JP2006035447A - インクジェット記録用紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、インクジェット記録に適したインクジェット記録用紙及びその製造方法に関し、詳しくはインク受容層の耐水性、特に紫外線に晒される環境下での皮膜耐水性に優れたインクジェット記録用紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーを含有してなる少なくとも1層の空隙層を有し、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、かつ支持体上の少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
一般式(1) R12N−Y−NR34
〔式中、R1、R2、R3、R4は、各々水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。Yは2価の有機基を表す。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット記録用紙及びその製造方法に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点により、各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野で近年急速に普及している。
このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には要求されている。
これら特性の向上を目的として、インク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。該インクジェット記録用シートは、多孔質構造をとり空隙を有することによってインク吸収性に優れている。
更に、印字画像の保存性についても、近年著しい向上が見られており、総じて画像品質及び画像保存性は、銀塩写真の品質に急速に接近しつつある。
ところで、前記インク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートにおいて、概ねそのインク受容層は、多孔質にシリカ、アルミナ等の無機微粒子を使用しポリビニルアルコール等の親水性バインダーにより結着させることにより膜を形成している。また、インク吸収を速やかに行うために、親水性バインダーは無機微粒子に対し質量比で数分の1程度しか含まれていない。
そのため、水滴がインク受容層面に飛散したり、更に激しい事例としては屋外で雨水にさらされたような場合には、親水性バインダーの結着力が弱まり受容層にひびが入ったり、ひどい場合には皮膜が支持体から剥がれ落ちるといった事態が生じることが知られている。また、ポリビニルアルコール等の樹脂は、紫外線により光分解を起こす場合があるため、例えば、紫外線への曝露と被水が交互に生じるような場合には、更に皮膜の劣化速度が速まる結果を招くこととなる。
上記課題に対し、インク受容層に電離放射線硬化性樹脂を用いる方法が開示されている。例えば、電離放射線硬化性樹脂をバインダーとして用いたインクジェット記録用シートが記事されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の電離放射線硬化性樹脂は、水溶性樹脂ではなく本発明の構成とは異なる。また、電離放射線硬化性樹脂をバインダーとして用いたインクジェット記録用シートの記載がある(例えば、特許文献2参照。)が、本発明の目的効果を示唆する記載はない。
一方、インク吸収層と、キャスコート処理による光沢発現層を有し、ジヒドラジド化合物を含有したインクジェット記録シートが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、光沢性とインク吸収性の両立が図られるとされているが、特許文献3には、本発明の目的効果とする耐水性に関する示唆や記載はなく、ましてや電離放射線硬化性樹脂を用いた記載は一切認められない。
特開平7−40649号公報 特開平9−71035号公報 特開2003−276311号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェット記録に適したインクジェット記録用紙及びその製造方法に関し、詳しくはインク受容層の耐水性、特に紫外線に晒される環境下での皮膜耐水性に優れたインクジェット記録用紙及びその製造方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーを含有してなる少なくとも1層の空隙層を有し、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、かつ支持体上の少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
一般式(1)
12N−Y−NR34
〔式中、R1、R2、R3、R4は、各々水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。Yは2価の有機基を表す。〕
(請求項2)
前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
一般式(2)
−NHCO−X−CONH−
〔式中、Xは2価の有機基を表す。〕
(請求項3)
前記空隙層における前記電離放射線硬化性樹脂に対する他のカチオン性有機樹脂の質量比が、20質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
JIS−Z−8717、または測定光と試料照明光とが等しい条件下でJIS−Z−8722に記載される方法に準じて測定し、JIS−Z−8730に規定されるインクジェット記録用紙の記録面側表面の色度指数a*が−2〜+4、b*が−11〜0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーとして少なくとも電離放射線硬化性樹脂を含有する空隙層形成用塗布液を塗布して空隙層を形成するインクジェット記録用紙の製造方法において、前記一般式(1)で表される化合物を、該空隙層形成用塗布液と混合、または個別の塗布液で塗布した後、電離放射線照射により該空隙層の親水性バインダーを硬化させることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項7)
前記一般式(1)におけるYが、前記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項8)
前記空隙層における前記電離放射線硬化性樹脂に対する他のカチオン性有機樹脂の質量比が、20質量%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項9)
JIS−Z−8717、または測定光と試料照明光とが等しい条件下でJIS−Z−8722に記載される方法に準じて測定し、JIS−Z−8730に規定されるインクジェット記録用紙の記録面側表面の色度指数a*が−2〜+4、b*が−11〜0であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(請求項10)
前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
本発明によれば、インクジェット記録に適したインクジェット記録用紙及びその製造方法に関し、詳しくはインク受容層の耐水性、特に紫外線に晒される環境下での皮膜耐水性に優れたインクジェット記録用紙及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーを含有してなる少なくとも1層の空隙層(以下、インク受容層、あるいはインク吸収層ともいう)を有し、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、かつ支持体上の少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット記録用紙により、インク受容層の耐水性、特に紫外線に晒される環境下での皮膜耐水性に優れたインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)においては、前記一般式(1)で表される化合物を含有することを、特徴の1つとする。
前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4は、各々水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基であり、互いに連結して環を形成していてもよい。R1、R2またはR3、R4が水素原子であることが好ましい。
上記脂肪族基または芳香族基の置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ウレイド基、アリール基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルキオルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子、スルホン酸基、又はカルボン酸基などを挙げることができる。
Yの有機基は、置換または無置換のアルキレン基、アリーレン基等の2価の連結基を表す。これらの有機基の間には酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上含んでいてもよく、その窒素原子はアルキル基等の置換基を有していてもよい。
上記Yで表される基の置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ウレイド基、アリール基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子、スルホン酸基、又はカルボン酸基などを挙げることができる。
前記一般式(1)において、Yは、前記一般式(2)で表されることが好ましい。
一般式(2)において、Xは2価の有機基であり、置換または無置換のアルキレン基、アリーレン基等の2価の連結基を表す。これらの有機基の間には酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上含んでいてもよく、その窒素原子はアルキル基等の置換基を有していてもよい。
上記Yで表される基の置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ウレイド基、アリール基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子、スルホン酸基、又はカルボン酸基などを挙げることができる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
1−1:1,3−ジアミノプロパン
1−2:1,6−ジアミノヘキサン
1−3:1,10−ジアミノデカン
1−4:N,N−ジブチル−1,2−ジアミノエタン
1−5:N,N−ジブチル−1,3−ジアミノプロパン
1−6:N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン
1−7:N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン
1−8:トリエチレンテトラミン
1−9:トリス(ジメチルアミノ)メタン
1−10:3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン
1−11:4,4−ジアミノジフェニルアミン
1−12:m−キシリレンジアミン
1−13:アジピン酸ジヒドラジド
以上例示した化合物1−1〜1−13の中でも、特に化合物1−13(アジピン酸ジヒドラジド)が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の含有量は、記録用紙1m2あたり0.1mmol〜10mmolが好ましく、0.5〜5mmolがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、空隙層が含有する親水性バインダーの少なくとも1種が、電離放射線硬化性樹脂であることを1つの特徴とする。
本発明において、空隙層のバインダーとして用いる電離放射線硬化性樹脂とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋反応する水溶性の樹脂であり、架橋反応前には水溶性であるが、架橋反応後には実質的に非水溶性となり、耐水性の皮膜を形成する樹脂である。耐水性のある樹脂とは、80℃の温水に5分間浸漬した場合の質量残分量が80%以上である樹脂のことをいう。但し、かかる化合物は、架橋反応後も親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持する樹脂である。
このような樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であるか、またはその親水性樹脂に、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型などの変性基により変性したものである。
なかでも、光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂が、感度または樹脂自身の安定性の観点から好ましい。光二量化型の感光性樹脂としては、ジアゾ型、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましく、光二量化後、アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。
このような樹脂としては、たとえば一級アミノ基ないし四級アンモニウム基等のカチオン性基を有する樹脂、たとえば特開昭56−67309号、同60−129742号、同60−252341号、同62−283339号、特開平1−198615号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になるアジド基のような硬化後カチオン性になる樹脂、例えば、特開昭56−67309号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
具体的には、例えば、特開昭56−67309号公報記載のポリビニルアルコール構造体中に、
Figure 2006035447
を有する感光性樹脂等を挙げることができる。
特に、化1で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は
Figure 2006035447
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物が好ましい。
樹脂の具体例は該公報中の実施例1及び2に、樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に以下の部分構造を有する。
Figure 2006035447
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、A-はアニオンを示す。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号に示される樹脂が反応性との観点から好ましい。
Figure 2006035447
式中、R2は水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表し、Yは芳香族環または単結合を表し、Xは以下の結合手を表す。
−(CH2m−COO−、−O−
式中、mは0〜6までの整数を表す。
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光開始剤、光増感剤について特に制限はないが、一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等があげられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。
なお、増感剤を使用する場合には使用量は塗布液中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度の範囲で調節するのが望ましい。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.05〜3質量%程度混合してもよい。
また、上記において、ベースとなるポリビニルアルコールは、一部未鹸化のアセチル基を含んでいてよく、アセチル基の含有率は30%未満であることが望ましい。またその重合度は1800以上であることが好ましい。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、第1〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、該ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
水溶性樹脂と無機微粒子を、架橋剤と混合して塗布液の粘度増大をもたらしセットさせ、そのまま塗膜を乾燥して空隙層とする方法と比較し、電離放射線硬化性樹脂を電離放射線の照射により架橋させ形成された網目構造は、架橋剤を用いて形成される比較的短い距離での三次元構造と異なった、長い距離での架橋を含むため、多くの微粒子を保持しやすい構造を取ると考えられ、より少ないバインダー量で、均一な膜形成ができ、即ち、親水性バインダーに対する微粒子の比率がよりバインダーが少ないところで用いることができる。また、従来よりの親水性バインダーに対し形成される塗膜が強固で、折り曲げ等に対し、強いほか、インクジェット記録紙を形成した後の、インクジェット記録紙の取り扱いによる印字或いは印画前の記録層のひび割れ、剥落等が少なく、更に印画或いは印字の後においても折り曲げ等によるストレスに対し耐性が強い空隙を有する多孔質物質層を有するインクジェット記録紙を得ることが出来ると考えられる。
電離放射線硬化性樹脂をバインダーとして用いる場合は、その好適な重合度は1000〜5000である。
本発明においては、親水性溶媒が存在しているときに前記電離放射線による照射を行い、塗布層中に存在する電離放射線硬化性樹脂を架橋させた後、乾燥して、空隙を有する多孔質物質層からなるインクジェット記録用シートを得る。本発明の電離放射線硬化性樹脂の電離放射線照射による硬化は、塗布直後から乾燥終了時までの間に行えばよいが、好ましくは塗布直後から塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前である。
電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等が挙げられる。アルファ線、ベータ線、ガンマ線およびX線は人体への危険性といった問題が付随するため、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましく用いられるが、本発明においては、電離放射線硬化性樹脂が、紫外線により硬化される化合物であることが好ましい。
また、電子線により親水性樹脂を架橋させる場合、一般に無機微粒子の方が親水性バインダーや溶媒の水よりも比重が高いため、電子線照射量が親水性バインダーや溶媒に対して供給過剰であり塗膜中の水分が瞬間的に蒸発して気泡となり塗膜表面を荒したり、また塗膜深部に対しては照射量が不足し、架橋密度に勾配が生じ、表面のみ堅い膜になり、その結果、カール耐性を著しく損なう可能性があること、更に電子線照射に際しては雰囲気の酸素濃度が高いと効果が妨げられるという課題があり、窒素、ヘリウム等の不活性ガスにより照射ゾーンにおいて置換を行い酸素濃度を400ppm以下程度まで保つ必要があり、工程適正上好ましくない面を有することから、紫外線を用いることがより好ましい。
電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad未満では充分な照射効果が得られず、20Mradを超えるような照射は支持体、特に紙やある種のプラスチックを劣化させるおそれがあるため好ましくない。電子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は、塗膜の比重と膜厚により適時変化させることができるが、20〜300kV程度が適当である。
特に製造工程において、取り扱いが比較的容易で、簡便な設備化が可能である紫外線を用いることが好ましい。
紫外線の光源として例えば数百Paから100万Paまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターをもうけることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜10kW/cm2、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜1J/cm2が好ましく、50mJ/cm2〜100mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして1J/cmを超える場合は、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤を電離放射線により分解してしまい、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を起こす可能性があるので好ましくない。照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合は架橋効率が不足し、本発明の効果が十分にえられない。
紫外線照射の際の照度は1mW/cm2〜1W/cm2が好ましく、100〜200mW/cm2がより好ましい。照度が1W/cm2以下であれば、塗膜の表面硬化性は向上し、深部まで硬化し、均一に架橋された膜が得られる。その場合は、膜の深度方向の堅さも均質であり、カールなどが起こりにくく、好ましい。照度が10mW/cm2以上であれば、膜中の散乱等により架橋の不均一を避け、本発明の効果が得られため好ましい。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。照度が低すぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明においては、塗布層が親水性の溶媒を含有した状態で電離放射線が照射され、電離放射線を照射後、塗膜を乾燥させ水を主体とする水性溶媒を蒸発させる。しかしながら、電離放射線を照射する際に、水性溶媒が一部或いは大部分蒸発してもかまわない。
本発明において、支持体上の空隙層等の構成層の親水性バインダーとして、前記電離放射線硬化性樹脂以外の他に、従来公知の親水性樹脂を用いることができる。
従来公知の親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性等の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
本発明においては、上述のごとく、本発明に係る電離放射線硬化性樹脂以外の他に、従来公知の親水性バインダーを用いることもできるが、本発明の目的効果をいかんなく発揮させる観点からは、支持体上に含有される総親水性バインダー量の80質量%以上が電離放射線硬化性樹脂であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上である。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂以外の親水性バインダーを併用する場合は、硬膜剤により該親水性バインダーを硬化することが好ましく、硬膜剤は、硬膜剤は、一般的には前記親水性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
硬膜剤としては、従来公知の架橋剤を使用することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メチロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスルホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を使用することができる。
具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ホウ酸、その塩、ホウ砂、アルミ明礬等が挙げられる。
親水性バインダーとして、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、3属、4属元素を含む化合物、特にホウ酸類やアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などの無機系硬膜剤およびエポキシ系硬膜剤が好ましい。最も好ましいのは、ホウ酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。
ホウ酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、八ホウ酸またはそれらの塩が挙げられる。
上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類、親水性バインダーに対する比率等により変化するが、通常親水性バインダー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
また硬膜剤は2種以上のものを併用してもよい。またインク受容層を含有する塗布液に混合し塗布してもよいし、塗膜形成、乾燥後に多孔質物質を含有せず硬膜剤を含有する溶液をオーバーコートさせて供給してもよい。好ましくは、インク受容層の塗布と同時に、またはインク受容層の塗布後、該層が減率乾燥速度を示す前に、多孔質物質を含有せず硬膜剤を含有する溶液をオーバーコートし、硬膜剤を供給することが多孔質物質の凝集する危険を小さくし、かつ生産効率が良いことから好ましい。
本発明に係る空隙層は、上記親水性バインダーと共に、無機微粒子を含有して空隙構造を形成することを特徴の1つとする。
そのような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。また、各々単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が4μm以下であることが好ましい。4μm以下であれば、光沢性や発色性が良好であり、更には0.1μm以下が好ましい。粒径の下限は特に限定されない。特に上記気相法シリカの場合には、空隙率の大きな構造を得る上で、平均一次粒径として30nm以下が好ましく、被膜の透明性を高める上で特には3〜10nmが好ましい。
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質物質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
また、微粒子の分散度は、光沢性や発色性の観点から0.5以下が好ましい。0.5以下であれば、光沢やプリント時の濃度が良好である。特に、0.3以下が好ましい。ここで、微粒子の分散度とは、上記平均粒径を求めるのと同様に電子顕微鏡で多孔質物質層の微粒子を観察し、その粒径に標準偏差を平均粒径で割ったものを示す。上記の平均粒径は、電子顕微鏡で観察したときに多孔質物質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
上記微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
上記気相法シリカ微粒子は、カチオン性樹脂で分散したものも用いることができる。
カチオン性樹脂としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその変性体、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報等に記載されているもの、ポリアリルアミン変性体、モノメチルアンモニウムクロライドが好ましい。上記ポリアリルアミン変性体には、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン等を付加したものが知られている。
本発明においては、上記の有機カチオン性ポリマーの含有量は、後述する媒染剤として用いる有機カチオン性ポリマーと合わせて、電離放射線硬化性樹脂等の親水性バインダーに対する質量比が20%以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙において、空隙層のバインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、空隙層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすく、過剰のバインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことを避けられる。一方、この比率が50倍以下の場合には、インク吸収層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、2.5〜20倍であり、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点から5〜15倍がより好ましい。
高空隙率の空隙層を得るためには、BET法により測定される比表面積が100m2/g以上であることが好ましい。なお、本発明でいうBET法とは、気相吸着等温線から1g当たりの表面積を求める方法により、比表面積を測定する方法である。
本発明に係る空隙層は、塗膜の単位面積あたり15〜40ml/m2の容量をもつことが好ましい。この容量は、単位面積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、または塗膜が吸収しうる水の体積等で定義される。
本発明では、媒染剤として、アルミニウム原子を含有する化合物を好適に用いることができる。アルミニウム原子を含有する化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、ポリ塩化アルミニウム化合物、ポリ硫酸アルミニウム化合物、ポリ硫酸珪酸アルミニウム化合物であることが特に好ましい。
ポリ塩化アルミニウム化合物は、一般式〔Al2(OH)nCl6-n〕m、〔Al(OH)3〕n・AlCl3で示されるものであり、例えば、〔Al6(OH)153+、〔Al8(OH)204+、〔Al13(OH)345+などのような塩基性で、かつ高い正荷電の多核縮合イオン(高分子性)を有効成分として、安定に含んでいるポリ塩化アルミニウムである。
ポリ塩化アルミニウム化合物の市販品としては、例えば、浅田化学(株)製のポリ水酸化アルミニウム(Paho)、多木化学(株)製のポリ塩化アルミニウム(PAC)、(株)理研グリーン製のピュケラムWTが挙げられる。また、ポリ硫酸アルミニウム化合物は、一般式 〔Al2(OH)n(SO46-n/2〕m (但し、0<n<6)で表されるものであり、市販品としては浅田化学(株)製の塩基性硫酸アルミニウム(AHS)が挙げられる。ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム化合物の市販品としては、日本軽金属(株)製のPASSが挙げられる。
上記多孔質物質層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン性媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。カチオン性媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその変性体、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報等に記載されているもの、ポリアリルアミン変性体が好ましい。上記ポリアリルアミン変性体には、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン等を付加したものが知られている。
これら媒染剤は、インク受容層を形成する多孔質物質含有塗布液に混合し、塗布してよいし、独立に別の溶液として塗布してもよい。上記硬膜剤の場合と同様に、多孔質物質層塗布と同時に、あるいは塗布後、別液で多孔質物質層を有する下地上にオーバーコートすることが好ましい。この場合、硬膜剤と混合し添加してもよい。
本発明においては、多価金属化合物をインク受容層に添加することができる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、滲みや耐水性を向上させる機能を有するものが多い。これらの水溶性多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録用紙は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレン層には、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
上記支持体のインク受容層側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク受容層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、やはりゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
本発明における、インク受容層等支持体上各層の塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
本発明において、インク受容層が2層以上にわたる場合は、全ての層を同時に塗布することが製造コスト低減の観点から好ましい。
上記構成からなる本発明のインクジェット記録用紙においては、インクジェット記録用紙表面を、JIS−Z−8722に記載される方法で測定し、JIS−Z−8730に規定される色度指数a*、b*が、−2〜+4、−11〜0であることが好ましい。より好ましくは、該色度指数a*、b*が、−2〜+4、−11〜−5である。記録用紙の記録面側表面の色度は、その用途や嗜好によって左右されるものではあるが、一般的には、特に印刷用紙の場合には、JIS−Z−8722で規定される方法で測定し、JIS−Z−8730で表示したときのa*、b*が、各々−2〜+2、−4〜+4であることが好ましいようである。しかしながら、本発明者らの検討によれば、インクジェット記録用紙において、所謂、銀塩写真の風合いを有する高品質な画像を得るためには、記録用紙記録面側表面の色度が、上記従来の範囲では必ずしも十分とはいえない。
前記b*が、0より大きいと、白地の色相としては許容内ではあっても、画像、特に、白色〜淡色の画像部の印象が弱まり、高光沢な記録用紙の場合には、画像全体に鮮明感の低下が感じられるようになる。
本発明の記録用紙においては、その表面の色度が比較的青い側、即ち、b*が−11〜0であることが、画像の鮮明感を得る上で必要であり、b*が、−11〜−5であれば、更に高い鮮明感が得られ好ましい。
*が−11より小さくなると、白地が青味を帯びるようになり、違和感を感じるようになると共に、画像全体が青味を帯びてくるため、所謂シアンかぶりと呼ばれる状態になり、鮮明感が低下してくる。
本発明のインクジェット記録用紙の記録面側表面の明度指数L*は、90以上であることが好ましく、95以上であることが更に好ましい。ここで明度指数L*は、JIS−Z−8722で記載される方法で測定し、JIS−Z−8730に規定される方法で表示されるものである。
本発明においては、上記で規定するa*、b*を達成する方法の1つとして、インク吸収層に蛍光増白剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることができる蛍光増白剤としては、その基本的化学構造として、ジアミノスチルメン系、イミダゾール系、チアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、オキサジアゾール系、チアジアゾール系、クマリン系、ナフタルイミド系、ピラゾリン系、ピレン系、イミダゾロン系、ベンジジン系、ジアミノカルバゾール系、オキサシアニン系、メチン系、ピリジン系、アントラピリダジン系、ジスチリル系、カルボスチリル系等が挙げられる。具体的事例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
イミダゾール系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
チアゾール系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
オキサゾール系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
Figure 2006035447
Figure 2006035447
トリアゾール系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
クマリン系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
ナフタルイミド系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
ピラゾリン系蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
その他の蛍光増白剤としては、
Figure 2006035447
等を挙げることができる。
蛍光増白剤の市販品としては、C.I.フルオレスセント・ブライトナー226、C.I.フルオレスセント・ブライトナー363、C.I.フルオレスセント・ブライトニング・エイジェント52、C.I.フルオレスセント・ブライトニング・エイジェント135、ミカホワイトACR、ミカホワイトATN、Kayaphor3BS、Blankophor(バイエル社製)、Hostalux(ヘキスト社製)、Palani、Ultrapho(BASF社製)、Uvitex(チバ・ガイギー社製)、Whitex(住友化学社製)等が挙げられる。本発明に用いられる蛍光増白剤の製造方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により製造することができる。
蛍光増白剤の含有量としては、特に制限はないが、表面層に含有される固形分の0.1〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満であると白地に対する効果が小さく、20質量%を超えるとインク吸収性の低下や、塗布故障の発生、更に蛍光増白剤自身の着色など、本来機能以外のところでの齟齬が目立つようになり好ましくない。
また、本発明のインクジェット記録用紙の記録面の膜面pHは、3.5〜9が好ましい。膜面pHが3.5未満の場合には、インクジェット記録した際に染料が析出して金属状に光沢が変化する、所謂ブロンジングを起こしやすい。また、膜面pHが9を越えると、滲み防止効果が低下する。記録面の膜面pHの測定は、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い30秒後で測定する。記録面の膜面pHは、記録面を形成した後、適当なpH調整剤をオーバーコートすることにより、所定の範囲にすることもできる。pH調整剤としては、適当な酸やアルカリの水溶液を用いることもでき、この場合、使用する酸やアルカリの種類、濃度は、調整するpHの幅によって適宜選択することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
《記録用紙の作製》
〔試料101の作製:比較例〕
純水150mlに、ノニオン性アクリルポリマー型分散剤(固形分40%、東亜合成製SD−10)の1.2mlを溶解し、水酸化ナトリウムでpHを11に調整した。ここに1次粒子の平均粒径が約7nmのシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル300)の23%水分散液435gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、気相法シリカの分散液を得た。
次に、この分散液中に、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA235、重合度3500)の7%水溶液280ml、カチオンポリマー−1の25%溶液78.4ml、ホウ砂0.7gを添加した。最後に全体の体積が1000mlになるように純水を加えて、半透明状の塗布液を得た。
上記塗布液を、坪量170g/m2の原紙両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(記録面側のポリエチレン層中に8%のアナターゼ型酸化チタン含有。同面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーを0.2g/m2含むバック層を有する)上の記録面側に、バーコーターにより湿潤膜厚110μmで塗布し、8℃で10秒間冷却した後、50℃で乾燥を行い、25℃、相対湿度50%で調湿して試料101を得た。
Figure 2006035447
〔試料102の作製:比較例〕
上記試料101の作製において、塗布直前にアジピン酸ジヒドラジド1.58gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料102を得た。
〔試料103の作製:比較例〕
上記試料101の作製で用いた気相法シリカの分散液の調製において、スチルバゾリウム基を導入し、濃度を8%に調整した電離放射線硬化性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製:SPP−SHR主鎖PVA重合度2300、ケン化度88%)を245ml、カチオンポリマー−1の25%溶液78.4mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるように純水を加えた以外は同様にして半透明状の塗布液を得た。
次いで、試料101と同様のポリエチレンコート紙上に、上記塗布液をバーコーターにより湿潤膜厚110μmになるように塗布し、その後365nmに主波長をもつメタルハライドランプで、エネルギー量で40mJ/cm2の紫外線を照射した後、50℃で乾燥を行い、25℃、相対湿度50%で調湿して試料103を得た。
〔試料104の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にアジピン酸ジヒドラジド0.48gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料104を得た。
〔試料105の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にアジピン酸ジヒドラジド1.58gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料105を得た。
〔試料106の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にアジピン酸ジヒドラジド4.75gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料106を得た。
〔試料107の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にm−キシリレンジアミン0.38gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料107を得た。
〔試料108の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にm−キシリレンジアミン1.24gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料108を得た。
〔試料109の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にm−キシリレンジアミン3.71gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料109を得た。
〔試料110の作製:本発明〕
上記試料103の作製において、塗布直前にm−キシリレンジアミン8.66gを塗布液に添加、混合した以外は同様にして、試料110を得た。
〔試料111の作製:本発明〕
上記試料104の作製において、カチオンポリマー−1の25%溶液の添加量を29.4mlに変更した以外は同様にして、試料111を得た。
《記録用紙の評価》
以上により作製した各試料について、以下に記載の方法により耐候性能の評価を行った。
〔耐候性の評価〕
各試料に、キセノンウェザオメーターを使用し、23℃、相対湿度60%の環境下で、照射照度48W/m2で120時間、照射を行った後、各試料を、25℃の純水に2分間浸漬した後、50℃の温風で乾燥する操作を繰り返して10回行い、記録用紙表面の塗工層のひび割れ発生の有無を目視評価し、下記の基準に従って耐候性の評価を行った。
◎:ひび割れは認められず、浸漬評価前と同様の状態
○:浸漬評価前の面状態と比較し、やや光沢感に劣化が認められるが、実技上問題ない
△:ひび割れ箇所が認められ、面画質が明らかに劣化
×:ひび割れが全面にわたり発生している
上により得られた評価結果を、表1に示す。
Figure 2006035447
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクジェット記録用紙は、比較例に対し耐候性能に優れていることが分かる。
本発明の化合物の効果は、試料101と102と、あるいは試料103と104の比較より明らかなように、電離放射線硬化性樹脂との組み合わせにおいて、その効果が顕著である。
また、試料104〜106と107〜109の結果から明らかなように、一般式(2)に属すアジピン酸ジヒドラジドを加えた試料が、同一モル量の添加において、より好ましい性能を示していることが分かる
また、試料104と111との結果より、カチオン性ポリマーのバインダー(ポリビニルアルコール)に対する添加量比が小さいほど、耐候性に優れていることが分かる。
実施例2
《記録用紙の作製》
〔試料112の作製〕
実施例1に記載の試料105の作製において、塗布液に、蛍光増白剤4,4′−bis(2−sulfostyryl)−biphenyl・2ナトリウム塩の20%溶液を6.1mlを添加した以外は同様にして、試料112を得た。
〔試料113の作製〕
上記試料112の作製において、蛍光増白剤の添加量を12.1mlに変更した以外は同様にして、試料113を得た。
《記録用紙の評価》
以上の様にして作製した試料112、113と実施例1で作製した試料105について、実施例1に記載した方法に同様にして耐候性能の評価と、下記に記載する方法により記録用紙記録面側の表面の色度及び画像の官能評価を行った。
〔記録用紙記録面側の表面の色度の測定〕
JIS−Z−8722に記載された方法に準じて測定し、JIS−Z−8730に規定される方法で表示して、a*、b*値を求めた。なお、測定はX−rite社濃度計(X−rite938)を用いた。
〔画像の官能評価〕
各試料にインクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン株式会社製)を用い、出力画像として財団法人・日本規格協会発行の高精細カラーデジタル標準画像データ「花嫁」を出力し、得られた画像の鮮明感について一般の被験者15人により、下記の基準に従って官能評価を行い、その評価の平均ランクを求めた。
A:すっきりとした画像で鮮明感がある画像である
B:実用上許容内にあるが、やや鮮明感がやや物足りない画像である
C:実用上許容内にあるが、淡色域全体が青みがかって見え、鮮明感にやや劣る画像である
D:白地の黄色味を感じるようになり、鮮明感が消失すると共に違和感を感じる画像である
以上により得られた評価結果を、表2に示す。
Figure 2006035447
表2に記載の結果より明らかなように、記録用紙記録面側の色度が−11≦b*≦0にある試料105、112の画像が、官能評価における鮮明感に優れ、特にb*が−7とやや青側にある試料112が特に好ましいことがわかる。これらの試料においては、その耐候性能も取り崩しも認められない。

Claims (10)

  1. 支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーを含有してなる少なくとも1層の空隙層を有し、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、かつ支持体上の少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
    一般式(1)
    12N−Y−NR34
    〔式中、R1、R2、R3、R4は、各々水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、または置換もしくは無置換の芳香族基を表す。Yは2価の有機基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
    一般式(2)
    −NHCO−X−CONH−
    〔式中、Xは2価の有機基を表す。〕
  3. 前記空隙層における前記電離放射線硬化性樹脂に対する他のカチオン性有機樹脂の質量比が、20質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. JIS−Z−8717、または測定光と試料照明光とが等しい条件下でJIS−Z−8722に記載される方法に準じて測定し、JIS−Z−8730に規定されるインクジェット記録用紙の記録面側表面の色度指数a*が−2〜+4、b*が−11〜0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 支持体上に、無機微粒子と親水性バインダーとして少なくとも電離放射線硬化性樹脂を含有する空隙層形成用塗布液を塗布して空隙層を形成するインクジェット記録用紙の製造方法において、前記一般式(1)で表される化合物を、該空隙層形成用塗布液と混合、または個別の塗布液で塗布した後、電離放射線照射により該空隙層の親水性バインダーを硬化させることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  7. 前記一般式(1)におけるYが、前記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  8. 前記空隙層における前記電離放射線硬化性樹脂に対する他のカチオン性有機樹脂の質量比が、20質量%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  9. JIS−Z−8717、または測定光と試料照明光とが等しい条件下でJIS−Z−8722に記載される方法に準じて測定し、JIS−Z−8730に規定されるインクジェット記録用紙の記録面側表面の色度指数a*が−2〜+4、b*が−11〜0であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  10. 前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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