JP2006016588A - 難燃剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 含塩素化合物、含臭素化合物を含有せず、また、樹脂に添加した場合、加工性、耐熱性及び難燃性を高度にバランスさせることのできる難燃剤組成物を提供するものである。
【解決手段】(A)MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)、(B)TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃である五価のリン化合物からなる難燃剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃剤組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂などに配合した際に、加工性に優れ、かつ難燃性、耐吸湿性、耐熱性に優れる難燃剤組成物に関する。
従来、易燃性樹脂の難燃化の手法として、含塩素化合物、含臭素化合物、三酸化アンチモンなどを添加する方法や、樹脂中に含塩素化合物、含臭素化合物を含有させる手法が用いられてきたが、これらは環境保護の観点、毒性の面等から好ましくないとの指摘があり、難燃化手法の改善が求められている。含塩素、含臭素系難燃剤を用いない難燃化手法としてリン系難燃剤を用いた難燃化手法が検討されている。
その難燃化の作用機構は、燃焼時に樹脂表面に生じるポリリン酸相と樹脂の脱水の結果生じる炭化相が皮膜となって、燃焼中の樹脂への熱と酸素供給の遮断にあるといわれている。そして、炭化皮膜を生成しやすい、即ち脱水されやすい樹脂に対して特に有効とされている。逆に、脱水による炭化皮膜を生成し難い樹脂をリン及びリン化合物によって難燃化しようとする場合、主としてポリリン酸相皮膜に頼らざるを得ないため、その配合量を多くしなければならない。
リン及びリン化合物の配合量を増やすことなく炭化皮膜を形成し難い樹脂を難燃化するには、予め炭化皮膜の原料となる成分を配合した難燃剤組成物を用いるという着想が生まれる。
特許文献1には、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対し、架橋ホスファゼン化合物とポリフェニレンエーテル樹脂とを難燃剤として使用する方法が提案されている。これは、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対して良好な難燃性を付与するものであるが、加工性、耐熱性、機械特性、誘電特性及び、成形品外観において充分に満足できるものではなかった。
また、特許文献2で提案されている、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂及びホスファゼン化合物と併用した難燃剤組成物は、難燃性、成型加工性の観点からも有効である。しかし、成型加工性や機械的特性、誘電特性及び耐熱性に対する要求、難燃剤添加量の減量化の要求は尽きることはなく、さらなる向上が求められている。
また、特許文献3には、金属元素含有化合物と芳香族基含有ホスファゼン化合物からなる複合難燃剤が提案されている。しかし、該特許文献3において使用に供される金属元素含有化合物は任意性が許されており、何等規定がない。また、該特許文献3で使用されているシリコン化合物、水酸化マグネシウム等は、誘電特性を悪化させる傾向にあり、電気電子用途等、誘電特性を求められる分野においては好ましくなく、誘電特性の悪化を招かない難燃剤が求められている。
特許文献4〜6には、芳香族含有樹脂とホスファゼン化合物、及び金属化合物を組み合わせた樹脂組成物の記載がある。これらの特許文献において使用に供される金属化合物は任意性が許されており、具体的にいかなる化合物を指すのか、具体的にいかなる金属酸化物、金属水酸化物等を含むのか開示されていない。
また、特許文献4〜6で使用されている金属水酸化物類は、誘電特性や機械特性等を悪化させる傾向があり、好ましくない。これらの従来技術からは、本発明者らが見出した、特定の五価のリン化合物とある特定の金属酸化物を所定の比率で混合することにより、難燃性に加えて、耐熱性、耐吸湿性、機械特性、誘電特性、押出作業性、低発煙性等の諸物性をバランスよく維持、向上するという硬化は見出すことができない。そのような優れた効果は、後述するように本発明によって初めて達成されたものである。
国際公開第03/002666号パンフレット 国際公開第03/099928号パンフレット 特開2001−247870号公報 特開2003−342482号公報 国際公開第03/046083号パンフレット 国際公開第00/00541号パンフレット
本発明による難燃剤組成物の課題は、塩素、臭素化合物を含まず、樹脂に添加した場合に、難燃性、耐吸湿性、耐熱性、誘電特性、低発煙性、押出作業性に優れる難燃剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の(A)成分及び(B)成分並びに必要により(C)成分を組み合わせて含有する難燃剤組成物を用いることにより、樹脂表面への炭化皮膜の形成を促進し、炭化皮膜を形成し難い樹脂に対しても安定した難燃性を付与することができ、且つ優れた耐熱性、耐加水分解性、機械特性、誘電特性、低発煙性、及び成形品外観を有する難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
(A)成分:特定の金属元素を有する金属酸化物
(B)成分:特定の五価のリン化合物
(C)成分:芳香族含有樹脂
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.下記の(A)成分と(B)成分とを含む難燃剤組成物。
(A)MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)
(B)TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃である五価のリン化合物。
2.(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部含有することを特徴とする上記1に記載の難燃剤組成物。
3.(B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャーにより150℃にて測定した水分量が1000ppm以下である上記1又は2に記載の難燃剤組成物。
4.(B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
5.(A)成分において、金属MがV,Nb,Fe,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auから選ばれる少なくとも一種である上記1〜4のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
6.(B)成分がホスファゼン化合物であることを特徴とする上記1〜5いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
7.(B)成分が縮合リン酸エステルであることを特徴とする上記1〜5のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
8.更に、(C)成分として芳香族樹脂を含有することを特徴とする上記1〜7のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
9.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする上記8に記載の難燃剤組成物。
10.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする上記8に記載の難燃剤組成物。
11.(C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする上記8〜10のいずれかに記載の難燃剤組成物。
本発明の難燃剤組成物を樹脂に配合することにより、ハロゲンを含まず、耐熱性、機械特性、加工性、誘電特性及び難燃性のバランスに優れた樹脂組成物を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においては、(A)成分である特定の金属酸化物及び、(B)成分である五価のリン化合物は必須成分である。これらの成分を適宜組み合わせることにより、高温加熱時に炭化層の成長を促進し、少量の添加で優れた難燃性、諸特性を得ることができる。また、炭化層の形成を効率良く行う為に、第三成分として(C)成分である芳香族樹脂を添加することも可能である。
以下、諸成分について説明を行う。
(A)成分:金属酸化物(MxOy;但し、式中Mは、周期表第5、8、10、11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素)
本発明において好適に用いられる金属酸化物は一般式MxOyで表される。ここでx及びyはそれぞれ、0<x≦5、0<y≦5である。本発明においては、中心金属元素として、特定の元素を有する金属酸化物を用いることが重要である。即ち、本発明においては、周期表第5、8、10、11族元素を含有する金属酸化物を用いることが重要である。他の族に属する元素を含有する金属酸化物を用いた場合、所望の効果を十分に得ることができない。また、樹脂に添加した場合に樹脂を加水分解する傾向にあるものもあり、好ましくない。一例を挙げると、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、酸化タリウム等の金属酸化物は、吸湿性、水への溶解性が高く、このような金属酸化物を添加することで、樹脂、特にポリカーボネート系樹脂、ポリアミド、ポリエステル等を加水分解する傾向にあり好ましくない。
本発明で好適に使用される周期表第5、8、10、11族元素を含有する金属酸化物としては、酸化バナジウム、酸化二オブ、酸化タンタル、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化オスミウム、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化白金、酸化銅、酸化銀、酸化金が挙げられる。難燃性、機械特性、安全性等とのバランスを考えると、その中でも酸化バナジウム、酸化二オブ、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化パラジウム、酸化白金、酸化銅、酸化銀、酸化金が好適に使用される。
また、耐吸湿性、ノンハロゲンの観点から、含有する塩素量が2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが好ましい。
本発明で好適に使用される金属酸化物の粒径は、特に規定されず、従来公知のものを好適に用いることができる。その中でも、金属酸化物の分散性を考慮する必要がある場合、100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下であることが好ましい。
各金属酸化物は単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。また、これらの金属酸化物は、任意の無機物及び/又は有機物で被覆して用いても良い。
(B)成分:五価のリン化合物
本発明で用いることのできる五価のリン化合物としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン等が挙げられる。
本発明の五価のリン化合物は、(A)成分と併用して用いた場合の、難燃性、燃焼時の低発煙性、低揮発性等を考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が、40〜100℃、好適には40〜90℃、より好ましくは45〜85℃、更に好ましくは45〜75℃、特に好ましくは45〜70℃であるものが好ましい。また、樹脂に対して用いた場合、燃焼時の炭化層形成促進効果による難燃効率を考えると、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であるものが好ましく、より好ましくは350〜450℃である。
なお、以下では「〜重量%の重量減少時の温度」を「〜%減量温度」という場合がある。
本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物の構造は、例えばJames E. Mark, Harry R. Allcock, Robert West 著、”Inorganic Polymers” Pretice-Hall International, Inc., 1992, p61-p140に記載されている。例えば、下記一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物及び/又は、下記一般式(2)で示される鎖状ホスファゼン化合物が挙げられ、その中でもこれらの構造を有するホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
Figure 2006016588
Figure 2006016588
ここで、式中のnは3〜25の整数、mは3〜10000の整数であり、置換基Xは炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、又は下記一般式(3)
Figure 2006016588
で示される置換基を有するアリールオキシ基(式中のY、Y、Y、Y及びYは水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ばれた少なくとも一種の置換基を表す)、又はナフチルオキシ基、又は炭素数が1〜6のアルコキシ基やアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基のうち、少なくとも一種の置換基であり、置換基上の水素は一部又は全部がフッ素に置換されていても構わない。また、式中のYは−N=P(O)(X)又は−N=P(X)を表し、Zは−P(X)又は−P(O)(X)を表す。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなり、同量を添加する場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられることから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファゼン化合物中の置換基Xは特に制限はなく、一例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4-ターシャリーブチルフェニル基、2-メチル-4-ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジエチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、3,5−ジエチルフェノキシ基、3,4−ジエチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、これらの基の一部又は全部の水素がフッ素及び/又はヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。ここで、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基であり、一例を挙げると、アミノ基、アミド基、シアノ基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
さらに、これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(4)
Figure 2006016588
(式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表す)からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていても良い。これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロルホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロルホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼンといった構造の異なる混合物であるが、難燃樹脂組成物の加工性は環状三量体、四量体含有率が高いほど好ましい傾向にあり、具体的には環状三量体及び/又は四量体化合物を80重量%以上含むホスファゼン化合物が好ましい。さらに好ましくは、三量体を70重量%以上、より好ましくは三量体を80重量%以上含有することが好ましい。
また、ホスファゼン化合物は、置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。固体状態の場合、嵩密度が0.45g/cm以上、好ましくは0.45g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。また、前記一般式(2)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下であることが望ましい。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、下記一般式(5)(式中のa+b=nであり、nは3以上の整数である。また、式中のXは同じであっても異なっても良いアリールオキシ基、及び/又はアルコキシ基を示す)で表されるオキソ体構造をとることもあるが、このようなオキソ体化合物も水酸基含有ホスファゼン化合物と同様に1重量%未満であることが望ましい。上記一般式(3)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2006016588
本発明で好適に用いられるリン酸エステルは従来公知のものを広く用いることができる。一例を挙げると、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、ジクレジルキシレニルホスフェート等が挙げられる。
本発明で好適に用いられる縮合燐酸エステルとは、下記一般式(6)、(7)を有する燐酸エステル化合物である。
Figure 2006016588
Figure 2006016588
(ここで、Q、Q、Q、Q、Q、Q10、Q11、Q12は、独立に水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を表し、Q,Q、Q、Q、Q13は独立に水素原子、またはメチル基を表す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9、m10は、独立に0から3の整数を示し、m5、m6は独立に0から2の整数を表し、m11は独立に0から4の整数を表す。)
本発明において好適に使用される(B)成分に含有する水分量は、電気特性、耐加水分解性等を考慮した場合、1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、さらには500ppm以下、より好ましくは300ppm以下であり、且つJIS K6751に基づき測定された酸価が1.0以下、好ましくは0.5以下であることが望ましい。
また、本発明で好適に使用される(B)成分は、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌後に水中に溶け込んだサンプルの量を指す)が100ppm以下、好ましくは50ppm、より好ましくは、25ppm以下であるものが良い。
本発明において好適に用いられる五価のリン化合物の中で、リン化合物自体の耐熱性や、低揮発性を考慮する必要がある場合、ホスファゼン化合物、ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合燐酸エステル、ビスフェノールAまたはレゾルシンと2,6−キシレノールを原料として得られる縮合燐酸エステルが特に好適に用いられる。また、更に耐加水分解性を考慮する必要がある場合、ホスファゼン化合物が特に好適に用いられる。
(C)成分:芳香族樹脂
本発明においては、(A)成分、(B)成分の他に、炭化皮膜の形成をより促進する目的で、芳香族樹脂を含有しても良い。
本発明で用いられる芳香族樹脂は、燃焼時に炭化皮膜を形成し易い樹脂であれば特に規定はされず、従来公知の芳香族樹脂を好適に用いることができる。一例を挙げると、ASTM D2863に基づいて測定された酸素指数が24以上であり、且つ、主鎖に芳香族分子を20mol%以上含有している樹脂であることが好ましい。より好ましくは30mol%以上、更に好ましくは40mol%以上、特に好ましくは50mol%以上含有していることが好ましい。具体的には、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が挙げられる。その中でも誘電特性、耐熱性、機械物性等も考慮すると、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が好ましく、特にポリフェニレンエーテル系樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は一種単独で用いても、二種以上を併用して用いても良い。
また、(C)成分の芳香族樹脂を用いる場合、(A),(B)及び(C)成分のみで樹脂組成物として用いることもできる。
(C−1)ポリフェニレンエーテル系樹脂
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(8)及び/または(9)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。
Figure 2006016588
Figure 2006016588
(ここで、R、R、R、R、R、Rは独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。但し、R、Rは同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、等のホモポリマーが挙げられる。
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含んでいるポリフェニレンエーテルは特に好ましい。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量体単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記一般式(10)で示されるビスフェノールとの共重合体等がある。
Figure 2006016588
(ここで、R、R、R、R10は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。また、式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表し、zは0又は1を表す))。
本発明においては、ポリフェニレンエーテル樹脂の一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、無水ジカルボキル基などの反応性官能基を、グラフト反応や、共重合など何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリフェニレンエーテル樹脂の一部又は全部を、不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されており、例えばラジカル開始剤の存在下または非存在下において、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和カルボン酸やその官能的誘導体を溶融混練し、反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸やその官能的誘導体とをラジカル開始剤存在下または非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2.2.1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などや、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸などや、これらモノカルボン酸のエステル、アミドなどが挙げられる。また、飽和カルボン酸であるが変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本発明で用いる官能的誘導体となり得る化合物も用いることができ、具体的にはリンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で用いることのできるポリフェニレンエーテルの分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、数平均分子量が500〜30000のものを好適に用いることができる。成型加工性に特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が500以上、5000以下のもの、好ましくは1200以上、4000以下のものを好適に用いることができる。耐熱性が特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が5000を超えるものを用いることが好ましい。ポリフェニレンエーテルは、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
(C−2)ポリカーボネート樹脂
本発明で好適に用いることができるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2006016588
(式中のArは、二価の炭素数4〜200の芳香族含有基であり、一例を挙げると、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンや、下記一般式(12)で示される基である)
Figure 2006016588
(式中Xは、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、下記一般式(13)、(14)で表される基であり、式中R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い)
Figure 2006016588
Figure 2006016588
また、本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していても良い。また、オルガノシロキサンで変性されたポリオルガノシロキサン変性ポリカーボネート系樹脂も好適に用いることができる(例えば、特開平6−100684号公報、特開平10−182832号公報等に記載の樹脂等)。
これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリカーボネート樹脂の末端基としては、本発明の効果が得られるものであれば特に規定はされない。例示すると、アルキル基、アルキルカーボネート基、アリール基、アリールカーボネート基等が挙げられ、末端基として一種以上の基を結合することができる。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン換算数平均分子量が1000〜100000のもの、好ましくは2000〜70000のもの、より好ましくは5000〜25000のものを好適に用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の製造方法は従来公知の方法を広く用いることができ、何等規定されるものではない。一例を挙げると、ホスゲン法、エステル交換法等で製造されたものを好適に用いることができる。
(C−3)芳香族ポリアミド樹脂
本発明で好適に用いることのできる芳香族含有ポリアミド樹脂は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ε−カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロへキシル)メタン等のポリアミド形成性モノマーを適宜組み合わせて得られるホモポリマー、共重合体及びこれらの混合物を用いることができる。
具体的には、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド 66/6I/11、ポリアミド66/6I/12、ポリアミド 66/6I/610、ポリアミド 66/6I/612等を挙げることができ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
本発明によるポリアミド樹脂の分子量は、何等規定されるものではないが、JIS K6810規格に示される硫酸相対粘度が1.5〜3.5の範囲にあるものを好適に用いることができる。
(C−4)サーモトロピック液晶
本発明で好適に用いることのできるサーモトロピック液晶は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、p−ヒドロキシ安息香酸及びエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4’−ヒドロキシビフェニル並びにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶は、必要に応じて本発明の特徴と効果を損なわない程度の少量の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。
本発明のサーモトロピック液晶の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶の見かけの溶融粘度(液晶 開始温度+30℃でずり速度100/秒)は本発明の効果が得られる範囲であれば特に規定はないが、特に流動性が必要な場合の溶融粘度は10〜3,000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜2,000Pa・s、特に好ましくは10〜1,000Pa・sである。
(C−5)ポリフェニレンスルフィド系樹脂
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンスルフィド系樹脂は、、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等が挙げられ、特にポリフェニレンスルフィドを好適に用いることができる。
本発明で好適に用いられるポリフェニレンスルフィドとしては、300℃における溶融粘度(剪断速度1,000/秒)が100〜10,000ポイズであるものの中から任意に選ぶことができ、構造は直鎖状、分岐状いずれでもよく、中でも直鎖状のものを好適に用いることができる。
また、ポリフェニレンスルフィドは、−SX基(Sは硫黄原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)量が、15μmol/g以上、好ましくは18〜35μmol/g、特に好ましくは20〜30μmol/gであるものが好ましい。
本発明において好適に用いられるポリフェニレンスルフィドの製造方法は、通常、ハロゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムまたは硫化水素と水酸化ナトリウムあるいはナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げられるが、中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。
ポリフェニレンスルフィドの製造方法は、公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号および米国特許第3274165号明細書、さらに特公昭46−27255号公報、ベルギー特許第29437号明細書、特開平5−222196号公報、等に記載された方法やこれら特許等に例示された先行技術の方法で得ることが出来る。
(C−6)フェノール系樹脂
本発明において好適に用いられるフェノール系樹脂としては、従来公知のものを好適に用いることができる。一例を挙げると、フェノールとアルデヒドを塩基性触媒で付加、縮合して得られるレゾール型フェノール樹脂、フェノールとアルデヒドを酸触媒で付加、縮合して得られるノボラック型フェノール樹脂等がある。中でもノボラック型フェノール樹脂が好適に用いられる。これらのフェノール樹脂は一種単独でも二種以上を併用して用いても良い。
また、本発明で用いられるフェノール樹脂の数平均分子量は、特に制限はされないが、300〜50000のものが好適に用いられ、分子量の異なるフェノール樹脂を併用しても良い。
(難燃剤組成物の配合割合)
難燃剤組成物の配合割合は、本願の効果が得られる範囲であれば特に規定はされないが、本願の効果を効率良く得ようとした場合、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部、好ましくは(A)成分を0.1〜50重量部、(B)成分を99.9〜50重量部であることが好ましい。
また、(C)成分の芳香族樹脂を配合する場合の配合割合は、(C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95、より好ましくは、(C)/(B)=90/10〜10/95であることが好ましい。
(使用用途)
本発明の難燃剤組成物は、広範囲で好適に使用することができ、使用方法、使用分野は特に規定されない。好適な使用方法として、一例を挙げると、樹脂用難燃剤、難燃性樹脂組成物、塗料、コーティング剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に用いられる。
(難燃剤組成物の形状)
本発明における難燃剤組成物の形状は、本発明の効果が達成できるものであれば特に規定するものではない。例えば、粉体、錠剤型、ペレット、塊状、ワックス、液体、オイル等の状態で供給される。また、必要であれば、難燃剤組成物を気化させて用いることもできる。また、本発明における難燃剤組成物においては、各成分は完全に相溶させても良いし、単純に混合させて用いても良い。また、相溶させたものと単純混合のものとの混合物でも良い。
(難燃剤組成物と樹脂との組合せ)
本発明の難燃剤組成物は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に共される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。一例を挙げると、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、エラストマー含有ポリスチレン、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、サーモトロピック液晶等が挙げられ、特にポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリアミドのアロイ、ポリフェニレンエーテルとサーモトロピック液晶とのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドとのアロイが好適に使用される。
硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムがあり、特にエポキシ樹脂で好適に使用される。本発明で使用される樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
難燃剤組成物の一成分として(C)成分も添加する場合、使用する樹脂は(C)成分として添加した樹脂とは異なる樹脂であって、同一のものではない。
(配合割合)
本発明による難燃剤組成物と、樹脂との配合割合は、本発明の効果を得ることのできる割合であればよく特に規定はされないが、樹脂成分(a)の100重量部に対し、難燃剤組成物(b)を1〜1000重量部であることが好ましい。より好ましくは(a)成分100重量部に対し、(b)成分は5〜500重量部である。
(添加剤)
本発明による難燃剤組成物においては、本発明の効果が達成できる範囲で、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を併用することができる。例示すると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等の三級ホスフィン類や、それらの酸化物や硫化物、ホスフィン酸やホスホン酸等の金属塩、アミド、アンモニウム塩、メラミンとの誘導体、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト等の無機珪素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
また、本発明の難燃剤組成物には、機械物性を向上させる目的で、従来公知の充填材を配合することができる。例えば、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウムや、ケナフ繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤が挙げられる。これらは、有機物や無機物等で被覆されていたも良い。
本発明の難燃剤組成物及び、難燃剤組成物を含有する難燃性樹脂組成物を使用する場合、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、硬化剤、硬化促進剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、導電性高分子等を予め添加することができる。
(配合順序)
本発明の難燃剤組成物における各成分の配合順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものでない。また、本発明の難燃剤組成物を樹脂に添加する場合の配合の順序は樹脂、(A)成分及び(B)成分を予め混合して用いても良いし、(A)成分と(B)成分を混合した後、樹脂に配合しても良い。また、樹脂と(A)成分を混合した後、(B)成分を配合しても良いし、樹脂と(B)成分を混合した後、(A)成分を配合しても良い。(C)成分を添加する場合も、同様に本発明の効果が達成できる方法で混合すればよく、特に規定するものではない。
(配合方法)
本発明における難燃剤組成物と樹脂との配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面で好ましい。混練り温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜320℃の範囲である。
また本発明の該組成物の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、プレス成形、押出成形、発泡成形、フィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、硬化性樹脂に配合する場合には、樹脂組成物を製造するための成分を、無溶媒で、若しくは、必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後、溶媒を除去して樹脂混合物を得て、これを金型内へ注型し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより成型品を得る方法でも良い。また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。各成分を溶解させる為の溶媒は各種材料を均一に混合することができ、且つ、使用することによって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一例としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。また、硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。例としては、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられるが、本発明の効果が達成できる硬化方法であれば規定されるものではない。各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。樹脂組成物の製造方法は、それぞれの樹脂の適性に応じて、好ましい方法を用いることができる。
(難燃性樹脂組成物の用途)
本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、本発明の組成物の調整方法は、各種材料を均一に混合することができる手法であれば特に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で得たサンプルの評価手法について述べる。
1) 難燃性
UL−94垂直燃焼試験に基づき、約1.6mm又は3.2mm厚みの射出成形試験片、若しくは2mm厚みの硬化試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
2) 燃焼時の発煙性
UL−94垂直燃焼試験は、UL燃焼テストチャンバー(HVUL−C;(株)東洋精機製作所製)を用いて行い、燃焼試験時に発生する煙がチャンバーからほとんど漏れでなかった場合は○、少し漏れ出た場合は△、多量に漏れ出た場合は×として、目視により評価を行った。
3) TGA(Thermogravimetric Analysis;熱重量分析)
サンプル約10mgを、パーキンエルマー社製Thermal Analysis System 7 Seriesを用いて、窒素気流30ml/min中、10℃/minの速度で600℃まで昇温したときの重量が、5%減量した時の温度及び、50%減量した時の温度を測定し、その差を測定した。
4) 水分量測定
設定温度150℃で、カールフィッシャー法により測定した。
5) 熱安定性(モールドデポジット:MD)
シリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成型機を用いて、長さ128mm×幅12.8mm×厚さ1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
○:MD の発生が極めて少ない。
×:MD の発生が多い。
6) 耐熱性(DTUL)− 熱可塑性樹脂
ASTM−D−648に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
7) 耐熱性(DTUL)− 硬化性樹脂
ASTM−D−648の方法により、厚さ2mmの試験片を用いて、4.6kg荷重にて測定した。
8) 誘電特性
厚さ約2mm(表3)又は、約2.5mm(表10、11)の成型片を用いて、比誘電率、比誘電正接を周波数1GHzにて容量法で測定した。
9) アイゾッド衝撃強度(ノッチ付き)
ASTM−D−256に基づき、厚さ6.4mmの成形片を用いて測定した。
10) 離型性
下記設定温度にて、射出成形により、ASTM−D−638ダンベル型試験片を成形し、成形した際に、試験片およびランナーの金型からの型離れのし易さの程度を目視判定した。離型が良いものは○、離型が良くないものは×で表した。
実施例25〜27、比較例14〜17 バレル温度 220℃ 金型温度 60℃
実施例48、比較例33、34 バレル温度 280℃ 金型温度 80℃
実施例49、比較例35 バレル温度 280℃ 金型温度 90℃
実施例50 バレル温度 320℃ 金型温度 90℃
11) 押出作業性
加熱シリンダーの最高温度を下記の温度で設定し、スクリュー直径25mmの二軸押出機で、スクリュー回転数300rpmで溶融混合した。
実施例25〜34、比較例14〜20 − 220℃
実施例35〜47、比較例21〜32 − 300℃
実施例48、比較例33〜34 − 280℃
実施例49、比較例35 − 260℃
実施例50 − 325℃
実施例51〜53、比較例36〜41 − 260℃
10分間溶融混錬を行ったときに、ストランドが途中で二度以上切れたものは×、一度切れたものを△、一度も切れなかったものを○として目視により判定を行った。
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
12) 耐吸湿性
厚さ約2mmの成形片を、恒温恒湿槽にて設定温度85℃、相対湿度95%Rhの条件下で64時間加湿し、加湿前後の重量の差を測定し、加湿後の重量と加湿前の重量との差を、加湿前の重量で割り、100を乗じた数が、2%以下のものを○、2〜2.4%のものを△、2.4%を超えるものを×として、耐吸湿性の指標とした。
(A)金属酸化物等
(M−1)
酸化ニッケル(NiO;和光純薬工業(株)社製)。
(M−2)
酸化パラジウム(PdO;和光純薬工業(株)社製)
(M−3)
酸化二オブ(Nb;和光純薬工業(株)社製)
(M−4)
酸化亜鉛(ZnO;和光純薬工業(株)社製)
(M−5)
フェロセン(和光純薬工業(株)社製)
(M−6)
酸化鉄(Fe;和光純薬工業(株)社製)
(M−7)
ポリオルガノシロキサン(SH710;信越化学(株)社製)
(M−8)
水酸化マグネシウム(Mg(OH);和光純薬工業(株)社製)
(M−9)
酸化鉄(TIC−8048D;戸田工業(株)社製)
(M−10)
酸化モリブデン(MoO;和光純薬工業(株)社製)
(M−11)
酸化バナジウム(V;和光純薬工業(株)社製)
(M−12)
四三酸化鉄(Fe;和光純薬工業(株)社製)
(M−13)
酸化銅(II)(CuO;和光純薬工業(株)社製)
(M−14)
酸化銅(I)(CuO和光純薬工業(株)社製)
(B)五価のリン化合物
(FR−1)
下記化学式(15)においてn=3が93.6wt%、n=4が4.0wt%、n≧5が2.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
(FR−2)
下記化学式(15)において、n=3が88.7wt%、n=4が6.2wt%、n≧5が5.1wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;339℃、50%減量温度;404℃、500℃残渣量8.7重量%、酸価0.22、含有水分量;225ppm。
(FR−3)
下記化学式(15)において、n=3が85.3wt%、n=4が9.3wt%、n≧5が5.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;318℃、50%減量温度;421℃、500℃残渣量;14.2重量%、酸価1.04、含有水分量;1100ppm。
Figure 2006016588
(FR−4)
下記化学式(16)において、n=3が99.3wt%、n=4が0.7wt%であるキシレノキシホスファゼン。5%減量温度;349℃、50%減量温度;418℃、500℃残渣量;11.0重量%、酸価;0.23、含有水分量;137ppm。
Figure 2006016588
(FR−5)
レゾルシンと2,6−キシレノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、PX−200(大八化学工業(株)社製)。酸価0.11、5%減量温度:319℃、50%減量温度;388℃、500℃残渣量;0.9重量%、含有水分量;235ppm。
(FR−6)
ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、下記化学式(17)において、n=1である化合物を85.3重量%、n=2である化合物を12.6重量%含有する縮合リン酸エステル。酸価0.18、5%減量温度;359℃、50%減量温度;433℃、500℃残渣量;2.1重量%、含有水分量;324ppm。
Figure 2006016588
(樹脂他)
(1) ポリフェニレンエーテル系樹脂
(PPE−1)
GPCによって測定したポリスチレン換算数平均分子量が2600のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(PPE−2)
GPCによって測定したポリスチレン換算数平均分子量が2100のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(PPE−3)
GPCによって測定したポリスチレン換算数平均分子量が3600のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(PPE−4)
エポキシ基により官能化されたポリフェニレンエーテル:PPE−1を500g、AER250を200g及び、トリ−n−ブチルアミン(和光純薬工業(株)製)15gをよく混合した後、オートクレーブに密閉し、130℃、1時間加熱して得た。
(PPE−5)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.54のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(PPE−6)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.41のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100重量部に無水マレイン酸0.5重量部を配合し、2軸押出機で330℃、300rpmで混練押出して、無水マレイン酸変性PPEペレットを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂(PC)
パンライトL−1250Y(帝人化成(株)製);非難燃透明グレード。
(3)ポリアミド樹脂
(PA66/6I)
ヘキサメチレンジアミン及び、アジピン酸とイソフタル酸の合計100重量部に対し、アジピン酸を18重量部、イソフタル酸を82重量部用いて重合して得られたポリアミド66/6I樹脂。
(PA6I/6T)
ヘキサメチレンジアミン及び、イソフタル酸とテレフタル酸の合計100重量部に対し、イソフタル酸を70重量部、テレフタル酸を30重量部用いて重合して得られたポリアミド6I/6T樹脂。
(PA66)
レオナ1300S (旭化成ケミカルズ(株)社製)
(4)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Epoxy)
AER250(旭化成エポキシ(株)社製);エポキシ当量184〜186。
(5)ゴム補強ポリスチレン(HIPS)
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.64、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
(6)ポリスチレン(GPPS)
トルエン溶液で測定したηsp/cが、0.8のポリスチレン
(7)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)
スタイラックABS(旭化成(株)社製)
(8)硬化剤
m−キシレン−α,α’−ジアミン(和光純薬工業(株)社製)
(9)メラミンシアヌレート
MC C−0 (三菱化学(株)社製)
(10)PTFE
PTFE 6C−J(三井デュポンフロロケミカル(株)社製)
[実施例1〜3、比較例1〜4]
表1に示す量のエポキシ樹脂及び金属化合物を、設定温度130℃のオイルバス中で混合した後、設定温度130℃のオイルバス中で(B)成分、必要によりメラミンシアヌレートを混合した。温度を保ったまま、mXDAを添加した後、型に流し込んだ。
次いで、100℃、0kgf/cmで2分間、100℃/10kgf/cmで2分間、100℃/40kgf/cmで12分、熱プレス機で硬化させることにより試験片を成型して、物性評価を行い、表1の結果を得た
Figure 2006016588
[実施例4〜23、比較例5〜11]
表2〜6に示す量のエポキシ樹脂及びPPEを、設定温度140℃のオイルバス中で溶解させて後、設定温度130℃のオイルバス中でホスファゼン化合物を溶解し、(A)成分を混合したい。温度を保ったまま、mXDAを添加した後、型に流し込んだ。
次いで、100℃、0kgf/cmで2分間、100℃/10kgf/cmで2分間、100℃/40kgf/cmで12分、熱プレス機で硬化させることにより試験片を成型して、物性評価を行い、表2〜6の結果を得た。
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
[実施例24〜50、比較例12〜37]
各成分を表7〜17に示す割合で混合し、加熱シリンダーの最高温度を200〜330℃に設定したスクリュー直径25mmの二軸押出機に供給して、スクリュー回転数300rpmで溶融混合し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成形により200〜330℃にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表7〜17の結果を得た。
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
Figure 2006016588
本発明による、(A)特定の金属酸化物、(B)特定の五価のリン化合物、及び必要により(C)芳香族樹脂からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、低発煙性、耐熱性、耐吸湿性、誘電特性、押出作業性、離型性、熱安定性、機械特性等に優れており、樹脂用難燃剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に使用される。また、本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。

Claims (11)

  1. 下記の(A)成分と(B)成分とを含む難燃剤組成物。
    (A)MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)
    (B)TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃である五価のリン化合物。
  2. (A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃剤組成物。
  3. (B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャーにより150℃にて測定した水分量が1000ppm以下である請求項1又は2に記載の難燃剤組成物。
  4. (B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  5. (A)成分において、金属MがV,Nb,Fe,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  6. (B)成分がホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  7. (B)成分が縮合リン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  8. 更に、(C)成分として芳香族樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  9. (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の難燃剤組成物。
  10. (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の難燃剤組成物。
  11. (C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の難燃剤組成物。
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