JP2006041357A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面に電極3が設けられた半導体基板1と、半導体基板1を覆うように設けられ、電極3と整合する位置に第1の開口部16を有する第1の絶縁樹脂層11と、第1の絶縁樹脂層11の上に設けられ、第1の開口部16を介して電極3と接続された第1の配線層12と、第1の絶縁樹脂層11及び第1の配線層12を覆うように設けられ、半導体基板1の表面に沿う位置が第1の開口部16とは異なる位置に開口した第2の開口部17を有する第2の絶縁樹脂層13と、第2の絶縁樹脂層13上に設けられ、第2の開口部17を介して第1の配線層12と接続された第2の配線層14とを有する半導体装置10であって、第2の配線層14は誘導素子15を有し、第1の絶縁樹脂層11と第2の絶縁樹脂層13との層厚の和が5μm以上60μm以下である。
【選択図】 図2
Description
このような電磁エネルギーの損失の原因の一つは、配線と半導体基板との垂直的距離が近く、寄生キャパシタンスの影響が無視できなくなることである。そこで、半導体基板と誘導素子との間に厚い樹脂層を介在させて、電磁エネルギーの損失を抑制するという提案がある(例えば、日経マイクロデバイス誌、2002年3月号、p.125−127参照)。
この半導体装置20においては、集積回路2が形成された半導体基板1の表面に集積回路2(IC)の電極3およびパッシベーション膜4(絶縁膜)が設けられている。
さらに、半導体基板1のパッシベーション膜4の上には、電極3と接続された下部配線層21が形成されており、さらに半導体基板1及び下部配線層21の上を覆うように絶縁樹脂層22が形成されており、この絶縁樹脂層22の上に誘電素子としてスパイラルコイル24を有する上部配線層23が設けられている。スパイラルコイル24は、下部配線層21を介して集積回路2の電極3と接続されている。
まず、図10(a)に示すように、集積回路2、電極3およびパッシベーション膜4を有する半導体基板1を用意する。この半導体基板1は、例えば電極3としてAlパッドが設けられたシリコンウェハの上にSiNまたはSiO2等のパッシベーション膜4が形成されたものである。このパッシベーション膜4には、電極3と整合する位置に開口部5が設けられており、この開口部5を通して電極3が露出されている。パッシベーション膜4は、例えばLP−CVD法等により形成することができ、その膜厚は例えば0.1〜0.5μmである。
まず、図11(a)に示すように、集積回路2、電極3およびパッシベーション膜4を有する半導体基板1を用意する。この半導体基板1は、図10(a)に示す半導体基板1と同様のものであるので、重複する説明を省略する。
下部配線層21の材料としては例えばAlやCuが用いられ、その厚さは例えば0.1〜10μmである。下部配線層21は、例えばスパッタリング法、蒸着法、メッキ法などにより形成することができる。
上部配線層23の材料としては例えばCuが用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。上部配線層23は、例えば電解メッキ法などにより形成することができる。
ここで、図12に、従来の半導体装置の等価回路を示す。図12において、CSは、スパイラルコイルのキャパシタンスであり、RSは、スパイラルコイルの電気抵抗であり、LSは、スパイラルコイルのインダクタンスであり、C(OX+Resin)は、パッシベーション膜および絶縁樹脂層によるキャパシタンスであり、CSiは、半導体基板(シリコン基板)のキャパシタンスであり、RSiは、半導体基板(シリコン基板)の電気抵抗である。
(1)下部配線層21と半導体基板1との距離が近いため、寄生キャパシタンスにより、CSiが増大し、エネルギー損失が生じる。
(2)下部配線層21と上部配線層23(スパイラルコイル24)との距離が近いため、CSが増大し、エネルギー損失が生じる。
(1)スパイラルコイル24と半導体基板1との距離が近いため、渦電流損失によりRSiが増大し、エネルギー損失が生じる。
(2)下部配線層21(スパイラルコイル24)と上部配線層23との距離が近いため、CSが増大し、エネルギー損失が生じる。
図1、図2は、本発明の半導体装置の一例を示す図面であり、図1は平面図、図2(a)は部分切欠斜視図、図2(b)は、図1のA−A線に沿う断面図である。
さらにこの半導体装置10は、半導体基板1のパッシベーション膜4上に設けられた第1の絶縁樹脂層11と、この第1の絶縁樹脂層11の上に設けられた第1の配線層12と、第1の絶縁樹脂層11及び第1の配線層12を覆うように設けられた第2の絶縁樹脂層13と、第2の絶縁樹脂層13上に設けられた第2の配線層14とを有する。
ここでは、スパイラルコイル15を有する配線層を集積回路2と接続するための電極3が、半導体基板1の表面の2箇所に設けられている。
図1,図2では、半導体基板上の誘導素子1個に対応する部分のみを図示したが、本発明は、いうまでもなく、半導体ウエハ等の半導体基板上に複数の誘導素子を設けることにも適用することができる。また、特に図示しないが、本発明の半導体装置には、第2の配線層14を封止する封止層、バンプ等の外部への出力端子等、種々の構造物を付加することができる。
第1の絶縁樹脂層11は、例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、第1の開口部16は、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
第1の配線層12の材料としては例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより充分な導電性が得られる。第1の配線層12は、例えば、電解銅メッキ法等のメッキ法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
第2の配線層14の材料としては例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより充分な導電性が得られる。第2の配線層14は、例えば、電解銅メッキ法等のメッキ法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
封止層は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、その厚さは例えば10〜150μmである。封止層には、外部への端子を出力するための開口部が設けられる。
本形態例の半導体装置においては、第1の配線層12の層厚が、第2の配線層14の層厚以下であることが好ましい。特に、第1の配線層12の層厚を第2の配線層14の層厚で除した値が、0.3〜0.5であることが好ましい。
また、第1の配線層12の厚さが、第2の絶縁樹脂層13の厚さよりも薄いことが好ましい。
図3(a)〜(e)は、上記半導体装置の製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。図3(a)〜(e)の断面図は、図1のA−A線に沿う位置の断面を示す。
この半導体基板1は、上述したように、表面に電極3とパッシベーション膜4が形成されており、パッシベーション膜4には電極3と整合する位置に開口部5が設けられた半導体ウエハである。
このような第1の絶縁樹脂層11は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによってパッシベーション膜4上の全面に成膜(第1の絶縁樹脂層形成工程)した後、フォトリソグラフィ技術等を利用したパターニングなどにより、電極3と整合する位置に第1の開口部16を形成する(第1の開口部形成工程)ことによって形成することができる。
ここで、第1の配線層12を形成する好適な方法の一例について説明する。
まず、スパッタ法等により、電解めっき用の薄いシード層(図示略)を第1の絶縁樹脂層11上の全面または必要な領域に形成する。シード層は、例えばスパッタ法により形成されたCu層及びCr層からなる積層体、またはCu層及びTi層からなる積層体である。また、無電解Cuメッキ層でもよいし、蒸着法、塗布法または化学気相成長法(CVD)等により形成された金属薄膜層であってもよいし、上記の金属層形成方法を組み合わせてもよい。
次に、シード層の上に、電解メッキ用のレジスト膜(図示略)を形成する。このレジスト膜には第1の配線層12の形成すべき領域に開口部を設け、該開口部において前記シード層を露出させておく。レジスト膜は、例えばフィルムレジストをラミネートする方法、液体レジストを回転塗布する方法等により形成することができる。
そして、前記レジスト膜をマスクとして露出したシード層上に、電解めっき法等によりCu等から構成された第1の配線層12を形成する。このように、所望の領域に第1の配線層12が形成された後、不要なレジスト膜及びシード層はエッチングにより除去し、第1の配線層12が形成された領域以外の部分では第1の絶縁樹脂層11が露出されるようにする(図3(c)参照)。
このような第2の絶縁樹脂層13は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによって第1の絶縁樹脂層11及び第1の配線層12の全面を覆うように成膜(第2の絶縁樹脂層形成工程)した後、フォトリソグラフィ技術等を利用したパターニングなどにより、第1の配線層12の他端部12bと整合する位置に第2の開口部17を形成する(第2の開口部形成工程)ことによって設けることができる。
封止層の形成後、前記誘導素子などの各種構造物が形成された半導体ウエハを所定の寸法にダイシングすることにより、前記誘導素子などがパッケージ化された半導体チップを得ることができる。
半導体基板と誘電素子との間に、第1及び第2の樹脂層を介在させることにより、半導体基板と誘電素子との距離が離れ、半導体基板の抵抗(図12のRSiを参照)が減少し、渦電流損失が低減する。また、半導体基板に近い側の第1の配線層が電極と誘電素子とを接続する接続用配線であり、半導体基板から離れた側の第2の配線層に誘電素子が設けられているため、半導体基板と誘電素子との距離が離れ、誘電素子から発生する磁束による渦電流損失が低減する。
このとき、インダクタの抵抗(RS)の中では、第2の配線層の抵抗が支配的となる。また、第1および第2の絶縁樹脂層の厚さを一定としたとき、第2の絶縁樹脂層の厚さがあまりに薄いと、第1の配線層と第2の配線層との間隔が小さくなり、インダクタのキャパシタンス(CS)の増大によりエネルギー損失の影響が無視できなくなる。これは、第2の絶縁樹脂層(図2参照)のなかには、第1の絶縁樹脂層の直上に設けられた部分と、第1の配線層の上に設けられた部分とがあるので、第1の配線層があまりに厚いと、第2の絶縁樹脂層を形成する際に第1の配線層の上から樹脂が流れ出し、第1の配線層上の樹脂厚が目標の層厚よりも薄くなりやすいためである。
しかしながら、第1の配線層の厚さがあまりに薄いと、第1の配線層の断面積の縮小により電気抵抗が増大するので好ましくない。
第1の配線層の層厚を第2の配線層の層厚で除した値が、0.3以上0.5以下であることにより、キャパシタンス(CS)の増大等の影響が低減され、特性が一層優れた半導体装置を得ることができる。
本発明の実施例として、半導体基板に近い側の第1の配線層が接続用配線(アンダーパス)であり、半導体基板から離れた側の第2の配線層が誘電素子である半導体装置と、比較例として、半導体基板に近い側の第1の配線層が誘電素子であり、半導体基板から離れた側の第2の配線層が接続用配線(オーバーパス)である半導体装置を製造し、周波数とQ値の関係を測定した。
実施例の半導体素子と比較例の半導体素子は、上述のように誘導素子の配置を変えた以外には、絶縁樹脂層の厚さなどの条件を揃えて製造した。
図4中、実線は、誘電素子が第2の配線層に設けられた実施例の半導体素子のデータを示す。また、破線は、誘電素子が第1の配線層に設けられた比較例の半導体素子のデータを示す。
図4の結果に示すように、2層の配線層を設けるとしても、誘電素子を半導体基板から離れた側に設けたほうがQ値の高いインダクタを得ることができることが分かる。
表1に示すように、第1の絶縁樹脂層と第2の絶縁樹脂層の層厚の和が異なる幾つかの半導体装置を製造して、周波数が2GHzのときのQ値を測定した。
なお、これらの半導体装置では、半導体基板に近い側の第1の配線層が接続用配線(アンダーパス)であり、半導体基板から離れた側の第2の配線層が誘電素子である。
図5及び表1に、第1の絶縁樹脂層と第2の絶縁樹脂層の層厚の和(樹脂層の全厚さ)に対するQ値の関係を示す。この結果から、第1の絶縁樹脂層と第2の絶縁樹脂層の層厚の和が5μm以上60μm以下である場合に、Q値が20以上となり、Q値上昇の効果が高く、かつ、絶縁樹脂層の全厚さが不必要に大きくならずに済むことが分かる。
第2の配線層の厚さを10μmに揃え、第1の配線層の厚さを数通りに変えて複数の半導体装置を製造した。
なお、これらの半導体装置では、半導体基板に近い側の第1の配線層が接続用配線(アンダーパス)であり、半導体基板から離れた側の第2の配線層が誘電素子である。
図6に示すように、第1の配線層の厚さを第2の配線層の厚さで除した値が、0.3〜0.5の範囲内である場合、Q値が一層優れた半導体装置を得ることができることが分かる。
図7に示すように、第1の配線層の厚さが、第2の絶縁樹脂層の厚さに比べて薄いほど、第1の配線層と第2の配線層との間隔が大きくなった。このことから、第1の配線層の厚さが、第2の絶縁樹脂層の厚さに比べて薄いほど、Q値の高い、優れた半導体装置を得ることができるものと考えられる。
Claims (5)
- 表面に電極が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板を覆うように設けられ、前記電極と整合する位置に第1の開口部を有する第1の絶縁樹脂層と、
前記第1の絶縁樹脂層の上に設けられ、前記第1の開口部を介して前記電極と接続された第1の配線層と、
前記第1の絶縁樹脂層及び第1の配線層を覆うように設けられ、前記半導体基板の表面に沿う位置が前記第1の開口部とは異なる位置に開口した第2の開口部を有する第2の絶縁樹脂層と、
前記第2の絶縁樹脂層上に設けられ、前記第2の開口部を介して前記第1の配線層と接続された第2の配線層とを有する半導体装置であって、
前記第2の配線層は誘導素子を有し、前記第1の絶縁樹脂層と前記第2の絶縁樹脂層との層厚の和が5μm以上60μm以下であることを特徴とする半導体装置。 - 前記第1の配線層の層厚を前記第2の配線層の層厚で除した値が、0.3〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記誘導素子がスパイラルコイルであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
- 半導体基板とその表面に設けられた電極の上を覆うように、第1の絶縁樹脂層を形成する第1の絶縁樹脂層形成工程と、
前記第1の絶縁樹脂層に、前記電極を露出させる第1の開口部を形成する第1の開口部形成工程と、
前記第1の絶縁樹脂層の上に、前記第1の開口部を介して前記電極と接続された第1の配線層を形成する第1の配線層形成工程と、
前記第1の絶縁樹脂層及び第1の配線層の上を覆うように、第2の絶縁樹脂層を形成する第2の絶縁樹脂層形成工程と、
前記半導体基板の表面に沿う位置が前記第1の開口部とは異なる位置となる位置で前記第1の配線層と整合した第2の開口部を形成する第2の開口部形成工程と、
前記第2の開口部を介して前記第1の配線層と接続され、かつ誘導素子として機能する第2の配線層を前記第2の絶縁樹脂層上に形成する第2の配線層形成工程とを順に行い、
前記第1の絶縁樹脂層と前記第2の絶縁樹脂層との層厚の和が5μm以上60μm以下となるように制御することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記第1の配線層の層厚を前記第2の配線層の層厚で除した値が、0.3〜0.5となるように制御することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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