JP2005119177A - インクジェット記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 造膜性を損なうことなく、高い光沢性と良好なインク吸収性を有するインクジェット記録用シートを得ること。
【解決手段】 支持体上にインク受容層として少なくとも1層の親水性バインダーと多孔質物質を含有してなる空隙層を有するインクジェット記録用シートにおいて、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、且つ該空隙層より支持体から離れた側に膨潤層を有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体上にインク受容層として少なくとも1層の親水性バインダーと多孔質物質を含有してなる空隙層を有するインクジェット記録用シートに関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像、文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点により、各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野で近年急速に普及している。
このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には要求されている。
これら特性の向上を目的として、インク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。該インクジェット記録用シートは、多孔質構造をとり空隙を有することによってインク吸収性に優れている。
しかし、インク受容層が空隙を多く有する層のみから構成される場合、空隙の多いインク受容層が空気との界面や皮膜表面のミクロな凹凸を多く有することになり、インク受容層への入射光が散乱されたり、透過が妨げられるために、光沢が出にくくなったり、透明感が失われやすい。また、空隙を形成するための多孔質物質自身の凹凸や多孔質の二次凝集体の凹凸による皮膜表面の平滑性が低下して光沢が出にくい欠点がある。
一方、皮膜中に空隙を設けることなくインク吸収層のバインダーの膨潤作用でインクを吸収、保持するタイプのインクジェット記録用シートも知られている。例えば、バインダーとしてゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸、ポリビニルアルコール、各種の変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、プルラン等の親水性バインダーを支持体上に塗布した記録紙やフィルム等も従来から知られている。これらの記録用シートは、皮膜中に光学的散乱体がないか、あるいはその密度が低いことから、高い光沢性や光学濃度を持った鮮明な画像が得られる。しかしながら、インク吸収性が上記空隙構造を有する記録用シートに比べて劣る欠点がある。
これら両タイプ各々の長所を活かすべく、両者の特徴を併せもつ記録用材料についても知られている。
例えば、基材上に吸油量1ml/m2以上の多孔質層を設け、該多孔質層の上にインク吸収層を設けたインクジェット記録材料が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。インク吸収層は、例えば、水分散性ポリマーと数珠上に連結または分岐したコロイダルシリカと水溶性高分子から成る層や親水基含有ポリエステル樹脂と該樹脂に不飽和結合を有する化合物をグラフトさせた共重合体と水溶性高分子から成る層が記載されている。また、支持体上に、少なくとも1層の空隙層と該空隙層より支持体から離れた側に設けられた乾燥膜厚が2μm以下である膨潤層を有するインクジェット記録用紙が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、近年のカラーインクジェット記録で得られる画質を銀塩写真の水準に近づけようとする要請はますます強まっている。中でも、ドットに関する画質向上の最大のポイントは、ドットの一つ一つが肉眼で識別できないようにすることであり、そのためにインクを小液滴化すること、あるいは特にハイライト部でドットの反射濃度を低くし、ドットの識別を困難にするため低染料濃度のインクを併用すること等がポイントとなる。このために射出されるインク量は増加の傾向にある。
このため、上記公報に記載されるような膨潤層と空隙層を組み合わせたタイプの記録材料においては、インク吸収性の更なる向上が望まれている。
上記構造の記録材料においてインク吸収性を向上するには、一つには膨潤層の膜厚を薄くすればよいことは前記特許文献2にも記載されているように公知であるが、一方で光沢性の劣化を伴い、薄膜化には限界がある。
これとは別に、インク受容層たる空隙層のインク吸収性を向上させることで、上記構想の記録材料全体としてのインク吸収性の向上も図れると期待される。空隙層の吸収性を向上させる上では、空隙層に含有される多孔質物質に対するバインダーの割合を極力小さくすることが有効な方法である。しかしながら、その割合を小さくしていくと、当然のことではあるが空隙層皮膜の造膜性が劣化し、例えば、製造時において膜のひび割れを多発する等の問題が発生する。従って、従来からの方法では空隙層の吸収性を向上させることにも限界があった。
特開平5−51470号公報 特開平9−323475号公報
本発明は、インクジェット記録に適した記録材料に関し、詳しくは造膜性を損なうことなく、高い光沢性と良好なインク吸収性を有するインクジェット記録用シートを得ることにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、下記に示す構成により空隙層の造膜性を取り崩すことなく、該層のバインダー量を減少させ、インク吸収性を改良した光沢性に優れる、膨潤層と空隙層を有するインクジェット記録用シートを作製できることを見出した。
(請求項1)
支持体上にインク受容層として少なくとも1層の親水性バインダーと多孔質物質を含有してなる空隙層を有するインクジェット記録用シートにおいて、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、且つ該空隙層より支持体から離れた側に膨潤層を有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
(請求項2)
前記膨潤層の乾燥膜厚が2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
(請求項3)
前記電離放射線硬化性樹脂が紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
(請求項4)
前記電離放射線硬化性樹脂が光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用シート。
(請求項5)
支持体上に前記空隙層を塗布後、電離放射線照射により該層の親水性バインダーを硬化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
本発明により、膜面性状を損なうことなく、インク受容性能が改良され、高い光沢度を有するインクジェット記録用シート及びその製造方法を得ることができた。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における電離放射線硬化性樹脂とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋反応する水溶性の樹脂であり、架橋反応前には水溶性であるが、架橋反応後に分子量が増大することで実質的に非水溶性となり、耐水性の皮膜を形成する樹脂である。
耐水性のある樹脂とは、80℃温水に5分浸漬した場合の質量残分量が80%以上である樹脂のことをいう。但し、かかる化合物は架橋反応後も親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持する樹脂である。このような樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であるか、またはその親水性樹脂に、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型などの変性基により変性したものである。
中でも、光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂が、感度または樹脂自身の安定性の観点から好ましい。光二量化型の感光性樹脂としては、ジアゾ型、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましく、光二量化後、アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、一級アミノ基ないし四級アンモニウム基等のカチオン性基を有する樹脂、例えば、特開昭56−67309号、同60−129742号、同60−252341号、同62−283339号、特開平1−198615号等の各公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になるアジド基のような硬化後カチオン性になる樹脂、例えば、特開昭56−67309号公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記の基
Figure 2005119177
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は下記の基
Figure 2005119177
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。樹脂の具体例が該公報中の実施例1、2に、樹脂の構成成分及びその使用割合が該公報第2頁に記載されている。特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に下記の2価基等を有すものである。
Figure 2005119177
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、A-はアニオンを示す。Rは2価の基を表す。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号公報に示される樹脂が反応性との観点から好ましい。
Figure 2005119177
式中、R1は水素原子、メチル基を表し、Yは芳香族環または単結合を表し、nは1または2の整数を表す。Xは−O−CO−(CH2m−、−O−CO−CH2−、−O−を表し、mは0〜6の整数を表す。
本発明においては、光開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。適用される光開始剤、光増感剤については従来公知の物を用いることができ、特に制限はないが、一例として、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が挙げられ、上記は単独で使用しても混合して使用しても構わない。
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。
なお、増感剤を使用する場合には使用量は塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度の範囲で調節するのが望ましい。
これらの光開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。塗布組成物中の電離放射線硬化型樹脂に対して0.05〜3質量%程度混合してもよい。
また、上記において、ベースとなるポリビニルアルコールは、一部未鹸化のアセチル基を含んでいてよく、アセチル基の含有率は30%未満であることが望ましい。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。その好適な重合度は1000〜5000であり、特に1800〜5000が好ましい。
本発明においては、支持体上の少なくとも1層の空隙層に親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有する。支持体上の空隙層が2層以上である場合には、全ての空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有することが好ましい。空隙層に含有される親水性バインダーの60質量%以上が電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。
水溶性樹脂と多孔質物質を、架橋剤と混合して塗布液の粘度増大をもたらしセットさせ、そのまま塗膜を乾燥して空隙層とする方法と比較し、電離放射線硬化性樹脂を電離放射線の照射により架橋させ形成された網目構造は、架橋剤を用いて形成される比較的短い距離での三次元構造と異なった、長い距離での架橋を含むため、多くの微粒子を保持しやすい構造を取ると考えられ、より少ないバインダー量で、均一な膜形成ができ、即ち親水性バインダーに対する微粒子の比率がよりバインダーが少ないところで用いることができると考えられる。また、従来よりの親水性バインダーに対し、形成される塗膜が強固で、折り曲げ等に対し強いほか、インクジェット記録紙を形成した後のインクジェット記録紙の取り扱いによる印字或いは印画前の記録層のひび割れ、剥落等が少なく、更に印画或いは印字の後においても折り曲げ等によるストレスに対し耐性が強い空隙を有する多孔質層を有するインクジェット記録紙を得ることが出来ると考えられる。
電離放射線硬化性樹脂をバインダーとして用いたインクジェット記録用シートに関しては、例えば、特開平7−40649号公報に電離放射線硬化性樹脂を使用する記載があるが、水溶性樹脂ではなく本発明とは異なる。また、膨潤層と空隙層を組み合わせた記録材料についての記載はない。特開平9−71035号公報には電離放射線硬化性樹脂をバインダーとして用いたインクジェット記録用シートの記載があるが、本発明の効果を示唆する記載はない。特開2002−160439号公報には、1層以上の層を有する電子線硬化性樹脂を使用したインクジェット記録用紙の記載があり、効果としてひび割れの改良をあげている。しかしながら、膨潤層と空隙層を組み合わせた記録材料についての記載はない。従って、膨潤層と空隙層を組み合わせによる本発明の効果、態様については、これら公知事例より予見しうるものではなかった。
本発明における空隙層の電離放射線硬化性樹脂の硬化方法は以下の通りである。本発明においては、親水性溶媒が存在しているときに前記電離放射線による照射を行い、塗布層中に存在する電離放射線硬化性樹脂を架橋させた後、乾燥して、空隙を有する多孔質層からなるインクジェット記録用シートを得る。本発明の電離放射線硬化性樹脂の電離放射線照射による硬化は、塗布直後から乾燥終了時までの間に行えばよいが、好ましくは塗布直後から塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前である。また、硬膜剤による硬化方法を併用してもよい。
電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線等が挙げられる。アルファ線、ベータ線、ガンマ線及びX線は人体への危険性といった問題が付随するため、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましく用いられる。
また、電子線により親水性樹脂を架橋させる場合、一般に無機微粒子の方が親水性バインダーや溶媒の水よりも比重が高いため、電子線照射量が親水性バインダーや溶媒に対して供給過剰であり塗膜中の水分が瞬間的に蒸発して気泡となり塗膜表面を荒したり、また塗膜深部に対しては照射量が不足し、架橋密度に勾配が生じ、表面のみ堅い膜になり、その結果、カール耐性を著しく損なう可能性があること、更に電子線照射に際しては雰囲気の酸素濃度が高いと効果が妨げられるという課題があり、窒素、ヘリウム等の不活性ガスにより照射ゾーンにおいて置換を行い酸素濃度を400ppm以下程度まで保つ必要があり、工程適正上好ましくない面を有することから、紫外線を用いることがより好ましい。電子線を使用する場合、照射する電子線の量は0.1〜20Mrad程度の範囲で調節するのが望ましい。0.1Mrad未満では充分な照射効果が得られず、20Mradを超えるような照射は支持体、特に紙やある種のプラスチックを劣化させるおそれがあるため好ましくない。電子線の照射方式としては、例えば、スキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は、塗膜の比重と膜厚により適時変化させることができるが、20〜300kV程度が適当である。特に製造工程において、取り扱いが比較的容易で、簡便な設備化が可能である紫外線を用いることが好ましい。
紫外線の光源として、例えば、数mmHgから10気圧までの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。また、300nm以下の波長光をカットするフィルターをもうけることが好ましい。ランプの出力としては400W〜30kW、照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜1J/cm2が好ましく、50〜100mJ/cm2がより好ましい。
光源波長に300nm以下の紫外線が含まれない場合や、照射エネルギーとして1J/cm2以下である場合には、電離放射線硬化性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤の電離放射線による分解を抑えることが比較的容易で、分解物に由来する周期などの問題を起こす恐れも無く、好ましい。照射エネルギーが0.1mJ/cm2以上であれば、架橋効率は十分であり、本発明の効果が十分に得られる。
紫外線照射の際の照度は1mW/cm2〜1W/cm2が好ましく、100〜200mW/cm2であることがより好ましい。照度が1W/cm2以下であれば塗膜の表面硬化性も向上し、且つ深部まで均一に硬化、架橋された膜が得られやすい。その場合は、膜の深度方向の堅さも均質であり、カールなどが起こりにくく好ましい。一方、照度が10mW/cm2より低い場合は、膜中の散乱等により架橋が十分進まず、本発明の効果が得られにくいため好ましくない。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。照度が低すぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
本発明においては、塗布層が親水性の溶媒を含有した状態で電離放射線が照射され、電離放射線を照射後、塗膜を乾燥させ水を主体とする水性溶媒を蒸発させる。しかしながら、電離放射線を照射する際に、水性溶媒が一部或いは大部分蒸発しても構わない。
次に、本発明の膨潤層について説明する。
本発明の記録用シートは、空隙層の上層(支持体から離れた側)に膨潤層が設けられている。この膨潤層は、インク液滴が着弾した際にインク液滴を適度の広さに拡げると同時に一時的に膨潤してインク液滴の少なくとも一部を吸収する。この膨潤層に一時的に吸収されたインクは速やかに下層の空隙層に吸収されるが、この場合に、空隙層に直接吸収される場合に比べて、インク液滴をより狭めることが可能となり、より高精細なドット径を得ることができる。
従って、この膨潤層がインク液滴を完全に吸収しきる程度に厚い場合には良好なインク吸収性が得られにくいため、膨潤層の厚みは乾燥膜厚で2μm以下が好ましい。膨潤層の下限は塗布上の制約、光沢度、更にはインク液滴の拡がり度合いなどで決まるが、概ね0.3μm以上である。また、この膨潤層自体のインク吸収容量は記録用シート1m2あたり0.5〜10mlが好ましい。
上記膨潤層はインク液滴に対して高い膨潤性を示すことが必要であるために、インク液膨潤性を示す親水性バインダーがこの膨潤層の主たる構成として用いられる。好ましく用いられる親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブラチール、あるいは特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記電離放射線硬化性樹脂を使用してもよい。
膨潤層はインク液に対する早い浸透性及び膨潤性を有していることが必要なために、膨潤層の親水性バインダーとしては好ましくは、分子量が20万以上のポリビニルピロリドン、分子量が約5万以上のポリエチレンオキサイド、分子量が10万以上のポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、またはポリアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を含有する。
しかしながら、少なくとも一種は安定高速塗布の観点から、可逆的にゾルゲル変換可能な親水性バインダーを一部使用するのが好ましく、この点から、ゼラチン、ゼラチン誘導体、またはκ−カラギーナンの少なくとも一種を使用するのが好ましい。
膨潤層に用いられる特に好ましいポリマーは、ゼラチンまたはゼラチン誘導体を少なくとも有する場合であって、特に好ましい膨潤層はゼラチンまたはゼラチン誘導体とポリビニルピロリドンの組み合わせ、ゼラチンまたはゼラチン誘導体とポリビニルアルコール及びその誘導体の組み合わせ、ゼラチンまたはゼラチン誘導体とポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールの組み合わせ、ゼラチンまたはゼラチン誘導体とポリアルキレングリコール及びその誘導体の組み合わせを少なくとも有する場合である。
上記において好ましく用いられるゼラチンとしては通常のアルカリ処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンを用いることができる。そのようなゼラチンの等電点は通常は5〜9の範囲のものを適宜選択して用いることができる。
誘導体ゼラチンは上記ゼラチンのアミノ基またはイミノ基を無水フタル酸等の酸無水物やフェニルイソシアネート等のイソシアネート類等により反応させ、アミノ基及びイミノ基の少なくとも一部を不活性化させたゼラチンが好ましい。
膨潤層にはインク液の拡がり径をコントロールするために、各種の界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤は膨潤層を形成する塗布液に添加しても、また空隙層を形成する塗布液に添加しても塗布後に膨潤層に一部が拡散するため、液滴の拡がりのコントロールに有用である。また、膨潤層を塗布乾燥後に界面活性剤水溶液をオーバーコートしてもよい。
用いられる界面活性剤としては、各種の公知の界面活性剤を用いることができる。インク液滴の拡がり度合いを比較的広くするためには、一般に表面張力を下げる界面活性剤を使用するのが好ましく、中でもアニオン系界面活性剤を使用するのが好ましい。
本発明において、前記膨潤層以外の支持体上の各コーティング層のバインダーとして用いられる前記電離放射線硬化性樹脂以外の親水性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーとして用いることのできる親水性樹脂を用いることができる。
従来公知の親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性等の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。
本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、90〜100%のものが特に好ましい。カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
空隙層の親水性バインダーに対する多孔質物質の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、空隙層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすく、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことをさけられる。一方、この比率が50倍以下の場合には、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましい親水性バインダーに対する微粒子の比率は2.5〜20倍、乾燥塗膜の折り割れという観点からみて5〜15倍がより好ましい。
本発明に係る空隙層は、塗膜の単位面積あたり15から40ml/m2の容量をもつことが好ましい。この容量は単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、または塗膜が吸収しうる水の体積等で定義される。
本発明において、バインダーとして用いられる前記電離放射線硬化性樹脂以外の親水性バインダーは、硬膜剤により硬化されていることが好ましい。硬膜剤により硬化することによりインク受容層の耐水性がさらに改善され、また、インクジェット記録時に親水性バインダーの膨潤が抑制されるためにインク吸収速度が向上する。
硬膜剤は、一般的には親水性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
硬膜剤としては従来公知の架橋剤を使用することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メチロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスルホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を使用することができる。具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビト−ルポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ホウ酸、その塩、ホウ砂、アルミ明礬等が挙げられる。
親水性バインダーとして、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、3属、4属元素を含む化合物、特にホウ酸類やアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などの無機系硬膜剤及びエポキシ系硬膜剤が好ましい。最も好ましいのは、ホウ酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。ホウ酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを示し、具体的にはオルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、八ホウ酸またはそれらの塩が挙げられる。
上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類、親水性バインダーに対する比率等により変化するが、通常親水性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
また硬膜剤は2種以上のものを併用してもよい。また、インク受容層を含有する塗布液に混合し塗布してもよいし、塗膜形成、乾燥後に多孔質を含有せず硬膜剤を含有する溶液をオーバーコートさせて供給してもよい。
本発明において、空隙層に用いられる多孔質物質はその細孔面積が大きくすることが好ましいことから微粒子状のものが好ましく、無機微粒子や有機微粒子を用いることができるが、特には、より小粒径が得られ易く、また高光沢の記録用紙を作製することができ、更に高濃度のプリント画像が得られることから、無機微粒子が好ましい。
そのような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。また、各々単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明においては、インクジェット記録用シートで高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好適に用いられるが、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであってもよい。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径はいかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が4μm以下であることが好ましい。4μm以下であれば光沢性や発色性が良好であり、更には0.1μm以下が好ましい。粒径の下限は特に限定されない。特に上記気相法シリカの場合には、空隙率の大きな構造を得る上で平均一次粒径として30nm以下が好ましく、被膜の透明性を高める上で特には3〜10nmが好ましい。
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
また、微粒子の分散度は光沢性や発色性の観点から0.5以下が好ましい。0.5以下であれば、光沢やプリント時の濃度が良好である。特に、0.3以下が好ましい。ここで、微粒子の分散度とは、上記平均粒径を求めるのと同様に電子顕微鏡で多孔質層の微粒子を観察し、その粒径に標準偏差を平均粒径で割ったものを示す。上記の平均粒径は、電子顕微鏡で観察したときに多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
上記微粒子の水溶性塗布液における含有量は5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
上記気相法シリカ微粒子は、カチオン性樹脂で分散したものを用いることが好ましい。カチオン性樹脂としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその変性体、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報等に記載されているもの、ポリアリルアミン変性体、モノメチルアンモニウムクロライドが好ましい。上記ポリアリルアミン変性体には、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン等を付加したものが知られている。
この分散処理方法としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、本発明では分散を効率的に行うという点から超音波分散機または高圧分散機が好ましく用いられる。
超音波分散機は通常は20〜25kHzの超音波を照射することで固液界面にエネルギーを集中させることで分散するものであり非常に効率的に分散されるが、大量の分散液を調製する必要がある場合にはあまり適当ではない。
一方、高圧分散機は3個または5個のピストンを持った高圧ポンプの出口に、ねじまたは油圧によってその間隙を調整できるようになっている均質バルブを1個または2個備えられたものであり、高圧ポンプにより送液された液媒体が均質バルブによりその流れが絞られて圧力がかかり、この均質バルブを通過される瞬間に相対的に粗大な分散物が粉砕される。
この分散処理方法は連続的に多量の液を分散できるために、多量の液を製造する場合特に好ましい方法である。均質バルブに加えられた圧力は通常4.9×106〜9.8×107Paであり、分散は1回のパスで済ますことも多数回繰り返して行うこともできる。
上記の分散処理方法は2種以上を併用することも可能である。
上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調整することができる。
例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適時使用することができる。
カチオン性分散液を調製する際のpHは無機微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録用紙は着色された支持体であってもよい。
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm2(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレン層には、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であってもよい
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体のインク受容層側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体のインク受容層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、やはりゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていてもよい。
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
上記多孔質層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン性媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。カチオン性媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその変性体、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が十分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報等に記載されているもの、ポリアリルアミン変性体が好ましい。上記ポリアリルアミン変性体には、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン等を付加したものが知られている。
これら媒染剤は、インク受容層を形成する多孔質含有塗布液に混合し、塗布してよいし、独立に別の溶液として塗布してもよい。上記硬膜剤の場合と同様に、多孔質層塗布と同時に、あるいは塗布後、別液で多孔質層を有する下地上にオーバーコートすることもできる。この場合、硬膜剤と混合し添加してもよい。
本発明においては、多価金属化合物をインク受容層に添加しもちいることができる。
多価金属化合物としては、例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Zr2+、Ni2+、Al3+などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、滲みや耐水性を向上させる機能を有するものが多い。これらの水溶性多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明におけるインク受容層等支持体上各層の塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。本発明において、膨潤層、空隙層等、全ての層を同時に塗布することが製造コスト低減の観点から好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
(シリカ分散液−1の調製)
サンノプコ株式会社製消泡剤SN381を0.02部含有するカチオン性ポリマー1の15%水溶液100部に、1次粒子の平均粒径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社製 A300)の25%水分散液を500部を添加し、高速ホモジナイザーで分散し、シリカ分散液−1を得た。
〈比較試料101の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、ホウ酸3.3g、ホウ砂(Na247・10H2O:分子量=381.4)1.3gを添加し溶解後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA203)の10%水溶液35ml、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA245)の6%水溶液327mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液−1を調製した。
上記塗布液−1を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中に8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有。インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、8℃で10秒間冷却した後、50℃で乾燥を行い、空隙層を形成した。次いで、この塗布層の上に膨潤層として以下の組成の塗布液−2を湿潤膜厚12μmで塗布し乾燥して、比較のインクジェット記録用シート101を得た。
(塗布液−2)
2O 800ml
フェニルカルバモイル化ゼラチン 40g
ポリビニルピロリドン(K−90) 25g
ポリエチレンオキサイド(平均分子量約10万) 12g
界面活性剤−2 0.7g
界面活性剤−3 0.3g
硬膜剤−1 2.1g
上記膨潤層の乾燥膜厚は約0.9μmであった。
Figure 2005119177
Figure 2005119177
〈比較試料102の作製〉
塗布液−2の湿潤膜厚を23μmで塗布した以外は、比較試料101の作製と同様にして、比較のインクジェット記録用シート102を作製した。膨潤層の乾燥膜厚は約1.7μmであった。
〈比較試料103の作製〉
塗布液−2の湿潤膜厚を33μmで塗布した以外は、比較試料101の作製と同様にして、比較のインクジェット記録用シート103を作製した。膨潤層の乾燥膜厚は約2.4μmであった。
〈比較試料104の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、ホウ酸2.6g、ホウ砂(Na247・10H2O:分子量=381.4)1.0gを添加し溶解後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA203)の10%水溶液27ml、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA245)の6%水溶液253mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液−3を調製した。
上記塗布液−3を、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチレン中に8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有。インク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、反対側にTgが約80℃のラテックス性ポリマーをバック層0.2g/m2として有する)に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、8℃で10秒間冷却した後、50℃で乾燥を行い、空隙層を形成した。次いで、試料102と同様にして、前記塗布液−2を湿潤膜厚23μmで塗布し乾燥して、比較のインクジェット記録用シート104を得た。上記膨潤層の乾燥膜厚は約1.7μmであった。
〈本発明試料105の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、スチルバゾリウム基を導入した濃度を8%に調整した電離放射線硬化性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製:SPP−SHR主鎖PVA重合度2300、ケン化度88%)223mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液を調製した。
試料101と同様のポリエチレンコート紙上に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、その後365nmに主波長をもつメタルハライドランプで、エネルギー量で40mJ/cm2の紫外線を照射した後、50℃で乾燥を行い空隙層を得た。次いで、該空隙層上に試料102と同様にして乾燥膜厚約1.7μmの膨潤層を形成し、本発明のインクジェット記録用シート105を得た。
〈本発明試料106の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、ホウ酸1.16g、ホウ砂0.45gを添加し溶解後、スチルバゾリウム基を導入した濃度を8%に調整した電離放射線硬化性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製:SPP−SHR主鎖PVA重合度2300、ケン化度88%)156mlと、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA203)の10%水溶液8ml、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA245)の6%水溶液76mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液を調製した。
試料101と同様のポリエチレンコート紙上に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、その後365nmに主波長をもつメタルハライドランプで、エネルギー量で40mJ/cm2の紫外線を照射した後、8℃で10秒間冷却し、50℃で乾燥を行い空隙層を得た。次いで、該空隙層上に試料102と同様にして乾燥膜厚約1.7μmの膨潤層を形成し、本発明のインクジェット記録用シート106を得た。
〈本発明試料107の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、ホウ酸2.4g、ホウ砂0.9gを添加し溶解後、スチルバゾリウム基を導入した濃度を8%に調整した電離放射線硬化性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製:SPP−SHR主鎖PVA重合度2300、ケン化度88%)112mlと、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA203)の10%水溶液13ml、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA245)の6%水溶液127mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液を調製した。
試料101と同様のポリエチレンコート紙上に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、その後365nmに主波長をもつメタルハライドランプで、エネルギー量で40mJ/cm2の紫外線を照射した後、8℃で10秒間冷却し、50℃で乾燥を行い空隙層を得た。次いで、該空隙層上に試料102と同様にして乾燥膜厚約1.7μmの膨潤層を形成し、本発明のインクジェット記録用シート107を得た。
〈本発明試料108の作製〉
シリカ分散液−1、600gに、スチルバゾリウム基を導入した濃度を8%に調整した電離放射線硬化性ポリビニルアルコール誘導体水溶液(東洋合成工業社製:SPP−SHR主鎖PVA重合度2300、ケン化度88%)223mlを撹拌しながら徐々に加え、最後に液全体の体積が1000mlになるようにH2Oを加えて塗布液を調製した。
試料101と同様のポリエチレンコート紙上に、バーコーターにより湿潤膜厚180μmになるように塗布し、その後365nmに主波長をもつメタルハライドランプで、エネルギー量で40mJ/cm2の紫外線を照射した後、50℃で乾燥を行い空隙層を得た。次いで、該空隙層上に試料103と同様にして乾燥膜厚約2.4μmの膨潤層を形成し、本発明のインクジェット記録用シート108を得た。
以上により作製した各記録用シートについて、以下に記載の方法に則り、膜面性状、インク吸収性、光沢度の評価を行った。
(膜面性状)
目視により膜面のひび割れ発生状況について、以下の尺度により評価。
○:ひび割れが認められず、実技上全く問題ないレベル
△:僅かにひびの発生が認められるが、実技上は問題ないレベル
×:ひび発生が認められ、実技上許容され得ないレベル
(インク吸収性)
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM920Cを用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレー色を全面ベタ印字して、下記に示す基準により、ムラの有無を目視で4段階評価した。
◎:ムラが殆ど認められない
○:ムラが僅かに認められるが、実技上は問題ないレベル
△:ムラがベタ印字でははっきりわかる程度だが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル
×:グレーの色ムラが認められ、実技上許容され得ないレベル
(光沢度)
印字面を日本電色工業株式会社製変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて60度光沢を測定した。
Figure 2005119177
表1の結果より、本発明のインクジェット記録用シートは、膜面性状(ひび割れ)を損なうことなく、インク吸収性を改良していることがわかる。更に、試料105〜107の比較より、空隙層に含有される総バインダー量に対する電離放射線硬化性樹脂比率が50%よりも70%、100%の方が良好な性能を有することがわかる。また、膨潤層の膜厚が2.4μmよりも1.7μmと薄い方が、電離放射線硬化性樹脂を用いた場合においても、インク吸収性が有利であることがわかる。なお、比較試料101の調製において膨潤層を塗布する前に空隙層のみを形成した試料の光沢度を測定したところ、光沢度は約50%であった。従って、膨潤層を塗布した上記各試料はいずれも空隙層のみからなる記録材料に対し、優れた光沢性を有している。

Claims (5)

  1. 支持体上にインク受容層として少なくとも1層の親水性バインダーと多孔質物質を含有してなる空隙層を有するインクジェット記録用シートにおいて、該空隙層が親水性バインダーとして電離放射線硬化性樹脂を含有し、且つ該空隙層より支持体から離れた側に膨潤層を有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 前記膨潤層の乾燥膜厚が2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂が紫外線により硬化される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
  4. 前記電離放射線硬化性樹脂が光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用シート。
  5. 支持体上に前記空隙層を塗布後、電離放射線照射により該層の親水性バインダーを硬化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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