JP2006028697A - 食品用耐油紙 - Google Patents

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弘明 三鴨
Natsuki Terajima
夏樹 寺島
Taisuke Suehiro
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Abstract

【課題】 優れた耐油性を有し、耐油層が傷付きにくく、特に製函時の罫線部分での破損が起こらず耐油性を維持可能であって、耐油層のブロッキングも起こりにくく、モノマー等の溶出の恐れもなく、食品安全性が高い食品用耐油紙を得る。
【解決手段】 紙基材にアクリル系合成樹脂エマルジョンを塗工して耐油性合成樹脂層を形成した食品用耐油紙において、前記耐油性合成樹脂層が、紙基材表面に形成されたアンダーコート層と、表面層となるオーバーコート層を有し、前記アンダーコート層樹脂のガラス転移温度Tgが−30〜0℃、オーバーコート層樹脂のガラス転移温度Tgが0〜30℃である食品用耐油紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、菓子用カートン、ファーストフード容器等の素材として用いられる食品用耐油紙に関する。
従来、耐油紙は、洗剤、菓子、乾燥食品等の包装容器用素材として広く使用されていた。その用途としては様々なものがあるが、菓子等の食品用の箱、とりわけ油脂分を大量に含むチョコレート菓子等の箱としては、耐油性を付与した板紙が使用されている。
このような板紙に耐油性を付与する手段としては、優れた耐油性を有するフッ素樹脂系の耐油剤が使用されており、例えば、紙、板紙の表面にフッ素樹脂系耐油剤を塗工して耐油層を設けたクッキングシートまたは、紙層間にフッ素樹脂系耐油剤層を設けた菓子箱用の耐油板紙等が存在した。
しかし、フッ素樹脂系耐油剤を使用した紙は、100〜180℃の食品調理温度で加熱した場合、C8〜C10のフッ素系アルコール化合物等、長期に残留しやすい成分が発生することが確認されている。
また、これらフッ素樹脂系耐油剤を使用した紙を使用後焼却した際には、フッ化水素が発生する。現在、食品衛生法においてはフッ素系樹脂の規定はない。
しかし、これらのフッ素化合物は、健康または環境に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、フッ素樹脂系耐油剤を使用しない耐油紙が求められていた。
フッ素樹脂系耐油剤以外の方法で紙に耐油層を形成する方法としては、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を紙表面に溶融押出する方法、高密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン等のフィルムを紙に接着剤で貼合する方法が存在する。
しかし、フィルムによる樹脂層を設けた紙は、耐油性においては優れているが、使用後に古紙として再離解できないので、リサイクルが不可であるという問題があった。さらに、フィルム表面の濡れ指数が低いことから通常の紙器の製函で用いられる酢酸ビニルエマルジョン系接着剤を用いて接着することが難しい。フィルム表面にコロナ放電処理を行って濡れ指数を向上させて接着性を付与しても、濡れ指数は経時的に低下するために、接着トラブルが発生する恐れがあった。
また、耐油性を有し、かつリサイクル可能な耐油紙としては、合成樹脂エマルジョンを塗工して耐油層を設けたものが広く知られている。例えば特許文献1、特許文献2等である。
特開2001−303475号 特開2003−39610号
ところで、上記のような合成樹脂エマルジョン塗工によって耐油層を設けた耐油紙は、耐油層である樹脂被膜が傷付きやすいという問題があった。傷のない状態では優れた耐油性を発揮しても、箱として製函した場合、罫線部分(クリーズ)に樹脂被膜が罫割れが発生すると、その部分の耐油性が低下してしまう。
また、耐油紙同士で重ねた場合、耐油層と接触面との間でブロッキングが発生するという点でも問題があった。
さらに、近年消費者においては、健康問題への関心の高まりから、食品包装素材については、今までよりもさらに高い基準の安全性が要求されるようになってきたために、上述したフッ素樹脂系耐油剤だけではなく、合成樹脂エマルジョンについても、使用することが望ましくないとされる成分についてはさまざまな制限が生じてきた。
例えば、米国医薬品食品安全局(以下FDA)によっては、様々な規格が定められている。例えば、油脂分を含む食品に接する紙類についての規格(FDA STATUS:176.170,Components of paper and paperboard in contact with aqueous and fatty foods.)が存在し、食品を包装する紙容器としては、上記規格に適合した材質で設計することが望ましい。
また、近年、国際がん研究機関(以下IARC)によって、ヒトが曝露される化学物質の発ガン性について評価されている。
即ち、化学物質は、グループ1(ヒトに対して発ガン性がある)、グループ2A(ヒトに対して恐らく発ガン性がある)、グループ2B(ヒトに対して発ガン性がある可能性がある)、グループ3(ヒトに対する発ガン性については分類できない)、グループ4(ヒトに対して恐らく発ガン性がない)等のグループに分類されており、安全性の面から、グループ3及びグループ4に属する化学物質のみを使用することが、特に食品用途において求められている。
従って、食品用包装容器に使用する合成樹脂を製造する場合は、上記IARCのグループ3及び4の範囲で、FDAに適合するモノマーを使用して設計することことが求められている。
即ち、モノマーは、上記基準に基づいて、(A)使用可能のもの、(B)使用可能であるが、使用量に制限(全体の各5質量%以下)のあるもの、(C)使用不可のものに分類することが可能である。
具体的には、(A)としては、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が、(B)としては、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸n−ヘキシル、イタコン酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等が、(C)としては、スチレン、アクリル酸エチル、アクリルニトリル、アクリルアミド、ブタジエン等が存在する。
即ち、上記(A)に該当するモノマーと、各5質量%以下の(B)に該当するモノマーより構成され、かつ(C)に該当するモノマーを使用しない合成樹脂エマルジョンによる耐油層を形成し、該耐油層の罫線部分(クリーズ)に樹脂被膜が罫割れが発生せず、しかもブロッキングが発生しない食品用耐油紙が求められていた。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
即ち、本発明の第1は、紙基材にアクリル系合成樹脂エマルジョンを塗工して耐油性合成樹脂層を形成した食品用耐油紙において、前記耐油性合成樹脂層が、紙基材表面に形成されたアンダーコート層と、表面層となるオーバーコート層を有し、前記アンダーコート層樹脂のガラス転移温度(以下Tg)が−30〜0℃、オーバーコート層樹脂のガラス転移温度(以下Tg)が0〜30℃である食品用耐油紙である。
本発明の第2は、該アクリル系合成樹脂が、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸n−プロピルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマーの総和を全体の50質量%以上とし、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸n−ヘキシル、イタコン酸、及びメタクリル酸からなる群から選ばれた1種以上のモノマーが各1種について5質量%以下とし、アクリル酸2−エチルヘキシルを50質量%以下として重合させた重合体である本発明の第1に記載の食品用耐油紙である。
本発明の第3は、オーバーコート層を形成するアクリル系合成樹脂エマルジョンがコア・シェル型のエマルジョンであって、コア成分である重合体のガラス転移温度(以下Tg)が−60〜0℃、シェル成分である重合体のガラス転移温度(以下Tg)が50〜120℃である本発明の第2に記載の食品用耐油紙である。
本発明の第4は、該コア成分を構成する重合体が、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマー、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸グリシジルを共重合してなる重合体であり、該シェル成分を構成する重合体が、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれた1種以上のモノマー、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルを共重合してなる重合体である本発明の第3に記載の食品用耐油紙である。
本発明の第5は、該コア成分を構成する重合体のモノマー組成のうち、メタクリル酸グリシジルが全体の2〜5質量%であり、該シェル成分を構成する重合体のモノマー組成のうち、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれた1種以上のモノマーの総和が4〜10質量%である本発明の第4に記載の食品用耐油紙である。
本発明により、優れた耐油性を有し、耐油層が傷付きにくく、特に製函時の罫線部分での破損が起こらず耐油性を維持可能であって、耐油層のブロッキングも起こりにくく、モノマー等の溶出の恐れもなく、食品安全性が高い食品用耐油紙を得ることが可能となった。
本発明の耐油層はアンダーコート層樹脂のTgが−30〜0℃である。−30〜−10℃の範囲であることがさらに好適である。Tgが−30℃未満である場合には、樹脂層が軟らかすぎて十分な耐油性や耐熱性が得られないという不具合が発生する。また、0℃を越えた場合には樹脂層が硬すぎるため、製函時に罫線を設けた場合、その部分に破損が生じ、耐油性を発揮することができない。
また、本発明の耐油層のオーバーコート層樹脂のTgは0〜30℃である。0〜20℃の範囲がさらに好適である。Tgが0℃未満である場合には、樹脂層が軟らかすぎるため、摩擦等によって傷付きやすく、外観が低下するばかりか耐油性を発揮することができない。また、ブロッキング等のという不具合が発生する。また、30℃を越えた場合には、樹脂層が硬すぎるので、製函時の罫線割れが発生し、やはり耐油性を発揮することができない。
また、オーバーコート層樹脂とアンダーコート層樹脂のガラス転移温度の差(Tg−Tg)は10℃以上であることが望ましい。
本発明の耐油紙の耐油層の厚さは、乾燥後の各層合計で5〜30g/m2、さらに好適には5〜20g/m2が好ましい。
また、アンダーコート層が3〜15g/m2、オーバーコート層が2〜15g/m2の範囲であることが好ましい。最も好ましくはアンダーコート層が3〜10g/m2、オーバーコート層が2〜10g/m2の範囲である。
アンダーコート層は、オーバーコート層の傷付き、及び塗工時に生じたピンホール等をカバーする必要があるため、3g/m2以上が必要である。また、アンダーコート層とオーバーコート層の塗工量の合計が30g/m2を越えると、被膜層が厚くなりすぎて耐罫割れ性が低下する恐れがある。
また本発明においては、耐油性合成樹脂層を構成する重合体が、アクリル酸ブチル(本明細書ではアクリル酸n−ブチルを意味する)、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸n−プロピルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマーの総和を全体の50質量%以上とし、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸n−ヘキシル、イタコン酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれたモノマーが各1種について5質量%以下として重合させた重合体であることが望ましい。アクリル酸2−エチルヘキシルは必要に応じて50質量%以下の範囲で使用できる。
上記の条件を満たすことによって、本発明では、米国FDAのポジティブリストに記載されている原材料、第2基準はIARCのグループ3、4に属する発ガン性の恐れのない原材料の二つの基準に適合する原材料のみから、耐油層を形成することが可能である。
さらに、上記耐油層を有する耐油紙は、通常の離解工程により容易に離解するため、使用後に古紙としてのリサイクルが可能である。
また本発明においては、オーバーコート層を形成する合成樹脂エマルジョンがコア・シェル型のアクリル樹脂エマルジョンであって、コア成分である重合体のTgが−60〜0℃、シェル成分である重合体のTgが50〜120℃であることが望ましい。
また、コア部/シェル部の質量比は4/6〜7/3の範囲であることが望ましい。
この場合、該コア成分を構成する重合体が、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマー、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸グリシジルを共重合してなる重合体であり、シェル成分を構成する重合体が、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれた1種以上のモノマー、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルを共重合してなる重合体であることが望ましい。シェル層に使用するアクリル酸ブチルの一部または全部に変えてアクリル酸2−エチルヘキシルにすることも可能である。
上記コア層樹脂においてメタクリル酸グリシジルをモノマー組成中で2〜5質量%含有することが好ましい。コア層重合体中のメタクリル酸グリシジル残基はシェル層重合体中のカルボン酸残基と架橋反応を起こし、コアとシェルの結合を強化する。その結果、製膜時にシェル部分が表面に露出しブロッキングを起こすことを防止できる。
また本発明においては、アンダーコート層を形成する合成樹脂エマルジョンは、樹脂のガラス転移温度Tgが−30〜0℃であれば良いが、コア・シェル型のアクリル樹脂エマルジョンであっても良い。その場合、コア層、シェル層重合体に使用するモノマーの種類は前記したオーバーコード層と同様でれば、オーバーコート層との接着が強固なものとなる。ただし、アンダーコート層のTgを低くする必要から、コア層樹脂に使用するアクリル酸2−エチルヘキシルの量を多くする必要があり、コア層樹脂を形成するモノマー組成中で50質量%以上とすることが好ましい。
本発明に使用するアクリル系樹脂エマルジョンは、塗工適性、耐水性、耐油性の観点から、カルボン酸基を含有するビニルモノマーを共重合することが好ましく、その場合使用できるモノマーは前記したFDA、IARC基準から、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸及びイタコン酸である。
カルボン酸の量を酸価として評価した場合、オーバーコート層、アンダーコート層を平均して、20〜150程度にすることが好ましい。酸価とは、樹脂1mgに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要なKOHのmg数である。樹脂の酸価が20未満では樹脂の機械安定性、再溶解性、レベリング性等が劣り、150を越えると乾燥性、耐水性が劣り、クラックを生じやすくなる。
特に、オーバーコート層のシェル成分を構成する樹脂の酸価は重要であり、塗工適性、製膜性、耐水性、耐油性の観点から、酸価を20〜80程度に調整することが好ましいが、前記したモノマー量の基準から、アクリル酸またはメタクリル酸が夫々5質量%以下、合計10質量%以下で配合する必要性から、酸化は26〜72が好ましい範囲となる。
本発明に使用するアクリル系樹脂エマルジョンの粒径は0.1μm以下のものが好ましい。さらに好ましくは0.005〜0.1μmの範囲のものが良い。粒径が0.1μmを越えると、水に対する樹脂の分散性、液の流動性、塗工ロールに付着した液の再溶解性が悪くなり、さらに、紙の表面に塗布された皮膜とその紙の裏面との耐ブロッキング性が悪くなる。
本発明において、耐油層において、トータル残留モノマー量は、100ppm以下に抑制することが望ましい。そのためには、合成樹脂エマルジョン中のモノマー量を抑制すると共に、被膜形成する際には十分な熱量で乾燥を行い、モノマーを蒸発させて極力除去することが望ましい。
本発明によって得られる耐油層は、耐油層のみならず防湿性を有し、内容物の水分の吸収を防止する効果もある。また低臭性であって食品の包装に適している。
なお、食品に用いる紙素材としては、食品衛生法により、材質中のPCB含有量が5ppm以下であること(環食第442号)、蛍光染料が溶出しないこと(環食第244号)、重金属(Pbとして)溶出量が1ppm以下のこと等が定められており、本発明は、これらの基準に適合しなくてはならない。さらにホルマリンフリー、塩素フリー、環境ホルモンを含有しないこと、PRTR非該当、NL規制適合等の条件を満たすことが望ましい。
本発明の耐油層の表面の表面張力(濡れ指数)は38ダイン/cm以上であることが望ましく、40ダイン/cm以上であることがさらに望ましい。38ダイン/cm以上であれば、通常の紙器の製函に使用される酢酸ビニルエマルジョン系接着剤において、30秒以内で安定した接着が可能あり、接着不良トラブルが発生しない。なお、上記表面張力は、塗工直後だけでなく、塗工して時間が経過してからも維持されることが望ましい。
本発明の耐油層には、必要に応じて、ブロッキング防止剤、消泡剤等を添加することが可能である。ブロッキング防止剤としては、シリカ、ワックス等が用いられる。ワックスとしては、カルナバワックス、カスターワックス、ライスワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスが使用できる。上記ワックスは、オーバーコート層においては塗工面の滑り性の改善のために添加すること可能である。その場合ワックスの添加量は合成樹脂に対して2質量%未満であることが、耐油層の表面の濡れ指数を低下させないため好ましい。
本発明に使用する紙基材としては、各種の紙、板紙が使用可能であるが、カートン等の紙器の素材として使用される場合には200〜700g/m2の板紙が好適に用いられる。特に好適には260〜700g/m2である。200g/m2未満の場合は、製函後の容器としての剛性が弱く、700g/m2を越えると、成形が困難であり、またコスト面でも不経済である。
また、本発明で使用する紙基材としては、外観が美しく、印刷適性を有する白板紙を使用することが好ましい。
本発明に使用する白板紙は、少なくとも表層、中層、裏層の3層以上の多層抄きされた板紙で、好ましくは5〜11層抄きのものである。中層には古紙パルプが使用され、表層には、白色度の高いパルプまたは脱墨した古紙パルプを使用する。裏層は、両面を白色にしたい場合には、表層と同様とし、その必要がない時には、古紙パルプを用いる。通常は、中層の色を隠蔽するために、表層の直ぐ下に表下層と呼ばれる、中間の白色度のパルプ層を形成する。
上記のような白板紙であれば本発明の基材として使用できるが、食品用耐油紙には、美粧性が求められる場合が多く、好ましくは、前記白板紙の表層の上に、顔料とバインダーを主成分とする塗料を塗布したコートボール紙が使用される。塗料に使用する顔料としては、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、硫酸バリウムなどが使用できる。
バインダーとしては、カゼイン、澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子、または、アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエンなどのビニルモノマーを単独重合または共重合した重合体の水分散液が使用できる。
また、本発明に使用する紙基材としては、任意の紙・板紙の使用が可能であるが、繊維長が長いフレッシュパルプを配合した紙基材が罫割れが発生しにくいため好ましい。
また、紙器箱に使用する場合、表面にコート層を設けた白板紙の非コート面に耐油層を設けると、コート層側を容器外側、耐油層側を容器内側とし、容器外側に印刷を施すことが可能であるため特に好ましい。
なお、本件の耐油層を形成する塗工方法としては、ロール塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工など、必要に応じて任意の方法を採用することができる。特にエアーナイフ塗工が好適に用いられる。エアーナイフ塗工によれば、少量の塗工でも欠点部が少なく、耐油性に優れた皮膜が形成しやすい。
また、本発明の耐油層は基材紙の表裏両面ともに設けることも可能である。
本発明を以下の実施例に基づき、具体的に説明する。
<実施例1>
紙基材として190g/m2の白板紙(Newピジョン:王子製紙製)を用い、白板紙の非塗工面に、下記の方法で得た下塗り塗料1(粘度12.0秒(ZC#3)、濃度32質量%)を、塗工量が固形分3.6g(Dry)/mとなるように塗工を行い、アンダーコート層を形成した。
次に、アンダーコート層上に、下記の方法で得た上塗り塗料1(粘度15.5秒(ZC#3)、濃度32質量%)を、塗工量が固形分6.5g(Dry)/mとなるように塗工を行い、オーバーコート層を形成した。
なお塗工はアンダーコート層、オーバーコート層共に、エアーナイフ塗工(風圧950mmHg、速度75m/min)により行った。
上記により得た耐油紙を、後述する方法によって評価を行った。
[下塗り塗料1]
下記のコア・シェル組成でトータルとしてのガラス転移温度Tgが−17℃のアクリル系樹脂エマルジョンを使用した。コア/シェル=40/60とした。
(イ)コア部組成:メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸nブチル=5/30/50/15(Tg=−42℃、分子量約10万)
(ロ)シェル部組成:アクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸nブチル=5/45/50(Tg=4℃、分子量約1万、酸価39)
[上塗り塗料1]
下記のコア・シェル組成でトータルとしてのガラス転移温度Tgが15℃のアクリル系樹脂エマルジョンを使用した。コア/シェル=60/40とした。
(イ)コア部組成:メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸メチル/アクリル酸nブチル=5/30/65(Tg=−21℃、分子量約10万)
(ロ)シェル部組成:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸nブチル=5/90/5(Tg=95℃、分子量約1万、酸価33)
<実施例2>
下塗り塗料1を下記下塗り塗料2に変更し、上塗り塗料を下記上塗り塗料2に変更した以外は実施例1と同様に耐油紙を得た。
[下塗り塗料2]
下記の組成でガラス転移温度Tgが−21℃のアクリル系樹脂エマルジョンを使用した。
モノマー組成:メタクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキシル=50/50(Tg=−21℃、分子量約10万)
[上塗り塗料2]
下記のコア・シェル組成でトータルとしてのガラス転移温度Tgが5℃のアクリル系樹脂エマルジョンを使用した。コア/シェル=50/50とした。
(イ)コア部組成:メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸nブチル=5/20/30/45(Tg=−45℃、分子量約10万)
(ロ)シェル部組成:アクリル酸/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸nブチル=5/5/80/10(Tg=81℃、分子量約1万、酸価72)
<比較例1>
上塗り塗料2を下塗り塗料として用いた以外は実施例1と同様に耐油紙を得た。
<比較例2>
下塗り塗料2を上塗り塗料として用いた以外は実施例1と同様に耐油紙を得た。
上記実施例、比較例を以下の方法で評価したものを以下表1に示す。
<評価方法>
1.耐油性試験
(a)キット法
J.TAPPI−紙パルプ試験方法No.41に規定される紙及び板紙のはつ油度試験方法に準ずる。但し測定サンプルとして、基材紙に縦横2本の罫線を設け、罫線に沿って180°折り曲げたものを使用した。
評価:フラット部においては、キット法で12以上のものを○とし、12未満を×とした。クリーズ部(罫線部)においては、3以上のものを○、2以下のものを×とした。
2.耐ブロッキング性試験
測定面:耐油層塗工面/耐油層塗工面
測定条件:40℃×90%RH×24時間×圧力2kg/cm
評価:耐油層表面に変化のなかったものを○、白化が見られたものを×とした。
3.耐水性試験
JIS P8140のCobb法に基づいて測定した。
4.接着試験
貼り合わせ面:耐油層表面/耐油層表面
使用接着剤:酢ビ系接着剤(ライフボンドAV650−Y4)
評価:30秒以内で接着されたものを○、そうでないものを×とした。
Figure 2006028697

Claims (5)

  1. 紙基材にアクリル系合成樹脂エマルジョンを塗工して耐油性合成樹脂層を形成した食品用耐油紙において、前記耐油性合成樹脂層が、紙基材表面に形成されたアンダーコート層と、表面層となるオーバーコート層を有し、前記アンダーコート層樹脂のガラス転移温度Tgが−30〜0℃、オーバーコート層樹脂のガラス転移温度Tgが0〜30℃であることを特徴とする食品用耐油紙。
  2. 該アクリル系合成樹脂が、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸n−プロピルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマーの総和を全体の50質量%以上とし、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸n−ヘキシル、イタコン酸、及びメタクリル酸からなる群から選ばれた1種以上のモノマーが各1種について5質量%以下とし、アクリル酸2−エチルヘキシルを50質量%以下として共重合させた重合体であることを特徴とする請求項1記載の食品用耐油紙。
  3. オーバーコート層を形成するアクリル系合成樹脂エマルジョンがコア・シェル型のエマルジョンであって、コア成分である重合体のガラス転移温度Tgが−60〜0℃、シェル成分である重合体のガラス転移温度Tgが50〜120℃であることを特徴とする請求項2記載の食品用耐油紙。
  4. 該コア成分を構成する重合体が、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれた1種以上のモノマー、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸グリシジルを共重合してなる重合体であり、該シェル成分を構成する重合体が、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれた1種以上のモノマー、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルを共重合してなる重合体であることを特徴とする請求項3記載の食品用耐油紙。
  5. 該コア成分を構成する重合体のモノマー組成のうち、メタクリル酸グリシジルが2〜5質量%であり、該シェル成分を構成する重合体のモノマー組成のうち、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれた1種以上のモノマーの総和が4〜10質量%であることを特徴とする請求項4記載の食品用耐油紙。
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