本発明は、主にウェハを加熱する際に用いるウェハ支持部材に関するものであり、例えば半導体ウェハや液晶基板あるいは回路基板等のウェハ上に薄膜を形成したり、前記ウェハ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成する際に好適なウェハ支持部材に関するものである。
ウェハ支持部材は、半導体ウェハや液晶装置あるいは回路基板等のウェハを加熱する装置で、ウェハ上に半導体薄膜を形成し、又は、塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けてレジスト膜を形成する等に使用されている。
従来の半導体製造装置は、複数のウェハを一括して加熱するバッチ式と、1枚ずつ加熱する枚葉式とがあり、枚葉式は、温度制御性に優れているので、半導体素子の配線の微細化とウェハ熱処理温度の精度向上が要求されるに伴ない、広く使用されている。
近年生産効率の向上のために、ウェハサイズの大型化が進んでいるが、半導体素子自体も多様化し、必ずしも大型ウェハで製造することが生産効率の向上にはつながらず、寧ろ、単一の装置を使用して、多種多様サイズのウェハをそれぞれの熱処理条件に対応して加熱できることが望まれている。
このうちウェハ上へのレジスト膜の形成にあたっては、図6に示すような、窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミックスからなる板状セラミック体32の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面33とし、他方の主面には絶縁層34を介して抵抗発熱体35および給電部36が設置され、さらに弾性体38により導通端子37が給電部36に押圧固定された構造のウェハ支持部材31が用いられていた。そして、前記板状セラミック体32はケース43にボルト47により固定され、さらに板状セラミック体32の内部には測温素子40が挿入され、これにより板状セラミック体32の温度を所定の温度に保つように、導通端子37から抵抗発熱体35に供給される電力を調節するシステムとなっていた。また、導通端子37は、ケース43に絶縁部材39を介して固定されていた。
そして、ウェハ支持部材31の載置面33には、凹部45に挿入された支持ピン44が設置されており、ウェハWを載置面33に載せた際にウェハWが載置面33から非接触となるようにしている。そして、該支持ピン44上にレジスト液が塗布されたウェハWを載せたあと、抵抗発熱体35を発熱させることにより、板状セラミック体32を介して載置面33上のウェハWを加熱し、レジスト液を乾燥焼付けしてウェハW上にレジスト膜を形成するようになっていた。
また、板状セラミック体32を構成するセラミック材料としては、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックスが用いられていた。
特許文献1には、図7に示すように板状セラミック体62の温度を正確に制御するために、測温素子64自体の熱引きによる影響を抑え、できるだけウェハWに近いところで測温することが好ましいことが示されている。金属製の板状セラミック体62のウェハ載置面63近傍に測温素子64が挿入されている。この測温素子64は、Ptからなる測温抵抗体66が保護管65の中に前記載置面63に対し平行となるように設置されリード線67が結線されている。さらに保護管65内の空所には伝熱セメント68が充填されている。特に、抵抗発熱体を分割して独立に制御する場合は、測定の正確さと同時に測定バラツキを管理しないと板状セラミック体62の正確な温度制御ができなくなるので、このような取付構造とすることが好ましいとされていた。
特許文献2では、有底孔の底を発熱体よりも相対的に加熱面に形成し、この有底孔に測温素子を設けることや、有底孔の底と加熱面との距離は、0.1mmから板状セラミック体の厚さの1/2であるセラミックヒータが開示されている。
特許文献3では、図8に示すように、熱電対は有底孔を形成せず、無機系接着剤(東亜合成製 商品名 アロンセラミック)で板状セラミック体の表面(発熱体形成側)に接着固定したセラミックヒータが開示されている。
また、特許文献4では、図9に示すように、板状セラミック体102の他方の主面に、開口部面積1〜30mm2、深さd1が板状セラミック体の厚みt1に対しt1/4≦d1≦3t1/4となる凹部121を具備し、素線径0.05〜1.0mmで、先端部に測温接点110aを備えた熱電対110を上記凹部121に挿入し、かつ充填材122により接着固定し、前記熱電対110の測温接点110aと凹部底面121aとの距離L1が、0≦L1≦1.0mmを特徴とすることが開示されていた。
また、図9に示すように、測温素子110の先端部には、測温接点110aが形成されている。測温接点110aは、測温検知のバラツキを小さくするために、レーザー溶接等により溶融接合し、均一な形状で形成することが望ましく、また、測温接点110a以降については、素線同士の接触による測温障害を防止するために適当な角度で引き出されているが、測温接点110a以外からの受熱を避けるため凹部121に接触しない程度の角度にすることが望ましいことが公開されていた。
また、特許文献5では、図9に示すように板状セラミック体102の他方の主面に、凹部121を具備し、該凹部121の側面121bの表面粗さRmax0.3〜200μmとし、凹部121の側面121bには深さ方向に対して略垂直方向に対して略垂直な方向の加工スジを有し、上記凹部121に測温素子110を挿入し、かつ充填材122により接着固定したウェハ支持部材が開示されていた。
特開平9−45752号公報
特開2001−85143号公報
特許3439439号公報
特開2002−164291号公報
特開2003−224056号公報
しかしながら、上記のようなウェハ支持部材において、図7に示すような測温素子64の取付構造では、測温素子64を板状セラミック体62に挿入しただけであるため、測定温度がばらついたり、均熱を良くするために熱容量を大きくすると測温の応答速度が遅くなるという問題があった。特に、抵抗発熱体を複数のゾーンに分割して温度制御する場合、ゾーン毎の測温素子64の測定温度がばらつくとゾーン毎の制御が不均一となり、板状セラミック体62の温度が一定に安定するまでの時間が掛かるという問題があった。
特に、近年半導体配線の微細化の為に用いられるようになってきた化学増幅型レジストの熱処理に於いては、室温のウェハWを載置面33に載置してウェハWが加熱される際に温度が安定するまでの過渡特性、ウェハ面内の温度バラツキが小さいことが、熱処理に極めて重要であり、従来に増して、緻密かつ応答性の良い温度制御が必要となってきている。
しかしながら、図7に示されるような構造では、測温素子の測温体部に保護管や充填材など付帯し熱容量が大きくなる上に板状セラミック体62の凹部に挿入しただけの構造であるために空隙の存在による応答性の低下は避けられず、上記ウェハ加熱時の過渡的な温度バラツキや温度安定までにかかる時間が長いなどの問題があった。
また、板状セラミック体62のセラミック基板をなす窒化アルミニウムは脆いため、板状セラミック体62の凹部69を生加工時に形成して焼成したり、焼成後に凹部69を形成する場合は、加工時の応力で板状セラミック体62が破壊しないように滑らかな表面になるように加工していた。すなわち、前記凹部69の側面の表面粗さをRmaxで0.25μm程度としていた。前記凹部69の表面粗さをこのようなレベルに加工した場合、初期はウェハ加熱時の過渡的な温度バラツキや温度安定までにかかる時間は問題ないが、熱サイクルを加えて行くと熱膨張率の大きな充填材68が前記凹部69から徐々に抜け出し、応答性の良い温度制御ができなくなるという問題が生じていた。
また、従来の測温素子110の固定方法は、図9に示すように、測温素子110を凹部121に埋め込む際、凹部121の側面とC面部121bで保持していた。そのため、接着強度を持たせるため、凹部121の径を大きくし、接触面積を大きくしたり、かつ、凹部121側面の表面粗さの最適化が行われていた。しかしながら、近年、更なる細密化が進み、レジスト膜の光に対する感度が敏感になり、従来の方法では、熱サイクルを加えていくと、板状セラミック板102と樹脂122との熱膨張が異なっている為、樹脂の膨張収縮の繰り返しにより、徐々に測温接点110aの位置がずれてしまい、そのため、凹部121の底面と測温接点110aとの距離L1がずれたりして、室温のウェハWを載置面33に載置してウェハWが加熱される際のウェハ温度が安定するまでの時間や、オーバーシュート量が徐々に大きくなり悪くなっていくという問題が生じてきた。
そこで、上記課題について鋭意検討した結果、板状セラミック体の一方の主面をウェハを載せる積載面とし、上記板状セラミック体の他方の主面又は内部に抵抗発熱体を備えるとともに、上記板状セラミック体の他方の主面に凹部を備え、上記凹部内に測温素子を挿入し樹脂にて埋め込み、上記凹部と繋がる上記板状セラミック体の他方の主面と上記樹脂を接着固定することを特徴とする。
また、上記樹脂と上記板状セラミック体の他面の主面との接着面積が1.1〜200mm2とすることが好ましいことを見出した。
また、上記樹脂と接触する板状セラミック体の他方の主面の平均表面粗さRaは0.075〜7.5であることにより有効であることを見出した。
また、上記樹脂は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂またはふっ素樹脂またはフェノール樹脂の何れかを含むことが好ましいことを見出した。
また、上記樹脂の表面が耐熱性材料で被覆されていることが有効であることを見出した。また、上記耐熱性材料がポリイミド樹脂またはポリアミド樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂またはポリアミドイミドの何れか一つを含むことが好ましいことを見出した。
また、上記測温素子に接続する金属素線は、耐熱性被覆材で被覆された被覆線からなるとともに、これら被覆線の一部が上記樹脂に埋設されていることが好ましいことを見出した。また、上記耐熱性被覆材がふっ素樹脂またはポリイミド系樹脂であることが好ましいことを見出した。
また、上記2種類の素線または被覆線の間に、絶縁性のスペーサを備えたことが好ましいことを見出した。また、上記スペーサが耐熱性樹脂からなることが好ましいことを見出した。
また、上記凹部の内径が0.8〜6mmで上記板状セラミックス体の他方の主面からの上記樹脂が突出する大きさが0.1〜8mmであることがさらに好ましいことを見出した。
以上のように本発明によれば、板状セラミック体の一方の主面をウェハを載せる積載面とし、上記板状セラミック体の他方の主面又は内部に抵抗発熱体を備えるとともに、上記板状セラミック体の他方の主面に凹部を備え、上記凹部内に測温素子を挿入し樹脂にて埋め込み、上記凹部と繋がる上記板状セラミック体の他方の主面と上記樹脂を接着固定することにより、室温のウェハWを載置面に載置してウェハWが加熱された際のウェハ表面温度のオーバーシュート量や温度が安定するまでの時間が小さく、繰り返し使用してもオーバーシュート量や温度安定時間が小さいウェハ支持部材が得られる。
また、測温素子の樹脂の接着部を被覆することにより、さらに室温のウェハWを載置面に載置してウェハWを加熱する際のウェハのオーバーシュート量や温度安定時間が小さく、加熱や冷却を繰り返ししても精度良く熱処理できるウェハ支持部材を提供する。
以下本発明を実施するための実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るウェハ支持部材1の一例を示す断面図で、炭化珪素、アルミナまたは窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状セラミック体2の一方の主面をウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、該抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を具備し、給電部6に接続端子11が接続している。これらの給電部6を囲む金属ケース19が弾性体18を介して板状セラミック板2の他方の主面の周辺部に固定されている。
また、ウェハリフトピン25は板状セラミック体2を貫通する孔26を通してウェハWを上下に移動させウェハWを主面3に載せたり降ろしたりすることができる。そして、給電部6に給電端子11が接続し外部から電力を供給して、測温素子10で温度を測定しながらウェハWを加熱することができる。
また、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、ウェハWの片当たり等による温度ばらつきを防止するようにしている。
また、抵抗発熱体5を複数のゾーンに分割する場合、それぞれのゾーンの温度を独立に制御することにより、各給電部6の給電端子11に電力を供給し、各測温素子10の温度が各設定値となるように給電端子11に電力を供給し、載置面3に載せたウェハWの表面の温度が均一になるようにしている。
また、冷却ノズル24の先端は、板状セラミック体2の他面の主面から2〜5mm離間した位置に具備されており、ウェハ支持部材1を冷却する際、板状セラミックス体2の他面の主面に冷却用媒体を吹き付けて、板状セラミックス体2を急速に冷却することができる。
図2は、板状セラミック体2を抵抗発熱体5側から見た概略図であり、板状セラミック体2には抵抗発熱体5のゾーンの内部に測温素子10を保持する部分に凹部21が形成されている。
また、特に、上記接着固定の樹脂が板状セラミック体2から露出した部分を樹脂27で示す。
図3に示す本発明のウェハ支持部材1は、板状セラミック体の一方の主面をウェハを載せる積載面とし、上記板状セラミック体の他方の主面又は内部に抵抗発熱体を備えるとともに、上記板状セラミック体の他方の主面に凹部を備えたウェハ支持部材であって、上記凹部内に測温素子を挿入し樹脂にて埋め込み、上記凹部と繋がる上記板状セラミック体の他方の主面と上記樹脂とが接着固定されていることを特徴とする。記測温素子10が板状セラミック体2の他方の主面と樹脂27とで接着固定されていると、測温素子10の保持される力が大きくなることにより、測温素子10aの位置ずれを小さく抑えることができるからである。その結果、上記ウェハ支持部材1は、加熱や冷却を繰り返してもウェハ温度のオーバーシュート量が小さく、ウェハW温度の安定時間が小さい良好な温度応答性を維持することができるからである。
また、樹脂27と凹部21と繋がる板状セラミック体2の他方の主面との接着面積は1.1〜200mm2であることが好ましい。板状セラミック体2の他方の主面上の樹脂27の接着面積が1.1mm2未満では、樹脂27接着面積が小さ過ぎることから、測温素子10を保持する接着力を向上できない虞があるからであり、振動や加熱や冷却の繰り返しにより測温素子10の位置がずれが生じたり、さらに、測温素子10と凹部21との間に隙間が発生するようであると、隙間が断熱層として作用するので測温素子10aの検知が遅れてしまい、ウェハ温度の安定時間が長くなる虞があるからである。また、樹脂27の接着面積が200mm2を越えると、上記樹脂27の接着面において、抵抗発熱体5の配設できない領域が大きくなるので、上記樹脂27の接着部がクールスポットとなり測温素子10の検知が遅れてしまい、ウェハ温度のオーバーシュート量が大きく、ウェハ温度の安定時間が大きくなる虞があるからである。尚、樹脂27の接着面が抵抗発熱体5を覆っても構わないが、樹脂27の厚みを極力小さくすることが好ましい。
また、板状セラミック体2の他方の主面の平均表面粗さRaは0.075〜7.5であることが好ましい。更に好ましくは、0.15〜5である。平均表面粗さRaが0.075未満では、板状セラミック板2の他面の主面の凹凸が小さ過ぎて樹脂27のアンカー効果が小さくなるので、樹脂27の接着力が小さく樹脂27がはがれてしまう虞があるからである。また、平均表面粗さRaが7.5を越えると、板状セラミック体2の凹部21や貫通孔26の端部に、研削加工によるマイクロクラックが発生し、板状セラミック体2が加熱や冷却を繰り返していくうちに、上記マイクロクラックが進展して板状セラミック体2が破損してしまう虞があるからである。
樹脂27は、耐熱性のエポキシ樹脂または耐熱性のシリコーン樹脂またはふっ素樹脂または耐熱性のフェノール樹脂の何れかを含む樹脂が好ましい。特に、耐熱性のエポキシ樹脂やフェノール樹脂は、板状セラミック体2の表面や測温素子10の金属の表面とは、板状セラミック体2の表面のOH基や金属の表面のOH基とエポキシやフェノールのOH基が水素結合をとり、さらに熱で縮合反応を起こして強い共有結合となるので、板状セラミック体2を強固に保持することができるので好ましい。更に耐熱性が必要な場合には、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのようにイミド結合を有する分子構造を有する樹脂が好ましい。特にイミド結合を有する分子構造を有する樹脂は耐熱性に優れており、耐熱性や絶縁性に優れた接着を形成することができる。
また、樹脂27は、充填材の比率が樹脂の固形分に対して5〜85体積%の充填材を混合することが好ましい。樹脂27は5〜85体積%の充填材を混合することにより、充填材同士のからみ合いが大きくなり、結果として、樹脂27の接着強度を大きく向上できるからである。充填材の比率が樹脂の固形分に対して5体積%より小さいと充填材粒子間の絡み合いが困難になり、接着力が向上しないからである、一方、充填材の比率が85体積%を越えると、接着を担っている樹脂の比率が小さいため、接着力が悪くなるためである。
また、充填材の粒子形状は針状や鱗状などの非球状の粉末であることが好ましい。これは、充填材の粒子の形状を非球状にすることにより、略球状の場合よりも充填材同士の絡み合いが大きくなり、接着材の剪断強度を大きく向上できるからである。また、充填材としては、シリカ、シリカガラス等のガラス粉末やアルミナ等の絶縁セラミック粉末を用いるのが望ましい。
また、樹脂27が耐熱性材料15で被覆されることにより、更に信頼性が向上することを見出した。樹脂27が被覆されると、樹脂27が加熱された媒体中の酸素に直接曝されることがなく樹脂の酸化を抑えられ、加熱や冷却の繰り返しにより樹脂27の分子の鎖が切れてしまい、樹脂27の接着力が小さくなったり弾性がなくなったりする虞を防ぐことができるからである。
また、冷却を行った際、樹脂27が被覆されることにより、樹脂27が冷却用の媒体に直接曝されることがないので、樹脂27の体積収縮が緩やかに行われ、結果として、冷却時の樹脂27への収縮による応力が小さくできるので、樹脂27に微少なクラックが発生する虞を予防できるからである。
また、上記耐熱性材料15は、耐熱性に優れたポリイミド系等の樹脂が好ましい。例えば、ポリイミド樹脂またはポリアミド樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂またはポリアミドイミドの何れか一つを含むことが好ましい。これは、有機樹脂の中のポリイミド、ポリアミドイミドなどのように、イミド結合を有する分子構造が耐熱性に優れていることから、耐熱性に優れた絶縁性耐熱被覆を形成することができるからである。また、上記耐熱性材料15は、加熱された媒体の酸素を通しにくくするため、上記耐熱性材料15の充填材の比率は樹脂27の充填材より小さいことが好ましい。更に好ましくは、耐熱性材料15には充填材を含まないものが好ましい。
また、測温素子10の2種類の素線のうち、少なくともいずれかの1本の素線の被覆部13の一部が上記樹脂27に埋設されていることが好ましい。それは、素線のみが樹脂に埋設された場合、測温素子10に引っ張りがかかると、測温素子10の強度は、感温感度が優れた素線の断面積が0.03mm2以下と小さければ一番強度が小さい素線自身の強度である20N以下となるので、測温素子10が容易に断線してしまう虞があるからである。しかしながら、樹脂27にて被覆部13まで埋設することにより、素線を被覆した被覆部13の引っ張り強度は、被覆部13の断面積が0.12mm2以上となり被覆部の強度である80N以上となるので、測温素子10が容易に断線してしまうことを予防できて、測温素子10の誤動作を防止できるウェハ支持部材1を提供することができる。
また、上記被覆部13の材質は、ふっ素樹脂またはポリイミド樹脂であることが好ましい。特に、ふっ素樹脂は、耐熱性があり樹脂27に接触しても溶融されることもなく、また、ガスの発生もなく、絶縁性に優れているので、測温素子10の誤動作を予防する効果が期待できるからである。温度を正確に測定できるからである。そして、四ふっ化(エチレン)樹脂(PTFE)等のふっ素樹脂が最も好ましい。
また、図4に示すように、上記2種類の被覆線13の間に、絶縁性のスペーサ16を備えるとさらに好ましいことがわかった。上記スペーサ16は、2種類の素線の間に挿入することにより、上記スペーサが2種類の素線の接触を防ぐことができ、測温接点10a以外での2種の素線の接触による測温素子10の誤動作を防止する効果が期待できる。
また、上記スペーサ16の材質は、シリコーン樹脂、ふっ素樹脂またはポリイミド樹脂であることが好ましい。特に、ふっ素樹脂は、耐熱性、電気特性にも非常に優れているので、スペーサ16が樹脂27と接触しても溶融されることもなく、絶縁性に優れているので、測温素子の温度を正確に測定できるからである。
また、凹部21の内径は、0.8mm〜6mmが好ましい。0.8mmより小さいと、素線10同士が温接点10a以外で接触してしまい、その接触した部位で温度検知が行われるので、測温素子10が誤動作する虞があるからである。また、板状セラミック体2に導電性がある場合は、2本の素線10が板状セラミック体2の凹部21の側面に接触すると、その接触部位での温度検知が行われて測温素子10が誤動作する虞があるからである。また、凹部21の内径が6mmを越えると樹脂の熱容量が大きくなり、ウェハ温度のオーバーシュート量の改善が小さいからである。好ましくは0.9〜4mmである。更に好ましくは0.9〜1.2mmである。
また、上記板状セラミック体2の他方の主面からの樹脂が突出する大きさは、0.1〜8mm以下とすることが好ましい。板状セラミック体2の他方の主面から樹脂が突出する大きさが0.1mm未満では、少なくともいずれかの1本の素線の被覆部13の一部が上記樹脂27に埋設ことが難しいからである。また、状セラミック体2の他方の主面から樹脂が突出する大きさが8mmより大きいと、樹脂による断熱が大きくなり、ウェハ温度の検知が遅くなるので、ウェハ温度のオーバーシュート量が大きくなってしまう虞があるからである。更に好ましくは2〜4mmである。
また、凹部21に挿入設置する測温素子10の素線径は、0.05〜1mmとすることが好ましい。素線10の径が0.05mmより細いと、素線自身の強度が小さいので取り扱いが安定しない為、該凹部21への組み付けの際に位置ずれを起こし易く安定した設置が行えない虞がある。また、測温素子10が取り扱い上で断線してしまう虞があるからである。また、素線10の径が1mmより太いと、素線自体の熱容量が大きく、素線を通しての熱引きが大きくなり温度検知に遅れが生じ、オーバーシュート量が大きくなり過ぎるため、ウェハ温度の安定時間が長くなるので好ましくない。また、更に好ましくは、0.2mmから0.7mmとすることが望ましい。0.2mmから0.7mmだと、素線自身の強度も大きく、応答性も優れているので、測温素子10の誤動作を防止できるからである。
また、図5に示すように、測温素子10の固定は、素線の被覆部13を凹部21に挿入して、凹部と繋がる板状セラミック体2の他方の主面とが樹脂27で接着固定される方法でも構わない。
更に詳細な構成について説明する。前記凹部21の側面の平均表面粗さRaは、0.01〜5が好ましい。また、凹部21の加工スジの方向は、凹部21の側面が穴深さ方向に対して略垂直なスジを有するように加工することが望ましい。また、凹部21の底部21aおよび入口部分21bにC面もしくはR面の面取り加工を施し、さらにこの面取り部にも、凹部21の深さ方向に対して垂直なスジを有していることが望ましい。凹部21の加工きずの凹凸により樹脂27にアンカー効果を持たせ、接着力が大きくなるからである。
また、前記凹部21の深さdは、板状セラミック体2の厚みtの1/2〜3/4とすることが好ましい。1/2より大きいと測温素子10が抵抗発熱体5から直接加熱されることがなく、また、前記凹部21の深さdが3/4より小さいと、凹部21の底から載置面3までの距離Lが大きくなることによって、測温接点10aへの熱伝導が遅くなるので、ウェハ温度のオーバーシュート量が小さく、精度良く制御できるからである。
図1は本発明に係るウェハ支持部材の一例を示す断面図で、板厚tが1〜7mmである板状セラミック体2の一方の主面を、ウェハを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、この抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を備えたものである。
板状セラミック体2の材質としては、アルミナ、窒化硅素、サイアロン、窒化アルミニウムを用いることができ、この中でも特に窒化アルミニウムは50W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有するとともに、フッ素系や塩素系等の腐食性ガスに対する耐蝕性や耐プラズマ性にも優れることから、板状セラミック体2の材質としては好適である。
なお、板状セラミック体2を形成する炭化硅素質焼結体は、主成分の炭化硅素に対して、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もくしはアルミナ(Al2O3)イットリア(Y2O3)のような金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工したのち、1900〜2100℃で焼成することで得られる。炭化硅素はα型を主成分とするものあるいはβ型を主成分とするもののいずれであっても構わない。
一方、炭化硅素質焼結体を板状セラミック体2として使用する場合、半導電性を有する板状セラミック体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層(不図示)としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmを越えると、板状セラミック体2を形成する炭化硅素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200〜350μmの範囲とすることが良い。
また、板状セラミック体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、主成分のアルミニウムに対し、焼結助剤としてY2O3やYb2O3等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成するにより得られる。板状セラミック体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成することもある。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
板状セラミック体2の厚みは、2〜5mmとすると更に好ましい。板状セラミック体2の厚みが2mmより薄いと、板状セラミック体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱加熱時、冷却ノズル24から冷却エアーを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状セラミック体2にクラックが発生する虞があるからである。また、板状セラミック体2の厚みが5mmを越えると、板状セラミック体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度の安定するまでの時間が長くなる虞がある。
板状セラミック体2は、有底の金属ケース19開口部の外周にボルト16を貫通させ、有底の金属ケース19側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、板状セラミック体2の温度が変動した場合に有底の金属ケース19が変形しても、上記弾性体18によってこれを吸収し、これにより板状セラミック体2の反りを抑制し、ウェハ表面に、板状セラミック体2の反りに起因する温度ばらつきを発生することを防止できるようになる。
次に、有底の金属ケース19は底板19aと側壁部19bを有し、板状セラミック体2はその有底の金属ケース19の開口部を覆うように設置してある。また、有底の金属ケース19には冷却ガスを排出するための開口部23が施されており、板状セラミック体2の抵抗発熱体5に給電するための給電部6に給電端子11、板状セラミック体2を冷却するための冷却ノズル24、板状セラミック体2の温度を測定している測温素子10を設置してある。
なお、有底の金属ケース19の深さYは10〜50mmで、底板19aは、板状セラミック体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜35mmである。これは、板状セラミック体2と有底の金属ケース19相互の熱輻射により載置面3の温度が一定で均一な温度なるまでの時間が短くなるためである。
また、このウェハ支持部材1によりウェハWを加熱するには、搬送アーム(不図示)にで載置面3の上方まで運ばれたウェハWをリフトピン25にて支持したあと、リフトピン25を降下させてウェハWを載置面3上に載せる。
抵抗発熱体5は、導電性の金属粒子にガラスフロットや金属酸化物を含むペーストを板状セラミック板2に膜厚10〜100μmで印刷したもので、前記金属粒子としてはAu、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種を含む成分からなる。
また、測温素子10として用いる熱電対の材質については、Pt/Rh−Pt/Rh系、Pt/Rh−Pt系、Ni/Cr/Si−Ni/Si/Mg系、Ni/Cr−Al/Mn系、Ni/Cr−Cu/Ni系、Cu−Cu/Ni系、W−Re系等が使用可能であり、使用雰囲気や温度に対して適切なものを選定すればよい。
まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で1.0質量%の酸化イットリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールを取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末をアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニウムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニウムのグリーンシートを複数枚作製した。そして、得られた窒化アルミニウムのグリーンシートを複数枚積層熱圧着にて積層体を形成した。
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い板状セラミック体を作製した。
そして、焼結体の表裏面を研削加工を施し、板厚3mm、直径320mmの板状セラミック体を複数枚作製し、更に中心から60mmの位置に3箇所貫通孔を形成した。貫通孔径は4mmとした。そして、板状セラミック体の主面の載置面にウェハ支持ピン用の凹溝を7箇所、そして、測温素子用の凹部を6箇所形成した。
ここで、該凹部の深さdを板状セラミック体の厚みtに対して、d=2t/3、凹部に直径を1.0mm、凹部の側面を加工穴に対して略垂直にマシニングにて作製した。
次いで板状セラミック体上に抵抗発熱体を被着するため、導電材としてAu粉末とPb粉末と、前記同様の組成からなるバインダーを添加したペーストを混練して作製した導電性ペーストをスクリーン印刷法にて所定の形状に印刷した後、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理したあと、900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体を形成した。そして、抵抗発熱体に給電部をロウ付けし固着させることにより、板状セラミック体を作製した。
また、有底の金属ケースの底板の厚みは、2.5mmのステンレスと側壁部を構成する厚み2.5mmのステンレスからなり、底板に、冷却ノズル、測温素子、給電端子を所定の位置に取り付けた。また、底板から板状セラミック体までの距離は25mmとした。
その後、前記有底の金属ケースの開口側に、板状セラミック体を重ね、その外周部にボルトを貫通させ、板状セラミック体と有底の金属ケースに固定することによりウェハ支持部材とした。
なお、比較例として、凹部に測温素子を挿入し、凹部を樹脂にて埋め込んだだけで、板状セラミック体の他面の表面には樹脂が設けられていない試料No.1のウェハ支持部材を作製した。また、実施例として、接着面積を1.1〜490mm2の範囲で9種類の試料No.2〜10ウェハ支持部材を作製した。
尚、凹部の径を1mm、測温素子である熱電対の素線径を0.2mm、更に該凹部の底面から測温素子の測温接点との距離を0.3mmとし、樹脂には、耐熱性に優れた変性エポキシ樹脂を用いた。
作製したウェハ支持部材の評価は、測温抵抗体が29箇所に埋設された直径300mmの測温用ウェハを用いて行った。おのおののウェハ支持部材1の導電端子に通電して、室温から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、10分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から150℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を150℃に設定からウェハを取り除き、室温の測温ウェハWを載置面の載せ、ウェハWの平均温度が150℃±0.3℃の範囲で一定となるまでの時間をウェハ温度の安定時間として測定した。また、上記ウェハ温度が安定するまでのウェハ温度の最大値から上記ウェハWの平均温度を引いた値をウェハ温度のオーバーシュート量として測定した。
表1に示した結果から明らかなように、比較例の測温素子が凹部だけで樹脂にて埋め込まれた試料No.1は、1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.3℃と大きく、また、ウェハ温度の安定時間は67秒と大きかった。
また、接着面積が200mm2より大きい試料No.10は、1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.20℃、ウェハ温度の温度安定時間は53秒と大きかった。
一方、接着面積が1.1〜200mm2である試料No.2〜9は、1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.18℃以下、ウェハ温度の安定時間は47秒以下と小さく優れた特性を示すことがわかった。
実施例1と同様の工程でウェハ支持部材を作製した。
そして、窒化アルミニウム焼結体を研削加工を施し、板厚3mm、直径320mm、平均表面粗さRaを0.025〜25に変えた板状セラミック体2を作製し、さらに、実施例1と同様に貫通孔を3箇所、支持ピン用の凹穴を3箇所、測温素子用凹部を6箇所形成したウェハ支持部材を作製した。尚、板状セラミック体の平均表面粗さRaはダイヤモンド砥石の番定、加工条件(切り込み量)を変えて作製した。
次いで、実施例1と同等の方法で、ウェハ支持部材を作製した。
なお、凹部に測温素子を挿入し、樹脂を埋め込み、板状セラミック体の他方の主面の表面と樹脂とを接着固定した9種類の試料No.11〜20のウェハ支持部材を作製した。
尚、凹部の径は1mm、測温素子である熱電対の素線径を0.2mm、更に該凹部の底面から測温素子の測温接点との距離を0.3mm、接着面積は7mm2とし、樹脂には、耐熱性の優れた変性エポキシ樹脂を用いた。
評価方法は実施例1と同一方法にて行い、1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量とウェハ温度の安定時間を測定した。
表2に示すように、板状セラミック体の表面粗度Raが0.075より小さい試料No.11は1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.17℃、ウェハ温度の安定時間の変化量は46秒とやや大きかった。
また、板状セラミック体の表面粗度Raが7.5より大きいNo.20は、1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.17℃、ウェハ温度の安定時間の変化量は45秒と大きかった。サイクル評価中に板状セラミック体にクラックが発生した虞があった。
一方、板状セラミック体2の表面粗度Raが0.075〜7.5である試料No.12〜18は1000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.15℃以下、ウェハ温度の安定時間の変化量は43秒以下とさらに小さく優れていることがわかった。
実施例2と同様の工程でウェハ支持部材1を作製した。
尚、凹部の径は1mm、測温素子である熱電対の素線径を0.2mm、更に該凹部の底面から測温素子の測温接点との距離を0.3mm、接着面積は7mm2とし、樹脂には、耐熱性の優れた各種樹脂を用いた。そして、測温素子の樹脂の接着部をさらに耐熱性材料で被覆したウェハ支持部材を作製した。
尚、樹脂の材質は耐熱性のエポキシ樹脂、耐熱性のシリコーン樹脂、ふっ素樹脂、耐熱性のフェノール樹脂と、被覆の材質はポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂とを組み合せてウェハ支持部材を作製した。
また、評価方法は、実施例1と同様の方法で、おのおののウェハ支持部材1の導電端子に通電して、室温から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、10分間冷却する温度サイクルを3000サイクル繰り返した後、室温から150℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を150℃に設定からウェハを取り除き、室温の測温ウェハWを載置面の載せ、ウェハWの平均温度が150℃±0.3℃の範囲で一定となるまでの時間をウェハ温度の安定時間として測定した。また、上記ウェハ温度が安定するまでの間でウェハ温度の最大温度から上記ウェハWの平均温度を引いた値をウェハ温度のオーバーシュート量として測定した。
表3に示すように、樹脂の表面を被覆していない試料No.21は、3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.13℃、ウェハ温度の安定時間は、41秒と大きかった。
一方、樹脂の表面をポリイミ系樹脂で被覆し、樹脂の材質がシリコーン樹脂、ふっ素樹脂、フェノール樹脂である試料No.22〜24の3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.11℃、ウェハ温度の安定時間は38秒であった。
また、樹脂の材質がエポキシ樹脂で、樹脂表面の被覆の材質をポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂である試料No.25〜28は、3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.10℃、ウェハ温度の安定時間は37秒とさらに良好な結果であった。
実施例1と同様の工程でウェハ支持部材を作製した。
そして、実施例として、金属の素線を耐熱性被覆材で被覆された被覆線の一部が樹脂に埋設された試料No.37を作製し、比較例として、上記被覆線が樹脂に埋設されない試料No.36を作製した。また、被覆線の種類を変えた試料No.38を作製した。
評価方法は、測温素子を荷重49Nにて引っ張り評価を実施した。それぞれの結果は表4に示す通りである。
表4に示すように、被覆線が樹脂に埋設されない試料No.36は、素線単体での破断荷重が20N以下なので、49Nの引っ張りで断線してしまった。また、被覆線の材質がビニル樹脂である試料No.38は、被覆材質がビニルのため溶融していた。一方、被覆された被覆線の一部が樹脂に埋設された試料No.37、39は、素線からの断線も被覆の溶融もなかった。
実施例1と同様の工程でウェハ支持部材を作製した。
そして、2種類の測温素子の間にスペーサを設けていない試料No.41に、2種類の測温素子の間にスペーサを設けた試料No.42を作製した。また、スペーサの材質を変えた試料No.43、44を作製した。
評価方法は実施例3と同一方法にて行い、3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量、ウェハ温度の安定時間を測定した。
表5に示すように、2種類の測温素子の間にスペーサを設けていない試料No.41は、3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.10℃は、ウェハ温度の安定時間の変化量は37秒と大きかった。また、スペーサを設けていない試料No.41の場合、素線と樹脂との熱膨張差により、徐々に素線間の隙間が減少し、測温素子の応答性が悪くなった虞がある。
一方、2種類の測温素子の間にスペーサを備えた試料No.42は、3000サイクル終了後のウェハ温度オーバーシュート量は0.08℃は、ウェハ温度の安定時間の変化量は36秒と良好な結果が得られた。また、スペーサの材質を変えた試料No.43〜44も良好な結果が得られた。
実施例1と同様の工程でウェハ支持部材を作製した。
そして、凹部の内径が0.8〜6mmで、上記板状セラミック体の他方の主面からの上記樹脂が突出する大きさを0.01〜12mmの範囲でウェハ支持部材を作製した。
尚、測温素子である熱電対の素線径を0.2mm、更に該凹部の底面から測温素子の測温接点との距離を0.3mm、接着面積は7mm2とし、樹脂には、耐熱性の変性エポキシ樹脂、樹脂の表面を被覆した耐熱性材料にはポリイミド樹脂を用いた。
また、評価方法は実施例1と同一方法にて行い、3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバシュート量、ウェハ温度の安定時間を測定した。
表6に示すように、凹部の内径が0.6mmの試料No.51は、凹部の内径が細すぎるので、作業性が悪く測定不可能であった。また、凹部の内径が6mmより大きい試料No.59は、ウェハ温度のオーバーシュート量が0.08℃、温度安定時間が36秒と大きかった。また、樹脂の突き出し大きさが0.1mmより小さい試料No.61と樹脂の突出大きさが8mmより大きい試料No.68は、ウェハ温度のオーバーシュート量は、0.08℃、ウェハ温度の安定時間が36秒と大きかった。
一方、凹部の内径が0.8〜6mmで、板状セラミックス体の主面から樹脂の上端までの大きさ0.1〜8mmである試料No.52〜58、62〜67は3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.06℃以下でウェハ温度の安定時間が34秒以下と小さくさらに優れた特性であることがわかった。
さらに、凹部の内径が0.9〜1.2mm、樹脂の突出大きさが1mmである試料No.53,54は,3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.04℃以下、ウェハ温度の安定時間が31秒以下と小さく、また、凹部の内径が1.2mm、樹脂の突出大きさが2〜4mmである試料No.64,65は3000サイクル終了後のウェハ温度のオーバーシュート量は0.03℃以下、ウェハ温度の安定時間が29秒と小さく、さらに優れた特性であることがわかった。
本発明のウェハ支持部材の断面図である。
本発明のウェハ支持部材の抵抗発熱体の形状を示す概略図である。
本発明のウェハ支持部材の測温素子の取り付け部を示す概略図である。
本発明の他の実施形態における測温素子の取り付け部を示す概略図である。
本発明の他の実施形態における測温素子の取り付け部を示す概略図である。
従来のウェハ支持部材の断面図である。
従来の測温素子の取り付け部を示す概略図である。
従来の他の測温素子の取り付け部を示す概略図である。
従来の他の測温素子の取り付け部を示す概略図である。
符号の説明
W:半導体ウェハ
1:ウェハ支持部材
2:板状セラミック体
3:ウェハ載置面
4:ホットプレート
5:抵抗発熱体
6:給電部
8:支持ピン
10:測温素子、熱電対、素線
10a:測温接点
11:給電端子
12:ガイド
13:被覆部
14:リード部
15:耐熱性材料
16:ボルト
18:弾性体
19:ケース
19a:底板
19b:側壁部
20:ナット
21:凹部
22:樹脂
23:開口
24:冷却ノズル
25:ウェハリフトピン
26:貫通孔
27:樹脂
28:スペーサ
L:凹部の底部とウェハ載置面との距離
d:凹部の深さ
t:板状セラミック体の厚み