JP2006035362A - 研削加工用砥石、およびそれを用いた研削加工方法 - Google Patents

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史敏 小林
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Abstract


【課題】 ガラス等の脆性材料に対して、表面粗さが小さく高品質な加工面を効率良く得るための研削用砥石および研削加工方法を提供する。
【解決手段】 砥粒とバインダから成る研削砥石において、砥粒として粒径が0.2μmから10μmのタングステンカーバイトを用い、バインダとしてコバルト、ニッケル、鉄、アルミ、およびクロムからなる群より選ばれた少なくとも1種を用いる。砥石は略円柱状であり、砥石の先端部は曲面であり、溝が設けられている。前記砥石を被加工物に対して斜めに傾け、砥石の軸線を中心として回転させながら研削を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主に溝加工に用いられる研削砥石および研削加工方法、およびそれらを用いた研削加工装置に関する。特に、本発明はミクロンオーダーの微細加工に用いられる研削砥石および研削加工方法、およびそれらを用いた研削加工装置に関する。また、本発明はガラス製マイクロ化学チップに関する。
近年、化学反応を微小空間で行うための集積化技術が注目を浴びている。反応チップ(マイクロ化学チップまたはマイクロチップ)は、化学反応を高速に行うことができ、反応物が微小量でも反応や分析を行うことが可能であり、オンサイト分析が実現できるなどの利点を持つため、現在盛んに開発が行われている。マイクロ化学チップは、幅10μm〜数100μm、深さ数10μm〜数100μmの微細な流路を有し、その流路内で混合・反応・分離・検出などのプロセスが行われる。反応性や検出感度の観点などから、流路の加工表面は鏡面状の加工表面、すなわち表面粗さ(Ra)が小さな加工面が求められている。
マイクロ化学チップの材料としては、光学的・化学的性能に優れた材料であるガラスが用いられることが多い。ガラス基板への流路形成は、エキシマレーザやウェットエッチングなどの加工方法によって行われる。(例えば特許文献1参照。)
しかし、エキシマレーザやウェットエッチングによる加工の場合、複雑な形状の加工が困難であること、多品種への対応が困難であること、設備投資が多大であることなどの問題がある。そのため、複雑な加工を行うことができ、多品種への対応が比較的容易である機械的手段による加工が検討されている。
機械的手段による溝加工方法については、空気静圧軸受け主軸に取り付けられたエンドミル状工具による加工例が示されている。(例えば特許文献2参照。)
ガラス等の脆性材料に機械的手段による溝加工を行う場合は、一般的に、図10に示すような構成の装置を用いることが多い。図10に示すように、棒状の研削砥石5をガラス基板に対して垂直に立て、軸線周りに回転駆動させながら研削加工を行う。
また、研削砥石は、一般的にダイヤモンド砥粒をバインダで結合させたものが用いられる。バインダは、比較的強度の高いメタルボンドが用いられることが多い。また、金属台金にダイヤモンド砥粒を電着した軸付き砥石が使用される場合もある。
特開平12−298109号公報 特開平9−155617号公報
マイクロ化学システムチップの流路として好適な溝仕様は、幅30μm〜300μm程度、溝深さが溝幅に対して0.3〜1程度の割合である。溝面の粗さは、用途に依存するが、Raが数nm〜数100nmであることが要求される。
砥石の大きさと形状は、加工する溝の大きさと形状によって決まるため、上述した流路を形成するためには、直径が30μm〜300μmの小径のものが必要となる。また、砥石の砥粒は、研削面粗さが小さくなるような比較的高番手の粒度の砥粒(粒度が小さい砥粒)とすることが必要である。
従来、溝加工用の工具としては、メタルボンド砥石が使用される例が多いが、上述したような小径の砥石を精度良く作製することは難しい。また小径のメタルボンド砥石は強度が十分でないため、加工時の送り速度を低く設定しなければならず、加工効率が悪い。更に、砥石が磨耗しやすく、精度良く溝加工をするためには、砥石を頻繁に交換しなければならないという問題がある。
焼き入れ鋼などの台金にダイヤモンド砥粒を電着した砥石は、十分な強度を有するが、高番手の砥粒を電着させることが難しいこと、また、砥粒面が均一となるように電着を行うことが難しいことから、高精度の溝加工をするための砥石を作製することが難しい。溝形状は、砥石形状がそのまま転写されるため、前記砥石を用いた場合、均一な加工面粗さを得ることができない。
また、従来の研削加工は、図10に示すように、被加工面に対して砥石を垂直に立て、砥石を回転させながら研削を行う。
溝断面が近似半円形状の溝を加工する場合は、先端がR形状の棒状砥石を使用する必要があるが、研削砥石は軸線周りに回転駆動させるため、砥石が加工面に対して垂直の場合は、溝底部を研削する砥石最先端部(砥石中心部)の砥石周速は0になる。従って、砥石中心部では、研削能力が低くなったり、研削加工された溝壁面の粗さが不均一となってしまうなどの問題が発生する。また、加工時には砥石の軸に対して垂直方向の力が作用するため、砥石が破損しやすいという問題もある。
本発明の目的は、ガラス等の脆性材料に対して、表面粗さが小さく高品質な加工面を効率良く得るための研削用砥石および研削加工方法を提供することにある。特に、近似半円状の加工断面形状を持つミクロンオーダーの溝を高精度に効率良く加工できる研削砥石、研削工具、および加工方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の研削砥石は、砥粒とバインダから成る研削砥石であって、前記砥粒は粒径0.2μmから10μmのタングステンカーバイトであり、前記バインダはコバルト、ニッケル、鉄、アルミ、およびクロムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明によれば、ガラス等の脆性材料への研削加工に対して研削品質が高く研削効率が高い砥石を提供できる。また、ダイヤモンド砥石による機械的な研削によって砥石を成形することができるため、砥石の成形も容易である。
請求項2に記載の研削砥石は、請求項1に記載の研削砥石であって、前記砥石は略円柱状であることを特徴とする。
請求項3に記載の研削砥石は、請求項1または2に記載の研削砥石であって、前記砥石の先端部は、少なくとも1つの曲面を有することを特徴とする。
先端部が曲面、特に球形状であると、取りしろが連続的に少なくなるため、面粗さが良くなる。
請求項4に記載の研削砥石は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の研削砥石であって、前記砥石は先端部に溝を有することを特徴とする。
本発明によれば、ガラス等の脆性材料への加工に対して、加工面粗さを維持したまま、加工効率を大幅に向上させることが可能になる。
請求項5に記載の研削砥石は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の研削砥石であって、前記砥石の先端部は、少なくとも2層以上の砥粒層から形成され、最先端部の第1の砥粒層を構成する砥粒の粒径は、前記最先端部の第1の砥粒層に隣接する第2の砥粒層を構成する砥粒よりも小さいことを特徴とする。
砥粒の粗い部分と細かい部分が一体の砥石となっているため、砥石を取り替えることなく粗研削と仕上げ研削を一度の研削で行うことができる。
請求項6に記載の研削加工方法は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の研削砥石を用いた研削加工方法であって、前記砥石を送り方向側へ傾斜させ、前記砥石の軸線を加工表面へ正射影した直線の向きが、前記砥石の送り方向と同一となるように砥石の向きを定め、前記砥石を軸線を中心として回転させながら研削することを特徴とする。
本発明によれば、溝壁面全面において同周速での研削が可能であるため、加工面の面粗さを均一にすることができる。砥粒の粒径が大きい部分が送り方向側となるため、先ず砥粒の粒径が大きい部分によって粗研削をした後に、砥粒の粒径が小さい部分によって仕上げ研削をすることができる。
請求項7に記載の研削加工方法は、請求項6に記載の研削加工方法であって、前記砥石を加工深さまで被加工物内部に切り込んでいる状態で、前記最先端部の第1の砥粒層と前記第1の砥粒層に隣接する第2の砥粒層との境界面と、前記砥石の軸線との交点が、被加工物の表面もしくは外部に位置していることを特徴とする。
本発明によれば粗研削により加工された溝の壁面全面にわたって仕上げ研削を行うことができる。
請求項8に記載のガラス製マイクロ化学チップは、請求項6または7に記載の加工方法により加工されたことを特徴とする。
本発明によれば、複雑な形状の溝を低コストで作製することができる。
請求項9に記載の研削加工装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載された砥石を用いることを特徴とする。
請求項10に記載の研削加工装置は、請求項6または7に記載された研削加工方法を用いることを特徴とする。
本発明の研削加工用砥石は、タングステンカーバイトを砥粒とし、Co等をバインダとして焼結しているため靱性が高く、ガラス等の脆性材料に対して高効率で高品質の溝加工を行うことが可能である。特にミクロンオーダーの微細な溝を溝表面の粗さが小さくなるように効率良く加工することができる。また、砥石の硬度が高いため、砥石の磨耗が小さく、長期間砥石を取り替えることなく高品質な溝を形成することができる。更に、砥石の材料がダイヤモンドのような高価な材料でないため、コストが低くなる。
また、本発明によれば、従来のメタルボンド砥石よりも砥石の靱性が大幅に向上するため、高効率の加工が可能になるが、砥粒としてダイヤモンドよりも硬度の低いタングステンカーバイトを用いているため、従来のダイヤモンド電着砥石と比較して、砥石を所望の溝形状に合わせた細径に成型加工したり、先端部のR加工を簡単に行うことができる。
本発明の研削工具を用いれば、ガラス製マイクロ化学チップの流路を効率良く形成することができ、また、本発明の砥石は上記の特徴を有するため、マイクロ化学チップ製造システムを自動化することも容易となる。
本発明によれば、従来のフォトリソグラフィやエッチングによる加工方法と比較して低価格の設備にて製作が可能となる。また、ガラス製マイクロ化学チップの試作を短時間で行うことが可能となるため、多品種少量生産に好適に用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
本発明の砥石は、粒径0.2μmから10μmのタングステンカーバイトを砥粒として用いる。タングステンカーバイト砥粒を55〜96質量%使用し、ボンド材としてコバルト、ニッケル、鉄のうちどれか1種類または2種類以上をバインダとして4〜40質量%使用し、さらに必要に応じて、Ti、Ta、Mo、V、Crの炭化物、窒化物、炭窒化物の1種類または2種類以上を0〜5質量%添加してもよい。
上記材料粉末を均一に混合した後に所望の形状にプレス成形する。その後、真空雰囲気において1300℃〜1450℃の温度で焼結し、砥石母材を得る。なお、焼結の際に1000atmのAr雰囲気中でHIP処理(熱間静圧プレス処理)を行ってもよい。
焼結された砥石母材をダイヤモンド砥石により所定の形状に研削加工して、砥石とする。
ガラス加工に適した砥石とするためには、タングステンカーバイト砥粒の粒径を、好ましくは1〜3μmとする。粒径は多少のばらつきがあってもよいが、ばらつきの少ない均一な粒径とすると高品質な加工が可能な砥石を作製することができる。バインダは、コバルトを主成分とする。バインダにはTiC(炭化チタン)やVC(炭化バナジウム)などの添加物が含まれていてもよい。圧力、焼結温度は砥石粒径や割合、砥石形状などを考慮して適宜調節すればよい。
砥石母材をダイヤモンド砥石で加工して所望の形状とする。棒状砥石の場合は砥石部とシャンク部が一体となる形状とした方が、両者の軸が一致するため、研削精度が上がるので、望ましい。加工に使用される砥石先端部形状が加工溝形状に反映されるので、希望する溝形状によって砥石形状は適宜設計すればよい。
例えばマイクロ化学チップとして最も良く用いられる溝形状は、幅10μm〜500μm、深さ3μm〜500μmであり、そのためには砥石先端形状は、φ20μm〜1000μmとなる。先端部にRを持つ場合はそのRは10μm〜500μmとなる。求められる溝加工面の表面粗さ(Ra)は3nm〜100nmの範囲である。
より好ましい溝形状としては、幅50μm〜200μm、深さ25μm〜100μmであり、そのためには砥石先端形状は、φ100μm〜400μmとなる。先端部にRを持つ場合はそのRは50μm〜200μmとなる。求められる溝加工面の表面粗さ(Ra)は3nm〜50nmの範囲である。
加工面の表面粗さはタングステンカーバイト砥粒径やその配合割合などの砥石作製条件や、砥石回転数や送り速度などの加工条件により調整できる。
例えば先端がR形状の円柱状の形状の砥石とするためには、図1に示すように、まず砥石母材を円柱状に加工し、片方の端部のみを更に研削して円柱形状に加工した後、先端部をR形状に加工する。更に、図2に示すように球状先端部にスリット56を設けてもよい。それぞれのスリットのなす角度が180°となるように加工すると好ましい。スリットの幅は、先端Rの値に対して20%〜60%、長さは、砥石と被加工物の接触部分にわたって溝が刻まれる深さまでとすると、研削液が供給されやすく、溝部エッジが加工に作用するため、加工効率が高くなるので好ましい。以上の成形加工はダイヤモンド砥石を用いることで簡単に高精度におこなうことが可能である。
砥石先端部のスリットの本数、方向は任意であるが、面積比としては10%〜60%が適当であり、面積比が大きい程加工能率が高くなる。加工面品質と加工効率を両立させるためには30%程度の面積比が適当である。
このようにして得られた研削加工用砥石を加工装置に取り付けて研削加工を行う。加工は図3に示すように砥石を回転させながら行うため、回転中心となる軸線を定めて取り付ける。軸線は、好ましくは砥石の中心軸と一致するが、砥石内部であればどこを軸線としてもよい。
砥石の形状は円柱形状でも、直方体形状でも、円錐形状でも、四角柱形状でもどのような形状でもよいが、溝を形成するためには、円柱形状または直方体形状の棒状砥石が好ましい。砥石先端部もどのような形状でもよく、例えば凹凸形状などでもよいが、曲面を含む形状であると好ましく、平坦な形状や球面が好ましい。特に図4に示すように曲率Rの曲面を有する球面であるとより好ましい。
砥石の先端部は、図4に示すように、上部は、粗さが大きい研削表面が得られるような砥粒層51から成り、下部は、粗さが小さい研削表面を得ることができるような砥粒層52から成る。一般的に粗さが大きい研削表面を得るためには砥粒の粒径を大きくすればよく、粗さが小さい研削面を得るためには砥粒の粒径を小さくすればよいため、上部よりも下部の方が砥粒の粒径が小さくなっている。ここでいう上部・下部とは、砥石先端部を加工面側にし、加工面に対して砥石の中心軸が垂直となるように砥石を立てたときの上部・下部をいう。砥石先端部とは、加工を行う部分をいう。砥粒の粒径変化は、異なる砥粒層を別々に作製して後で接着しても良いし、砥粒径が連続して変化するように一体的に作製してもよい。
砥粒分布は、好ましくは、図5〜8に示すように、加工深さまで砥石5が被加工物内部に切り込んでいる状態での被加工物表面位置での砥石断面において、送り方向側に砥石が粗い部分51、送り方向と反対側に砥粒が小さい部分52が含まれるようにする。図5〜8においては2層構造となっているが、3層構造として、その中央部分を上部と下部の砥粒の中間のものを使用する場合や、3層以上の構造としてもよい。
砥石先端部55において、上部よりも下部の方が砥粒の粒径が小さくなっているような分布を有する略円柱状の砥石を用い、図3に示すように砥石を送り方向へ傾けて、砥石を回転させながら研削加工を行う。送り方向は直線矢印で示した方向である。加工を行う際に、砥石を送り方向へ傾けると、最初に円柱状砥石の側面部分で研削が行われ、次いで砥石先端のエッジ部分で研削が行われる。図10に示すように砥石を傾けずに垂直に立てる従来の方法で研削を行った場合は、砥石底面の中心部分は周速が0となってしまうため、側面部と底面部とで研削条件が異なってしまう。また、図4に示すように先端がR形状の棒状砥石を使用する場合でも、溝底部を研削する砥石最先端部(砥石中心部)の砥石周速が0になる。従って、砥石中心部では、研削能力が低くなったり、研削加工速度の違いに起因して、研削加工された溝壁面の粗さが不均一となってしまうなどの問題が発生する。
研削加工時に砥石を傾けることにより、溝壁面全面にわたって同周速で研削することができ、加工面の面粗さを均一にすることができる。特に、先端R形状の砥石を用いた場合は、周速が0となる部分が存在しないため、より高速で加工することが可能となる。砥石を送り方向へ傾けた状態で、砥石の軸線を加工表面へ正射影した直線の方向が、砥石の送り方向と同一となるようにすると、研削に要する力が最小となるため好ましい。
従来の方法によれば、溝断面形状が所望のR形状を有する溝を形成するためには、溝に合わせたR形状の砥石を準備する必要があったが、本発明のように砥石を傾けて研削する場合は、傾斜角度を適宜変化させることにより所望のR形状の溝を得ることができる。
円柱形状の研削砥石を傾斜させて研削を行った場合、溝Rの値は円柱砥石のRよりも大きくなってしまうが、先端がR形状の研削砥石を使用すれば円柱砥石と同等形状の溝断面Rを得ることができるため、好ましい。図4に示すように、先端がR形状の研削砥石を用いる場合も、円柱形状の場合と同様に、研削砥石の溝底面に当たる部分は砥石の軸心からずれているため、溝全面にわたって均一な加工面を得ることができる。
円柱形状の砥石を使用した場合は砥石のエッジ部分により研削が行われるため、研削を重ねるうちにエッジ部分の砥石の摩耗が起こりやすく、溝形状が変化してしまう。一方、先端Rの砥石を使用する場合、エッジ部分と比べて砥石の摩耗が抑制されるため、溝形状が変化しにくい。従って、高精度な加工が必要とされる場合は、先端Rの砥石を用いることが好ましい。
本発明の研削砥石は、砥石最先端部(以下、第1層とする)よりも隣接する部分(以下第2層とする)の方が砥粒粒径が大きくなっている。砥粒が大きい第2層が送り方向側となるように傾けて研削を行うと、図5に示すように、研削加工により除去される部分は、第2層51によって除去される部分53と、その後第1層52により除去される部分54とから形成されることになる。
すなわち、1回の研削加工によって、先ず第2層により粗研削をおこない、次いで第1層による仕上げ研削をほぼ同時に行うことができる。そのため、高品質な研削加工面を効率良く得ることが可能になる。
第1層、第2層の厚さと切り込み深さの関係は次の通りである。
例えば図5に示すように、研削砥石の軸線と研削砥石の先端部に位置する第1層52と第2層51との境界面、砥石の軸線Bの交点Oが、被加工物(被削材)の上面と一致している場合は、被加工物上面の位置が、第1・第2両層の研削除去部分と一致するため、図5(b)に示すように被削材上面付近においては第1層による仕上げ加工が十分に行われない。溝加工面全面にわたって仕上げ加工を行うためには、図6(a)に示すように、前記交点Oが被加工物上面よりも上方に位置するようにすれば良い。
従って、溝底部のみにおいて良好な研削面を得られれば良い場合は、図7(a)に示すように、前記交点Oが被加工物上面よりも下方に位置するように設定すればよい。この場合は、より深い溝加工に対応することが可能である。
第1層による除去量は第1層の厚みと砥石の傾斜角度を変化させることによって調整することが可能である。研削加工速度を優先する場合は第1層の厚みを薄くするか、砥石の傾斜角度を大きくすればよい。
第2層の粗研削時には加工変質層が形成される。この加工変質層を仕上げ研削によって十分に除去することで、高品質な表面を得ることができる。加工変質層を仕上げ研削時に十分に除去するためには、第1層による除去厚さが加工変質層以上となるように第1層の厚みや砥石の傾斜角度を設定すればよい。
上記は、砥粒層が2層の場合について説明したが、砥粒層を3層やそれ以上に増やすことも可能である。砥粒層を3層以上とすることで、より精密な研削加工を行うことが可能となる。
溝底部のRを溝幅の半分とする場合は、先端Rを持つ研削砥石を使用する。この場合も、図8に示すように、溝全域にわたって高品質の研削面を効率良く得ることができる。図8では研削砥石の円柱部と球面部で砥粒層の種類を変更した場合を示しているが、第1層と第2層の境界位置や砥石の傾斜角度を適宜変更することによって、所望の溝深さや品質を得ることが可能である。
次に加工装置について説明する。加工装置の例を図9に示す。図9において、紙面に平行な面をYZ平面、紙面に垂直な面をXY平面とする。図9に示す加工装置は、加工テーブルとスピンドルにより構成される。加工テーブルは3段のテーブルから構成され、それぞれのテーブル21、22、23は、それぞれXY平面内で回転自在、X軸方向、Y軸方向に移動させることができる。テーブル21、22、23の順番はどのような順番でもよい。研削砥石はスピンドル軸6に取り付け、Z軸方向に移動可能である。なお、スピンドル軸は加工テーブルに対する角度を調整、固定できる構造となっている。
スピンドル軸心と砥石の回転軸が一直線となるように、砥石をスピンドルに取り付け、砥石が軸心周りに回転するようにする。スピンドル軸心は加工テーブルの法線より角度ψ傾けた状態でZ軸に固定する。
被削物であるガラス基板は加工テーブルに固定する。砥石が被削物に切り込んだ状態とし、スピンドルの傾き方向が送り方向と一致するように加工テーブルを送り、研削加工を行う。研削加工中は、図示しないノズルより研削液または研削液ミストを加工箇所に供給する。
テーブル21の角度を調整し、研削方向をスピンドルの傾き方向と一致させた状態でテーブル22、23を駆動させることで、直線状の溝加工だけでなく、任意の形状の溝を研削することも可能である。この場合に用いる装置は、テーブル21の上にテーブル22、23が載置された構成とし、テーブル21の回転中心と砥石の下端部が一致するように砥石位置を設定すると、加工制御が容易となる。
加工装置は、上記構成の他、加工用途に合わせて適宜選択することができる。また、汎用装置に本発明の砥石を取り付けて加工を行ってもよい。例えば、市販のフライス装置やNC加工装置などを用いることができる。
上記研削工具を用いて、砥石を軸心周りに回転させ、砥石を傾けた方向に一定速度で砥石を送り、ガラス基板上にマイクロ化学チップ用の流路となる溝を加工することができる。基板への切込み量が5μm〜50μmの場合は、砥石の回転数を10000rpm〜50000rpm、砥石の送り速度を0.2〜25mm/secとすると、加工効率と加工品質ともに良好な加工が行えるため、好ましい。
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。
平均粒径3μmのタングステンカーバイトを90質量%、バインダとして平均粒径1.5μmのCo粉末を10質量%の割合で両者を混合し、直径φ4mm、長さ40mmの円柱状に9.8×107Pa(1000kg/cm2)の圧力で成形し、その後この圧粉体を真空雰囲気中で1400℃にて焼結させることにより砥石母材を製作した。
その後、ダイヤモンド砥石を用いて砥石母材を加工し、図1に示す形状とした。砥石母材をφ3mm×30mmの円柱状に加工し、研削加工に用いる部分となる片端部をφ200μm×0.5mm長に小径化した後、その先端部をR100μmの球形状に加工した。なお、前記先端球部は図2に示す様に、幅40μm、長さは砥石と被加工物の接触部分にわたって溝が刻まれる長さのスリットを180°方向に加工した。
次に前記研削工具を使用し、図9に示す加工装置にてガラス基板への溝加工を行った。
前記砥石を前記加工装置のスピンドル軸6に取り付け、スピンドル軸6をψ=45度となるように傾けた。砥石を軸心周りに回転数3.0×106Hz(50000rpm)で回転させ、ガラス基板に50μm切り込んだ状態で、25mm/secの送り速度で溝加工を行った。
加工された溝を触針式の形状測定器によって測定したところ、幅200μm、深さ50μmのR断面形状を有し、溝の研削加工面の粗さはRa=100nmで、溝全面にわたって均一であった。
同様に送り速度5mm/secとした場合の面粗さはRa=50nm、2mm/secではRa=10nm、0.5mm/secではRa=3nmの表面を有する溝が得られた。
本発明に係る研削加工用砥石および研削加工方法、およびそれらを用いた研削加工装置は、ガラス等の脆性材料の研削加工に利用することができる。本発明に係る研削加工用砥石および研削加工方法、およびそれらを用いた研削加工装置は、特に多品種少量生産されるマイクロ化学チップの流路の加工に利用することができる。
本発明に係る砥石の側面図である。 本発明に係る砥石先端部の模式図である。(a)は砥石先端部の側面図、(b)は砥石先端部を先端部方向から見た正面図である。 砥石の回転方向および送り方向を示す模式図である。 (a)は先端がR形状の棒状砥石を示す模式図である。(b)は砥石先端部の拡大図である。 円柱状砥石の切込み深さと被加工物の研削面との関係を示す模式図である。(a)は砥石の側面図、(b)は線AA’における被加工物の断面図である。 円柱状砥石の切込み深さと被加工物の研削面との関係を示す模式図である。(a)は砥石の側面図、(b)は線CC’における被加工物の断面図である。 円柱状砥石の切込み深さと被加工物の研削面との関係を示す模式図である。(a)は砥石の側面図、(b)は線EE’における被加工物の断面図である。 先端がR形状の砥石の切込み深さと被加工物の研削面との関係を示す模式図である。(a)は砥石の側面図、(b)は線GG’における被加工物の断面図である。 本発明に係る溝加工装置を示す概略図である。 従来の溝加工装置の例を示す概略図である。
符号の説明
1 ガラス基板
21 XY平面内で回転自在なテーブル
22 X方向に移動可能なテーブル
23 Y方向に移動可能なテーブル
4 支持台
5 棒状砥石
51 砥粒が粗い層
52 砥粒が細かい層
53 粗い砥粒層部分によって研削除去された部分
54 細かい砥粒層部分によって研削除去された部分
55 砥石先端部
56 スリット
6 スピンドル

Claims (10)

  1. 砥粒とバインダから成る研削砥石であって、前記砥粒は粒径0.2μmから10μmのタングステンカーバイトであり、前記バインダはコバルト、ニッケル、鉄、アルミ、およびクロムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする研削砥石。
  2. 前記砥石は略円柱状であることを特徴とする請求項1に記載の研削砥石。
  3. 前記砥石の先端部は、少なくとも1つの曲面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の研削砥石。
  4. 前記砥石は先端部に溝を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の研削砥石。
  5. 前記砥石の先端部は、少なくとも2層以上の砥粒層から形成され、最先端部の第1の砥粒層を構成する砥粒の粒径は、前記最先端部の第1の砥粒層に隣接する第2の砥粒層を構成する砥粒よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の研削砥石。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の研削砥石を用いた研削加工方法であって、前記砥石を送り方向側へ傾斜させ、前記砥石の軸線を加工表面へ正射影した直線の向きが、前記砥石の送り方向と同一となるように砥石の向きを定め、前記砥石を軸線を中心として回転させながら研削することを特徴とする研削加工方法。
  7. 前記砥石を加工深さまで被加工物内部に切り込んでいる状態で、前記最先端部の第1の砥粒層と前記第1の砥粒層に隣接する第2の砥粒層との境界面と、前記砥石の軸線との交点が、被加工物の表面もしくは外部に位置していることを特徴とする請求項6に記載の研削加工方法。
  8. 請求項6または7に記載の加工方法により加工されたことを特徴とするガラス製マイクロ化学チップ。
  9. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の砥石を用いたことを特徴とする研削加工装置。
  10. 請求項6または7に記載の研削加工方法を用いたことを特徴とする研削加工装置。
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