JP2006028255A - ポリオレフィン系樹脂、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、高発泡倍率の発泡体を製造し得るポリオレフィン系樹脂を提供する

【解決手段】 本発明のポリオレフィン系樹脂は、発泡剤を含有させて発泡体の製造に用
いられるポリオレフィン系樹脂であって、一軸伸長粘度計を用いて180℃で一定の歪み
速度0.1/秒の条件下にて測定された伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の
上昇を示すと共に、上記伸長粘度曲線に沿った直線(a)(b)の交差点Cにおける歪み
量が1.2以上であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高発泡倍率の発泡体を製造し得るポリオレフィン系樹脂及び発泡性ポリオレ
フィン系樹脂組成物並びにポリオレフィン系樹脂を発泡させて得られるポリオレフィン系
樹脂発泡体に関する。
従来から、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、断熱性に優れていることから、緩衝材や断
熱材として広く用いられており、さらなる軽量化及びコストの削減を図るべく発泡倍率の
向上が求められている。
このようなポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率を向上させる手段としては、特許文
献1に、特定の結晶化度を有するポリプロピレン樹脂と、炭素原子数が4以上のα−オレ
フィンが共重合されたポリエチレン樹脂と、結晶純度が95%以上のホモポリプロピレン
樹脂とからなるポリオレフィン樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、上記ポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を含有させて発泡させようと
しても発泡安定性に欠け、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、その物性が低く発泡
倍率も満足のいくものではなかった。
特開平10−45975号公報
本発明は、優れた発泡安定性を有し且つ高い発泡倍率の発泡体を得ることができるポリ
オレフィン系樹脂及び発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物、並びに、上記ポリオレフィン
系樹脂を発泡させて得られるポリフィン系樹脂発泡体を提供する。
本発明のポリオレフィン系樹脂は、発泡剤を含有させて発泡体の製造に用いられるポリ
オレフィン系樹脂であって、一軸伸長粘度計を用いて180℃で一定の歪み速度0.1/
秒の条件下にて測定された、横軸を歪み量とし、縦軸を伸長粘度として対数プロットして
得られた伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を示すと共に、歪み硬化前
の上記伸長粘度曲線部分に沿った直線(a)と、歪み硬化後の上記伸長粘度曲線部分に沿
った直線(b)とが交差する点Cにおける歪み量が1.2以上であることを特徴とする。
本発明のポリオレフィン系樹脂としては、上述の条件にて測定された伸長粘度曲線が歪
み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を示し且つ上記直線(a)(b)が交差する点Cにお
ける歪み量が1.2以上であれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系モノマーの単
独重合体或いはオレフィン系モノマーの共重合体が挙げられ、具体的には、例えば、低密
度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状
低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレ
ン系樹脂、メタロセン触媒を用いて合成されるメタロセンポリエチレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体な
どのポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重
合体、メタロセン触媒を用いて合成されるメタロセンポリプロピレンなどのポリプロピレ
ン系樹脂;ポリブテン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などが挙げら
れる。
上記プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合
体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよい。なお、プロピレンと共重合される
オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン
などが挙げられる。
そして、ポリオレフィン系樹脂は、上記ポリプロピレン系樹脂のみからなる場合か、或
いは、上記ポリプロピレン系樹脂と該ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂
とからなる場合が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂と該ポリプロピレン系樹脂以外のポリ
オレフィン系樹脂とからなる場合には、ポリオレフィン系樹脂中におけるポリプロピレン
系樹脂の含有量は、少ないと、ポリオレフィン系樹脂の耐熱性や機械的強度が低下するこ
とがあるので、30重量%以上が好ましく、50〜99重量%がより好ましい。
そして、本発明者らは、上記ポリオレフィン系樹脂に発泡剤を含有させて発泡させるに
あたって、発泡安定性を向上させて高発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂発泡体を得
ることができるポリオレフィン系樹脂を鋭意研究したところ、一軸伸長粘度計を用いて所
定条件下にて得られた伸長粘度曲線が所定の挙動を有すると共に、この伸長粘度曲線から
導かれる直線同士の交差点における歪み量が所定以上の値を有する場合、ポリオレフィン
系樹脂は優れた発泡安定性を有すると共に、このポリオレフィン系樹脂を発泡させて得ら
れるポリオレフィン系樹脂発泡体を高発泡倍率なものとすることができることを見出した
詳細には、第一に、上記ポリオレフィン系樹脂は、一軸伸長粘度計を用いて180℃で
一定の歪み速度0.1/秒の条件下にて測定された、横軸を歪み量とし、縦軸を伸長粘度
として対数プロットして得られた伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を
有することが必要である。
これは、ポリオレフィン系樹脂を発泡させると、ポリオレフィン系樹脂は発泡に伴って
伸長されるが、発泡後期において、伸長されたポリオレフィン系樹脂に、発泡ガスに耐え
得るだけの樹脂粘度を付与し、ポリオレフィン系樹脂膜が破れるのを防止するためである
第二に、上記ポリオレフィン系樹脂は、一軸伸長粘度計を用いて180℃で一定の歪み
速度0.1/秒の条件下にて測定された、横軸を歪み量とし、縦軸を伸長粘度として対数
プロットして得られた伸長粘度曲線において、歪み硬化前の上記伸長粘度曲線部分に沿っ
た直線(a)と、歪み硬化後の上記伸長粘度曲線部分に沿った直線(b)とが交差する点
Cにおける歪み量が1.2以上であることが必要であり、1.3以上が好ましく、1.4
以上がより好ましい。
この理由を以下に詳述する。即ち、本発明のポリオレフィン系樹脂を発泡させると、ポ
リオレフィン系樹脂は発泡に伴って伸長されるが、歪み硬化が生じる前においては、ポリ
オレフィン系樹脂は、その伸長粘度が緩やかに上昇するものの、歪み硬化が生じた後にお
いては、伸長粘度が急激に上昇し、この状態においては、ポリオレフィン系樹脂を伸長さ
せることが著しく困難となり、これ以上、発泡倍率を殆ど大きくすることができない。
そこで、本発明では、ポリオレフィン系樹脂を所定条件下にて測定して得られた伸長粘
度曲線から導き出される直線(a)と直線(b)とが交差する点Cにおける歪み量に注目
し、この歪み量を1.2以上とすることによって、ポリオレフィン系樹脂の歪み硬化を生
じにくくして、ポリオレフィン系樹脂を破れることなく伸長し得るようにして気泡を大き
く成長できるようにし、高発泡倍率のポリオレフィン系樹脂発泡体を製造することができ
るように構成している。
更に、上記直線(b)の傾きは、小さいと、ポリオレフィン系樹脂が発泡後期において
発泡ガスによる伸長力に耐えきれずにポリオレフィン系樹脂膜が破れて破泡を生じること
があるので、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
ここで、上記ポリオレフィン系樹脂における一軸伸長粘度計を用いて180℃で一定の
歪み速度0.1/秒の条件下にて測定された、横軸を歪み量とし、縦軸を伸長粘度として
対数プロットして得られた伸長粘度曲線の測定方法は下記の通りである。
先ず、ポリオレフィン系樹脂、後述する発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオ
レフィン系樹脂発泡体を熱プレスすることによって発泡体内のガスを抜いて得られるポリ
オレフィン系樹脂固形物から、長さ120〜170mm×幅5〜15mm×厚み1〜3m
mのシート状の試験片を作製する。次に、一軸伸長粘度計を用いて、図1に示したように
、試験片1における長さ方向の両端部の夫々を上下一対の回転ロール2a、2b、3a、3bで挟
持し、180℃で且つ一定の歪み速度0.1/秒の測定条件下にて、回転ロール2a、2b、
3a、3bを回転させて試験片にその長さ方向に伸長する方向に伸長力を加え、歪み量及び伸
長粘度を測定する。なお、歪み量及び伸長粘度の測定頻度は、0.1秒当たり1回づつと
し、測定点は合計600個以上とする。
ここで、歪み速度とは、図1に示したように、回転ロール2a、2bの回転中心と回転ロー
ル3a、3bの回転中心との距離をLとし、回転ロール2a、2bの回転速さをV1 (mm/秒)
、回転ロール3a、3bの回転速さをV2 (mm/秒)とした時に式1にて算出されるものを
いう。
歪み速度r(s-1 )=(V1 +V2 )/L・・・式1
又、伸長粘度は、クランプに生じる張力F(N)と、試験片の幅方向の断面積S(m2
) に基づいて下記式2にて定義されたものをいう。
伸長粘度(Pa・s)=F/(S・r)・・・式2
更に、歪み量は、歪み速度(/秒)と試験片に伸長力を加えていた時間〔伸長時間〕(
秒)に基づいて下記式にて定義されたものをいう。
歪み量=歪み速度×伸長時間・・・式3
そして、このようにして測定された歪み量及び伸長粘度に基づいて、横軸を歪み量とし
、縦軸を伸長粘度として対数プロットし、伸長粘度曲線を得ることができる。伸長粘度曲
線の一例を図2に示す。なお、ポリオレフィン系樹脂の伸長粘度曲線は、例えば、東洋精
機社から商品名「メルテンレオメーター」で市販されている一軸伸長粘度計を用いて測定
することができる。
更に、上記伸長粘度曲線において、歪み硬化前の伸長粘度曲線部分に沿った直線(a)
及び歪み硬化後の伸長粘度曲線部分に沿った直線(b)は下記の要領で求められる。上記
伸長粘度曲線は、上述の通り、歪み量及び伸長粘度を所定時間間隔毎に測定することによ
って得られるが、測定開始時の測定点を起点として歪み量が増加する方向に隣接する40
個の測定点を抽出し、この40個の測定点に基づいて最小二乗法によって直線を得る。
次に、上記測定開始時の測定点に、歪み量が増加する方向に隣接する測定点を起点とし
、歪み量が増加する方向に隣接する40個の測定点を抽出し、この40個の測定点に基づ
いて最小二乗法によって直線を得る。
このような要領を繰り返していくと、伸長粘度曲線の任意の部分毎に沿った直線を無数
に得ることができる。そして、これら直線のうち右肩上がりの直線のみを抽出すると、こ
れら直線の傾きは、歪み量及び伸長粘度の測定開始点から歪み量が増加する方向に、徐々
に減少して一旦、最小値をとった後に増加に転じて最大値をとり、その後、徐々に減少す
る。
しかるに、歪み量及び伸長粘度の測定開始点を起点として歪み量が増加する方向に最初
に傾きが最小値をとる直線を、歪み硬化前の伸長粘度曲線部分に沿った直線(a)とする
一方、この傾きが最小値をとった後に増加に転じ、傾きが最大値をとる直線を、歪み硬化
後の伸長粘度曲線部分に沿った直線(b)とする。
又、伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を示すか否かは、下記の基準
に基づいて判断される。即ち、上述の如くして求められた直線(a)の傾きをλ1 とし、
直線(b)の傾きをλ2 とした時に、直線(a)(b)の傾きの比λ0 (λ2 /λ1 )が
1.2以上である場合に、伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を有する
ものとする。
そして、ポリオレフィン系樹脂が、上述のようにして測定された伸長粘度曲線が歪み硬
化に伴う急激な伸長粘度の上昇を示すと共に、上記伸長粘度曲線から導き出される直線(
a)と直線(b)とが交差する点Cにおける歪み量が1.2以上となるように調整する方
法としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂に化学的に架橋を施す方法(化学架
橋法)、ポリオレフィン系樹脂に物理的に架橋を施す方法(物理架橋法)、長分岐鎖を有
する樹脂などの絡み合い易い樹脂を用いる方法などが挙げられる。
上記化学架橋をポリオレフィン系樹脂に施す方法としては、例えば、(1) ポリオレフィ
ン系樹脂に、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多
官能モノマー、キノン化合物などの樹脂変性用モノマーを混合して加熱し、ポリオレフィ
ン系樹脂を架橋させる方法、(2) ポリオレフィン系樹脂に、α線、β線、γ線、電子線な
どの電離性放射線を照射してポリオレフィン系樹脂を架橋させる方法、(3) ジビニルモノ
マー存在下においてエチレングリコールやメチレンビスアクリルアミドなどを用いた熱重
合法、(4) 過酸化物やアゾビス系化合物を光増感剤として用いた光重合法などが挙げられ
る。
又、上記物理架橋をポリオレフィン系樹脂に施す方法としては、例えば、(1) ポリメタ
クリル酸とポリエチレングリコール、ポリアクリル酸とポリビニルアルコールのような二
種類の異なった高分子を混合して水素結合によるコンプレックスを形成することによって
ゲル化させる方法、(2) ポリカチオンとポリアニオンの反対電荷を有するポリマーを用い
ることでイオン結合架橋を有するポリイオンコンプレックスゲルを形成する方法、(3) ポ
リアクリル酸などのポリカルボン酸やポリスチレンスルホン酸などの強酸性ポリマーをア
ルカリ土類金属と結合させてゲル化する方法などが挙げられる。
そして、上記ポリオレフィン系樹脂は、これに発泡剤を含有させた上で発泡させること
によって高発泡倍率で且つ優れた物性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体を安定的に製
造することができる。
上記発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定
されず、例えば、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロ
ロフルオロメタン、ジクロロジフルオロエタン、エチルクロライド、n−ブタン、イソブ
タン、n−ペンタンなどの物理発泡剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒド
ラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4
−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などの化学発泡剤が挙げられ、化学発泡
剤が好ましい。
そして、ポリオレフィン系樹脂に含有させる発泡剤量は、少ないと、ポリオレフィン系
樹脂が発泡しないことがある一方、多いと、ポリオレフィン系樹脂を発泡させる際に破泡
することがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜40重量部が好ま
しい。
次に、上記ポリオレフィン系樹脂を用いてポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する要領
を説明する。始めに、発泡剤として化学発泡剤を用いてポリオレフィン系樹脂発泡体を製
造する要領について説明する。先ず、従来から汎用されている混練手段を用いて、ポリオ
レフィン系樹脂に化学発泡剤を混合して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を作製する。
上記混練手段としては、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ロー
ルなどが挙げられる。
そして、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を汎用の成形手段を用いて所望形状に
成形して発泡性成形体を作製し、発泡性成形体を化学発泡剤の分解温度以上に加熱して発
泡させてポリオレフィン系樹脂発泡体を製造することができる。なお、上記成形手段とし
ては、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、射出成形などが挙げられる
次に、発泡剤として物理発泡剤を用いてポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する一例と
しては、ポリオレフィン系樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機の
先端に取り付けた金型から押出発泡させてポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する方法が
挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂は、発泡剤を含有させて発泡体の製造に用いられるポリ
オレフィン系樹脂であって、一軸伸長粘度計を用いて180℃で一定の歪み速度0.1/
秒の条件下にて測定された、横軸を歪み量とし、縦軸を伸長粘度として対数プロットして
得られた伸長粘度曲線が歪み硬化に伴う急激な伸長粘度の上昇を示すと共に、歪み硬化前
の上記伸長粘度曲線部分に沿った直線(a)と、歪み硬化後の上記伸長粘度曲線部分に沿
った直線(b)とが交差する点Cにおける歪み量が1.2以上であることを特徴とするの
で、ポリオレフィン系樹脂を、発泡初期及び中期において、発泡ガスによって安定的に伸
長させて高発泡倍率に至るまで充分に発泡を進行させることができ、高い発泡倍率のポリ
オレフィン系樹脂発泡体を煩雑な製造工程を経ることなく安定的に得ることができる。
そして、上記ポリオレフィン系樹脂において、直線(b)の傾きが1.5以上である場
合には、ポリオレフィン系樹脂膜が発泡後期における発泡圧力に耐えることができ、ポリ
オレフィン系樹脂膜が破れて破泡する事態を概ね抑えることができ、ポリオレフィン系樹
脂膜が安定的に気泡を形成し、さらに高い発泡倍率のポリオレフィン系樹脂発泡体を確実
に得ることができる。
(製造設備)
変性用の第一押出機として、セルフワイピング二軸スクリューを備えた同方向回転二軸
スクリュー押出機(プラスチック工学研究所社製 商品名「BT40」、L/D:35、
D:39mm)を用意した。なお、第一押出機のシリンダバレルは、第1〜4バレルから
なり、第4バレルには揮発成分を回収するための真空ベントが設けられていた。
又、発泡剤混練用の第二押出機として、セルフワイピング二軸スクリューを備えた同方
向回転二軸スクリュー押出機(日本製鋼社製 商品名「TEX44」、L/D:45.5
、D:47mm)を用意し、この第二押出機の先端にアダプタを介してTダイ(リップ幅
:1100mm)を取り付けた。なお、この第二押出機のシリンダバレルは、第1〜12
バレルからなり、発泡剤を供給するために第9バレルにはサイドフィーダーを、第11バ
レルには揮発成分を回収するための真空ベントが設けられていた。
更に、第二押出機から押出された発泡性樹脂シートを冷却賦形するために、直径が22
20mmで且つ長さが1250mmの冷却ロール3本を備えた冷却ロール装置(積水工機
社製)を用意した。
そして、第一押出機の先端を第二押出機の第5バレルに接続してタンデム型押出機を形
成すると共に、上記第二押出機の下流側に上記冷却ロール装置を配設して、ポリオレフィ
ン系樹脂発泡シートの製造装置を構成した。
(実施例1)
第一押出機のフィーダーに、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体(日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP EG7」、メルトフローレイ
ト:1.7g/10分、密度:0.9g/cm3 )及びジオキシム化合物としてキノンジ
オキシム(大内新興化学社製 商品名「バルノックGM−P」)を供給し溶融混練してプ
ロピレン−エチレンランダム共重合体を変性した上で第二押出機の第5バレルに連続的に
供給した。なお、プロピレン−エチレンランダム共重合体の供給速度を50kg/時間と
し、キノンジオキシムの供給速度を0.45kg/時間とし、第一押出機は、その第1バ
レル温度を180℃に、第2〜4バレル温度を220℃に、スクリュー回転数を250r
pmに調整した。
一方、第二押出機のフィーダーに、未変性のポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−
エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP BC3B」、
メルトフローレイト:9g/10分、密度:0.9g/cm3 )及び直鎖状低密度ポリエ
チレン(日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックLL UJ370」、メルトフローレイ
ト:16g/10分、密度:0.92g/cm3 )を供給して溶融混練し、第5バレル以
降において、第一押出機から供給された変性プロピレン−エチレンランダム共重合体と混
合すると共に第二押出機のサイドフィーダーから化学発泡剤としてアゾジカルボンアミド
(ADCA)を供給して更に溶融混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を作製し、
この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を第二押出機のTダイから押出した後、冷却ロー
ル装置に供給し冷却賦形して、厚みが0.4mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを
連続的に作製した。
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の供給速度を30kg/時間とし、直鎖
状低密度ポリエチレンの供給速度を20kg/時間とし、アゾジカルボンアミドの供給速
度を7.5kg/時間とし、第二押出機は、その第1バレルを常時冷却し、第2〜4バレ
ルを150℃に、第5〜8バレルを170℃に、第9〜12バレルを180℃に、スクリ
ュー回転数を50rpmに保持すると共に、アダプタ及びTダイを160℃に保持すると
共に、冷却ロールを90℃に保持した。
そして、予熱ゾーン、発泡ゾーン及び冷却ゾーンの3つのゾーンをこの順序で備えた全
長が6mの横型発泡装置を用い、上記長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをその
両面にポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(東洋紡績社製 商品名「エクー
レ6301A」)を積層させた上で上記横型発泡装置内にその予熱ゾーンから供給して加
熱、発泡させて、両面全面に不織布が積層一体化されてなるポリオレフィン系樹脂発泡シ
ートを得た。
なお、横型発泡装置は、その予熱ゾーンを190℃に、発泡ゾーンを220℃に、冷却
ゾーンを90℃に保持する一方、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの横型発泡装置への
供給速度を0.5m/分とし、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの予熱ゾーン及び発泡
ゾーンにおける滞留時間は合計8分、冷却ゾーンにおける滞留時間は4分であった。
(実施例2)
第一押出機の第2〜4バレル温度を220℃の代わりに240℃に保持したこと、第一
押出機のスクリュー回転数を250rpmの代わりに120rpmとしたこと以外は実施
例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
(実施例3)
第一押出機の第2〜4バレル温度を220℃の代わりに240℃に保持したこと、プロ
ピレン−エチレンランダム共重合体の代わりに、メタロセン触媒を用いて合成されるメタ
ロセンポリプロピレン(日本ポリプロ社製 商品名「ウインテックWFX6」、メルトフ
ローレイト:2g/10分、密度:0.9g/cm3 )を用いたこと以外は実施例1と同
様にしてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
(比較例1)
第一押出機の第2〜4バレル温度を220℃の代わりに240℃に保持したこと以外は
実施例1と同様にしてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
上述の如くして得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートのゲル分率及び発泡倍率を下
記に示した要領で測定する一方、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを構成するポリオレフ
ィン系樹脂の伸長粘度曲線を上述の要領で測定し、その結果を図3〜5に示すと共にこの
伸長粘度曲線から導き出される直線(a)(b)が交差する点Cにおける歪み量を表1に
示した。
(ゲル分率)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートをAg秤量し、これを120℃のキシレン中に24時
間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥
残渣の重量を測定し(Bg)、下記式により算出した。
ゲル分率(重量%)=(B/A)×100
(発泡倍率)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの密度をJIS K7222に準拠して測定し、この
密度の逆数を発泡倍率とした。
Figure 2006028255
一軸伸長粘度計を用いてポリオレフィン系樹脂の歪み量及び伸長粘度を測定する際の要領を示した模式側面図である。 伸長粘度曲線の一例を示したグラフである。 実施例で用いられたポリオレフィン系樹脂の伸長粘度曲線を示したグラフである。 実施例で用いられたポリオレフィン系樹脂の伸長粘度曲線を示したグラフである。 実施例で用いられたポリオレフィン系樹脂の伸長粘度曲線を示したグラフである。
符号の説明
1 試験片
2a、2b、3a、3b 回転ロール

Claims (5)

  1. 発泡剤を含有させて発泡体の製造に用いられるポリオレフィン系樹脂であって、一軸伸長
    粘度計を用いて180℃で一定の歪み速度0.1/秒の条件下にて測定された、横軸を歪
    み量とし、縦軸を伸長粘度として対数プロットして得られた伸長粘度曲線が歪み硬化に伴
    う急激な伸長粘度の上昇を示すと共に、歪み硬化前の上記伸長粘度曲線部分に沿った直線
    (a)と、歪み硬化後の上記伸長粘度曲線部分に沿った直線(b)とが交差する点Cにお
    ける歪み量が1.2以上であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂。
  2. 直線(b)の傾きが1.5以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン
    系樹脂。
  3. ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂30〜100重量%及び上記ポリプロピ
    レン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂0〜70重量%からなることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のポリオレフィン系樹脂100重量部と発泡剤
    1〜40重量部とからなることを特徴とする発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を含有
    させた上で加熱発泡させてなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
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