JP2006048469A - 車輪用軸受の品質管理方法 - Google Patents

車輪用軸受の品質管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車輪用軸受を車両から取り外すことなく、その情報を容易に確認することができ、定期点検やその他の点検時等に、迅速かつ適切に対処できる品質管理方法を提供する。また、トレーサビリティの程度を高め、鍛造・旋削工程、熱処理工程、研削工程等の加工条件情報の確認が、出荷後あるいは客先納入後においても容易に行えるようにする。
【解決手段】車輪用軸受1につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグ9を用い、所定情報を記録して管理する。車輪用軸受1にICタグ9を取付ける過程と、そのICタグ9に情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、ICタグ9の記録情報を読み取って行う利用過程とを含む。ICタグ9は、車輪用軸受1を構成する内外輪やハブ輪等の要素品、またはセンサ関連部品等のいずれかに対して取付け、識別番号、製造年、製造場所の情報等を記録する。また、要素品についての製造に関する情報を記録する。
【選択図】図15

Description

この発明は、自動車等の車両に用いられる車輪用軸受の品質を、ICタグを用いて管理し、トレーサビリティや、定期点検への対応の容易化を可能とした車輪用軸受の品質管理方法に関する。
自動車において、同じ車種であっても、車輪用軸受等の軸受につき、どの工場でいつ製造されたものを用いているか、あるいは軸受の製造番号などは管理されていない。
また、近年、トレーサビリティの要求、つまり考慮の対象となっているものの履歴、適用または所在の追跡ができることの要求が高くなってきている。軸受等の機械要素商品の品質管理では、材料購入から製造完了までの各製造工程(材料購入、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等)の品質,ロット等の製造履歴が、各機械要素商品と1対1、またはロット単位で分かるようにすることが望まれる。
自動車において、一般品の場合は、ロット管理となり、ロット単位で抜き取り検査等が行われるため、ロット単位で製造履歴が求められる。製造履歴がわかることで、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断も容易となる。また類似品の混入判別等も容易となる。特殊品では、個別に検査がなされており、1対1に対応して製造履歴がわかるようにすることが求められる。
このような製造履歴を明確にする品質管理方法として、従来は、工程毎に発生した情報を、伝票に記入したり、データベースの端末への入力を行う等して対処している。
一方、物流管理や在庫管理で、ICタグが用いられつつあり、自動車等の物品の製造においてもICタグを用いた製造から廃棄までの管理が提案されている(例えば特許文献(1) 。ICタグは、非接触で情報の記録および読取りが可能であり、また記憶容量が大きいことから、高度の管理が期待されている。
特開2002−169858号公報
車輪用軸受において、定期点検やその他の必要時に点検を行う時に、軸受の製造番号等の識別情報が判れば判別できる。また、車輪用軸受に刻印等に表示されている製造番号、あるいは製造年や製造場所の情報からも判別できる。
しかし、車輪用軸受に刻印等で付された製造番号や製造年や製造場所等の表示は、軸受を軸受ハウジングとなる部材から分解して見ないとわからない。そのため、分解および再組立の作業に手間がかかる。一般的には、車輪用軸受を取り外して製造番号等の情報を確認しなくてはならず、多大な手間と費用がかかっている。
また、従来のICタグを用いた品質管理方法の提案例では、機械要素商品に取付けられたICタグに機械要素商品に関する各種の情報を直接に記録し、またはICタグには識別情報を記録しておいて、データベースと照合することで、機械要素商品の材質やロット管理情報、各種履歴データ等がわかるようにされている。しかし、機械要素商品に関する上記の情報だけでは、機械要素商品に生じた技術的現象が解明できない場合がある。例えば、各工程の加工条件の違い等によっても、品質に差が生じることがあり、このような加工条件の違いによる差は、検査結果からでは認識することができないことがある。
車輪用軸受は、複数の要素品で構成されており、組立後の車輪用軸受自体の検査結果等が分かっても、個々の要素品の品質の違いによる不具合までは特定できない。転動体を有する機械要素商品である車輪用軸受では、わずかな材質や精度の違いが車輪用軸受として大きな性能の差となるため、従来のICタグを用いた品質管理方法の提案例では対応が難しい。
また、工程管理においても、従来の工程毎に伝票記入や端末入力を行う管理方法では、記入や入力に手間がかかるため、多数の情報をきめ細かく記録することが難しい。特に、車輪用軸受のように複数の要素品を組み立てたものであって、各要素品が材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程を経て、工程毎にロット生産されるものでは、各要素品の製造工程における管理が煩雑であり、情報の手書きによる記録や入力操作に手間がかかる。そのため、車輪用軸受の詳細な履歴情報の要求に十分に応じることが難しく、また管理にコストがかかる。
そのため、ICタグの適用を考えたが、車輪用軸受では、自動車自体のような管理を適用することができない。特許文献1の提案例では、管理対象となる物品である自動車にICタグを取付け、各工程の情報を記録している。ICタグはフレーム等に取付ける。しかし、転がり軸受である車輪用軸受では、自動車におけるフレーム等のように完成した基準となる要素品がなく、製造過程では各要素品が鍛造や熱処理等を経て製造されるため、車輪用軸受にICタグを取付けることが難しい。また、転がり軸受である車輪用軸受では、内輪、外輪、転動体、あるいはハブ輪等のそれぞれが、材料購入、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等を経て管理されるため、ICタグを品質管理に適用しようとした場合に、具体的にどのように用いるかが問題であり、効率的なICタグの適用が難しい。
この発明の目的は、軸受を分解することなく簡単にかつ即座に製造履歴が分かり、定期点検等に対して迅速かつ適切に対処できる車輪用軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明の他の目的は、個々の要素品についての製造情報を製造過程でICタグに記録可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、出荷時のICタグへの記録が効率良く行えるようにすることである。
この発明の他の目的は、トレーサビリティの程度を高め、鍛造・旋削工程、熱処理工程、研削工程等の加工条件情報を、出荷後あるいは客先納入後においても容易に確認することのできる車輪用軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明の他の目的は、個別に検査される車輪用軸受であって、鍛造・旋削工程や熱処理工程等を経てそれぞれが製造される複数の要素品を組み立てなる車輪用軸受につき、各要素品の材料購入から車輪用軸受の完成後の検査内容まで、詳細な履歴情報を、車輪用軸受と1対1の関係で容易に管理することのできる車輪用軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、ロット別に検査される車輪用軸受であって、鍛造・旋削工程や熱処理工程等を経てそれぞれが製造される複数の要素品を組み立てなる車輪用軸受につき、各要素品の材料購入から機械要素商品の完成後の検査内容まで、詳細な履歴情報を、車輪用軸受の製造ロット別に容易に管理することのできる車輪用軸受の品質管理方法を提供することである。
この発明の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法であって、車輪用軸受にICタグを取付ける過程と、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む。
この発明方法において、上記利用過程のICタグの読み取りは、車輪用軸受が自動車に組付けられた状態のままで、タグリーダを用いて行い、このタグリーダに一体化された
情報処理手段または上記タグリーダに有線または無線で接続された情報処理手段により、所定の点検対象の軸受であるか否かの判定を行う処理を含むようにしても良い。
この方法によると、車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録しておくため、出荷後の任意時に、車輪用軸受にタグリーダを近づけることで、ICタグの記録情報を読み取り、所定情報の確認が行える。タグリーダに点検対象軸受の範囲等の情報を持っておけば、読み取り情報から、軸受の情報入手も行える。そのため、車輪用軸受を自動車から分解することなく、例えばサービスマンが客先に伺ったり、ガソリンスタンド等で給油の合間等に軸受の情報を得て、その場で所定情報の確認が可能である。
この発明の車輪用軸受の品質管理方法は、次の第1ないし第5の車輪用軸受の品質管理方法を含む。
この発明における第1の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法であって、
車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
この車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての製造工程における情報を記録する過程と、
出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む。
第1の車輪用軸受の品質管理方法において、前記複数の要素品のうち、鍛造品における非機械加工仕上面に、その面の加工完了後に前記ICタグを取付け、このICタグに、前記鍛造品における鍛造後の各製造工程の製造情報を、各製造工程で記録するようにしても良い。
車輪用軸受では、ハブ輪や内輪、あるいは外輪となる部材は一般に鍛造で製造される。この鍛造品は、形状や寸方精度の要求される箇所は旋削され、転走面ではさらに研削,研磨等が施されるが、鍛造状態のままで、あるいはショットブラスト等を施して、旋削等の機械加工を施さずに残される面もある。このような鍛造仕上げとなる面をICタグの取付に利用し、鍛造完了後に取付けておくことにより、後の各工程の情報を、その工程毎にICタグに書き込むことが可能になる。そのため、加工情報や検査結果等の製造情報のICタグへの書き込みが効率的に行える。
例えば、前記鍛造後の各製造工程として、熱処理工程、旋削工程、および研削工程を含むことが一般的であり、これらの各工程の製造情報を工程毎に、前記鍛造品に取付けられたICタグに記録しても良い。
この発明方法において、複数の要素品に前記ICタグを取付け、各ICタグの取付けられた要素品毎の製造情報を、前記各ICタグにそれぞれ記録しても良い。この要素品は、複数の構成体からなるセンサ等のサブアセンブリであっても良い。
要素品毎の製造情報が分かれば、定期検査や他の必要時の検査において、より詳細な検証が行える。要素品毎の情報を後に知ることは、今までの管理方法では難しいが、要素品毎にICタグを取付けることで可能になる。前記のようにICタグを鍛造品における非機械加工仕上面に取付けるようにした場合は、要素品毎にICタグを取付けてその要素品毎の製造情報を記録することが容易に行える。
車輪用軸受が、この車輪用軸受についての検出対象を検出するセンサを有するものである場合は、このセンサの検査時に、センサ関連部品に車輪用軸受についての情報を記録しても良い。上記センサは、例えば、アンチロッチブーキシステムの制御等のために設けられる回転センサ等である。
車輪用軸受において、回転センサ等のセンサを設けた場合、そのセンサは、一般的に出荷時に全数検査される。そのため、その検査時に出荷時の初期性能等の情報をICタグに記録することができる。記録した情報は、調査等の必要なときに、いつでも読み出すことができる。
この発明における第2の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受につき、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いる車輪用軸受の品質管理方法であって、
車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
上記ICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての製造工程における情報を記録する過程と、
出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、前記製造工程における情報の確認を行う情報読取り利用過程とを含む。
この発明における第3の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受につき、所定の製造情報を記憶し、その記憶内容を抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いた車輪用軸受の品質管理方法であって、
車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従いその車輪用軸受についての所定の出荷情報を書き込む過程と、
出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、車輪用軸受についての情報を確認する過程とを含む。
上記第1の車輪用軸受の品質管理方法は、より具体的には、車輪用軸受にICタグを取付け、このICタグの記録情報だけから品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む方法としても良い。
この品質管理方法は、車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記録して車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
この車輪用軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに、その車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、
上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、上記加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認を行う情報読取り利用過程とを含む。
この方法によると、上記出荷後の任意時の情報読取り利用過程で、鍛造・旋削工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報または材料情報を確認することができる。加工条件情報等まで確認できるため、厳しい品質,精度が求められる車輪用軸受においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。この方法の場合、別のデータベースを用いることなく、ICタグのみで情報を管理することができるため、加工条件情報等を確認する施設において、データベースへの通信設備やアクセス権限等の有無にかかわらずに加工条件情報等の読み取りが行える。
上記第2の車輪用軸受の品質管理方法は、より具体的には、車輪用軸受に取付けられたICタグとデータベースとを用いて品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む。
この品質この管理方法は、車輪用軸受につき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、
上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認のいずれかを行う情報読取り利用過程とを含む。
この管理方法においても、出荷後の任意時の情報読取り利用過程で、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報または材料情報を確認することができる。そのため、転動体を有し複数の要素品からなる車輪用軸受のように厳しい品質,精度が求められる車輪用軸受においても、不具合が生じた場合の原因解明等を容易に行うことができる。また、車輪用軸受に取付けられたICタグには、識別情報を記録し、データベースに上記識別情報と対応して各種の情報を記録するため、限りあるICタグの記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベースから引き出すことができる。またICタグの残りの記憶容量を、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理等に利用することができる。
上記第3の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受に取付けられたICタグとデ
ータベースとを用いて品質管理に関するトレーサビリティを可能にした方法であって、次の過程を含む。
この品質管理方法は、車輪用軸受につき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を書き込み、かつその車輪用軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録する過程と、
上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認のいずれかを行う情報読取り利用過程とを含む。
この方法の場合、上記出荷後の任意時における情報読取り利用過程で、ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報をキーとして上記データベースと照合してその照合により得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件の確認、および検査成績の確認のいずれかを行うことができる。また、ICタグに記録された製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のいずれかが確認できる。これら製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項等は、各種の場面において即座に知りたいことが多く、データベースと照合することなく、ICタグから直接に読み取れることが、設備面や手間の面で便利である。グリースには、高温用や低温用等、用途に応じた各種のものがあり、外見からでは分かり難いため、ICタグから読み採れると便利である。また、グリースは、経時的に品質が劣化するため、製造年月日と共に封入グリース銘柄が分かると、客先納入時等に、そのまま使用できるか、グリース交換が必要であるか等の確認が容易に行え、誤って古いグリースの封入部品を客先へ納める懸念が解消できる。上記要素品間隙間は、転がり軸受におけるラジアル隙間等でなる。
この発明において、上記第1ないし第3のいずれの車輪用軸受の品質管理方法においても、次の過程を含めても良い。すなわち、上記車輪用軸受の上記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用のICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記車輪用軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含み、上記製造過程用のICタグに記録する製造情報として、前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を含む方法とする。
このように、要素品毎の製造過程で、その製造過程用のICタグに、材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程に至る製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用のICタグに各工程毎に記録するようにすると、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からデータベースに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所がICタグであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をデータベースに記録するものと異なり、これらの記録情報をICタグで持っておくため、データベースの負担が軽く、管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。上記要素品のロット番号別に準備されるICタグは、工程毎にロット区分が変わる場合は、その変わる各ロット毎に準備する。
要素品の製造時における製造情報の記録は、データベースに行うようにしても良い。すなわち、この発明において、上記第1ないし第3のいずれの車輪用軸受の品質管理方法においても、上記車輪用軸受の上記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記車輪用軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含むようにしても良い。
要素品の製造過程における製造情報の管理にロット番号別に準備された製造過程用のICタグを用いる管理方法としては、次の第4,第5の各方法が採用できる。
この発明における第4の車輪用軸受の品質管理方法は、個別に検査される車輪用軸受の品質管理方法である。この車輪用軸受の品質管理方法は、材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程である鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられる車輪用軸受の品質管理方法であって、上記各要素品について、次の各過程(1) 〜(4) を含み、各要素品を組み立てた車輪用軸受について、後述の過程を採る。
(1) .各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備されたICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程。
(2) .上記鍛造・旋削工程で、上記材料ロット別のICタグまたはこの材料ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを鍛造・旋削ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する鍛造・旋削ロットについての鍛造・旋削ロット番号および鍛造・旋削工程で得られる情報を記録する過程。
(3) .上記熱処理工程で、鍛造・旋削ロット別のICタグまたはこの鍛造・旋削ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを熱処理ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程。
(4) .上記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別のICタグまたはこの熱処理ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを、要素品毎または検査の単位となる同種類の要素品の組毎に準備し、これらICタグに、対応する研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程。
上記各要素品を組み立てた各車輪用軸受には、組立前から組立後に至る間にICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、個別の車輪用軸受特有の製造番号、および上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録する。データベースには上記製造番号と対応して、上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する。
なお、上記材料購入、鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程は、材料購入から要素品の完成までを、大別した各区分のことであり、上記各工程が複数の工程からなる場合や、さらに工程名称に該当しない工程を含むものであっても良い。例えば、鍛造後に旋削し、熱処理を行うような場合、旋削工程は上記鍛造工程に含むものとする。また、上記(2) 〜(4) の鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造・工程、熱処理工程、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。また、上記(2) 〜(4) の鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造・旋削工程、熱処理工程
、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。
この品質管理方法によると、各要素品の材料購入から車輪用軸受の完成後の検査内容までの履歴情報が、データベースに記憶され、車輪用軸受に取付けられたICタグには製造番号が記録されているため、製造番号をデータベースと照合することで、上記履歴情報を車輪用軸受と1対1の関係管理することができる。各要素品の工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程のロット別に準備したICタグにロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。
したがって、将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断も容易となる。上記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備したICタグに記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所がICタグであるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンピュータに記録するものと異なり、これらの記録情報をICタグで持っておくため、コンピュータの負担が軽く、管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。また、車輪用軸受の製造番号は、車輪用軸受に取付けらたICタグに記録するので、このICタグを、製造後の各種の用途、例えば出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等に用いることができる。
この発明における第5の車輪用軸受の品質管理方法は、ロット別に検査される車輪用軸受の品質管理方法である。この車輪用軸受の品質管理方法は、材料購入から鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、上記各要素品について、次の各過程(1) 〜(3) ,(4) ′を含み、各要素品を組み立てた車輪用軸受について、後述の過程を
採る。上記(1) 〜(3) の過程は、上記第4の車輪用軸受の品質管理方法と同じであるが、再度示す。
(1) .これら各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備されたICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程。
(2) .上記鍛造・旋削工程で、上記材料ロット別のICタグまたはこの材料ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを鍛造・旋削ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する鍛造・旋削ロットについての鍛造・旋削ロット番号および鍛造・旋削工程で得られる情報を記録する過程。
(3) .上記熱処理工程で、鍛造・旋削ロット別のICタグまたはこの鍛造ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを熱処理ロット別に準備し、これらICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程。
(4) ′.上記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別のICタグまたはこの熱処理ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを研削ロット別に準備し、これらICタグに、対応する研削ロットについての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程。
上記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前から組立後に至る間にICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、製造ロット番号、および上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベースに上記製造ロット番号と対応して、上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する。
なお、上記(2) ′〜(4) ′の鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程の各工程で得られる情報を記録する過程では、これら鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程の加工条件情報を含めて記録しても良い。
この品質管理方法の場合、車輪用軸受の製造ロット別の管理となり、1対1の管理とはならないが、その他の事項については、上記第1の車輪用軸受の品質管理方法で説明した各作用,効果が得られる。データベースに対する照合は、車輪用軸受に取付けられたICタグから得られるロット番号で行う。
この発明において、上記材料ロット別に準備されるICタグ、鍛造ロット別に準備されるICタグ、および熱処理工程別に準備されるICタグは、同じ材料ロットの材料を複数入れた容器類、同じ鍛造ロットの要素品を複数入れた容器類、および同じ熱処理ロットの要素品を入れた容器類にそれぞれ取付けても良い。
ICタグの容器類への取付は、直接に行っても良く、また容器に取付けられて視覚的に認識させるためのタグに取付けても良い。ICタグの容器類への取付は着脱自在な取付であっても良い。
ICタグを容器類に取付けておくことで、ロット毎に準備されるICタグを、常に要素品と共に移動させることができ、ICタグの取扱が容易である。また、要素品の搬送経路でICタグへの情報の記録を行うことができる。
この発明において、上記車輪用軸受が、材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品とは別の要素品を含むものであって、この別要素品についての情報は、車輪用軸受の組み立て後に上記データベースに製造番号またはロット番号に対応せて記録するようにしてもよい。これにより、別要素品についての情報も、車輪用軸受の完成後に知ることができる。
車輪用軸受の場合、上記材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品は、外輪、内輪、および転動体であるか、または外輪、内輪、ハブ輪、および転動体である。これらの工程を経ない別要素品としては、保持器、シール等がある。センサ付きとする場合は、センサおよびセンサ関連部品も別要素品となる。
上記車輪用軸受は組み立て時にグリースが封入されるものであっても良く、その場合、上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受の組み立て年月日を記録することが好ましい。
グリースは、経時的に劣化するため、組み立て年月日が分かれば管理が容易になる。
この発明において、上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受の出荷から客先納入までの所在等の情報を記録しても良い。これにより、出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等が容易になる。
この発明の車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法であって、車輪用軸受にICタグを取付ける過程と、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う利用過程とを含む方法であるため、軸受を分解することなく簡単にかつ即座に製造履歴が分かり、定期点検等に対して迅速かつ適切に対処することができる。
この発明の管理対象となる車輪用軸受について説明する。図1は車輪用軸受の一例を示す。この車輪用軸受1は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪の支持用とした例である。なおこの明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と言い、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と言う。図1では、左側がアウトボード側、右側がインボード側である。
この車輪用軸受1は、内周に複列の転走面35を有する外輪31と、上記転走面35に対向する転走面36を有する内方部材32と、これら外内の部材31,32の対向する転走面間35,36に介在した複列の転動体33とを有する。外輪31と内方部材32間の軸受空間の両端は、シール37,38により密封されている。この車輪用軸受1は複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、上記転走面35,36は断面円弧状であり、各軌道面35,36は接触角が背面合わせとなるように形成されている。転動体33はボールからなり、各列毎に保持器34で保持器されている。
外輪31は、固定側の部材となるものであって、一体の部材からなり、懸架装置のナックル(図示せず)等に固定される。外輪31はナックルへ固定するための車体取付用フランジ31aを外周に有している。外輪31は鍛造品である。
内方部材32は、ハブ輪32Aとこのハブ輪32Aのインボード側端の外周に嵌合した内輪32Bからなり、これらハブ輪32Aおよび内輪32Bに前記各列の転走面36が形成されている。ハブ輪32Aおよび内輪32Bは、いずれも鍛造品である。
ハブ輪32Aは、外輪31よりもアウトボード側部分の外周に車輪取付用のフランジ39を有し、このフランジ39の円周方向複数箇所にボルト圧入孔40が設けられている。各ボルト圧入孔40には、車輪取付ボルト41が圧入される。
ハブ輪32Aのフランジ39よりもアウトボード側には、ブレーキパイロット42およびホイールパイロット43が設けられている。また、ハブ輪32Aは内径孔44を有しており、この内径孔44に等速自在継手の外輪のステム部(図示せず)が挿入されてスプライン嵌合する。上記ステム部の先端の雄ねじ部に螺合したナットの締め付けによって、内方部材32と等速自在継手外輪とが一体に回転可能に結合される。
この車輪用軸受1における内方部材32に、非接触交信型のICタグ9が取付けられている。ICタグ9の取付位置は、ハブ輪32Aのホイールパイロット43よりも内径側のアウトボード側端面32Aaとされている。ただし、この端面32Aaが等速自在継手外輪との結合用のナット(図示せず)の座面となる場合は、その座面となる部分を除く範囲に取付ける。
ICタグ9は、この例では、上記端面32Aaの表面に貼り付けによって取付けられている。なお、ICタグ9は、金属表面に取付可能のものを用いるか、または絶縁材または誘電体等の電波障害防止材(図示せず)を介在させた上に、ICタグ9を取付けるようにしている。
図11,図12と共に、上記ICタグ9につき、具体的に説明する。ICタグ9に対する情報の読み書きは、タグ交信器20により行われる。ICタグ1が読み書きの両方が可能なタイプのものである場合は、タグ交信器20として、ICタグリーダ/ライタが用いられ、ICタグ9が読み出し専用のものである場合は、タグ交信器20として書き込み機能のないタグリーダが用いられる。タグ交信器20は、ICタグ9に対向させるアンテナ21を有している。ICタグ9は、非接触で情報の記録および読取りが可能なもの、または上書き不能なものであり、ICチップ(集積回路のチップ)25と、アンテナ26とで構成される。これらICチップ25とアンテナ26は、例えば樹脂(図示せず)で一体に包囲される。ICタグには種々の形式,形状,大きさのものがあり、短冊状や板状の物の他、例えば1mm未満の大きさの角状や球状の物などがある。また、対象物に直接に印刷等で形成されるICタグもある。記憶容量も種々異なるものがあるが、用途や取付対象となる梱包容器の大きさ,種類等に応じて適宜選択すればよい。
ICタグ9としては、例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Identification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグは、伝送方式として静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良い。例えば電磁誘導形式のもの、またはマイクロ波のものが用いられる。
図12は、ICタグ9の具体的回路例を示す。このICタグ1のICチップ25は、中央処理装置(CPU)27、メモリ28、送受信回路29、および電源回路30を有しており、電源回路30はアンテナ26から電源を得るものとされている。メモリ28は、情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
この構成の車輪用軸受1によると、この軸受装置を構成する要素品にICタグ9を取付けたので、車輪用軸受1のロット番号や製造番号等の識別情報を記録したり、さらにICタグ9に製造履歴情報を記録することも可能になる。製造履歴情報としては、製造場所、製造年月日、加工条件情報、加工後の寸法、その他各種の検査結果等がある。予圧に関する情報をICタグ9に記録しても良い。ICタグには非接触交信型のものを用いるため、適宜のICタグ交信器20を用いることにより、車両に車輪用軸受1を取付けたままで、例えば図13に示すように、ICタグ9の記録情報を読み出すことができる。そのため、定期点検時やその他の必要時に、車輪用軸受について知りたい情報を容易に知ることができる。タグ交信器20に、交信を行うタグリーダ部20aの他に、ICタグ9の読み取り情報の結果を処理する情報処理手段20を設けておけば、製造番号等から、所定の点検対象品であるか否かの判別もその場で行える。また、ICタグ9に大容量のものを用いれば、車輪用軸受1を構成する各要素品の全ての製造履歴をICタグ9に記憶させることもできる。その場合、データベース等の照合することなく、車輪用軸受1についての製造履歴を容易に読み出すことができる。
この車輪用軸受1の例では、ICタグ9の取付位置が、鍛造品であるハブ輪32Aのホイールパイロット43よりも内径側のアウトボード側端面32Aaとされている。この面32Aaは後に旋削加工を施さない面であるため、ハブ輪32Aの鍛造直後にICタグ9を取付けることができる。ただし、鍛造直後にショットブラストを施す場合は、その後にICタグ9を取付ける。これより、鍛造後の各工程、例えば一次旋削、高周波焼入れ、2次旋削、研磨等までの全工程の履歴を、その工程の都度記録して残すことができる。熱処理は、転走面36の表面硬化等のために行われるが、高周波焼入が採用されるため、鍛造直後にICタグ9を取付けても、ICタグ9に熱処理の影響があまり伝わらないようにできる。
また、このアウトボード側端面32Aaは、車輪用軸受1を車両に取付けた状態において、車両の外側を向く面であるため、車輪用軸受1を車両に取付けたままで、ICタグリーダ9等を近づけることで、容易に記憶情報の読み出しが行える。
図2は、車輪用軸受1の他の例を示す。図1の例では、ICタグ9をハブ輪32Aの表面に直接に貼り付けるようにしたが、図2の例では、ハブ輪32Aにタグ取付用凹部45を設け、このタグ取付用凹部45内にICタグ9を設けている。この場合に、電波吸収対策として、タグ取付用凹部45の内面を覆う絶縁部材46を設け、この絶縁部材46に埋め込み状態に前記ICタグ9を取付けることが好ましい。絶縁部材46は、金属とICタグ9とが電気的に干渉を生じないギャップが得られれば良く、例えば樹脂製の部材である。この場合、樹脂モールドによりICタグ9をタグ取付用凹部45内に固定しても良い。また、ICタグ9を絶縁部材46で被覆した後、その被覆付きのICタグ9をタグ取付用凹部45内に取付けても良い。
このようにタグ取付用凹部45の内面を覆う絶縁部材46を設けることで、金属表面における電波の障害等の問題を生じることなく、ICタグ9の読み出しが可能になる。また埋め込み状態に取付けると、他の器物との干渉の問題や脱落の問題が生じ難い。この例におけるその他の構成は、図1に示す第1の例と同様である。
なお、図2(B)のようにタグ取付用凹部45の内面を覆う絶縁部材46を設け、この絶縁部材46に埋め込み状態に前記ICタグ9を取付ける構成、あるいはICタグ9を絶縁部材46で覆ってタグ取付用凹部45内に埋め込む構成は、ハブ輪32Aに取付ける場合に限らず、外輪32Aや、シール37,38の芯金など、金属部品にICタグ9を取付ける場合に一般に適用することができる。
ハブ輪32Aにおいて、ICタグ9を取付ける箇所は、この他に、例えば図3に示すようにフランジ39のインボード側の側面であっても良い。この面は、車輪用軸受1の車両への取付後も周辺に空間が得られ、ICタグ9との交信が行い易い。
図4に示すように、ICタグ9は外輪31に取付けても良い。取付位置は、車体取付用フランジ31aよりもアウトボード側の外周面が好ましい。この外周面部分は、車輪用軸受1の車両への取付後も周辺に空間が得られ、ICタグ9との交信が行い易い。外輪31は一般に鍛造品とされるため、この場合も、鍛造直後にICタグ9を取付けることで、鍛造後の各製造工程の情報を記録することができる。
図4の例では、ICタグ9を外輪31とハブ輪32Aの両方に取付けており、その場合、外輪31およびハブ輪32AのICタグ9に、これら外輪31およびハブ輪32Aの鍛造後の情報を記録しておくことができる。
なお、内輪32Bも鍛造品であり、これにICタグ9を取付けても良い。
図5の例は、ハブ輪32Aのフランジ39のボルト圧入孔40に圧入された車輪取付ボルト41の端面にICタグ9を取付けた例を示す。同図では、車輪取付ボルト41の両端にICタグ9を図示しているが、いずれか片方に取付ける。すなわち、頭部と軸部先端のいずれか一方にICタグ9を取付ける。この場合も、ICタグ9は、表面に設けても埋め込み状態に設けても良い。車輪取付ボルト41の端面も、車輪用軸受1の車両への取付後も周辺に空間が得られ、ICタグ9との交信が行い易い。
ICタグ9にはコンパクトな構成のものがあり、このようなICタグ9を用いることにより、前記ボルト端面や、図1に示すハブ輪32Aのホイールパイロット43よりも内径側部分など、刻印やレーザマーキングが困難な場所にもICタグ9を取付けることができる。
ICタグ9の取付箇所は、上記の他に、図6のように保持器37としても良い。保持器37が合成樹脂製のものであると、金属表面に直接に取付けられないICタグ9であっても、支障なく取付けることができる。
図7ないし図10(A)は、車輪用軸受1において、センサ関連部品にICタグ9を取り付けた各種の例を示す。
この例は回転センサ48を設けた例であるが、回転以外の検出対象、例えば温度や荷重等を検出するセンサ(図示せず)を設ける場合も同様である。
図7の例は、図1の例において、内方部材32にエンコーダ47を取付け、外輪31にセンサキャップ49を介して回転センサ48を取付けたものである。エンコーダ47は、芯金47aと多極磁石47bとでなる磁気エンコーダである。回転センサ48には、ホール素子や磁気抵抗素子等を有するものが用いられる。回転センサ48は、アンチロックブレーキシステムの制御等に使用されるものでる。なお、この例の場合、内輪32Bは、ハブ輪32Aの加締部32Acで固定されているが、車輪用軸受1としてのその他の構成は、図1の例と同様である。
このように回転センサ48等のセンサ類を取付けた車輪用軸受1の場合は、センサ関連部品となる前記エンコーダ47や、前記回転センサ48、これらの取付用部品等にICタグ9を取付けても良い。
例えば、図9の例のように、センサキャップ49にICタグ9を取付けても、また図8の例のように回転センサ48にICタグ9を取付けても良い。この他に、センサ48を図9の様なセンサリング50を介して外輪31に取付ける場合に、センサリング50にICタグを取付けても良い。
回転センサ48等のセンサは、一般的に出荷時に全数が検査される。そのため、その検査時に出荷時の初期性能等の情報をICタグ9に書き込むことができ、書き込み工程を別に設けることが不要で、効率の良い書き込みが行える。従来から型番や製品ロット等の製品情報は製品自体に刻印等で表示されるか、または梱包箱に記載されるが、製品自体や梱包箱に記載できる内容は最少限に限られる。上記のようにセンサ関連部品にICタグ9を取付けることで、出荷時の多量の情報を記録することができ、書き込んだ情報は、調査等の必要なときに、いつでも読み出すことができる。
図10(A),(B)は、シール38にICタグ9を取付けた各例を示す。これらの例は、いずれもシール38が、固定側シール38aとスリンガ38bとでなる組み合わせ型のものとされている。固定側シール38aは図1の例の外輪31に取付けられ、回転側シール38bは内方部材32に取付けられる。また、固定側シール38aは、芯金38aaとゴム等の弾性部材38abとでなる。回転側シール38bは、エンコーダ47の芯金を兼ねており、多極磁石47bが設けられている。
図10(A)の例では、ICタグ9は、固定側シール38aの軸受外向きの端面に取付けるか、または回転側シール38bにおける軸受外側を向く面に取付けられている。同図では各場所に取付けた例を同じ図に示しており、2か所にICタグ9を図示しているが、これら2か所のICタグ9は選択的に設けられる。
図10(B)の例は、固定側シール38aの弾性部材38abに、外輪31の端面へ延びる部分38acを一体に設け、この部分38acにICタグ9を埋め込み状態に設けている。
これら図10(A),(B)の例は、いずれもICタグ9が軸受外向きとなる面に取付けられているため、交信が行い易い。図10(B)の例では、弾性部材38ab内にICタグ9を埋め込み状態に設けているため、金属に直接に設置できないICタグ9でも使用が可能であり、また埋め込み状態のためにICタグ9が保護される。
なお、前記各例は、いずれも第3世代型の車輪用軸受1につき説明したが、この発明の車輪用軸受の品質管理方法は第1〜第4世代型のいずれの世代型の車輪用軸受においても適用することができる。
また、図14に示すような外輪回転タイプの車輪用軸受1Aにも適用できる。同図の車輪用軸受1Aは、外輪31Aと一対の内輪32C,32Cとを有し、これら内外輪32C,1Aの複列の転走面36A,35Aの間に転動体33Aが介在している。各列の転動体33Aは、保持器34Aにより保持されている。また、内外輪32C,1A間の軸受空間の両端はシール37A,38Aにより密封されている。
次にこの発明の第1の実施形態に係る車輪用軸受の品質管理方法を図15と共に説明する。図15は、車輪用軸受1の製造から廃棄までの流れの各段階と、その各段階でのICタグ9を利用した品質管理過程を示す。この車輪用軸受の品質管理方法は、車輪用軸受1にICタグ9を取付け、このICタグ9に車輪用軸受1に関する材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程および検査に至る所定の製造情報を記録し、ICタグ9から読み取った記録情報から、車輪用軸受1の品質管理に関するトレーサビリティを可能にする方法である。上記鍛造過程は、鍛造の後に旋削を含む過程であっても良く、鍛造せずに素材から旋削を行う過程であっても良い。
この車輪用軸受の品質管理方法は、次のICタグ取付過程R1、製造情報の記録過程R2、および記録情報の読取り利用過程R3を含む。
(ICタグ取付過程R1)
この過程では、車輪用軸受1の製造時または製造完了時にICタグ9を車輪用軸受1に取付ける。この場合に、車輪用軸受1を構成する要素品2の一つにICタグ9を取付けてから、車輪用軸受1を組み立てても良く、また車輪用軸受1の組立が完了してから車輪用軸受1にICタグ9を取付けても良い。上記要素品2は、例えば図1の例の外輪31,ハブ輪32A,内輪32B,転動体33等のことであり、これらを特に区別する必要のない場合は、要素品2と総称する。
(製造情報の記録過程R2)
この過程では、この車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に、出荷時または客先納入時までに、その車輪用軸受1についての材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を記録する。この記録する製造情報には、鍛造工程、熱処理工程、研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含ませる。上記車輪用軸受1についての材料購入、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程は、車輪用軸受1の各要素品2についての材料購入、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程のことである。加工条件情報は、例えば鍛造工程ではプレス圧やサイクルタイム等であり、熱処理工程では熱処理温度、熱処理時間、熱処理方法等であり、研削工程では砥石回転速度や切り込み速度、送り速度等である。上記製造情報として、加工条件の他に、その車輪用軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録することが好ましい。また各種検査結果も記録することが好ましい。各種検査結果には各要素品2毎の検査結果と、完成品としての検査結果とが含まれる。また、これらの製造情報の他に、車輪用軸受1の識別情報を記録することが好ましい。車輪用軸受1の識別情報は、個々の車輪用軸受1に個別の識別情報、例えば製造番号であっても、また車輪用軸受1のロット別の識別情報、例えばロット番号であっても良い。製造情報の記録は、一度に行っても、また何回かに分けて行っても良い。例えば、車輪用軸受1の組立が完了して完成品検査をしたときに、検査結果や検査条件にかかる情報を記録し、後に残りの製造情報を記録しても良く、また上記検査の情報を含めて全ての製造情報を一度に記録しても良い。
(製造過程でICタグを取付け、工程毎に記録する場合の例)
ICタグ9の車輪用軸受1への取付けは、例えば図16にハブ輪32Aの場合の例を示すように、鍛造直後に行うようにしても良い。図1の例で説明したように、鍛造後に機械加工を施さない面であると、ICタグ9を鍛造直後に取付けても良い。鍛造後にショットブラスト等を施す場合は、その処理を後にICタグ9を取付ける。
ハブ輪32Aは、その後に、旋削、高周波熱処理、および研削(研磨または超仕上げを含む)の工程を経て製造されるが、鍛造直後にICタグ9を取付けた場合、その後の各工程の製造情報を、工程毎にICタグ9に記録して行くことができる。熱処理は転走面36の高周波熱処理であるため、取付けられたICタグ9を熱で損傷する問題が回避できる。 図16は、要素品2がハブ輪32Aの場合の例であるが、外輪31や内輪32B等の鍛造品についても、ハブ輪32Aと同様に、鍛造直後にICタグ9を取付け、その要素品2についての製造情報を、各工程毎にICタグ9に記録して行くことができる。
このようにハブ輪32A等の各要素品2に記録した情報は、後に車輪用軸受1のいずれかの要素品2等に取付けられたICタグ9に全て転記しておき、一つのICタグ9で全ての要素品2についての情報が読み取れるようにしても良い。その場合の全情報を記録しておくICタグ9は、車輪用軸受1を自動車に取付けたままで読み取りが行い易い箇所が好ましい。例えば、図1の例のように、ハブ輪32Aのホイールパイロット43よりも内径側の端面32AaのICタグ9としても良く、また図7,図8等と共に説明したセンサ48やセンサ関連部品に取付けたICタグ9としても良い。
(情報読取り利用過程R3)
この過程は、出荷後の任意時に、上記ICタグ9の記録情報を読み取ってその読み取り情報から、少なくとも上記加工条件情報の確認を行う過程である。
車輪用軸受1の完成から廃棄までの一般的な流れとしては、図15のように、車輪用軸受1の組立完成から、完成品検査、出荷、倉庫での保管、営業所での保管、客先納入(顧客自動車メーカーによる購入、自動車への車輪用軸受1の組み込み)、顧客または販売会社における自動車の販売ルート(または自動車のリースのルート)と、自動車の使用者での購入および使用、廃棄、という流れとなる。特注品の場合は、出荷後に直接に客先に納入されることもある。
ICタグ9に記録された情報の読取りおよび利用は、出荷後の任意の段階で、必要に応じて行われ、その読取り情報から必要な情報の確認が行われる。例えば、自動車の所有者での使用の段階で、整備工場や、自動車の所在する現場等で、車輪用軸受1に取付けられているICタグ9から、その車輪用軸受1についての材質や性能等の各種の情報が読み取られ、技術的な解析が行われる。このときに、記録情報に各要素品2の材質や検査結果だけでなく、加工条件情報が含まれていると、原因解明が容易にかつ精度良く行われる。
ICタグ9の情報読み取りに際して、自動車に取付けられている車輪用軸受1は、自動車に取付けたままで、例えば図13と共に前述したように自動車にタグ交信器20を近づけることで行える。そのため簡単かつ迅速に、車輪用軸受1についての情報が得られる。 例えば、タグ交信器20に設けられた情報処理手段20bに、軸受の点検対象範囲の情報を記憶させておき、またタグ交信器20に付設の情報処理手段に上記点検対象範囲の情報を記憶させておき、ICタグ9の読み取り情報と点検対象範囲の情報とを比較して点検対象品か否かの判別結果を出力させるようにしてもよい。対象範囲の情報は、例えば製造番号の範囲の情報であっても、また製造年や製造場所の範囲の情報であっても良い。図13の例は、タグ交信器20は携帯型のものであって、タグリーダ部20aと情報処理手段20bと有するものを用いている。タグ交信器20は、タグリーダ/ライタであっても良い。
図15において、情報読取り利用過程R3における付加的な利用として、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9におけるメモリの空き容量部分が、出荷管理や、在庫管理、流通管理、メンテナンス管理等に適宜用いられる。
この車輪用軸受の品質管理方法によると、出荷後の任意時の情報読取り利用過程R3で、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができるため、転動体33を有し複数の要素品2からなり、厳しい品質,精度が求められる車輪用軸受1においても、技術的な解明等を容易に行うことができる。また、この方法の場合、別のデータベースを用いることなく、ICタグ9のみで情報を管理することができるため、加工条件情報を確認する施設において、データベースへの通信設備やアクセス権限等の有無にかかわらずに加工条件情報の読み取りが行える。
上記実施形態は、ICタグ9にできるだけの製造情報を記録しておいて、その記録情報により品質管理を行う方法であるが、データベース10と併用しても良い。
すなわち、データベース10として、車輪用軸受1の識別情報に関連付けてその車輪用軸受1に関する材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なものを準備しておく。このデータベース10と、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9とを用いて品質管理を行う。この場合、上記各過程R1〜R3では次の処理を行う。
(ICタグ取付過程R(1) )
この過程R1は、上記実施形態と同じである。
(製造情報の記録過程R2)
この過程では、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に、上記データベース10に従い、出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受1についての製造番号またはロット番号等の識別情報を記録し、かつその車輪用軸受1についての製造情報を記録する。この記録する製造情報には、各要素品2の鍛造工程、熱処理工程、研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含ませる。データベース10を併用するため、ICタグ9へ記録する製造情報は、ICタグ9から直接に読取ることが便利な情報だけに限っても良い。例えば、車輪用軸受1についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項などは、ICタグ9に記録しておくことが好ましい。
(情報読取り利用過程R3)
この過程では、上記出荷後の任意時に、ICタグ9の記録情報を読み取って、その読み取り情報から、または読み取られた識別情報を上記データベース10と照合してその照合により得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報の確認、および検査成績の確認等のいずれかを行う。ICタグ9やデータベース10に記録されているその他の各種の利用を行っても良い。
この管理方法においても、出荷後の任意時の情報読取り利用過程R1で、鍛造工程、熱処理工程、研削工程等のいずれかの加工条件情報を確認することができる。そのため、厳しい品質,精度が求められる車輪用軸受1においても、技術的な解明等を容易に行うことができる。また、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9には、識別情報を記録し、データベース10に上記識別情報と対応して各種の情報を記録するため、限りあるICタグ9の記憶容量に頼らずに、多量の情報をデータベース10から引き出すことができる。またICタグ9の残りの記憶容量を、出荷後や客先納入後の各種の履歴管理等に利用することができる。この管理方法およびデータベース10の詳細は、後に図17以降の各図と共に説明する。
上記各実施形態において、製造情報の記録過程R2で記録するための各種の製造情報の収集は、製造時管理用のデータベース14に記録しておいて、車輪用軸受1のICタグ9に記録するようにしても良く、また車輪用軸受1に取付けられるICタグ9とは別の製造過程用のICタグ4を利用して行っても良い。製造過程用のICタグ4は、車輪用軸受1に取付けらるICタグ9と同様に、RFIDタグ等が用いられるが、車輪用軸受1に取付けるICタグ9に比べて、外形寸法の大きなものを用いることができる。
製造時管理用のデータベース14に記録しておく方法では、車輪用軸受1の要素品2の材料購入から、鍛造工程、熱処理工程、研削工程、および検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベース14に要素品2のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記車輪用軸受1に取付けられたICタグに記録する過程とを含む。なお、製造時管理用のデータベース14は、例えば、コンピュータネットワークにおける1台または複数台のコンピュータ(図示せず)に設けられる。
製造過程用のICタグ4を利用する方法は、後に図17以降の各図と共に詳述するが、概略を示すと次のとおりである。この方法では、車輪用軸受1の要素品2の材料購入から鍛造工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品2のロット番号別に準備された製造過程用のICタグ4に各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に記録する過程とを含む。製造過程用のICタグ4に記録する製造情報として、鍛造工程、熱処理工程、および研削工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報を含むようにする。
製造過程用のICタグ4を利用する方法は、特注品等のように個別に検査される車輪用軸受1の場合と、一般品等のようにロット別に検査される車輪用軸受1の場合とがある。一般的にはロット別検査とされる。図17は個別検査品(特注品)の場合を示し、図18はロット別検査品(一般品)の場合を示す。個別検査品(特注品)とロット別検査品(一般品)とで、研削工程後の検査、および組立後の検査が個別検査かロット別検査かで異なる他は、同じであるため、まず、個別検査品(特注品)について説明し、ロット別検査品(一般品)については、個別検査品(特注品)との違いを説明する。
この品質管理方法の管理対象とする車輪用軸受1は、複数種類の要素品2((1) 〜(n) (nは自然数) )を組み立てたものであって、それら複数種類の要素品2((1) 〜(3))が、材料購入S1から、鍛造工程S2、熱処理工程S3、および研削工程S4、を経て製造されるものである。上記各要素品2((1) 〜(n))は、図1に示すような内輪回転タイプのものである場合は、外輪31、ハブ輪32A、内輪32B、および転動体33である。車輪用軸受1が図14に示すような外輪回転タイプのものである場合、外輪31A、内輪32C、および転動体33である。
車輪用軸受1は、上記材料購入S1から、鍛造工程S2、熱処理工程S3、および研削工程S4を経て製造される要素品2とは別の要素品3を含むものであっても良い。別要素品としては、保持器34(図1)およびシール37,38等がある。図7の例のようなセンサ付きの車輪用軸受1である場合は、センサ48およびその他のセンサ関連部品も別の要素品3となる。
上記材料購入S1から、鍛造工程S2、熱処理工程S3、および研削工程S4の各工程は、材料購入から要素品の完成までを、大別した各区分のことであり、上記各工程が複数の工程からなる場合や、さらに工程名称に該当しない工程を含むものであっても良い。各工程S1〜S4の名称は、その区分した工程を代表する処理の名称である。
この管理方法は、上記各要素品2((1) 〜(n))について次の各過程(1) 〜(4) を含み、各要素品2を組み立てた車輪用軸受1について、後述の過程を採る。なお、各工程のロットは、製造工程の下流側で分かれることがあるが、併合はしない。
(1) .材料購入(S1)時の管理過程。
各要素品2の材料購入時に、材料ロット5別に準備されたICタグ4に、対応する材料ロット5についての材料ロット番号、および購入材料に関する情報を記録する。
(2) .鍛造工程(S2)の管理過程。
材料ロット5別のICタグ4、またはこの材料ロット5別のICタグ4の記録情報を引き継いだICタグ4を鍛造ロット6別に準備し、これらICタグ4に、対応する鍛造ロット6についての鍛造ロット番号、および鍛造工程で得られる情報を記録する。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
鍛造ロット6別のICタグ4、またはこの鍛造ロット6別のICタグ4の記録情報を引き継いだICタグ4を熱処理ロット7別に準備し、これらのICタグ4に、対応する熱処理ロット7についての熱処理ロット番号、および熱処理工程で得られる情報を記録する。 (4) .研削工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
熱処理ロット7別のICタグ4、またはこの熱処理ロット7別のICタグ4の記録情報を引き継いだICタグ4を、研削ロット8別に準備し、これらのICタグ4に、対応する研削ロット8についての加工条件の記録を行う。また、研削ロット8別のICタグ4、またはこの研削ロット8別のICタグ4の記録情報を引き継いだICタグ4を、要素品2毎または検査の単位となる同種類の要素品2の組毎に準備し、これらICタグ4に、対応する研削ロット番号、および検査工程で得られる情報を記録する。
上記各要素品2((1) 〜(n)) を組み立てた各車輪用軸受1には、組立前から組立後に至る間に、完成後使用のためのICタグ9を取付け、この車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に、個別の車輪用軸受1に特有の製造番号、および上記車輪用軸受1に用いられた各要素品2((1) 〜(n)) の上記検査工程後のICタグ4の記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録する。データベース10には上記製造番号と対応して、上記車輪用軸受1に用いられた各要素品2((1) 〜(n)の上記検査工程後のICタグ4の記録情報、および車輪用軸受1の完成後の検査情報を記録する。
上記各工程(S(1) 〜(S4)で用いられるICタグ4は、各工程を通じて同じものであっても良く、工程によって別のICタグ4を用い、前工程のICタグの記録情報の転記をしても良い。下流側の工程でロットが別れる場合は、新たなICタグ4を準備し、前の工程の記録情報の転記をしても良く、また予め、ロット分かれるロット数分だけICタグ4を準備しておき、各工程を通じて同じICタグ4に情報を追加記録するようにしても良い。
各工程(S(1) 〜(S4)において、ICタグ4に記録される各ロット番号および各工程の情報は、図19のように工程毎に追加されることになる。
各工程において、ICタグ4は、例えば要素品2を入れる運搬用の容器類11に取付けておく。容器類11は、例えば、かご、箱、またはパレット等である。この場合に、ICタグ4の容器類11への取付は、直接に行っても良く、また図24に示すように、容器類11に取付けられる視覚による識別用のタグ12に取付けても良い。ICタグ4の容器類11への取付は着脱自在な取付であっても良い。ICタグ4を容器類11に取付けておくことで、ロット毎に準備されるICタグ4を、常に要素品2と共に移動させることができ、ICタグ4の取扱が容易である。また、要素品2のコンベヤ等による搬送経路13でICタグへの情報の記録を行うことができる。
上記各管理過程の詳細を説明する。
(1) .材料購入(S1)時の管理過程。
材料は、一般的には鋼材の塊、鋼板、鋼管、鋼線等の形態で購入される。購入した材料は例えば材料ロット単位で各種の品質検査を行う。この管理過程でICタグ4に記録する購入材料の情報は材料の出所情報と品質情報とに分けられる。出所情報は、販売元の会社名や、その会社の工場所在地等である。品質情報は、組織硬さ、非金属介在物の情報等である。品質情報は、材料購入後に行った材料検査の結果をICタグに記録するが、販売元から得た情報を記録しても、また両方を記録しても良い。この過程でのICタグ4への情報の記録方法は、例えば購入管理コンピュータ(図示せず)等から得た情報を記録用の端末を介して行う。
(2) .鍛造工程(S2)の管理過程。
鍛造工程(S2)は、車輪用軸受1の種類やその要素品2の種類によって種々の形態がある。図22は車輪用軸受1の各要素品2の工程例を示す。内輪および外輪となる要素品2、あるいはハブ輪となる要素品2では、鍛造工程として(S2)、これら内輪,外輪,ハブ輪の粗形状に形成する鍛造と、その鍛造品を旋削する工程とを含む。鋼球等の転動体となる要素品2では、鍛造工程として(S2)として、型打ち、ブラッシング、および生研磨の工程が含まれる。
なお、図22の例において、外輪およびハブ輪については、他の事業所で鍛造されたものを受け入れ、後の加工を行う例を示す。図23の例は、ハブ輪および内輪を旋削品の状態で受け入れる例である。このように、車輪用軸受の製造工場としては、材料やその加工をある程度行っているものなど、各種の段階で受け入れることがある。鍛造品や旋削品の状態で受け入れる場合は、その鍛造品や旋削品を製造した製造元から製造情報を入手し、後にICタグ4,9やデータベース10,14に記録する。この場合の製造情報としては、上記出所情報と品質情報とがあり、品質情報としては、旋削品の場合は旋削後の寸法情報等も含まれる。
鍛造工程(S2)でのICタグ4への情報の記録は、鍛造工程(S2)の全体で1回としても良く、また鍛造工程(S2)の中の各工程毎に行うようにしても良い。例えば、要素品2が内輪,外輪,またはハブ輪であって、鍛造および旋削が行われる場合、旋削後に測定した幅寸法、内径寸法、溝寸法、面取寸法等の情報をICタグ4に記録する。要素品2が転動体である場合、図22,図23の例では完成品を受け入れる場合を示すが、これを素材から製造する場合は、型打ちの後に寸法、歪、外観等の情報を記録し、ブラッシング後、および生研磨の後に、それぞれ測定を行って寸法、真球度、外観等の情報を記録する。また、加工条件情報を記録する。
この過程でのICタグ4への情報の記録方法は、例えばこれらの鍛造工程(S2)等の各工程毎に用いられる工程管理用または検査管理用等の製造時管理用のデータベース14(図20)により、端末15を介して行うようにする。オペレータによる手入力が必要な情報については、キーボード等の入力手段16により、製造時管理用のデータベース14を介して、または直接に端末15から記録する。
前工程の材料ロット5よりも鍛造ロット6の方が多くなる場合は、新たなICタグ4を準備し、これにICタグ複製手段17を用いて材料ロット5のICタグ4の記録情報を転記し、この転記よって情報を受け継いだICタグ4に対して鍛造工程の情報を記録する。以下の各工程においても、ロット数が増える場合は、上記と同様にして新たなICタグ4に転記する。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
熱処理を行ったときは、後に検査を行う。要素品2が内輪,外輪,ハブ輪の場合は、硬さ、変形、組織等の検査を行う。要素品2が転動体である場合は、硬さ、組織等の検査を行う。熱処理工程の情報としては、これらの検査結果を記録する。この他に熱処理条件等を記録しても良い。
(4) .研削工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
研削工程(S4)は、車輪用軸受1の種類やその要素品2の種類によって種々の形態がある。要素品2が内輪,外輪,またはハブ輪である場合、研削工程(S4)として、幅研削、外径研削、溝研削、内径研削、溝超仕上げ等を行う。要素品2が転動体である場合は、粗研磨、中研磨、精研磨、ラッピング等を行う。これらの各工程では、その工程の完了品の検査を行う。ICタグ4に記録する情報は、研削工程(S4)における上記の各工程毎の加工条件の情報等である。この加工条件の情報は、例えば砥石の種類や加工速度等である。研削工程が完了した後、検査を行い、その結果をICタグ4に記録する。検査結果情報としては、各種の寸法、例えば、内外輪の幅研削では、寸法、幅不同、外観等であり、外輪の外径研削では外径寸法、真円度、円筒度、外観等である。内外輪の溝研削では、研削対象箇所の寸法、真円度、ラジアル振れ、アキシアル振れ、溝心差等である。内輪の内径研削では、内径寸法、真円度等である。内外輪の溝超仕上げでは寸法、外観等である。要素品2が転動体の場合は、研削工程(S4)における粗研削やその他の各工程後の検査結果の寸法や真円度等、研削工程(S4)の完了品である完成状態の要素品2の検査結果となる外観、寸法、真球度、径の相互差、硬さ、音響、顕微鏡検査結果等である。
研削工程(S4)では、特注品等の場合は全数検査であり、全数検査の場合、ICタグ4は要素品2の個数だけ準備され、そのICタグ4に対応する要素品2の研削ロット番号と、個々の検査結果等の情報を記録する。研削ロット番号に加えて、個々の要素品2を識別する番号を付加して記録しても良い。要素品2が転動体等のように一つの車輪用軸受1に多数用いられる場合は、一つの車輪用軸受1に用いられる要素品2の組、または各列毎に用いられる要素品2の組を一つの要素品2とみなして一つのICタグ4を準備し、その組毎の情報を記録しても良い。
車輪用軸受1の組立、およびその後の管理過程。
上記のように製造された各要素品2は、組立工程で一つの車輪用軸受1に組み立てられる。この車輪用軸受1に、組立前から組立後に至る間に、前述のようにICタグ9を取付ける。すなわち、要素品2の単独の状態でICタグ9を取付けても、組立の完了後に取付けても良い。
各車輪用軸受1は、組立が完了すると、完成品検査として各種の検査を行う。この検査は、例えば上記ICタグ9の取付後に行うが、取付形態によっては取付前に行っても良い。完成品検査としては、内径、外径、幅寸法、真円度、円筒度、ラジアル振れ、アキシアル振れ、横振れ、隙間等の各要因につき検査を行う。完成品検査は、特注品等の個別検査品の場合は、車輪用軸受1の全数につき行う。
車輪用軸受1を組み立てる過程で、その車輪用軸受1を構成する各要素品2のICタグ4の記録情報は、図21のように、データベース10により製造番号に対応して記録される。また、完成品検査の検査結果についても、製造番号に対応して記録される。製造番号は個別の車輪用軸受特有の番号であり、例えばシリアル番号とされる。車輪用軸受1が上記のような工程を経過しない別要素品(例えば保持器)3を含むものである場合、その別要素品3の情報もデータベース10に記録する。
車輪用軸受1に上記のように取付けられたICタグ9には、少なくとも上記の製造番号を記録する。このICタグ9には、製造番号の他に、各要素品2のICタグ4の記録情報や、完成品検査の結果等を記録しても良い。車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に、完成品検査の結果を記録する場合、検査工程でICタグ9に検査結果を記録し、このICタグ9からデータベース10に情報を転記しても良い。また、車輪用軸受1だけでなく、車輪用軸受1の梱包70(図15)にもこのICタグ9を取付け、製造番号等を記録しても良い。
データベース10は、図21のようにコンピュータネットワーク18上に設けられた管理コンピュータシステム19に設けられる。このデータベース10の記憶部10aに、各車輪用軸受1についての上記の記録情報Fが記録される。コンピュータネットワーク18は、例えばインターネット等の広域ネットワークや、この広域ネットワークに工場内のローカルエリアネットワークが結合したものである。データベース10は、記憶部10aとこの記憶部10aに対する入出力や検索の管理を行うデータベース管理部10bとでなる。データベース10は、概念的に一つの品質管理用のデータベースとして認識できるものであれば良く、物理的には複数に分かれたデータベースの集まりであっても、また他の各種の目的のデータベースと情報を共有するものであっても良い。例えば、データベース10は、コンピュータネットワーク18上に分散して設けられた複数のコンピュータで構成されるものであっても、また上記製造時管理用のデータベース14や技術情報管理用等のデータベースと記録情報を共有するものであっても良い。
データベース10は、ネットワーク18を介して、車輪用軸受製造工場内の各情報処理機器の他に、技術部門や、倉庫、営業所、顧客企業の事業所の情報処理機器40、および携帯端末等に接続されたものである。
この品質管理方法によると、各要素品2の材料購入から車輪用軸受1の完成後の検査内容までの履歴情報が、管理コンピュータシステム10に記憶され、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9には製造番号が記録されているため、製造番号を管理コンピュータシステム10と照合することで、上記履歴情報を車輪用軸受と1対1の関係管理することができる。例えば、出荷後の任意の段階で、その車輪用軸受1の使用者や、保守サービスを行うもの等が、車輪用軸受1の履歴情報を知ることができる。車輪用軸受11の各要素品2の製造工程毎に発生する情報は、工程毎にその工程のロット別に準備したICタグ4にロット番号と共に記録するため、詳細な履歴情報を管理することができる。したがって技術的な解析や将来の改善等の対処が容易となり、寿命診断や、機械故障を防止する事前の対策も容易となる。
上記工程毎の情報は、その工程のロット毎に準備したICタグ4に記録するため、手書き伝票に記録する場合に比べて詳細な情報の記録が行え、また例えば端末からコンピュータに入力する場合と異なり、情報を入力するべき箇所がICタグ4であるために視覚的に認識できて、入力作業が明確となり、誤りが生じにくい。また、要素品2の材料購入から研削工程の各工程にわたる種々雑多な全ての情報をコンピュータに記録するものと異なり、生産工程ではこれらの記録情報をICタグ4で持っておくため、コンピュータの負担が軽く、管理が容易になる。このため、容易に、より詳細な情報の管理することができる。
また、車輪用軸受1の製造番号は、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に記録するので、このICタグ9の残った記憶領域を自由に使用でき、製造後の各種の用途、例えば出荷管理、流通管理、顧客管理、メンテナンス管理等に用いることができる。
すなわち車輪用軸受1は、図15と共に前述したように、組立完成、検査、出荷の後、一般的に倉庫に配送され、営業所から顧客自動車メーカーへ納品される。特注品の場合は、出荷の後、直接に顧客に納品されることもある。顧客自動車メーカーでは、車輪用軸受1を自動車に組み込んで販売し、自動車を購入した自動車保有者が自動車の使用により車輪用軸受1を使用し、耐久年数等で廃棄することになる。このような各過程で、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9の製造番号を読み取って履歴情報を知る他に、ICタグ9の残りの記憶領域を利用した各種の利用が図れる。
つぎに、車輪用軸受1が一般品のようにロット別検査品である場合につき、図18と共に説明する。ロット別検査品の管理では、各要素品2((1)〜(n) ) について、次の各過程((1)〜(3) ,(4) ′)を含み、各要素品2を組み立てた車輪用軸受1について、後述の過程を採る。材料購入から熱処理工程までの管理過程 (1)〜(3) は、ロット別検査品についても個別検査品と同じであるため、これらの管理過程 (1)〜(3) の説明は省略する。
(1) .材料購入(S1)時の管理過程。
(2) .鍛造工程(S2)の管理過程。
(3) .熱処理工程(S3)の管理過程。
(4) ′.研削工程(S4)およびその後の検査工程時の管理過程。
研削工程(S4)の後の検査工程で、熱処理ロット7別のICタグ4、またはこの熱処理ロット7別のICタグ4の記録情報を引き継いだICタグ4を、研削ロット8別に準備し、これらのICタグ4に、対応する研削ロット8についての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する。研削工程(S4)における加工は、ロット別検査品も個別検査品も同じである。この管理過程(4) ′で記録する情報は研削ロット8別の検査結果の情報あるが、要素品2についても検査項目はロット別検査品も個別検査品も同じであり、それらの検査結果を記録する。検査項目をロット別検査品と個別検査品とで異ならせても良いが、それらの検査結果のICタグ4への記録は、検査項目にかかわらずに同様に行う。
車輪用軸受1の組立、およびその後の管理過程。
各要素品2を組み立てた各車輪用軸受1に、組立前から組立後に至る間にICタグ9を取付け、この車輪用軸受1に取付けられたICタグ9に、製造ロット番号、および上記車輪用軸受1に用いられた各要素品2((1) 〜(n))の上記検査工程後のICタグ4の記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベース10に上記製造ロット番号と対応して、上記車輪用軸受1に用いられた各要素品2((1) 〜(n))の上記検査工程後のICタグ4の記録情報、および車輪用軸受1の完成後の検査情報を記録する。
なお、ロット別検査品の管理は、特に説明した事項の他は、個別検査品について説明した内容と同じ管理である。
この管理方法の場合、車輪用軸受1の製造ロット別の管理となり、1対1の管理とはならないが、その他の事項については、上記第1の車輪用軸受の品質管理方法で説明した個別検査品についての場合と同じ各作用,効果が得られる。管理コンピュータ10に対する照合は、車輪用軸受1に取付けられたICタグ9から得られるロット番号で行う。
この発明の実施形態に係る品質管理方法の管理対象となる車輪用軸受の一例を示す車輪用軸受の部分断面図である。 他の車輪用軸受の例の部分断面図、およびその一部の部分拡大図である。 さらに他の車輪用軸受の例の部分断面図である。 さらに他の車輪用軸受の例の部分断面図である。 さらに他の車輪用軸受の例の部分断面図である。 さらに他の車輪用軸受の例における保持器の部分正面図である。 さらに他の車輪用軸受の例におけるセンサ設置部付近の部分断面図である。 そのセンサの拡大正面図である。 そのセンサ取付リングの部分拡大側面図である。 さらに他の車輪用軸受の例におけるシールの各例の断面図である。 ICタグとタグ交信器との関係を示す説明図である。 ICタグの回路例のブロック図である。 ICタグの読み出し態様例の説明図である。 さらに他の車輪用軸受の例の断面図である。 この発明の第1の実施形態に係る車輪用軸受の品質管理方法の説明図である。 同車輪用軸受の品質管理方法におけるハブ輪の製造工程およびICタグの取付過程を示す説明図である。 同車輪用軸受の品質管理方法における要素品の管理に係る説明図である。 同車輪用軸受の品質管理方法における要素品の他の方法による管理にかかる説明図である。 各ICタグの記録内容の変化を示す説明図である。 要素品の製造工程中におけるICタグへの記録形態の概念説明図である。 データベースとICタグの関係を示す説明図である。 車輪用軸受の各要素品の製造過程の説明図である。 車輪用軸受の各要素品の製造過程の他の例の説明図である。 要素品の容器類とそのICタグへの書き込み形態の概念を示す説明図である。
符号の説明
1…車輪用軸受
2…要素品
3…別要素品
4…ICタグ
5…材料ロット
6…鍛造ロット
9…ICタグ
31…外輪
32…内方部材
32A…ハブ輪
32Aa…アウトボード側端面
32B…内輪
33…転動体
37,38…シール
39…車輪取付用のフランジ
40…ボルト圧入孔
41…車輪取付ボルト
43…ホイールパイロット
48…回転センサ
47…エンコーダ
70…梱包

Claims (25)

  1. 車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法であって、車輪用軸受にICタグを取付ける過程と、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての情報を記録する過程と、出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う利用過程とを含む車輪用軸受の品質管理方法。
  2. 請求項1において、上記利用過程のICタグの読み取りは、車輪用軸受が自動車に組付けられた状態のままで、タグリーダを用いて行い、このタグリーダに一体化された情報処理手段または上記タグリーダに有線または無線で接続された情報処理手段により、所定の点検対象の軸受であるか否かの判定を行う処理を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  3. 車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する所定情報を記録して管理する車輪用軸受の品質管理方法であって、
    車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
    この車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受についての製造工程における情報を記録する過程と、
    出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、所定情報の確認を行う過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  4. 請求項3において、前記複数の要素品のうち、鍛造品における非機械加工仕上面に、その面の加工完了後に前記ICタグを取付け、このICタグに、前記鍛造品における鍛造後の各製造工程の製造情報を、各製造工程で記録する車輪用軸受の品質管理方法。
  5. 請求項4において、前記鍛造後の各製造工程として、熱処理工程、旋削工程、および研削工程を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、車輪用軸受を構成する複数の要素品に前記ICタグを取付け、各ICタグの取付けられた要素品毎の製造情報を、前記各ICタグにそれぞれ記録する車輪用軸受の品質管理方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、車輪用軸受がこの車輪用軸受についての検出対象を検出するセンサを有するものであり、このセンサの検査時に、センサ関連部品に車輪用軸受についての情報を記録する車輪用軸受の品質管理方法。
  8. 車輪用軸受について、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いる車輪用軸受の品質管理方法であって、
    車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
    上記ICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての製造工程における情報を記録する過程と、
    出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、前記製造工程における情報の確認を行う情報読取り利用過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  9. 車輪用軸受につき、所定の製造情報を記憶し、その記憶内容を抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いた車輪用軸受の品質管理方法であって、
    車輪用軸受にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに対して取付ける過程と、
    上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従いその車輪用軸受についての所定の出荷情報を書き込む過程と、
    出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、車輪用軸受についての情報を確認する過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  10. 請求項9において、上記ICタグに書き込む車輪用軸受についての上記所定の出荷情報は、その車輪用軸受についての識別情報を含み、上記データベースは、車輪用軸受の識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なものである車輪用軸受の品質管理方法。
  11. 請求項9または請求項10において、上記ICタグに書き込む車輪用軸受についての所定の出荷情報として、製造年についての情報を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  12. 請求項9ないし請求項11のいずれか1項において、上記ICタグに書き込む車輪用軸受についての所定の出荷情報として、製造場所について情報を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  13. 車輪用軸受につき、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグを用い、車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記録して車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
    車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
    この車輪用軸受に取付けられたICタグに、出荷時または客先納入時までに、その車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、
    上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、上記加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認を行う情報読取り利用過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  14. 車輪用軸受につき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、および検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
    車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
    上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を記録し、かつその車輪用軸受についての前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を記録する過程と、
    上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件情報および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認のいずれかを行う情報読取り利用過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  15. 車輪用軸受につき、識別情報に関連付けてその車輪用軸受に関する材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を記憶し、記憶内容を上記識別情報により抽出可能なデータベースと、非接触で情報の記録および読取りが可能なICタグとを用いて車輪用軸受を管理する品質管理方法であって、
    車輪用軸受の製造時または製造完了時にICタグを、この車輪用軸受を構成する複数の要素品のいずれかに取付ける過程と、
    上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、上記データベースに従い出荷時、または客先納入時までに、その車輪用軸受についての識別情報を書き込み、かつその車輪用軸受についての製造年月日、製造場所、封入グリース銘柄、要素品間隙間、品質保証期間、取扱いに関する注意事項のうち、少なくとも一つの情報を記録する過程と、
    上記出荷後の任意時に、上記ICタグの記録情報を読み取ってその読み取り情報から、または読み取り情報を上記データベースと照合して得られた情報から、購入材料の確認、製造工程の確認、その加工条件および材料情報の少なくとも一方の確認、および検査成績の確認のいずれかを行う情報読取り利用過程とを含む、
    車輪用軸受の品質管理方法。
  16. 請求項13ないし請求項15のいずれか1項において、上記車輪用軸受の上記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程に至る所定の製造情報を、要素品のロット番号別に準備された製造過程用のICタグに各工程毎に記録する過程と、この記録した情報を読み取ってその読み取り情報の一部または全体を上記車輪用軸受に取付けられたICタグに記録する過程とを含み、上記製造過程用のICタグに記録する製造情報として、前記各製造工程のうちの少なくとも一つの工程における加工条件情報および材料情報の少なくとも一方を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  17. 請求項13ないし請求項15のいずれかに1項において、上記車輪用軸受の上記要素品の材料購入から鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、研削工程等の各製造工程、並びに検査に至る所定の製造情報を、製造時管理用のデータベースに要素品のロット番号または要素品個別の識別番号に関連付けて記録する過程と、この記録した情報を、上記機械要素商品に取付けられたICタグに記録する過程とを含む車輪用軸受の品質管理方法。
  18. 材料購入から、鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、個別に検査される車輪用軸受の品質管理方法であって、上記各要素品について、
    これら各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備されたICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程と、
    上記鍛造・旋削工程で、上記材料ロット別のICタグまたはこの材料ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを鍛造・旋削ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する鍛造・旋削ロットについての鍛造・旋削ロット番号および鍛造・旋削工程で得られる情報を記録する過程と、
    上記熱処理工程で、鍛造ロット別のICタグまたはこの鍛造ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを熱処理ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程と、
    上記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別のICタグまたはこの熱処理ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを、要素品毎または検査の単位となる同種類の要素品の組毎に準備し、これらICタグに、対応する研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程とを含み、かつ
    上記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前から組立後に至る間にICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、個別の車輪用軸受特有の製造番号、および上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報のうち、少なくとも製造番号を記録し、データベースには上記製造番号と対応して、上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する過程、
    とを含む車輪用軸受の品質管理方法。
  19. 材料購入から、鍛造および旋削の少なくとも一方の工程である鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品を複数種類含んで組み立てられ、ロット別に検査される車輪用軸受の品質管理方法であって、上記各要素品について、
    これら各要素品の材料購入時に、材料ロット別に準備されたICタグに、対応する材料ロットについての材料ロット番号および購入材料に関する情報を記録する過程と、
    上記鍛造・旋削工程で、上記材料ロット別のICタグまたはこの材料ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを鍛造・旋削ロット別に準備し、これらのICタグに、対応する鍛造・旋削ロットについての鍛造・旋削ロット番号および鍛造・旋削工程で得られる情報を記録する過程と、
    上記熱処理工程で、鍛造・旋削ロット別のICタグまたはこの鍛造・旋削ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを熱処理ロット別に準備し、これらICタグに、対応する熱処理ロットについての熱処理ロット番号および熱処理工程で得られる情報を記録する過程と、
    上記研削工程の後の検査工程で、熱処理ロット別のICタグまたはこの熱処理ロット別のICタグの記録情報を引き継いだICタグを研削ロット別に準備し、これらICタグに、対応する研削ロットについての研削ロット番号および検査工程で得られる情報を記録する過程とを含み、かつ
    上記各要素品を組み立てた各車輪用軸受に、組立前から組立後に至る間にICタグを取付け、この車輪用軸受に取付けられたICタグに、製造ロット番号、および上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報のうち、少なくとも製造ロット番号を記録し、データベースに上記製造ロット番号と対応して、上記車輪用軸受に用いられた各要素品の上記検査工程後のICタグの記録情報、および車輪用軸受の完成後の検査情報を記録する過程、
    とを含む車輪用軸受の品質管理方法。
  20. 請求項18または請求項19において、上記材料ロット別に準備されるICタグ、鍛造・旋削ロット別に準備されるICタグ、および熱処理工程別に準備されるICタグは、同じ材料ロットの材料を複数入れた容器類、同じ鍛造・旋削ロットの要素品を複数入れた容器類、および同じ熱処理ロットの要素品を入れた容器類にそれぞれ取付ける車輪用軸受の品質管理方法。
  21. 請求項18または請求項19において、上記車輪用軸受が、材料購入から、鍛造・旋削工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品とは別の要素品を含むものであり、この別の要素品についの情報は、車輪用軸受の組み立て後に上記データベースに製造番号またはロット番号に対応させて記録する車輪用軸受の品質管理方法。
  22. 請求項1ないし請求項20のいずれか1項において、上記車輪用軸受が車輪用軸受であり、上記材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品として、外輪、内輪、および転動体を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  23. 請求項1ないし請求項22のいずれか1項において、上記材料購入から、鍛造および旋削のうちの少なくとも一方の工程、熱処理工程、および研削工程を経て製造される要素品として、外輪、内輪、ハブ輪、および転動体を含む車輪用軸受の品質管理方法。
  24. 請求項1ないし請求項23のいずれか1項において、上記車輪用軸受は、組み立て時にグリースが封入されるものであり、上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受の組み立て年月日を記録する車輪用軸受の品質管理方法。
  25. 請求項1ないし請求項23のいずれか1項において、上記車輪用軸受に取付けられたICタグに、その車輪用軸受の出荷から客先納入までの所在等の情報を記録する車輪用軸受の品質管理方法。
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