JP2006032461A - 静電吸着装置および電子源製造装置 - Google Patents

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一弘 大木
Shigeto Kamata
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Abstract

【課題】電子源形成用の、大型のガラス基板を単体で吸着可能な大型の構成でありながら、電子源形成における高温プロセス時においてもガラス基板の均熱性を確保することのできる静電吸着装置を提供する。
【解決手段】静電吸着装置は、基材と、基材上に溶射法により設けられたセラミック製の絶縁層と、絶縁層上に設けられた電極層と、電極層を被覆するように設けられ、ガラス基板が載置されるセラミック製の誘電体層4とを有している。誘電体層4は、頂上面7が、ガラス基板を載置した時にガラス基板に接触する接触面となる凸部8が所定のパターンで配置されたエンボス形状部を有している。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子源の製造に用いられる装置、特にその静電吸着装置に関する。
近年、大型かつ薄型の画像表示装置の供給が進んできている。このような画像表示装置に用いる電子源を製造するに当たっては、電子源が形成される大型のガラス基板を被加工物とした加工処理を行う必要がある。通常、被加工物に加工処理を行う際には、それを吸着保持する必要があり、大型のガラス基板を吸着保持するために、吸着装置にも大型化が求められている。
しかし、Al23、AlNなどのセラミックス製の従来の静電吸着装置の場合、製造装置などの問題から、大型の吸着装置を製造するのは困難であった。そのため、1つのガラス基板を保持するのに、複数の静電吸着装置を使用する手法が採られる場合があったが、この場合、電子源の製造プロセスに悪影響を及ぼすという問題があった。
これに対して、特許文献1に開示されているように、アルミニウムなどからなる基材上に、絶縁層、電極層、および誘電体層などを溶射や蒸着により形成する方法を用いることにより、大型の静電吸着装置を得ることが可能である。
特開昭59−152636号公報
近年、画像表示装置に用いられる電子源の製造においては、その製造プロセスの多様化に伴い、過酷なプロセス条件が必要とされるようになってきており、特に高温条件下での処理が必要な場合もでてきている。そのため、電子源の製造プロセスにおける高温条件下での処理時に、被加工物であるガラス基板に熱による悪影響が生じないようにするなどの目的で、ガラス基板の均熱性を保つことが非常に重要な課題になりつつある。これに対して、特許文献1に記載されたような従来の静電吸着装置を電子源の製造に用いた場合、高温プロセス時にガラス基板の均熱性を確保するのは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、大型化してきている電子源形成用のガラス基板を単体の吸着装置で吸着可能であり、かつ、電子源製造における高温プロセス時においてもガラス基板の均熱性を確保することのできる静電吸着装置、およびそれを備える電子源製造装置を提供することを目的とするものである。
上述の目的を達成するため、本発明の静電吸着装置は、電子源形成用のガラス基板が載置され、ガラス基板を吸着保持する静電吸着装置において、基材と、基材上に溶射法により設けられたセラミック製の絶縁層と、絶縁層上に設けられた電極層と、電極層を被覆するように設けられ、ガラス基板が載置されるセラミック製の誘電体層とを有し、頂上面が、ガラス基板を載置した時にガラス基板に接触する接触面となる凸部が所定のパターンで配置されたエンボス形状部が誘電体層に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、静電吸着装置を、電子源形成用の、大型のガラス基板を単体で保持可能な大型の構成とすることができ、なおかつ、静電吸着装置の、ガラス基板との接触面を制限し、電子源の製造工程におけるガラス基板の均熱性を向上させることができる。
本発明によれば、電子源形成用の、大型のガラス基板を単体で保持可能な大型の構成を有し、かつ、電子源の製造工程におけるガラス基板の均熱性を向上させることができる静電吸着装置を提供することができる。それによって、電子源における電子放出素子の特性の再現性、複数の電子放出素子を形成する際の、各電子放出素子間における電子放出素子の均一性に優れた電子源の製造を可能とすることができる。
本発明の電子源製造装置の一実施形態について以下に述べる。
図1、図2は、本実施形態の電子源製造装置を示しており、図1は断面図、図2は、図1における電子源形成用のガラス基板付近の部分を示す斜視図である。
図1に示すように、この製造装置は、支持体11に保持された静電吸着装置41を有している。静電吸着装置41は、その上に置かれた被加工処理物である、電子源形成用のガラス基板10を吸着して保持する働きをする。支持体11内には、必要に応じて、静電吸着装置41を介してガラス基板10を加熱するためのヒーター20が設けられている。
ガラス基板10には、図2に示すように、互いに平行に延びる複数のX方向配線37と、X方向配線37に直交する方向に、互いに平行に延びる複数のY方向配線38が形成されている。X方向配線37とY方向配線38の各交差部には、電子放出素子に加工される導電体36が配置されている。各X方向配線37と各Y方向配線38には、導電体36に電気的処理を施すための電源および電流制御系を有する駆動ドライバー32が、TAB配線やプローブなどの配線31を介して接続されている。
静電吸着装置41上に保持されたガラス基板10上には、一面に開口が形成され、この開口の縁部分でガラス基板10と当接する真空容器12が配置されている。真空容器12は、ガラスやステンレス製の容器であり、容器からの放出ガスの少ない材料からなるものが好ましく、また、容器内の圧力を、少なくとも、1.33×10-1Pa(1×10-3Torr)から大気圧の範囲で変化させても耐えられる構造を有している。後述するように、本実施形態の製造装置では、真空容器12は、導電体36を所定のガス雰囲気に曝した状態で加工処理を行うのに用いられている。そのために、真空容器12は、ガラス基板10の、導電体36が形成された領域を覆うことができる大きさになっており、取り出し配線30が形成された領域でガラス基板10に当接している。このように、本実施形態では、真空容器12を、導電体36の形成部のみを覆う構成とすることによって、全体を覆う構成とするのに比べて装置を小型化することが可能となっている。また、ガラス基板10の取り出し配線30が真空容器12外まで延びているため、駆動ドライバー32との電気電気的接続を容易に行うことが可能になっている。
真空容器12とガラス基板10の当接部には、真空容器12内の気密性を向上させるためにシール部材18が配置されている。シール部材18としては、Oリングやゴム性シートなどが用いられる。
真空容器12は排気口16を有しており、排気口16には、バルブ25fが設けられた配管を介して真空ポンプ26が接続されている。本実施形態において、真空ポンプ26としては、ドライポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクロールポンプなどの低真空用ポンプを用いることができ、オイルフリーポンプであるのが好ましい。排気口16付近には、真空計27が取り付けられている。
また、真空容器12は、加工処理に用いる気体の導入口15を有しており、導入口15には、還元性を有する水素ガス、または有機物質ガス用のボンベ21とキャリアガス用のボンベ22が配管28を介して接続されている。配管28は、ボンベ21,22からそれぞれ延び、途中で合流した後、導入口15に繋がっており、水素ガスまたは有機物質ガスとキャリアガスの混合ガスが真空容器12内に導入される。各ボンベ21,22の出口、合流部の手前、および、合流後、導入口15に繋がる前の位置には、バルブ25a〜25eがそれぞれ設けられている。各ボンベ21,22の出口には、マスフローコントローラおよび電磁弁などから構成されるガス流量制御装置24a,24bが設けられており、これらによって、真空容器12内に導入される水素ガスまたは有機ガスとキャリアガスの各流量、および両者の混合比を制御することができる。また、各ボンベ21,22の出口には、シリカゲル、モレキュラーシーブ、水酸化マグネシウムなどの吸湿材を用いた水分除去フィルター23a,23bを設けて、導入ガス中の水分を除去するのが好ましい。また、図示していないが、配管28の周囲には、ガス温度を調節するためのヒーターを必要に応じて設けることができる。
真空容器12内には、ガラス基板10との間に拡散板19を設けるのが好ましい。拡散板19は、ガラス基板10の処理面全体に亘る領域に分散して形成された複数の開口部33を有しており、導入口15から導入された混合ガスを、ガラス基板10の処理面全体に均一に分散させる働きをする。それによって、ガラス基板10に形成される電子放出素子の均一性を向上させることができる。また、このように混合ガスの、ガラス基板10上での均一性を確保するために、排気口16の、真空容器12内への接続部は、図示するように、真空容器12の中心に対して対称に設けるのが好ましい。
この製造装置によって、導電体36を電子放出素子とする処理を実行することができる。この処理では、水素ガスまたは有機物質ガスが、ガス流量制御装置24a,24bによってキャリアガスと所定の割合で混合されて真空容器12内に導入される。真空容器12に導入された混合ガスは、排気口16を通じて、真空ポンプ26によって一定の排気速度で排気され、それによって、真空容器12内の混合ガスの圧力が一定に保持される。そして、このようにして準備された水素ガスまたは有機物質ガス雰囲気下で、駆動ドライバー32によって導電体36に通電処理を施す。このようにして、水素ガス雰囲気下での通電処理によって導電体36に亀裂などの高抵抗部が形成され、または、有機物質ガス雰囲気下での通電処理によって、亀裂などの高抵抗部が形成された導電体36が活性化されて電子放出部が形成される。このような処理の際、ヒーター20によってガラス基板10を所定の温度に加熱することができ、その際、導入する混合ガスも、ガラス基板10の温度と同等に調節するのが好ましい。
次に、静電吸着装置41の構成を、図3,4を用いて説明する。図3は断面図、図4は、表面の微細構造を模式的に示す斜視図である。なお、図4に示す表面の凹凸は、以下に説明するように微細なものであるが、図1〜3には、分かりやすくするために、この凹凸を拡大して示している。
図3に示すように、静電吸着装置41は、基材1と、この基材1の上面に溶射により形成された絶縁層2と、この絶縁層2上に溶射により形成された電極層3と、この電極層3を被覆するように絶縁層2上に溶射により形成された誘電体層4とを有している。このような構成によって、ディスプレー作製用の大型のガラス基板10であっても、それを単体で吸着保持することが可能な大型の静電吸着装置41を構成することができる。このように、ガラス基板10を単体で保持可能な構成とすることは、電子源の製造工程におけるガラス基板10の均熱性を確保する上でも有効である。
また、静電吸着装置41には、所定の位置に、基材1を貫通して電極層3に接続された給電ピン5が設けられている。給電ピン5と基材1の間には、両者の絶縁のための絶縁管6が設けられており、これら給電ピン5と絶縁管6によって給電端子が形成されている。この給電ピン5を介して電極層3に電荷を供給することによって、ガラス基板10との間に、それを保持するための静電力が発生する。
ガラス基板10の載置部9となる、静電吸着装置41の表面、すなわち誘電体層4の表面には、載置部9の全域に亘ってエンボス形状部が形成されている。このエンボス形状部とは、図4に示すように、頂上面7が平坦な凸部8が所定のパターンで配置され、かつ各凸部8の高さが揃えられた浮き彫り状の形状にされた部分を意味している。凸部8の高さは10μm〜100μm程度である。このようなエンボス形状部を有する載置部9上にガラス基板10が載置されるので、凸部8の平坦な頂上面7がガラス基板10と接触する接触面となる。
そして、このエンボス形状部は、載置部9の全面積に対して、頂上面7の総面積が占める面積の割合が20〜80%になる構成を有している。すなわち、本発明者らの検討によれば、ガラス基板10の均熱性を確保するためには、ガラス基板10の底面に対して、ガラス基板10と誘電体層4の接触面の占める面積の比率は小さい方がよいが、接触面の占める面積の比率が20%未満の場合、ガラス基板10の平面度が得られにくくなる。また、接触面の占める面積の比率が80%を超えるとガラス基板10の均熱性を十分に確保するのが困難になる。そこで、接触面の占める面積の比率が20〜80%となるようにすれば、大型のガラス基板10を吸着保持して平坦に保ちつつ、高温プロセス時においてもガラス基板10の均熱性を確保することができる。
したがって、このような本実施形態の電子源製造装置によれば、電子放出特性の再現性に優れた電子源を製造可能である。また、複数の電子放出素子を備える電子源を製造する場合、これら複数の電子放出素子について電子放出特性の均一性に優れた電子源を製造することができる。
なお、エンボス形状部として、図4には、円柱状の凸部8を正方格子上に規則的に配置した構成を示しているが、エンボス形状部はこのようなパターンに限られることはない。例えば、エンボス形状部は、角柱状の凸部からなるものであってもよいし、載置部9を横切って延びる長尺な平面形状の凸部を平行に並べた構成であってもよい。また、凸部の側面は、図4に示す例のように、載置部9の表面に垂直に延びている必要はなく、傾斜していても構わない。また、凸部は、連続的な平面パターンを有していてもよいが、ガラス基板10の均熱性を確保する上では、図4に示す例のように、複数の部分からなる不連続な平面パターンとするのが好ましい。また、ガラス基板10を平坦な状態で支持するため、凸部は、載置部9全体に渡ってほぼ均一に配置されているのが好ましい。また、凸部の接触面の面方向の大きさについては、例えば、図4の例のように円形の接触面が別個に形成される構成であれば、各円の径がφ1.5μm〜φ10μm程度、長尺形状であれば、幅が1.5mm〜10mm程度であるのが好ましい。
また、従来、溶射法により基材上に表層構造を形成した構成の静電吸着装置では、基材にはアルミニウムなどが用いられており、高温雰囲気下で使用した場合、基材と該基材上に溶射により形成された層とが、熱膨張差のために剥離しがちであるという課題があった。そこで、本実施形態においては、基材1の、20〜200℃における平均の熱膨張係数と、その上部に設けられる絶縁層2、誘電体層4といった各層の20〜200℃における平均の熱膨張係数との差を、2×10-6/℃以下とすることが好ましい。こうすることで、高温(〜350℃)で使用する場合であっても、各層間で熱膨張差のために剥離が発生するのを低減することができる。
さらに、本実施形態では、給電端子の20〜200℃における平均の熱膨張係数と、基材の20〜200℃における平均の熱膨張係数との差を2×10-6/℃以下とすることが好ましい。こうすることで、高温(〜350℃)で使用した際に、給電端子を構成する材質と基材との熱膨張差のために、給電ピン5が電極層3や誘電体層4を突き上げるなどしてクラックなどの悪影響が生じるのを抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、静電吸着装置41の誘電体層4とガラス基板10との接触面の表面粗さRaを0.8μm以下とすることが好ましく、それによって、高い静電吸着力を得ることができる。表面粗さRaが大きく、特に1.0μmを超えると静電吸着力の低下が見られ、接触面の表面粗さは、少なくとも1.0μm以下とするのが好ましい。
次に、本実施形態の静電吸着装置の製造方法を説明する。
まず基材1となる材料を用意する。基材1上にセラミック製の絶縁層2とセラミック製の誘電体層4を溶射法などにより形成するため、基材1の材料は、これらのセラミック層との熱膨張差を考慮して選定するのが好ましい。このような基材1の材料としては、インバーやコバルト合金などの低熱膨張合金、あるいは金属−セラミックス複合材料(MMC)などを、基材1上に設ける各層の熱膨張係数を考慮して適宜選択するのが好ましい。
次に、基材1に、その上部に形成される電極層3への給電を目的とした給電端子を接着する。給電端子としては、基材1と、さらに好ましくはその上部に形成される各層とも熱膨張係数が近くなるように、給電ピン5として低熱膨張合金、MMCなどを用い、これに酸化アルミニウムなどを溶射して絶縁管6を形成したものや、給電ピン5をマシナブルセラミックスなどからなる絶縁管6に接着した構造のものなどを用いることが好ましい。この場合、給電ピン5および絶縁管6の、すなわち給電端子の20〜200℃の平均熱膨張係数と、基材1の20〜200℃の平均熱膨張係数との差を2×10-6/℃以下とすることが望ましい。こうすることで、高温時に給電ピンの構成部材の突き上げなどによって、基材1上の各層にクラックなどが発生するのを抑制することが可能となる。
次に、基材1表面を酸化アルミニウム、炭化ケイ素などのブラスト材料を用いて均一に粗面化すると共に、洗浄する。その後、基材1とその表面上に形成する各層の密着性を向上させるために、アンダーコートとして、ニッケル、アルミニウム、クロム、コバルト、モリブデンなどの金属の層、または夫々がこれらの金属からなる複数の層を溶射法によって形成する。その後、このアンダーコート層上にプラズマ溶射法などにより、酸化アルミニウムなどのセラミックスからなる絶縁層2を形成する。この際、アンダーコート層の形成は、必要に応じて適宜行えばよく、必ずしも必要なものではない。
次に、この絶縁層2へ封孔処理を施す。この封孔処理は、後工程での封孔処理と併せて行うことによって、絶縁層2への封孔処理剤の含浸を完全なものにするためのものである。この段階での封孔処理は、必要に応じて適宜行えばよく、必ずしも必要なものではない。
次に、絶縁層2上にプラズマ溶射法などによって電極層3を形成する。電極層3の材料には、ニッケル、タングステン、アルミニウムなどを好ましく使用できる。電極層3の厚さは30〜100μm程度とするのが好ましい。電極層3の厚さを30μm以上とすることによって、均一性に優れた電極層3を形成することが可能となり、それによって、吸着力にムラが生じるのを抑えることができる。電極層3の厚さを100μm以下とすることによって、電極層3と絶縁層2との間の段差を大きくなり過ぎないようにして、これら両層上に形成する誘電体層4の耐電圧特性を向上させることができる。
その後、電極層3と絶縁層2上に、プラズマ溶射法などによって酸化アルミニウム−5重量%酸化チタンなどのセラミックスからなる誘電体層4をさらに形成する。これによって、静電吸着装置41の主要構成部材の形成が完了する。
なお、上記の絶縁層2および誘電体層4の厚さは、100〜500μm程度が好ましい。これら両層の厚さを100μm以上とすることによって、耐電圧を高くし絶縁破壊が起こるのを抑えることができ、500μm以下とすることによって、電極層3および基材1との熱膨張差の影響を軽減して、熱衝撃による亀裂や破損を抑え、また、吸着力が低下するのも抑えることができる。
また、絶縁層2を形成するセラミックスの種類としては、酸化アルミニウムが最も一般的であるが、これに限定されるものではなく、基材1との熱膨張差などを考慮して、適切な種類のセラミックスを適宜選定することができる。また、誘電体層4を形成するセラミックスの種類としては、酸化アルミニウム−酸化チタン系のものが最も一般的であるが、これに限定されるものではなく、例えば、誘電率など、必要な特性に応じてセラミックスの種類を適宜選定することができる。
次に、溶射法によって形成された各層中のポアを埋める封孔処理を行う。封孔処理剤としては、シリカゾル、アルミナゾル、マグネシアゾルなどのコロイダル状のスラリー、あるいは、SiO2、Al23、TiO2などの金属アルコキシド系ポリマー、およびこれらのポリマーとマラミン、アクリル、フェノール、フッ素、シリコン、アクリル樹脂などの各種樹脂を含有するものを使用することができる。
次に、研削加工、ラップ処理を行い、誘電体層4表面を、表面粗さRaが1.0μm以下となるように加工する。その後、ブラスト処理を行い、載置部9に上記のエンボス形状部を形成する。その後、先程と同様の封孔処理を行う。
以上のような方法で静電吸着装置41を作製すれば、高温(〜350℃)で使用が可能であり、耐電圧特性が極めて優れ、被吸着物であるガラス基板10の均熱性を確保する性能にも優れ、さらには、熱膨張差により基材1上に設けられた各層に剥離が生じるのも抑えることができる静電吸着装置41が得られる。
以下、静電吸着装置の、本発明に対応した実施例と比較例とを挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
(1)基材の作製
強化材として#180(平均粒径66μm)の市販のSiC粉末70重量部と#500(平均粒径25μm)の市販のSiC粉末30重量部を用い、それにバインダーとしてコロイダルシリカ液を、そのシリカ固形分が2重量部となる量だけ添加し、それに消泡剤としてフォーマスタVL(サンノプコ社製)を0.2重量部、イオン交換水を24重量部加え、ポットミルで12時間混合した。こうして得られたスラリーをサイズ1008×680mm、厚さ40mmの成形体が得られるメッシュ付金型に流し込んでフィルタープレスし、それを脱型した後、1000℃で焼成してプリフォームを形成した。
得られたプリフォームとAl−12Si−3Mg−2Cu−3Ti組成のアルミニウム合金とを組み合わせ、その合金をプリフォーム中に窒素気流中で825℃の温度で60時間非加圧浸透させた後、冷却してSiC粉末の含有率が70体積%の金属−セラミックス複合材料を作製した(サイズ:1008×680×40mmt)。この金属−セラミックス複合材料を基材1として使用した。
(2)給電端子の接着
この基材に、後工程で基材1上に形成される電極層3に給電を行うための給電端子を接着する。この給電端子としては、基材1に用いた金属−セラミックス複合材料との熱膨張差を考慮して、ニレジストD−5(低熱膨張合金)などからなる給電ピン5とマシナブルセラミックス(ホトベールL)製の絶縁管6を使用した。
(3)絶縁層の形成
基材1表面を、絶縁層2との密着力を向上させるために、表面粗さが、Rmaxで見て5μm以上になるまでブラスト処理した後、その上面に、絶縁層2として、プラズマ溶射によって酸化アルミニウム層を400μmの厚さに形成した。
(4)絶縁層封孔処理
次に、基材1上に形成された絶縁層2に対して、大気中でSiO2系の金属アルコキシドを用いて封孔処理を施した。
(5)電極層、誘電体層の形成
次に、電極層3として、Niを50μmの厚さにプラズマ溶射した後、この上面に、誘電体層4として、プラズマ溶射により酸化アルミニウム−5重量%酸化チタン層を500μmの厚さに形成した。
(6)封孔処理と研削、ラップ、ブラスト処理
次に、(4)と同様の方法でSiO2系の金属アルコキシドを用いて封孔処理を行った後、平面研削盤を用いてトップ層を厚みが370μmになるまで研削加工し、その後ラップ処理を行い、トップ層を厚みが350μmでかつ表面粗さRaが0.5μmとなるように加工した。その後、この静電吸着装置41の表面をブラスト加工して、被吸着物であるガラス基板10との接触面積が載置部9の全面積の70%となるエンボス形状部を形成した。このエンボス形状部は、50μm程の高さで、直径4.7mmの円形状の接触面を上面として有する凸部が、正方格子上に並んだ、図4に示すような構成のものとした。
(7)封孔処理
その後、(4)と同様の方法でSiO2系の金属アルコキシドを用いて封孔処理を行い、実施例の静電吸着装置41を完成させた。
(比較例1)
基材としてアルミニウム(5052)を用いた他は、実施例と同様の方法で静電吸着装置を作製した。
(比較例2)
給電ピンの材質をアルミニウム(5052)とした他は、実施例と同様の方法で静電吸着装置を作製した。
(比較例3)
エンボス形状部を、載置部における、ガラス基板10と接触する接触面が占める面積の割合が90%となるような構成とした他は、実施例と同様の方法で静電吸着装置を作製した。
(比較例4)
静電吸着装置の表面粗さRaを1.5μmとした他は、実施例と同様の方法で静電吸着装置を作製した(表面の加工は、研削加工)。
(比較例5)
エンボス形状部を、載置部における、ガラス基板10と接触する接触面が占める面積の割合が10%となるような構成とした他は、実施例と同様の方法で静電吸着装置を作製した。
(評価)
評価は、耐電圧性と、載置したガラス基板10の均熱性、吸着力について行った。結果を表1に示す。
Figure 2006032461
耐電圧性については、実施例と比較例1〜5で作製した各静電吸着装置について、室温と350℃との間で温度を変化させる温度サイクル試験を行い、試験前後に耐電圧試験を行うことによって評価した。耐電圧試験は、静電吸着装置表面にガラス基板10を設置し、3000Vの電圧を印加して行った。表1において、○は耐電圧試験を行っても変化のなかったことを示しており、×は耐電圧試験を行った結果、絶縁破壊が発生したことを示している。
また、静電吸着装置に吸着させた状態のガラス基板10の均熱性、および静電吸着装置の吸着力の評価は、上記の温度サイクル試験を行った後に以下のように行った。
均熱性の評価は、静電吸着装置上面にガラス基板10を設置し、静電吸着装置下部をヒーターで加熱し、この際のガラス基板10の温度分布をサーモグラフィーで観察することによって行った。表1では、100℃設定での加熱時の温度分布が10℃以内を○、10℃を超えるものを×としている。
吸着力の評価は、静電吸着装置を真空チャンバー試験装置中に設置し、真空下で静電吸着装置を引っ張る方法によって行った。表1では、印加電圧:1000Vにおける吸着力が1000g/cm2以上のものを○、それ以下のものを×としている。
本発明の一実施形態の、電子源の製造装置を示す模式的断面図である。 図1の製造装置におけるガラス基板付近の部分の斜視図である。 図2の静電吸着装置の模式的断面図である。 図3の静電吸着装置の載置部の微細形状を示す斜視図である。
符号の説明
1 基材
2 絶縁層
3 電極層
4 誘電体層
8 凸部
10 ガラス基板
41 静電吸着装置

Claims (6)

  1. 電子源形成用のガラス基板が載置され、該ガラス基板を吸着保持する静電吸着装置において、
    基材と、該基材上に溶射法により設けられたセラミック製の絶縁層と、該絶縁層上に設けられた電極層と、該電極層を被覆するように設けられ、前記ガラス基板が載置されるセラミック製の誘電体層とを有し、
    前記誘電体層は、頂上面が、前記ガラス基板を載置した時に該ガラス基板に接触する接触面となる凸部が所定のパターンで配置されたエンボス形状部を有していることを特徴とする静電吸着装置。
  2. 前記エンボス形状部は、前記ガラス基板の載置部の全面積に対して、前記凸部の頂上面の総面積が占める割合が20〜80%の範囲内となるパターンを有している、請求項1に記載の静電吸着装置。
  3. 前記基材の20〜200℃における平均の熱膨張係数と、前記絶縁層と前記誘電体層の、20〜200℃における平均の熱膨張係数との差が2×10-6/℃以下である、請求項1または2に記載の静電吸着装置。
  4. 前記電極層への給電用の給電端子をさらに有し、該給電端子の20〜200℃における平均の熱膨張係数と、前記基材の20〜200℃における平均の熱膨張係数との差が2×10-6/℃以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の静電吸着装置。
  5. 前記誘電体層の、前記ガラス基板との接触面の表面粗さRaが1.0μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の静電吸着装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の静電吸着装置と、該静電吸着装置上に載置された前記ガラス基板を加熱するヒーターとを有する電子源製造装置。
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