JP2006027464A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂製のウォームホイールを備え、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置の耐久寿命を向上させる。
【解決手段】 電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置であって、前記減速歯車機構の従動歯車が、金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギア歯が形成された樹脂部を一体に設けてなり、かつ、駆動歯車が、金属製で、歯面の前記従動歯車のギア歯と接触する位置に形成された凹部にポリオレフィン系ポリマーと潤滑油とからなる潤滑剤含有ポリマーを充填してなり、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置に関し、特に金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギア歯が形成された樹脂部を一体に形成した従動歯車を備え、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置に関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置は、例えば図1及び図2に示すように構成される。図示されるように、中空のステアリングコラム50にステアリングシャフト70が挿通され、ハウジング120に収納された転がり軸受90、91により回転自在に支承されている。ステアリングシャフト70は中空軸であり、トーションバー80が収容されている。また、出力軸60側において、ステアリングシャフト70の外周面にウォームホイール11が設けてあり、このウォームホイール11にウォーム12が噛合してある。これらウォームホイール11とウォーム12とで構成される減速機構は、電動モータに連結し、ハウジング120に収納される。ここで、ウォーム12は電動モータ100の回転軸に連結しており、駆動歯車に相当し、一方ウォームホイール11は従動歯車に相当する。
また、ウォーム12は、一対の玉軸受等の転がり軸受110で支持されて電動モータ100と連結しており、ハウジング120の一対の転がり軸受110の間の空間には、通常、ウォーム12とウォームホイール11との両ギア歯間の潤滑のためにグリースが充填されている。更に、転がり軸受110に予圧をかけるとともに、タイヤ側からの微小なキックバック入力が入ってきたときに、ウォーム12を軸方向に動かして電動モータ100が回転しないようにし、ハンドル側にキックバックのみの情報を伝えるために、転がり軸受110のウォーム側にゴム製のダンパー130を取り付けている。
上記減速機構では、ウォームホイール11とウォーム12の両方を金属製にすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合を生じていた。そこで、ウォームホイール11に、金属製の芯管の外周に、樹脂製で外周面にギア歯を形成してなる樹脂部とを一体化させたものを使用して騒音対策を行っている。
上記樹脂部には、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、強化材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン、ポリアミド6、ポリアミド66等が使用されている(例えば、特許文献1参照)。中でも、寸法安定性やコストを考慮して、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流となっている。
特公平6−60674号公報
しかし、近年、電動パワーステアリング装置では、大型車への適用、あるいは車内の居住空間確保を目的とした装置小型化に対応するために、減速機構のウォームとウォームホイールとの接触面圧の増大が避けられなくなってきており、上記したガラス繊維で強化したポリアミド樹脂製ウォームホイールを用いて、更にグリース潤滑するだけでは十分な耐久寿命長が得られなくなりつつある。
本発明は、このような状況に艦みてなされたものであり、樹脂製のウォームホイールを備え、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置の耐久寿命を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は下記に示す伝導パワーステアリング装置を提供する。
(1)電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置であって、
前記減速歯車機構の従動歯車が、金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギア歯が形成された樹脂部を一体に設けてなり、かつ、
駆動歯車が、金属製で、歯面の前記従動歯車のギア歯と接触する位置に形成された凹部にポリオレフィン系ポリマーと潤滑油とからなる潤滑剤含有ポリマーを充填してなり、
グリース潤滑されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
(2)前記駆動歯車の凹部の開口面積が、該駆動歯車と前記従動歯車との最大接触面積に対し20〜70%であることを特徴とする上記(1)に記載の電動パワーステアリング装置。
本発明によれば、グリース潤滑に加え、駆動歯車の歯面に凹部を設けて潤滑剤含有ポリマーを充填することにより、駆動歯車と従動歯車との接触部分に常に油膜が形成され、減速機構の耐久性が大幅に向上し、長寿命の電動パワーステアリング装置が提供される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本発明において、電装パワーステアリング装置自体の構成には制限がなく、例えば図1及び図2に示す電動パワーステアリング装置を例示することができる。そして、本発明においては、図3及び図4(図3の部分拡大図)に示すように、減速機構20を従動歯車であるウォームホイール11と、駆動歯車であるウォーム12とを以下のように構成する。
ウォーム12は金属製であり、歯部13に凹部14を形成し、この凹部14に潤滑剤含有ポリマー15を充填して構成される。ここで、凹部14は、ウォーム12とウォームホイール11とが噛合うときに、ウォームホイール11のギア歯10と接触する位置に形成する必要がある。また、凹部14の形状には制限がなく、図示されるようなリング状の他、円弧、線分、格子状、あるいは多数の点を散在させてもよい。但し、凹部14の開口面積が、ウォーム12とウォームホイール11との最大接触面積に対して20〜70%となることが好ましい。潤滑剤含有ポリマー15は、潤滑油とポリオレフィン系ポリマーとからなり、潤滑油を徐々に放出する材料であり、凹部14の開口面積が20%未満では潤滑油の放出量が十分ではなく、摩耗低減効果による耐久性の向上が十分に得られないおそれがある。一方、凹部14の開口面積が70%を越えると、相対的に歯部13の金属面が少なくなり、ウォームホイール11との接触荷重を十分に受容できなくなるとともに、潤滑剤含有ポリマー15に接触荷重が加わり、潤滑剤含有ポリマー15が破損するおそれがある。このような凹部14の開口面積比とするには、凹部14の形状や寸法、形成位置、数等をウォームホイール11のギア歯10との接触面積に応じて調整すればよい。
潤滑剤含有ポリマー15を形成するポリオレフィン形ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の基本的に同じ化学構造を有するものである。また、これらポリオレフィン系ポリマーは平均分子量が異なっており、通常、1×103〜5×106の範囲に及んでいる。本発明では、平均分子量1×103〜1×106という比較的低分子量のものと、1×106〜5×106という比較的高分子量のものとを、単独もしくは混合して用いる。また、潤滑剤含有ポリマー15の機械的強度を向上させるために、以下のような熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を配合してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ABS樹脂等を使用できる。また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を使用できる。これらは、それぞれ単独でも、適宜組み合わせてもよい。更に、ポリオレフィン系ポリマーとの均一化のために、相溶化剤を添加してもよい。
また、潤滑剤含有ポリマー15を形成する潤滑油は、上記のポリマーと親和性を有することが好ましく、例えば、ポリ−αオレフィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテル油のようなエーテル油、フタル酸エステル・トリメリット酸エステル、ポリオールエステル、ジエステルのようなエステル油等が好適である。また、必要に応じて、潤滑油に予め酸化防止剤、錆止め剤、摩耗防止剤、泡消し剤、極圧剤等の添加剤を加えてもよい。これら潤滑油は、潤滑剤含有ポリマー全量の10〜80質量%である。潤滑油量が10質量%未満では、潤滑油の放出量が少なすぎ、また早期に枯渇するようになる。また、潤滑油量が80質量%を越える場合は、相対的にポリオレフィン系ポリマーが少なすぎて、必要な硬さや機械的強度が得られない。
潤滑剤含有ポリマー15を凹部14に充填するには、上記のポリオレフィン系ポリマーと潤滑油とを加熱溶融して混合し、溶融液を凹部14に充填し、冷却して固化させればよい。
一方、ウォームホイール11は、金属製の芯管1の外周に、ポリアミド樹脂組成物からなり、その外周端面にギア歯10を形成した樹脂部3を一体化したものである。この一体化には、接着剤8を用いてもよく、接着剤8として例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはトリアジンチオール化合物を用いることができる。
樹脂部3を形成するポリアミド樹脂としては、吸水性や耐疲労性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリアミド6I6T、変性ポリアミド6T等が好適に挙げられるが、中でもポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46が耐疲労性に優れ好ましい。また、これらポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂と相溶性を有する他の樹脂と混合してもよい。例えば、無水マレイン酸等の酸で変性したポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー等)が挙げられる。
これらポリアミド樹脂、またはポリアミド樹脂と他の樹脂との混合樹脂は、樹脂単独でも一定以上の耐久性を示し、ウォームホイール11の相手材である金属製のウォーム12の摩耗に対して有利に働き、減速ギアとして十分に機能する。しかしながら、より過酷な使用条件で使用されると、ギア歯10が破損や摩耗することも想定されるため、信頼性をより高めるために、強化材を配合することが好ましい。
補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が好ましく、上記に挙げたポリアミド樹脂との接着性を考慮してシランカプッリング剤で表面処理したものが更に好ましい。また、これらの補強材は複数種を組み合わせて使用することができる。衝撃強度を考慮すると、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状物を配合することが好ましく、更にウォ−ム12の損傷を考慮するとウィスカー状物を繊維状物と組み合わせて配合することが好ましい。混合使用する場合の混合比は、繊維状物及びウィスカー状物の種類により異なり、衝撃強度やウォーム12の損傷等を考慮して適宜選択される。これらの補強材は、全体の5〜40重量%、特に10〜30重量%の割合で配合することが好ましい。補強材の配合量が5重量%未満の場合には、機械的強度の改善が少なく好ましくない。補強材の配合量が40重量%を超える場合には、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム12の摩耗が促進されて耐久性が不足する可能性があり好ましくない。
更に、ポリアミド樹脂組成物には、成形時及び使用時の熱による劣化を防止するために、ヨウ化物系熱安定化剤やアミン系酸化防止剤を、それぞれ単独あるいは併用して添加されていてもよい。
樹脂部3を形成するには、上記のベース樹脂と補強材、必要に応じて酸化防止剤や熱安定化剤、更には充填材等を、ベース樹脂の溶融温度以上の温度で混練し、得られた溶融混練物を、芯管1を配置した金型に充填して硬化させればよい。そして、切削加工により、樹脂部3の外周面にギア歯10を形成してウォームホイール11が得られる。
また、図示されるように、このウォームホイール11にも、適所に凹部を形成し、そこへ上記の絢滑剤含有ポリマー15を充填してもよい。これにより、ウォーム12にのみ潤滑剤含有ポリマー15を充填した場合よりも、耐久性が向上する。
上記の如く概略構成される電動パワーステアリング装置では更に、従来と同様に、ハウジング120の一対の転がり軸受110の間の空間に、ウォーム12とウォームホイール11との間の潤滑のためのグリースが充填される。グリースには制限が無く、従来から使用されている各種グリースを使用できる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
クロスローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmのS45C製の芯管を、スプルー及びディスクゲートを装着した金型に配置し、ガラス繊維を30質量%含有するポリアミド66(宇部興産(株)製「UBEナイロン2020GU6」、銅系添加剤含有)を射出成形して外径60mm、幅13mmのウォームホイールブランク材とし、次いで樹脂部の外周を切削加工してギア歯を形成して図3に示すウォームホイール(但し、潤滑剤含有ポリマー充填無し)を作製した。
また、ウォームとして、S45C材にパルソナイト処理を施して表面硬度を高めたものを利用し、歯部にリング状の凹部を形成し、ポリエチレンにポリαオレフィンを70質量%の割合で混合してなる潤滑剤含有ポリマーを充填したものと、凹部を有しないものとを用意した。尚、凹部の形成位置を調整して、ウォームホイールのギア歯との接触面積に対する凹部の開口面積比が10〜90%となるようにした。
そして、作製したウォームホイール及びウォームを、実際の自動車の電動パワーステアリング装置に組み込み、ウォームホイールのギア歯及びウォームの歯部にウレア系グリースを満遍なく塗布し、雰囲気温度120℃にて操蛇を繰り返し、15万回操蛇後にウォームホイールのギア歯の摩耗量を測定した。凹部を形成せず、潤滑剤含有ポリマーを充填しないウォームを用いた場合の摩耗量を1とする相対値にて、結果を図5に示す。
図5より、ウォームの歯部に潤滑剤含有ポリマーを充填することにより、摩耗量を減じて耐久性を向上できることが判る。特に、凹部の開口面積比が20〜70%の範囲で摩耗量が少なくなっており、より好ましいと言える。
電動パワーステアリング装置の一例を示す一部断面構成図である。 図1のAA断面図であり、電動モータと減速機構との連結部周辺を示す概略構成図である。 ウォームホイール及びウォームの一例を示す斜視図である。 図3の部分拡大図である。 実施例で得られた、駆動歯車の凹部の開口面積比と摩耗量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 芯管
3 樹脂部
8 接着剤
10 ギア歯
11 ウォームホイール
12 ウォーム
13 歯部
14 凹部
15 潤滑剤含有ポリマー
50 ステリングコラム
70 ステアリングシャフト
80 トーションバー
90 軸受
91 軸受
100 電動モータ
110 転がり軸受
120 ハウジング
130 ダンパー

Claims (2)

  1. 電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置であって、
    前記減速歯車機構の従動歯車が、金属製芯管の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギア歯が形成された樹脂部を一体に設けてなり、かつ、
    駆動歯車が、金属製で、歯面の前記従動歯車のギア歯と接触する位置に形成された凹部にポリオレフィン系ポリマーと潤滑油とからなる潤滑剤含有ポリマーを充填してなり、
    グリース潤滑されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記駆動歯車の凹部の開口面積が、該駆動歯車と前記従動歯車との最大接触面積に対し20〜70%であることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010270607A (ja) * 2009-05-19 2010-12-02 Denso Corp バルブリフト可変機構用駆動装置
CN108027041A (zh) * 2015-09-16 2018-05-11 捷太格特欧洲公司 与用于动力转向的内置润滑器集成的减速齿轮

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