(1)画像形成装置例の全体的概略説明
図1は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本実施例の画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、4ドラム(4ステーション)タンデムタイプのフルカラー複写機である。Aは複写機本体、Bは複写機本体Aに搭載したカラー画像読取り装置(カラーリーダー)である。
カラー画像読取り装置Bは複写すべきカラー画像原稿を色分解光電読取りするものである。すなわち、原稿台10上におかれたカラー原稿Gに対し、原稿照射用ランプ・短焦点レンズアレイ・CCDセンサーを組み込んだ読取りユニット11がカラー原稿Gの画像面を照明しながら走査移動する。これにより、照明走査光の原稿面反射光が、短焦点レンズアレイによって結像されてCCDセンサーに入射する。CCDセンサーは受光部、転送部、出力部より構成されている。CCD受光部においてカラー画像の色分解光電読取りがなされて光信号が電荷信号に変えられ、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。得られたアナログ信号は周知の画像処理を行なってデジタル信号に変換して複写機本体A側の制御回路部(不図示)に送られる。
複写機本体Aにおいて、UY・UM・UC・UBは図面上右から左に順に配列した第1から第4の4つの画像形成ユニット(色ステーション)である。5はこれらの画像形成ユニットの下方に配設した転写ベルト装置、7はこの転写ベルト装置に記録材Pを給送する給紙装置、8は定着装置、9は排紙トレイである。
第1から第4の各画像形成ユニットUY・UM・UC・UBは基本的にはいずれも同一の電子写真プロセス機構からなる。図2はその一つの画像形成ユニットの拡大図であり、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1、感光ドラムに帯電工程とクリーニング工程を同時に行なう帯電同時クリーニング装置2、感光ドラム1の一様帯電面に光像露光して静電潜像を形成する像露光装置3、その静電潜像をトナー像として現像する現像装置4、像露光の光メモリを除去する前露光装置6、等の電子写真作像プロセス機器を有している。
ただし、第1から第4の画像形成ユニットUY・UM・UC・UBの各現像装置4に収容の現像剤は、それぞれ、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーである。
感光ドラム1は表面に電荷注入層を具備させた有機感光体を用いている。この有機感光体については(2)項で詳述する。感光ドラム1は駆動手段(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
帯電同時クリーニング装置2は磁気ブラシ帯電装置である。この装置2については(3)項で詳述する。回転駆動されている感光ドラム1はこの装置2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。aは帯電同時クリーニング部である。
像露光装置3は本実施例ではLED露光装置(LEDアレイ)である。このLED露光装置3は前述したカラー画像読取り装置Bから複写機本体Aに送られた画像信号を受けてON・OFF発光制御され、回転駆動されている感光ドラム1の一様帯電面を走査露光する。bは露光部である。これにより、感光ドラム1面上に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。その静電潜像が現像装置4によりトナー像として現像される。41は現像剤担持部材としての現像ローラまたは現像スリーブである。cは現像部である。
第1の画像形成ユニットUYにおいては、感光ドラム1に対してLED露光装置3によりカラー画像のイエロー成分像に対応した走査露光がなされて静電潜像が形成され、それが現像装置4によりイエロートナー像として現像される。
第2の画像形成ユニットUMにおいては、感光ドラム1に対してLED露光装置3によりカラー画像のマゼンタ成分像に対応した走査露光がなされて静電潜像が形成され、それが現像装置4によりマゼンタトナー像として現像される。
第3の画像形成ユニットUCにおいては、感光ドラム1に対してLED露光装置3によりカラー画像のシアン成分像に対応した走査露光がなされて静電潜像が形成され、それが現像装置4によりシアントナー像として現像される。
第4の画像形成ユニットUKにおいては、感光ドラム1に対してLED露光装置3によりカラー画像のブラック成分像に対応した走査露光がなされて静電潜像が形成され、それが現像装置4によりブラックトナー像として現像される。
転写ベルト装置5は、第1の画像形成ユニットUY側に配設した第1のローラ52、第4の画像形成ユニットUK側に配設した第2のローラ53、この第1と第2のローラ52・53間に懸回張設させたエンドレスの転写ベルト51、第1〜第4の画像形成ユニットUY・UM・UC・UBの各感光ドラム1に対する転写帯電器としての帯電ブレード54、等を有している。転写ベルト51は矢印の反時計方向に回転駆動される。上行側のベルト部分が第1〜第4の各画像形成ユニットの感光ドラム1の下面部に対して帯電ブレード54により押圧されて接触して転写部dを形成している。
給紙装置7は所定の制御タイミングで記録材Pを1枚分離給送して、転写ベルト装置5において回転駆動されている転写ベルト51の上行側ベルト部分に第1の画像形成ユニットUY側から供給する。記録材Pは回転する転写ベルト51の上行側ベルト部分に静電的に保持されて第1〜第4の各画像形成ユニットUY・UM・UC・UBの転写部dへ順次に搬送され、第1〜第4の各画像形成ユニットの感光ドラム1上に形成された、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像の順次多重転写を受ける。これにより、記録材P面にはフルカラー画像の未定着トナー像が合成形成される。
第1〜第4の各画像形成ユニットUY・UM・UC・UBにおいて、転写工程後の感光ドラム1面は前露光部eにおいて前露光装置6による全面露光を受けて像露光の光メモリの除去を受ける。次いで、再び帯電同時クリーニング部aにおいて帯電同時クリーニング装置2による一様帯電処理を受ける。そして、この帯電工程と同時に、転写工程後の感光ドラム表面に存在していて帯電同時クリーニング部aに持ち運ばれてくる転写残トナー粒子および再転写トナー粒子が帯電同時クリーニング装置2に取り込まれて感光ドラム表面から回収される。これにより感光ドラム表面のクリーニングがなされて繰り返して作像に供される。この帯電同時クリーニングについては(3)項で詳述する。
記録材Pは第4の画像形成ユニットUKの転写部dを通過して転写ベルト51の上行側ベルト部分から分離され、定着装置7へ搬送される。記録材P上のフルカラー画像の未定着トナー像は定着装置7により熱と圧により溶融・混色してフルカラー画像として定着され、排紙トレイ9上に排出される。
モノ黒画像形成モードのときは、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成ユニットのみが作像動作する。
(2)感光ドラム1
本実施例においては感光体として下記のような層構成の有機感光体を用いている。具体的には、通常用いられている有機感光体上に体積抵抗値が109〜1014Ω・cm、好ましくは1011〜1013Ω・cmの材質を有する電荷注入層を持つものが有効であり、電荷注入層を持つ感光体を用いると電荷注入帯電を実現でき、オゾン発生の防止、ならびに消費電力の低減に効果がある。また、帯電性についても向上させることが可能となる。
本実施例においては、負帯電の有機感光体で、直径80mmのアルミニウム製のドラム基体上に下記の第1〜第5の5つの層を下から順に設けた感光ドラム1を用いた。
1)第1層は下引き層であり、アルミニウム基体(以下アルミ基体と称する)の欠陥等をならすために設けられている厚さ20μmの導電層である。
2)第2層は正電荷注入防止層であり、アルミ基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ1μmの中抵抗層である。
3)第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
4)第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネイト樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することができず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。本実施例においては、電荷輸送層を20μm設けた。
5)第5層は電荷注入層であり、絶縁性樹脂のバインダーにSnO2超微粒子を分散した材料の塗工層である。具体的には絶縁性樹脂に光透過性の絶縁フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)した粒径約0.03μmのSnO2粒子を樹脂に対して70重量パーセント分散した材料の塗工層である。これによって感光体表面の抵抗値は、電荷輸送層単体の場合1×1015Ω・cmだったのに比べ、1×1012Ω・cmまで低下した。
ここで、電荷注入層の体積抵抗値は、金属の電極を200μmの間隔で配し、その間に電荷注入層の調合液を流入して成膜させ、電極間に電圧を100V印加して測定した値である。
このように調合した塗工液をディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法、ビーム塗工法等の適当な塗工法にて3μm程度の厚さを制御し塗工して電荷注入層とした。
(3)帯電同時クリーニング装置2
帯電同時クリーニング装置は磁気ブラシ方式をとっている。導電性の磁性粒子を直接マグネット、あるいは、マグネットを内包するスリーブ上に磁気的に拘束させて磁気ブラシ帯電部材を構成し、停止、あるいは、回転しながら像担持体に接触させ、これに電圧を印加することによって帯電が開始される。
磁気ブラシ帯電部材によって、上記のような表面に電荷注入層をもつ有機感光体に対して注入帯電工程とクリーニング工程を同時に行う。クリーニング工程は転写工程後の感光ドラム表面に存在していて帯電部に持ち運ばれてくる転写残トナー粒子および再転写トナー粒子を感光ドラム表面から磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部に回収し、その回収したトナー粒子を感光ドラム上へ積極的には戻さずに、回収電極によって磁気ブラシ部から除去してクリーニング容器へと移行させる方式を取っている。
より具体的には、像担持体表面に109〜1014Ω・cmの材質からなる層を持つ像担持体を用いて、磁気ブラシ帯電部材によって注入帯電工程を行い、帯電工程時に回収された転写残りトナーを回収電極によって磁性粒子の磁気ブラシ部内から回収しクリーニング容器へと移行させる。このとき磁気ブラシ部内からトナーを回収する回収性が帯電性を低下させないためにも重要となる。
磁性粒子の磁気ブラシ部内からトナーを回収するためには、磁性粒子担持体へ帯電極性側の電圧が印加されていることから、回収電極を接地して回収する方法が容易に考えられる。このとき回収性を向上させるためには、磁性粒子担持体へ高い交番電圧を重畳してやると回収電極との間に高電界が形成され、磁性粒子の磁気ブラシ部中のトナー回収性が高まり混入率を低減することが可能となるが、磁気ブラシ帯電部材を用いた注入帯電を行う構成の場合、接触面積を稼ぐために磁性粒子の粒径が小さいものが用いられ、また帯電性を高めるために低抵抗の磁性粒子が用いられるため、磁性粒子担持体へ必要以上の振幅の交番電圧を重畳すると、像担持体への磁性粒子漏れが生じやすくなり現像手段内への帯電用磁性粒子の混入等が生じ、かぶりの増加やリーク跡と言った画像欠陥が発生する要因となる。
本実施例で用いた帯電同時クリーニング装置2は、図3のように、内部に固定マグネット22が設けられ、回転自在の非磁性の帯電スリーブ23上に、磁性粒子規制手段21によって規制された磁性粒子24が磁界によってブラシ状に形成されて、非磁性の帯電スリーブ23の回転にともない磁気ブラシ部である磁性粒子24が帯電同時クリーニング部aにおいて感光ドラム1面に接触しながら搬送される。上記において固定マグネット22を内包した帯電スリーブ23が磁性粒子担持体であり、磁性粒子24をブラシ状に担持した帯電スリーブ23が磁気ブラシ帯電部材20である。
帯電スリーブ23は感光ドラム1に対しカウンター方向に回転しており、感光ドラム1の回転速度300mm/secに対し非磁性の帯電スリーブ23は360mm/secで回転している。このとき、帯電スリーブ23と感光ドラム1は約350μmの間隙α(図4)に設定されている。帯電スリーブ23の表面に形成担持される磁性粒子磁気ブラシ部の厚さは間隙αよりも大きい設定であり、磁気ブラシ部である磁性粒子24は帯電同時クリーニング部aにおいて感光ドラム1面に所定の幅をもって接触しながら搬送される。
そして、上記帯電スリーブ23に、第1の電源部E1から帯電電圧(帯電バイアス)を印加することにより、帯電同時クリーニング部aにおいて感光ドラム1面に接触しながら搬送される磁性粒子24から電荷が感光ドラム1上に与えられ、感光ドラム表面が帯電電圧に対応した電位に近い値に帯電(注入帯電)される。
また、転写工程後の感光ドラム表面に存在していて帯電同時クリーニング部aに持ち運ばれてきた転写残および再転写のトナー粒子tが磁気ブラシ部である磁性粒子24による感光ドラム表面の摺擦により感光ドラム表面から掻き取られて磁性粒子中に混入して回収される。即ち、感光ドラム表面のクリーニングがなされる。
また、上記の帯電同時クリーニング装置2内には帯電スリーブ23に近接して回収電極25が設けられている。この回収電極25には第2の電源部E2からトナー粒子回収電圧が印加される。ここで、帯電スリーブ23と回収電極25の間隙β(図4)は100〜2000μm程度が好ましく帯電スリーブ23と感光ドラム1との間隙αに近い間隔が好ましい。間隙βは100μmよりも小さいと、帯電スリーブ23と回収電極25との間を磁性粒子が通過できなくなる。また、間隙βは2000μmよりも大きいと、磁性粒子が回収電極25と非接触になってしまう。そこで本実施例においては帯電スリーブ23と感光ドラム1の間隔αよりも若干広い400μmに回収電極25と帯電スリーブ23の間隙βを設定した。
更に回収電極25を帯電スリーブ23とほぼ同速で帯電スリーブ23の回転に順方向に回転駆動し、帯電スリーブ23上にコーティングされた磁気ブラシ部である磁性粒子24中に混入したトナーtを帯電スリーブ23と回収電極25の間に形成された電界によって回収電極25の表面に回収している。
回収電極25は、例えば導電性のSUS棒やSUS棒の表面に薄層の絶縁層もしくは中抵抗層を設けたもの等を用いることができる。本実施例においては、磁性粒子24からのリークを抑えるとともに電界効果が充分に得られやすいように、SUS棒の表面に約50μmの厚さの中抵抗層を設けたものを用いた。
このとき、トナーtとともに磁性粒子24が回収電極25に付着してしまうのをできるだけ抑えるために、帯電スリーブ23内のマグネットローラ22について、回収電極25近傍に磁極を設けることが好ましい。具体的には図4のように最近接位置fから±10度以内に回収電極25に対する対向磁極(本実施例ではS磁極)を設定することにより、磁性粒子24の付着を低減できる。対向磁極の磁力(最大磁束密度)としては900ガウス以上が好ましいことから、本実施例においては950ガウスの磁極を回収電極25に向けて配置している。すなわち、磁性粒子の回収電極への付着を防止するためには対向磁極の磁力(最大磁束密度)としては900ガウス以上が望ましい。磁束密度の測定は一般的なガウスメーターによる測定である。
回収電極25に回収されたトナーtは回収電極25の表面に先端部を回収電極回転方向にカウンターにして接触させて設けたブレード26によって掻き取られて、クリーニング容器(以下、廃トナーボックスと記す)27へと送られる。
上記帯電同時クリーニング装置2において、帯電スリーブ23上にコートされる磁性粒子量は約150mg/cm2に調整されている。また、磁性粒子としては、平均粒径(体積平均粒径)が10〜100μm、飽和磁化が20〜250emu/cm3、抵抗(体積抵抗)が102〜1010Ω・cmのものが好ましく、感光ドラム1にピンホールのような絶縁の欠陥が存在することを考慮すると抵抗が106Ω・cm以上のものを用いることが好ましい。磁性粒子の抵抗に関して、上限は帯電性を確保するために10乗以下の抵抗値が必要であり、下限は感光ドラム上の絶縁不良等があってもリーク等が発生しないためには6乗以上が好ましい。
また磁性粒子24の粒径も磁性粒子が充分に感光ドラム表面に接触できるようにするためには好ましくは平均体積粒径で50μm以下のものが好ましい。上限は注入帯電を行うためには感光体に対する接触面積を充分に確保するために磁性粒子径を小さくすることが好ましく、帯電性を考えると50μm以下にしたい。下限は磁性粒子の感光体への付着を防止するためには磁気拘束力を高めるため10μm以上にしたい。
そこで本実施例においては、平均粒径25μm、飽和磁化200emu/cm3、抵抗が5×106Ω・cmの磁性粒子を用いた。また本実施例において用いた磁性粒子は、フェライト表面を酸化、還元処理して抵抗調整を行ったものを用いている。
ここで、磁性粒子の抵抗値(体積抵抗値)は、底面積が228mm2の金属セルに磁性粒子を2g入れた後、65N/cm2(6.6Kg/cm2)で加重し、100Vの電圧を印加して測定している。
このように、小粒径で低抵抗な磁性粒子を用いることにより感光ドラム表面との充分な接触点を確保し、また充分な電荷注入効率を実現できるため安定した帯電工程が可能となる。
上記の帯電同時クリーニング装置2において、帯電スリーブ23に対して直流電圧−600Vを印加して帯電を行っている。上記の帯電条件において感光ドラム1は初期では−580Vに帯電(注入帯電)されていた。
また、磁気ブラシ部である磁性粒子24内に混入したトナーを回収するために設けられた回収電極25に対しては直流電圧DC−300Vに対して周波数1000Hzで、振幅が0,500,1000、1500Vと振った交番電圧ACを印加した。
図5は横軸に耐久枚数、縦軸に帯電電位を示している。このとき、帯電電位が−550V以上の場合には画像上問題の無いレベルであったが、−550Vを切るようになるとハーフトーンなどを出力した際に帯電ムラが画像上で確認できるようになり、更に−500Vを切ると全面にスジ状のかぶりが生じるようになってしまった。
図5から見てもわかるように、回収電極25に印加する交番電圧が高いほど帯電能が維持されているのがわかる。図5から回収電極25へ振幅500V以上の交番電圧を重畳させることで大きな効果がえられていることがわかる。
これは、磁性粒子中に混入したトナーを効果的に回収電極25によって回収し廃トナーボックス27へと移行させているためであり、実際廃トナーボックス27へ回収されたトナー量も交番電圧が高い場合ほど多くなっている。感光ドラム上のトナーは回収する際には極性がばらついていても、磁性粒子と摩擦帯電することにより正規の帯電極性に揃えられ回収電極での回収が可能となる。
ここで、参考例として帯電スリーブ23に対して直流電圧−600Vに対して周波数が1000Hz、振幅が0,500,1000,1500Vの交番電圧を重畳した場合の感光ドラム1に対する磁性粒子付着量を調べた所、1000枚の画像出力あたりそれぞれ、0.01g、0.05g、0.8g、3.0g程度の付着が見られた。このことからも磁性粒子の感光ドラム1への付着を防止するためには交番電圧の振幅を1000V以下にすることが好ましいことがわかる。
このとき、回収電極25に高振幅の交番電圧を印加するため、本実施例のように帯電スリーブ23内のマグネットローラ22について回収電極25に向けて磁極を設け950ガウスに設定したが、それでも回収電極22に対する磁性粒子の付着が若干量存在する。このとき付着した磁性粒子は廃トナーボックス27へと移行するため特に弊害は起きないが、帯電同時クリーニング装置2内に内包される磁性粒子の量が少ない場合には磁性粒子が装置の耐久につれて無くなってしまい帯電が行えなくなってしまう場合がある。よって、回収電極25に対する磁性粒子の付着量と帯電同時クリーニング装置2の寿命に応じて、内包する磁性粒子量を決めていく必要がある。また、場合によっては磁性粒子24の補給も含め行うことも重要である。
このように、帯電同時クリーニングを行う際に帯電スリーブ23に印加される電圧の交番電圧の振幅値よりも、回収電極25に印加される電圧の交番電圧の振幅値を高くしてやることにより、帯電時の感光ドラム1に対する磁性粒子の付着を防止しつつ磁性粒子に混入したトナーの回収効率を高めることが可能となった。
よって、転写残りトナーが現像装置4へ混入する量を大きく低減することが可能となり、タンデムカラー機においては一の画像形成ユニット(色ステーション)のトナーが再転写等で他色の画像形成ユニットの現像装置へ混入し色濁りを発生させることを防止することが可能となった。
回収電極へのトナーの回収性を高めるためには、回収電極と帯電スリーブ間の交番電界を高めることが有効である。ただし、帯電スリーブに必要以上の高ACを印加すると感光体への磁性粒子付着が悪化してしまう。よって回収性を確保し磁性粒子の感光体付着を防止するために本実施例では回収電極に高AC(回収電極に印加される交番電圧のほうが高い)を印加している。
交番電圧の差は|(回収電極に重畳する交番電圧の振幅値)−(磁性粒子担持体に重畳する交番電圧の振幅値)|である。実施例1においては|(回収電極25に重畳する交番電圧の振幅値500V以上)−(帯電スリーブ23に重畳する交番電圧の振幅値0V)|で交番電圧の差が500V以上である。回収電極25には交番電圧を重畳しないで、帯電スリーブ23に振幅値500V以上の交番電圧を重畳して交番電圧の差が500V以上にする系にすることもできる。回収電極25と帯電スリーブ23のどちらにも交番電圧を印加するけれども、(回収電極25に重畳する交番電圧の振幅値)<(帯電スリーブ23に重畳する交番電圧の振幅値)の関係にして交番電圧の差が500V以上とする系にすることもできる。回収電極と磁性粒子担持体に重畳される交番電圧の差が500V以上以上でないと回収性が良好に得られない。
なお、廃トナーボックス27内が廃トナーで満杯になったらサービスマンが交換する。
実施例1・2においては、感光ドラム1として表面に電荷注入層を設けた有機感光体を用いたが、本実施例においては、ネガ帯電のアモルファスシリコン感光体(a−Si系感光体)を2つの磁気ブラシ帯電部材(帯電器)により帯電する場合について述べる。
a−Si系感光体は表面に109〜1014Ω・cmの材質からなる層を有し電荷注入帯電性を有するが、像露光や前露光による光メモリーが生じやすく、帯電された電位が暗状態でも減衰してしまう暗減衰という現象が顕著に発生する。また、この暗減衰は膜厚ムラや組成ムラによる暗減衰差が生じやすく、この現象に起因される帯電電位ムラが生じやすい。
本実施例においては、このa−Si系感光体の感光ドラム1に対して、図7に示すように、感光ドラム1の回転方向に沿って配列した第1と第2の2つの磁気ブラシ帯電部材20A・20Bにより2回の帯電工程a・aを行うことができる帯電同時クリーニング装置2を用いている。実施例1・2の装置と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
このように2回の帯電を行うことにより、第1回目の帯電で前記光メモリーを大幅に軽減できるため、第2回目の帯電を行った後には暗減衰を少なくすることが可能となる。これに伴い、電位ゴーストや電位ムラが大幅に良化された。
第1と第2の磁気ブラシ帯電部材20A・20Bはそれぞれ実施例1の磁気ブラシ帯電部材20と同様に、内部に固定マグネット22A・22Bが設けられ、回転自在の非磁性の帯電スリーブ23A・23B上に、磁性粒子規制手段21によって規制された磁性粒子24が磁界によってブラシ状に形成されて、帯電スリーブ23A・23Bの回転にともない磁気ブラシ部である磁性粒子304が搬送される。このとき、最近接距離が1mmとなるように配置された帯電スリーブ23A・23B間を磁性粒子が磁気力によって受け渡されて矢印のように搬送される。帯電スリーブ23A・23Bは感光ドラム1に対しカウンター方向に回転しており、感光ドラム1の回転速度200mm/secに対し帯電スリーブ23A・23Bはともに300mm/secで回転している。このとき、帯電スリーブ23A・23Bと感光体1は約400μmの間隙に設定されており、上記帯電スリーブ23A・23Bに、帯電電圧を印加することにより、帯電用磁性粒子24から電荷が感光ドラム1上に与えられ、帯電電圧に対応した電位に近い値に注入帯電される。
また、本実施例においては第1の磁気ブラシ帯電部材20Aの帯電スリーブ23Aの近傍に実施例1,2で用いたものと同じ回収電極25を設けている。回収電極25は帯電スリーブ23Aに対して約400μmの間隙に設定されており帯電スリーブ23Aとほぼ同速で帯電スリーブ23Aの回転方向に順方向に回転駆動されており、帯電スリーブ23A上にコーティングされた磁気ブラシ部である磁性粒子中に混入したトナーを帯電スリーブ23Aと回収電極25の間に形成された電界によって回収する役目をしている。また、トナーとともに磁性粒子が回収電極25に付着してしまうのをできるだけ抑えるために、帯電スリーブ23A内のマグネットローラ22Aについて、回収電極近傍に磁極を設けることが好ましい。本実施例においても、実施例1・2と同様に950ガウスの極を回収電極に向けて配置している。また、回収されたトナーはやはり実施例1・2と同様にブレード26によって掻き取られ廃トナーボックス27へと送られる。
帯電同時クリーニング装置2において、帯電スリーブ23A・23B上にコートされる磁性粒子量は約75mg/cm2に調整されている。本実施例における磁性粒子担持量は実施例1・2の半分の量になっているが、2回帯電の行うためより薄層での帯電が可能となっている。
このような帯電同時クリーニング装置2を用いて実施例1と同様に帯電スリーブ23A・23Bに対して直流電圧のみを印加した場合と、実施例2で用いたようなデューティ波形の交番電圧を重畳した場合において、回収電極25に対して周波数1000Hzで振幅が0、500、1000、1500Vと振った電圧を印加した場合の磁性粒子からのトナーの回収性を調べた。
その結果、帯電スリーブ23A・23Bに印加する電圧が直流電圧のみの場合には実施例1と同様に振幅が500V以上の場合において充分な回収性が見られ、実施例2のような振幅が400Vのデューティ波形の交番電圧を重畳した場合には実施例2と同様に振幅を1000V以上の場合において充分な回収性が見られた。このことから、アモルファスシリコン感光体を用いた場合においても回収電極25と帯電スリーブ23Aの交番電圧の差分値が500Vよりも大きいことにより充分な回収性が得られ、帯電同時クリーニングが行えることがわかった。
以上説明のように、磁性粒子を用いて注入帯電を行うことにより感光体表面を帯電する帯電同時クリーニング装置において、帯電スリーブ近傍に配置された回収電極へ磁性粒子中に混入したトナーを回収するためには、帯電スリーブと回収電極間の交番電界を強くすることが有効であり、その差分値が500V以上の条件で回収性が充分えられることがわかった。
ここで、実施例1〜3においては、ネガの帯電極性に対して、ネガトナーを現像する反転現像方式について述べたが、帯電極性も正負どちらでも効果が得られ、ネガ極性に限られるものではない。また、各プロセス条件についても実施例1〜3の場合に限られるものではない。例えば、実施例1〜3では帯電スリーブ及び回収電極に対して周波数が1000Hzの交番電圧を重畳したがもちろんこれに限られるわけではない、好ましくは100〜20000Hz程度にすることが有効である。その他、出力スピードや設定条件についても実施例1〜3の条件に限られることなく効果が得られる。
また像担持体は静電記録誘電体であってもよい。またタンデムカラー機は中間転写部材を用い、この中間転写部材上に各画像形成ユニットUY・UM・UC・UBの順次一次転写によりフルカラー画像の未定着トナー像を形成し、そのフルカラー画像の未定着トナー像を一括して記録材に二次転写し、定着装置により熱と圧により溶融・混色してフルカラー画像として定着する装置構成にすることもできる。
1は感光ドラム(像担持体)、2は帯電同時クリーニング装置、3はLED露光手段、4は現像装置、5は転写ベルト装置、6は前露光ランプ、8は定着装置、11はスキャナユニット