JP2006033603A - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents

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巌雄 藤田
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Abstract

【課題】 チップに保護膜を設けても、ワイヤボンディングの信頼性を確保しつつチップの小型化を図ることができる弾性表面波装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板12と、基板12上に形成されたIDT14,15と、IDT14,15に接続されたパッド13a,14a,14s,15a,15sと、を有するSAWチップ11と、ランド21a〜25aを有するパッケージ20と、SAWチップ11のパッド13a,14a,14s,15a,15sとパッケージ20のランド21a〜25aとを接続するボンディングワイヤ30と、パッド13a,14a,14s,15a,15sとボンディングワイヤ30との接続部分に塗布されて硬化した第1のシリコーン系樹脂40と、第1のシリコーン系樹脂40が硬化する際にSAWチップ表面に形成された厚さ100nm未満の第2のシリコーン系樹脂とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は弾性表面波装置及びその製造方法に関する。
従来、テレビ受信機に使用される映像中間周波用(VIF)SAWフィルタなどの弾性表面波装置は、信頼性向上のため保護膜が形成されている。例えば、基板上にAl薄膜からなるIDT電極およびIDT電極に接続された取出し電極(パッド)が形成され、これらの上から、IDT電極の形成領域を覆うようにZnO等の圧電薄膜が形成され、圧電薄膜を覆うように、SiO等の保護膜がスパッタリング法により形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−178330号公報
近年、機器の小型化や低コスト化を実現するためには、チップの小型化が必須となっている。しかし、TVやVTRはデジタル化が進んできているため、IDT電極の対数を減らすことができない。このため、IDT電極の形成領域がチップ面積に占める割合が大きくなる。
従来技術のように取出し電極がチップサイズに対し大きいと、IDT電極の形成領域を確保することができないため、取出し電極を小さくかつ圧電薄膜の膜端との距離をできるだけ縮めなければならない。従来技術では、信頼性向上のため保護膜を形成しているが、取出し電極と圧電薄膜の膜端の距離が縮まると、保護膜が取出し電極にかかってしまい、ワイヤボンディングができない。もしくは、できても、接合強度が弱くなるという問題があった。
また、取出し電極にはAl、ワイヤにはAuを用いているため、接合しても高温の環境下では接合部分が弱く、信頼性に支障をきたす問題があった。
本発明は、かかる実情に鑑み、チップに保護膜を設けても、ワイヤボンディングの信頼性を確保しつつチップの小型化を図ることができる弾性表面波装置及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下のように構成した弾性表面波装置を提供する。
弾性表面波装置は、基板と、前記基板上に形成されたIDTと、前記IDTに接続されたパッドと、を有するSAWチップと、ランドを有するパッケージと、前記SAWチップの前記パッドと前記パッケージの前記ランドとを接続するボンディングワイヤと、前記パッドと前記ボンディングワイヤとの接続部分に塗布されて硬化した第1のシリコーン系樹脂と、前記第1のシリコーン系樹脂が硬化する際に前記SAWチップ表面に形成された厚さ100nm未満の第2のシリコーン系樹脂とを備える。
上記構成において、第1のシリコーン系樹脂により、パッドとボンディングワイヤとの接合を補強し、ワイヤボンド接合の信頼性を向上することができる。また、第2のシリコーン系樹脂により、SAWチップ表面を被覆して外部雰囲気から遮断し、弾性表面波装置の信頼性を向上することができる。
従来のように保護膜をスパッタリング法等により形成する場合、メタルマスクを用いたり、リフトオフ用レジストを塗布したりして、ワイヤボンディングするパッド部分に保護膜が形成されないようにする必要がある。メタルマスクを用いたり、リフトオフ用レジストを塗布したりすると、ある程度以上の寸法が必要となるため、小型化には限界がある。上記構成によれば、メタルマスクやリフトオフ用レジストを用いずに、小型化を図ることができる。
また、本発明は、上記課題を解決するため、以下のように構成した弾性表面波装置の製造方法を提供する。
弾性表面波装置の製造方法は、基板と、前記基板上に形成されたIDTと、前記IDTに接続されたパッドとを有するSAWチップを、ランドを有するパッケージに収納した弾性表面波装置の製造方法である。前記製造方法は、前記SAWチップを前記パッケージにマウントする第1の工程と、前記SAWチップの前記パッドと前記パッケージの前記ランドとの間を、ボンディングワイヤを用いてワイヤボンディングする第2の工程と、前記パッドと前記ボンディングワイヤとの接続部分に第1のシリコーン系樹脂を塗布する第3の工程と、前記第1のシリコーン系樹脂を加熱して硬化させるとともに、このときに前記第1のシリコーン系樹脂から発生するシロキサンを前記SAWチップに付着させて、前記SAWチップ表面に第2のシリコーン系樹脂を形成する第4の工程とを含む。
上記方法によれば、第1のシリコーン系樹脂により、パッドとボンディングワイヤとの接合を補強し、ワイヤボンド接合の信頼性を向上することができる。また、第2のシリコーン系樹脂により、SAWチップ表面を被覆して外部雰囲気から遮断し、弾性表面波装置の信頼性を向上することができる。
従来のように保護膜をスパッタリング法等により形成する場合、メタルマスクを用いたり、リフトオフ用レジストを塗布したりして、ワイヤボンディングするパッド部分に保護膜が形成されないようにする必要がある。メタルマスクを用いたり、リフトオフ用レジストを塗布したりすると、ある程度以上の寸法が必要となるため、小型化には限界がある。上記方法によれば、メタルマスクやリフトオフ用レジストを用いずに、小型化を図ることができる。さらに、メタルマスクやリフトオフ用レジストを用いないので、保護膜形成工程が簡単になる。
好ましくは、前記第4の工程は、加熱オーブン中で行う。前記第3の工程において塗布する前記第1のシリコーン系樹脂の量は、前記第4の工程において前記加熱オーブン中に蒸発した前記シロキサンの濃度が飽和するように、制御する。
この場合、第2のシリコーン系樹脂の厚さを一定以上に保ち、電気特性(中心周波数、挿入損失)のバラツキを低減できる。
より好ましくは、前記第3の工程において塗布する前記第1のシリコーン系樹脂の量は、前記第4の工程において前記加熱オーブン中の前記第1のシリコーン系樹脂が10g/m以上になるように制御する。
本発明の弾性表面波装置及びその製造方法は、チップに保護膜を設けても、ワイヤボンディングの信頼性を確保しつつチップの小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態として実施例を、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、SAWフィルタ10は、大略、パッケージ20にSAWチップ11がマウントされ、ワイヤボンディングされている。ワイヤボンディング部には、シリコーン系樹脂40を塗布し、加熱硬化する。この硬化時に、シリコーン系樹脂40から気化したシロキサンが圧電薄膜16上に凝集・堆積し、圧電薄膜16がシロキサン薄膜で保護されるようにする。
SAWチップ11は、ガラス基板12上に、Alの電極膜が形成されている。電極膜は、振動伝搬方向に配置された2つのIDT14,15と、IDT14,15の間とその両側とに略H字状に延在するアース配線13と、パッド13a,13b,14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15tと、IDT14,15とパッド14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15tとの間を接続する配線とを含む。電極膜の上には、パッド13a,13b,14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15tの部分を除いて、ZnOの圧電薄膜16が形成されている。圧電薄膜16の上には、IDT14,15の外側に、ダンピング材17,18が形成されている。
パッケージ20は、樹脂の本体に金属の端子21〜25がモールド成形され、中央に収納空間28が形成されている。この収納空間28に、端子21〜25の端部に形成されたランド21a〜25aと端子23の端部に形成されたダイ・アタッチ23bが露出する。ダイ・アタッチ23bにSAWチップ11が接着される。
SAWチップ11は、パッケージ20の収納空間28に配置され、SAWチップ11のパッド13a,14a,14s,15a,15sと、パッケージ20のランド21a〜25aとの間が、それぞれ、Auワイヤ30を用いたワイヤボンディングによって、電気的に接続される。なお、SAWチップ11の他のパッド13b,14b,14t,15b,15tは、製造工程の途中で試験を行うためコンタクトピンを接触する部分である。
パッド13a,14a,14s,15a,15sのワイヤボンディング接合部を覆って保護・補強するため、鎖線で示したようにシリコーン系樹脂40が塗布される。
シリコーン系樹脂40を硬化させるため、図2に示すように、オーブン50にSAWフィルタ10を入れて密閉し、ヒータ52で加熱する。このとき、シリコーン系樹脂40の成分であるシロキサン42が蒸発し、SAWチップ11の表面に付着する。これにより、SAWチップ11の圧電薄膜16はシロキサンPVD保護膜で完全に覆われる。ワイヤボンディングパッド接合部はシリコーン系樹脂40で覆われているので、信頼性の高い接合状態が維持されたままとなる。
シリコーン系樹脂40の硬化条件は、例えば150℃、2時間である。シリコーン系樹脂の硬化時にシリコーン系樹脂40の成分であるシロキサン42が蒸発し、150℃でオーブン内のシロキサン濃度がもっとも高くなり、蒸発と共にSAWチップ11の表面への付着も起こる。シリコーン系樹脂40を硬化させた後、オーブン50内の温度を下げると、飽和蒸気圧が小さくなるのに伴って、さらにシロキサン42がSAWチップ11の表面に付着する。
図3は、オーブン50に入れたSAWフィルタ10のシリコーン系樹脂40の量と、圧電薄膜16の上に形成されたシリコーン系樹脂膜(保護膜)の厚さとの関係を示すグラフである。オーブン50内のシリコーン系樹脂40が1g/mの場合、保護膜の厚さばらつきが大きいが、10g/m以上では、約20nmの一定の厚さになる。これは、オーブン50内のシロキサン濃度が飽和するためである。
次に、SAWフィルタ10の製造手順について、図4を参照しながら説明する。
まず、ガラス基板12のウエハを洗浄し(S10)、ウエハ全面に、Alをスパッタリングする。次に、レジストを塗布してパターニング後、エッチングでAlを除去する。そして、フォトレジストを除去して、IDT14,15、パッド13a,13b、14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15t、その他の配線を含む電極膜を形成する(S12)。
次に、ZnO薄膜をウエハ全面にスパッタリングにて形成した後、IDT14,15の部分を覆い、パッド13a,13b,14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15tの部分は覆わないようにレジストを形成し、レジストで覆われていない部分をウエットエッチングで除去する。これにより、IDT14,15上がZnOの圧電薄膜16で覆われるとともに、パッド13a,13b,14a,14b,14s,14t,15a,15b,15s,15tには圧電薄膜16が残らない(S14)。
次に、圧電薄膜16の長手方向の膜端を覆うようにダンピング材17,18を印刷する(S16)。このようにしてできたウエハをダイシングによりチップ11に分割し(S18)、チップ11をパッケージ20にダイボンドし(S20)、パッケージ20のランド21a〜25aとチップ11のパッド13a,14a,14s,15a,15sをAuワイヤ30でワイヤボンディングし(S22)、そのワイヤボンディング部上に、シリコーン系樹脂40をスプレーして覆う(S24)。
次に、密閉したオーブン50中で加熱し、シリコーン系樹脂40を硬化させる。このとき、シリコーン系樹脂40から発生したシロキサンが付着し、圧電薄膜16はシロキサンPVD保護膜で完全に覆われる(S26)。
次に、パッケージ20を封止する(S28)。複数のパッケージ20が接続された状態で作製する場合には、個々のパッケージ20を分割する。
以上に説明したように、SAWフィルタ10は、SAWチップ11の圧電薄膜16をシロキサンの保護膜で完全に覆い、圧電薄膜16の腐食を防止することができる。シロキサンは表面の凹凸に対する追従性がよく、SiOのスパッタリング膜と比較して薄い膜厚でも、同等の信頼性向上を図ることができる。また、SiOのスパッタリング膜と比較して薄い膜厚でよいため、保護膜形成による特性のばらつきが小さくなり、歩留まりが向上する。
また、ワイヤボンディング後にシリコーン系樹脂40で覆うことにより、ワイヤボンディング部の汚染を最小にし、高温環境下でAl・Au接合部に及ぼす影響を軽減でき、接合強度を維持できるので、信頼性の高い電気的接続を確保することができる。さらに、ワイヤボンディングするパッド13a,14a,14s,15a,15s上には、Auワイヤ30を接合する時に障害となるものが存在しないので、良好な実装性を確保できる。
さらに、従来は必要であったリフトオフ用レジスト形成、SiO等の成膜が不要であるため、生産期間の短縮と生産コストの削減が可能である。
従来、スパッタリフトオフのためにメタルマスクが使用されていたが、メタルマスクを使用する場合、強度確保のためメタルマスクの開口部をある程度以上離して設ける必要があり、チップサイズやウエハ上のチップ間隔を小さくすることが制約される。SAWフィルタ10は、メタルマスクを使用せずに作製できるので、そのような制約がない。したがって、SAWフィルタ10は、ウエハ1枚あたりのチップ個数を増やすことが可能になり、コストダウンを図ることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施可能である。
実施例でガラス基板に圧電薄膜を形成した基板を用いたが、水晶、LiNbO、LiTaOなどの圧電単結晶基板を用いた場合にも、本発明を適用することができる。
使用するシリコーン系樹脂40の種類によって、圧電薄膜16上に形成される保護膜の成分や厚さが変わるが、その場合でも、保護膜の厚さは100nm未満である。
SAWフィルタの構成図である。 加熱工程の説明図である。 シリコーン樹脂と保護膜の厚さの関係を示すグラフである。 SAWフィルタの製造工程のフローチャートである。
符号の説明
10 SAWフィルタ
11 SAWチップ
20 パッケージ
30 ワイヤ
40 シリコーン系樹脂(第1のシリコーン系樹脂)
50 オーブン(加熱オーブン)

Claims (4)

  1. 基板と、前記基板上に形成されたIDTと、前記IDTに接続されたパッドと、を有するSAWチップと、
    ランドを有するパッケージと、
    前記SAWチップの前記パッドと前記パッケージの前記ランドとを接続するボンディングワイヤと、
    前記パッドと前記ボンディングワイヤとの接続部分に塗布されて硬化した第1のシリコーン系樹脂と、
    前記第1のシリコーン系樹脂が硬化する際に前記SAWチップ表面に形成された厚さ100nm未満の第2のシリコーン系樹脂とを備えることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 基板と、前記基板上に形成されたIDTと、前記IDTに接続されたパッドとを有するSAWチップを、ランドを有するパッケージに収納した弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記SAWチップを前記パッケージにマウントする第1の工程と、
    前記SAWチップの前記パッドと前記パッケージの前記ランドとの間を、ボンディングワイヤを用いてワイヤボンディングする第2の工程と、
    前記パッドと前記ボンディングワイヤとの接続部分に第1のシリコーン系樹脂を塗布する第3の工程と、
    前記第1のシリコーン系樹脂を加熱して硬化させるとともに、このときに前記第1のシリコーン系樹脂から発生するシロキサンを前記SAWチップに付着させて、前記SAWチップ表面に第2のシリコーン系樹脂を形成する第4の工程とを含むことを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法。
  3. 前記第4の工程は、加熱オーブン中で行い、
    前記第3の工程において塗布する前記第1のシリコーン系樹脂の量は、前記第4の工程において前記加熱オーブン中に蒸発した前記シロキサンの濃度が飽和するように、制御することを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記第3の工程において塗布する前記第1のシリコーン系樹脂の量は、前記第4の工程において前記加熱オーブン中の前記第1のシリコーン系樹脂が10g/m以上になるように制御することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
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