JP2006022237A - ゴム組成物および架橋物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械的強度、耐油性に優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】 α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部と、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)90〜10重量部とからなるゴム組成物。α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)2〜88重量部、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)2〜88重量部とからなるゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、機械的強度および耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物およびその架橋物に関する。
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)に代表されるα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体は耐油性に優れたゴムであるが、耐候性に劣るという欠点を有している。一方、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体に代表されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、耐候性に優れたゴムであるが、耐油性に劣るという欠点を有している。そこで、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体とエチレン−α−オレフィン系共重合体の個々の特長を備えたゴム材料を得るために、両者の混合が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、極性が高いα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体と極性が低いエチレン−α−オレフィン系共重合体は相溶性が悪いため、両者を単に混合・架橋した物は、機械的強度が劣ったり、エチレン−α−オレフィン系共重合体の配合量の増加とともに耐油性が大きく低下する問題があった。
上記欠点を解決するために、極性官能基を有するビニル単量体を用いてグラフト変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体をα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合する方法が提案された。
例えば、無水マレイン酸のような酸無水物基や2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基を有するビニル単量体を用いてグラフト変性したエチレン−プロピレン系共重合体を配合する方法(例えば、特許文献2参照)が開示された。
しかし、極性が高いα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体と極性が低いエチレン−α−オレフィン系共重合体は相溶性が悪いため、両者を単に混合・架橋した物は、機械的強度が劣ったり、エチレン−α−オレフィン系共重合体の配合量の増加とともに耐油性が大きく低下する問題があった。
上記欠点を解決するために、極性官能基を有するビニル単量体を用いてグラフト変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体をα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合する方法が提案された。
例えば、無水マレイン酸のような酸無水物基や2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基を有するビニル単量体を用いてグラフト変性したエチレン−プロピレン系共重合体を配合する方法(例えば、特許文献2参照)が開示された。
しかしながら、前述の極性官能基を有するビニル単量体を使用してグラフト変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体を配合する方法により得られるゴム組成物の架橋物は、従来の未変性のエチレン−α−オレフィン系共重合体を配合した組成物の架橋物に比べ、機械的強度や耐油性の改善効果が認められるが、その効果は小さく、まだ満足できるレベルではなかった。特に、自動車用途を中心にゴム材料への高性能化の要求は一段と厳しいものとなっており、より優れた機械的強度や耐油性を有する材料への要求が高まっている。
また、前記グラフト変性はビニル単量体を介したラジカル反応を利用して行われるので、架橋反応、減成反応、ビニル単量体の単独重合などの副反応を伴ったり、未反応のビニル単量体が残存し易い。そのため、変性時にエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が損なわれたりする。したがって、再現性よく物性が一定の範囲にあるグラフト変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を工業的に生産するのは難しく、安定な供給源として根本的な問題があった。
また、前記グラフト変性はビニル単量体を介したラジカル反応を利用して行われるので、架橋反応、減成反応、ビニル単量体の単独重合などの副反応を伴ったり、未反応のビニル単量体が残存し易い。そのため、変性時にエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が損なわれたりする。したがって、再現性よく物性が一定の範囲にあるグラフト変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を工業的に生産するのは難しく、安定な供給源として根本的な問題があった。
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。
本発明の目的は、機械的強度および耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物およびその架橋物を提供することである。
本発明の目的は、機械的強度および耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物およびその架橋物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ビニル単量体を使用することなく、特定の過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体をα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合した組成物を架橋することにより、機械的強度、耐油性に優れた架橋物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部と、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)90〜10重量部とからなるゴム組成物である。
第2の発明は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)2〜88重量部、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)2〜88重量部とからなるゴム組成物である。
第3の発明は、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用いて、該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度から1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である第1または第2の発明のゴム組成物である。
第4の発明は、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用い、さらにラジカル発生官能基の基準で該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対して該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を0.001〜1モルの範囲で用いて、該ラジカル発生剤の10時間半減期温度から該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である第1または第2の発明のゴム組成物である。
第5の発明は、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が1kgあたり0.001〜1モルの水酸基を有し、かつそのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10〜250である第1〜4の発明のいずれかのゴム組成物である。
第6の発明は、第1〜5の発明のいずれかのゴム組成物を架橋してなる架橋物である。
第1の発明は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体と特定の過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が配合されるため、機械的強度、耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物が得られる。
第2の発明は、第1の発明の組成物にさらにエチレン−α−オレフィン系共重合体が配合されるため、機械的強度、耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物種の範囲を広げることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、特定の過酸化物を特定量使用して、特定の温度条件で加熱して変性された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が配合されるため、より機械的強度、耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物が得られる。
第4の発明は、第1または第2の発明において、特定の過酸化物と特定のラジカル発生剤を特定量使用して、特定の温度条件で加熱して変性された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が配合されるため、より機械的強度、耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物が得られる。
第5の発明は、第1〜4の発明において、特定範囲の水酸基価とムーニー粘度を有する水酸基変性エチレン−α−系重合体が配合されるため、より機械的強度、耐油性に優れた架橋物の材料となるゴム組成物が得られる。
第6の発明は、第1〜5の発明のいずれかのゴム組成物を架橋してなるため、機械的強度、耐油性に優れた架橋物が得られる。そのため、オイルホース、燃料用ホース、ガスホース、ブレーキ用ホース、フレオン用ホースなどのホース類、ホース類のカバー材、ロール、パーキング、ガスケット、O−リング、ベルト、ライニング、オイルシール、ダストブーツなどの工業用、自動車用、航空機用のゴム部品などで使用可能であり、本発明の工業的な利用価値は極めて大きい。
以下に、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)とヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)とからなる組成物、または前記(A)成分、(B)成分、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)とからなる組成物である。
本発明のゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)とヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)とからなる組成物、または前記(A)成分、(B)成分、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)とからなる組成物である。
本発明において使用される(A)成分のα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリルと、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの共役ジエンとの共重合ゴム;これらの共重合ゴムの共役ジエン単位を水素化した水素化共重合ゴム;α,β−エチレン性不飽和ニトリルおよび共役ジエンの2種の単量体、およびこれと共重合可能な単量体の少なくとも1種との多元共重合ゴム;これら多元共重合ゴムの共役ジエン単位を水素化した水素化共重合ゴムなどが挙げられる。
共重合可能な単量体としては、例えば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸あるいはこれらのアルキルエステル、アルコキシアルキルエステル、フルオロアルキルエステル、シアノ置換アルキルエステル;無水イタコン酸、無水マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸無水物;フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル単量体などが挙げられる。
具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリレート共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリレート−メタクリル酸共重合ゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの水素化物(HNBR)などが挙げられる。これらの共重合ゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体の市販品の代表例として、日本ゼオン(株)製のニッポールNBR、JSR(株)製のJSR−NBR、バイエル社(Bayer AG)製のペルブナンN(Perbunan N)、グッドイヤー社(The Goodyear Tire & Rubber Company)製のケミガム(Chemigum)などが挙げられる。
本発明の(B)成分は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物単独、またはヒドロペルオキシ基含有過酸化物とヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体である。
本発明において変性に使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、エチレンとα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体で、エチレン−α−オレフィンの二元共重合体およびエチレン−α−オレフィン−非共役ジエンの三元共重合体が好ましい。
α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プロピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコサン−1などの、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。α−オレフィンの中で、好ましいのはプロピレンである。
プロピレンを含む単量体混合物を共重合したエチレン−α−オレフィン系共重合体からは水酸基を効率よく導入した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
プロピレンを含む単量体混合物を共重合したエチレン−α−オレフィン系共重合体からは水酸基を効率よく導入した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
また、非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
これら非共役ジエンの中で好ましいのは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,9−デカジエンであり、特に好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
これら非共役ジエンの中で好ましいのは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,9−デカジエンであり、特に好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
本発明において、エチレン−α−オレフィン系共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体が適している。これらのエチレン−α−オレフィン系共重合体を使用すると水酸基が効率よく導入された水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体が得られ、これを配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
本発明において、エチレン−α−オレフィン系共重合体中の各成分の使用割合は、特に限定されないが、各成分の重量分率(エチレン/α−オレフィン/非共役ジエンの順に表示)が、0.2〜0.8/0.2〜0.8/0〜0.2であるエチレン−α−オレフィン系共重合体を使用すると、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いて変性する際に架橋反応や減成反応が起る割合が小さくなるので好ましい。非共役ジエンの割合が0.2を超える場合には、エチレン−α−オレフィン系共重合体における活性点が多くなり過ぎて架橋反応などの副反応が起き易くなる。またこの非共役ジエンの割合が0.2を越える組成の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる傾向にある。
本発明において使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10〜250が好ましく、15〜200がより好ましい。ムーニー粘度が10未満の場合には、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際、水酸基の導入効率が低下するおそれがあり、一方、250を超える場合には、架橋反応や減成反応が起り易くなる。何れの場合にも、得られた水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる傾向にある。
エチレン−α−オレフィン系共重合体の市販品の代表例としては、JSR(株)製のJSR−EP、三井化学(株)製の三井EPT、住友化学工業(株)製のエスプレン、(株)デュポン・ダウ・エラストマーズ製のノーデルなどが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン系共重合体の市販品の代表例としては、JSR(株)製のJSR−EP、三井化学(株)製の三井EPT、住友化学工業(株)製のエスプレン、(株)デュポン・ダウ・エラストマーズ製のノーデルなどが挙げられる。
本発明において使用されるヒドロペルオキシ基含有過酸化物は化学構造式で表すと、分子中に−OOH基を有する過酸化物であり、例えば、過酸化水素;メチルエチルケトンペルオキシド(109℃、171℃)、シクロヘキサノンペルオキシド(97℃、174℃)、メチルシクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド(167℃、261℃)、t−アミルヒドロペルオキシド(164℃、258℃)、t−ヘキシルヒドロペルオキシド(160℃、251℃)、t−オクチルヒドロペルオキシド(153℃、247℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペルオキシヘキサン(154℃、248℃)、クメンヒドロペルオキシド(158℃、254℃)、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド(145℃、233℃)、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド(154℃、253℃)、パラメンタンヒドロペルオキシド(128℃、200℃)、ピナンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;過安息香酸、メタクロロ過安息香酸などの有機過酸などが挙げられる。
上記( )中に記載された2つの温度は、前者が10時間半減期温度で、後者が1分間半減期温度である。10時間半減期温度、1分間半減期温度は、それぞれ10時間および1分間で過酸化物初期濃度の半分の濃度になる温度であり、ベンゼンなどの希薄溶液中で実験し求めることができる。これら過酸化物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
これらのヒドロペルオキシ基含有過酸化物の中で、ヒドロペルオキシドが好ましく、特にt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−オクチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドは、エチレン−α−オレフィン系共重合体に対して分散ないし溶解し易く、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を得る際、水酸基の導入効率が高くなる。この水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
本発明において、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量は、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量が0.1重量部未満の場合には、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体において水酸基の導入量が少なくなり、これを配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
一方、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量が20重量部を超える場合には、エチレン−α−オレフィン系共重合体の架橋反応や減成反応が起こり、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
上述のヒドロペルオキシ基含有過酸化物は、純品形態の他にトルエン、クメン、水などの溶媒や、シリカなどの不活性固体で希釈した状態で使用することができる。
一方、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の使用量が20重量部を超える場合には、エチレン−α−オレフィン系共重合体の架橋反応や減成反応が起こり、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
上述のヒドロペルオキシ基含有過酸化物は、純品形態の他にトルエン、クメン、水などの溶媒や、シリカなどの不活性固体で希釈した状態で使用することができる。
本発明において、上述のヒドロペルオキシ基含有過酸化物と、そのヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度以下の10時間半減期温度を有するラジカル発生剤とを併用すると、変性する際の加熱温度を低く設定でき、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体の水酸基の導入効率を高くできる。この水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体をα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合すると機械的強度、耐油性に優れた架橋物が得られるので好ましい。
このラジカル発生剤としては、好ましいのは10時間半減期温度が135℃以下および1分間半減期温度が195℃以下のラジカル発生剤、より好ましくは10時間半減期温度が30〜130℃および1分間半減期温度が90〜190℃のラジカル発生剤である。
このラジカル発生剤としては、好ましいのは10時間半減期温度が135℃以下および1分間半減期温度が195℃以下のラジカル発生剤、より好ましくは10時間半減期温度が30〜130℃および1分間半減期温度が90〜190℃のラジカル発生剤である。
10時間半減期温度が135℃以下および1分間半減期温度が195℃以下のラジカル発生剤の具体例としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド(124℃、186℃)、ジ−t−ヘキシルペルオキシド(116℃、177℃)、t−ブチルクミルペルオキシド(120℃、173℃)、ジクミルペルオキシド(116℃、175℃)、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(119℃、175℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(118℃、180℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(128℃、194℃)などのジアルキルペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート(105℃、173℃)、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン(103℃、160℃)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(91℃、154℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン(87℃、149℃)、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90℃、149℃)、1,1−ビス(t-ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(87℃、147℃)などのペルオキシケタール;t-ブチルペルオキシベンゾエート(104℃、167℃)、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート(99℃、160℃)、t−ブチルペルオキシアセテート(102℃、160℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トリルペルオキシ)ヘキサン(99℃、156℃)、t−ブチルペルオキシラウレート(98℃、159℃)、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(97℃、166℃)、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド(96℃、168℃)、t−ブチルペルオキシイソブチレート(77℃、136℃)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(72℃、134℃)、t−ブチルペルオキシピバレート(55℃、110℃)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(46℃、104℃)、クミルペルオキシネオデカノエート(37℃、94℃)などのペルオキシエステル;t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(99℃、161℃)、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(99℃、159℃)、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(95℃、155℃)などのペルオキシモノカーボネート;ベンゾイルペルオキシド(74℃、130℃)、4−メチルベンゾイルペルオキシド(71℃、128℃)、ラウロイルペルオキシド(62℃、116℃)、3,3,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド(59℃、113℃)などのジアシルペルオキシド;ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート(44℃、91℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(41℃、92℃)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート(41℃、92℃)、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(41℃、88℃)などのペルオキシジカーボネート;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(64℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカーボニトリル)(88℃)、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル(82℃)などのアゾ化合物が挙げられる。
ここで、前記( )内に記載された2つの温度は、前者が10時間半減期温度で、後者が1分間半減期温度である。但し、アゾ化合物については、10時間半減期温度のみ記載した。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
これらラジカル発生剤の中では有機過酸化物が好ましく、特にラジカル発生効率(ラジカル中の有効に作用するラジカルの割合)が高く、かつ水素引抜き能の高い有機過酸化物がより好ましい。
好ましい有機過酸化物としては、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、4−メチルベンゾイルペルオキシド、ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートが挙げられる。
好ましい有機過酸化物としては、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、4−メチルベンゾイルペルオキシド、ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートが挙げられる。
また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物とラジカル発生剤の組合せの具体例として、t−ブチルヒドロペルオキシド/ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド/ジクミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド/1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルヒドロペルオキシド/ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、クメンヒドロペルオキシド/1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド/t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、クメンヒドロペルオキシド/ベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
上述のラジカル発生剤の使用量は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対してラジカル発生官能基の基準で0.001〜1モルであり、好ましくは0.01〜0.8である。0.001モル未満の場合には、ラジカル発生剤を併用する効果が小さくなるおそれがある。一方、1モルを超えると、エチレン−α−オレフィン系共重合体の架橋反応や減成反応が起り、得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなるおそれがある。
なお、ここでラジカル発生官能基とは、例えば、ラジカル発生剤が有機過酸化物の場合にはペルオキシ結合を示し、またアゾ化合物の場合にはアゾ結合を示す。
なお、ここでラジカル発生官能基とは、例えば、ラジカル発生剤が有機過酸化物の場合にはペルオキシ結合を示し、またアゾ化合物の場合にはアゾ結合を示す。
本発明において、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性する方法は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物が分解してラジカルを発生するような条件で行われ、加熱処理する方法、紫外線などの活性エネルギー線を照射する方法、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの還元剤を作用する方法が挙げられる。
これらの中で、加熱処理する方法が好ましい。特に、エチレン−α−オレフィン系共重合体にヒドロペルオキシ基含有過酸化物、またはヒドロペルオキシ基含有過酸化物および該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度以下の10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を添加し、加熱処理する方法は、エチレン−α−オレフィン系共重合体への水酸基の導入効率が高くなり、この水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
これらの中で、加熱処理する方法が好ましい。特に、エチレン−α−オレフィン系共重合体にヒドロペルオキシ基含有過酸化物、またはヒドロペルオキシ基含有過酸化物および該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度以下の10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を添加し、加熱処理する方法は、エチレン−α−オレフィン系共重合体への水酸基の導入効率が高くなり、この水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高まる。
各成分を添加する方法は、特に限定されず、公知の全ての手段を適用できる。その具体例としては、例えば、ヘンシェルミキサーのような物理的に混合する装置を使用する手段や、溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロメタン、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素を使用して溶液状態にする手段や、一軸あるいは二軸押出機、ロール、ニーダー、ニーダールーダー、バンバリーミキサーなどを用いて混練する手段が挙げられる。
これらの中では、経済性、均一混合性、および溶媒への水酸基導入反応などの溶媒が関与する副反応を回避できる点から、混練して混合物を調製する方法が好ましい。
これらの中では、経済性、均一混合性、および溶媒への水酸基導入反応などの溶媒が関与する副反応を回避できる点から、混練して混合物を調製する方法が好ましい。
加熱する手段は特に限定されないが、例えば、加熱プレスを利用する手段が挙げられる。
また、混練装置を利用する場合には、混練する手段と加熱する手段とを組み合わせることもできる。なお、その際、加熱する時期としては混練と加熱を同時に行なう場合や、混練後に加熱する場合など、適宜行うことが可能である。また、混練時に十分なせん断熱が発生する場合は、その熱を加熱手段として利用することもできる。
また、混練装置を利用する場合には、混練する手段と加熱する手段とを組み合わせることもできる。なお、その際、加熱する時期としては混練と加熱を同時に行なう場合や、混練後に加熱する場合など、適宜行うことが可能である。また、混練時に十分なせん断熱が発生する場合は、その熱を加熱手段として利用することもできる。
ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を単独使用する場合における加熱時の温度範囲は、使用するヒドロペルオキシ基含有過酸化物の種類に依存し、通常ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間である。ただし、300℃を越えるとエチレン−α−オレフィン系共重合体の分解が起こる可能性があるので加熱時の温度は300℃以下が好ましく、より好ましい温度範囲は、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物が効率よく分解し、かつエチレン−α−オレフィン系共重合体の流動性が高まり、水酸基導入反応が効率よく進行する140〜250℃の温度範囲である。
加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度より低い場合には、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の分解速度が遅いため、水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、一方、加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはヒドロペルオキシ基含有過酸化物が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、得られた水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度より低い場合には、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の分解速度が遅いため、水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、一方、加熱時の温度がヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはヒドロペルオキシ基含有過酸化物が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、得られた水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物と前記ラジカル発生剤とを併用する場合における加熱時の温度範囲は、使用するヒドロペルオキシ基含有過酸化物およびラジカル発生剤の種類に依存し、通常ラジカル発生剤の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間である。
好ましい温度範囲は、ラジカル発生剤の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度よりも10℃低い温度の間である。
加熱時の温度が、ラジカル発生剤の10時間半減期温度より低いときにはラジカル発生剤のラジカル発生速度が遅いため、エチレン−α−オレフィン系共重合体への水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはラジカル発生剤が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、得られた水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
好ましい温度範囲は、ラジカル発生剤の10時間半減期温度からヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度よりも10℃低い温度の間である。
加熱時の温度が、ラジカル発生剤の10時間半減期温度より低いときにはラジカル発生剤のラジカル発生速度が遅いため、エチレン−α−オレフィン系共重合体への水酸基の導入効率が低くなるおそれがあり、また、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度を越える場合にはラジカル発生剤が急激に分解するため、同様に水酸基の導入効率が低くなるおそれがある。
何れの場合にも、得られた水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合したゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。
本発明の水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、1kgあたり、0.001〜1モルの水酸基を有するものが好ましく、特に0.005〜1モルを有するものがα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合したとき、ゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高くなるので好ましい。
また、粘度はムーニー粘度(ML1+4、100℃)で10〜250が好ましく、15〜200がより好ましく、特に20〜100がα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体に配合したとき、ゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が高くなるので好ましい。
本発明のα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)と水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)とからなる組成物は、(A)成分10〜90重量部と(B)成分90〜10重量部からなる。好ましくは、(A)成分20〜80重量部と(B)成分が80〜20重量部からなる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体の配合量が10重量部未満の場合、すなわちエチレン−α−オレフィン系共重合体の配合量が90重量部を超える場合、得られるゴム組成物の架橋物において、耐油性が損なわれるおそれがある。一方、α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体の配合量が90重量部を越える場合、つまりエチレン−α−オレフィン系共重合体の配合量が10重量部未満の場合、得られるゴム組成物の架橋物において、耐候性が損なわれるおそれがある。
本発明において、前記(A)成分、(B)成分に加えエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)を配合することにより、得られるゴム組成物種の範囲を広げることができる利点がある。
本発明の(C)成分は、エチレンとα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であり、前述の(B)成分の説明で示したエチレン−α−オレフィン系共重合体が挙げられる。なお、(C)成分で使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、(B)成分の原料として使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体と同じであっても、異なっていてもよい。また、1種のみならず、2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の(C)成分は、エチレンとα−オレフィンとを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であり、前述の(B)成分の説明で示したエチレン−α−オレフィン系共重合体が挙げられる。なお、(C)成分で使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体は、(B)成分の原料として使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体と同じであっても、異なっていてもよい。また、1種のみならず、2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のα,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)、水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)とからなる組成物は、(A)成分10〜90重量部、(B)成分2〜88重量部、および(C)成分2〜88重量部からなる。好ましくは、(A)成分20〜80重量部、(B)成分5〜75重量部、(C)成分5〜75重量部からなる。(A)成分が10重量部未満の場合や(B)または(C)成分が88重量部を越える場合、得られるゴム組成物の架橋物において、耐油性が損なわれるおそれがある。一方、(A)成分が90重量部を越える場合、得られるゴム組成物の架橋物において、耐候性が損なわれるおそれがある。(B)成分が2重量部未満の場合、得られるゴム組成物の架橋物において、機械的強度、耐油性の改良効果が小さくなる。(C)成分が2重量部未満の場合、得られるゴム組成物の架橋物において、(C)成分を配合する効果が小さくなる。
本発明のゴム組成物は、(A)成分と(B)成分、または(A)成分、(B)成分、および(C)成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの通常のゴム混練装置を用いて、混練混合されて調製できる。その際、架橋剤を配合することにより架橋性ゴム組成物とすることができる。なお、架橋は加硫と呼ばれることもある。
架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などが例示される。
架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などが例示される。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、高分子多硫化物など有機硫黄化合物などが挙げられる。
有機過酸化物系架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレートなどが挙げられる
ポリアミン系架橋剤としてはヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミン−ジベンゾエート塩などの脂肪族多価アミン類;4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−オキシジフェニルアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド構造を2つ以上有する化合物などが挙げられる。
架橋剤の使用量は、架橋剤の種類により異なるが、通常、ゴム成分100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では架橋度が低く十分なゴム弾性が得られない傾向にあり、一方、20重量部を越えると過度に架橋が進行し、架橋物が硬く脆くなる傾向にある。
硫黄系架橋剤を用いる場合は、通常、架橋促進剤、架橋促進助剤が併用される。架橋促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドのようなチアゾール類;2−メルカプトイミダゾリンのようなイミダゾリン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドのようなチウラム類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛のようなジチオカルバミン酸塩類;イソプロピルキサントゲン酸亜鉛のようなキサントゲン酸塩類;ジフェニルグアニジンのようなグアニジン類などが挙げられる。架橋促進助剤としては、亜鉛華(酸化亜鉛)、酸化鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物が挙げられる。
有機過酸化物系架橋剤を用いる場合は、架橋助剤を併用することもできる。架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じて通常のゴム配合剤を添加することができる。ゴム配合剤としては、充填剤、老化防止剤、発泡剤、軟化剤、滑剤、顔料などが挙げられる。
充填剤としては、シリカ(ホワイトカーボン)、カーボンブラック、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタンなどが挙げられる。
架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。
老化防止剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩などのイミダゾール系老化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系老化防止剤;4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどのフェノール系老化防止剤;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミンなどのアミン系老化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニルホスファイト)などのリン系老化防止剤が挙げられる。
発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロにトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
軟化剤としては、例えば、アロマティク系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなどの石油系軟化剤;ヒマシ油、綿実油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ロウ油などの植物系軟化剤などが挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族ニ塩基酸エステル、リン酸トリブチルなどのリン酸エステルなどが挙げられる。
滑剤としては、流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸などの脂肪酸系、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系、ステアリン酸ブチルなどのエステル系、ステアリルアルコールなどのアルコール系などの化合物または混合物、金属石鹸などを挙げることができる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。
さらに、本発明のゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、他のエラストマーや樹脂を配合することもできる。
他のエラストマーや樹脂としては、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、水添アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリイソプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシドゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、メチルシリコーンゴム、ビニル−メチルシリコーンゴム、フェニル−メチルシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂、1,3−ペンタジエン樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリスチレン、ABS樹脂、酸酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリオキシメチレンなどが挙げられる。
本発明の架橋物は、前述の本発明のゴム組成物を架橋したものである。ゴム組成物を架橋する方法は、特に限定されないが、通常、前述の架橋剤などを配合した架橋性ゴム組成物を加熱して架橋される。その際、プレス成形、押出し成形、射出成形、トランスファー成形、カレンダー成形などにより成形することができる。
架橋時の温度は、使用する架橋剤や架橋方法によるが、通常100〜220℃、好ましくは120〜200℃である。100℃未満では架橋が遅いために、架橋時間が長時間必要になったり、架橋密度が低くなる場合がある。一方、220℃を越えると成形不良になる場合がある。
架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状などによるが、通常0.5〜120分である。
また、成形の形状、大きさにより内部まで十分架橋剤されていない場合は、二次架橋を行ってもよい。
架橋するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オープン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋で用いられる方法から適宜選択される。
架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状などによるが、通常0.5〜120分である。
また、成形の形状、大きさにより内部まで十分架橋剤されていない場合は、二次架橋を行ってもよい。
架橋するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オープン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋で用いられる方法から適宜選択される。
このようにして得られる本発明の架橋物は、オイルホース、燃料用ホース、ガスホース、ブレーキ用ホース、フレオン用ホースなどのホース類、ホース類のカバー材、ロール、パーキング、ガスケット、O−リング、ベルト、ライニング、オイルシール、ダストブーツなどの工業用、自動車用、航空機用のゴム部品などに使用できる。
次に、実施例および比較例を挙げて、この発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部、%は特に断らない限り重量部および重量%を示す。また、各例中の略号は以下の化合物を示す。
CHP:クメンヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルH−80、純度:80%、10時間半減期温度:158℃、1分間半減期温度:254℃)
TBHP:t−ブチルヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルH−69、純度:69%、10時間半減期温度:167℃、1分間半減期温度:261℃)
HC:1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキサC、純度:70%、10時間半減期温度:91℃、1分間半減期温度:154℃)
CHP:クメンヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルH−80、純度:80%、10時間半減期温度:158℃、1分間半減期温度:254℃)
TBHP:t−ブチルヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルH−69、純度:69%、10時間半減期温度:167℃、1分間半減期温度:261℃)
HC:1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名:パーヘキサC、純度:70%、10時間半減期温度:91℃、1分間半減期温度:154℃)
EPDM:エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(JSR(株)製、商品名:JSR EP21、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):38)
NBR:アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(日本ゼオン(株)製、商品名:ニッポールDN207)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DCP:ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルD、純度:99%)
シリカ:(東ソー・シリカ(株)製、商品名:ニップシールVN3)
NBR:アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(日本ゼオン(株)製、商品名:ニッポールDN207)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DCP:ジクミルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルD、純度:99%)
シリカ:(東ソー・シリカ(株)製、商品名:ニップシールVN3)
また、物性評価は次の方法で行った。
(1)ムーニー粘度:JIS K 6300−1によりムーニー粘度(ML1+4、100℃)を求めた。
(2)水酸基導入量の測定方法:加熱フラスコ中にキシレン20ミリリットル、測定対象ポリマー0.5g、無水酢酸0.4g、ジメチルアミノピリジン0.2gを入れた後、攪拌下、約30分間、加熱還流させることによりサンプルの溶解およびアセチル化処理を行った。
次に、そのキシレン溶液を多量のメタノール中に入れてポリマーを再沈殿させた。再沈殿したポリマーを再び熱キシレンに溶解後、多量のメタノール中に投じて再沈殿させた。再沈殿ポリマーを乾燥した後、フィルム化して、赤外吸収スペクトル(IR)を測定した。水酸基がエステル化されたことに由来する1740cm−1の吸収強度を定量することにより、ポリマーに対する水酸基導入量(mol/kg)を求めた。
(3)機械的強度:JIS K 6251に準じて、3号ダンベル状に打ち抜いた架橋ゴムの引張試験(引張速度:500mm/min)を行い、引張強度(MPa)、伸び(%)、100%伸長時の引張応力(表中M100と略記、単位:MPa)を測定した。数値が大きいほど架橋ゴムの機械的強度が優れることを示す。
(4)耐油性:JIS K 6258に準じて、JIS試験用No.3油に100℃、72時間浸漬後、体積変化率(%)を測定した。数値が小さいほど架橋ゴムの耐油性が優れることを示す。
(1)ムーニー粘度:JIS K 6300−1によりムーニー粘度(ML1+4、100℃)を求めた。
(2)水酸基導入量の測定方法:加熱フラスコ中にキシレン20ミリリットル、測定対象ポリマー0.5g、無水酢酸0.4g、ジメチルアミノピリジン0.2gを入れた後、攪拌下、約30分間、加熱還流させることによりサンプルの溶解およびアセチル化処理を行った。
次に、そのキシレン溶液を多量のメタノール中に入れてポリマーを再沈殿させた。再沈殿したポリマーを再び熱キシレンに溶解後、多量のメタノール中に投じて再沈殿させた。再沈殿ポリマーを乾燥した後、フィルム化して、赤外吸収スペクトル(IR)を測定した。水酸基がエステル化されたことに由来する1740cm−1の吸収強度を定量することにより、ポリマーに対する水酸基導入量(mol/kg)を求めた。
(3)機械的強度:JIS K 6251に準じて、3号ダンベル状に打ち抜いた架橋ゴムの引張試験(引張速度:500mm/min)を行い、引張強度(MPa)、伸び(%)、100%伸長時の引張応力(表中M100と略記、単位:MPa)を測定した。数値が大きいほど架橋ゴムの機械的強度が優れることを示す。
(4)耐油性:JIS K 6258に準じて、JIS試験用No.3油に100℃、72時間浸漬後、体積変化率(%)を測定した。数値が小さいほど架橋ゴムの耐油性が優れることを示す。
参考例1(変性EPDM−1の製造)
200℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部を添加し、樹脂温度が180℃に達するまで混練を継続した。次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却してペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−1と略記)を製造した。
次に、変性EPDM−1について、100℃でムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
200℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部を添加し、樹脂温度が180℃に達するまで混練を継続した。次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却してペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−1と略記)を製造した。
次に、変性EPDM−1について、100℃でムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例2(変性EPDM−2の製造)
参考例1においてCHP3.8部の代わりにTBHP2.6部を使用した他は、参考例1に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−2と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例1においてCHP3.8部の代わりにTBHP2.6部を使用した他は、参考例1に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−2と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例3(変性EPDM−3の製造)
参考例1においてCHP3.8部の代わりにCHP1.9部を使用した他は、参考例1に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−3と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例1においてCHP3.8部の代わりにCHP1.9部を使用した他は、参考例1に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−3と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例4(変性EPDM−4の製造)
150℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)中にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部とHC0.5部(CHPのヒドロペルオキシ基1モルに対して添加したHCはラジカル発生官能基基準で0.13モルに相当する。)を添加し、樹脂温度が150℃に達するまで混練を継続した。
次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却しペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−4と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
150℃に予熱した加圧型ニーダー(モリヤマ(株)、容量3.5リットル)中にEPDM100部を入れた後、混練しながらCHP3.8部とHC0.5部(CHPのヒドロペルオキシ基1モルに対して添加したHCはラジカル発生官能基基準で0.13モルに相当する。)を添加し、樹脂温度が150℃に達するまで混練を継続した。
次いで、混練物をシリンダー温度180℃に設定された押出機に供給した。押出物を水で冷却しペレット化した後、乾燥することにより水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−4と略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
参考例5(変性EPDM−Cの製造)
参考例4においてCHP3.8部の代わりに水酸基を有するビニル系単量体であるHEMAをCHPと同じ添加モルに相当する2.6部使用した他は参考例4に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−Cと略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
なお、水酸基導入量は、アセチル化処理工程は省略し、HEMAグラフトに由来する1725cm−1(IR)の吸収強度を定量することにより求めた。
表1の結果より、ビニル単量体(HEMA)を使用する方法は、架橋反応などの副反応が起こるため、ムーニー粘度が上昇し、水酸基の導入効率が低いことが明らかとなった。
参考例4においてCHP3.8部の代わりに水酸基を有するビニル系単量体であるHEMAをCHPと同じ添加モルに相当する2.6部使用した他は参考例4に準じて実施し、水酸基変性エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(以下、変性EPDM−Cと略記)を製造し、ムーニー粘度および水酸基導入量を求めた。その結果を表1に示す。
なお、水酸基導入量は、アセチル化処理工程は省略し、HEMAグラフトに由来する1725cm−1(IR)の吸収強度を定量することにより求めた。
表1の結果より、ビニル単量体(HEMA)を使用する方法は、架橋反応などの副反応が起こるため、ムーニー粘度が上昇し、水酸基の導入効率が低いことが明らかとなった。
実施例1
NBR50部、参考例1で得た変性EPDM−1(50部)、シリカ40部、酸化亜鉛5部、ステアリン酸0.5部およびDCP2部を6インチロール上で混練することにより、配合ゴムシートを作製した。
得られた配合ゴムシートを20MPaの圧力下、180℃で30分間プレス架橋し、架橋ゴムを製造した。得られた架橋ゴムについて、機械的強度および耐油性を評価した。その結果を表2に示す。
NBR50部、参考例1で得た変性EPDM−1(50部)、シリカ40部、酸化亜鉛5部、ステアリン酸0.5部およびDCP2部を6インチロール上で混練することにより、配合ゴムシートを作製した。
得られた配合ゴムシートを20MPaの圧力下、180℃で30分間プレス架橋し、架橋ゴムを製造した。得られた架橋ゴムについて、機械的強度および耐油性を評価した。その結果を表2に示す。
実施例2〜6、比較例1〜2
実施例1においてゴムの種類と使用割合を表2の通りに代えた他は、実施例1に準じて実施し、評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1においてゴムの種類と使用割合を表2の通りに代えた他は、実施例1に準じて実施し、評価を行った。その結果を表2に示す。
表2の結果より、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いて変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を配合した本発明の組成物の架橋物(実施例1〜6)は、未変性のエチレン−α−オレフィン系共重合体を配合した組成物の架橋物(比較例1)やビニル単量体を使用して変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体を配合した組成物の架橋物(比較例2)との比較から明らかなように、本発明の組成物の架橋物は機械的強度、耐油性に優れることがわかった。
表1に示したように、本発明の組成物に配合される水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、変性に使用した原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体とムーニー粘度がほとんど変わらないことがわかる。すなわち、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性を保持した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体である。一方、比較例2の組成物に配合されるビニル単量体を使用して変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体は、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体に比べムーニー粘度が著しく上昇していることがわかる。すなわち、架橋反応により原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が損なわれていることがわかる。従って、表2に示した実施例3と比較例2との比較から明らかなように、水酸基導入量が同じである水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を同量配合しても、本発明の組成物の架橋物の方が機械的強度、耐油性に優れることがわかった。
表1に示したように、本発明の組成物に配合される水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体は、変性に使用した原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体とムーニー粘度がほとんど変わらないことがわかる。すなわち、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性を保持した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体である。一方、比較例2の組成物に配合されるビニル単量体を使用して変性したエチレン−α−オレフィン系共重合体は、原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体に比べムーニー粘度が著しく上昇していることがわかる。すなわち、架橋反応により原料のエチレン−α−オレフィン系共重合体の物性が損なわれていることがわかる。従って、表2に示した実施例3と比較例2との比較から明らかなように、水酸基導入量が同じである水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体を同量配合しても、本発明の組成物の架橋物の方が機械的強度、耐油性に優れることがわかった。
Claims (6)
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部と、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)90〜10重量部とからなるゴム組成物。
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル共役ジエン系共重合体(A)10〜90重量部、ヒドロペルオキシ基含有過酸化物を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体を変性した水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)2〜88重量部、およびエチレン−α−オレフィン系共重合体(C)2〜88重量部とからなるゴム組成物。
- 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用いて、該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の10時間半減期温度から1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である請求項1または2のいずれかに記載のゴム組成物。
- 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)が、エチレン−α−オレフィン系共重合体100重量部に対してヒドロペルオキシ基含有過酸化物を0.1〜20重量部の割合で用い、さらにラジカル発生官能基の基準で該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物のヒドロペルオキシ基1モルに対して該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物より低い10時間半減期温度を有するラジカル発生剤を0.001〜1モルの範囲で用いて、該ラジカル発生剤の10時間半減期温度から該ヒドロペルオキシ基含有過酸化物の1分間半減期温度の間で加熱して得られる水酸基変性エチレン−α−オレフィン系重合体である請求項1または2のいずれかに記載のゴム組成物。
- 水酸基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体(B)が1kgあたり0.001〜1モルの水酸基を有し、かつそのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10〜250である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を架橋してなる架橋物。
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