JP2006319094A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導素子を備えた半導体装置において、該誘導素子のインダクタンスを増大させ、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、少なくとも一面に電極が設けられた基板と、該基板の一面を被覆する第一の絶縁樹脂層11と、該第一の絶縁樹脂層11の上方に形成され、前記電極と電気的に接続された誘導素子16aと、該誘導素子16aに整合する位置に配された磁性部材14とを備えた半導体装置10であって、前記磁性部材は、接着性樹脂によって所定の位置に固着されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンウエハ等の半導体基材やポリイミド等の樹脂基材の上に誘導素子を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
近年、コスト削減やチップ部品の低減を目的に、インダクタ等の誘導素子を半導体基板に集積化する傾向がある。
シリコン基板表面にスパイラルインダクタを形成する場合、このインダクタによって作り出される電磁エネルギーの一部は、配線と下側の基板との間の寄生キャパシタンスによってシリコン基板やインダクタを形成する配線において失われる(例えば、特許文献1、特許文献2)
上記文献において、電磁エネルギーが失われる原因のひとつは、基板とスパイラルインダクタとの距離が近いことである。そこで、ウエハレベルCSP(chip scale package)の銅めっき再配線プロセスと、厚膜樹脂を絶縁層として利用することで、インダクタと基板間の距離を大きくとり、かつ配線抵抗を小さくすることにより、高いQ値を実現したインダクタが開発されている(例えば、非特許文献1)。
図11はスパイラルインダクタを有する従来の半導体装置の一例を示す図面であり、図11(a)は部分切り欠き斜視図、図11(b)は断面図である。
この半導体装置40においては、集積回路4が形成された半導体基板1の一面に集積回路(IC)の電極2およびパッシベーション膜3(絶縁膜)が形成されている。さらに、半導体基板1のパッシベーション膜3の上には、第一の絶縁樹脂層41が設けられ、この第一の絶縁樹脂層41の上には、電極2と電気的に接続された下部配線層42が形成されている。さらに半導体基板1および下部配線層42の上を覆うように第二の絶縁樹脂層43が形成されており、この第二の絶縁樹脂層43の上に、誘導素子としてスパイラルインダクタ45を有する上部配線層44が設けられている。スパイラルインダクタ45は、下部配線層42を介して集積回路4の電極2と電気的に接続されている。
しかしながら、このようなオンチップインダクタには、以下のような課題があった。
半導体チップのサイズが極めて小さいため、インダクタの大きさが制限され、インダクタンスが数nHから数十nHと小さい値しか得ることができない。インダクタンスを大きくするためにはスパイラルコイルの巻数を多くする必要があるが、その場合、コイルパターンの線幅が微細になり配線長も長くなることで、インダクタの直列抵抗が増大し、Q特性を劣化させる要因の一つとなる。また、チップの小型化の妨げや、コストアップに繋がる虞もある。
一方、インダクタンスを増加させるため、インダクタを磁生体膜で覆う方法があるが、半導体チップ上に厚い磁性部材膜(例えば10μm以上)を成膜することは非常に困難である。
したがって、例えばDC−DCコンバータ等、大きなインダクタンスが必要となる用途においては、オンチップインダクタが使用できないという問題があった。
特開2002−24657号公報 特開2003−86690号公報 日経マイクロデバイス2002年3月号125〜127ページ
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、誘導素子を備えた半導体装置において、該誘導素子のインダクタンスを増大させ、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置を提供することを目的とする。また、本発明は、インダクタンスが高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る半導体装置は、少なくとも一面に電極が設けられた基板と、該基板の一面を被覆する第一の絶縁樹脂層と、該第一の絶縁樹脂層の上方に形成され、前記電極と電気的に接続された誘導素子と、該誘導素子に整合する位置に配された磁性部材とを備えた半導体装置であって、前記磁性部材は、接着性樹脂によって所定の位置に固着されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る半導体装置は、請求項1において、前記磁性部材は、第一の絶縁樹脂層の上方に形成された第二又は第三の絶縁樹脂層に埋め込まれており、該磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなしていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体装置は、請求項1又は2において、前記誘導素子はスパイラル形状をなし、その下方に前記磁性部材が配されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る半導体装置は、請求項1又は2において、前記誘導素子はスパイラル形状をなし、その上方に前記磁性部材が配されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項1又は2において、前記誘導素子はソレノイド形状をなし、その内部に前記磁性部材が配されていることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る半導体装置の製造方法は、少なくとも一面に電極が設けられた基板と、該基板の一面を被覆する第一の絶縁樹脂層と、該第一の絶縁樹脂層の上方に形成され、前記電極と電気的に接続された誘導素子と、該誘導素子に整合する位置に配された磁性部材とを備え、前記磁性部材が、接着性樹脂によって所定の位置に固着され、前記第一の絶縁樹脂層の上方に形成された第二又は第三の絶縁樹脂層に埋め込まれており、該磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなす半導体装置の製造方法であって、前記第一の絶縁樹脂層の上方に、前記電極と電気的に接続された誘導素子を形成する工程と、前記誘導素子に整合した位置に、接着性樹脂により磁性部材を固着する工程と、前記磁性部材を被覆するように第二又は第三の絶縁樹脂層を形成する工程と、前記磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなすように、前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面を研磨する工程と、を少なくとも備えることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る半導体装置の製造方法は、請求項6において、前記研磨する工程は、前記第二又は第三の絶縁樹脂層が硬化した後に行われることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、磁性部材を接着性樹脂で固着させることにより、インダクタの近傍に厚い磁性部材を配置することができるので、インダクタンスの増大が図れる。その結果、Q値が高く、特性の優れた誘導素子を有する半導体装置の提供が可能となる。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、磁性部材の表面と第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなすように、第二又は第三の絶縁樹脂層の表面を研磨する工程を備えているので、磁性部材からなる誘導素子のパターン形状に依存せず、パターン間の隙間を第二又は第三の絶縁樹脂層が埋め、かつ磁性部材と第二又は第三の絶縁樹脂層が段差のない一面をなす形態が得られる。ゆえに、本発明の半導体装置の製造方法は、これらの表面を封止樹脂層で覆う場合、極めて薄い封止樹脂層でも均一に被覆することが可能となる半導体装置をもたらす。
以下、本発明に係る半導体装置の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<第一の実施形態>
以下では、本発明の第一の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
図1に示した半導体装置10は、磁性部材14が、第一の絶縁樹脂層11の上方に形成された第二の絶縁樹脂層13に埋め込まれており、磁性部材14の表面と第二の絶縁樹脂層13の表面とが略同一面をなしており、さらに誘導素子16aがスパイラル形状であり、その下方に磁性部材14が配されている一例である。
この半導体装置10においては、集積回路(図示略)が形成された半導体基板1の表面に集積回路(IC、図示略)の電極2およびパッシベーション膜3が形成されている。
さらにこの半導体装置10は、半導体基板1のパッシベーション膜3上に設けられた第一の絶縁樹脂層11と、この第一の絶縁樹脂層11の上に設けられた第一の配線層12と、第一の絶縁樹脂層11および第一の配線層12上に設けられた第二の絶縁樹脂層13と、第一の絶縁樹脂層11上に固着され、さらに第二の絶縁樹脂層13中に埋め込まれた磁性部材14と、第二の絶縁樹脂層13および磁性部材14上に設けられた第三の絶縁樹脂層15と、第三の絶縁樹脂層15の上に設けられた第二の配線層16と、第二の配線層16上に設けられた第四の絶縁樹脂層17と、第四の絶縁樹脂層17の上に設けられた第三の配線層18と、第三の配線層18を覆うように設けられた封止樹脂層19とを有する。
半導体基板1は、少なくとも表層が絶縁部(図示略)をなす基材1aの一面上に、例えば電極2としてAlパッドを設け、さらにその上にSiNまたはSiO等のパッシベーション膜3(不動態化による絶縁膜)を形成してなるものである。このパッシベーション膜3には、電極2と整合する位置に開口部4が設けられており、この開口部4を通して電極2が露出されている。パッシベーション膜3は、例えばLP−CVD法等により形成することができ、その膜厚は例えば0.1〜0.5μmである。
ここでは、スパイラルインダクタ16aを有する第二の配線層16を、集積回路と電気的に接続するための電極2が、半導体基板1の表面の2箇所(図では1箇所のみ表示)に設けられている。
なお、図1には、インダクタの2端子の内、一方の端子が基材1aの一面上にある電極2に、他方の端子が基材1aに配された不図示の電極に、それぞれ電気的に接続された例を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、他方の端子が基材1aとは別体をなす外部端子に接続される形態としてもよい。
また、磁性部材14は、インダクタ16aに整合する位置に配され、接着性樹脂(図示略)により所定の位置に固着されている。本発明では、磁性部材14を接着性樹脂で固着
することで、厚い磁性部材14であってもインダクタ16aの近傍に配置することができる。
なお、本明細書において、(インダクタ16aに)「整合する位置」とは、インダクタのコイル部分から発生する磁束が、効率的に磁性体内部を通過することができる位置を意味する。また、「所定の位置」とは、磁性部材を「整合する位置」に配する際に、磁性部材の下面が接する、絶縁樹脂層の表面部分を意味する。
一般に、磁性部材14は非磁性部材に比べて透磁率が大きく、しかも磁性部材14に覆われたインダクタ16aのインダクタンスはこの透磁率に比例する。このため、磁性部材14をインダクタ16aの近傍に配置することで、大きなインダクタンスを得ることができる。
インダクタ16aが有するインダクタンスをこの磁性部材14の透磁率に比例して大きくすることが可能である。したがって、比透磁率が数百程度の磁性部材(例えば、フェライトの透磁率が数百程度)を用いることによりインダクタンスを数百倍(磁性部材の透磁率によってはそれ以上)に上げることができる。
半導体基板1は、シリコンウエハ等の半導体ウエハでもよく、半導体ウエハをチップ寸法に切断(ダイシング)した半導体チップであってもよい。半導体基板1が半導体チップである場合は、まず、半導体ウエハの上に、各種半導体素子やIC、誘導素子等を複数組、形成した後、チップ寸法に切断することで複数の半導体チップを得ることができる。
第一の絶縁樹脂層11は、各電極2と整合する位置に形成された第一の開口部11aを有する。第一の絶縁樹脂層11は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、その厚さは例えば1〜30μmである。
第一の絶縁樹脂層11は、例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また第一の開口部11aは、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
第一の配線層12は、電極2とスパイラルインダクタ16aとを電気的に接続する再配線層(アンダーパス)である。第一の配線層12の一端部は、第一の開口部11aを介して第一の絶縁樹脂層11を貫通し、電極2と電気的に接続されている。また、第一の配線層12の他端部は、第二の開口部13aと整合する位置まで延びている。
第一の配線層12の材料としては、例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより十分な導電性が得られる。第一の配線層12は、例えば、電解銅めっき法等のめっき法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
第二の絶縁樹脂層13は、半導体基板1の表面に沿う位置が第一の開口部11aとは異なる位置に開口した第二の開口部13aを有する。この第二の開口部13aは、第二の配線層16の一端部に整合する位置に形成されている。
磁性部材14としては、例えばガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の各種磁性部材を用いることができる。
磁性部材14は、第一の絶縁樹脂層11上でインダクタ16aに整合する位置に接着性樹脂(図示略)により固着されており、さらに、第二の絶縁樹脂層13中に埋め込まれている。
磁性部材14の表面と第二の絶縁樹脂層13の表面とは略同一平面上にあることが好ましい。これにより装置の平坦化を図ることができ、半導体装置を、WLP(ウエハレベルパッケージ)に組み込むことができる。これにより装置の小型化を図ることができる。
第三の絶縁樹脂層15は、例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また第二の開口部13aは、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
第二の配線層16は、誘導素子としてのスパイラルインダクタ16aを有する。第二の配線層16の一端部は、第二の開口部13aを介して第三の絶縁樹脂層15を貫通しており、第一の配線層12の端部と接続されている。一方、第二の配線層16の他端部は、第三の開口部17aを介して第四の絶縁樹脂層17を貫通しており、第三の配線層18の端部と接続されている。
第二の配線層16の材料としては、例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより十分な導電性が得られる。第二の配線層16は、例えば、電解銅めっき法等のめっき法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
第四の絶縁樹脂層17は、半導体基板1の表面に沿う位置が第一の開口部11aおよび第二の開口部13aとは異なる位置に開口した第三の開口部17aを有する。この第三の開口部17aは、第二の配線層16の他端部に整合する位置に形成されている。
第三の配線層18の一端部は、第三の開口部17aを介して第四の絶縁樹脂層17を貫通し、第二の配線層16と電気的に接続されている。また、第三の配線層18の他端部は、外部への端子を出力するための開口部(図示略)と整合する位置まで延びている。
第三の配線層18の材料としては、例えばCu等が用いられ、その厚さは例えば1〜20μmである。これにより十分な導電性が得られる。第三の配線層1812は、例えば、電解銅めっき法等のめっき法、スパッタリング法、蒸着法、または2つ以上の方法の組み合わせにより形成することができる。
封止樹脂層19は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなり、その厚さは例えば1〜30μmである。封止樹脂層19には、外部への端子を出力するための開口部(図示略)が設けられる。
図1では、半導体基板上の誘導素子1つに対応する部分のみを図示したが、本発明は、複数の誘導素子を備えた半導体装置に適用することもできる。また、図示しないが、本発明の半導体装置には、封止樹脂層の上に、必要に応じて、バンプ等の外部への出力端子等の構造物を付加することができる。
以下では、図1に示す半導体装置の製造方法について説明する。
まず、集積回路(図示略)、電極2およびパッシベーション膜3を有する半導体基板1を用意する[図2(a)]。この半導体基板1は、上述したように、基材1aの一面上に電極2とパッシベーション膜3が形成されており、パッシベーション膜3には、電極2と整合する位置に開口部4が設けられた半導体ウエハである。パッシベーション膜3は例えばLP−CVD等により形成され、その膜厚は例えば0.1〜0,5μmである。
次に、半導体基板1のパッシベーション膜3の上に、第一の開口部11aを有する第一の絶縁樹脂層11を形成する[図2(b)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
このような第一の絶縁樹脂層11は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによってパッシベーション膜3の全面に成膜した後、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより、電極2と整合する位置に第一の開口部11aを形成することによって形成することができる。
次いで、第一の絶縁樹脂層11の上であって、半導体基板1上の電極2に整合する位置に第一の配線層12を形成する[図2(c)]。その厚さは、例えば1〜20μmであるこの第一の配線層12を所定の領域に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば国際公開第00/077844号公報に記載された方法を用いることができる。
ここで、第一の配線層12を形成する好適な方法の一例について説明する。
まず、スパッタリング法等により、電解めっき用の薄いシード層(図示略)を第一の絶縁樹脂層11上の全面または必要な領域に形成する。シード層は、例えばスパッタリング法により形成されたCu層およびCr層からなる積層体、またはCu層およびTi層からなる積層体である。また、無電解Cuめっき層でもよいし、蒸着法、塗布法または化学気相成長法(CVD)等により形成された金属薄膜層であってもよいし、上記の金属層形成方法を組み合わせてもよい。
次に、シード層の上に、電解めっき用のレジスト膜(図示略)を形成する。このレジスト膜には第一の配線層12の形成すべき領域に開口部を設け、該開口部において、前記シード層を露出させておく。レジスト膜は、例えば、フォトリソグラフィ技術によるパターニング、フィルムレジストをラミネートする方法、液体レジストを回転塗布する方法等により形成することができる。
そして、前記レジスト膜をマスクとして露出したシード層上に、電解めっき法等により、Cu等から構成された第一の配線層12を形成する。このように、所望の領域に第一の配線層12が形成された後、不要なレジスト膜およびシード層はエッチングにより除去し、第一の配線層12が形成された領域以外の部分では第一の絶縁樹脂層11が露出されるようにする[図(c)参照]。
次に、第一の絶縁樹脂層11上でインダクタ16aと整合する位置に、接着性樹脂(図示略)により磁性部材14を固着する。磁性部材14は、例えばフェライトやパーマロイ等の強磁性部材である。固定方法は、例えばエポキシ系等、接着性樹脂のフィルムあるいはペーストを用いて熱圧着により固定する。
そして、磁性部材14を覆うように第二の絶縁樹脂層13を形成し、磁性部材14を第二の絶縁樹脂層13の中に埋め込む[図2(d)]。その厚さは、例えば100〜300μmである。
次に、第二の絶縁樹脂層13の硬化後、第二の絶縁樹脂層13の表面を例えば、CMP(化学機械研磨)により平坦化を図り、第二の絶縁樹脂層13および磁性部材14を20〜30μmの厚さまで研磨する。これにより、第二の絶縁樹脂層13面と磁性部材14面が略同一面となる。
CMP工程では、ウエハ上に形成された絶縁樹脂層または配線層を、砥粒を含む研磨液を用いて研磨する。CMP工程後には研磨面に砥粒など多量のパーティクルが残存するため、この後に洗浄工程が必要となる。洗浄工程では、ブラシを用いて研磨面のパーティクルを除去する方法が適用されている。
そして、第二の絶縁樹脂層13および磁性部材14上に第三の絶縁性樹脂層15を形成する[図2(e)]。その厚さは、例えば0.1〜0.5μmである。このような第三の絶縁樹脂層15は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによって第二の絶縁樹脂層13および磁性部材14の全面を覆うように成膜することによって形成することができる。さらに、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングおよびドライエッチングなどにより、第一の配線層12と第二の配線層16を電気的に接続するパッドに整合する位置に第二の開口部13aを形成する。
次いで、第三の絶縁樹脂層15の上に、誘導素子としてスパイラルインダクタ16aを有する第二の配線層16を形成する[図2(f)]。その厚さは、例えば1〜20μmである。
第二の配線層16を所定の領域に設ける方法は、第一の配線層12を設ける方法とほぼ同様に行うことができるので、詳しい説明は省略する。
次に、第二の配線層16と第三の配線層18とを電気的に接続するパッドに整合する位置に第三の開口部17aを有する第四の絶縁樹脂層17を形成する[図3(a)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
このような第四の絶縁樹脂層17は、例えば上記樹脂からなる膜を例えば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによって第二の配線層16を被覆して成膜した後、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより、パッドに整合する位置に第三の開口部17aを形成することによって形成することができる。
次に、第二の配線層16の他端部に整合する位置に、第三の配線層18を形成する。その厚さは、例えば、1〜20μmである。第三の配線層18を所定の領域に設ける方法は、第一の配線層12を設ける方法とほぼ同様に行うことができるので、詳しい説明は省略する。
そして、第三の配線層18上に、外部への端子を出力するための開口部(図示略)を有する絶縁性の封止樹脂層19を形成する[図3(b)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
このような封止樹脂層19は、例えば、感光性ポリイミド樹脂等の感光性樹脂をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、所望の位置に開口部を有する封止樹脂層19を形成することができる。なお、封止樹脂層19の形成方法は、この方法に限定されるものではない。
封止樹脂層19の形成後、前記誘導素子などの各種構造物が形成された半導体ウエハを所定の寸法にダイシングすることにより、前記誘導素子がパッケージ化された半導体チップを得ることができる。
半導体装置10では、磁性部材14を、インダクタ16aに整合する位置に接着性樹脂により固着している。これにより、厚い磁性部材であってもインダクタの近傍に配置することができる。その結果、インダクタの近傍に磁性部材が配置されることで効率的に磁束密度が増加し、インダクタンスを増大させることが可能となる。
また、磁性部材を樹脂で固着させることで、磁性部材膜の成膜プロセスが不要となる。これにより一度に多数の素子が製造可能なWLPのプロセスがそのまま使用できるため、低コスト化に繋がる。
さらに、半導体装置10はWLP(ウエハレベルパッケージ)により製造されるため、チップの小型化が可能である。しかも小型なインダクタでありながら、大きなインダクタンスを実現することができる。これにより、大きなインダクタンスが要求されるDC−DCコンバータ等の回路モジュールの小型化が可能になる。
<第二の実施形態>
以下では、本発明の第二の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明に係る半導体装置の他の一例を示す断面図である。図4において、図1と同じ構成要素については同じ符号を付し、共通部分の詳細な説明を省略する。
図4に示した半導体装置20は、磁性部材26が、第一の絶縁樹脂層22の上方に形成された第三の絶縁樹脂層25に埋め込まれており、磁性部材26の表面と第三の絶縁樹脂層25の表面とが略同一面をなしており、さらに誘導素子23aがスパイラル形状であり、その上方に磁性部材26が配されている一例である。
この半導体装置20は、半導体基板1のパッシベーション膜3上に設けられた第一の配線層21と、第一の配線層21上に設けられた第一の絶縁樹脂層22と、第一の絶縁樹脂層22上に設けられた第二の配線層23と、第二の配線層23上に設けられた第二の絶縁樹脂層24と、第二の絶縁樹脂層24の上に設けられた第三の絶縁樹脂層25と、第二の絶縁樹脂層24上に固着され、さらに第三の絶縁樹脂層25中に埋め込まれた磁性部材26と、第三の絶縁樹脂層25および磁性部材26上に設けられた封止樹脂層27とを有する。
上述した第一の実施形態では、磁性部材をインダクタの下側に配していたが、本実施形態では、磁性部材26をインダクタ23aの上側に配している。
磁性部材によってインダクタを覆う場合には、インダクタが有する抵抗や浮遊容量をほとんど変えることなくインダクタンスのみを増加させることができる。これによりインダクタの抵抗や浮遊容量に隠れていたインダクタ本来の特性を引き出すことが可能となる。
以下では、図4に示す半導体装置の製造方法について説明する。
まず、集積回路(図示略)、電極2およびパッシベーション膜3を有する半導体基板1を用意する[図5(a)]。
次に、半導体基板1のパッシベーション膜3上であって、半導体基板1上の電極2に整合する位置に第一の配線層21を形成する[図5(b)]。その厚さは、例えば1〜20μmである。
次に、第一の配線層21に整合する位置に開口部22aを持ち、第二の配線層23のパターニングを有する第一の絶縁樹脂層22を形成する[図5(c)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
次に、第一の絶縁樹脂層22上に、第二の配線層23を形成する[図5(d)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
次に、第二の配線層23の表面を例えばCMPにより平坦化を図り、第一の絶縁樹脂層22が露出し、第二の配線層23の厚さが10〜20μmとなるまで研磨する。そして、第二の配線層23上に、第二の絶縁樹脂層24を形成する[図5(e)]。その厚さは、例えば0.1〜0.5μmである。
次に、第二の絶縁樹脂層24上でインダクタ23aと整合する位置に、接着性樹脂(図示略)により磁性部材26を固着する。そして、磁性部材26を覆うように第三の絶縁樹脂層25を形成し、磁性部材26を第三の絶縁樹脂層25の中に埋め込む[図6(a)]。その厚さは、例えば100〜300μmである。
次に、第三の絶縁樹脂層25の硬化後、第三の絶縁樹脂層25の表面を例えばCMPにより平坦化を図り、第三の絶縁樹脂層25および磁性部材26を20〜30μmの厚さまで研磨する。これにより、第三の絶縁樹脂層25の表面と磁性部材26の表面が略同一面となる。
そして、第三の絶縁樹脂層25および磁性部材26上に、絶縁性の封止樹脂層27を形成する[図6(b)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
半導体装置20では、磁性部材26を、インダクタ23aに整合する位置に接着性樹脂により固着している。これにより、厚い磁性部材であってもインダクタの近傍に配置することができる。その結果、インダクタの近傍に磁性部材が配置されることで効率的に磁束密度が増加し、インダクタンスを増大させることが可能となる。
特に半導体装置20では、磁性部材26をインダクタ23aの上側に配しているので、インダクタが有する抵抗や浮遊容量をほとんど変えることなくインダクタンスのみを増加させることができる。これによりインダクタの抵抗や浮遊容量に隠れていたインダクタ本来の特性を引き出すことが可能となる。
<第三の実施形態>
以下では、本発明の第三の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係る半導体装置の他の一例を示す断面図である。図7において、図1と同じ構成要素については同じ符号を付し、共通部分の詳細な説明を省略する。
図7に示した半導体装置30は、磁性部材35が、第一の絶縁樹脂層31の上方に形成された第三の絶縁樹脂層34に埋め込まれており、磁性部材35の表面と第三の絶縁樹脂層34の表面とが略同一面をなしており、さらに誘導素子32a、37aがソレノイド形状であり、その内部に磁性部材35が配されている一例である。
この半導体装置30は、半導体基板1のパッシベーション膜3上に設けられた第一の絶縁樹脂層31と、パッシベーション膜3上に設けられた第一の配線層32と、第一の絶縁樹脂層31および第一の配線層32上に設けられた第二の絶縁樹脂層33と、第二の絶縁樹脂層33の上に設けられた第三の絶縁樹脂層34と、第二の絶縁樹脂層33上に固着され、さらに第三の絶縁樹脂層34中に埋め込まれた磁性部材35と、第三の絶縁樹脂層34および磁性部材35上に設けられた第四の絶縁樹脂層36と、第四の絶縁樹脂層36上に設けられた第二の配線層37と、第二の配線層37上に設けられた封止樹脂層38とを有する。
上述した第一の実施形態では、インダクタは、スパイラル形状であったが、本実施形態では、図8に示すようにインダクタ32a,37aはソレノイド形状を有している。インダクタがソレノイド形状であっても、インダクタの近傍に磁性部材を配置することで効率的に磁束密度が増加し、インダクタンスを増大させることが可能である。
次に、図7に示す半導体装置の製造方法について説明する。
まず、集積回路(図示略)、電極2およびパッシベーション膜3を有する半導体基板1を用意する[図9(a)]。
次に、半導体基板1のパッシベーション膜3上であって、電極2に整合する位置に開口部31aを有し、第一の配線層32のパターニングを有する第一の絶縁樹脂層31を形成する[図9(b)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
次に、基板全面に第一の配線層32を形成する[図9(c)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
次に、第一の配線層32の表面を例えばCMPにより平坦化を図り、第一の絶縁樹脂層31が露出し、第一の配線層32の厚さが10〜20μmとなるまで研磨する。そして、第一の配線層32上に、第二の絶縁樹脂層33を形成する[図9(d)]。その厚さは、例えば0.1〜0.5μmである。
次に、第二の絶縁樹脂層33上でインダクタ32a,37aと整合する位置に、接着性樹脂(図示略)により磁性部材35を固着する。そして、磁性部材35を覆うように第三の絶縁樹脂層34を形成し、磁性部材35を第三の絶縁樹脂層34の中に埋め込む[図9(e)]。その厚さは、例えば100〜300μmである。
次に、第三の絶縁樹脂層34の表面を例えばCMPにより平坦化を図り、第三の絶縁樹脂層34および磁性部材35を20〜30μmの厚さまで研磨する。これにより、第三の絶縁樹脂層34の表面と磁性部材35の表面が略同一面となる。
そして、第三の絶縁樹脂層34および磁性部材35上に、第四の絶縁樹脂層36を形成する[図10(a)]。その厚さは、例えば0.1〜0.5μmである。
次に、第四の絶縁樹脂層36上であって、第一の配線層32に整合する位置に、第二の配線層37を形成する。その厚さは、例えば1〜20μmである。
そして、第二の配線層37上に、絶縁性の封止樹脂層38を形成する[図10(b)]。その厚さは、例えば1〜30μmである。
半導体装置30では、磁性部材35を、インダクタ32a,37aに整合する位置に接着性樹脂により固着している。これにより、厚い磁性部材であってもインダクタの近傍に配置することができる。その結果、インダクタの近傍に磁性部材35が配置されることで効率的に磁束密度が増加し、インダクタンスを増大させることが可能となる。
特に半導体装置30では、インダクタ32a,37aはソレノイド形状を有している。インダクタがソレノイド形状であっても、インダクタの近傍に磁性部材を配置することで効率的に磁束密度が増加し、インダクタンスを増大させることが可能である。
以上、本発明の半導体装置について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、インダクタに対して、絶縁樹脂層を介して磁性部材を配した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、フェライト等、高抵抗の磁性部材を用いた場合、絶縁膜を介さずに、インダクタ表面に磁性部材を直接配してもよい。
また、上述した実施形態では、インダクタとして、螺旋形状(スパイラル形状)やソレノイド形状のインダクタを例に挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、メアンダ形状やつづら折り形状のインダクタとしても構わない。
本発明は、例えば誘導素子がアンテナコイルとして機能する非接触ICタグ用半導体装置など、誘導素子を有する各種半導体装置に適用できる。
本発明の半導体装置の一例を示す模式的断面図である。 図1に示す半導体装置の製造方法の一例であり、その工程を順に表す模式的断面図である。 図2に続く工程を順に表す模式的断面図である。 本発明の半導体装置の他の一例を示す模式的断面図である。 図4に示す半導体装置の製造方法の一例であり、その工程を順に表す模式的断面図である。 図5に続く工程を順に表す模式的断面図である。 本発明の半導体装置の他の一例を示す模式的断面図である。 図7に示す半導体装置が備えるインダクタの形状を表す模式的平面図である。 図7に示す半導体装置の製造方法の一例であり、その工程を順に表す模式的断面図である。 図9に続く工程を順に表す模式的断面図である。 従来の半導体装置の一例を示す図であり、(a)は部分切欠斜視図であり、(b)は要部を示す断面図である。
符号の説明
1 半導体基板、2 電極、3 パッシベーション膜、10、20、30 半導体装置、11、22、31 第一の絶縁樹脂層、12、21、32 第一の配線層、13、24、33 第二の絶縁樹脂層、14、26、35 磁性部材、15、25、34 第三の絶縁樹脂層、16、23、37 第二の配線層、16a、23a、32a、37a インダクタ(誘導素子)、17、36 第四の絶縁樹脂層、18 第三の配線層、19、27、38 封止樹脂層。

Claims (7)

  1. 少なくとも一面に電極が設けられた基板と、
    該基板の一面を被覆する第一の絶縁樹脂層と、
    該第一の絶縁樹脂層の上方に形成され、前記電極と電気的に接続された誘導素子と、
    該誘導素子に整合する位置に配された磁性部材とを備えた半導体装置であって、
    前記磁性部材は、接着性樹脂によって所定の位置に固着されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記磁性部材は、第一の絶縁樹脂層の上方に形成された第二又は第三の絶縁樹脂層に埋め込まれており、該磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなしていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記誘導素子はスパイラル形状をなし、その下方に前記磁性部材が配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記誘導素子はスパイラル形状をなし、その上方に前記磁性部材が配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  5. 前記誘導素子はソレノイド形状をなし、その内部に前記磁性部材が配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  6. 少なくとも一面に電極が設けられた基板と、該基板の一面を被覆する第一の絶縁樹脂層と、該第一の絶縁樹脂層の上方に形成され、前記電極と電気的に接続された誘導素子と、該誘導素子に整合する位置に配された磁性部材とを備え、前記磁性部材が、接着性樹脂によって所定の位置に固着され、前記第一の絶縁樹脂層の上方に形成された第二又は第三の絶縁樹脂層に埋め込まれており、該磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなす半導体装置の製造方法であって、
    前記第一の絶縁樹脂層の上方に、前記電極と電気的に接続された誘導素子を形成する工程と、
    前記誘導素子に整合した位置に、接着性樹脂により磁性部材を固着する工程と、
    前記磁性部材を被覆するように第二又は第三の絶縁樹脂層を形成する工程と、
    前記磁性部材の表面と前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面とが略同一面をなすように、前記第二又は第三の絶縁樹脂層の表面を研磨する工程と、
    を少なくとも備えることを特徴とする半導体基板の製造方法。
  7. 前記研磨する工程は、前記第二又は第三の絶縁樹脂層が硬化した後に行われることを特徴とする請求項6に記載の半導体基板の製造方法。
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