JPH09268138A - スチレン類の重合抑制方法 - Google Patents

スチレン類の重合抑制方法

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JPH09268138A
JPH09268138A JP8017696A JP8017696A JPH09268138A JP H09268138 A JPH09268138 A JP H09268138A JP 8017696 A JP8017696 A JP 8017696A JP 8017696 A JP8017696 A JP 8017696A JP H09268138 A JPH09268138 A JP H09268138A
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JP
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oxyl
piperidine
styrene
group
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JP8017696A
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Sotaro Nakamura
宗太郎 中村
Sadao Nakajima
定男 中島
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Hakuto Co Ltd
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Hakuto Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン類の製造、あるいは精製工程に
おいて、スチレン類あるいはこれを含有するプロセス流
体の重合を効率よく抑制する方法を提供する。そしてス
チレン類モノマーの収率を向上し、さらに関連設備の中
にファウリング(汚れ)による運転上の支障を来さない
ようにする。 【解決手段】 スチレン類の製造あるいは精製工程にお
いて、ピペリジン−1−オキシル類とニトロフェノール
類を添加することを特徴として構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン類の製
造、あるいは精製工程において、スチレン類あるいはこ
れを含有するプロセス流体の重合を抑制する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スチレン類、特にスチレンはポリスチレ
ン、合成ゴム、ABS樹脂などの製造原料として産業上
非常に重要な化合物であり、工業的に多量に生産されて
いる。
【0003】スチレン類は極めて重合しやすく、その製
造あるいは精製工程において、熱が加わるなどの要因に
より重合物を生じ、目的物であるスチレン類モノマーの
収率を低下させ、さらに関連設備の中にファウリング
(汚れ)を生じ設備の運転上支障を来すなどの問題があ
る。その対策として、重合抑制剤をプロセス流中に添加
する方法が提案され、実用に供されている。このような
重合抑制剤としては、例えばフェノール類、ニトロソフ
ェノール類、ニトロフェノール類(例えば、特開昭63
−316745号公報)、ピペリジン−1−オキシル類
(例えば、特開平1−165534号公報)が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スチレ
ン類の製造工程、精製工程は一般に温度が高く(80〜
130℃)、また溶存酸素の少ない条件で運転されてお
り、そのような条件下ではフェノール類、ニトロソフェ
ノール類、ニトロフェノール類では重合を充分に抑えら
れないのが実情であった。
【0005】その改良として、ピペリジン−1−オキシ
ル類が提案されたが、この重合抑制剤においては、重合
の開始に誘導期間をもち、初期の重合抑制効果は高い反
面、時間が経過すると急速にその効果がなくなり、以後
急激に重合生成物が生ずるといった欠点を有していた。
これは装置の安定運転という観点からすると好ましくな
く、その添加量を厳格に管理する必要があるなど、依然
問題を残していた。
【0006】そこで本発明の目的は、かかるスチレン類
の製造あるいは精製工程における酸素希薄な高温条件下
においても優れた重合抑制効果を有し、且つその効果が
長く持続し、該装置の安全運転を容易にする方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スチレン
類の重合特性を詳しく調査、研究を行った結果、ピペリ
ジン−1−オキシル類とニトロフェノール類を組み合わ
せることにより極めて効果的にスチレン類の重合が抑制
されることを見いだし、この知見に基づいて本発明をな
すに至った。
【0008】すなわち、本発明は、スチレン類の製造あ
るいは精製工程において、ピペリジン−1−オキシル類
とニトロフェノール類を添加することを特徴とするスチ
レン類の重合抑制方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法について詳細
に説明する。
【0010】本発明におけるスチレン類は、スチレン、
置換スチレン(例えばメチルスチレン、エチルスチレン
など)、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物で
ある。
【0011】本発明におけるピペリジン−1−オキシル
類は、好ましくは一般式(I)〔式中、R1は炭素数1
〜3のアルキル基、R2はH、OH基、OR3基(R3
炭素数1〜3のアルキル基あるいはフェニル基)または
COOR4基(R4は水素原子あるいは炭素数1〜3のア
ルキル基)を示す〕で示される化合物である。
【0012】
【化4】
【0013】具体的には、2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,
6,6−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−
オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキ
シピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラ
メチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、
2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシピペリ
ジン−1−オキシルが挙げられる。
【0014】本発明におけるニトロフェノール類は、好
ましくは一般式(II)(式中、R5はメチル基を示し、a,
b,cは各置換基の数を示し、aは1〜2、bは1〜
2、cは0〜2の整数である)、あるいは一般式(III)
(式中、R6はメチル基を示し、d,e,fは各置換基
の数を示し、dは1〜2、eは1〜2、fは0〜2の整
数である)で示される化合物である。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】具体的にはニトロフェノール、ニトロクレ
ゾール、ニトロレゾルシノール、ニトロナフトール、ジ
ニトロフェノール、ジニトロクレゾール、ジニトロレゾ
ルシノール、ジニトロナフトールであり、さらに具体的
に挙げれば、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノ
ール、p−ニトロフェノール、3−ニトロ−o−クレゾ
ール、5−ニトロ−o−クレゾール、2−ニトロ−m−
クレゾール、4−ニトロ−m−クレゾール、2−ニトロ
−p−クレゾール、3−ニトロ−p−クレゾール、4−
ニトロ−レゾルシノール、1−ニトロ−2−ナフトー
ル、2−ニトロ−1−ナフトール、2,4−ジニトロフ
ェノール、2,5−ジニトロフェノール、2,6−ジニ
トロ−p−クレゾール、4,6−ジニトロ−o−クレゾ
ール、2,4−ジニトロ−1−ナフトール、1,5−ジ
ニトロ−2−ナフトールである。
【0018】本発明におけるピペリジン−1−オキシル
類とニトロフェノール類との組成比は、1:9〜9:1
重量比、好ましくは1:5〜5:1重量比、さらに好ま
しくは1:2〜2:1重量比である。この範囲でピペリ
ジン−1−オキシル類とニトロフェノール類を組み合わ
せることにより、それぞれ単独の場合より遥かに効果が
大きくなり、相乗効果がみられる。この組成比は、対象
とするスチレン類の重合抑制効果を期待する上で適当な
範囲として見いだされたものであり、この範囲の外でも
それなりの重合抑制効果はあるが、本発明の相乗効果は
充分に発揮されない。またそれらの添加量は、使用条
件、重合抑制の必要度などにより決められるが、一般的
には対象とするスチレン類に対し、ピペリジン−1−オ
キシル類とニトロフェノール類の合計量が20〜2,0
00ppm、好ましくは50〜1,000ppm、さら
に好ましくは100〜500ppmである。この添加量
は、対象とするスチレン類の重合抑制効果を期待する上
で適当な範囲として見いだされたものであり、この範囲
より小さいと期待の効果が充分でなく、またこの範囲よ
り多いと効果は充分にあるが、添加量の割に効果は大き
くならず、経済的見地から好ましくない。かかる相乗効
果は後記実施例に示すように、ピペリジン−1−オキシ
ル類とニトロフェノール類の組合せによってのみ特異的
に認められるもので、同じフェノール類であっても、フ
ェノール類やニトロソフェノール類を用いても殆ど発現
しない。
【0019】本発明のにおけるピペリジン−1−オキシ
ル類とニトロフェノール類の添加場所は、スチレン類が
重合しファウリングとして問題化する箇所よりプロセス
の上流部に添加する。例えばスチレンは一般にエチルベ
ンゼンの脱水素反応によって製造され、生成したスチレ
ンと未反応エチルベンゼンを連続的に蒸留分離してお
り、そのエチルベンゼン脱水素後の蒸留塔群に供給す
る。ピペリジン−1−オキシル類とニトロフェノール類
は、予め両者を適正な混合比で混合し、そのプロセス流
体と同じもの、例えばスチレンの場合にはエチルベンゼ
ンや粗スチレンに溶解して添加するのが実際上便利では
あるが、各成分を別々に溶解し添加し、装置内で適正混
合比に保つことも可能である。添加に際して、ある箇所
に一括添加する、あるいはいくつかの箇所に分けて分散
添加するなどの方法がとられる。
【0020】本発明において、ピペリジン−1−オキシ
ル類とニトロフェノール類以外に、公知の他の重合抑制
剤を併せて用いることになんら制限を加えるものではな
い。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。もちろん、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0022】〔ピペリジン−1−オキシル類〕 A−1:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−
オキシル A−2:2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ
ピペリジン−1−オキシル A−3:2,2,6,6−テトラメチル−4−メトキシピ
ペリジン−1−オキシル A−4:2,2,6,6−テトラメチル−4−エトキシピ
ペリジン−1−オキシル A−5:2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシ
ピペリジン−1−オキシル A−6:2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシ
ピペリジン−1−オキシル
【0023】〔ニトロフェノール類〕 B−1:2,4−ジニトロフェノール B−2:4,6−ジニトロ−o−クレゾール B−3:2,4−ジニトロ−1−ナフトール B−4:4,6−ジニトロレゾルシノール B−5:2−ニトロ−p−クレゾール B−6:2−ニトロフェノール
【0024】〔比較に用いた化合物〕 C−1:p−ニトロソフェノール C−2:ニトロソクレゾール C−3:p−ターシャリーブチルカテコール
【0025】これらの化合物は、東京化成工業(株)試薬
を使用した。
【0026】1.スチレンの重合抑止 〔実験方法〕還流冷却器を備えた4っ口セパラブルフラ
スコにスチレンモノマー60g,エチルベンゼン20g
及び本発明の、あるいは比較の重合抑制剤を所定量入
れ、高純度窒素ガスを液中に30分吹込んで溶存酸素を
除いた。次いでこれを110℃に保持し、一定時間毎に
内容物の一部を取り出し、液中のポリマー生成量を測定
した。尚、スチレンモノマーは実験を始める前に、アル
カリ洗浄しモノマー中に含まれる重合抑制剤を除き、水
洗、乾燥したものを用いた。また、ポリマー生成量は、
サンプリングした液の9倍量のメタノールを加えると、
ポリマーが液中に懸濁状態に析出してくるのでこれを濁
度法により求めた。
【0027】〔実験結果〕得られた結果を一括して表1
に示す。本発明のピペリジン−1−オキシル類とニトロ
フェノール類の組み合わせにより、スチレンの重合が抑
制され、重合体の生成が少なくなっていることがわか
る。また、A−1(ピペリジン−1−オキシル類)とB−
1(ニトロフェノール類)の合計添加量を200ppm
として、その組成比を変えて重合抑制実験を行った結果
(実施例−1,18,19、比較例−2,3)につい
て、2時間後の重合体生成率(%)を図示すれば、図1
に示すとおりである。これよりピペリジン−1−オキシ
ル類とニトロフェノール類の組合せは、夫々単独の場合
に比して重合体の生成抑制に優れた相乗効果を発揮する
ことが了解されよう。
【0028】2.メチルスチレンの重合抑制 上記スチレンの場合と同じようにして、メチルスチレン
の場合について重合抑制実験を行った。その結果を表2
に示す。本発明ピペリジン−1−オキシル類とニトロフ
ェノール類の組み合わせにより、相乗効果によりメチル
スチレンの重合が効率よく抑制されていることがわか
る。
【0029】3.ジビニルベンゼンの重合抑制 上記と同じようにして、ジビニルベンゼンの場合につい
て重合抑制実験を行った。その結果を表3に示す。本発
明のピペリジン−1−オキシル類とニトロフェノール類
との組み合わせにより、相乗効果によりジビニルベンゼ
ンの重合が効率よく抑制されていることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】スチレン類の製造あるいは精製工程にお
いて、ピペリジン−1−オキシル類とニトロフェノール
類を添加することによって、スチレン類あるいはこれを
含有するプロセス流体の重合を効率よく抑制し、且つそ
の効果が長く持続し、該装置の安全運転を容易にするこ
とを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ピペリジン−1−オキシル類(A−1)とニト
ロフェノール類(B−1)の組成比とスチレン重合体生
成率との関係を例示した図面である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン類の製造あるいは精製工程にお
    いて、ピペリジン−1−オキシル類とニトロフェノール
    類を添加することを特徴とするスチレン類の重合抑制方
    法。
  2. 【請求項2】 ピペリジン−1−オキシル類が、一般式
    (I)〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2
    H、OH基、OR3基(R3は炭素数1〜3のアルキル基
    あるいはフェニル基)またはCOOR4基(R4は水素原
    子あるいは炭素数1〜3のアルキル基)を示す〕で示さ
    れる化合物群から選ばれる1種以上である請求項1記載
    のスチレン類の重合抑制方法。 【化1】
  3. 【請求項3】 ピペリジン−1−オキシル類が、2,
    2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、
    2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリ
    ジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−
    4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,
    6−テトラメチル−4−エトキシピペリジン−1−オキ
    シル、2,2,6,6−テトラメチル−4−フェノキシ
    ピペリジン−1−オキシルおよび2,2,6,6−テト
    ラメチル−4−カルボキシピペリジン−1−オキシルの
    うちの少くとも1種である請求項1または2記載のスチ
    レン類の重合抑制方法。
  4. 【請求項4】 ニトロフェノール類が、一般式(II)(式
    中、R5はメチル基を示し、a,b,cは各置換基の数
    を示し、aは1〜2、bは1〜2、cは0〜2の整数で
    ある)、および一般式(III)(式中、R6はメチル基を示
    し、d,e,fは各置換基の数を示し、dは1〜2、e
    は1〜2、fは0〜2の整数である)で示される化合物
    の群から選ばれる1種以上である請求項1記載のスチレ
    ン類の重合抑制方法。 【化2】 【化3】
  5. 【請求項5】 ニトロフェノール類が、ニトロフェノー
    ル、ニトロクレゾール、ニトロレゾルシノール、ニトロ
    ナフトール、ジニトロフェノール、ジニトロクレゾー
    ル、ジニトロレゾルシノールおよびジニトロナフトール
    のうちの少くとも1種である請求項1または4記載のス
    チレン類の重合抑制方法。
  6. 【請求項6】 ピペリジン−1−オキシル類とニトロフ
    ェノール類を、1:9〜9:1重量比で添加する請求項
    1記載のスチレン類の重合抑制方法。
JP8017696A 1996-04-02 1996-04-02 スチレン類の重合抑制方法 Pending JPH09268138A (ja)

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