JP2006019043A - 電気絶縁性シートの除電装置、及び除電済みシートの製造方法 - Google Patents

電気絶縁性シートの除電装置、及び除電済みシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
移動する電気絶縁性シート全面に対し、帯電の正負を平衡させ、表裏それぞれで正負がバランスした電気絶縁性シートを安定して製造しうる装置を提供する。
【解決手段】
2つのイオン生成用電極群を、シートを挟んで、その移動方向に配置し、各イオン生成用電極群がシートの移動方向と鉛直方向とのなす角度θが45°以下になるよう傾斜をつけて構成したシートの除電装置を用いることにより、シートの移動方向のたわみが解消され、移動するシートと各イオン生成用電極群を等距離に維持できるため、シート表裏へのイオン付着ムラ、及びシート同一面の各位置へのイオン付着ムラが改善される。また、イオン生成用電極からの生成イオン量の経時変化によるシート各面へのイオン付着ムラを防止するため、イオン生成用電極群が全面目視確認、点検可能なよう回転運動による開閉機構を備え、シート全面、表裏で帯電の正負を平衡させる能力の維持、管理を容易にする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、シートの除電装置及び除電済みシートの製造方法に関する。
電気絶縁性シートにおける帯電は、シート加工工程で品質に関わる問題を生ずることがある。たとえば、静電気帯電により程度によっては、シートへの印刷や被膜剤塗布に際してインクや被膜剤のムラができる。また、コンデンサ用や包装用等の蒸着フィルムの製造工程においては、真空蒸着やスパッタリング等の被膜加工後にムラが現れてしまうこともある。そこで、かかる問題を回避するために、従来、接地されたブラシ状の導電体を電気絶縁性シートに接近させ、ブラシ先端でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式除電器や、針状電極に商用周波数の高電圧や直流高電圧を印加してコロナ放電を発生させて除電する交流式や直流式の電圧印加式除電器が使用されているが、細かい帯電模様をもつシートの除電は不可能であった。
これに対して、図1のようにイオン生成電極とイオン加速電極を対向配置したイオン照射装置を、電気絶縁性シートの第1の面と第2の面に交互に配置する除電装置(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
この従来の除電器は、鉛直方向と直交する方向に移動する電気絶縁性シートSを挟んで、電源1aに接続されたイオン生成電極1bと、電源1cに接続されたイオン加速電極1dとを対向配置し、イオン生成電極1bでイオンを生成しながらイオン加速電極1dに高電圧を印加し、イオン生成電極1bで生成したイオンをイオン加速電極1dで加速・吸引してシートSに強制的に照射するようにしたものであり、電気絶縁性シートの両方の面からイオンが強制的にシートに照射されるので、細かい帯電模様をもつシートであってもシート全面の除電が可能であるとされている。しかし、実際には鉛直方向と直交する方向に移動する電気絶縁性シートでは、電気絶縁性シートの自重によりたわみが生じてしまうことにより、対向する各電極と電気絶縁性シートとの距離が所定の値と異なることになり、電気絶縁シートの表裏に照射されたイオン付着の差により除電ムラが生じ、後加工工程における蒸着不良や被膜剤の不均質な分布等の不都合が発生するという問題が残った。また、場合によっては電気絶縁性シートの自重によるたわみのため電気絶縁性シートがイオン生成電極または、イオン加速電極に接触し、電気絶縁性シートが破れたり、また電気絶縁性シート表面に傷が発生するという問題があった。また、図2のように平面状のイオン吸引電極2dとイオン生成電極2bを対向配置したイオン照射装置を、鉛直方向と直交する方向に移動する電気絶縁性シートの第1の面と第2の面に配置する除電装置(例えば、特許文献2参照)も知られているが、これについても、上記と同様の問題が残った。
一方、図3に示すように、鉛直方向に筒状の電気絶縁性シートが移動し、そのシートを挟む形でイオン生成電極が対向配置された除電装置(特許文献3参照)が知られている。これは、走行する筒状フィルムシートの内部に空気を封入してシート両側からのイオン生成電極によりシート内面の除電を実施するとしているものであるが、これは筒状の電気絶縁性シートの両外側面をそれぞれ別々に除電するために、シート両側にイオン生成電極が設けられているというものである。この装置は、筒状フィルムシート内部に空気を封入する構成であるため、イオン生成電極同士の距離は本質的に大きく、シートとイオン生成用電極との間の距離を安定化することに対する考慮は特になされていない。なお、筒状フィルムシートという除電対象物の構成上、シートの法線方向におけるシートの数は2枚あることになる。
また、除電装置のイオン生成用電極は汚れたり、塵埃等が付着し一定のイオンを生成する能力が経時的に低下することが知られている。かかる除電装置において、生成イオン量を維持するためには、定期的にイオン生成用電極を清掃、目視確認したり、生成するイオン量を測定器により測定し管理する必要がある。特に、イオン生成用電極同士を対向させた構成の除電装置においては、その放電が強く、イオン生成用電極の劣化の度合いが大きい。そのため、特に容易にイオン生成用電極の清掃や目視確認、生成イオン量の測定などを行うと共に、清掃や生成イオン量測定後に、イオン生成用電極の相対位置を容易に、かつ厳密に清掃前の状態に復元する必要があった。上述の特許文献2では、図2に示すように平面状のイオン吸引電極2dとイオン生成電極2bを対向配置したイオン照射装置の両電極、または片方電極をエアシリンダー等の直線運動アクチュエーター2g、2hにより進退させる機構を備えた除電器(例えば、特許文献2 参照)が開示されている。その目的は対向する電極間の距離を可変させることで電気絶縁性シートに付着するイオン量の調整、すなわち除電条件を調整することと、これら対向する狭い電極間隙に電気絶縁性シートSを最初にセットする作業を容易化することである。従って、電極の移動距離は小さく、イオン生成用電極の清掃、目視確認、イオン生成用電極上への生成イオン量測定器の設置が不可能であった。それゆえ、本発明者らの知見によれば、容易に、イオン生成用電極の清掃や目視確認、生成イオン量測定等を行うと共に、その後極めて容易に対向するイオン生成用電極の相対位置を復元することは困難であった。
特許第2651476号公報 特開2001−114877号公報 特公昭61−719号公報 静電気学会編「静電気ハンドブック」、1981年
本発明の目的は、上述した従来の技術では移動する電気絶縁性シートのたわみやばたつきによりシート表裏に付着するイオン量に差が出るため、除電ムラが発生する、またイオン生成用電極の清掃や目視確認等の管理が容易でないため、管理を怠るとシートの同じ位置でシート表裏に付着するイオン量の差により除電ムラが発生する、といった問題点を解決しうる電気絶縁性シートの除電装置、及び除電方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、以下を提供する。
(1)電気絶縁性シートの移動方向において配列された複数の第1のイオン生成用電極を含む第1のイオン生成用電極群と、該第1のイオン生成用電極群と電気絶縁性シートを挟んで対向し、前記移動方向において配列された複数の第2のイオン生成用電極を含む第2のイオン生成用電極群とを備えた電気絶縁性シートの除電装置であって、前記第1のイオン生成用電極群内に含まれる前記シート移動方向における前記第1のイオン生成用電極の両端の距離l1[mm]及び、前記第2のイオン生成用電極群内に含まれる前記シート移動方向における前記第2のイオン生成用電極の両端の距離l2[mm]との和が、前記第1のイオン生成用電極群に属する前記各第1のイオン生成用電極の先端と、これに対向する第2のイオン生成用電極群に属する前記各第2のイオン生成用電極の先端との間のシート法線方向における距離dn[mm](n=1、2、N(Nは、前記第1のイオン生成用電極および前記第2のイオン生成用電極の数のうち、多い方である))の平均値dnAVG[mm]の2倍以上であり、かつ前記移動方向と鉛直方向とのなす角度θが45°以下になるよう構成されていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置。
(2)すべての前記第1のイオン生成用電極において当該第1のイオン生成用電極の先端と前記移動方向において最も近い前記第2のイオン生成電極の先端との間の前記移動方向における位置の差l3[mm]が、前記シート法線方向における距離dnの平均値dnAVG[mm]以下であるように構成されている(1)に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
(3)前記第1のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第1のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置と、前記第2のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第2のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置との差l4-nが、前記シート法線方向における距離dn[mm]の平均値dnAVG[mm]以下であるよう構成されている(1)または(2)に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の除電装置を用いて前記第1及び前記第2のイオン生成用電極群に含まれる前記第1及び前記第2のイオン生成用電極に電圧を印加しながら、前記各イオン生成用電極群の間に前記シートの法線方向における数が単数のシートを1対の搬送ロールに掛け渡して移動させながら除電する除電済みシートの製造方法であって、前記シートの移動経路が前記各第1のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t1[mm]に対する、前記シートが前記各第2のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t2[mm]の比t2/t1が、0.8≦t2/t1≦1.25を満たし、かつ、t1>0.3dnAVG、かつ、t2>0.3dnAVGを満たすことを特徴とする除電済みシートの製造方法。
(5)前記第1のイオン生成用電極群または前記第2のイオン生成用電極群を、前記第1または前記第2のイオン生成用電極群に含まれる各イオン生成用電極の長手方向と平行な方向を軸として、60°以上回転可能な回転支持体を備えていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
本発明において、「電気絶縁性シート」として代表的なものには、プラスチックフィルムや布帛等のシートがあるが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムは、電気絶縁性が高いため、本発明を適用するのに特に好適である。なお、電気絶縁性シートの片面の表面に導電性の膜を形成したものも、電気絶縁性シートに含まれる。
本発明において、「シートの移動方向」とは、対向する第1及び第2のイオン生成電極の間の領域において、除電対象となるシートが移動すべき方向であり、シート表面の任意の位置が空間的に移動するベクトルの和を時間的に平均した方向をいう。通常、シートの移動に伴うバタつきなどがないと仮定した場合におけるシートの搬送方向とほぼ一致する。
また、シートの移動方向において配列されたイオン生成用電極とは、前記シートの移動方向に2個以上並んで配列された、イオン生成のために用いられる電極をいう。ここで、イオン生成のために用いられる電極とは、(1)電圧を印加されることで近傍に強い電界を発生させてイオンを生成する電極(イオン生成電極)および(2)かかるイオン生成電極と電気絶縁性シートをはさんで対向し、左記のイオン生成電極により発生させられたイオンを吸引する方向の電界を上記イオン生成電極との間で発生させるための電極(特許文献1におけるイオン加速電極や特許文献2におけるイオン吸引電極など。以下総称してイオン吸引電極という)が該当する。なお、イオン生成電極と電気絶縁性シートの同じ側に存在し、イオン生成電極との間のイオン発生のための電界を発生させるための電極は、ここでいうイオン生成用電極には該当しない。このように区分するのは、イオン生成用電極は電気絶縁性シートとの間の距離が電気絶縁性シートに付与されるイオンの量に影響を与えることが多いからである。また、シートを挟んで対向しているのがイオン生成電極とイオン吸引電極である場合には、イオン生成電極を第1のイオン生成用電極、イオン吸引電極を第2のイオン生成用電極とする。また、図1に記載のように、対向するイオン生成電極とイオン吸引電極とがそれぞれシートを挟んで両側に存在するときは、第1のイオン生成用電極と第2のイオン生成用電極の対が2対存在するものとする。すなわち、図1の場合、電極1bが第1の面側の第1のイオン生成用電極、電極1dがこれに対向する第2のイオン生成用電極、電極1fが第2の面側の第1のイオン生成用電極、電極1hがこれに対向する第2のイオン生成用電極となる。
また、イオン生成用電極の長手方向とは、単一の電極からなるイオン生成用電極の場合は、その長手方向をいう。一方、イオン生成電極が、複数の放電針のようなエレメントがシートの面内方向に実質的に沿って配列した実質的に同一の電位を印加される構造の複数の小電極の集合であり実質的に単一のイオン生成用電極を構成している場合は、長手方向の定義においては上記小電極の集合を単一のイオン生成用電極と捉えて、その長手方向をもって定義する。
シート移動方向に並べて配列された、シートから見て同一の側に存在する複数の上記イオン生成用電極を併せてひとつのイオン生成用電極群と定義する。
本発明において、「イオン生成用電極の先端」とは、イオン生成用電極がイオン生成電極である場合は、イオン生成電極の各部のうち、イオンを生成する電界を形成する部位であって、かつ電気絶縁性シートの移動経路に最も近い部位をいう。イオン生成電極は、電気絶縁性シートの面内の方向であって、電気絶縁性シートの移動方向に対して直交する方向(この方向を「幅方向」という)に延在している場合が多い。この場合、イオン生成電極の幅方向の各位置において幅方向に垂直な断面内にイオンを生成する電界を形成する部位が存在する場合には、その部位のうち電気絶縁性シートの搬送経路に最も近い部位が幅方向の当該位置における「先端」となる。たとえば、イオン生成電極が、幅方向に所定間隔に設けられた電気絶縁性シートの法線方向に延在する針電極の列の場合は、その針の先端が該当するし、イオン生成電極がシートの幅方向に延在するワイヤで形成されたワイヤ電極の場合は、ワイヤの幅方向の各部における電気絶縁性シートの搬送経路に一番近い部位が該当する。
一方、イオン生成用電極がイオン吸引電極である場合におけるイオン生成用電極の先端とは、本明細書において特記しない限り、次のとおりとする。すなわち、イオン吸引電極の部位であって、対向するイオン生成電極の先端から最も近い部位をいう。
また、シートの移動方向に対し、対向配置されたn番目の第1のイオン生成用電極と第2のイオン生成用電極のシート法線方向における距離dnは、次のようにして求める。すなわち、第1および第2のイオン生成用電極群のうち、シート移動方向において配列されているイオン生成用電極の数が多いほうに注目する(同数の場合は、どちらでもよい)。注目したほうのイオン生成用電極群に属するイオン生成用電極のそれぞれについて、その先端と、シート移動方向における距離が最も近い先端を有する、他方のイオン生成用電極群に属するイオン生成用電極を選ぶ。注目した方のイオン生成用電極の先端と、選んだほうのイオン生成用電極の先端との間のシート法線方向における距離をdnとする。ここで、選んだほうのイオン生成用電極が図2に示したイオン加速電極2dのように、注目した方のイオン生成用電極群に属する2つ以上のイオン生成用電極のシート移動方向における距離よりも大きな広がりをこの方向に有する場合もある。この場合、注目した方のイオン生成用電極の先端の、上記のような大きなイオン生成用電極の先端に対する距離は、上記注目した方のイオン生成用電極の先端と、ここからシート法線方向に向かう直線が上記大きな電極面と交差する点との間の距離で定義する。かくして得られた距離dnの平均値をdnAVGとする。
第1のイオン生成用電極群内に含まれるシート移動方向における第1のイオン生成用電極の両端の距離l1[mm]とは、図4に示すように、第1のイオン生成用電極群内に含まれ、シート移動方向において先頭、つまり最上流(n=1)に配置された第1のイオン生成用電極の先端を含み、シート移動方向と直交する平面と、シート移動方向において末端、つまり最下流に配置された第1のイオン生成用電極の先端を含み、シート移動方向と直交する平面との距離と定義する。ただし、最上流のイオン生成用電極がイオン吸引電極であって、その先端よりもさらに上流に、対向するイオン生成電極の先端との電気絶縁性シートの法線方向における距離が当該イオン吸引電極の先端と実質的に変わらない部位があるときは、その最上流の部位をもって距離l1[mm]の定義においては当該イオン吸引電極の先端であるものとみなす。最下流の場合も同様に先端より下流に同様の部位が存在する場合は、その最下流の部位をもって当該イオン吸引電極の先端であるものとみなす。
第2のイオン生成用電極群内に含まれるシート移動方向における第2のイオン生成用電極の両端の距離l2[mm]に関しても図4に示すとおりで、l1[mm]と同様に定義する。
第1のイオン生成用電極の先端と前記移動方向において最も近い前記第2のイオン生成電極の先端との間の、前記移動方向における位置の差l3[mm]とは、当該第1のイオン生成用電極先端を含み、シート移動方向と直交する平面と、第2のイオン生成用電極群に含まれ、シートの移動方向において配置された第2のイオン生成用電極のいずれか1個の先端を含み、シート移動方向と直交する平面との距離をすべての第2のイオン生成用電極についてみたときの最小値と定義する。たとえば、図4に示す通り、電極4iについての距離l3は任意のイオン生成用電極の先端から、シートを挟んで配置された全てのイオン生成用電極の先端への、シートの移動方向における距離a、b、cの最小値をl3と定義する。本発明の好ましい形態においては、すべての第1のイオン生成用電極における距離l3[mm]が平均値dnAVG[mm]以下であるよう構成されている。
前記第1のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第1のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置と、前記第2のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第2のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置との差l4-nとは、図4中で、シートの移動方向においてn番目に配置された第1のイオン生成用電極4iの先端を含み、シート移動方向と直交する平面と、シートの移動方向においてn番目に配置された第2のイオン生成用電極4jの先端を含み、シート移動方向と直交する平面との距離cと定義する。
なお、図2に示したイオン加速電極2dのようにイオン生成用電極群が平面状の場合は、次のように定義する。イオン生成用電極が大きな広がりを持つ平面状である場合には、対向する反対側のイオン生成用電極群のうちシート移動方向において、先頭、最上流のイオン生成用電極の先端と、ここからシートの法線方向に向かう直線が当該大きな広がりを持つ電極の電極面と交差する点をその電極の最上流の先端とし、それより上流に存在する部位を無視する。シート移動方向において、末端、最下流についても同様に考える。交差しない場合は、当該平面状イオン生成用電極を含む仮想平面を考え、この仮想平面と対向する反対側のイオン生成用電極群のうち、シート移動方向において、先頭、最上流のイオン生成用電極の先端と、ここからシートの法線方向に向かう直線が仮想平面と交差する点をその電極の最上流の先端と定義する。シート移動方向において、末端のイオン生成用電極、n番目に配置されたイオン生成用電極についても同様に考え、l1、l2、l3、l4-nを定義する。
シートの移動経路が第1のイオン生成用電極群に含まれる各第1のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t1[mm]及び、シートの移動経路が第2のイオン生成用電極群に含まれる各第2のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t2[mm]とは、図9に示す通り、シートを支持、搬送する1対の搬送ロール9c、9dの表面間の接平面上にシートが存在するとした仮想シート面9gを考え、この仮想シート面9gを挟んで配置した複数の第1、または第2のイオン生成用電極9eの各先端から、仮想シート面9gへの法線方向距離X1及び、前記法線方向のベクトル9hと、実際に配置したシートとの交点から、前記 仮想シート面への法線方向距離X2を考える。法線方向距離X2は、前記法線方向のベクトル9hにおいて、前記仮想シート面9gとの交点をゼロとする1次元座標を考え、正負の値を持つ大きさとして定義する。この時、第1及び第2のイオン生成用電極群に含まれる全ての第1、及び第2のイオン生成電極の先端に対し、前記のX1+X2を考え、第1のイオン生成用電極群に含まれる全ての第1のイオン生成用電極先端での前記のX1+X2の最小値をt1と定義する。同様に、第2のイオン生成用電極群に含まれる全ての第2のイオン生成用電極先端での前記のX1+X2の最小値をt2と定義する。なお、測定、算出は、高精度超音波式変位センサUD−500(キーエンス社製)を用い、センサヘッド9bをシートSを支持、搬送する2つの搬送ロール9c、9dの表面間の接平面上に設置し、2つの搬送ロール9c、9d間をシートの移動方向9fに沿って1[m/分]で前記センサヘッド9bをモーター等で移動させ、2つの搬送ロール間に静止配置されたシートとの距離X2 を測定し、X1(この値は、イオン生成用電極の配置で決定される値である。)との和の最小値t1、及びt2を導く。このとき、搬送ロールは静止させておくが、搬送時と同じ張力を印加しておくものとする。なお、上記距離X2が無視できる程度に小さいことが明らかな場合は、距離X1の最小値をt1あるいはt2とみなしてもよい。
本発明によれば、実施例と比較例との対比からも明らかなように、帯電模様や表裏に正負の帯電が混在している電気絶縁シートの帯電の正負をイオン生成用電極とシートの距離をほぼ一定に維持することによりシート全面に対して均一に平衡させ、シートの表裏それぞれに付着するイオン量がほぼバランスした除電ムラの小さい電気絶縁性シートを製造することができる。これにより後加工工程における蒸着不良や被膜剤の不均質な分布等の不都合の発生を抑制可能である。また、対向するイオン生成用電極を対向させない状態に回転運動させて開閉する機構により、除電能力を左右するイオン生成用電極の汚れ、劣化具合を全面目視確認及び清掃することが極めて容易となる。こうしたメンテナンスによりシート表裏へのイオンの付着ムラの発生を防止し、長期間安定した除電能力の維持、管理が可能となる。
以下、本発明の電気絶縁性シートの除電装置、及び電気絶縁性シートの製造方法の好ましい実施形態例を図面を参照しながら説明する。
図5に示す本実施形態の電気絶縁性シートの除電装置5において、正帯電領域と負帯電領域が混在した電気絶縁性シートSは、ガイドロール5a、5bに導かれて矢印方向Aに移動している。ガイドロール5a、5bの軸心間距離は、例えば1mである。但し5aと5bの軸心間距離をd[m]、ガイドロール5a、及び5b上の電気絶縁性シートの移動方向の張力をN[N/m]とした場合、300≧N≧20d(1<d)、または300d≧N≧20d(0<d≦1)の条件を満たすようにするのが好ましい。
このシートSを挟んで互いに対向する位置には、第1のイオン生成用電極群に含まれ、シート移動方向において先頭に配置されたイオン生成用電極5cと第2のイオン生成用電極群に含まれ、シート移動方向において先頭に配置された1つのイオン生成用電極5dがシートSをはさんで互いに先端を対向させて配置されている。また、第1のイオン生成用電極群に含まれ、シート移動方向において末端に配置された1つのイオン生成用電極5iと第2のイオン生成用電極群に含まれ、シート移動方向において末端に配置された1つのイオン生成用電極5jがシートSをはさんで互いに先端を対向させて、配置されている。なお、第1、及び第2のイオン生成用電極群に含まれるイオン生成用電極数は、除電したいシート上の帯電量にもよるが、それぞれ2〜10個程度が、イオン生成用電極から発生し、シートに付着するイオンの逆帯電の防止、及び設置省スペースの点で好ましい。第1のイオン生成用電極群内に含まれるシート移動方向における第1のイオン生成用電極の両端の距離l1[mm]、及び第2のイオン生成用電極群内に含まれるシート移動方向における第2のイオン生成用電極の両端の距離l2[mm]は、それぞれ500〜1000[mm]が設置スペースの点から好ましい。但し、第1のイオン生成用電極群に含まれ、シートの移動方向において先頭に配置された第1のイオン生成用電極の先端と、第2のイオン生成用電極群に含まれる第2のイオン生成用電極のいずれかのシートの移動方向における先端の位置の差l3[mm]に関しては、第1、及び第2のイオン生成用電極群に含まれる互いに対向する1つのイオン生成用電極5c、5d間の距離d1、及び5i、5j間の距離d2がともに30[mm]になるよう配置した場合、l3[mm]は、30[mm]以下になるように第1、及び第2のイオン生成用電極群を互いに配置することが好ましい。第1、及び、第2のイオン生成用電極群に含まれる第1、及び第2のイオン生成用電極の先端間の距離に関しては、シートの法線方向に、第1、及び第2のイオン生成用電極群に含まれる互いに対向する1つのイオン生成用電極5c、5dからシートSの距離t1、t2がともに、例えば15mm、シートの法線方向に、第1、及び第2のイオン生成用電極群に含まれる互いに対向する1つのイオン生成用電極5c、5d間の距離d1が30mmになるよう配置されている。イオン生成用電極5i、5jに関しても、上記イオン生成用電極5c、5dと同じ関係で配置されている。またシートSの移動方向と鉛直方向とのなす角度θ1は、45°で配置されている。ここで、上記角度θ1は、絶対値で定義し、さらに、シートSの移動方向が反対であっても同一の角度であるものとする。シートSの移動方向と鉛直方向とのなす角度θ1は45°以下である必要がある。第1のイオン生成用電極5c、5iを含む第1のイオン生成用電極群と第2のイオン生成用電極5d、5jを含む第2のイオン生成用電極群は、第1の交流電源5eと第2の交流電源5fに接続されており、5eと5fの電圧は互いに逆位相の電圧波形である。この条件で、第1のイオン生成用電極5c、5iを含む第1のイオン生成用電極群、第2のイオン生成用電極5d、5jを含む第2のイオン生成用電極群から発生する正と負のイオンによりシートSの除電をシートSの表裏両面から行うことでシートSの表裏で帯電の正負を平衡させ、シート全面に均一に表裏ともに帯電を除去した電気絶縁性シートを製造することができる。これは、傾斜を付けてイオン生成用電極を配置することにより、電気絶縁性シートの自重による鉛直方向へのたわみが緩和され、電気絶縁性シートが第1及び第2のイオン生成用電極群の間を移動した際、第1、及び第2のイオン生成用電極群に含まれる全てのイオン生成用電極からシートへの距離がある範囲内に収まり、その結果、第1、及び第2のイオン生成用電極群から生成された正負イオンがほぼ等量ずつ電気絶縁性シート表裏にそれぞれ付着するため、除電ムラが防止できるからである。
シートを挟んで配置された第1及び第2のイオン生成用電極のいずれの先端にも電圧が印加された状態で、該電圧印加された第1及び第2のイオン生成用電極の先端間距離の平均値dnAVGが大きい場合、または、該電圧印加された第1及び第2のイオン生成用電極の先端間距離の平均値dnAVGが小さいが、前記シート移動方向における第1及び第2のイオン生成用電極の先端の距離l3が、第1及び第2のイオン生成用電極のの先端間距離の平均値dnAVG以下に配置された第1及び第2のイオン生成用電極が存在しない場合は、シートを挟んで反対側に配置されたイオン生成用電極の先端と、自らイオンを生成したイオン生成用電極の先端との間に形成される電界の影響が殆どなく、生成した正負のイオンは、シートに予め形成された正負の帯電が自ら形成する弱い電界によって、シート表面に引き寄せられ付着すると考えられるため、前記第1及び第2のイオン生成用電極から生成した正負イオンは、前記シートに到達するのに時間を要し、該時間内に殆どの正負生成イオンは互いに再結合し、消滅するため、シート表面に到達する正負イオンの量は少なく、除電ムラの影響は比較的小さい。
しかし、シートを挟んで配置された第1及び第2のイオン生成用電極のいずれの先端にも電圧が印加された状態で、該電圧印加された第1及び第2のイオン生成用電極の先端間距離の平均値dnAVGが小さく、かつ、前記シート移動方向における第1及び第2のイオン生成用電極の先端の距離l3が、第1及び第2のイオン生成用電極のの先端間距離の平均値dnAVG以下に配置された第1及び第2のイオン生成用電極が少なくとも1つ以上存在する場合は、シートを挟んで反対側に配置されたイオン生成用電極の先端と、自らイオンを生成したイオン生成用電極の先端との間に形成される電界の影響が大きくなり、生成した正負のイオンの殆どがシートに向かって加速されシートに付着する場合が多いため、シート表裏における正負イオンの付着量の差は、第1及び第2のイオン生成用電極の先端からの距離に厳しく効いてくると考えられる。
また、シートを挟んで配置された第1及び第2のイオン生成用電極のいずれの先端にも電圧が印加された状態で、該電圧印加された第1及び第2のイオン生成用電極の先端間距離の平均値dnAVGが小さく、かつ、前記シート移動方向における第1及び第2のイオン生成用電極の先端の距離l3が、第1及び第2のイオン生成用電極の先端間距離の平均値dnAVG以下に配置された第1及び第2のイオン生成用電極が複数存在する場合は、第1及び第2の各イオン生成用電極の先端とシートとの距離が一定範囲外であると、各イオン生成用電極から生成された正負イオンのシート表面の同一面への付着量が、それぞれのイオン生成用電極によって差が生じ、シートの位置による除電ムラが発生すると考えられる。よって、図2に示すような実施形態において、イオン吸引電極2dのような平面状のイオン生成用電極では、それ自体から正負のイオンは生成しないが、イオン生成電極2bから生成した正負イオンは、イオン吸引電極2dとイオン生成電極2bの間に形成される電界によって加速され、シートに付着するため、移動するシートが複数のイオン生成電極2bの直下を通過の際、各イオン生成電極2bとシートとの距離に差があると、シート表面への生成イオンの付着量がシートの位置によって異なることになり、除電ムラが発生する。よって、シート表裏における正負イオンの付着量の差を一定以下に抑え、シート全面を均一に除電ムラをなくすためには、第1、及び第2各イオン生成用電極先端から、シートまでの距離を一定範囲内に抑える必要があり、本発明によるシートのたわみ抑制効果のある除電装置は有効である。
なお、図5では簡略化のために第1のイオン生成用電極群はイオン生成用電極5cおよび5iの2つのイオン生成用電極で、第2イオン生成用電極群はイオン生成用電極5dおよび5jの2つのイオン生成用電極で構成されているものとした。実際には、それぞれもっと多数のイオン生成用電極を有するものとしてもよい。
図6に示す本実施形態の電気絶縁性シートの除電装置6は、除電装置としての基本構成は、図5に示す電気絶縁性シートの除電装置5と同じであるが、第2のイオン生成用電極6bを含む第2のイオン生成用電極群全体を回転運動により開閉する機構を有する点で異なる。このシート除電装置6においては、第1のイオン生成用電極6aを含む第1のイオン生成用電極群、第2のイオン生成用電極6bを含む第2のイオン生成用電極群をそれぞれ固定する電極固定平板6c、6dが連結アーム6fで連結されている。連結アーム6fは、電極固定平板6dとは位置関係が固定されているが、電極固定平板6cとは中心軸6gを中心に回転運動可能なように構成されている。この中心軸6gは、第2のイオン生成用電極群に含まれるイオン生成用電極6bの長手方向と一致する方向の回転軸である。この構造により、第2のイオン生成用電極6bを含む第2のイオン生成用電極群及び固定平板6dは、上記中心軸6gを中心に図6の矢印Dの方向に180°回転可能となっている。図7は、第2のイオン生成用電極群が図6に示した基本位置から矢印Dの方向に90°回転した様子を示している。なお、図6は簡略化のため、対向するイオン生成用電極は2対のみ記載しているが、実際には3対以上のイオン生成用電極対を電気絶縁性シートの移動方向に配置してもよい。また図6は第2のイオン生成用電極群のみ回転する形態としたが、第1のイオン生成用電極群のみまたは第1および第2のイオン生成用電極群をともに回転可能に構成してもよい。また、イオン生成用電極ごとに回転可能としてもよいし、図6に示したようにイオン生成用電極群ごとに回転可能としてもよい。
図8は、図6のB−B’矢視断面図である。図8で、連結アーム6fは対向する第1および第2のイオン生成用電極6a、6bを含む第1及び第2のイオン生成用電極群と電気絶縁性シートSとの距離を、シート全面において安定に一定に維持するために、電極固定平板6cと6dを2箇所で連結することが好ましい。図7、図8に示す通り、回転運動により第1または第2のイオン生成用電極群を移動させた場合、第1のイオン生成用電極6aを固定する平板6cと第2のイオン生成用電極6bを固定する平板6dとのなす角度θ2は、作業者が電極を全面目視確認するのが容易なよう60°以上とし、電極固定平板側面に位置決めストッパー6eを備えることにより、たとえば、180°まで回転できるよう制限する。また、電極固定平板6c、または6dを移動させ、第1及び第2のイオン生成用電極6a、6bを含む第1及び第2のイオン生成用電極群を対向する状態に戻した際、対向する第1及び第2のイオン生成用電極6a、6bを含む第1及び第2のイオン生成用電極群の位置に再現性を持たせ、対向する第1及び第2のイオン生成用電極群の先端どおしの位置ずれによる除電能力のばらつきを防止することが可能である。なお電極固定平板6c、または6dの移動に必要な動力源はアクチュエータを用いても手動でもよい。このような回転による開閉機構を備えることにより、対向する第1、または第2のイオン生成用電極群をメンテナンスするに際し、目視確認、清掃、管理が極めて容易に実現できる。
以下に示す実施例および比較例において、効果の評価を、除電後のフィルムの被除電部位に、複写機で用いるトナーをふりかけ、その付着の様子により帯電状態を調べた。これはダストフィギュア法と呼ばれる電荷分布の簡単な識別方法である(非特許文献1参照)。また、移動するフィルムの張力値は、日本電産シンポ(株)製デジタルテンションメーター(型式DTMB−30B)を使用しシートエッジ部の張力を測定し、フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム幅1mあたりの張力値に換算した。
[実施例1]
図5に示す形態において、電気絶縁性シートSとして幅5000mm、厚さ38μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、速度200m/分で移動させる。フィルムの移動方向の張力値は20N/mであり、フィルムを支持、搬送する2つのロール表面間の接線距離dは1mとする。第1および第2のイオン生成用電極5c、5dを含む第1及び第2のイオン生成用電極群は、それぞれ、針状の電極形状を複数有し、l1=800[mm]、l2=800[mm]、l3=0[mm]、l4-n=0[mm](n=1、2、・・、10)の条件でフィルムを挟んで対向配置する。ただし、フィルムの移動方向と鉛直方向のなす角度が0°になるよう対向する第1及び第2のイオン生成用電極群を配置する。
第1のイオン生成用電極群は、上記のような構成の第1イオン生成用電極5dを10個、先端部の移動方向における間隔を等間隔に配置して構成されている。同様に、第2のイオン生成用電極群は、第1のイオン生成用電極5cと同一の構造を有する第2のイオン生成用電極5dを10個、先端部の移動方向における間隔を等間隔に配置して構成されている。また、第1と第2のイオン生成用電極間距離の平均値dnAVG=30[mm]であり、フィルムを支持、搬送する2つの搬送ロール表面の接平面から、第1及び第2のイオン生成用電極への距離が等距離、すなわち15[mm]になるよう第1及び第2のイオン生成用電極群を配置する。第1のイオン生成用電極5cを含む第1のイオン生成用電極群、及び第2のイオン生成用電極5dを含む第1のイオン生成用電極群に接続する電源5e、5fには周波数60Hz、実効電圧4kVの交流電源を用いる。これらは、互いに極性が逆になるよう、電源内部の昇圧トランスの入力が切り替えられている。
この実施例で得られる除電後のフィルムに対し、上記トナー評価、フィルムと各電極群への最接近距離測定(ここでは、フィルムを移動させずに、前述した変位センサを用いてt2を測定。t1=15で固定し、計算する。)を実施後、t2/t1の比を計算すると、トナーは全く付着せず、t2=15[mm]>0.3dnAVG=9[mm]を満たし、かつ、0.8≦t2/t1=15/15=1≦1.25を満たし、フィルムとイオン生成用電極との接触によるフィルム表面の傷、破れの発生はない。
以下、実施例に示す形態で、各条件を変更した際の実施例1〜8及び比較例1〜7の条件及び結果一覧を表1に示す。
表1中の「判定」欄は、○:トナーが全く付着しない、△:トナーが薄く付着する、×:トナーが明らかに目視確認できる程度に濃く付着する、という定性的な3段階判断を実施した結果である。
表1に示す実施例及び比較例の結果から、ガイドロール中心間距離をd[m]、ガイドロール5a、及び5b上の電気絶縁性シートの移動方向の張力をN[N/m]とした場合、従来の、シートの移動方向が鉛直方向と直交、つまり90°に配置した方法では、シートにトナーが付着するのに対し、傾斜を付けて配置することにより20d≦N<300d(0<d≦1)、20d≦N<300(1<d)を満たす条件範囲でフィルム厚さに依らず使用することが可能となり、特に各イオン生成電極の先端とシートとの距離のわずかな変化においても、イオン付着量の差がシビアになる、シートを挟んで配置された第1及び第2のイオン生成電極の先端間の、シート移動方向における距離が小さい条件においても、本発明の除電装置はフィルム表裏の帯電バランス効果、及びシート全面のイオン付着ムラ防止に優れ、水平方向にフィルムを搬送する場合などにたわみの影響を排除するためにたとえば300[N/m]以上といった高張力をかけることによって発生しえたフィルムへのダメージがなく、設置場所の選択肢が広いという点において、従来技術に比べ格段に優位である。
Figure 2006019043
本発明は、除電装置に限らず、対象物を狭い間隙で挟んだ状態で、対象物の表裏
、及び全面に等量の効果を付与することが必要な装置に応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
従来の技術による除電装置の概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る装置の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る装置の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る装置の概略説明図である。 図5の本発明の一実施形態のイオン生成用電極群を90°移動した状態の説明 図である。 図5の本発明の一実施形態をシートの移動方向から見た状態の説明図である。 本発明に関わる測定系の説明図である。
符号の説明
1:除電器
1a:交流電源
1b:イオン生成用電極
1c:交流電源(1aと逆位相)
1d:イオン吸引電極
1e:交流電源
1f:イオン生成用電極
1g:交流電源(1eと逆位相)
1h:イオン吸引電極
S :電気絶縁性シート
1 :第1、第2のイオン生成用電極群の1番目どおしのシート法線 方向距離
2 :第1、第2のイオン生成用電極群の2番目どおしのシート法線 方向距離
2:除電器
2a:交流電源
2b:イオン生成電極
2c:交流電源(2aと逆位相)
2d:イオン吸引電極
2e:直流印加電極
2f:交流印加電極
2g:イオン生成電極進退機構
2h:イオン吸引電極進退機構
1 :第1、第2のイオン生成用電極群の1番目どおしのシート法線 方向距離
5 :第1、第2のイオン生成用電極群の5番目どおしのシート法線 方向距離
1 :第1のイオン生成用電極群のシート移動方向における両端距離
2 :第2のイオン生成用電極群のシート移動方向における両端距離
3:除電器
3a:イオン生成用電極
3b:イオン生成用電極
3c:ガイドローラー
3d:電気絶縁性袋
4:除電器
4a:ガイドローラー
4b:ガイドローラー
4c:第1のイオン生成用電極群の移動方向における1番目のイオン 生成用電極
4d:第2のイオン生成用電極群の移動方向における1番目のイオン 生成用電極
4e:第1のイオン生成用電極群の移動方向における2番目のイオン 生成用電極
4f:第2のイオン生成用電極群の移動方向における2番目のイオン 生成用電極
4g:鉛直方向
4h:電気絶縁性シート移動方向
4i:第1のイオン生成用電極群の移動方向におけるn番目のイオン 生成用電極
4j:第2のイオン生成用電極群の移動方向におけるn番目のイオン 生成用電極
θ1 :4gと4hの為す角度
1 :第1、第2のイオン生成用電極群の1番目どおしのシート法線 方向距離
2 :第1、第2のイオン生成用電極群の2番目どおしのシート法線 方向距離
n :第1、第2のイオン生成用電極群のn番目どおしのシート法線 方向距離
1:第1のイオン生成用電極群のシート移動方向における両端距離
2:第2のイオン生成用電極群のシート移動方向における両端距離
4-1:第1のイオン生成用電極群の1番目のイオン生成用電極の先端と 第2のイオン生成用電極群の1番目のイオン生成用電極の先端 との、シート移動方向の距離
4-2:第1のイオン生成用電極群の2番目のイオン生成用電極の先端と 第2のイオン生成用電極群の2番目のイオン生成用電極の先端 との、シート移動方向の距離
4-n:第1のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先端 と第2のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先 端との、シート移動方向の距離
a:第1のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先端 と第2のイオン生成用電極群の1番目のイオン生成用電極の先 端との、シート移動方向の距離
b:第1のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先端 と第2のイオン生成用電極群の2番目のイオン生成用電極の先 端との、シート移動方向の距離
c:第1のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先端 と第2のイオン生成用電極群のn番目のイオン生成用電極の先 端との、シート移動方向の距離
3:上記、全てのnに対し、a、b、cの最小値
A:電気絶縁性シートの移動方向
6:除電器
6a:イオン生成用電極
6b:イオン生成用電極
6c:イオン生成用電極固定平板
6d:イオン生成用電極固定平板
6e:連結アーム位置決めストッパ−
6f:連結アーム
6g:連結アーム回転中心点
θ2 :平板6cと平板6dの為す角度
A:電気絶縁性シートの移動方向
B−B’:装置断面矢視
D:イオン生成用電極群の回転方向
9a:データ記録装置
9b:変位測定用センサーヘッド
9c:搬送ロール
9d:搬送ロール
9e:イオン生成用電極
9f:センサー9bの移動方向
9g:搬送ロール9c、9d間の接平面を含む仮想平面
9h:変位測定用1次元座標
1:イオン生成用電極の先端と9g間距離
2:センサー9bで測定する変位量測定値

Claims (5)

  1. 電気絶縁性シートの移動方向において配列された複数の第1のイオン生成用電極を含む第1のイオン生成用電極群と、該第1のイオン生成用電極群と電気絶縁性シートを挟んで対向し、前記移動方向において配列された複数の第2のイオン生成用電極を含む第2のイオン生成用電極群とを備えた電気絶縁性シートの除電装置であって、前記第1のイオン生成用電極群内に含まれる前記シート移動方向における前記第1のイオン生成用電極の両端の距離l1[mm]及び、前記第2のイオン生成用電極群内に含まれる前記シート移動方向における前記第2のイオン生成用電極の両端の距離l2[mm]との和が、前記第1のイオン生成用電極群に属する前記各第1のイオン生成用電極の先端と、これに対向する第2のイオン生成用電極群に属する前記各第2のイオン生成用電極の先端との間のシート法線方向における距離dn[mm](n=1、2、N(Nは、前記第1のイオン生成用電極および前記第2のイオン生成用電極の数のうち、多い方である))の平均値dnAVG[mm]の2倍以上であり、かつ前記移動方向と鉛直方向とのなす角度θが45°以下になるよう構成されていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置。
  2. すべての前記第1のイオン生成用電極において、当該第1のイオン生成用電極の先端と前記移動方向において最も近い前記第2のイオン生成用電極の先端との間の前記移動方向における位置の差l3[mm]が、前記シート法線方向における距離dnの平均値dnAVG[mm]以下であるように構成されている請求項1に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  3. 前記第1のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第1のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置と、前記第2のイオン生成用電極群に属し、前記移動方向においてn番目に配置された前記第2のイオン生成用電極の先端の前記移動方向における位置との差l4-nが、前記シート法線方向における距離dn[mm]の平均値dnAVG[mm]以下であるよう構成されている請求項1または2に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の除電装置を用いて前記第1及び前記第2のイオン生成用電極群に含まれる前記第1及び前記第2のイオン生成用電極に電圧を印加しながら、前記各イオン生成用電極群の間に前記シートの法線方向における数が単数のシートを1対の搬送ロールに掛け渡して移動させながら除電する除電済みシートの製造方法であって、前記シートの移動経路が前記各第1のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t1[mm]に対する、前記シートが前記各第2のイオン生成用電極のいずれかの先端に最接近する際の両者の間の距離t2[mm]の比t2/t1が、0.8≦t2/t1≦1.25を満たし、かつ、t1>0.3dnAVG、かつ、t2>0.3dnAVGを満たすことを特徴とする除電済みシートの製造方法。
  5. 前記第1のイオン生成用電極群または前記第2のイオン生成用電極群を、前記第1または前記第2のイオン生成用電極群に含まれる各イオン生成用電極の長手方向と平行な方向を軸として、60°以上回転可能な回転支持体を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
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