JP7062216B2 - 超薄型高感度磁気センサ - Google Patents
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Description
より具体的には、磁性ワイヤと磁性ワイヤを周回する検出コイルと電極とを備えている磁界検出素子に代表されるGSR素子、MI素子に関するものである。
ここで、GSR素子とは超高速スピン回転効果( 英語表記;GHz Spin Rotation effect)を基礎にした高感度マイクロ磁気センサであるGSRセンサ用素子である。
MI素子とは磁化の回転現象を活用し磁気交流抵抗効果(Magneto-Impedance)を基礎にした高感度マイクロ磁気センサであるGSRセンサ用素子である。
生体内モーションデバイスに搭載するためには、センササイズを極限的に小さくする必要がある。一般的にはセンササイズが小さいほど、それに反比例して検出感度が低下するので、必要な検出感度を保ちながら小型化するのは難しい。例えばカテーテルに搭載する場合には、サイズ面では幅0.1mm、長さ0.3mm、厚み0.05mm程度の超小型サイズで、磁界検出力の面では0.1mGから1mG程度の優れた超高感度性能を兼ね合わせ持つ磁気センサの開発が期待されている。
これに対して、SiO2などの絶縁保護被膜を厚く形成してその上に素子を形成する方法は、保護被膜内部に生じる内部応力が増加して安定した膜品質を得る上で難点があり、2層の絶縁被膜構造を採用する本発明の製造方法の方が、品質面で有利である。
本発明の超薄型高感度磁気センサは、特定用途向け集積回路(以下、ASICという。)とASICの配線平面上に形成された絶縁保護被膜と絶縁保護被膜上に形成された絶縁性レジスト層とからなる基板上に、磁性ワイヤと磁性ワイヤを周回する検出コイルと電極とからなる磁界検出素子を形成することからなっている。
磁性ワイヤは、直径20μm以下で、導電性と20G以下の異方性磁界を有し、かつ円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有している。検出コイルは、コイルピッチ10μm以下である。
電極は、絶縁性レジスト層を貫いて素子の電極とASIC面上の電極をスルーホール方式で直接接合する。
本発明によれば、レジスト層は磁性ワイヤを収める溝を付けられるだけの厚みを必要とし、磁性ワイヤの直径は1μm~20μmである。
また、絶縁保護被膜の厚みは、一般的にはASICの保護機能を有するのに十分な厚さを確保することでよい。
本説明では、磁性ワイヤは1本からなり、絶縁保護被膜とレジスト層の2層からなる形態について説明する。本発明の磁気センサは、素子1とASIC4およびASIC4の外部配線用電極44からなる。
磁気センサを構成する素子1は、ASIC4の絶縁保護被膜41の上に形成される基板皮膜(レジスト層)11の上に1本の磁性ワイヤ2とその磁性ワイヤを周回する1個のコイル3およびワイヤ通電用の2個のワイヤ電極23とコイル電圧検出用の2個のコイル電極35ならびに磁性ワイヤ2のワイヤ端子24とワイヤ電極23とのワイヤ接続部25、素子側のワイヤ電極23とASIC側の素子連結用のワイヤ電極42とのスルーホール方式の電極接合部43からなる。同様に検出コイル3とコイル検出コイル35から接続されているコイル電極35および素子側のコイル電極35とASIC側の素子連結用のコイル電極とのスルーホール方式の接合部からなる。
そして、ASIC4は、素子1との間は2個のコイル電極および2個のワイヤ電極がそれぞれスルーホール方式の電極接合部により接続されて、素子にパルス電流を流したときに検出コイルに生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界に変換する電子回路からなる。また、ASICには4個の外部配線用電極44が配置されている。
外部磁界Hとコイル電圧Vsは、次式(1)のような数学的関係で表され、本関係式を使って外部磁界Hに変換するものである。
Vs=V0・2L・πD・p・Nc・f・sin(πH/2Hm) (1)
ここで、Vsはコイル出力電圧、V0は比例定数、Lはワイヤの長さ、Dはワイヤの直径、pはパルス電流の表皮深さ、Ncはコイルの巻き数、fはパルス周波数、Hmはコイル出力電圧が最大値を取る時の外部磁界強度である。
素子1の構造は、図1~図3に示すとおりである。
素子1のサイズは、幅0.07mm~0.4mm、長さ0.25mm~1mmである。厚みは10μm~20μmである。よって、ASIC4の厚みが30μm~100μmであることからセンサの厚みは40μm~120μmとなる。
素子1には、磁性ワイヤ2が整列できるように幅10μm~20μm、深さ1μm~20μmの溝12がレジスト層11に形成されている。
磁性ワイヤ2は、CoFeSiB合金の直径1μm~20μmである。磁性ワイヤ2の周囲は絶縁性材料、例えば絶縁性ガラス材料で被覆されていることが好ましい。長さは0.07mm~1mmである。
磁性ワイヤ2の異方性磁界は20G以下で、円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有する。少なくとも円周方向スピン配列を持つ表面磁区を有することが重要である。
検出コイル3は、コイル巻き数は6回~180回、コイルピッチは0.2μm~10μmである。検出コイル3と磁性ワイヤ2との間隔は0.2μm~3μmである。コイル平均内径は2μm~25μmである。
ASICの表面の絶縁保護被膜41に絶縁性レジスト層からなる基板皮膜11を形成し、その基板皮膜11に深さ1μm~20μmの溝を形成し、溝面に沿って磁性ワイヤの一部~全部を埋設するように素子1を形成することによってASIC表面から素子部1の厚みを20μm以下にすることができる。さらにASICの厚みを30μm~50μmとすることによりセンサ全体の厚みを50μm~70μm程度とすることができる。
次いで、磁性ワイヤ2を溝12に沿って設置した後、レジスト層11の全面にレジストを塗布して磁性ワイヤ2は溝12内に固定する。この塗布の際に磁性ワイヤ2の上部は薄く塗布する。その後、そこに上コイル32を3次元フォトリソ技術で形成する。
なお、ガラス被覆していない磁性ワイヤ2を用いる場合には、下コイル31と磁性ワイヤ2とが電気的な接触が生じないように予め絶縁性材料を塗布する。
磁性ワイヤ2と検出コイル3の配線構造について、図1を用いて説明する。
磁性ワイヤ2の配線構造は、磁性ワイヤ2の両端にそれぞれワイヤ端子24を形成し、ワイヤ電極接続部25を介してワイヤ電極23に接続される。
図3は、素子側のワイヤ電極23はレジスト層11および絶縁保護被膜41を貫通するスルーホール方式の電極接合部43を介してASIC側のワイヤ電極42と接続されていること示している。
同様に、素子側のコイル電極とASIC側のコイル電極とはレジスト層11を貫通する電極接合部を介して接続されている。
電子回路5は、特許文献1に記載のパルス対応型バッファー回路を参照し、図4に示す。
電子回路5は、コイル電圧を出力する素子52が接続されており、その素子52にパルス電流を発信するパルス発振回路51、コイル電圧を入力する入力回路53、パルス対応型バッファー回路54、コイルの立ち上がりパルス出力波形のピーク電圧を検波する電子スイッチ56とピーク電圧を保持する容量4pF~100pFのコンデンサ57からなるサンプルホールド回路55、および増幅器58のプログラミングアンプにて増幅してAD変換を行なう。2本のワイヤにて信号を外部の信号処理装置に転送する。
なお、コイル電圧のIRドロップの影響が少ない場合はパルス対応型バッフアー回路を省略してもよい。
ここで、GSRセンサの構成および素子の構成、電子回路は上述の実施形態による。
磁性ワイヤ2の異方性磁界は15Gで、円周方向スピン配列を持つ表面磁区と軸方向にスピン配列を持つ中央部コア磁区の2相の磁区構造を有している。
10:素子の厚み、11:基板皮膜(レジスト層)、11a:2層の厚み、12:溝
2:磁性ワイヤ
21:磁性ワイヤ(CoFeSiB合金)、22:絶縁性ガラス、23:ワイヤ電極、24:ワイヤ端子、25:ワイヤ電極接続部
3:検出コイル
31:下コイル、32:上コイル、33:ジョイント部、34:絶縁性レジスト、35:コイル電極
4:ASIC
40:ASICの厚み、41:ASIC絶縁性保護被膜、42:ASIC側ワイヤ電極、43:スルーホール方式電極接合部、44:外部配線用電極、45:外部配線
5:電子回路
51:パルス発信回路(パルス発信器)、52:素子、53:入力回路、54:バッファー回路、55:サンプルホールド回路、56:電子スイッチ、57:コンデンサ、58:増幅器
6:ASIC一体型超薄型高感度磁気センサ
Claims (5)
- 特定用途向け集積回路(以下、ASICという。)と磁界検出素子とを備えてなり、
前記磁界検出素子は、基板皮膜に形成された溝に配置した磁性ワイヤと前記磁性ワイヤを周回する検出コイルと電極とからなり、
前記基板皮膜は、前記ASICの絶縁保護被膜の上面に形成された絶縁性レジスト層からなることを特徴とする超薄型高感度磁気センサ。 - 請求項1に記載されている超薄型高感度磁気センサにおいて、
前記磁性ワイヤは、直径20μm以下で、導電性と20G以下の異方性磁界を有し、かつ少なくとも円周方向スピン配列を持つ表面磁区構造を有しており、前記検出コイルは、コイルピッチが10μm以下であることを特徴とする超薄型高感度磁気センサ。 - 請求項1に記載されている超薄型高感度磁気センサにおいて、
前記絶縁性レジスト層の厚みは前記磁性ワイヤを整列する溝の深さと同一であることを特徴とする超薄型高感度磁気センサ。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されている超薄型高感度磁気センサにおいて、
前記電極は、前記絶縁保護被膜および前記絶縁性レジスト層を貫いて前記ASICの素子連結用電極と直接接合していることを特徴とする超薄型高感度磁気センサ。 - 請求項1乃至請求項4のいずか1項に記載されている超薄型高感度磁気センサにおいて、
前記ASICは、前記磁界検出素子の前記磁性ワイヤに0.2GHz~4.0GHzの換算周波数のパルス電流を流す手段と前記磁性ワイヤにパルス電流を流した時に前記検出コイルに生じるコイル電圧を検知する手段と前記コイル電圧を外部磁界Hに比例する電気信号に変換する手段を有することを特徴とする超薄型高感度磁気センサ。
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