JP2006032151A - 燃料電池の排出ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料電池1のアノード3から排出されるアノードオフガスを希釈室51に導入し、この希釈室51内のアノードオフガスを、燃料電池1のカソード4から排出されるカソードオフガスと混合して希釈し排出する燃料電池1の排出ガス処理装置50において、燃料電池1のカソード4にカソードガスを供給するカソードガス供給路8と希釈室51とがバイパス弁5を有するバイパス路6で接続され、バイパス弁5は通常は閉じており、所定の開始条件により開閉動作を複数回繰り返すように制御される。
【選択図】 図1
Description
この燃料電池では、発電に伴ってカソード側で水が生成され、この生成水の一部は固体高分子電解質膜を透過してアノード側にも浸入する。また、カソードに供給された空気中の窒素は微量ながら固体高分子電解質膜をアノード側に透過して水素ガスに混入する。アノード側におけるこれら水分や窒素等の不純物は、燃料電池の発電を不安定にする虞がある。
そこで、この種の燃料電池では、アノードオフガスが循環するアノードオフガス循環路から定期的に排出弁を開放して前記不純物を含むアノードオフガスを排出し、アノードオフガス中の不純物濃度を低減させている。
この排出ガス処理装置としては、アノードオフガスをアノードオフガス導入管を介して希釈室に導入可能にし、また、希釈室にカソードオフガス管を貫通させるとともに、希釈室内におけるカソードオフガス管にガス排出孔を設けて構成されたものが知られている。
ところで、この種の排出ガス処理装置においては、発電停止中は燃料電池からカソードオフガスが排出されないので、発電停止中に希釈室内に滞留するアノードオフガスが自然拡散して希釈室よりも上流に逆流しないようにする必要がある。
また、特許文献2に開示された排出ガス処理装置のように発電停止後に燃料電池へのカソードガスの供給を継続するだけで希釈室内に滞留するアノードオフガスを希釈し排出する方法では、処理時間が長くかかる。また、ファンやエゼクタを搭載するために弁装置の重量が大きくなるため排出ガス処理装置の重量が大となり、車載性が低下するという問題がある。
そこで、この発明は、軽量にでき、処理時間が短く、制御も簡単な排出ガス処理装置を提供するものである。
このように構成することにより、所定の開始条件が整ったときに、バイパス路を介して希釈室にカソードガスを導入して希釈室内のアノードオフガスを迅速に排出することができるので、アノードオフガスを希釈ガスで希釈することができる。また、バイパス弁は単なる開閉弁で済み、このバイパス弁の開閉制御だけで希釈室に導入されるカソードガスの流量を希釈に最適な流量に制御することができるので、制御が簡単になるとともに、装置の重量、大きさを低減させることができる。
このように構成することにより、所定の開始条件が整ったときに、バイパス路を介して希釈室にカソードガスを導入して希釈室内のアノードオフガスを迅速に排出することができるので、アノードオフガスを希釈ガスで希釈することができる。また、バイパス弁を開いている間、希釈室に導入されるカソードガスの流量を徐々に増大させることができるので、希釈室内のアノードオフガスが希釈されないまま吹き抜けて排出されるのを防止することができる。
このように構成することにより、バイパス弁を一定開度で開いた状態を保持しながら、希釈室に導入されるカソードガスの流量を徐々に増大させることができるので、バイパス弁は単なる開閉弁で済む。また、バイパス弁の制御が開閉制御で済み、装置の重量、大きさを低減させることができる。
このように構成することにより、排出ガスの水素濃度を所定値以下に抑制しつつ、希釈処理を迅速に行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、バイパス弁は単なる開閉弁で済み、バイパス弁の制御が開閉制御で済み、装置の重量、大きさを低減させることができる。その結果、排出ガス処理装置の軽量化が可能で、車載性も向上する。
図1は、この発明に係る排出ガス処理装置50を備えた燃料電池システムの概略構成図であり、この実施例では燃料電池車両に搭載されている。
燃料電池1は、反応ガスを電気化学反応させて電力を得るタイプのもので、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2をアノード3とカソード4とで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されており(図1では単セルのみを示す)、アノード3に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード4に酸化剤ガスとして酸素を含む空気を供給すると、アノード3で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2を通過してカソード4まで移動して、カソード4で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。
燃料電池1の発電で得られた電力は車両駆動用モータ(図示略)などの負荷に供給される。カソード側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜2を透過してアノード側に逆拡散するため、アノード側にも生成水が存在する。
また、空気供給路8からは、バイパス弁5を備えたバイパス路6が分岐しており、このバイパス路6は希釈室51に接続されている。バイパス弁5の開閉は電子制御ユニット(以下、ECUと略す)40により制御され、通常は閉じていて、所定の条件が満たされたときに開くように制御される。
ECU40は、バイパス弁5の開閉を制御するだけでなく、コンプレッサ7の回転数、圧力制御弁10および流量制御弁23の開度、排出弁21の開閉を制御する。
そのため、この燃料電池システムでは、ECU40により、燃料電池システムが一定時間連続運転したと判断されたとき、あるいは、燃料電池1の発電の安定性が低下したと判断されたときに、不純物排出要求ありと判断して排出弁21を開き、不純物を含むアノードオフガスをアノードオフガス路18からアノードオフガス排出路22を介して希釈室51に排出し、燃料電池1のアノード3を流通する水素ガス中の不純物濃度を所定値以下となるように管理して、燃料電池1の発電を安定した状態に保持する。
そこで、この排出ガス処理装置50では、(1)発電停止から所定時間が経過するまでは、燃料電池1のカソード4への供給空気の供給を維持し、カソード4から排出される排出空気で希釈室51内に滞留するアノードオフガスを希釈して排出し、(2)発電停止から前記所定時間が経過した後は、バイパス弁5を開くことによりバイパス路6を介して希釈室51に供給空気を導入し、この供給空気で希釈室51内に滞留するアノードオフガスを希釈し排出するようにしている。
このようにすると、バイパス路6を介して希釈室51内に供給空気を導入して希釈室51内のアノードオフガスを排出することができるので、アノードオフガスを迅速に希釈し排出することができる。
[A]バイパス弁5の繰り返し開閉動作による流量制御方法
この方法では、バイパス弁5の開閉動作を繰り返し行うことにより、希釈室51への供給空気の平均供給流量を制御する。
[B]バイパス弁5の上流側空気圧力変化による流量制御方法
この方法では、バイパス弁5を一定開度(全開)で開状態に保持し、バイパス弁5よりも上流の空気圧力を徐々に上昇させることにより希釈室51への供給空気の流量を徐々に増大制御する。
以下、それぞれの制御方法について、図2、図3のタイムチャートを参照して説明する。
初めに、図2を参照して、バイパス弁5の繰り返し開閉動作による流量制御方法を説明する。
図中、「I/G off」はイグニッション・オフであり、燃料電池1の発電停止タイミングを示している。したがって、「I/G off」よりも以前は、燃料電池1は発電状態であり、アノード3には水素ガスが、カソード4には供給空気が、それぞれ供給されている。そして、ECU40は排出弁21を開き、アノードオフガス路18内に残留するアノードオフガスを希釈室51内に排出する。希釈室51にアノードオフガスが排出されると、希釈室51の直ぐ下流の混合ガス排出路30を流通する排出ガス中の水素濃度は、希釈室51にアノードオフガスが排出される以前より若干高くなる。ただし、予め設定した規定濃度を超えることはない。
バイパス弁5の開閉動作を一定周期で繰り返すことにより、希釈室51への供給空気の平均供給流量を、バイパス弁5を開状態に保持し続ける場合よりも減少させることができる。そして、1回の開弁時間と閉弁時間の設定の仕方によって供給空気の平均供給流量を変えることができ、希釈室51内のアノードオフガスを希釈するのに最適な流量に制御することができる。
つまり、バイパス弁5を開くと同時に大流量で希釈室51に供給空気を導入すると希釈室51内のアノードオフガスが希釈されずに混合ガス排出路30に押し出される現象、所謂吹き抜けが生じるが、この実施例のように供給空気の平均供給流量の最適制御を行うと、この吹き抜けを防止することができる。
なお、バイパス弁5の繰り返し開閉動作を実行する前に、既に希釈室51内のアノードオフガスの相当な量を排出させているので、バイパス弁5を開いた直後に希釈室51の直ぐ下流の混合ガス排出路30を流通する排出ガス中の水素濃度が上昇しても、予め設定した規定濃度を超えることはない。
そして、バイパス弁5を開状態に保持する制御を開始してから一定時間経過後に、コンプレッサ7を停止するとともにバイパス弁5を閉じて、発電停止時の排出ガス処理を終了する。
また、バイパス弁5が単なる開閉弁で済むので、開度制御によって流量を制御する流量制御弁に比して軽量にでき、排出ガス処理装置50の軽量化が可能で、車載性も向上する。
次に、図3を参照して、バイパス弁5の上流側空気圧力変化による流量制御方法を説明する。
図中、「I/G off」はイグニッション・オフであり、燃料電池1の発電停止タイミングを示している。したがって、「I/G off」よりも以前は、燃料電池1は発電状態であり、アノード3には水素ガスが、カソード4には供給空気が、それぞれ供給されていて、燃料電池1のカソード4に負荷される供給空気の圧力(以下、システム作動圧という)は発電状態に応じた圧力になっている。そして、ECU40は排出弁21を開き、アノードオフガス路18内に残留するアノードオフガスを希釈室51内に排出する。希釈室51にアノードオフガスが排出されると、希釈室51の直ぐ下流の混合ガス排出路30を流通する排出ガス中の水素濃度は、希釈室51にアノードオフガスが排出される以前より若干高くなる。ただし、予め設定した規定濃度を超えることはない。
圧力制御弁10の開度を徐々に連続的に閉じる方向に制御することにより、前記システム作動圧が徐々に連続的に上昇していき、その結果、バイパス路6を介して希釈室51に供給される供給空気流量が徐々に連続的に増大する。
つまり、バイパス弁5を開くと同時に大流量で希釈室51に供給空気を導入すると希釈室51内のアノードオフガスが希釈されずに混合ガス排出路30に押し出される現象、所謂吹き抜けが生じるが、この実施例のように供給空気の流量制御を行うと、この吹き抜けを防止することができる。
なお、バイパス弁5を開いて供給空気を希釈室51に導入する前、既に希釈室51内のアノードオフガスの相当な量を排出させているので、バイパス弁5を開いた直後に希釈室51の直ぐ下流の混合ガス排出路30を流通する排出ガス中の水素濃度が上昇しても、予め設定した規定濃度を超えることはない。
また、この場合も、バイパス弁5が単なる開閉弁で済むので、開度制御によって流量を制御する流量制御弁に比して軽量にでき、排出ガス処理装置50の軽量化が可能で、車載性も向上する。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、バイパス弁の開弁制御の開始条件を「燃料電池の発電停止から所定時間経過後」をとしたが、これに限るものではなく、「燃料電池の発電停止後」としてもよいし、燃料電池の発電中を含めて「アノードオフガスの排出終了後」あるいは「アノードオフガスの排出を終了してから所定時間経過後」としてもよい。さらには、この発明に係る制御を、I/G offの後だけではなく、燃料電池1の発電中に行ってもよい。
前述した実施例では、コンプレッサの回転数をI/G OFFと同時に回転数を上げていたが、必ずしも上げなくてもよい。また、希釈室6への分岐は、燃料電池1の下流側で行ってもよい。このようにすると、燃料電池1への酸化剤ガスの供給量が安定するため、燃料電池システムが安定し好ましい。
3 アノード
4 カソード
5 バイパス弁
6 バイパス路
8 空気供給路(カソードガス供給路)
9 空気排出路(カソードオフガス路)
10 圧力制御弁
50 排出ガス処理装置
51 希釈室
Claims (4)
- 燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを希釈室に導入し、この希釈室内のアノードオフガスを、前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスと混合して希釈し排出する燃料電池の排出ガス処理装置において、
前記燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス供給路と前記希釈室とがバイパス弁を有するバイパス路で接続され、前記バイパス弁は通常は閉じており、所定の開始条件により開閉動作を複数回繰り返すように制御されることを特徴とする燃料電池の排出ガス処理装置。 - 燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを希釈室に導入し、この希釈室内のアノードオフガスを、前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスと混合して希釈し排出する燃料電池の排出ガス処理装置において、
前記燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス供給路と前記希釈室とがバイパス弁を有するバイパス路で接続され、前記バイパス弁は通常は閉じており、所定の開始条件により開き、該バイパス弁を開いている間、前記バイパス路を流通するカソードガスの流量が徐々に増大制御されることを特徴とする燃料電池の排出ガス処理装置。 - 前記燃料電池のカソードからカソードオフガスを排出するカソードオフガス路に圧力制御弁を備え、前記圧力制御弁の開度を徐々に閉じる方向に制御することにより前記バイパス路を流通するカソードガスの流量を徐々に増大することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
- 前記開始条件は、「前記燃料電池の発電停止から所定時間経過後」であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
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