JP2006016709A - 耐熱性防護服 - Google Patents
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Abstract
【課題】重量を大幅に増加させることなく遮熱性を向上させ、さらにごわつき感なく着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服を提供すること。
【解決手段】表地層と内層のみからなる二層構造を有する防護服であって、該表地層、及び内層が下記(a)及び(b)の要件を同時に満足する。
(a)表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成される。
(b)内層が、透湿防水性を有するフィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体である。
【選択図】なし
【解決手段】表地層と内層のみからなる二層構造を有する防護服であって、該表地層、及び内層が下記(a)及び(b)の要件を同時に満足する。
(a)表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成される。
(b)内層が、透湿防水性を有するフィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体である。
【選択図】なし
Description
本発明は耐熱性防護服に関するものであり、更に詳しくは、高い遮熱特性と着用感に優れた新規な布帛構造体からなる耐熱性防護服に関するものである。
従来、例えば、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服としては、不燃性のアスベスト繊維、ガラス繊維等の素材が使用されていたが、環境問題や、動きやすさなどの観点から、近年では、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの難燃性の有機繊維が使用されるようになり、さらに、火災により発生する輻射熱を遮蔽するため、これらの難燃繊維からなる布帛に金属アルミニウム等をコーティングあるいは蒸着等により、表面加工したものが多く使われている。
一方、近年になって、遮熱性の評価方法の国際標準化がなされ、輻射熱はもとより、伝導熱にも注目した評価方法が確立された(試験法番号:ISO9151)。この評価方法をクリアするにあたっては、熱の伝導を遅延させるために、防護服内に大量の空気層を形成することが有用になると考えられている。
しかしながら前述したような、アルミニウムにより表面加工された難燃繊維からなる布帛を防護服として用いる場合、その重量が非常に重くなるという欠点がある上、上記の空気層を作るという観点から積層構造を採用した場合には、その重量が一層増加するという問題が発生するので、このような積層構造の防護服を使用することは実用上不可能であった。
このような問題を解決するため、例えば、特開2000−212810号公報には、遮熱性に富んだ嵩高性の不織布を使用した防護服が提案されている。しかしながら、このような不織布を用いた防護服では、良好な遮熱性は得られるものの、透湿性や通気性が極端に低減し、暑熱感や蒸れ感を引き起こす原因となるため、消火作業時のような非常に過酷な環境では、着用感が悪いものとなり、更なる改良が求められている。
一方、着用性を向上させるため、膨張剤を用いて衣服内の空気量を増やす試み(特開2001−214318号公報)や、特殊な織物構造を利用して衣服内の空気量を増やす試み(特開2002−115106号公報)もなされているが、これらの防護服はいずれも表地層と透湿防水層と遮熱層からなる3層構造を採用しているためにごわつき感があり、防護服の重量が大幅に増加するのを抑えることは困難であった。
特開2000−212810号公報
特開2001−214318号公報
特開2002−115106号公報
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解決し、重量を大幅に増加させることなく遮熱性を向上させ、さらにごわつき感なく着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、防護服を表地層と内層からなる二層構造としても、内層の遮熱性を可及的に向上させるとき、所望の防護服が得られることを究明し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、表地層と内層のみからなる二層構造を有する防護服であって、該表地層、及び内層が下記(a)及び(b)の要件を同時に満足することを特徴とする耐熱性防護服が提供される。
(a)表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成される。
(b)内層が、透湿防水性を有するフィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体である。
(a)表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成される。
(b)内層が、透湿防水性を有するフィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体である。
本発明によれば、重量を大幅に増加させることなく遮熱性を向上させ、さらにごわつき感なく着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服が提供されるので、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服などの用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の耐熱性防護服は、表地層と内層とをこの順に重ね合わせた構造からなり、これらの層はいずれもアラミド繊維を主成分とする耐熱性繊維の布帛を含むものである。ここにいうアラミド繊維としては、優れたLOI値を有するポリメタフェニレンイソフタルアミドなどのメタ系アラミド繊維や、織物や編物強度を向上させる目的でパラ系のアラミド繊維、すなわち、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、あるいは、これに第3成分を共重合した繊維などを用いることが有用である。
ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体の一例として、下記式に示すコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミドなどが例示される。
上記表地層は、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とを、例えば混紡して紡績糸の形態で使用する。この際のパラ系アラミド繊維の混合比率としては、表地を構成する全繊維に対して5重量%以上が好ましいが、パラ系のアラミド繊維は、フィブリル化を起こしやすいため、混合比率を60重量%以下に抑えることが好ましい。
また、該表地の目付は150〜350g/m2の範囲にあるものを使用することが好ましい。該目付が150g/m2未満の場合には、十分な耐熱性能が得られない恐れがあり、また、該目付けが350g/m2を超える場合には、防護服にした場合の着用感が阻害されるので好ましくない。
該表地層(耐熱性防護服の表側面)には、撥水性加工を施して耐水性の高い布帛とすることが好ましい。該撥水加工は、フッ素系の撥水性樹脂を用い、公知の方法に従って、コーティング法、スプレー法、あるいは浸漬法などの加工方法により加工を行うことができる。このような撥水性加工を施した耐熱性布帛を用いてなる防護服においては、消火作業の際に空隙部に水が浸入してくるのを防止することができるので、防護服の着用性能を向上させることができる。
次に、内層は、透湿防水性を有するものであることが重要であり、具体的には透湿防水性を有する薄膜フィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体が用いられる。ここで用いる薄膜フィルムとしては、透湿防水性を有するものであればいずれも使用可能であるが、耐薬品性を兼ね備えたポリテトラフルオロエチレン製の薄膜フィルムを用いることが特に好ましい。
また、フィルムにアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせる方法としては、ラミネート加工したものが最適に例示される。
該織編布の目付としては、50〜200g/m2の範囲で形成したものが好ましく例示される。織編物の目付が50g/m2未満の場合には、織編物の強度が低く、また所望の遮熱性が得られないおそれがあり、また該目付が200g/m2を超えると、防護服の重量を増加させ、着用者の動きを阻害するようになる。
なお、本発明の耐熱防護服は、このような表地層と内層から構成される複合構造を有するが、各層は相互に接合されている必要はなく、重ね合わして縫合したものでよい。また、内層はファスナー等を使用して表地層から取り外し可能なようにし、洗濯が簡単に出来るような構造を有するものが好ましい。
かくして得られる本発明の耐熱性防護服は、表地層と内層のみからなる二層構造の複合布帛で構成され、該表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成されることにより、表地層としての十分な強度と、耐炎性及び熱防護性に優れた性能を得ることができ、また、内層が、透湿防水性を有することにより着用者の汗の蒸散を促進してヒートストレスを減少させ、また、耐水性や耐薬品性を向上させることができる。さらに、内層の透湿防水性フィルムの両面にアラミド織編物を貼り合わせることにより、遮熱性を可及的に高めると共に、着用時のよれと型崩れを抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成および効果をさらに詳細に説明する。尚、実施例における各物性は以下の方法により求めたものである。
(1)引張強度
JIS L 1096 引張り強さ A法に準拠した方法により測定した。
JIS L 1096 引張り強さ A法に準拠した方法により測定した。
(2)伸長回復率
JIS L 1096 伸張回復率 A法に準拠した方法により測定した。
JIS L 1096 伸張回復率 A法に準拠した方法により測定した。
(3)透湿性
JIS L 1091 B−2法に準拠した方法により測定した。
JIS L 1091 B−2法に準拠した方法により測定した。
(4)炎に対する遮熱性
ISO9151 に準拠した方法により、24℃温度上昇試験を行う。測定は、内衣の上に外衣を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が24℃に達するまでの時間を測定した。
ISO9151 に準拠した方法により、24℃温度上昇試験を行う。測定は、内衣の上に外衣を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が24℃に達するまでの時間を測定した。
(5)放射熱に対する遮熱性
ISO6942 ;1992に準拠した方法による。測定は、内衣の上に外衣を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が二度火傷に達するまでの時間を測定した。
ISO6942 ;1992に準拠した方法による。測定は、内衣の上に外衣を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が二度火傷に達するまでの時間を測定した。
[実施例1]
表地層として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商標名:コーネックス)とコポリパラフェニレン・3、4‘オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商標名:テクノーラ)とを混合比率が90:10となる割合で混紡した紡績糸(20/2)を用い、2/1の綾織に織成した織物(目付:280g/m2)を得た。
表地層として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商標名:コーネックス)とコポリパラフェニレン・3、4‘オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商標名:テクノーラ)とを混合比率が90:10となる割合で混紡した紡績糸(20/2)を用い、2/1の綾織に織成した織物(目付:280g/m2)を得た。
また、内層として、透湿防水性のポリテトラフルオロエチレン製フィルム(ジャパンゴアテックス(株)製、目付:35g/m2)の片面にポリメタフェニレンイソフタルアミド製織布(目付:75g/m2)を貼り合わせ、フィルムのもう一方の面に遮熱性を持たせるために、ポリメタフェニレンイソフタルアミド製の丸編物(目付:180g/m2、ハニカムメッシュ構造)を貼り合せた複合体を得た。
これらの表地層、内層の2層を重ねて用い、縫合して耐熱性防護服を得た。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、遮熱性を持たせるために用いたポリメタフェニレンイソフタルアミド製の丸編物(目付:180g/m2、ハニカムメッシュ構造)に代えて、ポリメタフェニレンイソフタルアミド製の経編物(目付:150g/m2)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
実施例1において、遮熱性を持たせるために用いたポリメタフェニレンイソフタルアミド製の丸編物(目付:180g/m2、ハニカムメッシュ構造)に代えて、ポリメタフェニレンイソフタルアミド製の経編物(目付:150g/m2)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
実施例1において、内層として、実施例1で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミド製の丸編物(目付:180g/m2、ハニカムメッシュ構造)をフィルム層に貼り合わせることなく用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
実施例1において、内層として、実施例1で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミド製の丸編物(目付:180g/m2、ハニカムメッシュ構造)をフィルム層に貼り合わせることなく用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
実施例1において、内層として、実施例1で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミド製織布(目付:75g/m2)をフィルム層に貼り合わせることなく用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
実施例1において、内層として、実施例1で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミド製織布(目付:75g/m2)をフィルム層に貼り合わせることなく用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
実施例1において、表地には実施例と同一のものを使用し、中間層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸(番手:40/−)からなる織布(目付:75g/m2)にポリテトラフルオロエチレン製の透湿防水性フィルム(ジャパンゴアテックス製、目付:35g/m2)をラミネートしたものを使用する。更に、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維の短繊維(1.25デニール、38mmカット長)を用いて、ウォーターニードル法により作成した不織布(目付:35g/m2)を3層に積層させ、該不織布にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸(番手:60/1)を織成した織布(目付:75g/m2)を裏地として重ね合わせたものをキルティング加工し、遮熱層を得た。これらの表地層、中間層、遮熱層の3層を重ねて用い縫製して耐熱性防護服を得た。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
実施例1において、表地には実施例と同一のものを使用し、中間層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸(番手:40/−)からなる織布(目付:75g/m2)にポリテトラフルオロエチレン製の透湿防水性フィルム(ジャパンゴアテックス製、目付:35g/m2)をラミネートしたものを使用する。更に、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維の短繊維(1.25デニール、38mmカット長)を用いて、ウォーターニードル法により作成した不織布(目付:35g/m2)を3層に積層させ、該不織布にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸(番手:60/1)を織成した織布(目付:75g/m2)を裏地として重ね合わせたものをキルティング加工し、遮熱層を得た。これらの表地層、中間層、遮熱層の3層を重ねて用い縫製して耐熱性防護服を得た。得られた耐熱性防護服の評価結果を表1に併せて示す。
本発明によれば、重量を大幅に増加させることなく遮熱性を向上させ、さらにごわつき感なく着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服が提供されるので、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服などの用途に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 表地層と内層のみからなる二層構造を有する防護服であって、該表地層、及び内層が下記(a)及び(b)の要件を同時に満足することを特徴とする耐熱性防護服。
(a)表地層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成される。
(b)内層が、透湿防水性を有するフィルムの両面にアラミド繊維からなる織編布を貼り合わせた複合体である。 - 表地層を構成するパラ系アラミド繊維の混率が、該表地を構成する繊維の全重量に対し5〜60重量%の範囲にある請求項1記載の耐熱性防護服。
- 表地層が、撥水加工されている請求項1又2記載の耐熱性防護服。
- 内層の透湿防水性を有するフィルムが、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性防護服。
- 内層を構成するアラミド繊維からなる織編布の目付が、それぞれ50〜200g/m2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性防護服。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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