発明に係る蛍光ランプは、屈曲したガラスバルブを備えた蛍光ランプに限定されず、例えば、図8に示すような直管形蛍光ランプであってもよい。図8に示す直管形蛍光ランプ30は、ラピッドスタート形蛍光ランプ(消費電力40W)であって、定格寿命が12000時間、ランプ長が1200mmである。
ガラスバルブ31は、管内径が28.0mmであって、その両端部にはそれぞれ図示しない電極が配置されているとともに、それら両端部を覆うようにして口金32が取り付けられている。ガラスバルブ31の内面には、ネサ膜33、保護膜34および蛍光体層35が順次積層されている。また、ガラスバルブ31の内部には、図示しないスズ水銀と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。
一般に、直管形蛍光ランプ30の場合は、ガラスバルブ31を曲げ加工しないためガラスにかかる熱負荷が小さく、ガラスからアルカリ金属の溶出は少ない。したがって、屈曲ガラスバルブを備えた蛍光ランプと比べて水銀消費量が少なく、少ない水銀封入量で定格寿命を維持することができる。
直管形蛍光ランプ30について、保護膜34の膜厚と水銀封入量とがランプ寿命に及ぼす影響について検討するために、上記本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様に寿命試験を行った。その結果を図9に示す。図9のグラフにおいて、「○」は、10本全ての蛍光ランプ30が定格寿命である6000時間を超えて点灯したことを示し、「×」は、6000時間を超えない蛍光ランプ30があったことを示す。
直管形蛍光ランプ30は、水銀封入量を2.2mgにしても、保護膜34の膜厚が0.5μm以上であれば定格寿命を維持していた。しかし、水銀封入量を1.1mgにすると、保護膜34の膜厚が3.0μm以上でなければ定格寿命を維持できなかった。図9のグラフにおいて、曲線Bは、直管形蛍光ランプ30が定格寿命以上点灯すると推測される範囲の下限を示している。
したがって、本発明に係る蛍光ランプを得るためには、保護膜34の膜厚および封入水銀量を曲線Bを含む前記曲線Bから上側の範囲にすることが好ましい。また、グラフ中に破線で囲んだ範囲、すなわち保護膜34の膜厚が0.5〜5.0μmの範囲、かつ、水銀封入量が2.2〜8.8μg/cmの範囲にすることがより好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が少ないにも拘わらず定格寿命を維持した蛍光ランプ30を得ることができる。さらには、水銀封入量が4.4μg/cm以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が従来の蛍光ランプの半分以下となるため、水銀封入量の削減効果が大きいといえる。
従来、ラピッドスタート形蛍光ランプ30では、点灯時間の経過にともない水銀の付着による黒点の発生が著しく、蛍光ランプ30の外観を損なうという問題が生じていた。しかし、本発明の構成を適用すれば、前記黒点の発生を低減し、外観低下の防止や光束維持率の改善を図ることができる。
3.管内径の小さい蛍光ランプ
一般に、蛍光ランプは、ランプ負荷が高い場合や点灯中の温度が高い場合に、消費水銀量が多くなる傾向にある。したがって、ガラスバルブの管内径が小さい蛍光ランプは、水銀がガラスに吸着し易いため、管内径の大きい蛍光ランプよりも水銀消費量が多い。そこで、ガラスバルブの管内径が小さい蛍光ランプにおける保護膜の膜厚と水銀封入量がランプ寿命に及ぼす影響について検討した。
図10に示す蛍光ランプ40(消費電力27W)は、環状のガラスバルブ41を備えたスリムタイプの環形蛍光ランプであって、前記ガラスバルブ41は、管内径が14.0mm、管軸方向の長さが850mmである。
ガラスバルブ41の両端部には、それぞれ図示しない電極が配置されているとともに、それら両端部をまたいで覆うようにして口金42が取り付けられている。ガラスバルブ41の内面には、保護膜43および蛍光体層44が順次積層されている。また、ガラスバルブ41の内部には、スズ水銀45と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。
前記蛍光ランプ40について、上記本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様の寿命試験を行った。図11は、管内径が17mm未満の蛍光ランプにおける保護膜43の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。図11のグラフにおいて、「○」は、10本全ての蛍光ランプ40が定格寿命である6000時間を超えて点灯したことを示し、「×」は、6000時間を超えない蛍光ランプ40があったことを示す。本発明に係る蛍光ランプを得るために、保護膜43の膜厚および封入水銀量は、曲線Cを含む前記曲線Cから上側の範囲にすることが好ましい。また、グラフ中に斜線で示した範囲、すなわち保護膜43の膜厚が0.8〜5.0μmの範囲、かつ水銀封入量が4.4〜8.8μg/cmの範囲であることがより好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が少ないにも拘わらず定格寿命を維持した蛍光ランプ40を得ることができる。
なお、図6に示すツイン形蛍光ランプ10と同タイプであって、消費電力が32W、ガラスバルブの管内径が15.5mmの図示しないツインHf形蛍光ランプについて、上記本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様の寿命試験を行ったところ、保護膜43の膜厚および水銀封入量は、図10に示す環形蛍光ランプ40と同様の範囲であることが好ましいとわかった。
また、図8に示す直管形蛍光ランプ30と同タイプであって、消費電力が54W、ガラスバルブの管内径が14.0mm、ランプ長が1150mmの図示しない直管形蛍光ランプについても、上記本実施の形態の環形蛍光ランプ1と同様の寿命試験を行った。その結果を図12に示す。図12のグラフにおいて、「○」は、10本全ての蛍光ランプが定格寿命である6000時間を超えて点灯したことを示し、「×」は、6000時間を超えない蛍光ランプ30があったことを示す。本発明に係る蛍光ランプを得るために、保護膜43の膜厚および封入水銀量を曲線Dを含む前記曲線Dから上側の範囲であることが好ましい。また、グラフ中の破線で囲んだ範囲、すなわち保護膜43の膜厚が0.5〜5.0μmの範囲、かつ水銀封入量が2.2〜8.8μg/cmの範囲であることが好ましい。この範囲であれば、水銀封入量が少ないにも拘わらず定格寿命を維持した蛍光ランプを得ることができる。
4.無電極
本発明に係る蛍光ランプは、励起コイルから誘導磁界を発生させランプ内に電力投入する無電極蛍光ランプであってもよい。図13に示す無電極蛍光ランプ50(消費電力20W)は、凹部51を有するガラスバルブ52と、前記凹部51内に配置され前記ガラスバルブ52内に誘導磁界を発生させる励起コイル53と、前記励起コイル53に高周波の交流電流を流すための回路部54と、この回路部54に給電するための口金55とを備える。
ガラスバルブ52の内面には、金属酸化物粒子からなる保護膜55および蛍光体層56が順次積層されている。また、ガラスバルブ52の内部には、図示しない亜鉛スズ水銀と、希ガスとしてのアルゴンガスとが封入されている。なお、保護膜55は、必ずしも金属酸化物粒子からなる必要はない。
無電極蛍光ランプ50は、電極エミッターの消耗がなく、半永久的に使用することのできる環境への負荷の低い蛍光ランプである。しかしながら、内部に水銀蒸気を含み、前記水銀が消費されることにより点灯しなくなるため、長寿命化を実現するためには通常の蛍光ランプと同様に水銀消費量が少ないことが望まれる。本発明の構成は、それに十分応えることができるものである。
(9)その他の変形例
1.保護膜について
本発明に係る保護膜は、金属酸化物の粒子で形成されているが、前記金属酸化物のうち50wt%以上がシリカであれば、残りの金属酸化物は、シリカ以外の金属酸化物であってもよい。シリカ以外の金属酸化物としては、イットリア、チタニア、アルミナ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、ジルコニア、酸化亜鉛などが安価で入手し易いため好ましい。また、高価ではあるが、マンガン、ユーロピウム、バナジウム、リン、硫黄、ホウ素、アンチモン、テルビウム、ガリウム、鉄、銀、銅、鉛、亜鉛、カドミウム、ガドリニウム、ランタン、ストロンチウム、タングステン、タリウムなどから選ばれる元素を含んだ金属酸化物(単一金属酸化物のみならず複合金属酸化物をも含む)も、発光輝度を向上する効果があるため好ましい。
なお、シリカ50%以上であれば、上記材料を添加したとしても、膜のかさ密度、膜厚の制限に大きな影響はなく、消費水銀量を低減する効果を十分に発揮することができる。
また、本発明に係る保護膜は、スラリー溶媒は、酢酸ブチル、キシレン、メタノール、エタノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ジオキサン、ヘキサンなど石油系の溶媒を使用して形成してもよい。近年、有機溶媒の使用が制限されるようになり、水を使用した環境にやさしい塗布媒体を使用することが好まれる。そのため、水に水溶性分散剤(ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなど)混合したものが最も好適である。
さらに、保護膜は、エタン、メタン、二酸化炭素、窒素、一酸化炭素および酸素などの加圧液体を分散媒としてシリカなどを分散させ、前記シリカなどをノズルから急激に射出させて、ガラスバルブの内面に保護膜を形成する方法で形成してもよい。この方法で形成された保護膜は、かさ密度が低く均一に塗布されているため水銀消費を抑える効果が高い。また、その後の曲げ加工による膨張収縮に対しても耐久性が高いため、保護膜を厚く形成することができる。
2.蛍光体について
本発明に係る蛍光体層には、一般的な蛍光体を使用することができるが、微粒子化あるいは球状化された蛍光体を使用してもよい。この場合、蛍光体層のかさ密度が比較的大きくなるため、蛍光体層の剥離などをより防止することができる。また、近年注目されている数百ナノ〜数ナノの粒径を有するいわゆるナノ粒子蛍光体と呼ばれる微粒子蛍光体を使用することも好ましい。この場合、本発明に係る保護膜の上に前記蛍光体を塗布すると、前記蛍光体が保護膜材料と混合されて発光効率を高く保つため、蛍光体層を剥離などの問題なく塗布することが可能である。
また、本発明に係る蛍光体には、蛍光体層が剥離しないよう結着剤を混合することが好ましい。結着剤を増加することにより蛍光体層の脱落を防ぐことができる。なお、結着剤としては、上記本実施の形態で使用した結着剤以外に、アルミナ、イットリア、シリカなど無機酸化物を使用することができる。
3.ガラスについて
本発明に係るガラスは、加工性の良いソーダライムガラスが望ましいが、ホウケイ酸ガラスやアルミナガラスなどを用いてもよい。この場合、加工性は低下するが、ホウケイ酸ガラスやアルミナガラスは、アルカリ成分が少ないため水銀削減効果は高まる。
また、ソーダライムガラスを使用する場合は、洗浄によって、バルブ内面のソーダを除去することにより水銀消費量をさらに少なくすることができるため、酸洗浄、蒸気洗浄などを行うことが好ましい。
4.水銀について
本発明に係る蛍光ランプにおいて水銀を封入する方法としては、ドロッパーによって水銀を滴下する方法、亜鉛やスズとのアマルガム形態にして封入する方法、ディスペンサーによって鉄亜鉛銅水銀合金やチタン水銀を封入する方法、水銀を封入したガラスなどのカプセルを封入する方法などが考えられる。また、水銀の蒸気圧を高温域(50〜80℃)で低く保つことができるビスマス、インジウム、鉛、スズ混合アマルガムも、水銀低封入を実現する手段と考えられる。
蛍光ランプに封入する水銀の量が少なくなると、極微量の水銀をばらつきなく封入する必要があるが、前記水銀をアマルガム形態で封入する方法は、封入量の調整が容易である。また、カプセルを封入する方法は、カプセルの有無を見分けることが容易なことから、水銀未封入品が市場に流出することを防止することができる。
本発明に係る蛍光ランプは、水銀を使用する水銀放電ランプに利用することができる。特に、屈曲したガラスバルブを備えた蛍光ランプに適している。
本発明の一実施形態に係る環形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。 環形蛍光ランプにおける保護膜の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。 保護膜の膜厚がランプ特性に与える影響を示す表である。 シリカの含有量がランプの特性に与える影響を示す表である。 シリカのBET比表面積がランプ特性に与える影響を示す表である。 本発明の変形例に係るツイン形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。 本発明の変形例に係る二重環形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。 本発明の変形例に係る直管形蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。 直管形蛍光ランプにおける保護膜の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。 スリムタイプの環形蛍光ランプを示す一部破断平面図および破断部分の一部を模式的に示す拡大図である。 管内径が17mm未満の環形蛍光ランプにおける保護膜の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。 管内径が17mm未満の直管形蛍光ランプにおける保護膜の膜厚と封入水銀量とがランプ寿命に与える影響を示すグラフである。 本発明の変形例に係る無電極蛍光ランプを示す一部破断平面図と、断面の一部を模式的に示す拡大図である。
符号の説明
1、10、20、30、40、50 蛍光ランプ
2、45 スズ水銀
3、13、24、31、41、52 ガラスバルブ
4、14、53 電極
5、15、25,32、42、55 口金
6、16、26、34、43、55 保護膜
7、17、27、35、44、56 蛍光体層

Claims (8)

  1. 内部に水銀および希ガスが封入され、かつ、電極が取り付けられたガラスバルブの内面に金属酸化物粒子からなる保護膜と蛍光体層とが順次積層されており、前記保護膜は、少なくとも50wt%のシリカを含有するとともに、前記保護膜の膜厚は、0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されていることを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 前記ガラスバルブは、屈曲したガラスバルブであり、前記保護膜は、膜厚が0.8μm以上であることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
  3. 前記ガラスバルブは、管内径が17mm未満であって、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に4.4μg/cm以上封入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ランプ。
  4. 前記保護膜は、イットリアを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蛍光ランプ。
  5. 前記シリカは、BET比表面積が25〜180m/gの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光ランプ。
  6. 内部に水銀および希ガスが封入され、内面に保護膜と蛍光体層とが順次積層された発光管と、誘導磁界を発生させる外部電極とを備え、前記保護膜は、少なくとも50wt%のシリカを含有するとともに、前記保護膜の膜厚は、0.5〜5.0μmの範囲にあり、かつ、前記水銀は、前記ガラスバルブ内に2.2〜8.8μg/cmの範囲で封入されていることを特徴とする蛍光ランプ。
  7. 前記保護膜は、イットリアを含有することを特徴とする請求項6記載の蛍光ランプ。
  8. 前記シリカは、BET比表面積が25〜180m/gの範囲であることを特徴とする請求項6または7に記載の蛍光ランプ。
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