JP2009202754A - 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構 - Google Patents

電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構 Download PDF

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Abstract

【課題】吸水寸法変化を抑制することができ、また、機械的強度、耐久性、及び耐摩耗性を向上することができる電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構を提供する。
【解決手段】減速ギヤ機構40は、金属製芯管42の外周部に5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤ43を一体に形成したウォームホイール31を備え、ギヤ43のギヤ歯44の歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有するRa0.05μm〜2μmの表面粗さ面を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動モータの出力をステアリングシャフトに減速して伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構に関する。
自動車等に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高速回転、低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速ギヤ機構が組み込まれている。この減速ギヤ機構としては、平歯車その他の歯車使用したものも知られているが、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、ウォームとウォームに噛み合うウォームホイールとから構成される減速ギヤ機構を使用するのが一般的である。ここで、ウォームは電動モータの回転軸に連結される駆動ギヤであり、ウォームホイールは従動ギヤである。
このような減速ギヤ機構では、ウォームホイールとウォームの両方を金属製にすると、ステアリングホイールの操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合を生じることから、従来においては、ウォームを金属製とした場合は、ウォームホイールとして、金属製の芯管の外周部に樹脂製のギヤを一体に形成したものを使用することで騒音対策を行っている。また、このような樹脂製のギヤを備えるウォームホイールを用いることで、電動パワーステアリング装置の軽量化を図ることもできる。
上記樹脂製のギヤを形成する樹脂組成物としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維補強材を配合したものが広く使用されている。また、補強材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン(登録商標)、ポリアミド6、ポリアミド66等も用いられているが、近年では、耐疲労性、寸法安定性やコストを考慮して、繊維補強材を含有しないMCナイロン(登録商標)や、繊維補強材としてガラス繊維を含有するポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が使用される(例えば、特許文献1参照)。
また、ウォームとウォームホイールとの摺接面の潤滑性を良好にして歯面の摩耗を低減することを目的として、ウォーム及びウォームホイールの少なくとも一方の歯面に油溜まり部を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公平6−60674号公報 特開平8−226526号公報
しかしながら、上記特許文献1では、脂肪族ポリアミド系材料は、耐疲労性に優れるものの、吸水性が高いため、ウォームホイールの樹脂製のギヤが水分を吸収して膨潤し、樹脂製のギヤとウォームとの間に存在していた隙間が無くなり、ウォームを圧迫する可能性があった。そして、ウォームホイールがウォームを圧迫すると、減速ギヤ機構の抵抗が大きくなり、結果として、ステアリングホイールの操作が重くなったり、圧迫によりギヤ部が摩耗や破損を起こしたりする可能性があった。
また、近年では大型車にまで電動パワーステアリング装置が適用されており、それに伴って電動モータの出力が大きくなり、結果として減速ギヤ機構に作用する伝達トルクが大きくなる傾向にある。しかし、省スペースの関係でギヤ径をそれほど大きくすることはできず、ウォームホイールの樹脂製のギヤに高面圧が加わるようになってきている。
一方、上記特許文献2では、樹脂の摩耗粉或いはギヤの摩耗粉は潤滑剤に混入して油溜まり部に溜まり、再び潤滑の用に供されても問題ないが、ガラス繊維の摩耗粉が混入したグリース等は研磨ペーストのように作用し、摩耗を促進することがある。また、通常、樹脂摩耗粉が先に発生して油溜まり部に溜まった後、ガラス繊維の摩耗粉が発生するため、油溜まり部から先に供給されるのは、ガラス繊維の摩耗粉が多く含まれる潤滑剤となる。さらに、油溜まり部による過大な凹凸面は、機械的な引っ掛かり等の要因となっていた。
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、吸水寸法変化を抑制することができ、また、機械的強度、耐久性、及び耐摩耗性を向上することができる電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)電動モータの出力をステアリングシャフトに減速して伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構において、金属製芯管の外周部に一体に形成され、5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤを備え、ギヤの歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
(2)電動モータの出力をステアリングシャフトに減速して伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構において、5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤを備え、ギヤの歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
(3)ギヤは、ウォームホイール、はすば歯車、平歯車、かさ歯車、及びハイポイドギヤのいずれかであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
(4)表面粗さ面の算術平均粗さが、Ra0.05μm〜2μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
本発明の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構によれば、ギヤの樹脂部分が5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるため、減速ギヤ機構の吸水寸法変化を抑制することができ、また、減速ギヤ機構の機械的強度及び耐久性を向上することができる。
また、本発明の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構によれば、ギヤの歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成するため、ギヤの表面粗さ面の凹部に保持される潤滑剤が、相手部材との接触面に供給され、且つ摩耗粉がギヤの表面粗さ面の凹部に逃げて容易に排出される。これにより、繊維状充填剤により機械的強度を向上した場合であっても、相手部材に対する摩擦力が小さくなるので、減速ギヤ機構の耐摩耗性を向上することができる。
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置10は、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとで構成される舵輪軸(ステアリングシャフト)11を備えており、この舵輪軸11は、舵輪軸ハウジング12の内部に軸芯回りに回転可能に支持される。舵輪軸ハウジング12は、車室内部の所定位置に、その下部を前方に向けて傾斜した状態に固定される。
また、上部舵輪軸11aの上端には、不図示の舵輪が固定されている。さらに、上部舵輪軸11aと下部舵輪軸11bとは、不図示のトーションバーにより結合されており、舵輪から上部舵輪軸11aを経て下部舵輪軸11bに伝達される操蛇トルクがトーションバーに検出され、検出された操蛇トルクに基づいて減速装置30の電動モータ13の出力が制御される。
舵輪軸11の下端には、継手25,26を介してラック・ピニオン式運動変換機構20が取り付けられる。このラック・ピニオン式運動変換機構20は、長手方向を車両の左右方向として車両前部のエンジンルーム内に略水平に配置され、軸方向に移動自在なラック軸21と、ラック軸21の軸芯に対して斜めに支持されてラック軸21の歯部に噛合する歯部を有するピニオンを含むピニオン軸22と、ラック軸21とピニオン軸22を支承する筒状のラック軸ケース23と、を備える。
減速装置30内には、本実施形態の減速ギヤ機構40が組み込まれている。減速ギヤ機構40は、ウォームホイール31と、ウォームホイール31が噛合するウォーム32と、を備え、ギヤケース33に収納される。また、ウォーム32の両端部には、ウォーム軸32a,32bが一体に形成されており、ウォーム軸32a,32bは、軸受部34a,34bを介して回転可能に支持され、ウォーム軸32aは、電動モータ13の駆動軸13aにスプライン或いはセレーション結合される。そして、ウォームホイール31の芯管42が下部舵輪軸11bに結合され、電動モータ13の回転力がウォーム32及びウォームホイール31を経て下部舵輪軸11bに減速されて伝達される。
ウォームホイール31は、図3に示すように、金属製の芯管42の外周部に繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤ43が一体に形成される。また、ギヤ43のギヤ歯44の歯面には、ウォーム32との噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面が形成される。なお、ギヤ歯44の歯面のすべり方向とは、図3の矢印Aに沿う方向のことである。また、本実施形態では、ウォーム32の材質は特に限定されず、例えば、金属製とすることができる。
ウォームホイール31のギヤ43を形成するベース樹脂は、特に限定されるものではないが、耐疲労性を優先する場合は、ポリアミド6やポリアミド66、ポリアミド46等の脂肪族ポリアミドが好適である。また、吸水による寸法変化を抑えることを優先する場合は、変性ポリアミド6Tやポリアミド9T等の芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PSS)、液晶ポリマー等が好適である。これらの樹脂は、組み合わせて使用してもよい。さらに、これらの樹脂に、酸無水物で変性されたポリオレフィンをブレンドすることで低吸水化を図ることができ、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム(EPDM)やアクリルゴム、ニトリルゴム等のゴム状物質をブレンドすることで耐衝撃性の向上を図ることができる。
また、上記ベース樹脂は、生産性を考慮して、繊維状充填剤を含有した状態で射出成形が可能となる分子量とすることが好ましい。具体的には、数平均分子量で13000〜30000が好ましく、更に耐疲労性や成形性等を考慮すると、数平均分子量で18000〜26000がより好ましい。数平均分子量が13000未満では、分子量が低すぎて耐疲労性が悪く、実用性が低い。これに対して、数平均分子量が30000を越える場合は、繊維状充填剤を規定量含有した状態での溶融粘度が高すぎ、精度よく射出成形で製造することが困難になる。
また、本実施形態の繊維状充填剤の含有率は、ギヤ43を形成する樹脂組成物の全量の5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。繊維状充填剤の含有率が5重量%未満では、補強効果が少なく、50重量%を越える場合は、射出成形に適した流動性が得られないばかりでなく、相手部材のウォーム32が損傷し易くなると共に、ウォーム32の摩耗が大きくなり、減速ギヤ機構40の耐久性が低下する可能性がある。
本実施形態の繊維状充填剤としては、ベース樹脂との接着性を考慮して、片末端にエポキシ基やアミノ基等を有するシランカプッリング剤、或いはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系等のサイジング剤で表面処理したものが好ましい。シランカップリング剤やサイジング剤は、ベース樹脂の種類に応じて選択され、例えば、エポキシ基やアミノ基等含有するシランカップリング剤は、エポキシ基やアミノ基がポリアミド樹脂のアミド結合に作用して補強効果を向上させる。
なお、繊維状充填剤は、ギヤ43において、300〜900μmの繊維長を有することが好ましく、550〜600μmの繊維長であることがより好ましい。繊維長が300μm未満では、補強効果及び寸法安定効果が少なく、好ましくない。一方、ベース樹脂との混練、射出成形を行う過程で900μmを越えるような長い繊維状態を維持するのは困難であり、繊維長の上限は製造工程に由来して設定した値である。このような繊維長とするには、混練条件や成形条件を調整すればよい。
また、繊維状充填剤は、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム、ウォラストナイトなどの無機物質から選ばれる少なくとも一つを用いることができる。さらに、ベース樹脂には、カーボンブラックやベンガラ等の着色剤等を添加してもよく、耐熱性が十分ではないベース樹脂を用いる場合には、成形時及び使用時の熱による劣化を防止するためにヨウ化物系熱安定化剤やアミン系酸化防止剤を、それぞれ単独あるいは併用して添加することが好ましい。
そして、本実施形態のウォームホイール31は、例えば、次の工程で製造することができる。
まず、金属製の芯管42の外周面に、ショットブラスト加工、ローレット加工、スプライン加工等を施す。この場合、ローレット加工及びスプライン加工が好ましく、また、ローレット加工のV字状溝の深さは0.2〜0.8mmが好ましく、0.3〜0.7mmがより好ましい。一方、スプライン加工では、プレス成形で加工可能なインボリュートスプライン加工が低コストで最も好適である。
次いで、芯管42を溶剤で脱脂した後、この芯管42をスプルー及びディスクゲートを装着した金型に配置し、射出成形機により上記樹脂組成物を充填してギヤ43を成形する。その後、ギヤ43の外周部に切削加工によりギヤ歯44を形成すると共に、ギヤ歯44の歯面に、ウォーム32との噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成する。
ギヤ歯44の歯面に上記表面粗さ面を形成する方法としては、例えば、ウォーム32に砥粒を電着してウォームホイール31を加工する方法や、粗加工で歯切りしたウォームホイール31とウォーム32とを用意し、両者の間に砥粒を含むペースト等を供給して共削りする方法などを採用してもよい。砥粒は、いずれの場合も♯1000〜♯30000程度の粒度のものを用いる。ウォームホイール31とウォーム32とを用いて共削りする場合は、その組み合わせのままで電動パワーステアリング装置に組み付けるのが好ましい。
次に、本発明の効果を確かめるため、ウォームホイール31及びウォーム32をそれぞれ平板材及び球材に置き換えて、一定荷重のもとで摺動による摩擦試験を行い、摩擦・摩耗特性の評価を行った。
試験条件は次の通りである。
・球材(ウォームに相当):3/8inch SUJ2(Ra0.15μm)
・平板材(ウォームホイールに相当):ポリアミド66(無機フィラー40重量%)
・垂直荷重:49N
・摺動速度:10m/s
・摺動距離:5m(往復10m)
・往復回数:5万回(総すべり距離:500m)
・雰囲気:グリース潤滑
図4に、平板材に形成される表面粗さ面の表面粗さがRa1.2μmのときの球材の摺動回数nと摩擦係数μの経時変化を測定した結果を示す。この結果より、摩擦係数μは、平板板の表面粗さ面の形成方向に対して球材が平行に摺動した方が、直交に摺動した場合と比較して小さく、また、ほぼ一定の値を示し安定していることがわかった。
次に、図5に、平板材の表面粗さ面の表面粗さRaを変化させ、その表面粗さ面の形成方向に対して球材を平行及び直交に摺動させる摩擦試験を行い、その後の摩耗痕深さdを測定した結果を示す。この結果より、摩耗痕深さdは、平板材の表面粗さ面の形成方向に対して球材が平行に摺動した方が、直交に摺動した場合と比較して小さく、また、バラツキも小さいことがわかった。
これらの結果は、平板材の表面粗さ面の形成方向に対して球材が平行に摺動した場合、摩擦方向に対して平行に存在する表面粗さ面の相手部材と接触していない凹部よりグリースが2固体の接触界面に供給されること、及び接触界面より生成される摩耗粉などの異物が、摺動方向と同じ方向、即ち、平行に存在する表面粗さ面の凹部に逃げ、相手部材との摺動により摩擦域より排出されるためと考えられる。
但し、平板材の表面粗さ面の表面粗さが大きい場合、表面粗さ面の凸部が積極的に荷重を受けるため、凸部が塑性変形してバックラッシュが増加してしまう。このため、平板材の表面粗さはRa2μm以下である必要がある。また、平板材の表面粗さ面の表面粗さがRa0.05μm未満の場合、接触界面へのグリース供給機能や接触界面に生成される摩耗粉を排出機能が損なわれるため摩耗が増加してしまう。このため、平板材、即ち、ウォームホイール31の歯面の表面粗さはRa0.05μm〜2μmである必要がある。
以上説明したように、本実施形態の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構によれば、ウォームホイール31のギヤ43が5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるため、減速ギヤ機構40の吸水寸法変化を抑制することができ、また、減速ギヤ機構40の機械的強度及び耐久性を向上することができる。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構によれば、ギヤ43のギヤ歯44の歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有するRa0.05μm〜2μmの表面粗さ面を形成するため、ギヤ43のギヤ歯44の表面粗さ面の凹部に保持される潤滑剤が、相手部材であるウォーム32との接触面に供給され、且つ摩耗粉がギヤ43のギヤ歯44の表面粗さ面の凹部に逃げて容易に排出される。これにより、繊維状充填剤により機械的強度を向上した場合であっても、ウォーム32に対する摩擦力が小さくなるので、減速ギヤ機構40の耐摩耗性を向上することができる。
なお、本実施形態では、減速ギヤ機構40を構成するギヤとしてウォームホイールを例示したが、これに限定されず、はすば歯車、平歯車、かさ歯車、及びハイポイドギヤなどのギヤを本発明に適用してもよい。
また、本実施形態では、芯管42の外周部にギヤ43を形成したウォームホイール31を例示したが、これに限定されず、ウォームホイール31は、芯管42を用いず、その全体が上記樹脂組成物で形成されていてもよい。
次に、実施例1,2及び比較例1,2のウォームホイールについて、寸法安定性評価及び耐久性評価を行った。
(実施例1)
溝の深さ0.5mmのローレット加工を施した外径65mm、幅16mmのS45C製の芯管をコアとして、芯管の外周部にポリアミド66+ガラス繊維25重量%の樹脂組成物をインサート成形し、内径64mm、外径84mm、幅15.5mmのブランク材を作製した。さらに、ブランク材の外周部にギヤ歯を形成すると共に、ギヤ歯の歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を切削加工により形成し、図3に示すようなウォームホイールを作製した。なお、その際の表面粗さ面の表面粗さはRa1.0μmとした。
(実施例2)
芯管の外周部にインサート成形される樹脂組成物をポリアミド66+ウォラストナイト40重量%とした以外は、実施例1と同様にしてウォームホイールを作製した。
(比較例1)
ギヤ歯の歯面に、噛み合いによるすべり方向と直交した方向性を有する表面粗さ面を切削加工により形成した以外は、実施例1と同様にしてウォームホイールを作製した。
(比較例2)
芯管の外周部にインサート成形される樹脂組成物を繊維状充填剤による強化を行っていないポリアミド66とした以外は、比較例1と同様にしてウォームホイールを作製した。
(1)寸法安定性評価
作製したウォームホイールを次の条件A又は条件Bの環境下に放置し、100時間、500時間経過後のギヤ外径寸法の変化量を測定した。結果を表1に示すが、いずれの環境条件においても、変化量が40μm以下を合格として「○」で表示し、40μmを越えるものを不合格として「×」で表示した。
・条件A:50℃、90%RH
・条件B:80℃、90%RH
(2)耐久性評価
作製したウォームホイールを実際の自動車の電動パワーステアリング装置の減速ギヤ機構に組み込み、摩耗やクリープによる変形を評価するため、次の条件C又は条件Dで操蛇操作を繰り返し、耐久性を評価した。結果を表1に示すが、いずれの条件下においても10万回の操蛇操作に耐え得るときを合格として「○」で表示し、10万回の操蛇操作に耐えられないときを不合格とし「×」で表示した。
・条件C:50℃、90%RH
・条件D:80℃、90%RH
Figure 2009202754
表1の寸法安定性評価から明らかなように、実施例1,2及び比較例1では、吸水による寸法変化が抑制されることがわかった。これは、ポリアミド66は、本来、吸水による寸法変化が大きい樹脂であるが、繊維状充填剤であるガラス繊維やウォラストナイトを配合することにより寸法変化量が減少したと考えられる。
表1の耐久性評価から明らかなように、実施例1,2は、比較例1と比較して耐久性が向上していることがわかった。これは、すべり方向と略平行に存在する表面粗さ面の相手部材と接触していない凹部に保持されるグリースが接触界面に供給されること、及び接触界面より生成される摩耗粉などの異物が、すべり方向に略平行に存在する表面粗さ面の凹部に逃げ、摩擦域より容易に排出されるためと考えられる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構の一実施形態が適用される電動パワーステアリング装置を説明するための概略構成図である。 図1に示す電動パワーステアリング装置に組み込まれる減速装置を説明するための部分断面図である。 図2に示す減速ギヤ機構を説明するための斜視図である。 摺動回数nと摩擦係数μとの関係を示すグラフ図である。 表面粗さRaと摩耗痕深さdとの関係を示すグラフ図である。
符号の説明
10 電動パワーステアリング装置
11 舵輪軸
12 舵輪軸ハウジング
13 電動モータ
20 ラック・ピニオン式運動変換機構
21 ラック軸
22 ピニオン軸
30 減速装置
31 ウォームホイール
32 ウォーム
40 減速ギヤ機構
42 芯管
43 ギヤ
44 ギヤ歯

Claims (4)

  1. 電動モータの出力をステアリングシャフトに減速して伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構において、
    金属製芯管の外周部に一体に形成され、5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤを備え、
    前記ギヤの歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
  2. 電動モータの出力をステアリングシャフトに減速して伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構において、
    5〜50重量%の繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなるギヤを備え、
    前記ギヤの歯面に、噛み合いによるすべり方向と略平行な方向性を有する表面粗さ面を形成することを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
  3. 前記ギヤは、ウォームホイール、はすば歯車、平歯車、かさ歯車、及びハイポイドギヤのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
  4. 前記表面粗さ面の算術平均粗さが、Ra0.05μm〜2μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ機構。
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