JP2006016440A - 粒状洗剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 (A)重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子が第1表面処理剤である有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理され、さらにその処理された表面が第2表面処理剤である水難溶性化合物で処理されてなる表面処理水溶性無機化合物粒子、
(B)界面活性剤含有粒子、
(C)酵素含有粒子
を必須成分とする粒状洗剤組成物。
【効果】 本発明によれば、酵素安定性に優れた粒状洗剤組成物を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面処理水溶性無機化合物粒子、界面活性剤含有粒子及び酵素含有粒子を必須成分とする粒状洗剤組成物であって、酵素安定性に優れた粒状洗剤組成物に関するものである。
従来の衣料用洗剤は、組成物中に洗浄性能にはほとんど寄与しない増量剤を添加し、スラリーを調製して、これを噴霧乾燥により嵩密度0.3g/cm3程度のビーズ状中空粒子として製造されていた。しかし、このような洗剤は比重が軽く活性剤濃度も低いため、輸送コストがかさむ上、保管・陳列にもかなりのスペースが必要であり、一般家庭においても置き場所に困り計量しにくかった。これに対して、少ない洗剤使用量で洗浄が可能な高嵩密度粒状洗剤の製造方法が提案されている(特許文献1:特開昭60−96698号公報)。
一方、衣料用洗剤には、アルカリ成分が洗浄に必須の成分となっている。アルカリ成分の量は、噴霧乾燥後の粉体物性に影響を与え、生産性を大きく低下させる原因となる。特にスラリー中のアルカリ量が過剰であると、流動性の低下等の障害が起こりやすい。そこで、粉体物性を維持するために、アルカリ剤をスラリー中ではなく、粒子として粉体混合して解決することが、有効な手段となっている。
ここで、衣料用洗剤には、洗浄力向上のために酵素が配合される場合があるが、アルカリ粒子を粉体混合することで、経時により酵素活性が低下するといった欠点がある。酵素活性の低下の原因は明らかになっていないが、次のように推測される。つまり、アルカリ粒子を粉体混合する洗剤粒子組成物を高温多湿下で保存すると、アルカリ粒子表面が湿潤しアルカリ性の水膜が形成される可能性がある。酵素は分子量が約10,000〜100,000のタンパク質であり、アルカリ性の水膜と接触すると、タンパク質が変性し、酵素本来の機能が発揮できなくなり活性が低下するものと考えられる。以上のことから、アルカリ粒子を酵素とともに配合しても、酵素活性低下を防ぐことが望まれていた。
特開昭60−96698号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、酵素安定性に優れた粒状洗剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、界面活性剤含有粒子と酵素含有粒子とを含む粒状洗剤組成物に、重炭酸塩を含有する核粒子の表面を、第1表面処理剤である有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理し、さらにその処理された表面を第2表面処理剤である水難溶性化合物で処理して得られる表面処理水溶性無機化合物粒子をアルカリ剤として配合することにより、酵素安定性に優れた粒状洗剤組成物を得ることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、
(A)重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子が第1表面処理剤である有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理され、さらにその処理された表面が第2表面処理剤である水難溶性化合物で処理されてなる表面処理水溶性無機化合物粒子、
(B)界面活性剤含有粒子、
(C)酵素含有粒子
を必須成分とする粒状洗剤組成物を提供する。
本発明によれば、酵素安定性に優れた粒状洗剤組成物を得ることができる。
本発明の(A)粒子は、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子が第1表面処理剤である有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理され、さらにその処理された表面が第2表面処理剤である水難溶性化合物で処理されてなる表面処理水溶性無機化合物粒子である。
(A)表面処理水溶性無機化合物粒子
重炭酸塩
(A)粒子の水溶性無機化合物核粒子は重炭酸塩を必須とする。核粒子に重炭酸塩を用いることにより、酵素の劣化を抑制することができる。好ましい重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、重炭酸ナトリウムが好ましい。なお、市販で入手可能な重炭酸塩には様々なグレードのものがあるが、本発明の利用を限定するものではなく、例えば、製造工程で混入する不純物や品質安定化のための保存安定剤や酸化防止剤を含む水溶性重炭酸塩も本発明の範囲に含まれる。
核粒子には、重炭酸塩以外にも1種又は2種以上の水溶性無機化合物を用いてもよい。本発明の水溶性無機化合物とは、5℃における水への溶解度が1g/100g以上、好ましくは2g/100g以上、より好ましくは3g/100g以上をいう。洗浄性能寄与の点から、5℃の飽和水溶液のpHが8以上、好ましくは5℃の飽和水溶液のpHが9以上、より好ましくは5℃の飽和水溶液のpHが10以上の水溶性アルカリ無機化合物が好適である。
好ましい水溶性アルカリ無機化合物としては、一般に洗浄ビルダーとして用いられるものが挙げられる。このような化合物として、炭酸塩類、セスキ炭酸塩類、硫酸塩類及び亜硫酸塩類、リン酸塩類及び重縮合リン酸塩類、珪酸塩類、硝酸塩類及び亜硝酸塩類、塩化物等が挙げられる。この中でも、炭酸塩類、硫酸塩類、重縮合リン酸塩類等が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム等がより好ましい。
水溶性アルカリ無機塩とそれ以外の他の水溶性アルカリ無機塩類との複合塩も好適に用いることができ、例えば、炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの複合塩であるバーケアイト等はその代表的な例である。
重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子は常法により得ることができ、その平均粒子径は、100〜1,500μmが好ましく、より好ましくは、200〜1,000μmである。平均粒子径が100μm未満では、水溶性高分子化合物による表面処理が困難となる場合があり、1,500μmを超えると水溶性無機化合物の溶解性が低下する場合がある。このような水溶性無機化合物核粒子は、市販のものを適宜用いることができる。なお、平均粒子径は実施例に記載の測定法による。
有機水溶性高分子化合物
上記水溶性無機化合物の表面処理に用いる第2表面処理剤である有機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対しては0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する高分子化合物である。このような有機水溶性高分子化合物であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
有機水溶性高分子化合物としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物及び合成高分子化合物等が挙げられる。具体的にはビニル系高分子化合物、多糖類、ポリエーテル系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ペプチド系高分子化合物、ポリウレタン、及びそれらの誘導体等を用いることができる。この中でも、ビニル系高分子化合物、多糖類、その誘導体及びポリエステル系高分子化合物から選ばれる1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
ビニル系高分子化合物としては、例えば、ビニル系ポリカルボン酸塩類(アクリル酸系高分子化合物)、ビニル系ポリスルホン酸塩、ポリビニルピリジン塩、ポリビニルイミダゾリウム塩等が挙げられる。多糖類としては、各種天然又は合成多糖類を用いることができる。
ポリエステル系高分子化合物としては、例えば、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール単位とのコポリマー又はターポリマー等が挙げられる。これらの例としては、市販品のTexcare4291(クラリアント社製)、TexcareSRN−300(クラリアント社製)等が挙げられる。
ペプチド系高分子化合物又はその誘導体の具体例としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、ポリリジン、ポリアルギニン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリウレタンとしては、例えば、水溶性ポリウレタン等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール等のその他の水溶性高分子化合物も用いることができる。
特に、水溶性無機化合物が水和しやすくなるという点から、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を水溶性有機高分子化合物で表面処理した状態下、水と接する初期段階において浸水作用を発揮するものが好適である。このような特性を有する水溶性有機高分子化合物としては、アニオン性、両性、ノニオン性等の親水性官能基を有するものが挙げられる。
アニオン性基を有する水溶性有機高分子化合物としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基を有する高分子化合物、アニオン性基を有する水溶性多糖類が挙げられる。カルボキシル基を有する水溶性有機高分子化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メタクリル酸、フマル酸、2−ヒドロキシアクリル酸、シトラコン酸等のモノマーを重合させてなるポリマー及びその塩、並びにこれらのモノマーとその他のビニル系モノマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリカルボン酸(塩)が挙げられる。スルホ基を有する水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のモノマーを重合してなるモノマー及びその塩、並びにこれらのポリマーとその他のビニル系ポリマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリスルホン酸(塩)等が挙げられる。アニオン性基を有する水溶性多糖類としては、例えば、ポリウロン酸塩、アルギン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、カラゲーナン、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
両性水溶性高分子化合物としては、例えば、アニオン性基を有するビニル系単量体とカチオン性基を有するビニル系単量体との共重合体、カルボキシベタイン基又はスルホベタイン基を有するビニル系の両性高分子が挙げられ、具体的には、アクリル酸/ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、アクリル酸/ジエチルアミノエチルメタクリル酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリエチレングリコール等の合成高分子化合物、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストラン、プルラン等の多糖類が挙げられる。
これらの中でも、水と接する初期段階における浸水作用に優れ、水に溶解又は分散する際に発熱する化合物が好ましい。この点を考慮すると、カルボキシル基又はスルホ基を有するビニル系ポリマーを用いることが好ましく、特に、単位質量当たりのアニオン性基含量の高いビニル系ポリカルボン酸類が好適である。
具体的には、ポリアクリル酸塩、アクリル酸/マレイン酸共重合体塩、アクリル酸/イタコン酸共重合体塩、アクリル酸アルキル共重合体塩、及びこれらの誘導体等が最適である。
本発明の有機水溶性高分子化合物の重量平均分子量は500以上であり、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,000〜200,000である。なお、本発明におけるポリエチレングリコールの平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。また、本発明における有機水溶性高分子化合物重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。
有機水溶性高分子化合物で水溶性無機化合物を表面処理する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、水溶性無機化合物に有機水溶性高分子化合物を添加、混合又は被覆する方法等が挙げられる。有機水溶性高分子化合物を、水溶液として表面処理に用いることが好適である。この水溶液を、撹拌・流動化状態の水溶性無機化合物に滴下又はスプレー添加することが好ましい。
無機水溶性高分子化合物
一方、無機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する化合物である。このような無機水溶性高分子化合物であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。無機水溶性高分子化合物としては、金属アルコキシドの前駆体化合物を含む溶液を加水分解・縮重合反応することによって得られるものが好ましく、特に珪酸塩が好ましい。
珪酸塩は古くから石鹸に配合され、水ガラスとして知られており、その構造に基づき、陰イオンの形による分類に従って分類することができる(Friedrich Liebau,“Structural Chemistry of Silicates”p72,Springer−Verlag,1985年発行)。
詳細には、Siに結合する酸素の架橋酸素数(Si−O−Si)で分類でき、その架橋酸素数が4、3、2、1、0に対応して、それぞれQ4、Q3、Q2、Q1、Q0ユニットに分類される(Y.Tsunawaki,N.Iwamoto,T.Hattori and A.Mitsubishi,J.Non−Cryst.Solids,vol44,p369(1981))。
珪酸塩としては、処理効果を充分に発揮する点から、Q2ユニット及び/又はQ3ユニットを含み、SiO2/M2Oモル比(ここで、Mはアルカリ金属を示す)が1.6〜4、好ましくは2〜3.5を有するアルカリ金属珪酸塩が好ましく、珪酸ナトリウムがより好ましい。
無機水溶性高分子化合物で重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を表面処理する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に無機水溶性高分子化合物を添加、混合又は被覆する方法等が挙げられる。無機水溶性高分子化合物を、水溶液として表面処理に用いることが好適である。この水溶液を、撹拌・流動化状態の重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に滴下又はスプレー添加することが好ましい。
水難溶性化合物
本発明で用いる水難溶性化合物は、20℃における水への溶解度が2g/100g未満、好ましくは1g/100g未満、より好ましくは0.1g/100g未満の化合物で、水と接する初期段階で撥水作用のあるものが好ましい。また、200℃以下、好ましくは0〜160℃、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃の融点を有する有機化合物が好適である。水難溶性化合物は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
水難溶性化合物としては、例えば、高級脂肪酸、ジカルボン酸、高級アルコール、HLB5以下、好ましくは3以下の高級アルコール又は高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のグリセライド等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数12〜22が好ましく、より好ましくは炭素数14〜18の炭素鎖長を有するものであり、具体的には、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等が挙げられる。HLB5以下、好ましくは3以下の高級アルコール又は高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物としては、炭素数16〜22のアルコール又は脂肪酸の1〜3モルエチレンオキサイド付加体が好適であり、具体的には、ヘキサデカノールの1モルエチレンオキシド付加体、オクタデカノールの3モルエチレンオキシド付加体、パルチミン酸の1モルエチレンオキシド付加体等が挙げられる。高級脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等のメチルエステル又はエチルエステル等が好適である。高級脂肪酸のグリセライドとしては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のモノ、ジ又はトリグリセライドが好適である。
また、初期の湿潤時には吸熱して水溶性無機化合物の発熱を制御し、洗濯すると徐々に水溶性無機化合物との中和反応等により水溶性となるという点から、水難溶性化合物として、アニオン界面活性剤酸前駆体を用いることが好ましい。
アニオン界面活性剤酸前駆体としては、任意のアニオン界面活性剤の酸前駆体を好適に用いることができる。アニオン界面活性剤の酸前駆体としては、飽和又は不飽和脂肪酸(平均炭素鎖長8〜22)、直鎖又は分岐鎖アルキル(平均炭素鎖長8〜18)ベンゼンスルホン酸、長鎖アルキル(平均炭素鎖長10〜20)スルホン酸、長鎖オレフィン(平均炭素鎖長10〜20)スルホン酸、長鎖モノアルキル(平均炭素鎖長10〜20)硫酸エステル、ポリオキシエチレン(平均重合度1〜10)長鎖アルキル(平均炭素鎖長10〜20)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(平均重合度3〜30)アルキル(平均炭素鎖長6〜12)フェニルエーテル硫酸エステル、α−スルホ脂肪酸(平均炭素鎖長8〜22)、長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸、ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸等が挙げられる。
アニオン界面活性剤酸前駆体としては、飽和又は不飽和脂肪酸(平均炭素鎖長8〜22)が好ましく、炭素数8〜18の炭素鎖長を有するものがより好ましい。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。この中でも、保存安定性の点から、炭素数12〜18の飽和脂肪酸が好ましく、製造性を考慮すると、ラウリン酸がより好ましい。
第1の表面処理剤で表面処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を、さらに水難溶性化合物で表面処理する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、表面処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に水難溶性化合物を添加、混合又は被覆する方法等が挙げられる。水難溶性化合物を溶融させて液体状とし、この液体を、撹拌・流動状態の表面処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に滴下する又はスプレー添加する方法が好ましい。
本発明の表面処理水溶性無機化合物粒子中の各成分の配合量を下記に示す。
重炭酸塩は、表面処理水溶性無機化合物粒子中0.1〜30質量%用いることが好ましく、より好ましくは、0.1〜20質量%である。重炭酸塩の配合量が0.1質量%未満の場合は、酵素の安定性を向上させることができない場合があり、配合量が30質量%を超えると、洗浄液中のpHを低下させ、洗浄力が低下する場合がある。
水溶性無機化合物(重炭酸塩を含む)は、表面処理水溶性無機化合物粒子中60〜99.8質量%用いることが好ましく、70〜97質量%がより好ましい。水溶性無機化合物が60質量%未満ではアルカリ剤として不充分となる場合があり、一方、99.8%を超えると処理剤の量が少なくなりすぎ、充分な表面処理ができない場合又は酵素安定性を劣化させる場合がある。
有機水溶性高分子化合物は、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に対して0.1〜10質量%、特に0.5〜8質量%で用いることが好ましい。0.1質量%未満では、表面処理の効果が得られない場合があり、10質量%を超えると、水溶性のアルカリ性無機化合物の配合量が少なくなりすぎる場合がある。
無機水溶性高分子化合物は、表面処理水溶性無機化合物粒子中に対して1〜30質量%、特に10〜28質量%で用いることが好ましい。1質量%未満では、表面処理の効果が得られない場合があり、30質量%を超えると、無機化合物の配合量が少なくなりすぎる場合がある。
水難溶性化合物は、表面処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に対して、0.1〜10質量%、特に2〜8質量%で用いることが好ましい。0.1質量%未満では、表面処理の効果が得られない場合があり、10質量%を超えると、水溶性のアルカリ性無機化合物の配合量が少なくなりすぎる場合がある。
表面処理水溶性無機化合物粒子
本発明の表面処理水溶性無機化合物粒子は、水溶性無機化合物核粒子が有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理され、さらにその処理された表面が水難溶性化合物で処理されてなる。本発明の表面とは、水溶性無機化合物粒子の一次粒子表面又は造粒して1次粒子が2〜30個程度固まってひとつになっている水溶性無機化合物粒子群(2次粒子又は凝集粒子を含む)の全表面のどちらも含むものである。なお、水溶性無機化合物粒子群となっている場合、表面の微小凹部の深さは0.01〜50μmである。
水溶性無機化合物核粒子の表面上における、水溶性高分子化合物と水難溶性化合物は、水溶性無機化合物核粒子の表面に水溶性高分子化合物が存在して層を形成し、その外層部に水難溶性化合物が存在しても、ランダムに混在した状態になっていてもよい。溶解性と保存安定性の点から、表面処理水溶性無機化合物粒子の最外層に水溶性高分子化合物よりも水難溶性化合物が多く存在していることが好ましい。また、製造性の点から、水溶性無機化合物核粒子の表面近傍に、水難溶性化合物よりも水溶性高分子化合物が多く存在することが好ましい。
表面処理水溶性無機化合物粒子の特に好ましい構造は、水溶性無機化合物核粒子と、この粒子表面上の一部又は全面に形成された水溶性高分子化合物を含む第1表面処理部と、第1表面処理部表面上の一部又は全面に形成された水難溶性化合物を含む第2表面処理部とを有する構造である。
水難溶性化合物が高級脂肪酸等のアニオン界面活性剤の酸前駆体である場合は、通常は第1表面処理部の水溶性高分子水溶液によって水溶性アルカリ無機塩が溶出し、粒子表面がアルカリ性となっているため、添加されたアニオン界面活性剤の酸前駆体は粒子表面で中和される。添加するアニオン界面活性剤の酸前駆体の量が比較的多い場合は、部分的に中和反応が起こらず、酸前駆体の形で残存することもあり得る。アニオン界面活性剤の酸前駆体の中和状態は示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry)等によって調べることも可能である。このように、アニオン界面活性剤の酸前駆体は粒子表面で完全中和される場合も部分中和される場合もあり得るため、アニオン界面活性剤の酸前駆体及び/又はその塩による第2表面処理部が形成されるが、いずれの場合も本発明における表面処理水溶性無機化合物粒子として好適に利用可能である。
なお、第1表面処理部及び第2表面処理部には他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダー、分散剤、可溶化剤、pH調整剤、水難溶性化合物以外の界面活性剤等の各種添加剤が適宜含まれていてもよい。界面活性剤が含まれる場合は、表面処理水溶性無機化合物粒子中、10質量%未満が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。なお、水難溶性化合物として配合される脂肪酸等は、表面処理水溶性無機化合物粒子中の界面活性剤の配合量には含まれない。
本発明の(A)表面処理水溶性無機化合物粒子の物性値は、特に制限されるものではないが、嵩密度は、通常、0.3g/cm3以上、好ましくは0.5〜1.4g/cm3、より好ましくは0.6〜1.2/cm3である。嵩密度が小さ過ぎても大き過ぎても他の粒子と混合して使用する際に分級しやすくなる場合がある。また、平均粒子径は、好ましくは200〜2,000μm、より好ましくは300〜1,500μmである。平均粒子径が200μm未満になると、比表面積が大き過ぎ、酵素活性低下抑制効果が得られにくくなる可能性があり、一方、2,000μmを超えると表面処理水溶性無機化合物粒子そのものの溶解性が劣化する場合がある。さらに、安息角は70°以下が好ましく、より好ましくは50°以下である。安息角が70°を超えると粒子の取扱性が悪化する場合がある。なお、本発明における平均粒子径、嵩密度の測定は実施例に記載の測定法により、安息角の測定は、筒井理化学器械(株)製、ターンテーブル形安息角測定器を用いて測定する。
表面処理水溶性無機化合物粒子中の水分は、貯蔵中の固化(ケーキング)を防止する観点から、8質量%以下が好ましく、さらに7質量%以下、特に6質量%以下が好ましい。なお、本発明における水分量はJISK3362−1998に規定された加熱減量法により測定する。
表面処理水溶性無機化合物粒子の製造方法
以下、本発明の表面処理水溶性無機化合物粒子の製造方法について詳述する。本発明の表面処理水溶性無機化合物粒子の製造方法は、下記第1工程及び第2工程を含むものである。
第1工程:重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に水溶性高分子化合物水溶液を添加し、水溶性高分子化合物で水溶性無機化合物核粒子を表面処理する工程。
第2工程:第1工程で処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に水難溶性化合物を添加し、前記粒子を表面処理する工程。
第1工程は、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に水溶性高分子化合物水溶液を添加し、水溶性高分子化合物で水溶性無機化合物核粒子を表面処理する工程である。
重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を、後述する造粒・被覆(コーティング)装置内に充填し、これに水溶性高分子化合物水溶液を添加し、表面処理を行う。
水溶性高分子化合物水溶液は、有機水溶性高分子化合物の場合、通常0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜80質量%、より好ましくは1〜60質量%であって、粘度(ブルックフィールド型粘度計を用いた25℃における測定値)が、好ましくは0.001〜100Pa・s、より好ましくは0.0005〜50Pa・sである有機水溶性高分子化合物水溶液にするとよい。無機水溶性高分子化合物の場合、通常1〜60質量%、好ましくは5〜55質量%、より好ましくは10〜50質量%無機水溶性高分子化合物とするとよい。水溶性高分子化合物水溶液を、撹拌・流動化状態の重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に滴下又はスプレー添加することが好ましい。
第2工程は、第1工程で処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に水難溶性化合物を添加し、前記粒子を表面処理する工程である。
第1工程で処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を、後述する造粒・被覆装置内に充填し、これに水難溶性化合物を添加して表面処理を行う。水難溶性化合物は、溶融させて液体状とし、この液体を、撹拌・流動状態の第1工程で表面処理された重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に滴下する又はスプレー添加する方法が好ましい。
上記第1及び第2工程において、重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を具体的に造粒・被覆する方法としては、以下の方法が挙げられる。(1).重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子に処理剤等(水溶性高分子化合物、水難溶性化合物)を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒・被覆する撹拌造粒法、(2).重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を転動させつつ処理剤等を噴霧して造粒・被覆する転動造粒法、(3).重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子を流動化させつつ、処理剤等を噴霧し造粒・被覆する流動層造粒法等が挙げられる。上記第1工程、及び第2工程はそれぞれ同一の造粒・被覆方法及び装置によってなされてもよいし、複数の造粒・被覆方法及び装置を組み合わせてもよい。以下、それぞれの方法、製造装置、条件等について説明する。
(1).撹拌造粒法
撹拌造粒法では任意の型式の撹拌造粒装置を使用することができる。その中でも、撹拌羽根を備えた撹拌軸を内部の中心に有し、撹拌羽根が回転する際に撹拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造の装置であることが好ましい。クリアランスは1〜30mmであるのが好ましく、3〜10mmがより好ましい。クリアランスが1mm未満では付着層により混合機が過動力となりやすい場合がある。30mmを超えると圧密化の効率が低下するため粒度分布がブロードに、また、造粒時間が長くなり生産性が低下する場合がある。この様な構造を有する撹拌造粒機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)等の装置が挙げられる。特に好ましくは横型の混合槽で円筒の中心に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取付けて粉末の混合を行う形式のミキサーである。このようなミキサーとしては、例えばレーディゲミキサー((株)マツボー製)、プローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製)である。
撹拌造粒法における好適な造粒条件を以下に示す。
(i)フルード数(Fr数)
撹拌造粒法においては、下記式で定義されるフルード数は1〜16であるのが好ましく、2〜9がより好ましい。フルード数が1未満であると、流動化が不充分であるため表面処理が不充分となる場合がある。一方、16を超えると粒子に対するせん断力が強くなり過ぎ表面処理部に壊れが発生する場合がある。
Fr=V2/(R×g)
V:撹拌羽根の先端の周速(m/s)
R:撹拌羽根の回転半径(m)
g:重力加速度(m/s2
(ii)チョッパー回転数
撹拌造粒法において、使用される撹拌造粒機には、造粒物の圧密化促進及び粗粉解砕促進のために、高速で回転するチョッパーが装備されている。チョッパーの回転速度としては表面処理部の壊れが発生しない程度の回転数が好ましい。チョッパー先端速度(周速)で30m/s以下が好ましく、0〜20m/s以下がより好ましい。
(iii)造粒時間
撹拌造粒法において、回分式の造粒における造粒時間及び連続式の造粒における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、3〜10分がより好ましい。造粒時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、時間が短過ぎて好適な平均粒子径及び嵩密度を得るための造粒制御が困難となり、粒度分布がブロードになる場合がある。20分を超えると時間が長過ぎて生産性が低下する場合がある。
(iv)水溶性無機化合物核粒子の充填率
撹拌造粒法において、水溶性無機化合物核粒子の造粒機への充填率(仕込み量)としては、混合機の全内容積の70容積%以下が好ましく、15〜40容積%がより好ましい。充填率(仕込み量)が、70容積%を超えると混合機内での混合効率が低下し、好適に造粒を行うことができない場合がある。
(v)処理剤の添加方法
撹拌造粒法において、水溶性高分子化合物水溶液、水難溶性化合物等の処理剤は、好ましくは撹拌・流動状態の粒子に対して、滴下もしくは噴霧して添加される。静置状態にある粒子に処理剤等を滴下もしくは添加した後、撹拌を開始して造粒・被覆操作も可能である。しかしながら、被覆性を高めるためにも、撹拌・流動状態の粒子に対して滴下もしくは噴霧して添加することが好ましい。
(2).転動造粒法
転動造粒法では任意の型式の転動造粒装置を使用することができる。その中でもドラム状の円筒が回転して処理するものが好ましく、特に任意の形状の邪魔板を具備しているものが好ましい。ドラム型造粒機としては、水平円筒型造粒機、日本粉体工業技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、撹拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
転動造粒法における好適な造粒条件を以下に示す。
(i)処理時間
回分式における処理時間、連続式における以下の式で定義される平均滞留時間は、5〜120分が好ましく、より好ましくは10〜90分、さらに好ましくは10〜40分である。前記時間が5分未満であると、高嵩密度にならない場合がある一方、120分を超えると生産性の低下又は粒子が崩壊する場合がある。
Tm=(m/Q)×60
Tm:平均滞留時間(min)
m :容器回転型混合機内の粒子滞留量(kg)
Q :連続運転における能力(kg/hr)
(ii)フルード数(Fr)
下記式で定義されるフルード数は、0.01〜0.8となる条件を選択するのが好ましい。フルード数は、0.05〜0.7がより好ましく、0.1〜0.65がさらに好ましい。フルード数が0.01未満であると、均一でかつ高嵩密度の粒子が得られない場合がある一方、0.8を超えると、ドラム型混合機の場合には、粒子が飛散し、正常な剪断混合が起こらない場合がある。
Fr=V2/(R×g)
V:容器回転型混合機最外周の周速(m/s)
R:容器回転型混合機最外周の回転中心からの半径(m)
g:重力加速度(m/s2
(iii)容積充填率(X)
下記式で定義される容積充填率が、15〜50容積%となる条件を選択するのが好ましい。容積充填率は、より好ましくは20〜45容積%、さらに好ましくは25〜40容積%である。容積充填率が15容積%未満であると、生産性が悪い場合がある一方、50容積%を超えると良好な剪断混合が生じない場合がある。
容積充填率(X)=(M/ρ)/V×100
M:容器回転型混合機への水溶性無機化合物核粒子の仕込量(g)
ρ:水溶性無機化合物核粒子の嵩密度(g/L)
V:容器回転型混合機の容積(L)
(iv)処理剤の添加方法
転動造粒法において、水溶性高分子水溶液、水難溶性化合物等の処理剤は、転動・流動状態の粒子に対して噴霧して添加される。静置状態にある粒子に処理剤等を滴下もしくは添加した後、撹拌を開始して造粒・被覆操作も可能である。しかしながら、被覆性を高めるためにも、撹拌・流動状態の粒子に対して滴下もしくは噴霧して添加することが好ましい。
(3).流動層造粒法
流動層造粒法では流動層本体、整流板、送風機、吸気フィルター、エアヒーター及びクーラー、スプレー装置、集塵装置等で構成された任意の型式の流動層造粒装置を使用することができる。例えば、日本粉体技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の回分式流動層造粒装置(トップスプレー式、サイドスプレー式、ボトムスプレー式等)、噴流流動層造粒装置、噴流動層造粒装置、半連続式流動層造粒装置(分散板反転排出式、下部排出式、側壁排出式等)連続式流動層造粒装置(横型多室型、円筒型等)等が好適に利用できる。具体的装置の利用例としては回分式流動層造粒装置のGlatt−POWREXシリーズ[(株)パウレックス製]、フローコーターシリーズ[(株)大川原製作所製]、連続式流動層造粒装置のMIXGRADシリーズ[(株)大川原製作所製]等が挙げられる。
流動層造粒法における造粒条件として、静置時の原料粉体層の平均厚さは50〜500mm程度が好ましい。その後、流動層に風を送り、粉体を流動化させた後に水溶性高分子化合物水溶液、水難溶性化合物等の処理剤の噴霧を開始する。噴霧ノズルとしては、通常の加圧ノズルのほか、噴霧状体を良好にするため、2流体ノズルを用いることも好ましい。この時の平均液滴径は5〜500μm程度が好ましい。噴霧が進むにつれて造粒も進み粒子径が大きくなるため、流動化状態を維持するため風速を調整しながら造粒を行う。風速は0.2〜4.0m/sの範囲で調整を行い、風温度は5〜70℃、好ましくは7〜65℃で行う。バグフィルターに付着した微粒子は定期的にパルスエアーで落としながら製造を行うことが好ましい。
上記表面処理水溶性無機化合物粒子の製造方法で製造する場合、第2工程終了直後における表面処理水溶性無機化合物粒子の温度が、アニオン界面活性剤酸前駆体の融点以上であることが好ましい。特に、第2工程で水難溶性化合物を添加する際には、第1工程で処理された水溶性無機化合物核粒子の温度に留意するとよい。具体的にはこの粒子の温度を水難溶性化合物の融点以上にすることが好ましい。また、水難溶性化合物を添加する時、第1工程で処理された水溶性無機化合物核粒子の温度が該水難溶性化合物の融点未満である場合は、水難溶性化合物による表面処理終了後の表面処理水溶性無機化合物粒子の温度が、水難溶性化合物の融点以上であることが好ましい。これらの温度が融点未満であると、造粒・被覆装置系内において水難溶性化合物の分散性・均一性が悪くなり、水難溶性化合物による表面処理が不充分となることがある。
上述の方法で得られた表面処理水溶性無機化合物粒子を、さらに有機又は無機の微粉体で表面処理してもよい。表面処理水溶性無機化合物粒子をさらに表面処理する微粉体としては、常温固体の界面活性剤、長鎖脂肪酸塩、アルミノ珪酸塩、吸油性担体、粘土鉱物等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。長鎖脂肪酸塩としてはアルカリ、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩、アルミノケイ酸塩としてはA型、P型、X型等、吸油性担体としてはシリカ、珪酸塩化合物、球状多孔質含水非晶質珪酸等、粘土鉱物としてはモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、パイロフィライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、タルク等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩、タルク、アルミノケイ酸塩が好ましい。非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩及びタルクは撥水性であるため、水溶性無機化合物の凝集を防ぎ、アルミノケイ酸塩はCa捕捉ビルダーとして汎用され、単独で表面処理に用いた場合、混合される洗剤粒子の表面の処理剤としての役割を果たす。
これら微粉体の粒子径は、表面処理水溶性無機化合物粒子の平均粒子径に対して1/5以下の1次粒子径をもつことが好ましく、より好ましくは1/10以下である。また、微粉体の配合量は表面処理水溶性無機化合物粒子に対して、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
上述の方法により得られた表面処理水溶性無機化合物粒子は、必要に応じて分級して所望の粒度の表面処理水溶性無機化合物粒子のみ利用することもできる。分級装置としては、一般に知られたいかなる分級装置も用いることができ、特に篩が好適に利用できる。中でもジャイロ式篩、平面篩及び振動篩が好適である。ジャイロ式篩は僅かに傾斜した平面篩に対し、水平な円運動を与える篩である。平面篩は僅かに傾斜した平面篩に、面にほぼ平行に往復運動を与える篩である。振動篩は、篩面にほぼ直角方向に急速な振動を与える篩である。篩に供する時間は5秒以上とすることが好ましく、また、ふるい効率を向上させる為にはタッピングボールを用いることも好ましい。このような篩の具体例としては、ジャイロシフター((株)徳寿工作所製)、ローテックススクリーナー((株)セイシン企業製)、ダルトン振動ふるい((株)ダルトン製)等が挙げられる。篩による振動は、好適には60〜3,000回/分、好ましくは100〜2,500回/分、さらに好ましくは150〜2,000回/分の振動で与えられる。篩の振動数が60回/分未満であると、分級効果が悪化する場合がある一方、3,000回/分を超えると発塵が増大する場合がある。
分級工程で分離した表面処理水溶性無機化合物粒子のうち、微粉については再度水溶性無機化合物核粒子と共に造粒機に投入し、造粒・被覆操作に供することが好ましい。また、粗粉については粉砕し、造粒・被覆操作前の水溶性無機化合物と同等の粒子径にした後、再度水溶性無機化合物核粒子と共に造粒機に投入し、造粒・被覆操作に供することが好適である。この際粗粉を粉砕する粉砕機としては、分級スクリーンと回転ブレードを持った機種が好ましい。このような粉砕機としてはフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製)、ニュースピードミル(岡田精工(株)製)、フェザーミル(ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。また、粉砕機内に冷風を流し冷却しながら粉砕することもできる。冷風と粉砕品をサイクロンで分級し、その時微粉を分級することも可能である。さらに、多段粉砕することで、より粒度分布がシャープになる。粉砕機のブレードの先端周速としては15〜90m/sが好ましく、20〜80m/sがより好ましく、25〜70m/sがさらに好ましい。先端周速が15m/s未満であると粉砕能力が不充分となる場合があり、90m/sを超えると粉砕されやすくなる場合がある。
表面処理水溶性無機化合物粒子を、高嵩密度にし、安息角を小さくするためには、上記第1工程及び第2工程の表面処理後、第3工程:第2工程の表面処理後の水溶性無機化合物核粒子の表面上の水和結晶成長を抑制する工程を含むことが好ましい。これにより表面処理水溶性無機化合物粒子の表面形状の円滑性を保つとよい。水和結晶が成長すると、水溶性無機化合物核粒子の表面に多数の凹凸が生じて、嵩密度が低下し、安息角も大きくなる。場合によっては水和結晶が表面処理を突き破り、近傍の表面処理水溶性無機化合物粒子から突き出た水和結晶同士で凝結し、強固な水和固結となることもある。
水和結晶を抑制する方法としては、[1]第2工程後の表面処理された粒子を冷却する方法、[2]第2工程後の表面処理された粒子を乾燥する方法等が挙げられる。これらのうちで、溶解性を良好に保つ点から、[1]冷却する方法が好ましい。
[1]第2工程後の表面処理された粒子を冷却する方法は、表面処理水溶性無機化合物粒子を30℃以下、好ましくは25℃以下まで冷却可能であれば特に限定されない。冷却速度は5℃/hr以上とすることが好ましく、10℃/hr以上とすることがより好ましい。冷却方法及び装置は特に限定されないが、冷却装置としては冷却された伝熱面により冷却を行うものと、気流を用いるものに分けられる。例えば、冷却された伝面を用いるものとしては、トーラスディスク(ホソカワミクロン(株)製)、フリゴミックス(日清エンジニアリング(株)製)等が挙げられる。気流を用いることで冷却を行うものとしては、流動層が挙げられる。具体的装置の利用例としては回分式流動層造粒装置のGlatt−POWREXシリーズ((株)パウレックス製)、フローコーターシリーズ((株)大川原製作所製)、連続式流動層造粒装置のMIXGRADシリーズ((株)大川原製作所製)等が挙げられる。表面処理水溶性無機化合物粒子の表面処理部の剥がれ、壊れの可能性を鑑みると、流動層の利用が好ましい。
[2]第2工程後の表面処理された粒子を乾燥する方法は、表面処理水溶性無機化合物粒子を乾燥できれば特に限定されない。具体的には、上記[1]方法に用いられる同様の装置を、伝面や気流といった熱媒体の温度を50〜300℃、好ましくは60〜250℃とすることで、乾燥装置として利用し乾燥する方法が挙げられる。
(B)界面活性剤含有粒子
界面活性剤含有粒子に用いられる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、従来より洗剤において使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、各種のアニオン界面活性剤を使用することができる。例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)
(2)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩(AS)又はアルケニル硫酸塩
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)
(4)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテル硫酸塩(AES)又はアルケニルエーテル硫酸塩
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩
(7)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩
(8)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸(α−SF)塩又はそのメチル、エチルもしくはプロピルエステル等
アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、AOS、α−SF、AESのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
1CO(OA)nOR2 (I)
(式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
上記のノニオン界面活性剤の中でも、融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。また、本発明における融点とは、JIS K0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(上記長鎖アルキルは炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基、短鎖アルキルは炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。)
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系や、アミドベタイン系等の両性界面活性剤を挙げることができる。
(B)界面活性剤含有粒子中の界面活性剤は、洗浄性能の点から、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との併用がより好ましい。アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤を併用する場合には、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の配合量の質量比(アニオン界面活性剤/ノニオン界面活性剤)が、0.1〜10が好ましく、0.2〜8がより好ましく、0.3〜7がさらに好ましい。
界面活性剤の配合量は、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子との混合による溶解性や流動性の観点から、(B)界面活性剤含有粒子中に好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%である。50質量%を超えて配合すると流動性が劣化する場合があり、10質量%未満であると溶解性が劣化する場合がある。
(B)界面活性剤含有粒子は、さらに無機化合物を含むことが好ましい。これにより、流動性改善の効果が得られる。無機化合物としては、特に限定されないが、下記に示す無機ビルダー、還元剤、増量剤に含まれる全ての無機化合物を用いることができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも無機化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩が好ましい。
(B)界面活性剤含有粒子中の無機化合物の配合量は、10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。無機化合物の配合量が少なすぎると流動性が劣化する場合があり、多すぎると粉の発塵が起こる場合がある。
(B)界面活性剤含有粒子は、さらに水溶性高分子化合物を含むことが好ましく、これにより、経時保存後の流動性や固化性をさらに改善することができる。水溶性高分子化合物としては、上記(A)表面処理水溶性無機化合物粒子において挙げられた水溶性高分子化合物と同様のものが挙げられる。なお、ここで用いる水溶性高分子化合物は、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子で用いられたものと同じであってもよいし異なっていてもよい。(B)界面活性剤含有粒子中の水溶性高分子化合物としては、アクリル酸系高分子化合物、ポリアセタールカルボン酸塩、セルロース系高分子化合物が好ましい。アクリル酸系高分子化合物としては、アクリル酸重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体が好ましく、特に、重量平均分子量が1,000〜80,000のアクリル酸/マレイン酸共重合体の塩、アクリル酸重合体の塩が好適である。ポリアセタールカルボン酸塩としては、特開昭54−52196号公報に記載の重量平均分子量が800〜1,000,000、好ましくは5,000〜200,000のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩が好適である。セルロース系高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。水溶性高分子化合物の重量平均分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜100,000がより好ましい。水溶性高分子化合物は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B)界面活性剤含有粒子中の水溶性高分子化合物の配合量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.5%〜9質量%、より好ましくは1〜8質量%である。水溶性高分子化合物の配合量が少なすぎると、目的とする効果が得られない場合があり、多すぎると(b)界面活性剤含有粒子そのものの溶解性が劣化してしまう場合がある。
本発明の(B)界面活性剤含有粒子は、上記必須成分のほかに下記に示す任意成分も含有することができる。なお、無機化合物や水溶性高分子化合物は重複して記載される。これら任意成分は、各々1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(1)洗浄ビルダー
(B)界面活性剤含有粒子中に配合される洗浄ビルダーとしては、無機及び有機ビルダーが挙げられる。
(1−1)無機ビルダー
無機ビルダーとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩、硫酸ナトリウム等の中性塩、オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩、下記一般式(II)
1(M2O)・Al23・y1(SiO2)・w1(H2O) (II)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x1、y1及びw1は各成分のモル数を示し、一般的には、x1は0.7〜1.5、y1は0.8〜6の数、w1は任意の正数を示す。)
で表される結晶性アルミノ珪酸塩、下記一般式(III)、(IV)
2(M2O)・Al23・y2(SiO2)・w2(H2O) (III)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x2、y2及びw2は各成分のモル数を示し、一般的には、x2は0.7〜1.2、y2は1.6〜2.8、w2は0又は任意の正数を示す。)
3(M2O)・Al23・y3(SiO2)・z3(P25)・w3(H2O)
(IV)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x3、y3、z3及びw3は各成分のモル数を示し、一般的には、x3は0.2〜1.1、y3は0.2〜4.0、z3は0.001〜0.8、w3は0又は任意の正数を示す。)
で表される無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。無機ビルダーの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウムが好ましい。
(1−2)有機ビルダー
有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類が挙げられる。
これらの有機ビルダーの中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩が好ましい。
有機ビルダーの配合量は、(B)界面活性剤含有粒子中に好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
また、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性を改善する目的から、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリアセタールカルボン酸塩等の有機ビルダーとゼオライト等の無機ビルダーとを併用するのが好ましい。
(2)溶解促進剤
(B)界面活性剤含有粒子中に配合される溶解促進剤としては、例えば、炭酸カリウムや、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、キュメンスルホン酸ナトリウム等の炭素数1〜5の短鎖アルキルを有するベンゼンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、D−グルコース、尿素、蔗糖等の水溶性物質が挙げられる。このうち、炭酸カリウム、塩化ナトリウムが好ましく、溶解性向上効果とコストのバランスから、特に炭酸カリウムが好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、その配合量は溶解性向上効果の点から、(B)界面活性剤含有粒子中に好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。塩化ナトリウムを配合する場合、その配合量は溶解性向上効果の点から、(B)界面活性剤含有粒子中に好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
(3)膨潤性水不溶性物質
(B)界面活性剤含有粒子中に配合される膨潤性水不溶性物質としては、粉末セルロース、結晶性セルロース、ベントナイト等が挙げられる。
(4)蛍光剤:ビス(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体(チノパールAMS−GX)、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS−X]等
(5)帯電防止剤:ジアルキル型4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等
(6)再汚染防止剤:カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等
(7)増量剤:硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等
(8)還元剤:亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等
(9)香料
(10)色素
(11)漂白活性化触媒
漂白活性化触媒は、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等の遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子等を介して錯体を形成するものであって、含まれる遷移金属としては、コバルト、マンガン等が好ましく、特にマンガンが好ましい。
(B)界面活性剤含有粒子の平均粒子径は好ましくは200〜1,500μm、より好ましくは250〜1,000μm、さらに好ましくは300〜700μmである。また、嵩密度は好ましくは0.4〜1.2g/cm3、より好ましくは0.5〜1.0g/cm3である。
(B)界面活性剤含有粒子の水分量は溶解性と保存安定性の点から好ましくは4〜10質量%、より好ましくは5〜9質量%、さらに好ましくは5〜8質量%である。
(B)界面活性剤含有粒子は、以下の造粒方法によって得ることができる。原料粉末及びバインダー成分(界面活性剤、水、液体高分子成分等)を捏和・混練した後、押し出して造粒する押し出し造粒法、捏和・混練した後、得られた固形洗剤を破砕して造粒する捏和・破砕造粒法、原料粉末にバインダー成分を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法、原料粉末を転動させつつバインダー成分を噴霧して造粒する転動造粒法、原料粉末を流動化させつつ、液体バインダーを噴霧し造粒する流動層造粒法等が挙げられる。これら造粒方法で使用可能な具体的装置や条件等は特開2003−105400号公報、特開2003−238998号公報、日本粉体技術協会編及び造粒ハンドブック第一版等に記載の通りである。
貯蔵時の固化(ケーキング)を防止する観点から、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子と(B)界面活性剤含有粒子のいずれか一方、好ましくは両方を有機又は無機の微粉体で表面処理することが好ましい。これら微粉体としては1次粒子径30μm以下、好ましくは0.1〜10μmの微粉体であれば特に限定されないが、例としては常温固体の界面活性剤、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、アルミノ珪酸塩、シリカ、粘土鉱物等が挙げられる。このうちアルミノ珪酸塩が好ましい。
(A)粒子及び/又は(B)粒子を微粉体で表面処理する場合、微粉体の量は、粒状洗剤組成物中好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明においては、特に下記条件を満たす(A)表面処理水溶性無機化合物粒子及び(B)界面活性剤含有粒子の組み合わせが好ましい。
(A)粒子の水溶性無機化合物が、重炭酸塩と炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムであり、水溶性高分子化合物がビニル系高分子化合物、多糖類又はその誘導体及びポリエステル系高分子化合物から選ばれる1種又は2種以上であり、(A)粒子中の水難溶性化合物の配合量が10質量%未満であり、かつ(B)界面活性剤含有粒子中の界面活性剤配合量が10〜50質量%である。
(C)酵素含有粒子
酵素含有粒子中の酵素は、現在、粒状の衣料用洗剤に用いられている市販の酵素粒子をそのまま使用することができる。酵素(本来的に酵素作用を洗浄工程中になす酵素である)としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類等を挙げることができるが、本発明にはいずれも適用できる。特に好ましいのは、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等である。プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、BPN、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA及びB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA及びB等である。市販品として、サビナーゼ、アルカラーゼ、エバラーゼ、カンナーゼ(ノボザイムズ社製)、API21(昭和電工(株)製)、マクサカル、マクサぺム(ジェネンコア社製)、KAP(花王(株)製)、特開平5−25492号公報記載のプロテアーゼK−14、K−16等を挙げることができる。エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類及びホスホターゼ類等を挙げることができる。リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、リポラーゼウルトラ、ライペックス(ノボザイムズ社製)、リポサム(昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼを挙げることができる。また、セルラーゼとしては市販品のセルザイム(ノボザイムズ社製)、KAC500(花王(株)製)、特開昭63−264699号公報の請求項4記載のセルラーゼ等を挙げることができ、アミラーゼとしては市販のターマミル、デュラミル、ステインザイム(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。酵素としては、これらを1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、酵素は別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用すると好適であり、酵素含有粒子の造粒方法としては、特開昭53−6484号公報、特開昭60−262900号公報、特開昭62−257990号公報、特開平1−112983号公報、特表平3−503775号公報、特表平4−503369号公報、特開2000−178593号公報記載の方法等が挙げられる。
酵素含有粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,000μmが好ましく、より好ましくは300〜700μmである。
本発明の粒状洗剤組成物には、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子、(B)界面活性剤含有粒子及び(C)酵素含有粒子以外に、その他漂白剤粒子、漂白活性化剤粒子等の粒子を含むことができる。
漂白剤粒子としては、過酸化水素又は水に溶解したときに過酸化水素を発生する過酸化物からなり、通常、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムの一方あるいは両方が用いられる。特に、経時安定性の点から過炭酸ナトリウムが好ましい。これらの過酸化物は、該過酸化物からなる粒子の表面に、水分や他の洗浄剤成分等が接触することによって分解が生じるのを防止するために、被覆等の処理を施した形態で用いられる。被覆が施された粒子形態の酸素系漂白剤は、種々のものが提案されており、例えば特許第2918991号公報に記載の漂白剤粒子を挙げることができる。この漂白剤粒子は、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥してなる造粒物である。上記の他に、従来知られているキレート剤等の安定化剤を被覆剤と併用してもよい。被覆された過炭酸ナトリウム粒子の平均粒子径は、過炭酸ナトリウム粒子の安定性及び溶解性の点から、100〜2,000μmが好ましく、より好ましくは200〜1,000μm、さらに好ましくは300〜800μmであり、このようなものとして三菱瓦斯化学(株)製のSPC−Dが挙げられる。
漂白剤粒子の配合量は、漂白性能と効率の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
漂白活性化剤粒子中の漂白活性化剤は、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数8〜12のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12のアルカノイルオキシ安息香酸又はそれらの塩が挙げられ、このうち、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく、特に漂白効果の点から、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。漂白活性化剤はPEG#3000〜#20000、好ましくはPEG#4000〜#6000のポリエチレングリコール等の常温で固体のバインダー物質を加熱溶融した中に漂白活性化剤とオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等の界面活性剤の粉末を分散後、押し出して直径1mm程度のヌードル状の漂白活性化剤造粒物を製造し、その後長さ0.5〜3mm程度に軽く粉砕して配合されることが好ましい。界面活性剤の粉末としては、アルキル鎖長14のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
造粒物中の漂白活性化剤の配合量は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%である。配合量がこの範囲外では造粒した効果が充分に得られ難くなる場合がある。上記バインダー物質の配合量は、造粒物中に0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%であり、上記界面活性剤粉末の配合量は、造粒物中に好ましくは0〜50質量%、より好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
漂白活性化剤粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,500μmが好ましく、より好ましくは300〜1,000μmである。
漂白活性化剤粒子の配合量は、粒状洗剤組成物全量に対し0.1〜15質量%が好ましく、0.3〜10質量%が特に好ましい。
(A)表面処理水溶性無機化合物粒子、(B)界面活性剤含有粒子、(C)酵素含有粒子、漂白剤粒子及び漂白活性化剤粒子等は、表面を染料や顔料で着色してから用いることができる。この際着色に用いる染料、顔料は洗浄時に衣類への染着が起こらないものを用いる。この様な染料、顔料としては、群青、コラニルグリーンCG−130(CIナンバー:74260)、食用色素赤色102号、酸性染料アシッドイエロー141等が挙げられる。これらの染料、顔料は、水溶液や分散液とした後、(B)界面活性剤含有粒子の造粒装置と同様な撹拌造粒機や転動造粒機中で上記粒子を撹拌、転動しながら、添加することで着色することができる。また、上記粒子をベルトコンベアで移送中に上記水溶液や分散液を上記粒子に噴霧して着色することもできる。着色量としては、着色する粒子に対し0.001〜1質量%が好ましい。
また、香料は(A)表面処理水溶性無機化合物粒子と(B)界面活性剤含有粒子のいずれか一方あるいは両方に賦香した後、各粒子を混合してもよく、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子と(B)界面活性剤含有粒子を混合した後、賦香してもよい。用いられる香料としては、特開2002−146399号公報や特開2003−89800号公報記載の成分を用いることができる。なお、香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。本発明の粒状洗剤組成物中、香料の配合量は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。なお、香料は実施例の香料に限定されるものではない。
本発明の粒状洗浄剤組成物は、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子、(B)界面活性剤含有粒子、(C)酵素含有粒子及び任意の粒子を有する粒状洗剤組成物である。粒状洗剤組成物は、表面処理水溶性無機化合物粒子と洗浄剤粒子群とを、任意に混合して得ることができる。その混合方法としては、乾式混合が好適に用いられる。使用する混合機は、各種粒子同士が充分に混合できる限りいかなる混合機を用いてもよい。混合機としては、水平円筒型、二重円錐型、V型、自転・公転型等の混合機が好適に利用できる。また、撹拌造粒機、転動造粒機を用いてもよい。好ましくは、水平円筒型又は二重円錐型を用い、温度0〜50℃、Fr数0.01〜0.2(算出式は上述した通り)で混合する。このとき、各種粒子やそれ以外の成分の添加順序は、特に問わない。
(A)表面処理水溶性無機化合物粒子の粒状洗剤組成物中の配合量は、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。(B)界面活性剤含有粒子の粒状洗剤組成物中の配合量は、10〜97質量%が好ましく、より好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%である。酵素含有粒子の配合量は、洗浄性能の点から、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
なお、(A)表面処理水溶性無機化合物粒子と(B)界面活性剤含有粒子の配合比率は(A)粒子/(B)粒子(質量比)が、好ましくは1/99〜50/50、より好ましくは5/95〜40/60、特に好ましくは10/90〜30/70である。質量比が50/50を超えると流動性や溶解性が大きく劣化する場合がある。
粒状洗剤組成物の容器内での分級を防止するために、表面処理水溶性無機化合物粒子と界面活性剤含有粒子の平均粒子径の比(A1)/(B1)は、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.5〜1.5、さらに好ましくは0.6〜1.3である。また、表面処理表面処理水溶性無機化合物粒子と界面活性剤含有粒子の嵩密度の比(A2)/(B2)は、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.6〜1.5、さらに好ましくは0.7〜1.4である。
本発明の粒状洗剤組成物の物性値は、特に制限されるものではないが、水分量は、溶解性と保存安定性の点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは4〜9質量%、さらに好ましくは5〜8質量%である。嵩密度は、通常0.3g/cm3以上、好ましくは0.5〜1.2g/cm3、より好ましくは0.6〜1.1g/cm3である。また、平均粒子径は、好ましくは200〜1,500μm、より好ましくは250〜1,000μm、さらに好ましくは280〜700μmである。平均粒子径が200μm未満になると粉塵が発生し易くなったり、ハンドリング性が悪化する場合があり、一方、1,500μmを超えると本発明が目的とする溶解性が得られ難くなる場合がある。さらに、粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下、特に50°以下が好ましい。さらに貯蔵後(紙容器等の透湿性の高い容器に長期保存された場合等)も流動性が安息角として好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下であることが使用性の点から好ましい。
本発明の粒状洗剤組成物は、適当な容器に充填して容器入り粒状洗剤物品とすることができる。容器の材料としては、保存安定性の点で透湿度が30g/m2・24時間(40℃、90%RH)以下が好ましく、25g/m2・24時間(40℃、90%RH)以下がより好ましい。これらは一般的な包装材料の組み合わせや厚みの変化により達成できる。なお、本発明における透湿度は、JIS Z0208−1976に規定された方法で測定する。本発明の粒状洗剤組成物は、さらに崩壊剤等を混合した後圧縮成形して、タブレット洗浄剤やブリケット洗浄剤等の圧縮成形洗浄剤としても利用できる。
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
[調製例a1,a2、調製比較例a3]
表面処理水溶性無機化合物粒子の製造方法(撹拌造粒法)
第1工程
下記表1に示す組成成分のうち、重炭酸塩及び水溶性無機化合物を鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株)に投入し(充填率30容積%)、主軸150rpmで撹拌を開始した(チョッパー回転数:1015rpm、ブレード先端速度(周速):6.9m/s)。撹拌開始後10秒後に水溶性高分子化合物水溶液(濃度は後記の原料欄に記載、以下同じ)を噴霧角115度の加圧ノズル(フラットノズル)で180秒噴霧添加し、造粒・被覆操作を行った。また、第1工程で調製された粒子全量に対する水分量が10質量%を超えていた場合には、上記装置に熱風を導入して乾燥し、水分量を10質量%以下に調整した。
第2工程
引き続きプローシェアーミキサーの撹拌を継続しつつ、表1に示した水難溶性化合物を噴霧角60度の加圧ノズル(フルコーンノズル)で180秒噴霧添加し、被覆操作を行った。30秒間撹拌を続け粒子を得た。
第3工程
次いで、得られた粒子を、流動層(Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレックス製)に充填し、充填後15℃の風(空気)を流動層内に送り、粒子の冷却操作を行い、20℃まで冷却された粒子を得た。流動層内風速は流動化状態を確認しながら0.2〜10.0m/sの範囲で調整した。得られた粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、目開き2,000μmの篩を通過する表面処理水溶性無機化合物粒子を得た。
Figure 2006016440
MA1*:アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩
[調製例b1,b2]
下記製造方法により、粒状洗剤粒子b1,b2を得た。
下記表2に示す組成に従って、以下の手順で界面活性剤含有粒子b1を調製した。まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにα−SF−Naとノニオン界面活性剤を除く界面活性剤、及びPEG#6000を添加し、10分間撹拌した。続いてMA1(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)と蛍光剤とを添加した。さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部(2.0%相当量(対各粒子、以下同じ)の捏和時添加用、3.2%相当量の粉砕助剤用、1.5%相当量の表面被覆用の各A型ゼオライトを除く)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び亜硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm3、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたα−SF−Naの水性スラリー(水分濃度25%)に、ノニオン界面活性剤の一部(α−SF−Naに対して25%)を添加し、水分を11%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合濃縮物を得た。
上述の噴霧乾燥粒子、この混合濃縮物、2.0%相当量のA型ゼオライト、0.5%相当量の噴霧添加用を除く残りのノニオン界面活性剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を3.2%相当量添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4,700rpm)。最後に水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1.5%相当量の微粉A型ゼオライトを加え、0.5%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して粒子を得た。得られた粒子の一部を着色するために、界面活性剤含有粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)その表面に色素の20%水分散液を噴霧し、界面活性剤含有粒子b1を得た。界面活性剤含有粒子b1の調製方法と同様にして、界面活性剤含有粒子b2を得た。得られた界面活性剤粒子b1、b2について、下記方法で平均粒子径、嵩密度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2006016440
MA1*:アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩
[実施例1〜3、比較例1]
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、表1に記載の(A)表面処理水溶性無機化合物粒子、表2に記載の(B)界面活性剤含有粒子、(C)酵素含有粒子及びその他の成分を5分間混合し、表3記載の組成の粒状洗剤組成物を得た。得られた粒状洗剤組成物について、下記方法で酵素安定性を評価した。結果を表3に併記する。
Figure 2006016440
酵素含有粒子A:プロテアーゼ/リパーゼ/アミラーゼの混合物(サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX50T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/3/2(質量比)の混合物)
酵素含有粒子B:プロテアーゼ/リパーゼ/アミラーゼの混合物(エバラーゼ8T(ノボザイムズ製)/LIPEX50T(ノボザイムズ製)/ターマミル60T(ノボザイムズ製)=5/3/2(質量比)の混合物)
本発明の測定方法、評価方法を下記に示す。
(1)平均粒子径の測定
各サンプル及びその混合物について、目開き1,680μm、1,410μm、1,190μm、1,000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行った。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1,680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定した。受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、次式により平均粒子径(重量50%)を求めた。
Figure 2006016440
(2)嵩密度の測定
嵩密度はJIS K3362−1998に準じて測定した。
(3)酵素安定性の評価
外側からコートボール紙(坪量:350g/m2)、ワックスサンド紙(坪量:30g/m2)、クラフトパルプ紙(坪量:70g/m2)の3層からなる紙容器(透湿度25g/m2・24時間(40℃、90%RH))を用いて、長さ15cm×巾9.3cm×高さ18.5cmの箱を作製した。この箱に粒状洗剤組成物1.2kgを入れ、25℃(65%RH、8時間)、45℃(85%RH、16時間)のリサイクル恒温恒湿室中に30日間保存して、酵素安定性評価用サンプルを得たのち、以下の方法でプロテアーゼ、リパーゼ及びアミラーゼの残存活性を洗浄力から測定し酵素安定性を評価した。
(3−1)評価布の調製
(i)プロテアーゼ洗浄力評価布の調製
血液汚れ汚染布EMPA社(スイス)の洗浄力評価用試験布No.117(血液/ミルク/カーボンブラツク、綿布)を5×5cmに裁断して評価布を得た。
(ii)リパーゼ洗浄力評価布の調製
a.口紅汚れ汚染布
市販の口紅(資生堂、フフクリアルージュR42)を10cm×10cmの綿布(綿100%、100番)に、直径約3cmの円内に指を使って均一に付着させ口紅汚れ汚染布を得た。このとき布に付着させた口紅量は0.01gとした。
b.ファンデーション汚れ汚染布
市販のファンデーション(資生堂、UVホワイトクリスタライジングパクトオークル10)をコンパクトパフに付着させ、15cm×15cmの綿布(綿100%、100番)に直径6cmの円になるように均一に擦り付け、その後ブラッシングして過剰に付着した汚れを脱落させ、ファンデーション汚れ汚染布を得た。
(iii)アミラーゼ洗浄力評価布の調製
食品汚れ汚染布バンホーテンココア(片岡物産発売)を牛乳に分散・溶解させた液に、綿布を浸漬し乾燥した後、ブラッシングして過剰に付着した汚れを脱落させる。この布を5×5cmに裁断して評価布を得た。
(3−2)洗浄力の評価
洗浄方法:U.S.Testing社のTerg−O−Tometerを使用した。これに評価布10枚とメリヤス布を入れて浴比を30倍に合わせ、120rpm、25℃で12分間洗浄した。なお、酵素を複数種配合した際は、それぞれの酵素に対応した評価布をそれぞれ10枚づつ使用した。洗浄液は洗浄剤濃度0.05%のもの900mLを用い、すすぎは900mLの水で3分間行った。使用水は3°DHのものを用いた。汚染布(洗浄前の評価布)、洗浄布(洗浄後の評価布)、標準白布(綿布20番を表2に記載の界面活性剤含有粒子b1で洗浄したもの)について、日本電色製の色彩計Σ−9000を用いて測定される反射率を測定し、下記数式1で表されるクベルカムンク式により洗浄率を求めた。
Figure 2006016440
式中、Rは日本電色製の色彩計Σ−9000を用いて測定される反射率である。洗浄率の評価は試験布10枚の平均値で行った。得られた洗浄率から、下記式に基づいて酵素安定率を算出し、下記評価基準で評価した。なお、酵素を複数種配合した際は、それぞれの酵素安定率の平均値を酵素安定性とした。

酵素安定率(%)=保存後の洗浄率/保存前の洗浄率×100
<評価基準>
◎:75%以上
〇:68%以上75%未満
△:60%以上68%未満
×:60%未満
実施例中で用いた原料を下記に示す。
[重炭酸ナトリウム]
・重炭酸ナトリウム:重炭酸ナトリウム 工重(旭硝子(株)製)
[水溶性無機化合物]
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)
[水溶性高分子化合物]
・MA1:アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩、アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)
・PEG#6000:ライオン(株)製ポリエチレングリコール、商品名PEG#6000M
[水難溶性化合物]
・ラウリン酸:日本油脂(株)製、NAA−122、融点43℃
[微粉体]
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)
[界面活性剤]
・α−SF−Na:炭素数14:炭素数16=18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製、AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・LAS−K:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200(ライオン(株)製)LAS−H純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化カリウム水溶液で中和する)。表5中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・AOS−K:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)
・ノニオン界面活性剤A:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%)
[色素]
・色素A:群青(大日精化工業(株)製、Ultramarine Blue)
[香料]
・香料A:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
・香料B:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物B
[酵素]
・酵素含有粒子A:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX50T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/3/2(質量比)の混合物。平均粒子経350μm。
・酵素含有粒子B:エバラーゼ8T(ノボザイムズ製)/LIPEX50T(ノボザイムズ製)/ターマミル60T(ノボザイムズ製)=5/3/2(質量比)の混合物。平均粒子経320μm。
[その他]
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物

Claims (1)

  1. (A)重炭酸塩を含む水溶性無機化合物核粒子が第1表面処理剤である有機又は無機水溶性高分子化合物で表面処理され、さらにその処理された表面が第2表面処理剤である水難溶性化合物で処理されてなる表面処理水溶性無機化合物粒子、
    (B)界面活性剤含有粒子、
    (C)酵素含有粒子
    を必須成分とする粒状洗剤組成物。
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