JP2002265397A - 重合物の蓄積抑制方法 - Google Patents

重合物の蓄積抑制方法

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JP2002265397A
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Japan
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aromatic compound
organic liquid
polymer
vinyl aromatic
dehydrogenation
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JP2001068889A
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Yoshihisa Uchida
善久 内田
Katsuhiko Sakai
克彦 阪井
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチームの存在下でアルキル化芳香族化合物
を脱水素してビニル芳香族化合物を製造する方法に於い
て、その脱水素反応器より下流の反応生成物の重合抑止
と重合物の除去を十分にかつ効果的に行う方法の提供。 【解決手段】 ビニル芳香族化合物を製造する際に、脱
水素反応器より下流の装置や配管に有機液体、好ましく
は脱水素反応で得られる反応生成物または同反応生成物
の蒸留分離によって得られる留分等を注入する事を特徴
とする重合物の蓄積抑制方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチームの存在下
でアルキル化芳香族化合物を脱水素してビニル芳香族化
合物を製造する方法に関する。詳しくは、その脱水素反
応器より下流に生成する重合物の蓄積抑制に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】工業的にスチームの存在下でアルキル化
芳香族化合物を脱水素してビニル芳香族化合物を製造す
る方法に於いては、脱水素反応器より下流の装置および
/または配管にビニル芳香族化合物が重合して重合物が
生成する。この重合物により、配管の詰まりや熱交換器
であれば伝熱能力の低下が起こる。また、これらの除去
に多大な労力を必要とし、除去できない場合には装置や
配管の交換も必要であった。従来、この装置および/ま
たは配管に重合物が蓄積する事を抑制する事に関する文
献等は見当たらないが、一般的には、この重合物の生成
を抑制する、または運転中に除去するために装置および
/または配管中に水を導入し、凝縮したビニル芳香族化
合物や発生した重合物を洗い流す方法が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では十分な効果が得られず、装置および/または配管
に蓄積する重合物を効果的にかつ十分に生成抑止または
蓄積防止する事はできなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スチームの存在
下でアルキル化芳香族化合物を脱水素してビニル芳香族
化合物を製造する方法に於いて、脱水素反応器より下流
の装置および/または配管に有機液体または有機液体と
水との混合物を注入する事により、蓄積する重合物を効
果的にかつ十分に生成抑止または蓄積防止する事ができ
ることを見出し本発明を完成させるに至った。すなわ
ち、本発明は、 1.ビニル芳香族化合物製造工程において、脱水素反応
器より下流の装置および/または配管に有機液体または
有機液体と水との混合物を注入することを特徴とする重
合物の蓄積抑制方法、 2.有機液体が脱水素反応器出口反応生成物の凝縮成分
の一部または全量であることを特徴とする上記1記載の
重合物の蓄積抑制方法、 3.ビニル芳香族化合物がスチレンであることを特徴と
する上記1.又は2.記載の重合物の蓄積抑制方法、で
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を説明
する。本発明は、脱水素反応器より下流に生成する重合
物の蓄積抑制に関するものである。アルキル化芳香族化
合物を脱水素してビニル芳香族化合物を製造する際、通
常は特に何も注入しないか、下流の装置および/または
配管に水を注入している。本発明は、このビニル芳香族
化合物の製造に於いて、脱水素反応器より下流の装置お
よび/または配管に有機液体または有機液体と水との混
合物を注入するものである。好ましくは、脱水素反応の
反応生成物の凝縮液または同反応生成物の蒸留分離によ
って得られる留分等を用いるものである。これにより既
に知られている水注入の効果に、発生した重合物に対す
る有機液体の溶剤効果と重合を引き起こす凝縮したビニ
ル芳香族化合物の濃度を低くする効果を加えることがで
きる。本発明に使用できる原料アルキル化芳香族化合物
は、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベン
ゼン、エチルトルエン類、p−メチルエチルベンゼン、
ブチルエチルベンゼン、1,1−ジフェニルエタンおよ
びこれらの少なくとも1種を含有する組成物である。
【0006】ビニル芳香族化合物は、スチレン、ジビニ
ルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン類、
p−メチルスチレン、ブチルスチレン、1,1−ジフェ
ニルエチレン等の少なくとも1種を含有する脱水素反応
後の反応生成物、または同反応生成物の蒸留分離によっ
て得られる留分等である。また、本発明で使用できる有
機液体は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチ
ルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロ
ピルベンゼン、エチルトルエン類、p−メチルエチルベ
ンゼン、ブチルエチルベンゼン、1,1−ジフェニルエ
タン、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン類、p−メチルスチレン、ブチルス
チレン、1,1−ジフェニルエチレン、ヘキサン、シク
ロペンタン、シクロヘキサン、オクタン等の少なくとも
1種を含有するものである。
【0007】スチームの存在下でアルキル化芳香族化合
物を脱水素してビニル芳香族化合物を製造する際には、
反応器出口の反応生成ガスを一旦凝縮させ、油水の分離
を行うことにより目的とする物質を含む油分を後段の蒸
留工程に送る。この凝縮過程に於いてビニル芳香族化合
物の重合物が発生し装置および/または配管に蓄積す
る。本発明では、この脱水素反応器出口から油水分離装
置までの間に於いて、有機液体または有機液体と水との
混合物を装置や配管に注入するものである。好ましく
は、脱水素反応の反応生成物または同反応生成物の蒸留
分離によって得られる留分等を注入するものであるが、
これは脱水素反応の反応生成物を利用すれば、目的とす
る物質を含む油分の組成を変えることなく蒸留工程に送
ることが可能となるからである。
【0008】有機液体または有機液体と水との混合物の
注入点数は、脱水素反応器出口から油水分離装置までの
距離と装置の数による。1箇所でも構わないが、数点に
分散して注入することが好ましい。有機液体のまたは有
機液体と水との混合物注入の方法としては、単に配管で
注入しても効果はあるが好ましくは、スプレーや噴霧器
を用いて注入することである。これにより有機液体また
は有機液体と水との混合物を装置内面および/または配
管に均等に液滴を分散させて効果を発揮させることがで
きる。また、配管の底面に有機液体を注入することも有
効である。凝縮したビニル芳香族化合物を希釈して濃度
を下げ、廃却することができる。
【0009】注入する有機液体または有機液体と水との
混合物は液であればその組成には寄らないが、好ましく
は注入する有機液体中のビニル基を有する化合物の割合
が重量割合で90%以下であり、更にはその割合が70
%以下であることが好ましい。本発明が好適であるエチ
ルベンゼンからのスチレンの製造に於いては、脱水素反
応の反応生成物にはエチルベンゼンが10〜70重量
%、スチレンが30〜90重量%含まれており、この反
応生成物の凝縮液を用いる事により十分な重合物の生成
抑止とまたは蓄積防止の効果が発揮される。
【0010】注入する液量が少ない場合には、注入また
はスプレーした液や液滴が、装置や配管の内部の凝縮し
たビニル芳香族化合物を十分に希釈するもしくは洗い流
すことができず、十分な効果が得られない。多い場合に
は、ポリマーの発生抑止と除去には効果的であるが、液
を循環させるポンプの能力を大きくする必要があり経済
的でない。また、反応器出口から油水分離槽までの間に
於いて、当該反応生成物の熱回収を行っている場合に
は、回収できる熱量が減少してしまうので、これも経済
的でない。有機液体または有機液体と水との混合物の注
入量は、装置や配管の大きさ・温度・流量条件・ビニル
化合物の濃度によるが、注入口1箇所当たり、水を除い
た反応生成物量の1/3000量以上が好ましい。装置
や配管に注入する液の温度は、液である必要があること
から好ましくは150℃以下であり、液がすぐに蒸発す
ることを防ぐために、更に好ましくは70℃以下であ
る。
【0011】次に、実施例および比較例によって本発明
を説明する。尚、実施例、比較例および表1で表記され
る「%」は「重量%」を意味する。
【実施例1】市販されているスチレン製造用の酸化鉄系
触媒を用い、固定床流通式の脱水素反応器にてオイル
(99%エチルベンゼン)からのスチレンの製造を行っ
た。反応器入口温度600℃、LHSV0.8h-1、反
応器出口圧力113kPa、スチーム/オイル重量比
1.0の反応条件とした。エチルベンゼンの転化率は4
5〜55モル%になるように、反応器内部の温度を調節
した。反応器出口の配管は内径52.7mmであり、反
応器出口から下流の配管は45mの長さであり、その間
の一部には10mの水冷式のジャケットを設け冷却器と
した。
【0012】脱水素反応器出口より下流に注入する液
は、有機液体である脱水素反応で得られた反応生成物の
凝縮液を用いた。その組成は、エチルベンゼン50%、
スチレン46%、ベンゼン1%、トルエン3%であっ
た。注入液の温度は57℃であった。注入は配管に2箇
所、冷却器の直前に1箇所の計3箇所で行った。注入に
は小型のスプレー装置を用い、1個所当たりの流量は水
を除いた反応生成物量の1/30量とした。上記の条件
で90日間保持し、反応器出口から下流の冷却器を含ん
で45mの間に蓄積した重合物量を量り取った所、15
gであった。
【0013】
【比較例】有機液体を配管および冷却器の前に注入しな
かった以外は、実施例1と同様にして脱水素反応を行っ
た。実施例1と同様に90日後に反応器出口から下流の
冷却器を含んで45mの間に蓄積した重合物量を量り取
った所、1950gであった。表1に反応の条件、有機
液体注入の条件、蓄積した重合物の量を示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】本発明の方法によれば、脱水素反応器出
口より下流の装置および配管に生成蓄積する重合物を著
しく減少させることができ、配管圧損の上昇防止、装置
の性能維持により効率的にビニル芳香族化合物を製造す
ることができ、重合物の定期的除去作業の廃止、廃棄物
の削減も可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル芳香族化合物製造工程において、
    脱水素反応器より下流の装置および/または配管に有機
    液体または有機液体と水との混合物を注入することを特
    徴とする重合物の蓄積抑制方法。
  2. 【請求項2】 有機液体が脱水素反応器出口反応生成物
    の凝縮成分の一部または全量であることを特徴とする請
    求項1記載の重合物の蓄積抑制方法。
  3. 【請求項3】 ビニル芳香族化合物がスチレンであるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の重合物の蓄
    積抑制方法
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