JP2006016350A - スチレン製造における汚れ防止方法 - Google Patents

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淳一 中嶋
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Abstract

【課題】 脱水素触媒と水蒸気の存在下でエチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造において、脱水素反応装置以降の熱交換器、冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器、移送ラインおよび給排ライン、蒸留精製工程の蒸留塔およびこれらの周辺装置やその移送/給排ラインでのスチレンの重合に由来する汚れの発生、付着を防止する方法を提供することにある。
【解決手段】 脱水素触媒と水蒸気の存在下でエチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造において、脱水素反応装置から排出され、冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器への供給前の脱水素反応生成物及び/又は凝縮分離したベントガスに、沸点が200℃〜350℃(1気圧)の重合抑制剤を添加することを特徴とするスチレン製造における汚れ防止方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脱水素触媒を用いたエチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造において、脱水素反応工程の脱水素反応装置以降から蒸留精製工程の蒸留塔の間、特に脱水素反応装置以降の配管から凝縮器内部に発生するスチレンの重合に由来する汚れの防止方法に関するものである。
一般に芳香族ビニル化合物の製造は、対応する芳香族化合物を脱水素反応させて製造されている。例えば、スチレンはベンゼンにエチレンを付加させてエチルベンゼンを得るアルキレーション工程、エチルベンゼンを水蒸気の存在下で脱水素触媒を用いて脱水素反応させてスチレンを得る脱水素工程、反応混合物から未反応エチルベンゼン、スチレン以外の反応生成物とスチレンを分離回収する蒸留精製工程の3つの工程を経て製造されている。
スチレンは反応性モノマーであるため、加熱により容易に重合を起こして汚れ発生の要因となり、種々の障害を引き起こしている。例えば、スチレンの製造では、脱水素工程の脱水素反応器以降の反応生成物(気体)には、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、水素ガス(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)および水蒸気が含まれ、これらの反応生成物は熱交換器を通り冷却され、冷却凝縮器で気液分離される。その間、スチレンは熱により重合し、配管内壁や装置に付着し汚れとなる。
冷却凝縮器では、水素ガス(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、さらに少量のスチレン、エチルベンゼンなどの炭化水素蒸気を含んだ混合ガス(ベントガス)と、水、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエンなどを含む粗スチレン液に分離される。粗スチレン液は、蒸留塔に送られスチレンが分離される。
ベントガスは圧縮凝縮器に送られて、さらに気液分離され、得られた気体は燃料ガスとして使用される。一方、液体部にはフェニルアセチレンが含まれるためにこれを還元してスチレンとし、スチレンの蒸留工程に移送される。
ベントガスを圧縮する際、ベントガス中にスチレンが含まれるために圧縮熱により、装置の内部および表面でスチレンが重合し、圧縮器の作動変調および停止や圧縮効率の低下などの操業上の障害をもたらす。また、スチレンの蒸留工程では、蒸留時の熱によりスチレンが重合し、スチレンの損失になるだけでなく、スチレンの重合物の付着による汚れの堆積により熱効率が低下し、エネルギーコストが増加するなどの障害が起こる。これらの重合物は3次元網目構造を持った重合物であり、エチルベンゼン、スチレンへの溶解性が極めて不良であるため、装置表面へ付着、堆積したり、前述の工程だけでなく、後続の蒸留プロセスに流入し、ポンプサクション部のストレーナーを閉塞させたりする問題があった。
これらの解決策として、圧縮凝縮器中にエチルベンゼンを連続的に入れて洗浄する方法(フラッシュ洗浄)があるが、効果的ではなく、限界がある。他方、重合抑制剤を使用する方法が種々提案されてきた。例えば、フェノール化合物、ニトロソフェノール化合物、ニトロフェノール化合物を使用する方法(例えば、特許文献1参照)やピペリジン−1−オキシル化合物を使用する方法(例えば、特許文献2参照)、ニトロフェノール化合物とピペリジン−1−オキシル化合物を併用する方法(例えば、特許文献3参照)、ベントガス中に重合抑制剤を添加する方法(例えば、特許文献4参照)およびベントガス中にフリーラジカル系の重合抑制剤を注入し重合を防止する方法(例えば、特許文献5参照)等がある。
しかし、これらの方法を用いても依然として有効な汚れの防止方法がなく、エチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造方法における汚れを防止する方法が強く望まれていた。
特開昭63−316745号公報 特開平1−165534号公報 特開平6−166636号公報 特開平9−100245号公報 特開平10−330297号公報
水蒸気および脱水素触媒の存在下、脱水素反応装置においてエチルベンゼンの脱水反応を行う脱水反応工程と、脱水素反応生成物を熱交換器を経た後に冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器により凝縮させて水素、一酸化炭素、二酸化炭素を含む気体(ベントガス)と粗スチレン液に分離する凝縮分離工程と、蒸留塔にて粗スチレン液からスチレンを分離、精製する蒸留精製工程とを含むスチレンの製造において、脱水素反応装置以降の装置、給排ライン、凝縮分離工程内の冷却凝縮器、圧縮凝縮器および給排ライン、蒸留精製工程の蒸留塔およびその周辺装置やその給排ラインでのスチレンの重合に由来する汚れの発生、付着を抑制する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するためにスチレンの重合について、種々検討を重ねた結果、エチルベンゼンの脱水素反応後の反応混合物に特定の沸点を有する重合抑制剤がスチレンの重合の抑制に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、水蒸気および脱水素触媒の存在下、脱水素反応装置においてエチルベンゼンの脱水素反応を行う脱水素反応工程と、脱水素反応生成物を冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器によりベントガスと粗スチレン液に分離する凝縮分離工程と、蒸留塔において分離した粗スチレン液からスチレンを分離、精製する蒸留精製工程とを含むスチレンの製造において、脱水素反応装置から排出され、冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器への供給前の脱水素反応生成物及び/又は凝縮分離したベントガスに、沸点が200℃〜350℃(1気圧)の重合抑制剤を添加することを特徴とするスチレン製造における汚れ防止方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスチレン製造における汚れ防止方法であり、重合抑制剤が4−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ピロガロール、N、N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンの少なくとも1種以上であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または3記載のスチレン製造における汚れ防止方法であり、重合抑制剤を工程流中のスチレン量(g/L))に対して1ppm〜1000ppm添加することを特徴とする。
本発明によれば、脱水素触媒と水蒸気の存在下でエチルベンゼンを脱水素反応させるスチレン製造方法において、脱水素工程の脱水素反応器以降の冷却凝縮器手前の配管や熱交換器内の汚れ、ベントガスの圧縮凝縮器内の汚れが抑制されるだけでなく、蒸留精製工程における装置およびその周辺機器で生じるスチレンの重合に由来する汚れの発生を十分に抑制し、安定なスチレンの製造を維持することができ、製品の品質向上、操業の安定に寄与する。
本発明は、エチルベンゼンの脱水素反応によるスチレン製造において、水蒸気および脱水素触媒の存在下、脱水素反応装置においてエチルベンゼンの脱水素反応を行った後、得られた脱水素反応生成物を凝縮器にて凝縮分離して反応分解ガスと粗スチレン液に分け、さらに粗スチレン液を蒸留によりスチレンを精製分離する工程で、脱水素反応装置以降から凝縮器、蒸留塔に至る範囲で配管、装置類にスチレンの重合に由来する汚れの発生、付着を抑制する方法である。
本発明において対象とするスチレンの製造方法は、一般的なスチレンの製造方法であり、水蒸気および脱水素触媒の存在下、脱水素反応装置においてエチルベンゼンの脱水反応を行う脱水素反応工程と、得られた脱水素反応生成物を冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器により脱水素反応分解ガスのベントガスと目的物のスチレンを含む粗スチレン液に分離する凝縮分離工程と、当該凝縮分離工程で得られた粗スチレン液を蒸留塔によりスチレンを分離、精製する蒸留精製工程とを含むスチレンの製造方法である。
本発明で用いられるエチルベンゼンは、特に限定されるものではなく、一般的なベンゼンとエチレンの付加反応により得られたエチルベンゼンが用いられる。
本発明におけるエチルベンゼンの脱水素反応工程は特に限定されるものではなく、一般的な脱水素反応工程である。具体的には、エチルベンゼンの供給ライン、水蒸気の供給ライン、脱水素反応装置、排出ラインとそれぞれの移送ポンプ、加熱ヒータ、熱交換器等の周辺付帯設備を含む。水蒸気及びエチルベンゼンは、通常、個々に熱交換器を通して予熱され、供給ラインを通して脱水素反応装置に供給される。脱水素反応装置は約0.5〜0.8気圧、約650〜700℃の条件下、エチルベンゼンを脱水素触媒に接触させてエチルベンゼンの脱水素反応が行なわれる。エチルベンゼンの脱水素反応に用いられる脱水素触媒としては、特に限定されるものではなく、通常、酸化鉄−酸化クロム系触媒、酸化鉄−炭酸カリウム−酸化セシウム−酸化モリブデン系触媒等が用いられる。
脱水素反応装置から排出されたエチルベンゼン脱水素反応生成物(以下、「脱水素反応生成物」とする。)には、目的物のスチレンの他、原料のエチルベンゼンおよび水蒸気、ベンゼン、トルエン、フェニルアセチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族炭化水素類、低級炭化水素類、分解反応物として水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素などが含まれる。これらの分離のために脱水素反応生成物は、次の凝縮分離工程に送られる。
本発明における凝縮分離工程は特に限定されるものではなく、一般的な凝縮分離工程である。具体的には排気ラインを通して排出された高温の脱水素反応生成物を1器以上の熱交換器に通して冷却し、冷却凝縮器にて凝縮させて気液分離する。気相には、反応分解物である水素、一酸化炭素、二酸化炭素、低炭素数の炭化水素類、少量のスチレン、エチルベンゼン、ジビニルベンゼンおよびフェニルアセチレンなど芳香族炭化水素類が含まれ、これらは一般に「ベントガス」と言われている。一方、液相は、スチレン、エチルベンゼン、水、フェニルアセチレン、ジビニルベンゼンなどが含まれる粗スチレン液であり、蒸留精製工程に送られてスチレンが蒸留により分離、精製される。
ベントガスは減圧下で冷却凝縮器から取り出され、次に圧縮凝縮器に送られて圧縮され、て凝縮し、再度、気相分離される。気相には水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素などが含まれ、燃焼ガスとして使用される。液相にはフェニルアセチレン、スチレン、エチルベンゼン、ジビニルベンゼン等が含まれ、蒸留によりフェニルアセチレンとスチレン、エチルベンゼンが分離される。フェニルアセチレンは、燃焼ガスあるいはその一部の水素を用いて水素還元されてスチレンとして蒸留工程へ送られる。また、エチルベンゼンは再び脱水素反応工程に送られる。
また、上記の他に冷却凝縮器を用いることなく、脱水素反応装置後の排出された高温の脱水素反応生成物を1器以上の熱交換器に通して冷却した後、圧縮凝縮器にて圧縮し凝縮させ、ベントガスと粗スチレン液に分離させ、ベントガスを燃焼ガスに用い、粗スチレン液を蒸留精製工程に送る方法もある。
本発明におけるスチレンの蒸留精製工程は特に限定されるものではなく、一般的な蒸留精製工程であり、冷却凝縮器あるいは圧縮凝縮器またはフェニルアセチレンの水素還元で得られた粗スチレンは蒸留塔に供給されて、蒸留によりスチレンとして精製分離される。冷却凝縮器から供給される粗スチレン液には、水が含まれているために蒸留塔に供給された後、塔底部から水は排出される。
本発明の対象となる汚れは、脱水素反応装置から排出された脱水素反応生成物が、脱水素反応装置以降の排出ライン、熱交換器内、冷却凝縮器内、圧縮凝縮器内、これらを結ぶ移送配管内でスチレンの重合に由来して発生し、付着する汚れである。脱水素反応装置から排出された脱水素反応生成物は、冷却凝縮器でベントガスと粗スチレン液に分離されるが、それまでの間に重合性を有するスチレン、フェニルアセチレンおよびジビニルベンゼン等(以下、スチレン、フェニルアセチレンおよびジビニルベンゼン等を「スチレン類」とする。)が排出ライン内壁、熱交換器内壁や冷却凝縮器手前のライン内壁に僅かに凝縮し、熱により重合することにより汚れが発生し、さらにその表面および周囲にスチレン類の蒸気が凝縮し、重合することにより汚れが成長し盛り上がった3次元的な汚れになっていく。
また、圧縮凝縮器では、冷却されたベントガスが圧縮されることにより、含まれていた少量のスチレン類が圧縮凝縮器内壁に凝縮し、圧縮の際に生じた熱によりスチレン類が重合して汚れが発生し、その表面および周囲にさらにスチレン類の蒸気が凝縮し、重合することにより汚れが成長していく。
本発明で用いる重合抑制剤は、1気圧で沸点が200〜350℃の重合抑制剤であり、好ましくは250〜300℃の重合抑制剤である。重合抑制剤としては、フェノール系重合抑制剤、フェニレンジアミン系重合抑制剤があり、これらの1種あるいは2種以上を用いられる。具体的には、フェノール系重合抑制剤としては4−tert−ブチルカテコール(TBC)(沸点285℃)、4−tert−ブチルヒドロキシアニソール(BHA)(沸点268℃/760mmHg:200℃/100mmHg)、2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)(沸点265℃)、ピロガロール(沸点309℃)があり、フェニレンジアミン系重合抑制剤としてはN、N’−ジsec−ブチル−p−フェニレンジアミン(PDA)(沸点320℃)、6−sec−ブチル−2,4−ジニトロフェノール(DNBP)(沸点332℃)がある。好ましくは4−tert−ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)である。
また、本発明で用いる重合抑制剤は、そのままで用いても良いが、エチルベンゼンなどの有機溶剤に溶解して添加しても良い。有機溶剤に添加して用いる場合、重合抑制剤の濃度は、通常、5〜70重量%である。
重合抑制剤の沸点が、350℃(1気圧)を超えると脱水素反応器から凝縮器の間、圧縮凝縮器内、蒸留後の凝縮部分で、汚れの原因となるスチレンあるいはジビニルベンゼン等の化合物が凝縮する前に凝縮し、重合が起こる個所まで到達できず、重合抑制効果を発揮することができない。また、重合抑制剤の沸点が200℃未満では、汚れの原因となるスチレンあるいはジビニルベンゼン等の化合物が凝縮する領域で凝縮しないために重合抑制効果を発揮することができない。
本発明において重合抑制剤の添加量は、汚れの程度、脱水素反応温度、ベントガス中のスチレン量、脱水素反応装置出口温度および冷却凝縮器出口温度、圧縮凝縮器出口温度等を考慮して適宜決定されるが、通常は工程流中のスチレン量(g/L)に対し、1ppm〜1000ppm、好ましくは10ppm〜500ppmである。重合抑制剤の添加量が1ppm未満では本発明の効果を十分に発揮することができない場合があり、重合抑制剤の添加量が1,000ppmを超えて用いることを何ら妨げるものではないが、添加量に見合うだけの効果の向上が十分でなく、経済的にメリットが得られない場合がある。
重合抑制剤の添加の形態は、特に制限されるものではなく、添加箇所、添加する装置の状況を考慮して適宜決定されれば良く、通常は薬液注入ポンプを用いて注入される。また、重合抑制剤は直接添加してもよいが、溶剤等(エチルベンゼン等)に溶解させて定量ポンプを用いて注入する方法もあり、いずれを用いても良い。
本発明で添加される重合抑制剤の添加箇所は、脱水素反応器で脱水素反応を行った後の反応混合物後であれば、どの場所で添加してもよいが、汚れが発生している個所に直接添加してもよく、また、汚れが発生している上流に添加してもよい。具体的には、脱水素反応器から冷却凝縮器までの間、冷却凝集器から圧縮凝縮器までの間、蒸留塔手前から冷却凝縮器までの間等の箇所が挙げられる。
以下、本発明を図1のスチレン製造方法のフローに沿って具体的に説明する。供給ライン1を通してエチルベンゼンが脱水素反応装置3に供給され、また、供給ライン2を通して水蒸気が供給される。脱水素反応装置3は、約0.8気圧、約650℃の条件で維持され、供給されたエチルベンゼンは該脱水素反応装置内の脱水素触媒4により脱水素されてスチレンになる。脱水素反応の後の反応生成物は、目的物のスチレンガス、原料のエチルベンゼンガスおよび水蒸気、フェニルアセチレンやその他の炭化水素ガスを含み、さらに分解反応物として水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素などを含む。これらの分離のためにスチレンを含む反応生成物は塔頂排出ライン6を通り、熱交換器7で冷却され、さらに供給ライン8を通って冷却凝縮器9に送られる。本発明で用いる重合抑制剤5が塔頂排出ライン6中にポンプ注入される。その他、汚れの状況を考慮して、重合抑制剤34、35の複数添加を行っても良い。冷却凝縮器9では、脱水素反応生成物は気相のベントガスと粗スチレン液に分離され、ベントガスは移送ライン11を通り、圧縮凝縮器22に送られ、粗スチレン液は供給ライン10を経て蒸留塔12に送られる。蒸留塔12では粗スチレン液は蒸留精製され、塔頂の排出ライン16からスチレン15が分離される。また、塔底には水とスチレンを含む有機タール状物が残り、水を分離して排出ライン13、14から排出する。スチレンを含む有機タール状物は排出ライン13、供給ライン17を通り、次段の蒸留塔18に送られ再度、蒸留されて塔頂排出ライン20からスチレン21が分離される。蒸留塔18の底に残った有機タール状物は排出ライン19より排出される。圧縮凝縮器22に送られたベントガスは加圧凝縮されて、再度、気液分離される。液相にはエチルベンゼン、スチレン、フェニルアセチレンなどが含まれ、移送ライン23を通して弁29にてエチルベンゼン、スチレンは回収供給ライン33へ流れ、フェニルアセチレンは移送ライン30を通りフェニルアセチレン還元反応器31に送られる。一方、圧縮凝縮器22中の気相には水素、一酸化炭素、二酸化炭素などが含まれ、排出ライン24を通り、弁27で排出ライン25から燃焼ガス26が排出され、水素を含む燃焼ガスが移送ライン28を通してフェニルアセチレン還元反応器31に送られる。フェニルアセチレン還元反応器31では、燃焼ガス中の水素によりフェニルアセチレンは還元されてスチレンとなり、供給ライン32を通って蒸留塔12に送られる。
本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(本発明で用いる重合抑制剤)
TBC:4−tert−ブチルカテコール(試薬、東京化成(株)製)
BHA:4−tert−ブチルヒドロキシアニソール(試薬、東京化成(株)製)
BHT:2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール(試薬、東京化成(株)製)
PDA:N、N’−ジsec−ブチル−p−フェニレンジアミン〔「UOP No.5」(商品名)、UOP社製〕
(比較例で用いる重合抑制剤)
DNBP:6−sec−ブチル−2,4−ジニトロフェノール(SNPE製)
H−TEMPO:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(試薬、東京化成(株)製)
(脱水素反応混合物模擬液の調製)
スチレン(和光純薬(株)製試薬)、ジビニルベンゼン(メタ体、パラ体混合物、和光純薬(株)製試薬)、エチルベンゼン(和光純薬(株)製試薬)をアルカリ洗浄した後、蒸留して、スチレン(和光純薬(株)製試薬)60重量部、ジビニルベンゼン(メタ体、パラ体混合物、和光純薬(株)製試薬)5重量部、エチルベンゼン(和光純薬(株)製試薬)35重量部を混合して、試験液とした。試験液100gを抜き出しライン、パージラインを備えたフラスコに入れ、マグネティックスターラーにより攪拌しながら、高純度窒素ガスを10分間吹き込み、試験液内の溶存酸素を除去した。ついで、抜き出しラインから定量ポンプを用いて内部のテストチューブ(重量A)が350℃に加熱された二重管式熱交換器に導入した。60分後にテストチューブの加熱を終了し、二重管からテストチューブを取り出し、樹脂が付着したテストチューブの重量(重量B)を測定した。テストチューブの重量差:(B−A)を算出し、汚れ(樹脂)生成量として求めた。結果を表1に示した。
Figure 2006016350
BHT、TBC、PDAは、DNBP、H−TEMPOに比べて、汚れ(樹脂発生)抑制効果が高いことが分かる。
(スチレン製造工程での汚れ抑制試験)
図1記載の水蒸気の存在下、触媒によるエチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造のおいて、脱水素反応装置4の後の排出ライン6に6−sec−ブチル−2,4−ジニトロフェノール(DNBP)を添加し、脱水素反応器内の汚れの発生を抑制していた。しかし、6ヶ月後、ベントガス圧縮凝縮器22の内部および蒸留精製工程の蒸留塔12の内部に樹脂状汚れが生じ、操業に支障を来たしたため、断続的な清掃を余儀なくされた。そこで、脱水素反応装置4から冷却凝縮器9までのラインに、2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノールを脱水素反応混合物中のスチレンに対して100ppm添加して運転した。6ヶ月後、ベントガス圧縮凝縮器22の内壁、蒸留塔12の内壁の汚れ状況を以下のように目視評価した。
◎:汚れ無し
○:汚れが僅かにあるが、支障無し。
×:汚れが多い。
その結果を表2に示した。
Figure 2006016350
本発明の方法によりベントガス圧縮凝縮器の内壁、蒸留塔の内壁の汚れは改善され、汚れの除去作業を必要としないばかりか、操業に支障を来すことはなかった。
エチルベンゼンの脱水素反応によるスチレンの製造方法の概略図である。
符号の説明
1 供給ライン
2 供給ライン
3 脱水素反応装置
4 脱水素触媒
5 重合抑制剤
6 塔頂排出ライン
7 熱交換器
8 供給ライン
9 冷却凝縮器
10 供給ライン
11 移送ライン
12 蒸留塔
13 排出ライン
14 排出ライン
15 スチレン
16 排出ライン
17 供給ライン
18 蒸留塔
19 排出ライン
20 排出ライン
21 スチレン
22 圧縮凝縮器
23 排出ライン
24 排出ライン
25 排出ライン
26 燃焼ガス
27 弁
28 移送ライン
29 弁
30 移送ライン
31 フェニルアセチレン還元反応器
32 供給ライン
33 回収供給ライン
34 重合抑制剤
35 重合抑制剤

Claims (3)

  1. 水蒸気および脱水素触媒の存在下、脱水素反応装置においてエチルベンゼンの脱水素反応を行う脱水素反応工程と、脱水素反応生成物を冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器によりベントガスと粗スチレン液に分離する凝縮分離工程と、蒸留塔において分離した粗スチレン液からスチレンを分離、精製する蒸留精製工程とを含むスチレンの製造において、脱水素反応装置から排出され、冷却凝縮器および/又は圧縮凝縮器への供給前の脱水素反応生成物及び/又は凝縮分離したベントガスに、沸点が200℃〜350℃(1気圧)の重合抑制剤を添加することを特徴とするスチレン製造における汚れ防止方法。
  2. 重合抑制剤が4−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ピロガロール、N、N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンの少なくとも1種以上である請求項1記載のスチレン製造における汚れ防止方法。
  3. 重合抑制剤を工程流中のスチレン量(g/L))に対して1ppm〜1000ppm添加する請求項1または2記載のスチレン製造における汚れ防止方法。
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