JP2006022234A - 酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体 - Google Patents

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Abstract


【課題】 ゲル含有量が少なく接着性に優れる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を提供する。
【解決手段】 ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の水酸基モル量に対して環状酸無水物を酸無水物基の基準で0.5〜10倍モル量の割合で添加して、30〜250℃の温度で加熱して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゲル含有量が少なく接着性に優れる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体に関する。
エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体に代表されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、各種成形性、機械的物性、耐候性、耐熱性などに優れるため、自動車部品、家電製品、事務機器など多くの分野において用いられている。
しかし、エチレン−α−オレフィン系共重合体は分子内に極性官能基を有していないため、他の物質との親和性に乏しく、接着性などが著しく劣るという欠点を有している。
このような欠点を補うために、有機過酸化物などのラジカル発生剤の存在下、エチレン−α−オレフィン系共重合体にマレイン酸や無水マレイン酸などの酸基含有ビニル単量体をグラフト化して酸変性する方法が試みられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、エチレン−α−オレフィン系共重合体は通常、有機過酸化物により容易に架橋反応を起こす性質があり、前述の方法において接着性を向上させるため酸変性量を増加させようとすると、ゲルの生成量が多くなったり、ムーニー粘度が著しく高くなったりして、エチレン−α−オレフィン系共重合体が本来有する物性や加工性が損なわれたりする問題があった。
特開昭52−49289号公報(第1〜2頁)
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。
本発明の目的は、ゲル含有量が少なく接着性に優れる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ビニル単量体を使用することなく、特定の過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体と環状酸無水物を反応させることにより、ゲル含有量が少なく接着性に優れる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第1の発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の水酸基モル量に対して環状酸無水物を酸無水物基の基準で0.5〜10倍モル量の割合で添加して、30〜250℃の温度で加熱して得られる。
第2の発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、第1の発明の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用いて、該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度から1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である。
第3の発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、第1の発明の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用い、さらにラジカル発生官能基の基準で該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対して該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を0.001〜1モルの範囲で用いて、該ラジカル発生剤の10時間半減期温度から該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である。
第4の発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、第1〜3の発明のいずれかの酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が1kgあたり0.001〜1モルのカルボン酸基を有し、かつそのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10〜250である酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体である。
第1の発明では、特定の過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体と環状酸無水物との反応を利用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体であるため、ゲル含有量が少なく接着性に優れる。
第2の発明では、第1の発明において、特定の過酸化物を特定量使用して、特定の温度条件で加熱して変性された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体と環状酸無水物との反応を利用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体であるため、よりゲル含有量が少なく接着性に優れる。
第3の発明では、第1の発明において、特定の過酸化物と特定のラジカル発生剤を特定量使用して、特定の温度条件で加熱して変性された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体と環状酸無水物との反応を利用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体であるため、よりゲル含有量が少なく接着性に優れる。
第4の発明では、第1〜第3の発明において、得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が特定範囲の酸価とムーニー粘度を有するため、よりゲル含有量が少なく接着性に優れる。
以下に、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物、またはヒドロペルオキシ基含有過酸化物とヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤とを組み合わせ用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体に対して環状酸無水物を反応させることにより得られる。
本発明の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際に使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、エチレンとα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であり、エチレン−α−オレフィンの二元共重合体およびエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンの三元共重合体が好ましい。
α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プロピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコサン−1などの、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
α−オレフィンの中で、好ましいのはプロピレンである。プロピレンを含む単量体混合物を共重合したエチレン−α−オレフィン系共重合体からは水酸基を効率よく導入した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が多くなり接着性が高まる。
また、非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
これら非共役ジエンの中で好ましいのは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,9−デカジエンであり、特に好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
本発明において、エチレン−α−オレフィン系共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体が適している。これらのエチレン−α−オレフィン系共重合体を使用すると水酸基が効率よく導入された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が多くなり接着性が高まる。
本発明において、エチレン−α−オレフィン系共重合体中の各成分の使用割合は、特に限定されないが、各成分の重量分率(エチレン/α−オレフィン/非共役ジエンの順に表示)が、0.2〜0.8/0.2〜0.8/0〜0.2であるエチレン−α−オレフィン系共重合体が好ましい。非共役ジエンの割合が0.2を超える場合、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際に架橋反応が起り易くなり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体はゲル生成量が多くなり接着性が低下する傾向にある。
本発明において使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10〜250が好ましく、15〜200がより好ましい。
ムーニー粘度が10未満の場合には、水酸基が効率よく導入された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得るのが困難となり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が少なくなり接着性が低下する傾向にある。
一方、ムーニー粘度が250を超える場合には、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際に架橋反応が起り易くなり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体はゲル生成量が多くなり接着性が低下する傾向にある。
エチレン−α−オレフィン系共重合体の具体例としては、JSR(株)製のJSR−EP、三井化学(株)製の三井EPT、住友化学工業(株)製のエスプレン、(株)デュポン・ダウ・エラストマーズ製のノーデルなどが挙げられる。
本発明において使用されるヒドロペルオキシ基含有過酸化物は化学構造式で表すと、分子中に−OOH基を有する過酸化物であり、例えば、過酸化水素;メチルエチルケトンペルオキシド(109℃、171℃)、シクロヘキサノンペルオキシド(97℃、174℃)、メチルシクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド(167℃、261℃)、t−アミルヒドロペルオキシド(164℃、258℃)、t−ヘキシルヒドロペルオキシド(160℃、251℃)、t−オクチルヒドロペルオキシド(153℃、247℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシヘキサン(154℃、248℃)、クメンヒドロペルオキシド(158℃、254℃)、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド(145℃、233℃)、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド(154℃、253℃)、パラメンタンヒドロペルオキシド(128℃、200℃)、ピナンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;過安息香酸、メタクロロ過安息香酸などの有機過酸などが挙げられる。
上記( )中に記載された2つの温度は、前者が10時間半減期温度で、後者が1分間半減期温度である。10時間半減期温度、1分間半減期温度は、それぞれ10時間、1分間で過酸化物初期濃度の半分の濃度になる温度であり、ベンゼンなどの希薄溶液中で実験し求めることができる。これら過酸化物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
これらのヒドロペルオキシ基含有過酸化物の中で、ヒドロペルオキシドが好ましく、特にt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−オクチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドは、エチレン−α−オレフィン系共重合体に対して分散ないし溶解し易く、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際、水酸基の導入効率が高くなる。これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が多くなり接着性が高まる。
本発明において、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量は、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量が0.1重量部未満の場合には、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体において水酸基の導入量が少なくなり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が少なくなり接着性が低下する傾向にある。
一方、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量が20重量部を超える場合には、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際に架橋反応が起り易くなり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体はゲル生成量が多くなり接着性が低下する傾向にある。
上述のヒドロペルオキシ基含有過酸化物は、純品形態の他にトルエン、クメン、水などの溶媒や、シリカなどの不活性固体で希釈した状態で使用することができる。
本発明において、上述のヒドロペルオキシ基含有過酸化物と、該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度以下の10時間半減期温度を有するラジカル発生剤とを併用すると、変性する際の加熱温度を低く設定でき、水酸基を効率よく導入した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が多くなり接着性が高まる。
このラジカル発生剤としては、好ましいのは10時間半減期温度が135℃以下および1分間半減期温度が195℃以下のラジカル発生剤、より好ましくは10時間半減期温度が30〜130℃および1分間半減期温度が90〜190℃のラジカル発生剤である。
10時間半減期温度が135℃以下および1分間半減期温度が195℃以下のラジカル発生剤の具体例としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド(124℃、186℃)、ジ−t−ヘキシルペルオキシド(116℃、177℃)、t−ブチルクミルペルオキシド(120℃、173℃)、ジクミルペルオキシド(116℃、175℃)、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(119℃、175℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(118℃、180℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(128℃、194℃)などのジアルキルペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート(105℃、173℃)、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン(103℃、160℃)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(91℃、154℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン(87℃、149℃)、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90℃、149℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(87℃、147℃)、などのペルオキシケタール;t−ブチルペルオキシベンゾエート(104℃、167℃)、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート(99℃、160℃)、t−ブチルペルオキシアセテート(102℃、160℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トリルペルオキシ)ヘキサン(99℃、156℃)、t−ブチルペルオキシラウレート(98℃、159℃)、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(97℃、166℃)、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド(96℃、168℃)、t−ブチルペルオキシイソブチレート(77℃、136℃)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(72℃、134℃)、t−ブチルペルオキシピバレート(55℃、110℃)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(46℃、104℃)、クミルペルオキシネオデカノエート(37℃、94℃)などのペルオキシエステル;t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(99℃、161℃)、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(99℃、159℃)、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(95℃、155℃)などのペルオキシモノカーボネート;ベンゾイルペルオキシド(74℃、130℃)、4−メチルベンゾイルペルオキシド(71℃、128℃)、ラウロイルペルオキシド(62℃、116℃)、3,3,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド(59℃、113℃)などのジアシルペルオキシド;ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート(44℃、91℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(41℃、92℃)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート(41℃、92℃)、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(41℃、88℃)などのペルオキシジカーボネート;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(64℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカーボニトリル)(88℃)、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル(82℃)などのアゾ化合物が挙げられる。
上記( )内に記載された2つの温度は、前者が10時間半減期温度で、後者が1分間半減期温度である。但し、アゾ化合物については、10時間半減期温度のみ記載した。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
これらラジカル発生剤の中では有機過酸化物が好ましく、特にラジカル発生効率(ラジカル中の有効に作用するラジカルの割合)が高く、かつ水素引抜き能の高い有機過酸化物がより好ましい。
例えば、好ましい有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、4−メチルベンゾイルペルオキシド、ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートが挙げられる。
また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物とラジカル発生剤の組合せの具体例として、t−ブチルヒドロペルオキシド/ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド/ジクミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド/1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルヒドロペルオキシド/ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、クメンヒドロペルオキシド/1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、クメンヒドロペルオキシド/ベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
上述のラジカル発生剤の使用量は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対してラジカル発生官能基の基準で0.001〜1モルであり、好ましくは0.01〜0.8である。
0.001モル未満の場合には、ラジカル発生剤を併用する効果が小さくなるおそれがある。一方、1モルを超えると、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際に架橋反応が起り易くなり、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体はゲル生成量が多くなり接着性が低下する傾向にある。
なお、ここでラジカル発生官能基とは、例えば、ラジカル発生剤が有機過酸化物の場合にはペルオキシ結合を示し、またアゾ化合物の場合にはアゾ結合を示す。
本発明において、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性する方法は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物が分解してラジカルを発生するような条件で行われ、加熱処理する方法、紫外線などの活性エネルギー線を照射する方法、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの還元剤を作用させる方法が挙げられる。
これらの中で、加熱処理する方法が好ましい。特に、エチレン−α−オレフィン系共重合体にヒドロペルオキシ基含有過酸化物、またはヒドロペルオキシ基含有過酸化物および該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度以下の10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を組合せて添加し、加熱処理する方法は、水酸基を効率よく導入した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを使用して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は酸基含有量が多くなり接着性が高まる。
各成分を添加する方法は、特に限定されず、公知の全ての手段を適用できる。その具体例としては、例えば、ヘンシェルミキサーのような物理的に混合する装置を使用する手段や、溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロメタン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素を使用して溶液状態にする手段や、一軸あるいは二軸押出機、ロール、ニーダー、ニーダールーダー、バンバリーミキサーなどを用いて混練する手段が挙げられる。
これらの中では、経済性、均一混合性、および溶媒への水酸基導入反応などの溶媒が関与する副反応を回避できる点から、混練して混合物を調製する方法が好ましい。
加熱する手段は特に限定されないが、例えば、加熱プレスを利用する手段が挙げられる。
また、混練装置を利用する場合には、混練する手段と加熱する手段とを組み合わせることもできる。なお、その際、加熱する時期としては混練と加熱を同時に行なう場合や、混練後に加熱する場合など、適宜行うことが可能である。また、混練時に十分なせん断熱が発生する場合は、その熱を加熱手段として利用することもできる。
ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を単独使用する場合における加熱時の温度範囲は、使用するヒドロペルオキシ基含有過酸化物の種類に依存し、通常ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間である。ただし、300℃を越えるとエチレン−α−オレフィン系共重合体の分解が起こる可能性があるので加熱時の温度は300℃以下が好ましく、より好ましい温度範囲は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物が効率よく分解し、かつエチレン−α−オレフィン系共重合体の流動性が高まり、水酸基導入反応が効率よく進行する140〜250℃の温度範囲である。
加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度より低い場合には、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の分解速度が遅いため、水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、一方、加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはヒドロペルオキシ基含有過酸化物が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、物性や接着性に優れた酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得るのは困難となる。
また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物と前記ラジカル発生剤とを併用する場合における加熱時の温度範囲は、使用するヒドロペルオキシ基含有過酸化物およびラジカル発生剤の種類に依存し、通常ラジカル発生剤の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間である。
好ましい温度範囲は、ラジカル発生剤の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度よりも10℃低い温度の間である。
加熱時の温度が、ラジカル発生剤の10時間半減期温度より低い場合にはラジカル発生剤のラジカル発生速度が遅いため、エチレン−α−オレフィン系共重合体への水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはラジカル発生剤が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、接着性に優れた酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得るのは困難となる。
本発明で使用される水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、1kgあたり、0.001〜1モルの水酸基を有するものが好ましく、0.005〜1モルがより好ましく、特に0.01〜0.5モルを有するものが好ましい。また、粘度はムーニー粘度(ML1+4、100℃)で10〜250が好ましく、15〜200がより好ましく、特に20〜100が好ましい。
このような範囲にある水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、加工性、物性、接着性のバランスに優れた酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を与えることができる。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、前述の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体に対して環状酸無水物を反応させることにより得られる。
環状酸無水物とは、多価カルボン酸の分子内無水物であり、飽和または不飽和の脂肪族多価カルボン酸無水物、脂環式多価カルボン酸無水物、芳香族多価カルボン酸無水物など、あるいはこれらの一部が飽和または不飽和の炭化水素基、芳香環基、ハロゲン原子、複素環基などで置換されたものがある。
これらの具体例としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸(メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが挙げられる。
これらの中で、反応性が高く、効率よく酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を与えることができる無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸が好ましい。
本発明において、環状酸無水物の使用量は、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の水酸基モル量に対して、通常酸無水物基の基準で0.5〜10倍モル量、好ましくは1〜5倍モル量の範囲である。
環状酸無水物の使用量が酸無水物基の基準で0.5倍モル量未満の場合には、得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体において酸基含有量が少なくなり、接着性が低下する傾向にある。一方、環状酸無水物の使用量が酸無水物基の基準で10倍モル量を超える場合には、未反応の環状酸無水物が残存し、酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が低下する傾向にある。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る方法としては、溶媒を使用せずに混練状態で行う方法、溶媒を使用して溶液状態で行う方法の何れも可能である。
混練状態で反応を行なう場合には、通常の混錬装置を利用することができる。混錬装置の例としては、例えば、一軸あるいは二軸押出機、ロール、ニーダー、ニーダールーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
また溶液状態で反応を行なう場合には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロメタン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素が溶媒として使用される。
上記方法のうち、溶液状態で行う方法は、多量の溶媒を使用する必要があり経済性に欠けることから、混練状態で行う方法が好ましい。
反応温度は、通常、30〜250℃であり、好ましくは50〜220℃である。30℃未満では混練が不十分となり効率良く反応が進行しない傾向にある。一方、250℃を越えると酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が低下したりゲル生成量が多くなる傾向にある。
なお、本発明においては、反応を促進させるために、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどの塩基性触媒を添加することも可能である。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、1kgあたり、好ましくは0.001〜1モル、より好ましくは0.005〜1モルの酸基を有し、100℃でのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が好ましくは10〜250、より好ましくは15〜200である。このような範囲にある酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は成形性、物性、接着性のバランスに優れる。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、その用途に応じて所望の性能を付与させるため、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーや熱可塑性樹脂、充填剤、老化防止剤、発泡剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、着色剤などを配合することができる。
エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;前述のエチレン−α−オレフィン系共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水添アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴムが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体などのポリオレフィン系樹脂;AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂;MMA樹脂を初めとするアクリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂などのビニル系樹脂;ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
老化防止剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩などのイミダゾール系老化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系老化防止剤;4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどのフェノール系老化防止剤;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミンなどのアミン系老化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニルホスファイト)などのリン系老化防止剤が挙げられる。
発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
軟化剤としては、例えば、アロマティク系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなどの石油系軟化剤;ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ロウ油などの植物系軟化剤などが挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル、リン酸トリブチルなどのリン酸エステルなどが挙げられる。
滑剤としては、流動パラフィンなどの炭化水素系滑剤、ステアリン酸などの脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤、ステアリン酸ブチルなどのエステル系滑剤、ステアリルアルコールなどのアルコール系滑剤などの化合物、またはこれらの混合物や、金属石鹸などを挙げることができる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。
本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、そのまま使用してもよいが、用途や目的とする物性に応じて、架橋反応させたり、異種のポリマーと混合させたり、混合しながら架橋させて使用される。
例えば、硫黄や有機過酸化物などの架橋剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドやテトラメチルチウラムジスルフィドなどの加硫促進剤、酸化亜鉛などの加硫促進助剤、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの架橋助剤、前述の充填剤などを適宜配合して架橋することにより、各種加硫ゴム製品とすることができる。
また、ポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィンと混合ないし混合しながら架橋することにより、自動車部品や電気部品などに利用できる。また、ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックに添加することにより耐衝撃性を改良できる。
次に、実施例および比較例を挙げて、この発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部、%は特に断らない限り重量部および重量%を示す。また、各例中の略号は以下の化合物を示す。
CHP:クメンヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルH−80、純度:80%、10時間半減期温度:158℃、1分間半減期温度:254℃)
TBHP:t−ブチルヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルH−69、純度:69%、10時間半減期温度:167℃、1分間半減期温度:261℃)
HC:1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキサC、純度:70%、10時間半減期温度:91℃、1分間半減期温度:154℃)
EPDM:エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(JSR(株)製、商品名:JSR EP21、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):38)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MAH:無水マレイン酸
PAH:無水フタル酸
また、物性評価は次の方法で行った。
(1)ムーニー粘度:JIS K 6300−1によりムーニー粘度(ML1+4、100℃)を求めた。
(2)水酸基導入量:加熱フラスコ中にキシレン20ミリリットル、測定対象ポリマー0.5g、無水酢酸0.4g、ジメチルアミノピリジン0.2gを入れた後、攪拌下、約30分間、加熱還流させることによりサンプルの溶解およびアセチル化処理を行った。
次に、そのキシレン溶液を多量のメタノール中に入れてポリマーを再沈殿させた。再沈殿したポリマーを再び熱キシレン中に溶解後、多量のメタノール中に投じて再沈殿させた。再沈殿ポリマーを乾燥した後、フィルム化して、赤外吸収スペクトル(IR)を測定した。水酸基がエステル化されたことに由来する1740cm−1の吸収強度を定量することにより、ポリマーに対する水酸基導入量(mol/kg)を求めた。
(3)ゲル含有量:抽出前重量を測定した後、ソックスレー抽出器を用いて、沸騰キシレンで24時間抽出し、抽出残分を乾燥させる。その秤量値を抽出残分重量として式(ゲル含有量(%)=(抽出残分重量/抽出前重量)×100)に従ってゲル含有量(%)を求めた。
(4)酸基含有量:測定対象ポリマーを熱キシレン中に溶解後、多量のメタノール中に入れてポリマーを再沈殿させた。再沈殿ポリマーを乾燥した後、再度キシレン中に溶解させてから中和滴定により酸価を測定し、酸基含有量(mol/kg)を求めた。
(5)接着強度:測定対象ポリマーを厚さ0.1mmのアルミ箔(日本テストパネル大阪(株)製)により挟んだ状態で、180℃、30MPaの条件下で120×120×0.8mmの金型を使用して圧着させた。そして、厚さ1mmの試験片を25mm幅、長さ120mmに切断し、剥離速度50mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着強度(kg/cm)を測定した。
参考例1(水酸基変性EPDM−1の製造)
200℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部を添加し、樹脂温度が180℃に達するまで混練を継続した。次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却してペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、水酸基変性EPDM−1と略記)を製造した。
次に、前記水酸基変性EPDM−1について、100℃におけるムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例2(水酸基変性EPDM−2の製造)
参考例1においてCHP3.8部の代わりにTBHP2.6部を使用した他は、参考例1に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、水酸基変性EPDM−2と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例3(水酸基変性EPDM−3の製造)
150℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)中にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部とHC0.5部(CHPのヒドロペルオキシ基1モルに対して添加したHCはラジカル発生官能基基準で0.13モルに相当する。)を添加し、樹脂温度が150℃に達するまで混練を継続した。
次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却しペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、水酸基変性EPDM−3と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
実施例1
参考例1で得た水酸基変性EPDM−1(100部)に無水マレイン酸0.5部を添加した後、バンバリーミキサーを用いて、回転数100rpm、100℃の条件で10分間混練することにより酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(酸変性EPDM−1)を得た。
次に、酸変性EPDM−1について、ムーニー粘度、ゲル含有量、酸基含有量および接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
実施例2〜4
実施例1において水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体の種類、環状酸無水物の種類と量を表2の通りに代えた他は、実施例1に準じて実施し、評価を行った。その結果を表2に示す。
比較例1
原料である水酸基変性EPDM−1について、実施例1の方法に準じてゲル含有量および接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
比較例2
参考例3においてCHP3.8部の代わりにMAH2.0部を使用した他は参考例3に準じて実施し、酸変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、酸変性EPDM−Cと略記)を製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
表2の結果より、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体と環状過酸化物との反応により得られる本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、反応前の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(比較例1)に比べ接着性が向上することが明らかとなった。
また、従来の酸基含有ビニル単量体を使用してグラフト変性した酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(比較例2)との比較から、本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体はゲル含有量が少なく接着性に優れることが明らかとなった。
さらに、比較例2の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、変性に使用した原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体に比べ、ムーニー粘度が大きく上昇したのに対し、本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体のムーニー粘度を維持できていることが明らかとなった。すなわち、本発明の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性や加工性を維持できる利点を有している。

Claims (4)

  1. ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の水酸基モル量に対して環状酸無水物を酸無水物基の基準で0.5〜10倍モル量の割合で添加して、30〜250℃の温度で加熱して得られる酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体。
  2. 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用いて、該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度から1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である請求項1に記載の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体。
  3. 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用い、さらにラジカル発生官能基の基準で該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対して該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を0.001〜1モルの範囲で用いて、該ラジカル発生剤の10時間半減期温度から該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である請求項1に記載の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体。
  4. 酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が1kgあたり0.001〜1モルのカルボン酸基を有し、かつそのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10〜250である請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸変性エチレン−α−オレフィン系共重合体。
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