JP7215702B1 - 磁界ベクトルセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】検出磁界方向と素子の方向が平行である磁界検出素子は磁界検出能の高い超高感度マイクロ磁気センサであるGSRセンサに着目して、1nT以下の微小な磁気ベクトルを微小空間範囲で測定する。【解決手段】4個の磁界検出素子を、少なくとも4面の傾斜面を4回対称的に有する台座であって、その傾斜角度20~45度の傾斜面よりなる傾斜面に4回対称かつ鏡像対象に貼り付けて、それら4個の素子の磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を使って、HxはHx1とHx2の減算から、HyはHy1とHy2の減算から、そしてHzはHx1、Hx2、Hy1、Hy2の加算によって、測定位置における磁界ベクトル(Hx,Hy,Hz)を求められる磁界ベクトルセンサを提供する。【選択図】図3A

Description

本発明は、医療、環境、ロボット分野など先端産業分野で求められている10nT以下の微小磁界の計測を可能とする超小型の磁界ベクトルセンサに関するものである。
ここで、磁界ベクトルセンサとは、ピンポイントの測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)は各軸のHx、Hy、Hzと同じ感度、同じ精度で測定することを可能とするセンサである。
医療、環境、ロボット分野など先端産業分野において、生体磁気計測、生体内ナビゲーションシステム、ロボットの姿勢制御装置、地磁気異常など、微小磁界の計測あるいは微小空間における微小磁界の磁界分布の計測の必要が高まっている。磁界は3次元磁界ベクトルが広い空間に分布したものである。したがって磁界の測定は3次元磁界ベクトル測定装置で測定される。
3次元磁界ベクトル測定装置は、磁気センサ素子を3個以上組み合わせて、所定の位置の磁界ベクトルを測定する装置である。MIセンサを使ったタイプとしては、愛知製鋼(株)の3次元磁気方位センサ(特許文献1)があるが、これは3個のMI素子を組み立てたもので、X軸、Y軸、Z軸方向の磁界の測定位置が食い違っており、単純に3つの素子をX軸、Y軸、Z軸に配置するだけでは所定の位置の磁界ベクトルを測定できない。
FGセンサを使ったタイプとしては、MTI社のnTメータ(非特許文献1)があるが、サイズが30mmの立方体の6面に素子を張り付けたもので、磁界の傾斜が大きい場合の微小空間における特定の位置での磁界ベクトルの測定はできない。
ホールセンサを使った磁界測定器として旭化成(株)の磁界センサ(特許文献2)がある。4個のホール素子と1個のパーマロイ集磁体を組み合わせたもので、ピンポイントの所定の位置での磁界ベクトルの測定が可能であるが、磁界検出能が10mG(=1000nT)程度で、しかもサイズは2mmと小さく、微小磁界が計測できない問題がある。小型化した場合は、微小磁界検出能が低下し、つまり両者はトレードオフの関係にあり、解決は難しい。
磁気抵抗センサ(GMR、TMR)を使った磁界測定器としてサントル ナショナル ドゥ ラルシェルジ シアンティフィクの集積磁力計がある(特許文献3)。角錐台形からなるシリコン基板に角度θ=54.7°で傾斜している4つの斜面に4回対称かつ鏡像反対称性に蒸着形成された4個のGMR磁気抵抗センサと磁気抵抗センサの感度軸に対して平行に形成された4個の磁束集中器を組み合わせたもので、ピンポイントの所定の位置での磁界ベクトルの測定が可能である。
角錐台形の台座の傾斜角度54.7度としている理由は、シリコン基板を化学エッチングすると結晶の方位に沿って溶けて54.7度となるためである。シリコン基板を使用すると簡単に台座を製作することができるが、傾斜角度は54.7度に固定されるという欠点を伴う。
本特許文献3では、Hx、Hy、 Hz は、4個の磁界検出素子で検知する磁気測定値をHx1、Hx2、Hy1、Hy2とすると、
Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
Hz=(1/4sinθ){(Hx1+Hx2)―(Hy1+Hy2)}、
として求めている。
上計算式に測定値と傾斜角度θ=54.7度を入力すると、測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を求めることができる。Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzは、分散加法性と上計算式の係数を考慮して計算すると、σx=σy=1.6σ、σz=0.8σとなる。ここでσは使用したセンサの磁気ノイズである。つまり、Hx,Hyの測定精度は、Hzの測定精度に比べて、2倍も悪くなっている。しかも、Hx、Hzの測定精度が用いたセンサの測定精度に比べて60%も大幅に低下する。
磁気ベクトルセンサとしての条件は、ピンポイントで磁界ベクトル(Hx、Hy、 Hz)が測定できることと各軸の測定値の感度および精度がほぼ同じ(σx=σy=σz)であることが必要である。その意味では、これらの不均一性が、本磁界ベクトルセンサは、Hz軸とHx,Hy軸の測定精度とが大幅に違っており、磁界ベクトルセンサとは言えない。この点が本磁界ベクトルセンサの最大の欠点である。
また、本センサが使用している磁気抵抗センサは、磁界検出能は5mG(=500nT)程度で微小磁界の計測には適していない。小型化と微小磁界検出能とはトレードオフの関係にあり、解決は難しい。
ここで、GMR素子は検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)が直交しているために、素子を四角錐体の4つの斜面に4回対称かつ鏡像反対称に配置して、出力電極とグランド電極の配線の対称的配置の確保に努めている。Hx、Hy、Hzを算出する計算式は、センサ素子を4回対称かつ鏡像反対称に配置に対応した数式としている。
GSRセンサ(特許文献4)を使ったタイプとしては、マグネデザイン(株)の三次元磁界検出装置(特許文献5)がある。4個のGSR素子と一対のパーマロイ集磁体を組み合わせたもので、ピンポイントの所定の位置の磁界ベクトルの測定が可能であるが、磁界検出能が0.5mG(=50nT)程度で、一層の高感度化が必要である。
磁界ベクトルセンサは、ピンポイントの測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)は各軸の磁界Hx、Hy、Hzを同じ感度、同じ精度で測定するものであると定義すると、これまでは磁界ベクトルセンサの開発には成功していない。さらに微小磁界10nT以下の検出能を持ち、微小空間内(例えば6mm立方以下)の所定の位置の磁界ベクトルをピンポイントで測定でき磁界ベクトルセンサは実用化されておらず、その開発が求められている。
特許第3781056号公報 特開2004-61380号公報 特表2013-518273号公報 特許第6506466号公報 特許第6021239号公報
(株)エムティアイ社ホームページ 製品情報FGS3-1000
本発明は、超高感度マイクロ磁気センサであるGSRセンサをはじめとしてMIセンサ、FGセンサなどの検出磁界方向と素子の方向(素子長手方向)が平行である磁界検出素子は磁界検出能が高い点に着目して、ピンポイントの所定の位置における10nT以下の微小な3次元磁界ベクトルを微小空間範囲(6mm×6mm×3mm以下)で測定するものである。そのためには、磁界検出素子の最適構造、独特な磁界検出ヘッドの考案、素子とヘッド部台座との組み立て方法および電子回路と磁界検出ヘッドのセンサ配線構造を考案することが主な課題となる。
特に、GSRセンサはこれらの磁界検出素子のなかで磁界検出能が高いので代表的事例として以下に説明する。
なお、GSRセンサは、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個の計4個の電極で構成されるGSR素子と、その磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数からなるパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁気センサである。
GSRセンサについては、特許文献3(本発明者による)に詳細に記載されおり、本発明において引用する。
ここで、パルス周波数は、パルス電流の「立下り時間」Δtの2倍をその周期としてその逆数をパルス周波数として便宜上定義している。すなわち、f=1/2Δtである。
GSRセンサの検出能は長さに比例して向上する。本発明者は、10nT以下の微小磁界を微小空間範囲で測定するために、長さ0.4mm~3mmで幅が0.2mm~0.4mmの小型のGSR素子を設計した。GSRセンサの検出能は0.1nT~1nTの範囲にあった。
ここで、GSRセンサとは、GSR素子とGSRセンサ用の電子回路とからなるセンサである。
センサを構成するGSR素子について、図1により説明する。GSR素子1は、長さが0.4mm~3mm、幅0.2mm~0.4mmの基板11上に、磁界検出用に直径5~30μmのアモルファスの磁性ワイヤ12を基板11に形成した溝に配置し、その周りに検出コイル(以下、コイルという。)13を形成する。磁性ワイヤ12は、両端にワイヤ端子14を設けて接続配線(ワイヤ電極用)16を介してワイヤ電極(ワイヤ通電用の電極)15に接続する。コイル13は、両端にコイル端子17を設けて接続配線(コイル電極用)19を介してコイル電極(コイル通電用の電極)18に接続する。なお、ワイヤ端子14または/およびコイル端子17を省略して、磁性ワイヤ12の両端または/およびにコイルの両端に電極を形成してもよい。
次に、GSRセンサ用の電子回路は、図2により説明する。
電子回路2(図2)は、GSR素子22の磁性ワイヤ12に0.5~4GHzの周波数からなるパルス電流を流すパルス発振器21、入力側回路23、出力側回路(サンプルホールド回路)24、寄生容量25、電子スイッチ26、コンデンサ27、増幅器28からなり、コイル電圧として出力する。入力側回路23と出力側回路24の間にバッファー回路を設けてもよい。
このGSR素子(以下、素子という。)を、傾斜角度θ=35.2度(tanθ=√2/2、sinθ=1/√3、cosθ=√2/√3)を持つ4面の傾斜面を有する台座に4個を4回対称に貼り付けて、それら4個の素子の磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を用いて、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx1+Hy1+Hy2)を算出して、測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を求めることができること、およびHx、Hy、Hzの測定値の測定誤差がσx=σy=σzになることに思い至った。
GSR素子を貼り付ける傾斜角度θ=35.2度を持つ4面の傾斜面を有する台座の形状としては、次の4つの形状が挙げられる。図3A~図3Cを用い、平面図および断面図を示して説明する。
先ず、図3Aに示す四角錐台である。台座の上下面は四角形状の上面と上面より大きな面積からなる下面とからなる。その側面は台形状の傾斜面(台形斜面)の4面からなる。GSR素子は台形斜面に貼り付ける。
次に、図3Bに示す八角錐台である。台座の上下面は八角形状の上面と上面より大きな面積からなる下面とからなる。その側面は台形状の傾斜面(台形斜面)の8面からなる。GSR素子は台形斜面に貼り付ける。
そして、図3Cに示す変則八面錐台である。台座の上下面は、正四角形状の上面(四角面という。)と上面より大きな面積からなる八角形状の下面(底面)とからなる。その側面は交互に長方形状の傾斜面(長方形斜面という。)と三角形状の傾斜面(三角形斜面という。)とからなる。長方形斜面は、上面の四角面の一辺と底面の八角形の一辺とが同じ幅よりなり、4個形成している。三角形斜面は、上面の四角面の頂点と底面の八角形の一辺よりなり、4個形成している。GSR素子は長方形斜面に貼り付ける。
ここで、変則八面錐台の定義について補足説明する。
錐台(wikipedia)によると錐台とは、錐台(すいだい、英: Frustum)は、錐体から、頂点を共有し相似に縮小した錐体を取り除いた立体図形である。
しかし、本発明の変則八面錐台とは、「変則」の意味は「錐台」の上面は正四角形状で下面は八角形状(正八角形状ではない。)の異なる形状からなって不規則であること、また「錐台」の側面である傾斜面は交互に長方形状が4面と三角形状が4面と異なる形状からなって不規則であること、そして長方形状の傾斜面の4面と三角形状の傾斜面の4面との合計が「八面」であることから「変則八面錐台」と定義する。
初めに、四角錐台の台座の斜面にそれぞれGSR素子を貼り付けて磁界(Hx、Hy、Hz)を求める計算式について説明する。比較として、GMR素子については四角錐台に貼り付けて同様に説明する。
前提として、GSR素子およびGMR素子について、X軸磁界、Y軸磁界およびZ軸磁界の向きと素子の向きで+/-が決まる。GSR素子では、磁界の向きを出力電圧(信号電圧)の+と定義する。GMR素子では、磁界の向きの左ひねりの向きを出力電圧(信号電圧)の+と定義する。
GSR素子は、素子の方向(素子長手方向)が検出磁界方向と平行しており、4回対称にて鏡像(ミラー)対称性となる。これにより、X軸方向の磁界HxはX1(+)-X2(-)により、Y軸方向の磁界HyはY1(+)-Y2(-)により求められる。そして、Z軸方向の磁界HzはX1(+)+X2(+)+Y1(+)+Y2(+)により求められる。ここで、GSR素子は検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)が平行しているために、GSR素子を四角錐台の4つの長方形斜面に4回対称かつ鏡像対称に配置して、出力電極とグランド電極の配線の対称的配置の確保に努めている。
一方、GMR素子は、素子の方向(素子長手方向)は検出磁界方向と直交しており、4回対称にて鏡像(ミラー)反対称性となる。これにより、X軸方向の磁界HxはX1(+)-X2(-)により、Y軸方向の磁界HyはY1(+)-Y2(-)により求められる。そして、Z軸方向の磁界Hzは(X1(+)+Y1(+))-(X2(-)+Y2(-))により求められる。磁界センサを鏡像対称性に配置した場合と鏡像反対称性に配置した場合で、計算式が異なることを明記すべきである。
ここで、GMR素子は検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)が直交しているために、素子を四角錐台の4つの斜面に4回対称かつ鏡像反対称に配置して、出力電極とグランド電極の配線の対称的配置の確保に努めている。
次に、四角錐台の台形斜面の傾斜角度、サイズについて説明する。
台形斜面の傾斜角度θが、35.2度の時、Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzがすべて同じ、つまりσx=σy=σz=0.86σとなる。しかも各軸の測定誤差が使用したセンサの測定誤差σよりも改善する。実用的にはσzがσx(=σy)に比べて、25%程度の差を許容できるとすると、傾斜角度θは20度から45度程度となる。水平面方向の磁界精度を重視する場合には、35.2度から20度程度へと少し小さくし、垂直方向の磁界の精度を重視する場合は、35.2度から45度へと少し大きくすることができる。
GSR素子(以下、素子という。)の長さを0.4mm~3mmとすると、四角錐台の上面の四角面の一辺の長さは素子の幅に相当し、0.2mm~0.4mmである。
台座の高さは、素子の長さのsinθ倍である。つまり、θが35.2度の場合、sin35.2°=0.58倍であるから、高さは0.24mm~1.8mmである。傾斜角度θ=45度の場合、最大の高さは2.1mmである。
各素子間の整列方位のミスマッチによる干渉性を排除して、素子間の4回対称性を確保するためには、台座の加工精度および素子と台座を組み合わせたときの4回対称性が重要である。台座の加工誤差は10μm以下とする。その上で、台座の台形斜面に4回対称に素子を設置するための基軸線マークを上下端部の位置誤差±1μmで刻印し、その線と素子のアモルファスワイヤとを顕微鏡を使って誤差±1μmで一致させることによって、4個の素子の4回対称性を確保した。なお素子と台座とは接着剤で固定する。
以上、四角錐台を例として、磁界(Hx、Hy、Hz)を求める計算式、傾斜角度について説明してきた。他の八角錐台および変則八面錐台においても、GSR素子は傾斜面に鏡像対称に貼り付けられ、その貼り付けられる傾斜面の形状は異なるが計算式、傾斜角度は同じである。サイズは、GSR素子のサイズと傾斜角度θにより自動的に求められる。
磁界ベクトルセンサの組み立ては、図4に示すように、 磁界ベクトルセンサ用基板(以下、センサ基板という。)にGSR素子とGSR素子を貼り付けた台座よりなる素子台座とASICを搭載して行なう。素子台座の底辺がASICよりも十分大きい場合、つまり底辺が2mm以上の場合には、底辺側(底面)の中央部を中空として、そこにASICを取り付け、素子台座とASICの両者をセンサ基板上に設置した。
ここで、磁界ベクトルセンサ用の電子回路を特定用途集積回路(以下、ASICという。)として、図5に示すように、ASICは、電子回路に4個の素子のコイル電圧を信号処理回路により4個の素子の磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換し、内部でそれらの値から磁界ベクトル値Hx、Hy、Hzを計算する演算処理装置を含んでいる。
なお、図6に示すように、1個のパルス発信器から1個の素子にパルス電流を流し、1つのコイル電圧を1個の素子の磁気測定値(例えば、Hx1)に変換する信号処理回路までの特定用途集積回路をASIC-x1として、4個のASIC-x1、ASIC-x2、ASIC-y1、ASIC-y2により磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換し、それらの磁気測定値を1個の演算処理装置に送信して磁界ベクトル値Hx、Hy、Hzを計算してもよい。
センサ基板には、表面側には16個の素子電極と16個のASIC用電極および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造を有している。
配線は、各素子の4つの電極と基板表面上の16個の素子電極とを導線で接続する。センサ基板上の16個のASIC用電極とASIC側の素子電極とをハンダ接合する。さらに、ASIC側の外部接続電極とセンサ基板表面側の外部接続電極とをハンダ接合する。
これにより素子で検知した外部磁界をASICで信号処理して、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板裏面側の外部接続電極から取り出すことができる(図7~図9)。
本発明において、GSR素子を単体で斜面に設置してコイル電圧をASICまで配線した場合には、コイル電圧が低下したり、外部ノイズを感じる場合がある。このような場合、GSR素子を特定用途集積回路(例えば、ASIC-x1)の上に直接形成して、GSRセンサ(on―ASICタイプのGSRセンサと呼称する。)とし、それを四角錐台の台形斜面に貼り付けて磁界ベクトルセンサとしてもよい(図10~図14)。
本発明により、医療、環境、ロボット分野など先端産業分野を中心に、生体磁気計測、生体内ナビゲーションシステム、ロボットの姿勢制御装置、地磁気異常、火星など地磁気測定など、微小磁界の計測あるいは微小空間における微小磁界の磁界分布の計測のニーズに対応することが可能になった。
なお、本発明の微小空間内で所定の位置の磁界ベクトルの測定を可能ならしめる磁界ベクトルセンサにおいては、微小空間は一様磁界として、すなわちHx1=Hx2、Hy1=Hy2を前提としている。厳密に言えば、一様の程度はHx1とHx2の両者およびHy1とHy2の両者の違いが1%以下と考え、両者の平均値が、両素子のほぼ中央の磁界であると見なしている。
GSR素子の平面図である。 GSRセンサ用の電子回路図である。 四角錐台の平面図およびその断面図である。 八角錐台の平面図およびその断面図である。 変則八面錐台の平面図およびその断面図である。 磁界センサの組み立て図である。 電子回路図で、パルス発信器~信号処理回路~演算処理装置からなるASICある。 電子回路図で、パルス発信器~信号処理回路の各軸に対応する4個のASICと演算処理装置等からなる。 四角錐台および八角錐台のGSR素子の電極とセンサ基板の電極との配線図である。 ASIC40Aの表面の電極配置図を示す。 四角錐台および八角錐台のセンサ基板の表面の電極配置および配線を示す図である。 変則八面錐台のGSR素子の電極とセンサ基板の電極との配線図である。 変則八面錐台のセンサ基板の表面の電極配置および配線を示す図である。 素子台座に貼り付けるon―ASICタイプのGSRセンサの平面図である。 素子台座にon―ASICタイプのGSRセンサを貼り付けた平面図である。 素子台座にon―ASICタイプのGSRセンサを貼り付けたE1-E2線の断面図である。
第1発明の磁界ベクトルセンサは、
GSRセンサと素子台座と演算処理装置とを備える磁界ベクトルセンサにおいて、
前記GSRセンサは、GSR素子と電子回路とからなり、
前記GSR素子は、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と、前記磁性ワイヤに巻回した周回コイルで形成される検出用コイルと、磁性ワイヤ通電用のワイヤ電極2個およびコイル電圧検出用のコイル電極2個からなる4個の電極とを備え、かつ、検出磁界方向と素子長手方向とは前記磁性ワイヤ方向で一致しており、
前記電子回路は、パルス発信器と信号処理回路とからなり、
前記パルス発信器は、前記磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、
前記信号処理回路は、前記磁性ワイヤに前記パルス電流を流した時に生じる前記検出用コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換し、
前記素子台座は、少なくとも4面の傾斜面を4回対称に有する台座であって、
前記傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなり、
4個の前記GSR素子が前記4面の傾斜面に前記GSR素子の前記磁性ワイヤの方向を傾斜方向に向け、かつ4回対称で鏡像対称に貼り付けられており、
前記4個のGSR素子は4個の前記電子回路に接続され、前記信号処理回路は前記パルス電流を流した時に生じる前記コイル電圧を検知し、前記コイル電圧を磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換して前記演算処理装置に入力し、
前記演算処理装置は、前記磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を用いて、
Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
を算出し、
上記式で算出された磁界Hx、Hy、Hzでもって各軸のピンポイントの測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を各軸の磁界Hx、Hy、Hz同じ感度、同じ精度で測定することを特徴とする。
本発明は、少なくとも4面の傾斜面を4回対称に有する台座を用いて検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)とが一致する磁界検出素子を台座の傾斜角度θが20~45度からなる4つの斜面に4回対称かつ鏡像対象に貼り付け、電子回路により磁界検出素子の磁性ワイヤへ電流を流したときに生じるコイル電圧を検知し、変換して得られる磁気測定値を用いてピンポイントの測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を、各軸の磁界Hx、Hy、Hzを同じ感度、同じ精度で求めるものである。
これにより、ピンポイントの測定位置における磁界(Hx、Hy、Hz)を、各軸の磁界Hx、Hy、Hzを同じ感度、同じ精度で求めることが可能となり、真の磁界ベクトルセンサが得ることが可能となる。
台座の傾斜角度θが20~45度とすることにより、磁界ベクトルセンサのHx、Hy、Hzの測定精度が同じとなることを見出したのである。
また、検出磁界方向と素子長手方向が異なることから、4個の素子の配置が鏡像対称とすることにより、演算処理装置にて各軸の磁界Hx、Hy、Hzを求める計算式は、上記の式となる。
すなわち、GSR素子の特徴を生かした磁界ベクトルセンサを考案したものである。
第2発明の磁界ベクトルセンサは、
on-ASICタイプのGSRセンサと素子台座と演算処理装置とを備える磁界ベクトルセンサにおいて、
前記on-ASICタイプのGSRセンサは、GSR素子と特定用途集積回路(以下、ASICという。)を備え、かつ前記GSR素子と前記ASICとは、前記GSR素子は前記ASICの表面上に設置されるとともに両者はスルーホールを介して連結されており、
前記GSR素子は、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と、前記磁性ワイヤに巻回した周回コイルで形成される検出用コイルと、磁性ワイヤ通電用のワイヤ電極2個およびコイル電圧検出用のコイル電極2個からなる4個の電極とを備え、かつ、検出磁界方向と素子長手方向とは前記磁性ワイヤ方向で一致しており、
前記ASICは、パルス発信器と信号処理回路とを備え、
前記パルス発信器は、前記磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、
前記信号処理回路は、前記GSR素子に前記パルス電流を流した時に生じる前記検出用コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換し、
前記素子台座は、少なくとも4面の傾斜面を4回対称に有する台座であって、
前記傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなり、
4個の前記on-ASICタイプのGSRセンサが前記4面の傾斜面に前記GSR素子の磁性ワイヤの方向を傾斜方向に向け、かつ4回対称で鏡像対称に貼り付けられており、
前記4個のon-ASICタイプのGSRセンサは、前記磁性ワイヤに前記パルス電流を流した時に生じる前記コイル電圧を検知し、前記コイル電圧を磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換して、前記演算処理装置に入力し、
前記演算処理装置は、前記磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を用いて、
Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
を算出し、
上記式で算出された磁界Hx、Hy、Hzでもって各軸のピンポイントの測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を各軸の磁界Hx、Hy、Hz同じ感度、同じ精度で測定することを特徴とする。
本発明は、4面の傾斜面に貼り付ける単体のGSR素子に変えて、GSR素子を特定用途集積回路(例えば、ASIC-x1)の上に直接形成して、GSRセンサ(on―ASICタイプのGSRセンサをいう。)とし、それを傾斜面に貼り付けた磁界ベクトルセンサである。
これにより、第1発明におけるGSR素子を単体で斜面に設置してコイル電圧をASICまで配線した場合に比べて、配線の長さが短くなってコイル電圧の低下防止や外部ノイズの影響防止が可能となる。また、磁界ベクトルセンサの組み立てが容易となる。
第1発明および第2発明における4面以上の傾斜面を有し、その傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなるGSR素子またはGSRセンサを貼り付ける台座の形状として、上記の3つの形状が挙げられる。
先ず、図3Aに示す四角錐台3Aである。台座30Aの上下面は四角形状の上面31Aと上面より大きな面積からなる下面32Aとからなる。その側面は台形状の傾斜面(台形斜面)33Aの4面からなる。GSR素子35またはGSRセンサは台形斜面に貼り付ける。
次に、図3Bに示す八角錐台3Bである。台座30Bの上下面は八角形状の上面31Bと上面より大きな面積からなる下面32Bとからなる。その側面は台形状の傾斜面(台形斜面30B)の8面からなる。GSR素子35またはGSRセンサは台形斜面に貼り付ける。
そして、図3Cに示す変則八面錐台3Cである。台座の上下面は、正四角形状の上面31C(四角面という。)と上面より大きな面積からなる八角形状の下面32C(底面)とからなる。その側面は交互に長方形状の傾斜面34C(長方形斜面という。)と三角形状の傾斜面33C(三角形斜面という。)とからなる。長方形斜面34Cは、上面の四角面の一辺と底面の八角形の一辺とが同じ幅よりなり、4個形成している。三角形斜面33Cは、上面の四角面の頂点と底面の八角形の一辺よりなり、4個形成している。GSR素子35またはGSRセンサは長方形斜面34Cに貼り付ける。
上記のいずれの台座も、検出方向とGSR素子またはGSRセンサの長手方向が異なっても傾斜角度37を確保し、磁界ベクトルセンサの機能を果たすともに検出感度を0.1nT~10nTの微小磁界の検出が可能にする。
本発明は、少なくとも4面の傾斜面を有し、傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなる台座(上記の4種類の台座)を用いて、検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)とが一致するGSR素子(GSRセンサのGSR素子を含む。)を台座の4つの傾斜面に4回対称かつ鏡像対象に貼り付け、電子回路によりGSR素子の磁性ワイヤへ電流を流したときに生じるコイル電圧を検知し、変換して磁気測定値を用いてピンポイントの測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を各軸の磁界Hx、Hy、Hzと同じ感度、同じ精度で求めるものである。これは、GSR素子の特徴を生かした磁界ベクトルセンサを考案したものである。
ここでGSR素子とは、周波数0.5GHz~4GHzで駆動し、コイルピッチが10μm以下であることを特徴とする素子と定義する。なお、MI素子も検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)とが一致する素子であることから、GSR素子を使用する場合に比べて検出感度は低下するが、本発明の技術思想(検出磁界方向と素子長手方向(出力電圧方向)とが一致する素子で台座に4回ミラー反対称に取り付け、台座の傾斜角度が20度から40度で、磁界ベクトルとピンポイントに同じ感度で同じ精度で測定できる)に含まれるものである。
以下、発明の詳細について説明する。
<GSR素子>
GSR素子は、図1および上記の説明より、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と、磁性ワイヤに巻回した周回コイルで形成される検出用コイルと、磁性ワイヤ通電用のワイヤ電極2個およびコイル電圧検出用のコイル電極2個からなる4個の電極とから構成されており、検出磁界方向と出力電圧方向とは同じワイヤ方向で一致している。
なお、磁性ワイヤの両端および検出コイルの両端に端子を設け、これらの端子と電極との間を接続配線により接続してもよい。
以上の構成からなるGSRセンサ素子は、その構成が同じMIセンサ素子およびFGセンサ素子なども範疇に含むものである。
<電子回路>
電子回路2Aは、図5に示すように、パルス発信器~信号処理回路~演算処理装置からなるASICの電子回路図である。
電子回路2A(図5)は、GSRセンサの電子回路2を採用した集積回路(以下、ASICという。)で、パルス電流を流す1個のパルス発振器221、4個のGSR素子(22X1、22X2、22Y1、22Y2)、4個の信号処理回路222と4個の信号を切り替える切替スイッチ223、次いでADコンバータ224、演算処理回路225およびデータ通信回路226から構成されている。
1個のパルス発信器221は4個のGSR素子(22X1、22X2、22Y1、22Y2)の各磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、信号処理回路222はGSR素子にパルス電流を流した時に生じる磁性コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換して、Hx1、Hx2、Hy1およびHy2の4個の磁気測定値を求める。
演算処理装置は、求めた4個の磁気測定値を用いて、
Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
により磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を算出する。
Z軸方向の磁界Hzは、磁界検出素子が4回対称かつ鏡像対象に貼り付けられていることからHx1、Hx2、Hy1およびHy2の4個の磁気測定値の和となる。
なお、本発明では、磁性ワイヤに流す電流としてはパルス電流について説明しているが、磁性ワイヤに電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換することができる高周波電流も本発明に含まれるものである。
これにより、ピンポイントで所定の位置の磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を高い検出能でもって測定することが可能となる。また、微小空間における微小磁界の磁界分布の計測も可能となる。さらに、Hx、Hy、Hzの測定誤差は、θ=35.2度とすると、σx=σy=σz=0.86σとすべて同じになる。しかも使用したGSRセンサの測定誤差σより14%小さくなることが分かる。
次に、電子回路2Bは、図6に示すように、パルス発信器~信号処理回路の各軸に対応する4個のASICと演算処理装置等からなる。
1個のパルス発信器221と1個の信号処理回路222とに対応する1個のGSR素子からなる1個のASIC、すなわちGSR素子22X1に対応するASIC A-x1、GSR素子22X2に対応するASIC A-x2、GSR素子22Y1に対応するASIC A-y1、GSR素子22Y2に対応するASIC A-y2の4個のASICとする。
4個のASICのそれぞれの磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、信号処理回路222はGSR素子にパルス電流を流した時に生じる磁性コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換して、Hx1、Hx2、Hy1およびHy2の4個の磁気測定値を求める。
演算処理装置225は、求めた4個の磁気測定値を用いて、上式により磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を算出する。
<台座>
台座とは、磁界を検出するためにGSR素子35またはGSRセンサを貼り付ける台をいい、その種類は四角錐台3A、変形四角錐台3B、八角錐台3Cおよび変則八面錐台3Dの4種類があり、いずれの台座もその傾斜面の4面にGSR素子またはGSRセンサが鏡像対称に貼り付けられる。台座の傾斜面の特徴は以下のとおりである。
台座の傾斜面の傾斜角度37の傾斜角度θは35.2度を基準にして、20度~45度の範囲とする。この角度は、磁界Hx、Hy、Hzの検出感度と検出能力(=磁気センサのノイズ)を同じとするために重要である。さらに、GSR素子は検出磁界方向とGSR素子の長手方向が同じであるため、台座30(30A、30B、30C、30D)のGSR素子を貼り付ける形斜面は長い緩やかな斜面とすることが磁界ベクトルセンサの小型化にとっても望ましいからである。
上面31の四角形または八角形(四角形等という。)の一片を素子35の幅相当とし、底辺32の長さは、上面31の四角形等の一辺の長さとGSR素子35の長さの2cosθ倍との合計の長さに相当し、最小は0.6mmで最大は6mmであり、好ましくは1mm~6mmである。台座30の高さは、素子35の長さのsinθ倍である。つまり、θが35.2度の場合、台座30の高さは、0.15mm~1.5mmである。
なお、GSR素子のサイズ35と長方形斜面34Cのサイズは、必ずしも同一である必要はない。
台座30の傾斜面は、20~45度で緩やかな斜面からなる。傾斜角度θが35.2度の時、Hx、Hy、Hzの測定誤差σx、σy、σzがすべて同じ、つまりσx=σy=σz=0.86σとなる。実用的にはσzがσx(=σy)に比べて、25%程度の差を許容できるとすると、傾斜角度θは20度から45度程度となる。水平面方向の磁界精度を重視する場合には、傾斜角度θは35.2度から20度程度へと少し小さくし、垂直方向の磁界の精度を重視する場合は、傾斜角度θは35.2度から45度へと少し大きくすることもできる。
また、台座30の底面32(32A、32B、32C)には、底面にASICを設置する広さがある場合、底面32に中空部38を設けてASICを取り付けることができる。これにより、コンパクトな磁界ベクトルセンサを得ることができる。
台座30にて、上面31を挟んでGSR素子を貼り付ける4個の台座斜面 (台形斜面または長方形斜面)に4個の素子35を4回対称に接着剤で固定し、素子台座3(3A、3B、3C)とする。
4回対称性を確保するために、台座30の加工誤差は、10μm以下とした上で、台座斜面に4回対称に素子35を設置するための基軸線マーク36を台座斜面の上下端部の位置誤差±1μmで刻印し、その基軸線マーク36とGSR素子35の磁性ワイヤ351とを顕微鏡を使って誤差±1μmで一致させる。
これにより、4個の素子GSR35の4回対称性を確保が図れる。
<磁界ベクトルセンサの組み立て>
図4を用いて、磁界ベクトルセンサの組み立て4を説明する。
磁界ベクトルセンサの基板であるセンサ基板40の上に、ASIC40Aとそれを内挿した台座30と素子35とからなる素子台座40Gを載置して組み立てる。
<配線構造>
図4は、さらに組み立て後の配線構造も示している。
センサ基板40の表面の素子電極41、素子電極41と素子35の電極を接続する連結配線42、素子電極41とASIC用電極の電極を接続する連結配線43、センサ基板40の表面側から裏面側に貫通するスルーホール44およびセンサ基板40の裏面にはスルーホール44から裏面配線45を介して裏面出力電極46に接続されている。
また、配線構造は、四角錐台および八角錐台については、図7にGSR素子35の電極とセンサ基板40の電極41との配線を示し、図8はASIC40Aの表面の電極配置図を示す。図9にセンサ基板40の表面の電極配置および配線を示している。
変則八面錐台については、図10にGSR素子35の電極とセンサ基板40の電極41との配線を示し、図11にセンサ基板40の表面の電極配置および配線を示している。
なお、ASIC40Aの表面の電極配置図は図8と同じである。
センサ基板40には、表面側には16個の素子電極と16個のASIC40Aの素子電極および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する構造からなっている。
配線は、各素子35の4つの電極とセンサ基板40の表面上の16個の素子電極とを導線で接続する。センサ基板40上の16個のASIC40Aの素子電極とASIC側の素子電極とをハンダ接合する。さらに、ASIC側の外部接続電極とセンサ基板表面側の外部接続電極とをハンダ接合する。
これにより素子35で検知した外部磁界をASIC40Aで信号処理して、磁界ベクトル(Hx,Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板40の裏面側の外部接続電極46から取り出すことができる。
<信号処理>
ASIC40A内での信号処理は、4個の素子35の磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を計測し、その値を使って、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)を算出して、測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求める。台座の斜面の傾斜角度を35.2度にした場合、各軸の検出感度と微小磁界検出能(=磁界センサのσノイズ)が同じとなる。
測定位置は、X軸とY軸方向は、台座の中央部である。Z軸方向は、台座の高さHの1/2の位置(=H/2)である。台座の底面の中央位置を座標原点(0、0、0)として表現すれば、測定位置P点は、(0、0、H/2)である。
測定範囲は、台座の面積×台座の高さである。その測定空間の平均値を計測していると考えられる。
GSRセンサの検出能は、素子の長さに比例し大きくなり、本発明に用いたGSRセンサの検出能は0.1nT~10nTの範囲である。
<on―ASICタイプのGSRセンサ>
GSR素子を単体で4面の傾斜面に設置して、コイル電圧をASICまで配線した場合、例えば図7または図10における接続配線42の場合には、コイル電圧が低下したり、外部ノイズを感じたりする場合がある。このような場合、GSR素子を特定用途集積回路(ASIC)の上に直接形成したon―ASICタイプのGSRセンサを使用して、それを4面の傾斜面に貼り付けて、GSR素子で検知したコイル電圧をASICにおいて信号処理を行って磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換して出力する。
このASICより出力された磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2をASICの外部に連結した演算処理装置にて磁界Hx、Hy、Hzを算出して磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を測定する。
このon―ASICタイプのGSRセンサは、本発明者らが特開2019-191016号公報(超薄型高感度磁気センサ)にて開示している。本発明においてこの技術を引用するものである。
図12に構造を簡単に説明し、一例としてこのGSRセンサを貼り付けた変則八面錐台の構造を図13および図14を用いて説明する。
GSRセンサ7は、ASIC70の表面上に長手方向に溝72を有する絶縁性レジスト層71を形成し、その溝72に検出コイル74が巻回されている磁性ワイヤ73が整列されている。磁性ワイヤ73および検出コイル74はそれぞれ電極(733、741)を有しており、各電極は絶縁性レジスト層71内に形成されたスルーホールを介して直接ASICと接続される。
これにより、素子の電極とASICの電極との素子の外部配線からスルーホールを介した内部配線になるとともに両電極間の配線距離が短縮されて上記の問題の解消が可能となる。
変則八面錐台8の構造は、図13および図14(図13のE1-E2線における断面図)に示すように、台座80の上下面は四角形の上面801と八角形の下面(底面)802よりなり、台座80の側面は長方形斜面803と三角形斜面804が交互に形成されて各々4個よりなる。また、長方形斜面803の傾斜角度θは傾斜角度806よりなる。
長方形斜面803の4個にはそれぞれGSRセンサ81が貼り付けられている。ここではGSRセンサ81としてASIC811、絶縁性レジスト812、磁性ワイヤ813および磁性ワイヤ用電極と検出コイル用電極が図示されている。
[実施例1]
本発明の実施例1について、図1~9により説明する。
GSR素子(以下、素子という。)1は、図1に示す構成にてサイズは長さが3mm、幅が0.2mmである。磁性ワイヤ13は、ガラス被覆付きの直径10μm、長さ2.5mmのCoFe系のアモルファス合金からなり、両端にワイヤ端子14が形成され、接続配線16を介してワイヤ電極15に接続されている。コイル13は、両端にコイル端子17を設けて接続配線19を介してコイル電極18に接続されている。
電子回路は、図2に示すGSRセンサの電子回路2を採用し、図5に示すASIC(電子回路2A)を製作して用いた。パルス発振器221から周波数1.5GHzのパルス電流をGSR素子(22X1、22X2、22Y1、22Y2)に通電する。
信号処理回路222はGSR素子にパルス電流を流した時に生じる磁性コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換して、Hx1、Hx2、Hy1およびHy2の4個の磁気測定値を求める。
演算処理装置は、求めた4個の磁気測定値を用いて、上記計算式によりHx、Hy、Hzを求めて、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を算出する。
素子台座3Aは、図3Aに示すように台座30Aと台座30Aに貼り付ける4個の素子35とからなる。(3a)は素子台座3Aの平面図を示し、(3b)は(3a)の素子台座3AのA1-A2線の断面図を示す。
台座30Aは、四角錐台で、その台形斜面の傾斜角度37の傾斜角度θは35.2度にして、台座30Aの上面31Aの四角形の一辺は台形斜面33Aの幅と同じにして素子35の幅相当(0.2mm)とする。台形斜面33Aの長さは3.2mmで、素子35の長さ(3mm)にほぼ相当とする。台座30の高さは1.8mmである。
台座30Aに、4個の素子35を4回対称に接着剤で固定した。4回対称性を確保するために、台座30Aの加工誤差は10μmとした上で、台座30Aの台形斜面33Aに4回対称に素子35を設置するための基軸線マーク36を上下端部の位置誤差±1μmで刻印し、その基軸線36と素子35の磁性ワイヤ351とを顕微鏡を使って誤差±1μmで一致させた。
磁界ベクトルセンサ4の組み立ては、図4に示すように、センサ基板40の上面に台座30Aと素子35とからなる素子台座40G(3A)およびASIC40Aにより行った。
素子台座3Aの底辺321Aの長さ7.6mmは、ASIC40Aの幅2mmよりも十分大きいので、底面32Aの中央部を中空部38として、そこにASIC40Aが挿入できるようにして、素子台座3AおよびASIC40Aの両者をセンサ基板40上に設置した。
センサ基板40には、表面側には16個の素子電極と16個のASICの素子電極および複数個の外部接続電極を設け、表面側の外部接続電極はスルーホールを介して裏面側の対応する外部接続電極に接続する配線構造とした。
配線構造は、図7~9により説明する。
先ず、図7は素子台座3Aの素子35の電極とセンサ基板40の素子電極41を接続する配線図4Aを示す。
各素子35の4つの電極は、接続配線42を介してセンサ基板40の表面の16個の素子電極41と接続されている。
次に、図8はASIC40Aの表面の電極配置図を示す。
ASIC40Aの素子電極51とASIC40Aの出力電極52が配置されている。
最後に、図9にセンサ基板40の表面の配線図6を示す。
センサ基板40の素子電極61(図6の素子電極41に相当)は接続配線64を介してASIC40A用電極62と接続されている。センサ基板40の出力電極63が形成されている。
センサ基板40の裏面の配線は、図4に示すように、表面の出力電極63はスルーホール44および裏面の接続配線45を介して裏面の出力電極46に接続されている。
ここで、センサ基板40側の16個のASIC用電極62とASIC40A側の素子電極51とをハンダ接合した。さらに、ASIC40A側の外部接続電極(出力電極52)とセンサ基板40の表面側の外部接続電極(出力電極63)とをハンダ接合した。
これにより素子35で検知した外部磁界をASIC40Aで信号処理して、磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求め、それをセンサ基板40の裏面側の外部接続電極(出力電極63)から取り出すことができる。
ASIC内での信号処理は、4個の素子の磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を求め、その値を使って、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)を算出して、測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を求めた。
測定位置は、X軸とY軸方向は、台座30の中央部である。Z軸方向は、台座の1/2の高さの位置である。台座の底面の中央位置を座標原点(0、0、0)として表現すれば、測定位置P点は、(0、0、1/2)である。
測定範囲は、台座30の面積×台座の高さである。その測定空間の平均値を計測していると考えられる。
磁界センサの検出能は、0.2nTである。
[実施例2]
実施例2は、図11および図12に示すように、変則八面錐体の素子台座8の長方形斜面803に4個のon―ASICタイプのGSRセンサ81(図12に示す。)を設置したものである。
ASICからの出力は接続用基板にワイヤボンディング接合した上で、接続用基板の電極と台座の電極とは半田接合で連結され、台座に埋め込まれた配線を使って、ASIC外部の演算処理装置に転送され、そこで磁界センサHx、Hy、Hzを計算し、それを外部の制御装置部に転送することを特徴とする磁界ベクトルセンサである。
GSRセンサのサイズは、長さ2.5mm、幅1.0mm、磁界ベクトルセンサのサイズは底辺が6mm、高さは1.5mm、その磁界検出力は0.1nTで、実施例1に使用したGSRセンサより5倍程度優れたものである。
本発明により、医療、環境、ロボット分野など先端産業分野を中心に、生体磁気計測、生体内ナビゲーションシステム、ロボットの姿勢制御装置、地磁気異常、火星など地磁気測定など、微小空間における微小磁界の計測に広く応用されるものと期待される。
1:GSR素子(素子)
11:基板、12:磁性ワイヤ、13:コイル、14:ワイヤ端子、15:ワイヤ電極、16:接続配線(ワイヤ電極用)、17:コイル端子、18:コイル電極、19:接続配線(コイル電極用)
2:電子回路(GSRセンサの電子回路)
21:パルス発振器、22:電子スイッチ、23:GSR素子、24:電子スイッチ、25:コンデンサ、26:出力側回路(サンプルホールド回路)、27:コンデンサ、28:増幅器
2A:電子回路(磁界ベクトルセンサの電子回路)
221:パルス発振器、(22X1、22X2、22Y1、22Y2):GSR素子、222:信号処理回路、223:切替スイッチ、224:ADコンバータ、225:演算処理装置、226:データ通信回路
2B:電子回路(磁界ベクトルセンサの電子回路)
A-x1:GSR素子22X1のASIC、A-x2:GSR素子22X2のASIC、A-y1:GSR素子22Y1のASIC、A-y2:GSR素子22Y2のASIC、
221:パルス発振器、(22X1、22X2、22Y1、22Y2):GSR素子、222:信号処理回路、223:切替スイッチ、224:ADコンバータ、225:演算処理装置、226:データ通信回路
3A:素子台座3A(四角錐台)
30A:台座、31A:上面、32A:下面(底面)、321A:底辺、33A:台形斜面、34:稜線、35:GSR素子 351:磁性ワイヤ、36:基軸線マーク、37:傾斜角度、38:中空部(中空)
3B:素子台座3B(八角錐台)
30B:台座、31B:上面、32B:下面(底面)、321B:底辺、33B:台形斜面、34:稜線、35:GSR素子 351:磁性ワイヤ、36:基軸線マーク、37:傾斜角度、38:中空部(中空)
3C:素子台座3C(変則八面錐台)
30C:台座、31C:上面、32C:下面(底面)、321C:底辺、33C:三角形斜面、34C:長方形斜面、35:GSR素子 351:磁性ワイヤ、36:基軸線マーク、37:傾斜角度、38:中空部(中空)
4:磁界ベクトルセンサ(組み立て)
40:センサ基板、40A:ASIC、40G:素子台座(台座30とGSR素子からなる)、41:素子電極(センサ基板40の表面の素子電極)、42:接続配線(素子35の電極と素子電極41との配線)、43:接続配線(素子電極41とASIC用電極との配線)、44:スルーホール、45:接続配線(センサ基板40の裏面の配線)46:出力電極(センサ基板40の裏面の出力電極)
4A:センサ基板の電極配置
40:センサ基板、41:素子電極(センサ基板40の表面の素子電極)、42:接続配線(素子35の電極と素子電極41との配線)
5:ASICの電極配置
51:ASICの素子電極、52:ASICの出力電極
6:センサ基板の表面の配線図
61:素子電極(素子電極41)、62:ASIC用電極、63:出力電極、64:接続配線(素子電極61とASIC用電極62との配線)
7:on-ASICタイプのGSRセンサ
70:ASIC、71:絶縁性レジスト層、72:溝、73:磁性ワイヤ、731:磁性ワイヤ用端子、732:ワイヤ電極接続部、733:ワイヤ電極、74:検出コイル、741:コイル電極
8:素子台座(GSRセンサを貼り付けた変則八面錐体)
80:台座、801:上面、802:下面(底面)、803:長方形斜面、804:三角形斜面、805:基準線マーク、806:傾斜角度θ、81:on-ASICタイプのGSRセンサ、811:ASIC、812:絶縁性レジスト層、813:磁性ワイヤ

Claims (5)

  1. GSRセンサと素子台座と演算処理装置とを備える磁界ベクトルセンサにおいて、
    前記GSRセンサは、GSR素子と電子回路とからなり、
    前記GSR素子は、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と、前記磁性ワイヤに巻回した周回コイルで形成される検出用コイルと、磁性ワイヤ通電用のワイヤ電極2個およびコイル電圧検出用のコイル電極2個からなる4個の電極とを備え、かつ、検出磁界方向と素子長手方向とは前記磁性ワイヤ方向で一致しており、
    前記電子回路は、パルス発信器と信号処理回路とからなり、
    前記パルス発信器は、前記磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、
    前記信号処理回路は、前記磁性ワイヤに前記パルス電流を流した時に生じる前記検出用コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換し、
    前記素子台座は、少なくとも4面の傾斜面を4回対称に有する台座であって、
    前記傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなり、
    4個の前記GSR素子が前記4面の傾斜面に前記GSR素子の前記磁性ワイヤの方向を傾斜方向に向け、かつ4回対称で鏡像対称に貼り付けられており、
    前記4個のGSR素子は4個の前記電子回路に接続され、前記信号処理回路は前記パルス電流を流した時に生じる前記コイル電圧を検知し、前記コイル電圧を磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換して前記演算処理装置に入力し、
    前記演算処理装置は、前記磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を用いて、
    Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
    Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
    Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
    を算出し、
    上記式で算出された磁界Hx、Hy、Hzでもって各軸のピンポイントの測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を各軸の磁界Hx、Hy、Hz同じ感度、同じ精度で測定することを特徴とする磁界ベクトルセンサ。
  2. on-ASICタイプのGSRセンサと素子台座と演算処理装置とを備える磁界ベクトルセンサにおいて、
    前記on-ASICタイプのGSRセンサは、GSR素子と特定用途集積回路(以下、ASICという。)を備え、かつ前記GSR素子と前記ASICとは、前記GSR素子は前記ASICの表面上に設置されるとともに両者はスルーホールを介して連結されており、
    前記GSR素子は、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ(以下、磁性ワイヤという。)と、前記磁性ワイヤに巻回した周回コイルで形成される検出用コイルと、磁性ワイヤ通電用のワイヤ電極2個およびコイル電圧検出用のコイル電極2個からなる4個の電極とを備え、かつ、検出磁界方向と素子長手方向とは前記磁性ワイヤ方向で一致しており、
    前記ASICは、パルス発信器と信号処理回路とを備え、
    前記パルス発信器は、前記磁性ワイヤに0.5~4GHzの周波数のパルス電流を流し、
    前記信号処理回路は、前記GSR素子に前記パルス電流を流した時に生じる前記検出用コイルに発生するコイル電圧を検知し、その電圧を外部磁界Hに比例した出力信号に変換し、
    前記素子台座は、少なくとも4面の傾斜面を4回対称に有する台座であって、
    前記傾斜面のうち4面は傾斜角度θが20~45度よりなり、
    4個の前記on-ASICタイプのGSRセンサが前記4面の傾斜面に前記GSR素子の磁性ワイヤの方向を傾斜方向に向け、かつ4回対称で鏡像対称に貼り付けられており、
    前記4個のon-ASICタイプのGSRセンサは、前記磁性ワイヤに前記パルス電流を流した時に生じる前記コイル電圧を検知し、前記コイル電圧を磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2に変換して、前記演算処理装置に入力し、
    前記演算処理装置は、前記磁気測定値Hx1、Hx2、Hy1、Hy2を用いて、
    Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、
    Hy=(1/2cosθ)(Hy1-Hy2)、
    Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)、
    を算出し、
    上記式で算出された磁界Hx、Hy、Hzでもって各軸のピンポイントの測定位置における磁界ベクトル(Hx、Hy、Hz)を各軸の磁界Hx、Hy、Hz同じ感度、同じ精度で測定することを特徴とする磁界ベクトルセンサ。
  3. 前記台座は、四角錐台の形状からなる、請求項1または請求項2に記載の磁界ベクトルセンサ。
  4. 前記台座は、八角錐台の形状からなる、請求項1または請求項2に記載の磁界ベクトルセンサ。
  5. 前記台座は、上下面が正四角形状の上面と八角形状の下面よりなり、側面が交互に長方形状の傾斜面と三角形状の傾斜面よりなる変則八面錐台の形状からなる、請求項1または請求項2に記載の磁界ベクトルセンサ。









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