JP2006044212A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス保護用途、特に建材用窓ガラス、車両用窓ガラスの保護に好適な高い飛散防止能を有する積層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステル樹脂Aからなる層と、共重合ポリエステル樹脂Bからなる層が、少なくとも厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、引裂速度1〜3m/sにおけるの引裂エネルギーが10J/mm以上50J/mm未満であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関するものである。更に詳しくは、公共施設、一般家屋、ビルなどの建築物や、自動車用、新幹線、電車車両の窓ガラスの保護用として、好適なガラス保護フィルムに好適なガラス保護フィルムに関するものである。
ガラスは優れた光線透過性、ガスバリア性、寸法特性等から、さまざまな用途に使用され、特に、建築・車両用・ディスプレイ用として使用されている。しかしながら、ガラスは衝撃に弱いという欠点があり、容易に破損する。また、容易に打ち破ることができることから、最近では窓ガラスをこじ破って侵入する犯罪が急増している。これらの問題に対し、ガラスに熱可塑性樹脂からなるフィルムを貼りつけることにより、ガラスの飛散防止あるいは侵入を防止する方法が種々提案されている。例えば、特定のポリエステル同士の積層により、低速領域での引裂強度を向上させたガラス保護フィルムがある(特許文献1参照)。また、剛性な層と延性な層からなる多層積層フィルムをガラス表面に貼りつけることにより、ガラスの破損および飛散を大幅に防止できる(特許文献2および3参照)。
特開2003−39600号公報(第2頁) 特開平6−1990995号公報(第2頁) 特開平6−1990997号公報(第2頁) しかし、特許文献1のフィルムは、あまりに高い落球衝撃の際には、より高い飛散防止性能や耐貫通性能を得ることは難しく、不十分な場合があった。
また、特許文献2や特許文献3のフィルムは、多層積層フィルムを構成する延性な層が、次第に結晶化が生じ白化することにより視認性を損なうことから、建材用ガラスに使用できないといった問題を生じていた。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、ガラス保護用途、特に建材用窓ガラス、車両用窓ガラスの保護に好適な積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のガラス保護フィルムは以下の構成からなる。すなわち、ポリエステル樹脂Aからなる層と、共重合ポリエステル樹脂Bからなる層が、少なくとも厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、引裂速度1〜3m/sにおける引裂エネルギーが10J/mm以上50J/mm未満であることを特徴とする積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、引裂速度1〜3m/sにおける引裂エネルギーが10J/mm以上であることにより、より高衝撃下でのガラスの飛散防止および耐貫通性能に優れ、特に建材用窓ガラス、車両用窓ガラス、表示用ガラス等の保護フィルムとして好適なガラス保護フィルムを提供できる。
さらにヘイズが3%以下であることにより、ガラスに貼りつけた際の視認性を両立した積層フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、ポリエステル樹脂Aからなる層と、共重合ポリエステル樹脂Bからなる層が、少なくとも厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、引裂速度1〜3m/sにおける引裂エネルギーが10J/mm以上である積層フィルムでなければならない。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂をさす。ジカルボン酸誘導体としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸などが挙げられ、またそれらをエステル化したものなどが挙げられる。また、ジオール誘導体としては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
上記のポリエステルの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレートは、安価でありながらも耐熱性と熱収縮性に優れることから
好ましい。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、2種類以上のブレンド体であってもよい。
また、これらのポリエステル樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などが、本発明の特性を損なわない範囲で添加されていてもよい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。グリコール成分として1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
本発明では、特にポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレートを主たる成分とするA層と、グリコール成分に1,4−シクロヘキサンジメタノールを一部重縮合したポリエチレンテレフタレートを主たる成分とするB層とが、厚み方向に交互に積層されていることが好ましい。
ここで厚み方向に5層以上積層されたフィルムとは、異なる層が一定の規則性をもって5層以上積層されているフィルム状構造体のことであり、これらのポリエステル樹脂からなる各層は、連続した層状構造としてフィルム表面にほぼ平行に存在しているものである。このようにポリエステルを主成分とする層Aと、共重合ポリエステルを主成分とする層Bとが交互に積層されている場合、破壊時に積層界面で剥離が生じて剪断変形し、引裂エネルギーを非常に高めることが可能となる。層数が5層より少ない場合、上述の耐引裂性が発現せず、十分な飛散防止性能・耐貫通性能を得ることができない。また、層数は下記式(1)を満たしていることが好ましい。
150D≦C≦500D (1)
[C:層数 D:フィルム厚み(mm)]
層数が(1)式の値より少ない場合、界面剥離による応力分散の効果が少なく好ましくない。また、層数が(1)式の値より多い場合、今度は界面剥離が生じなくなって耐引裂性が発現しなくなるため、好ましくない。
本発明の積層フィルムは、引裂速度1〜3m/sの引裂エネルギーが10J/mm以上50J/mm未満でなければならない。ここで、引裂エネルギーとは、JIS K7128−1のトラウザー引裂法に準じた方法で求めるが、ここで使用される引張試験機は油圧式の高速駆動方式により0.1m/s以上の引張速度を有するものであり、0.1m/s以上5m/s以下の速度において±5%以内の誤差で維持可能な装置を使用して求めたものである。また、これにより求められた引裂力(N)を引裂区間(m)で積分して求めた値(J)を、フィルム厚みで除して引裂エネルギー(J/mm)とした。
従来の引裂評価は、トラウザー引裂試験やエレメンドルフ引裂試験(JIS K7128−2)に従って求めていたものであるが、実際に欧州の防犯規格EN356に従った落球試験では、ガラスはこれらの測定方法で計測するよりもはるかに高速で破壊されていることが分かった。この高速領域(1〜3m/s)での引裂エネルギーを10J/mm以上にすることにより、従来にない飛散防止性能・耐貫通性能を発揮するのである。以後、本発明において、高速領域とは1〜3m/sの速度領域を、低速領域とは0.01〜0.1m/sの速度領域をいうものとする。高速領域の引裂エネルギーが10J/mmより小さい場合には、より高衝撃下での落球試験において、フィルムのガラス割れ伝播抑止効果が低く、十分な飛散防止・耐貫通性能が得られない。また、高速領域での引裂エネルギーが50J/mm以上であると、落球衝撃時に、引き裂きが伝播せずにエネルギーが消費されないため、50J/mm未満であることが必要である。好ましくは、高速領域における引裂エネルギーが12J/mm以上50J/mm未満であり、より好ましくは13J/mm以上50J/mm未満である。
このような高速領域での高い引裂エネルギーを得るためには、積層フィルムのポリエステルA層と共重合ポリエステルB層の積層比が特に重要になる。つまり、ポリエステルA層と共重合ポリエステルB層の厚みの比率が、下記式(2)を満たしていることにより達成できる。
1/20≦B/A≦1/13 (2)
(A:ポリエステルA層の厚み、B:共重合ポリエステルB層の厚み)
(2)式に従った積層構成にすることにより、特に高速領域における引裂エネルギーに優れ、従来にない飛散防止性能・耐貫通性能に優れた積層フィルムを提供できるようになるものである。これは、B/Aの比率が積層界面の接着力に大きく寄与するためである。積層フィルムは、引裂速度によって界面剥離の挙動が変化して大幅に引裂エネルギーが変化するため、引裂速度に応じて最適な積層構成を選ぶ必要がある。ガラス破壊試験のように1〜3m/sの高速領域での引裂では、(2)式に従った積層構成が最も高い引裂エネルギーを発現することを見出したものである。また、高速領域の引裂エネルギーは、臨界点まではB/Aの値が低いほど高くなる傾向があり、高速領域の引裂エネルギーを12J/mm以上にするには、下記式(3)を満たしていることが好ましい。
1/20≦B/A≦1/15 (3)
さらに、高速領域の引裂エネルギーを13J/mm以上にするには、下記式(4)を満たしていることが好ましい。
1/20≦B/A≦1/17 (4)
また、(2)に従った積層構成にする場合、ポリエステルA層の吐出(AQ)と共重合ポリエステルB層の吐出(BQ)の比率が大きくなり、ポリマーの流速、圧力損失差などの微少要因が重なって積層むら(積層厚みのばらつき)が発生しやすくなる。積層むらの悪化は、本発明にとって必要である高速引裂強度を低下させるため、積層装置を以下のようにすることが好ましい。
多層フィルムを製造する技術には様々な方法があるが、比較的、積層精度に優れる方法として、マルチマニホールド式ダイ、もしくは口金上流に多層積層構造を有するフィードブロックを使用する方法が公知方法として存在する。
しかし、マルチマニホールド式ダイは1台あたりの価格が非常に高く、また、層数を10層以上にすることは現実的ではなく、フィードブロックとスクエアーミキサーを併用して層数を調節する方法が好ましい。
フィードブロックの形態としては、例えば本発明のように2種類のポリマーを交互に積層する場合、次のような方法が存在する。フィードブロック内でポリマーAおよびポリマーBを、それぞれマニホールドにて均一に拡げた後、櫛状の流路構造を持つ合流板に、ポリマーAとポリマーBが交互に流入するように各流路を調整し、ポリマーAとポリマーBを一度に積層する方式がある。このタイプのフィードブロックを便宜上、タイプIのフィードブロックと呼ぶ。図1に、タイプIのフィードブロックの、ポリマーAとポリマーBの合流部分の平面図を例示する。
また、別の方法としては、フィードブロック内でポリマーAおよびポリマーBを各層数分それぞれ分流して、分流したポリマーを流れ方向に行くに従い、順次交互に合流させて積層する方法がある。例えば、分流板を通してポリマーAを5つに、ポリマーBを4つに分流させて、合流板にて徐々に、交互にサンドイッチするよう流路を配置した場合、最も上流部分ではポリマーA単層であるが、下流に行くに従い、B/A/BからA/B/A/B/Aと徐々に積層数が増加し、最終的にはA/B/・・・/Aの9層構造のものが得られる。特に、各分流層がそれぞれマニホールドを設けている構造が、層厚みを精細にコントロールすることができて好ましい。このタイプのフィードブロックを便宜上、タイプIIのフィードブロックと呼ぶ。図2に、タイプIIのフィードブロックの、ポリマーAとポリマーBの合流部分の平面図を例示する。
本発明の積層構成の場合、AQ/BQの比率が大きいことから、タイプIのフィードブロックタイプでは、合流板の仕切板3が、樹脂圧の差や繰り返し使用により非常に変形しやすい。仕切板が変形すると、流路の開口度が変わり、積層厚みは大きく変化することから好ましくない。この問題に対して、例えば仕切板を厚くするという方法が存在するが、フィードブロックの大型化につながり、また、仕切板を厚くした分だけ合流したときの厚み圧縮比が大きくなるため、ポリマーの流動性によっては、大きな積層むらを生じてしまうため好ましくない。タイプIIのフィードブロックは、それぞれの流路断面比を流動解析に基づいて設計する必要があるものの、装置の変形といった致命的な問題は存在しないことから、好ましい。
さらに、タイプIのフィードブロックは、各層の流量をスリット間隙で調整するものであるが、各層に対応するような独立したマニホールドを持たないために、スリット内の幅方向で流速分布が発生する。このため、幅方向に積層比率が異なるような積層ムラが生じ、本発明の必要物性を達成することができない。タイプIIのフィードブロックは各層で独立したマニホールドを持つため、積層厚み比を精細にコントロールすることができる。この観点からもタイプIIのフィードブロックを選出することが必要である。
また、各層の流路構造を以下のようにすることが好ましい。ポリエステルA層の流路断面積(AA)と共重合ポリエステルB層の流路断面積(BA)の比と、ポリエステルA層の吐出(AQ)と共重合ポリエステルB層の吐出(BQ)が下記式の範囲にあることが好ましい。
0.7≦(BA/AA)/(BQ/AQ)≦1.4 (5)
(5)式から外れる場合、積層フィルムに流量むらに起因した木目状の模様(フローマーク)が現れるようになり、引裂エネルギーが大幅に低下するため好ましくない。
また、フィードブロックおよびスクエアーミキサーの合流部の流路断面形状は、四角形であることが好ましく、特にフィルム幅方向が長径の長方形であることが、ポリマーの拡幅と圧縮の観点から好ましい。
本発明の積層フィルムでは、ヘイズが3%以下であることが好ましい。より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。ヘイズが3%より大きい場合には、視認性が低下するため好ましくない。ヘイズを3%以下にするためには、剛性なポリエステルと剛性な共重合ポリエステルとの積層フィルムとからなる積層フィルムであることが好ましい。ここで剛性とは、材料の引張弾性率が1400MPa以上のことと定義される。このような場合には、経時での白化がないため、ヘイズの増加がおきにくい。また、ヘイズを2%以下にする方法としては、上記剛性ポリエステルを使用するとともに、積層フィルム中の粒子濃度を0.02wt%以下にすることが好ましい。また、ここでいう粒子とは、フィルムの巻き特性の確保のための粒子であり、平均粒径としては、0.02μm以上3.0μm以下であることが好ましい。この粒子濃度が低すぎると、巻き特性を損なうことから、この粒子がフィルムの極表層に集中していることが好ましい。そして、ヘイズ1%以下にする方法としては、上記粒子濃度を0.015wt%以下にすることが好ましい。
また、フィルムの引き裂きは、エネルギーの消費に従い減速していくため、高速領域(1〜3m/s)での引裂エネルギーもさることながら、低速領域(0.01〜0.1m/s)での引裂エネルギーも10J/mm以上であることが好ましい。また、引裂エネルギーが300J/mm以上であると、落球衝撃時に引き裂きが伝播せずにエネルギーが消費されないことから、引裂エネルギーは300J/mm未満であることが好ましい。より好ましくは30J/mm以上300J/mm未満であり、さらに好ましくは40J/mm以上300J/mm未満である。低速領域での引裂エネルギーも破壊速度に依存しているが、高速領域の引裂エネルギーと比較して、その依存比率は小さく、ポリエステルA層と共重合ポリエステルB層の厚みの比率が、下記式(6)の範囲にあれば達成することができる。
1/20≦B/A≦1/4 (6)
(A:ポリエステルA層の厚み、B:共重合ポリエステルB層の厚み)
本発明の積層フィルムでは、樹脂Bからなる層が、1,4−シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエチレンテレフタレートを主たる成分とすることが好ましい。より好ましくは、樹脂Bからなる層が、1,4−シクロヘキサンジメタノールを15mol%以上45mol%以下共重合されたポリエチレンテレフタレートを主たる成分とすることが好ましい。このような構成の場合に、本発明の目的とする耐引裂性に優れ、また、1,4−シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエステルを含有している層は、透明性に優れるとともに、常温にて経時変化し白化することがほとんどないので、視認性にもすぐれる。
ここで、樹脂Bからなる層の各厚みが、0.14μm以上0.7μm以下であることが好ましい。このような構成の場合に、高速引裂エネルギーを有するフィルムを得ることが可能となる。
本発明の積層フィルムは、フィルム幅方向に200mm離れた任意の3点において、引裂速度3m/sにおける引裂エネルギーの差の絶対値が2J/mmであることが好ましい。この差が2J/mmより大きい場合、サンプリング箇所により非常に大きなばらつきを生じることから、ガラスに貼り付けた場合、十分な防犯性能を示さない場合があり、好ましくない。この要件は、幅方向の積層比率を均一にすることが必要である。
その、達成方法の一つとして、フィードブロック内のポリマー流路を等温状態に保つことが好ましい。つまり、溶融ポリマーと溶融ポリマーの流路壁面との間で絶えず起きている熱交換により、実際には溶融ポリマーの温度分布が存在し、流速が変化することから、フィードブロック内部の温度状態は均一であることが必要である。特にフィードブロックは形状が大きいため、包み込み式の電気ヒーターだけでは、フィードブロック内部を均一な温度を保つのは非常に困難である。そのため、通常の外部電気ヒーターと併用して、フィードブロック内部の、特に合流前のポリマー流路付近に、熱交換器を有することが好ましい。この熱交換器の形態は特に限定されるものではないが、利便性とコストの観点から、埋め込みタイプのヒートパイプであることが好ましい。ここで言うヒートパイプとは、主として金属製のパイプの中に、作動流体として、水やナフタレンなどを真空下で封入し、一方、パイプの内壁部に作動流体が毛細管現象で輸送されるべく、ウイックと呼ばれる金網等の媒体が設けられたものである。このヒートパイプに温度の分布を設けると、高温部においては、作動流体がその温度における気液平衡状態となるべく、気化することにより内圧が高まり、この気体が圧力の低い低温部へ輸送される。次に低温部においては、その温度における気液平衡状態になるべく、液化し、増えた液体がウイックにおける毛細管現象により高温部へ輸送されるものである。この気化、液化時に作動流体の蒸発潜熱が消費、放出されるため、流体の移動とともに熱が効率的に輸送されることとなる。すなわち、単なる金属の熱伝導ではなく、より大きな熱輸送能力を有する熱輸送媒体として作用し、ヒートパイプのあらゆる位置において、均温化の効果を有するものである。
ここで、本発明におけるヒートパイプの作動流体としては、実質的に水であることが好ましい。ここで言う実質的に水とは、90重量%以上の水を含んだ溶液を指し、アルコールや水溶性の金属塩等を含んでもよいということである。ただし、特に好ましくは、純水
である。従来ヒートパイプの作動流体としては、200℃以下といった低温域では、水が作動流体として用いられている。水は大きな蒸発潜熱を有するため、非常に効率の高いヒートパイプを作成することができる。ところが、200℃を越えるような温度で利用する場合、ヒートパイプの内圧が非常に高くなるため、このような耐圧を有するヒートパイプを作成することが困難となり、このような温度領域においては、ナフタレンを作動流体と
して利用することが多かった。ところが、ナフタレンを利用した場合、350℃を越えるような温度域では有効に働くものの、200℃〜350℃の温度領域では作動性が悪く、熱輸送の効率が悪い状態にあった。ところが、銅とニッケルの合金材料を使用し、350℃程度まで使用可能な水を作動流体とするヒートパイプを作成することが可能になったため、この水系のヒートパイプをフィードブロック内部の流路付近に挿入することにより、ポリマーの均温化を図ることが可能となる。
ヒートパイプの配置数は過剰にある必要はないが、少なくとも各ポリマー流路から等間隔の位置にあり、偏りのない配置構成であることが好ましい。挿入する本数としては、特に制限されるわけではないが、本数が多いほど均温化効果が高く、しかし多くなればコストが高くなるため、一般的には2本〜20本程度が好ましい。
また、ポリマーAとポリマーBの溶融温度が異なる場合、この熱交換器は、ポリマーAとポリマーBの流路で独立して存在していることが好ましい。これにより、合流に至るまでの各ポリマー温度を精密にコントロールでき、溶融温度の異なるポリマー同士の合流をスムーズに行うことができる。特に共重合ポリエステルは、熱劣化しやすく、粘度低下により積層精度を損ねることから、合流に至るまでの温度制御は重要である。図3に、ヒートパイプの好ましい配置図を例示する。
さらに溶融ポリマー流路が、加熱することによる熱変形を考慮されていることがなお好ましい。また、スクエアーミキサーを使用した場合、ポリマーの総吐出量(Q)と、スクエアーミキサーの長さ(L)とスクエアーミキサーの総流入口断面積(A)が下記式(7)を満たしていることが好ましい。
0.020≦Q/(L*√A)≦0.100 (7)
(Q:ポリマーの総吐出量;kg/hr、A:スクエアーミキサーの総流入口断面積;mm2、L:ミキサーの長さ;mm)
ポリマーの総吐出量(Q)と、スクエアーミキサー形状が(7)の関係式から外れる場合、スクエアーミキサー内でポリマーの流量むらがわずかに発生して、各層厚みが不均一になり、フィルム幅方向において高速引裂エネルギーが低下する点が存在するようになり、品質のばらつきとなるため好ましくない。
本発明の積層フィルムは建材窓ガラスや車両窓ガラスに貼り付けることにより、防犯性能の高い窓となる。防犯性能とは、打ち破り、こじ破り、焼き破りなどの侵入方法に対して、その侵入にかかる時間を長くするものであり、本発明の高いガラス保護性能はこれらに対し高い効果を示す。特に、本発明の積層フィルムがガラスとともにサッシ、ドットポイント、ラバーなどのガラス固定部の一部に把持されているとより高い効果が得られ、防犯窓としてより好ましい。
次に、本発明の積層フィルムについて、好ましい製造方法を以下に説明する。
ポリエステル樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
多層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、マルチマニホールド式ダイやフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。特に、本発明の積層フィルムは、厚みによって最適な積層数が異なることから、フィードブロックとスタティックミキサーを組み合わせる方法が好ましい。
ダイから吐出された積層構造を有するシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。延伸温度としては、ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度から+60℃の範囲にあることが好ましい。
また、こうして得られたフィルムの表面に、グラビアコーターやメタリングバー等のコーティング技術を用いて、コーティングを施すことにより、易接着層や易滑層、高光線透過率層を付与しても構わない。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。延伸温度としては、ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度から+60℃の範囲にあることが好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。本発明の積層フィルムではより高い引裂エネルギーを得るために、100℃以上190℃以下の温度で熱処理することが好ましい。さらに平面性と寸法安定性を付与するために、1%以上15%以下の範囲で幅方向に弛緩処理をすることが好ましく、この後、室温まで冷やして巻き取られる。
こうして巻き取られたフィルムを任意の寸法にスリットした後、コーターを用いて粘着層やハードコート層を設ける。コーターとしては、一般的にはナイフコーター、ロールコーター、カレンダーコーター、コンマコーターなどが多く用いられる。また、塗工厚みや材料の粘度によっては、グラビアコーター、ロッドコーターにより行うことができる。また、粘着剤組成物は、転写印刷の場合と同様の方法でリリースシートからの転写により塗布され得る。組成物はそのままで、または適切な溶剤により、またはエマルジョンもしくはラテックスとして塗布され得る。適当なモノマーおよび添加剤を直接、基材に塗布し、その場で熱、放射、またはその他の適切な当業者には既知の方法により硬化され得る。このようにして接着剤組成物から粘着剤層が形成される。粘着剤層の厚みは1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは1〜15μmである。
また、落球性能の向上を図るために、粘着剤層を介してフィルム同士を貼り合わせても良い。その場合、粘着剤層とフィルムとの間で、光散乱による透明性低下が起きるため、貼り合わせるフィルムの枚数は5枚以下が好ましい。
こうして得られたガラス保護フィルムは、ガラスの破損防止・飛散防止と高い透明性とを両立できたフィルムであり、高いガラス飛散防止機能と高い透明性とを要求される建築用のガラス保護フィルムに好適である。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)引裂速度1m/sおよび3m/sにおける引裂エネルギー
JISハンドブック(1999年度版)掲載のJIS K 7128−1(トラウザー引裂法)に準拠した方法で引裂エネルギーを求めた。幅50mm、長さ150mmのサンプルに、長さ方向に切り込みを75mm入れ、引張試験機にて片足ずつ把持し、残り75mmを、速度1m/sおよび3m/sで引き裂いたときのエネルギー(J)を求めた。データのサンプリング区間は、引裂開始(荷重の立ち上がり点)から、フィルムをすべて引き裂き終えたところまでとし、その区間をL(mm)とした。各区間長における引裂力(N)を区間Lで積分し、区間長を規格化するため、実測値に150/Lをかけて、さらにフィルム厚みで除した値を引裂エネルギー(J/mm)として求めた。このときの引張試験機はサーボパルサーEHF−E05H−10L(島津製)を使用し、引張速度が1m/sないし3m/sに到達するまでに助走区間を30mm設けた。フィルム測定箇所は、フィルム幅方向において、フィルムの中心位置(幅1200mm幅の本サンプルの場合、端部から垂直に600mm離れた箇所)と、また、中心位置から幅方向に200mm離れた2箇所を測定した。方向は押出機側を北、巻取り機側を南としたとき、西側を+、東側を−とした。なお、この引裂エネルギーは縦方向および横方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。なお、サンプリング区間が20mm(引張試験機の計測上では40mm)に満たないで引き裂き終えたものや、切り込み部分以外から引き裂きが生じていた場合は棄却した。
(2)引裂速度0.01および0.1m/sにおける引裂エネルギー
JISハンドブック(1999年度版)掲載のJIS K 7128−1(トラウザー引裂法)に準拠した方法で引裂エネルギーを求めた。幅50mm、長さ150mmのサンプルに、長さ方向に切り込みを75mm入れ、残り75mmを、テンシロン引張試験機RTA100(オリエンテック製)で、速度0.01m/sおよび0.1m/sで引き裂いたときのエネルギー(J)を求め、これを厚みで除した値(J/mm)を算出した。サンプリング区間は(1)と同様とした。なお、この引裂エネルギーは縦方向および横方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。
(3)ヘイズ
直読式ヘイズメーターHGM−2DP(スガ試験機器製作所製)を用いて測定した。ヘイズ(%)は拡散透過率を全光線透過率で除し、100を乗じて算出した。
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度より次式から計算される値を用いた。すなわちηsp/C=[η]+k[η]2×Cここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ量(g/100ml)、Kはハギンス定数(0.343)。溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計にて測定した。
(5)層構成および層厚み
フィルムの層構成は、フィルムの断面観察より求めた。すなわち、ウルトラミクロトーム ウルトラカットUCT(ライカ製)にて冷凍破断した断面を、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を3000〜200000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。
(6)防犯性能
欧州規格EN356(1999年度版)に準拠し、落下高さを変えたときの耐貫通性能を評価した。詳細条件は以下の通り。判定基準は、下記試験を3回行い、1回でも落球が貫通した場合を×、貫通がなく裂けや破れがほとんどない場合を○とした。
使用鋼球:直径100mm、重さ4.1Kg
落下方法:中心付近の一辺130mmの正三角形の各頂点に順に落下。
加撃回数:正三角形各頂点に一回ずつ計三回。
落下高さ:1.5mおよび3m
試験サンプルの大きさ:900mm×1100mm
ガラス:厚み5mmのフロートガラス。
固定方法:ガラスのエッジ部分までフィルムを貼り、サッシに飲み込ませガラスをはめこむ。これを衝撃時に動揺しないように、四辺を固定。
(7)外観
目視で、積層フィルムを透かし見たとき、フローマークがまったくなく、口金スジや異物、表面傷などの影響を除いて、向こう側の風景が歪むことなくクリアに見える場合を○、わずかにでも木目状のフローマークが見られる場合を×とした。
(実施例1)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、共重合ポリエステル樹脂Bとして、固有粘度0.72のシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート(イーストマン製 Easter6763。以下、CHDM共重合PETと略す)を用いた。これらポリエステル樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
ポリエステル樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、図3と同様の構造を持つ33層構造のタイプIIのフィードブロックにて合流させた。ポリマーAを17層、ポリマーBを16層にそれぞれ分流板を通して分流した後、各マニホールドで均一に幅方向にポリマーを拡げた後、徐々に、交互に合流させて積層し、33層になるようにした。また、フィードブロックは、図3の例示のように、マニホールド5から合流流路4までの各ポリマー流路を取り囲むようにヒートパイプを配置した。ヒートパイプの作動流体には水を用いた。ここで、積層厚み比がB/A=1/14になるよう、吐出量にて調整した。このときの総吐出量は約1000kg/hrであった。このようにして得られた計33層からなる積層体をTダイに供給してシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にポリエステル/メラミン架橋剤/平均粒径140nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、易滑・易接着層を設けた。そして、テンターに導き、120℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で150℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。こうして得られた二軸延伸フィルムは幅1200mm、厚み100μmであった。また、このときのA層の平均厚みは5.8μm、B層の平均厚みは0.42μmであった。
このフィルムをスリットした後、コーターを用いて片面に以下の比率で配合した粘着剤を塗布することにより粘着層を形成した。得られた結果を表1に示す。
オクチルアクリレート 50部
酢酸ビニル 50部
ヒドロキシエチルアクリレート 5部
メラミンレジン 10.5部
紫外線吸収剤 5部
(実施例2)
総吐出量1000kg/hrで一定のまま、積層厚み比がB/A=1/19になるように、A層/B層の各吐出量を調整した以外は実施例1と同様とした。このときのA層の平均厚みは5.9μm、B層の平均厚みは0.31μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にポリエステル樹脂AおよびBを、それぞれ押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、図3に例示される9層構造のタイプIIのフィードブロックにて合流させた。ポリマーAを5層、ポリマーBを4層にそれぞれ分流板を通して分流した後、各マニホールドで均一に幅方向にポリマーを拡げた後、徐々に、交互に合流させて積層し、9層になるようにした。フィードブロックの後に流入口面積3200mm2、長さ200mmのスタティックミキサーを2段通して、ポリエステル樹脂Aが17層、ポリエステル樹脂Bが16層の計33層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。ここで、積層厚み比がB/A=1/14になるよう、吐出量にて調整した。それ以外は、実施例1と同様の条件とした。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用い、滑剤として、平均粒径0.5μmのコロイダルシリカ粒子を0.3重量%添加した。また、共重合ポリエステル樹脂Bとして、固有粘度0.72のシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート(イーストマン製 Easter6763。以下、CHDM共重合PETと略す)を用いた。
このキャストフィルムを、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.2倍延伸した。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面にポリエステル/メラミン架橋剤からなる積層形成膜塗液を塗布し、易接着層を設けた。それ以外は実施例1と同様の条件とした。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様のフィードブロックにて33層の積層体を得た。ただし、ヒートパイプは使用せず、ヒートパイプを挿入する空洞部分には、ダミーの金属筒を差し込んだ状態で積層を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
流入口面積3200mm2、長さ60mmのスタティックミキサーを用いた以外は、実施例3と同様とした。得られた結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例3と同様にした。ただし、スタティックミキサーを使用せず、スタティックミキサー部分を、ストレート流路の短管を用いたため、最終的な層数は9層であった。このときの積層厚み比がB/A=1/14になるよう、吐出量にて調整した。このときの総吐出量は270kg/hrである。それ以外は実施例3と同様の条件で製膜を行った。こうして得られた二軸延伸フィルムは、幅1200mm、フィルム厚み25μmであった。得られた結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1の積層フィルム2枚を、粘着剤層が向かい合わないようにして貼りあわせした。得られたフィルムの総厚みは、220μmであった。得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
総吐出量1000kg/hrで一定のまま、積層厚み比がB/A=1/10になるようにB層/A層の各吐出量を調整した以外は実施例1と同様とした。得られた結果を表3に示す。
(比較例2)
ポリエステル樹脂AおよびBを、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、図2と同様の構造を持つ33層構造のタイプIのフィードブロックにて合流させた。ポリエステル樹脂AおよびBは、一定の間隔で仕切られた矩形孔を持つ分流板を通して多層に分岐した後、櫛状の流路構造を持つ合流板に、ポリマーAとポリマーBが交互に流入させて、33層になるようにした。あとは実施例1と同様の条件で製膜を行った。得られた結果を表3に示す。
(比較例3)
総吐出量1000kg/hrで一定のまま、積層厚み比がB/A=1/24になるように、A層/B層の各吐出量を調整した以外は実施例1と同様とした。このときのA層の平均厚みは6.0μm、B層の平均厚みは0.25μmであった。得られた結果を表3に示す。
(比較例4)
ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。また、共重合ポリエステル樹脂Bとして、セバシン酸が40mol%共重合された固有粘度0.67の共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、セバシン酸共重合PETと略す)を用いた以外は実施例1と同様にした。得られた結果を表4に示す。
(比較例5)
比較例1の積層フィルム2枚を、粘着剤層が向かい合わないようにして貼り合わせた。得られたフィルムの総厚みは、220μmであった。得られた結果を表4に示す。
(比較例6)
熱可塑性樹脂として固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのみからなる単膜フィルムとした以外は、実施例1と同様とした。得られた結果を表4に示す。
Figure 2006044212
Figure 2006044212
Figure 2006044212
Figure 2006044212
本発明の積層フィルムは、建材用窓ガラス、車両用窓ガラス等のガラス保護フィルムとして利用できる。
タイプIのフィードブロックの合流部分の例図 タイプIIのフィードブロックの合流部分の例図 タイプIIのフィードブロックの合流部分のヒートパイプ配置の例図
符号の説明
1:ポリエステル樹脂Aの流路
2:共重合ポリエステル樹脂Bの流路
3:仕切板
4:ポリマーの合流流路
5:マニホールド
6:共重合ポリエステル流路部分のヒートパイプ
7:ポリエステル流路部分のヒートパイプ

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂Aからなる層と、共重合ポリエステル樹脂Bからなる層が、少なくとも厚み方向に5層以上積層された積層フィルムであって、引裂速度1〜3m/sにおける引裂エネルギーが10J/mm以上50J/mm未満であることを特徴とする積層フィルム。
  2. ヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 引裂速度0.01〜0.1m/sにおける引裂エネルギーが10J/mm以上300J/mm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 樹脂Bからなる層が1,4−シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエチレンテレフタレートを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 樹脂Bからなる層の各厚みが、0.14μm以上0.7μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. フィルム幅方向に200mm離れた任意の3点において、引裂速度3m/sにおける引裂エネルギーの差の絶対値が2J/mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. ガラスに貼り付けられて用いられることを特徴する請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
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