JP2006028116A - オキセタンエーテル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 煩雑な操作をする必要なく、簡便な方法で合成することができるオキセタンエーテル化合物類の製造方法を提供する。
【解決手段】 原料のアルコール及び3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル若しくは3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンを、アルカリ金属アルコキシドの存在下に液相で、常温付近の温度で反応させて、下記式(3)で表されるオキセタンエーテル化合物を合成する。式(3)において、Rは低級アルキル基を示し、Yはアルコールから生じる残基であり、nは1〜3の整数である。該反応は、塩基としてアルカリ金属アルコキシドを用いるため反応系中に水の生成が起こらず、反応時間短縮、副反応抑制、収率向上、加温不要等の効果がある。
【化1】
【選択図】 なし
【解決手段】 原料のアルコール及び3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル若しくは3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンを、アルカリ金属アルコキシドの存在下に液相で、常温付近の温度で反応させて、下記式(3)で表されるオキセタンエーテル化合物を合成する。式(3)において、Rは低級アルキル基を示し、Yはアルコールから生じる残基であり、nは1〜3の整数である。該反応は、塩基としてアルカリ金属アルコキシドを用いるため反応系中に水の生成が起こらず、反応時間短縮、副反応抑制、収率向上、加温不要等の効果がある。
【化1】
【選択図】 なし
Description
本発明は、カチオン重合が可能なオキセタン環を有する多官能オキセタンエーテル化合物の製造方法に関するものである。これらオキセタンエーテル化合物から誘導される光硬化性又は熱硬化性組成物は、塗料、コーティング材料、接着剤、レンズ、そして光学材料等に使用される。
オキセタン環を有する化合物は、光開始カチオン重合又は硬化が可能なモノマーとして、近年注目を浴びている化合物であり、多くの単官能性及び多官能性オキセタン化合物が報告されている。例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,pp1653(1988)、特開平6-16804号公報、Pure Appl.Chem.,A29(10),pp.915(1992)、Pure Appl. Chem.,A30 (2&3) ,pp. 189(1993) 、及びDE 1,021,858には、種々のオキセタン化合物の合成法が記載されている。
特開2000-302774号公報
特開2003-55359号公報
特許文献1及び2には、1級のビスアルコールから、ビスオキセタンエーテル化合物の製造方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では高温下で長時間反応させる必要がある。特許文献1に記載の方法では、窒素気流下でアルカリ金属あるいはアルカリ金属水素化物を使用するため、反応系に水素が発生し爆発の危険がある。また、アルカリ金属水素化物は、通常鉱油分散品の状態で提供されているため、反応系から鉱油成分を分離精製する手段が必要である。また、特許文献2に記載の方法では、反応時間の延長、収率低下、そして副反応進行の原因となる水が反応系中に存在又は生成するため、減圧下で水の除去を行う必要がある。
本発明は、煩雑な操作をすることなく、簡便な方法で多官能オキセタンエーテル化合物を、高収率で合成可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは-OSO2CH3、-OSO2C6H5 、-OSO2C6H4-p- CH3又はハロゲンを示す。)で表される3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル又は3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンと、一般式(2)
(式中、nは1、2又は3であり、Yは炭素数2〜20の炭化水素基であり、鎖中にエーテル結合又は環状構造を有していてもよい。)で表される1級、2級又は3級のアルコールとをアルカリ金属のアルコキシドの存在下で反応させることを特徴とする一般式(3)
(式中、R、n及びYは上記と同じ意味を有する。)で表されるオキセタンエーテル化合物の製造方法である。
更に、本発明を説明する。
本発明の製造方法において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル又は3-アルキル-3-ハロメチルオキセタン(以下、これらを総称して原料オキセタン化合物ともいう)は、前記の一般式(1)で示される。一般式(1)において、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることができる。好ましくは、メチル基又はエチル基である。
本発明の製造方法において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル又は3-アルキル-3-ハロメチルオキセタン(以下、これらを総称して原料オキセタン化合物ともいう)は、前記の一般式(1)で示される。一般式(1)において、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることができる。好ましくは、メチル基又はエチル基である。
原料オキセタン化合物が3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルである場合は、Xは-OSO2Z(Zは、メチル基、フェニル基又はp-メチルフェニル基を示す。)で表される。3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンである場合は、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素である。
本発明の製造方法において使用する3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル例示すると、一般式(1)において、Rがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり、Xがメシル、C6H5SO3-又はp-トシルである化合物がある。この化合物の具体例をいくつか示すと、2-(3-オキセタン)プロピルメシレート、2-(3-オキセタン)プロピルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)プロピルトシレート、2-(3-オキセタン)ブチルメシレート、2-(3-オキセタン)ブチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ブチルトシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルメシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ペンチルトシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルメシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルトシレート等が挙げられる。
3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンの具体例を例示すると、3-メチル-3-クロロメチルオキセタン、3-メチル-3-ブロモメチルオキセタン、3-エチル-3-クロロメチルオキセタン、3-エチル-3-ブロモメチルオキセタン、3-n-プロピル-3-クロロメチルオキセタン、3-n-プロピル-3-ブロモメチルオキセタン、3-n-ブチル-3-クロロメチルオキセタン、3-n-ブチル-3-ブロモメチルオキセタン等が挙げられる。
本発明の製造方法において使用する原料のアルコールは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、nは1、2又は3で、Yは炭素数2〜20の炭化水素基であり、鎖中にエーテル結合又は環状構造を有していても良い。このアルコールは、1級、2級又は3級のアルコールであってもよく、また1価、2価又は3価のアルコールであってもよい。
一般式(2)で、n=1のときYは、例えば、n-ヘキシル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、シクロヘキサメチル基、1-メチルペンチル基、シクロヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基等の一価の脂肪族炭化水素基が好ましく挙げられる。n=2のときYは、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、3-オキシペンチレン基、3,6-ジオキシオクチレン基、シクロヘキサン-1,4-ビスメチレン基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4,8-ビスメチレン基等の二価の脂肪族炭化水素基が好ましく挙げられる。n=3のときYは、グリセリン、トリメチロールプロパン等から3個のOHをとって生じる残基等の脂肪族炭化水素基が好ましく挙げられる。
かかる原料のアルコールの具体例としては、1価のアルコールとしては、n-ヘキサノール、n-デシルアルコール、n-ウンデシルアルコール、シクロヘキサメタノール、1-メチルペンタノール、シクロヘキサノール、1,1-ジメチルヘキサノール等が、2価のアルコールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トシシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール等が、3価のアルコールとしては、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
本発明の製造方法において使用するアリカリ金属のアルコキシド(以下、塩基ともいう)としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、ネオペンチルアルコール、2-ペンチルアルコール、3-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、そしてt-ペンチルアルコール等のC1-5飽和脂肪族アルコールとアルカリ金属とから得られるアルカリ金属アルコキシドを挙げることができるが、これらの中でも、副生成物抑制のため、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-t-ブトキシドを使用することが特に好ましい。
塩基の使用量は、原料アルコールの水酸基1モルに対して、0.9〜2.5モルであることが好ましく、1.25〜2.0モルであることがより好ましい(1価のアルコキシドの場合)。塩基の使用量が少なすぎると充分反応しない場合があり、多すぎると副反応のため収率が低下する場合がある。
原料オキセタン化合物の使用量は、原料のアルコールの水酸基1モルに対して、1.0〜4.0モルであることが好ましく、1.05〜2.10モルであることがより好ましい。原料オキセタン化合物の使用量が少なすぎると充分反応しない場合があり、多すぎるとジ(1-エチル(3-オキセタニル)メチルエーテル(以下、2OXTという。)が副生成物として生成される。
原料オキセタン化合物の使用量は、原料のアルコールの水酸基1モルに対して、1.0〜4.0モルであることが好ましく、1.05〜2.10モルであることがより好ましい。原料オキセタン化合物の使用量が少なすぎると充分反応しない場合があり、多すぎるとジ(1-エチル(3-オキセタニル)メチルエーテル(以下、2OXTという。)が副生成物として生成される。
本発明の反応は溶媒中で行われるのが好ましい。使用される溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いることができる。好ましくは、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
溶媒を使用する場合の使用量は、原料オキセタン化合物1モルに対して、好ましくは300〜3000mL、更に好ましくは500〜2000mLである。これらの溶媒は単独又は混合して用いても良い。
更に、上記反応の反応速度を上げる目的で相間移動触媒を使用することも可能である。相間移動触媒としては、公知の相間移動触媒、(例えば、W.P.Weber,G.W.Gokel共著、田伏岩夫、西谷孝子共訳「相間移動触媒」;株式会社化学同人発行などに記載のもの)のいずれも用いることができるが、これらの中でも、触媒としての能力の高さから、有機第4級アンモニウム塩及びホスホニウム塩が好ましい。
具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミド、トリオクチルエチルホスホニウムクロリド及びテトラフェニルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。相関移動触媒の使用量は、原料のアルコールの水酸基100モルに対し、0.1〜30モルであることが好ましく、特に1〜10モルであることが好ましい。
具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミド、トリオクチルエチルホスホニウムクロリド及びテトラフェニルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。相関移動触媒の使用量は、原料のアルコールの水酸基100モルに対し、0.1〜30モルであることが好ましく、特に1〜10モルであることが好ましい。
上記反応は、原料のアルコール、原料オキセタン化合物、溶媒そして相関移動触媒を混合して氷浴下攪拌を行い、好ましくは内温5〜40℃、更に好ましくは15〜25℃を保ちながら、塩基を好ましくは5〜60分、更に好ましくは20〜45分間で添加し、塩基添加終了後、室温付近の温度で、好ましくは0.1〜24時間、更に好ましくは0.1〜3時間攪拌する等の方法によって行われる。なお、圧力は常圧で差し支えなく、雰囲気は空気中で差し支えない。なお、反応温度は液相反応を可能とする温度とするが、通常0〜60℃、好ましくは5〜40℃の範囲がよい。
反応により塩が生成するので、常法により分離すればよい。反応混合物を濾過することにより塩と有機物を分離する方法や、反応混合物に水等を加えて塩を溶解した後、有機層と水層を分離する方法などにより、有機成分を取り出すことができる。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の精製作業や、蒸留等によって、高純度の目的物が得られる。
本発明により、1級、2級又は3級の脂肪族アルコールから、煩雑な操作をする必要がなく、簡便な方法で脂肪族オキセタンエーテル化合物を高収率で合成することができる。本方法の適用範囲は、脂肪族アルコールのみに限らず、芳香族アルコールにも適用可能である。塩基としてアルカリ金属のアルコキシドを使用する方法は、反応系中に水の生成が起こらず、反応時間短縮、副反応抑制、収率向上があり、且つ加温を必要としないという効果がある。
以下に実施例を用いて、本反応を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
温度計、攪拌装置を備えた200mLの二つ口丸底フラスコに、3(4),8(9)-ビス(ヒドロキシメチル)-トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(「3(4),8(9)」はヒドロキシメチルが置換されている部位が3位又は4位、及び8位又は9位である異性体の混合物であることを意味する。以下、TCDDMという。)を5.27g(26.8mmol)、2-(3-オキセタン)ブチルトシレート(以下、OXT-Tsという。)を15.97g(59.0mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム613mg(2.68mmol)及びジメチルスルホキシド40mLを加え攪拌しながら、内温10℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム7.53g(67.12mmol)を内温15℃以下に保ちながら20分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で5分間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。1時間後、OXT-Tsは完全に消費されていた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながらエーテル80mL、水10mL加え、同条件で30分間攪拌した。攪拌終了後、フラスコ内の反応混合物の固体をろ別して、ろ液を得た。ろ液を有機層と水槽に分離し、有機層を水60mLで2回、飽和食塩水60mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留去後、11.2gの固形分を得た。
温度計、攪拌装置を備えた200mLの二つ口丸底フラスコに、3(4),8(9)-ビス(ヒドロキシメチル)-トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(「3(4),8(9)」はヒドロキシメチルが置換されている部位が3位又は4位、及び8位又は9位である異性体の混合物であることを意味する。以下、TCDDMという。)を5.27g(26.8mmol)、2-(3-オキセタン)ブチルトシレート(以下、OXT-Tsという。)を15.97g(59.0mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム613mg(2.68mmol)及びジメチルスルホキシド40mLを加え攪拌しながら、内温10℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム7.53g(67.12mmol)を内温15℃以下に保ちながら20分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で5分間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。1時間後、OXT-Tsは完全に消費されていた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながらエーテル80mL、水10mL加え、同条件で30分間攪拌した。攪拌終了後、フラスコ内の反応混合物の固体をろ別して、ろ液を得た。ろ液を有機層と水槽に分離し、有機層を水60mLで2回、飽和食塩水60mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留去後、11.2gの固形分を得た。
この固形分をガスクロマトグラフ(以下、GCという。)により分析した結果、式(4)
で表される3(4),8(9)-ビス[(1-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]-トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(以下、TCD-2OXTという。):87.6wt%、TCDDM:0%、OXT-Ts:0%、TCDDMの一方の水酸基にのみOXT-Tsが反応した化合物(以下、TCD-1OXTという。):1.8wt%、2OXT:3.5wt%、その他の生成物:2.2wt%、4.9wt%であった。この分析結果をもとに計算すると、TCDDMを基準としたTCD-2OXTの反応収率は93%となる。TCD-2OXT反応収率の定義を以下に示す。
TCD-2OXT反応収率=[TCD-2OXT生成量(mmol)]÷[TCDDMの仕込み量(mmol)]x100
TCD-2OXT反応収率=[TCD-2OXT生成量(mmol)]÷[TCDDMの仕込み量(mmol)]x100
比較例1
実施例1と同様な装置を使用し、TCDDMを10.95g(55.78mmol)、水酸化ナトリウム5.36g(133.88mmol)、ジメチルスルホキシド40mL及び水2.6mLを加え、反応器内を窒素で置換した後、80℃まで加熱して2時間攪拌した(反応の間、系中は窒素フローを行う)。これにOXT-Ts 36.19g(133.88mmol)をジメチルスルホキシド20mLに溶解した液を、滴下漏斗から20分間かけて滴下した。その後、140℃まで加熱して4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200mL及び水150mLを加えた後、油層を水100mLで三回洗浄した。その油層を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、硫酸マグネシウムを濾別して、その濾液の溶媒を減圧下で留去した。溶媒留去後、20.7gの固形分を得た。
実施例1と同様な装置を使用し、TCDDMを10.95g(55.78mmol)、水酸化ナトリウム5.36g(133.88mmol)、ジメチルスルホキシド40mL及び水2.6mLを加え、反応器内を窒素で置換した後、80℃まで加熱して2時間攪拌した(反応の間、系中は窒素フローを行う)。これにOXT-Ts 36.19g(133.88mmol)をジメチルスルホキシド20mLに溶解した液を、滴下漏斗から20分間かけて滴下した。その後、140℃まで加熱して4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200mL及び水150mLを加えた後、油層を水100mLで三回洗浄した。その油層を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、硫酸マグネシウムを濾別して、その濾液の溶媒を減圧下で留去した。溶媒留去後、20.7gの固形分を得た。
固形分をGCにより分析した結果、前記式(4)で表されるTCD-2OXT:38.1wt%、TCDDM:0%、OXT-Ts:0%、TCD-1OXT:44.8wt%、2OXT:17.1wt%、その他の生成物:0wt%であった。この分析結果をもとに計算すると、TCDDMを基準としたTCD-2OXTの反応収率は36%、TCD-1OXTの反応収率は57%となる。
実施例2
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1,6-ヘキサンジオールを1.03g(8.74mmol)、OXT-Tsを5.20g(19.23mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム205mg(0.9mmol)及びジメチルスルホキシド15mLを加え攪拌しながら、内温12℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム2.10g(21.85mmol)を内温15℃以下に保ちながら5分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で5分間攪拌した後、室温で1.5時間攪拌した。1.5時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながらエーテル30mL、水3.5mL加え、同条件で30分間攪拌した。攪拌終了後、フラスコ内の反応混合物の固体をろ別して、ろ液を得た。ろ液を有機層と水槽に分離し、有機層を水25mLで2回、飽和食塩水25mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、2.80gの固形分を得た。
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1,6-ヘキサンジオールを1.03g(8.74mmol)、OXT-Tsを5.20g(19.23mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム205mg(0.9mmol)及びジメチルスルホキシド15mLを加え攪拌しながら、内温12℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム2.10g(21.85mmol)を内温15℃以下に保ちながら5分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で5分間攪拌した後、室温で1.5時間攪拌した。1.5時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながらエーテル30mL、水3.5mL加え、同条件で30分間攪拌した。攪拌終了後、フラスコ内の反応混合物の固体をろ別して、ろ液を得た。ろ液を有機層と水槽に分離し、有機層を水25mLで2回、飽和食塩水25mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、2.80gの固形分を得た。
固形分をGCにより分析した結果、式(5)
で表される1,6-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]ヘキサン:86.3wt%、1,6-ヘキサンジオール:0%、OXT-Ts:0%、6-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-1-ヘキサノール:7.0wt%、2OXT:4.4wt%であった。この分析結果をもとに計算すると、1,6-ヘキサンジオールを基準とした1,6-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]ヘキサンの反応収率は88%、6-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-1-ヘキサノールの反応収率は10%となる。
実施例3
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン(cis- and trans- mixture)を2.58g(22.21mmol)、OXT-Tsを13.20g(48.82mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム506mg(2.22mmol)及びジメチルスルホキシド25mLを加え攪拌しながら、内温10℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム9.96g(88.76mmol)を内温24℃以下に保ちながら30分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で10分間攪拌した後、室温で3時間攪拌した。3時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながら酢酸エチル50mL、水40mL加えた。有機層と水槽に分離し、有機層を水40mLで2回、飽和食塩水40mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、8.32gの固形分を得た。
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン(cis- and trans- mixture)を2.58g(22.21mmol)、OXT-Tsを13.20g(48.82mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム506mg(2.22mmol)及びジメチルスルホキシド25mLを加え攪拌しながら、内温10℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム9.96g(88.76mmol)を内温24℃以下に保ちながら30分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で10分間攪拌した後、室温で3時間攪拌した。3時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながら酢酸エチル50mL、水40mL加えた。有機層と水槽に分離し、有機層を水40mLで2回、飽和食塩水40mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、8.32gの固形分を得た。
固形分をGC分析した結果、式(6)
で表される、1,4-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]シクロヘキサン(cis- and trans- mixture):69.4wt%、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン(cis- and trans- mixture):0%、OXT-Ts:0%、4-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-1-シクロヘキサノール(cis- and trans- mixture):6.7wt%、2OXT:6.8wt%、その他の生成物:9.6wt%、5.2wt%、そして2.3wt%であった。この分析結果をもとに計算すると、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン(cis- and trans- mixture)を基準とした1,4-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]シクロヘキサン(cis- and trans- mixture)の反応収率は83%、4-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-1-シクロヘキサノール(cis- and trans- mixture)の反応収率は12%となる。
実施例4
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1-アダマンタノールを4.51g(29.63mmol)、OXT-Tsを8.81g(32.59mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム337mg(1.48mmol)及びジメチルスルホキシド30mLを加え攪拌しながら、内温12℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム4.16g(37.03mmol)を内温15℃以下に保ちながら20分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で10分間攪拌した後、室温で4時間攪拌した。4時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながら酢酸エチル60mL、水45mL加えた。有機層と水槽に分離し、有機層を水45mLで2回、飽和食塩水45mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、7.06gの固形分を得た。
温度計、攪拌装置を備えた100mLの二つ口丸底フラスコに、1-アダマンタノールを4.51g(29.63mmol)、OXT-Tsを8.81g(32.59mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム337mg(1.48mmol)及びジメチルスルホキシド30mLを加え攪拌しながら、内温12℃以下に冷却した。これにt-ブトキシカリウム4.16g(37.03mmol)を内温15℃以下に保ちながら20分間かけて滴下した。滴下終了後同温度で10分間攪拌した後、室温で4時間攪拌した。4時間後、OXT-Tsは完全に消費していた。フラスコを氷浴につけ、攪拌しながら酢酸エチル60mL、水45mL加えた。有機層と水槽に分離し、有機層を水45mLで2回、飽和食塩水45mLで洗浄した。その後、有機層を分離し、無水マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。溶媒留予後、7.06gの固形分を得た。
Claims (3)
- 一般式(1)
- アルカリ金属のアルコキシドが、カリウム-t-ブトキシド又はナトリウム-t-ブトキシドである請求項1に記載のオキセタンエーテル化合物の製造方法。
- アルカリ金属のアルコキシドを、アルコールの水酸基1モルに対して、アルカリ金属のアルコキシドのOM基(Mはアルカリ金属を示す)を0.9〜2.5モル使用する請求項1又は2に記載のオキセタンエーテル化合物の製造方法。
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WO2007142236A1 (ja) * | 2006-06-06 | 2007-12-13 | Ube Industries, Ltd. | 水酸基を有する3-エチルオキセタン化合物及びその製法 |
JP2008013646A (ja) * | 2006-07-05 | 2008-01-24 | Fujifilm Corp | インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び平版印刷版 |
-
2004
- 2004-07-20 JP JP2004211253A patent/JP2006028116A/ja not_active Withdrawn
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