JP2003257813A - ウエハ加熱装置 - Google Patents

ウエハ加熱装置

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JP2003257813A
JP2003257813A JP2002052369A JP2002052369A JP2003257813A JP 2003257813 A JP2003257813 A JP 2003257813A JP 2002052369 A JP2002052369 A JP 2002052369A JP 2002052369 A JP2002052369 A JP 2002052369A JP 2003257813 A JP2003257813 A JP 2003257813A
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temperature
thermocouple
wafer
wire
heating
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JP2002052369A
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Takeshi Kato
剛 加藤
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウエハ加熱装置における均熱板の温度調整用に
使用する測温素子において、個々の測温素子の測定温度
バラツキを如何に小さくするかが温度制御上の課題とな
っていた。 【解決手段】セラミック板の表面または内部に発熱抵抗
体を形成してなり、被加熱物を加熱する加熱面の反対側
から加熱面に向けて凹部を設け、該凹部にセラミック板
の温度制御用の熱電対を設置したウエハ加熱装置におい
て、前記熱電対の測温接点部における拡散層を素線径の
0.5〜10倍とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にウエハを加熱
するのに用いるウエハ加熱装置に関するものであり、例
えば、半導体ウエハや液晶基板あるいは回路基板等のウ
エハ上に半導体薄膜を生成したり、前記ウエハ上に塗布
されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成
するのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、半導体製造装置の製造工程にお
ける、半導体薄膜の成膜処理、エッチング処理、レジス
ト膜の焼き付け処理等においては、半導体ウエハ(以
下、ウエハと略す)を加熱するためにウエハ加熱装置が
用いられている。
【0003】従来の半導体製造装置は、まとめて複数の
ウエハを成膜処理するバッチ式のものが使用されていた
が、ウエハの大きさが8インチから12インチと大型化
するにつれ、処理精度を高めるために、一枚づつ処理す
る枚葉式と呼ばれる手法が近年実施されている。しかし
ながら、枚葉式にすると1回当たりの処理数が減少する
ため、ウエハの処理時間の短縮が必要とされている。こ
のため、ウエハ支持部材に対して、ウエハの加熱時間の
短縮、ウエハの吸着・脱着の迅速化と同時に加熱温度精
度の向上が要求されていた。
【0004】このうちウエハ上へのレジスト膜の形成に
あたっては、図5に示すような、窒化アルミニウムやア
ルミナ等のセラミックスからなる均熱板32の一方の主
面を、ウエハWを載せる載置面33とし、他方の主面に
は絶縁層34を介して発熱抵抗体35および給電部36
が設置され、さらに弾性体38により導通端子37が給
電部36に押圧固定された構造のウエハ加熱装置31が
用いられていた。そして、前記均熱板32は支持体41
にボルト47により固定され、さらに均熱板32の内部
には測温素子40が挿入され、これにより均熱板32の
温度を所定の温度に保つように、導通端子37から発熱
抵抗体35に供給される電力を調節するシステムとなっ
ていた。また、導通端子37は、板状構造部43に絶縁
層39を介して固定されていた。
【0005】そして、ウエハ加熱装置31の載置面33
には、凹部45に挿入された支持ピン44が設置されて
おり、ウエハWを載置面33に載せた際にウエハWが載
置面33から非接触となるようにしている。そして、該
支持ピン44上にレジスト液が塗布されたウエハWを載
せたあと、発熱抵抗体35を発熱させることにより、均
熱板32を介して載置面33上のウエハWを加熱し、レ
ジスト液を乾燥焼付けしてウエハW上にレジスト膜を形
成するようになっていた。
【0006】また、均熱板32を構成するセラミック材
料としては、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミッ
クスが用いられていた。
【0007】また、測温素子の取付構造については、特
開平9−45752号公報に示されている。図6を用い
て構造を説明すると、金属製の均熱板62のウエハ載置
面63近傍に測温素子64が挿入されている。この測温
素子64は、Ptからなる測温抵抗体66が保護管65
の中に前記載置面63に対し平行となるように設置され
リード線67が結線されている。さらに保護管65内の
空所には充填材として伝熱セメント68が充填されてい
る。特に、発熱抵抗体を分割制御する場合は、測定の正
確さと同時に測定バラツキを管理しないと均熱板62の
正確な温度制御ができなくなるので、このような取付構
造とすることが好ましいとされていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなウエハ加熱装置において、図6に示すような測温
素子64の取付構造では、測温素子64を均熱板62に
挿入したものであるが、発熱抵抗体を複数のブロックに
分割して温度制御する場合、個々の測温素子64の測定
温度バラツキを如何に小さくするかが温度制御上の課題
となっていた。
【0009】特に、近年半導体配線の微細化の為に用い
られるようになってきた化学増幅型レジストの熱処理に
於いては、ウエハWを均熱板62上に差し替えした際に
温度が安定するまでの過渡特性、ウエハ面内の温度バラ
ツキが、露光後のレジストの化学増幅処理に極めて重要
であり、従来に増して、緻密かつ応答性の良い温度制御
が必要となってきている。しかしながら、図6に示され
るような構造では、測温素子64の測温体部に保護管や
充填材など付帯し熱容量が大きくなる上に均熱板62の
凹部69に挿入しただけの構造であるために空隙の存在
による応答性の低下は避けられず、上記ウエハ加熱時の
過渡的な温度ばらつきや温度安定までにかかる時間など
の問題点もあった。
【0010】また、従来の熱電対においては、図7に示
すように熱電対の接合部分が球状になっており、この部
分の熱容量が大きくなるため、温度が正確に電流値に変
換されず、ウエハ加熱時の過渡ばらつきや温度安定まで
に時間がかかっていた。また逆に、熱電対の接合部分の
熱容量を小さく目的で拡散層を小さくし過ぎると、長期
の使用においては、熱電対素線の熱膨張差による繰り返
しのひずみにより、ウエハ加熱時の過渡的な温度ばらつ
きが大きくなるという問題もあった。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する手
段として発明者らは、温度制御を行っているにも関わら
ず、ウエハ加熱時の過渡的な温度バラツキや温度安定ま
でにかかる時間が長いことの原因は、熱電対の応答性が
悪いためであることがわかった。そして、さらに研究を
進めた結果、熱電対の応答性が十分でない理由は、熱電
対の温接点部分(2種類の金属素線の接合部)の拡散層
が大き過ぎて熱容量が大きくなり、温度が正確に電圧に
変換されなかったり、逆に拡散層が小さ過ぎても安定せ
ず、耐久性が低下するとの知見を得た。そこで、発明者
らは、2本の金属線接合部を従来のように溶融した後、
圧着するのではなく、接合部分をレーザー光で拡散させ
て接合する方法に着目し、さらに接合部分の拡散層の大
きさに着目することにより、熱電対自身の温度制御性を
向上させることに成功した。
【0012】即ち、本発明のウエハ加熱装置は、セラミ
ック板の表面または内部に発熱抵抗体を形成してなり、
被加熱物を加熱する加熱面の反対側から加熱面に向けて
凹部を設け、該凹部にセラミック板の温度制御用の熱電
対を設置したウエハ加熱装置において、前記熱電対の測
温接点部に素線径の0.5〜10倍の拡散層を形成した
ことを特徴とする。
【0013】また、前記熱電対の接合部の引張強度が熱
電対の線径n(mm)に対し、2000×n2N以上で
あることを特徴とする。
【0014】さらに、前記熱電対の素線の平均結晶粒径
が1〜30μmであることを特徴とする。
【0015】また、前記熱電対の接合部の外径が、熱電
対素線の外径と略等しい外径であると共に、ひとつもし
くは隣合うふたつの方向に接合だまりを形成してなるこ
とを特徴とする。
【0016】そして、前記熱電対の2種類の素線の平均
結晶粒径のばらつきが−50%から50%であることを
特徴とする。
【0017】また、前記熱電対の素線が絶縁物で被覆さ
れたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0019】図1は本発明に係るウエハ加熱装置1の一
例を示す断面図で、炭化珪素、炭化硼素、窒化硼素、窒
化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミッ
クスからなる均熱板2の一方の主面を、ウエハWを載せ
る載置面3とするとともに、他方の主面にガラス又は樹
脂等からなる絶縁層4を介して発熱抵抗体5を形成した
ものである。
【0020】発熱抵抗体5のパターン形状としては、円
弧状の電極部と直線状の電極部とからなる略同心円状を
したものや渦巻き状をしたものなど、載置面3を均一に
加熱できるパターン形状であれば良い。均熱性を改善す
るため、発熱抵抗体5を複数のパターンに分割すること
も可能である。
【0021】また、発熱抵抗体5には、金や銀、パラジ
ウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給
電部6に導通端子7を弾性体8を介して押圧固定するこ
とにより、導通が確保されている。
【0022】さらに、均熱板2と支持体11の外周にボ
ルト17を貫通させ、均熱板2側より弾性体8、座金1
8を介在させてナット19を螺着することにより支持体
11に弾性的に固定している。これにより、均熱板2の
温度を変更したり載置面3にウエハを載せ均熱板2の温
度が変動した場合に支持体11変形が発生しても、上記
弾性体8によってこれを吸収し、これにより均熱板2の
反りを防止し、ウエハW加熱におけるウエハW表面に温
度分布が発生することを防止できる。
【0023】また、支持体11は複数の層から構成され
た板状構造体13と側壁部からなり、該板状構造体13
には発熱抵抗体5に電力を供給するための導通端子7が
絶縁材9を介して設置され、不図示の空気噴射口や測温
素子保持部が形成されている。
【0024】さらに、図2、3を用いて本発明の実施形
態を詳細に説明する。図2は、均熱板2を発熱抵抗体5
側から見た平面図であり、均熱板2には各発熱抵抗体5
ブロックの内部に測温素子10を保持する部分に凹部2
1を形成されている。そして、該凹部21には、図3に
示すように測温素子10の測温接点10aを配置し、充
填材22等により充填保持する。また、測温接点10a
は、凹部21の底に接するように設置するか、もしくは
前記底からの熱をすぐに検知できるように、Au、A
g、Al等の高熱伝導性の金属箔を介して前記凹部21
の底に設置する。
【0025】測温素子10として用いる熱電対の材質に
ついては、Pt/Rh−Pt/Rh系、Pt/Rh−P
t系、Ni/Cr/Si−Ni/Si/Mg系、Ni/
Cr−Al/Mn系、Ni/Cr−Cu/Ni系、Cu
−Cu/Ni系、W−Re系等が使用可能であり、使用
雰囲気や温度に対して適切なものを選定すればよい。例
えば、大気中300℃以下で用いるような場合には、N
i/Cr−Al/Mn系やPt/Rh−Pt系やNi/
Cr−Cu/Ni系等が望ましく、還元性雰囲気下にお
いては、Fe−Cu/Ni系等が望ましい。
【0026】また、図3に示すように、測温素子10の
先端部には、測温接点10aが形成されている。測温接
点10aは、測温検知のバラツキを小さくするために、
レーザー溶接等により溶融接合し、均一な形状で形成す
ることが望ましい。また、測温接点10a以降について
は、素線同士の接触による測温障害を防止するために適
当な角度で引き出されているが、測温接点以外からの受
熱を避けるため凹部21に接触しない程度の角度にする
ことが望ましい。
【0027】また、測温素子10の素線同士の接触によ
る測温障害を防ぐ為、測温接点以降は適当な角度をつけ
て、素線同士が接触しないように設置することも重要で
ある。また、測温素子10の素線自体に樹脂コート・ガ
ラスコート・セラミックコート等の絶縁材料をコーティ
ングしたものを用いることも有効である。また、必要に
応じて、充填保持部以降に絶縁スリーブ等を用いても良
い。
【0028】また、充填材22で保持していない部分に
ついては、絶縁性のスリーブ23等で保護することが望
ましい。また、素線自体にもガラスコートやセラミック
コート等の絶縁被覆を施したものを使用することも可能
である。
【0029】すなわち、図4に示すように、前記熱電対
の測温接点部は2種類の素線が拡散して接合されてお
り、その拡散層は素線径の0.5〜10倍とすることが
望ましい。該熱電対の温接点部の拡散層の大きさが素線
径の0.5倍より小さいと接着強度が不足して使用中の
温度サイクルにより断線するものが発生し、耐久性が劣
化してしまう。また、前記熱電対の測温接点部の拡散層
の大きさが素線径の10倍より大きいと、接合部の熱容
量が大きくなり、測温接点の測定温度のバラツキが大き
くなるので好ましくない。
【0030】拡散層の大きさの測定方法について以下に
説明する。室温から700℃程度の温度域で一般的に使
用されているK型熱電対(クロメル・アルメルタイプ)
の+側の素線の材質は10%Crと残りがNiの合金で
あり、−側の素線は2%Al、少量のMn、Si、残り
がNiの合金である。拡散層の判定は、+側、−側のみ
存在する元素の量を定性的にカウント比較して変化量を
計った。すなわち、EPMAによる定性カウント測定に
おいて、素線の+側のみ存在するCrを100%とした
場合、Crのカウント比が1%〜99%までの領域を拡
散層として判定した。さらに、素線+側のみ存在するA
lを100%とした場合、Alのカウント比が1%〜9
9%までの領域を拡散層として判定した。このEPMA
での分析条件は加速電圧15kV、プローブ電流2.0
×10-7A、分析エリアは100μm×100μmにて
測定した。拡散層の大きさは、元々の素線で検出される
カウント数に対して5%以上のカウントが検出される部
分まで部分を拡散層とした。さらに好ましくは拡散層の
厚みは、線径の0.5〜5倍とすることが望ましい。
【0031】また、前記熱電対の接合部の引張強度が熱
電対の線径n(mmφ)に対し、2000×n2N以上
となるようにすることが好ましい。これより引張強度が
小さくなると、使用中の熱サイクルにより、接合部が断
線してしまう可能性があるので、好ましくない。
【0032】また、前記熱電対の素線の平均結晶粒径は
1〜30μmとすることが好ましい。熱電対素線の平均
結晶粒径が1μmより小さいと、レーザー溶接により接
合した際の素線間の相互拡散が大きくなり測温精度が低
下するので好ましくない。また、熱電対素線の平均結晶
粒径が30μmを越えて大きくなると、熱電対素線の引
張強度が低下し断線が発生しやすくなるので好ましくな
い。熱電対素線の平均結晶粒径は、さらに好ましくは1
2μm以下とすることが好ましい。
【0033】そして、前記熱電対の接合部の外径が、熱
電対素線の外径と略等しい外径であると共に、ひとつも
しくは隣合うふたつの方向に接合だまりを形成してなる
ことを特徴とする。接合だまりが球状に出来たり、接合
部の上下左右のうち3方向に盛り上がったりすると、熱
電対素線間の拡散層が線径の10倍を越えてしまうので
好ましくない。このように、接合だまりを制御すること
により、熱電対の拡散層の大きさが大きくならないよう
に制御しながら接合強度を向上させることが可能とな
る。
【0034】また、前記熱電対の2種類の素線の平均結
晶粒径のばらつきを−50〜50%の範囲内となるもの
を選択することが好ましい。これにより、また、熱電対
素線を絶縁材料で被覆してやると、短絡の心配がなく、
素線強度の補強材としての効果が期待できる。
【0035】半導体ウエハの測温精度のばらつきの確認
は、ウエハ加熱時の過渡時の温度ばらつきや安定するま
での時間を測定し評価した。
【0036】また、前記2種類の異なる素線間の距離は
0.05mm以上とし、かつ、2種類の素線とも凹部側
面21との距離が0.1mm以上とすることが望まし
い。2種類の素線間の距離が0.1より小さいと2種類
の素線同士が接触してしまう恐れがある。また、2種類
の素線のうち少なくとも1種類の素線は凹部側面21と
の距離が0.1mmより小さいと測温接点以外からの受
熱のため、ウエハ面の正確な測温ができなくなるので好
ましくない。
【0037】また、前記2種類の素線の粒径のばらつき
は平均結晶粒径の−50%〜50%であることが好まし
い。平均結晶粒径のばらつきが−50%より小さいか、
または50%を越える値になると、2種類の素線間に発
生する起電力の各熱電対間の誤差が大きくなり、正確な
温度が測温できなくなる。
【0038】次に、平均結晶粒径の求める方法について
説明する。2種類の素線の断面を樹脂に埋め、その後鏡
面出しを行う。そして、鏡面部をエッチング処理し粒径
確認用サンプルを作製する。粒径のばらつきの算出方法
は、各素線から任意に5ヶ所、鏡面部の写真を100倍
にて撮影し、画像処理により平均結晶粒径を算出し、そ
のばらつきを算出して求める。
【0039】また、前記深さdが均熱板2の厚みtの1
/2未満であると、測温素子10の測温接点10aが発
熱抵抗体5の近くにあるので、測温接点10aが発熱抵
抗体5から直接加熱されるようになるので、載置面3側
の温度が十分上がらないうちに発熱抵抗体5に印加され
る電力に制動がかかり、均熱板2の温度がなかなか均一
にならなくなるので好ましくない。また、前記凹部21
の深さdが3/4より大きいと、凹部21の底から載置
面3までの距離Lが薄くなるので、測温接点10aへの
熱伝導が遅くなり、均熱板2の温度がオーバーシュート
してしまい好ましくない。
【0040】さらに、測温素子10を固定する充填材2
2としては、耐熱性樹脂もしくはセラミックセメントを
用いることが好ましい。
【0041】更に、凹部21に挿入設置する測温素子1
0の素線径は、0.05mm〜1.0mm、さらに好ま
しくは0.1〜0.5mmとすることが望ましい。素線
径が0.05mmより細いと、強度がなく取り扱いが安
定しない為、該凹部21への組み付けの際に位置ずれを
起こし易く安定した設置が行えず好ましくない。また、
1.0mmより太いと、測温素子10自体の熱容量が大
きくなりすぎる為、素線を通しての熱引きが大きくなり
温度検知に遅れが生じ、オーバーシュートが大きくなり
過ぎるため好ましくない。
【0042】また、測温素子10として、0.5mmφ
以下の外径のシース型熱電対を上記のような方法で固定
することも可能である。
【0043】更に、凹部21に測温素子10を保持する
ために用いる充填材22は、主成分がアルミナ系、窒化
アルミ系、グラファイト系、ジルコニア系等、窒化硼素
系の無機系接着剤や主成分がポリイミド系等の有機系接
着剤のいずれを用いてもよいが、使用温度や環境に応じ
て適切なものを選択して使用する。選択基準としては均
熱板2との濡れ性、熱膨張率が重要であり、熱膨張率に
ついては、均熱板2の熱膨張係数に対して50%〜20
0%の範囲のものがより望ましい。また、充填について
は、充填後常温でしばらく放置し脱泡を行うなどして、
気泡の巻き込みが生じないように充填することが望まし
い。
【0044】また、充填材22として樹脂を用いた場
合、粉末を分散したタイプの充填材22に較べ流動性が
いいので、充填時の作業性がよくなる。また、高熱伝導
性かつ電気絶縁性のフィラーを分散させると、熱伝導性
も改善できる。樹脂の種類としては、ポリイミド、ポリ
イミドアミド、ポリアミドイミド等の耐熱温度が300
℃以上の樹脂を用いることが好ましい。これに対し、耐
熱温度が200℃以下のエポキシ樹脂、シリコン樹脂等
を用いた場合、固着強度は高いが使用中に樹脂が炭化し
て脆くなり、測温素子10が剥離して正確な温度が測定
できなくなる。
【0045】なお、発熱抵抗体5を複数のゾーンに分割
して温度制御する場合は、ゾーンの数に応じて、測温素
子10の数を増やすことが好ましい。これにより、ウエ
ハWの温度をより実温に近い値に制御することが可能と
なる。また、この場合は特に、測温素子10の個々の設
置条件を均一にする必要がある。これは、個々の測温素
子10間の温度検知がばらつくと、個々の発熱抵抗体5
ブロックの制御がばらつき、昇温過渡時のウエハの温度
分布に悪影響を与えるためである。
【0046】さらに、図1において、金属製の支持体1
1は、側壁部と板状構造体13を有し、該板状構造体1
3には、その面積の5〜50%にあたる開口部が形成さ
れている。また、該板状構造体13には、必要に応じて
他に、均熱板2の発熱抵抗体5に給電するための給電部
6と導通するための導通端子7、均熱板2を冷却するた
めのガス噴出口、均熱板2の温度を測定するための測温
素子10を設置する。
【0047】また、不図示のリフトピンは支持体11内
に昇降自在に設置され、ウエハWを載置面3上に載せた
り、載置面3より持ち上げるために使用される。そし
て、このウエハ加熱装置1により半導体ウエハWを加熱
するには、不図示の搬送アームにて載置面3の上方まで
運ばれたウエハWをリフトピンにより支持したあと、リ
フトピンを降下させてウエハWを載置面3上に載せる。
次に、給電部6に通電して発熱抵抗体5を発熱させ、絶
縁層4及び均熱板2を介して載置面3上のウエハWを加
熱する。
【0048】このとき、本発明によれば、均熱板2を炭
化珪素質焼結体、炭化硼素質焼結体、窒化硼素質焼結
体、窒化珪素質焼結体、もしくは窒化アルミニウム質焼
結体により形成してあることから、熱を加えても変形が
小さく、板厚を薄くできるため、所定の処理温度に加熱
するまでの昇温時間及び所定の処理温度から室温付近に
冷却するまでの冷却時間を短くすることができ、生産性
を高めることができるとともに、60W/m・K以上の
熱伝導率を有することから、薄い板厚でも発熱抵抗体5
のジュール熱を素早く伝達し、載置面3の温度ばらつき
を極めて小さくすることができる。しかも、大気中の水
分等と反応してガスを発生させることもないため、半導
体ウエハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、
レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な
配線を高密度に形成することが可能である。
【0049】ところで、このような特性を満足するに
は、均熱板2の板厚を1mm〜7mmとすることが良
い。これは、板厚が1mm未満であると、板厚が薄すぎ
るために温度ばらつきを平準化するという均熱板2とし
ての効果が小さく、発熱抵抗体5におけるジュール熱の
ばらつきがそのまま載置面3の温度ばらつきとして現れ
るため、載置面3の均熱化が難しいからであり、逆に板
厚が7mmを越えると、均熱板2の熱容量が大きくなり
過ぎ、所定の処理温度に加熱するまでの昇温時間や温度
変更時の冷却時間が長くなり、生産性を向上させること
ができないからである。
【0050】また、以上詳述した本発明のウエハ加熱装
置1において、図1に示すように、均熱板2の表面に、
絶縁層4を介して発熱抵抗体5を形成し、発熱抵抗体5
を露出させてあることから、使用条件等に合わせて載置
面3の温度分布が均一となるように、発熱抵抗体5にト
リミングを施して抵抗値を調整することもできる。
【0051】また、均熱板2を形成するセラミックスと
しては、炭化珪素、炭化硼素、窒化硼素、窒化珪素、窒
化アルミニウムのいずれか1種以上を主成分とするもの
を使用することができる。炭化珪素質焼結体としては、
主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と
炭素(C)を含有した焼結体や、主成分の炭化珪素に対
し、焼結助剤としてアルミナ(Al23)とイットリア
(Y23)を含有し1900〜2200℃で焼成した焼
結体を用いることができ、また、炭化珪素はα型を主体
とするもの、あるいはβ型を主体とするもののいずれで
あっても構わない。
【0052】また、炭化硼素質焼結体としては、主成分
の炭化硼素に対し、焼結助剤として炭素を3〜10重量
%混合し、2000〜2200℃でホットプレス焼成す
ることにより焼結体を得ることができる。
【0053】そして、窒化硼素質焼結体としては、主成
分の窒化硼素に対し、焼結助剤として30〜45重量%
の窒化アルミニウムと5〜10重量%の希土類元素酸化
物を混合し、1900〜2100℃でホットプレス焼成
することにより焼結体を得ることができる。窒化硼素の
焼結体を得る方法としては、他に硼珪酸ガラスを混合し
て焼結させる方法があるが、この場合熱伝導率が著しく
低下するので好ましくない。
【0054】また、窒化珪素質焼結体としては、主成分
の窒化珪素に対し、焼結助剤として3〜12重量%の希
土類元素酸化物と0.5〜3重量%のAl23、さらに
焼結体に含まれるSiO2量として1.5〜5重量%と
なるようにSiO2を混合し、1650〜1750℃で
ホットプレス焼成することにより焼結体を得ることがで
きる。ここで示すSiO2量とは、窒化珪素原料中に含
まれる不純物酸素から生成するSiO2と、他の添加物
に含まれる不純物としてのSiO2と、意図的に添加し
たSiO2の総和である。
【0055】また、窒化アルミニウム質焼結体として
は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤として
23やYb23等の希土類元素酸化物と必要に応じて
CaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合
し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜210
0℃で焼成することにより得られる。
【0056】これらの焼結体は、その用途により材質を
選択して使用する。例えば、レジスト膜の乾燥に使用す
る場合は、窒化物は水分と反応してアンモニアガスを発
生し、これがレジスト膜に悪影響を及ぼすので使用でき
ない。また、800℃程度の高温で使用する可能性のあ
るCVD用のウエハ加熱装置の場合は、ガラスを多く含
む窒化硼素系の材料は、均熱板2が使用中に変形してし
まい均熱性が損なわれてしまう可能性がある。
【0057】さらに、均熱板2の載置面3と反対側の主
面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高め
る観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均
粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておく
ことが好ましい。
【0058】一方、炭化珪素質焼結体を均熱板2として
使用する場合、多少導電性を有する均熱板2と発熱抵抗
体5との間の絶縁を保つ絶縁層4としては、ガラス又は
樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、
その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下
回り絶縁性が保てず、逆に厚みが500μmを越える
と、均熱板2を形成する炭化珪素質焼結体や窒化アルミ
ニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるため
に、クラックが発生して絶縁層4として機能しなくな
る。その為、絶縁層4としてガラスを用いる場合、絶縁
層4の厚みは100μm〜500μmの範囲で形成する
ことが好ましく、望ましくは150μm〜400μmの
範囲で形成することが良い。
【0059】炭化珪素質焼結体からなる均熱板2の表面
に絶縁層4を形成する場合、予め表面を酸化処理するこ
とにより、0.01〜2μm厚みのSiO2からなる酸
化膜12を形成したのち、さらにその表面に絶縁層4を
形成する。
【0060】また、均熱板2を、窒化アルミニウムを主
成分とするセラミック焼結体で形成する場合は、均熱板
2に対する発熱抵抗体5の密着性を向上させるために、
ガラスからなる絶縁層4を形成する。ただし、発熱抵抗
体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密
着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
【0061】次に、絶縁層4に樹脂を用いる場合、その
厚みが30μm未満では、耐電圧が1.5kVを下回
り、絶縁性が保てなくなるとともに、発熱抵抗体5にレ
ーザー加工等によってトリミングを施した際に絶縁層4
を傷付け、絶縁層4として機能しなくなり、逆に厚みが
400μmを越えると、樹脂の焼付け時に発生する溶剤
や水分の蒸発量が多くなり、均熱板2との間にフクレと
呼ばれる泡状の剥離部ができ、この剥離部の存在により
熱伝達が悪くなるため、載置面3の均熱化が阻害され
る。その為、絶縁層4として樹脂を用いる場合、絶縁層
4の厚みは30μm〜400μmの範囲で形成すること
が好ましく、望ましくは60μm〜200μmの範囲で
形成することが良い。
【0062】また、絶縁層4を形成する樹脂としては、
200℃以上の耐熱性と、発熱抵抗体5との密着性を考
慮すると、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポ
リアミド樹脂等が好ましい。
【0063】なお、ガラスや樹脂から成る絶縁層4を均
熱板2上に被着する手段としては、前記ガラスペースト
又は樹脂ペーストを均熱板2の中心部に適量落とし、ス
ピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あ
るいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコ
ーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペース
トにあっては、600℃の温度で、樹脂ペーストにあっ
ては、300℃以上の温度で焼き付ければ良い。また、
絶縁層4としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼
結体又は炭化硼素質焼結体から成る均熱板2を1200
℃程度の温度に加熱し、絶縁層4を被着する表面を酸化
処理しておくことで、ガラスから成る絶縁層4との密着
性を高めることができる。
【0064】さらに、絶縁層4上に被着する発熱抵抗体
5としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パ
ラジウム(Pd)等の金属単体を、蒸着法やメッキ法に
て直接被着するか、あるいは前記金属単体や酸化レニウ
ム(Re23)、ランタンマンガネート(LaMn
3)等の酸化物を導電材として含む樹脂ペーストやガ
ラスペーストを用意し、所定のパターン形状にスクリー
ン印刷法等にて印刷したあと焼付けて前記導電材を樹脂
やガラスから成るマトリックスで結合すれば良い。マト
リックスとしてガラスを用いる場合、結晶化ガラス、非
晶質ガラスのいずれでも良いが、熱サイクルによる抵抗
値の変化を抑えるために結晶化ガラスを用いることが好
ましい。
【0065】ただし、発熱抵抗体5に銀又は銅を用いる
場合、マイグレーションが発生する恐れがあるため、こ
のような場合には、発熱抵抗体5を覆うように絶縁層4
と同一の材質もしくは発熱抵抗体5のマトリックス成分
と同等の材質から成る保護膜を30μm程度の厚みで被
覆しておけば良い。
【0066】また、発熱抵抗体5を内蔵するタイプの均
熱板2に関しては、熱伝導率が高く電気絶縁性が高い窒
化アルミニウム質焼結体を用いることが好ましい。この
場合、窒化アルミニウムを主成分とし焼結助剤を適宜含
有する原料を十分混合したのち円盤状に成形し、その表
面にWもしくはWCからなるペーストを発熱抵抗体5の
パターン形状にプリントし、その上に別の窒化アルミニ
ウム成形体を重ねて密着した後、窒素ガス中1900〜
2100℃の温度で焼成することにより発熱抵抗体5を
内蔵した均熱板2得ることが出来る。また、発熱抵抗体
5からの導通は、窒化アルミニウム質基材にスルーホー
ル19を形成し、WもしくはWCからなるペーストを埋
め込んだ後焼成するようにして表面に電極を引き出すよ
うにすれば良い。また、給電部6は、ウエハWの加熱温
度が高い場合、Au、Ag等の貴金属を主成分とするペ
ーストを前記スルーホール19の上に塗布し900〜1
000℃で焼き付けることにより、内部の発熱抵抗体5
の酸化を防止することができる。
【0067】上記絶縁層4を形成するガラスの特性とし
ては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、例えばレジ
スト乾燥用に使用する場合、耐熱温度が200℃以上で
かつ20℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が均
熱板2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5
〜+5×10-7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用
いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が前記範囲を外
れたガラスを用いると、均熱板2を形成するセラミック
スとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付
け後の冷却時において、均熱板2に反りが発生したり、
クラックや剥離等の欠陥が生じ易いからである。
【0068】
【実施例】実施例 1 熱伝導率が80W/m・Kの炭化珪素質焼結体に研削加
工を施し、板厚4mm、外径230mmの円盤状をした
均熱板2を複数製作し、各均熱板2の一方の主面に絶縁
層4を被着するため、ガラス粉末に対してバインダーと
してのエチルセルロースと有機溶剤としてのテルピネオ
ールを混練して作製したガラスペーストをスクリーン印
刷法にて敷設し、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥さ
せたあと、550℃で30分間脱脂処理を施し、さらに
700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、
ガラスからなる厚み200μmの絶縁層4を形成した。
次いで絶縁層4上に発熱抵抗体5を被着するため、導電
材としてAu粉末とPt粉末を添加したガラスペースト
を、スクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷し
たあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さら
に550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜
900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが5
0μmの発熱抵抗体5を形成した。発熱抵抗体5は中心
部と外周部を周方向に4分割した5パターン構成とし
た。しかるのち発熱抵抗体5に給電部6を導電性接着剤
にて固着させることにより、均熱板2を製作した。
【0069】また、支持体11は、主面の30%に開口
部を形成した厚み2.5mmのステンレスからなる2枚
の板状構造体13を準備し、この内の1枚に、10本の
導通端子7を所定の位置に形成し、同じくステンレスか
らなる側壁部とネジ締めにて固定して支持体11を準備
した。
【0070】その後、前記支持体11の上に、発熱パタ
ーン形成部の略中央部に該凹部21を形成し、測温素子
10を設置し、無機系の充填材で保持固定した均熱板2
を重ね、その外周部を弾性体8を介してネジ締めするこ
とにより図1に示した本発明のウエハ加熱装置1とし
た。
【0071】また、窒化アルミニウムを主成分とし、焼
結助剤として5重量%のY23を含有する1mmのグリ
ーンシートを5枚積層して5mmにしたグリーンシート
上に、WCからなる発熱抵抗体5を所望の形状に形成
し、その上に電極引出部となるWCからなるペーストを
充填したビアホールを形成した別のグリーンシートを5
mm分重ねて密着したものから円盤状の生成形体を切り
出し、これを窒素ガス中800℃で脱脂したのち、19
00〜2100℃で焼成して円盤状の窒化アルミニウム
からなる均熱板2を得た。
【0072】そして、転写法により金ペーストからなる
給電部6を形成し、900℃で焼き付け処理した。その
後、発熱パターンの略中央部に該凹部21を形成し、測
温素子10を設置し、無機系充填材で保持固定した均熱
板2をバネを有する導通端子7を装着した支持体11に
その外周部を弾性体8を介してネジ締めした。
【0073】ここで、測温素子10として、本評価に用
いた熱電対の作製方法を説明する。
【0074】比較例に示す熱電対は断面直径がそれぞれ
0.2mmのNi/Cr線とNi合金線との2本の素線
をスポット溶接した。この熱電対は図4に示すように、
2種の素線10b、10cの接合部に大きさ0.3mm
の球状の溶融体10aを作製した。
【0075】また、実施例の示す熱電対は、レーザー光
をパルス照射して加熱した。また、拡散層の大きさの異
なる製品は照射の時間を変えて、また、レーザー光をス
ライドさせて所定の拡散層のサンプルを作製した。その
後、図3に示すように、該凹部21の深さdを均熱板2
の厚みtに対して、d=2t/3、測温素子10である
熱電対素線径を0.2mm、更に該凹部21の底面から
熱電対の測温接点との距離Lを0.3mmとし、熱電対
を該凹部21に挿入し、ポリイミド樹脂を充填し、本発
明のウエハ加熱装置1を作製した。また、拡散層の大き
さは熱電対の先端部分を樹脂埋め後、ダイヤモンドパウ
ダーで鏡面研磨した後、EPMAにてCr、Alの元素
分析を行い、それそれの変化量を測定した。
【0076】そして、このようにして得られた本発明実
施例及び比較例のウエハ加熱装置1の導電端子7に通電
して250℃で保持し、載置面3の上に載せたウエハ表
面の温度分布を中心とウエハ半径の1/3、2/3の周
上の6分割点12点の合計13点の温度バラツキが1℃
以内となるように温度コントローラーの設定温度を各発
熱パターンの制御チャンネル毎に補正し、その設定バラ
ツキを確認した。また、150℃でも同様の設定温度の
補正を行い、ウエハを外し加熱装置のみで60分以上保
持した後、常温に維持されたウエハWを、加熱装置に投
入、載置面3に載せた瞬間から150℃に安定するまで
のウエハWのオーバーシュート、および150±0.5
℃に安定するまでの昇温安定時間を過渡性能評価とし
て、各サンプル5回づつ計測し、その最大値を測定値と
した。
【0077】80℃から250℃まで2分間で昇温させ
2分間で冷却する昇温サイクルを繰り返し、3000サ
イクル経過後に、250℃に保持した場合の均熱板2面
内温度バラツキ、150℃オーバーシュート、昇温安定
性を評価し、これらの特性の初期の値に対する変化率を
計算した。
【0078】評価基準としては、昇温サイクル前の結果
を基準として、昇温サイクル後の結果が、50%以上変
化しているものをNG、50%以内であるものをOKと
した。
【0079】それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0080】
【表1】
【0081】表1から判るように、No.1に示すよう
に拡散層の大きさが平均素線径の0.2倍より小さい
と、測温接合部に剥がれが生じたため、温度ばらつきの
変化量が大きくなった。また、拡散層の大きさが平均素
線径の10倍より大きいNo.5は、測温精度のバラツ
キが大きくなっており、初期のウエハ搭載時の温度ばら
つきが大きくNGの評価結果であった。
【0082】一方、拡散層の大きさが平均素線径の0.
2〜10倍であるNo.2〜4は、温度ばらつき、オー
バーシュート、過渡の安定時間ともに良好の結果が得ら
れた。
【0083】実施例 2 ここでは、熱電対素線の接合部の引張強度と測温精度と
の相関の確認を行った。線径0.1、0.2、0.3m
mφの熱電対素線を用意し、これらを条件を振って各1
0本づつ接合し、各々10本を実施例1と同様な方法で
ウエハ加熱装置に組み込んで、80℃から300℃の間
を3分間で昇温させ5分間で冷却するサイクルを500
0サイクル掛けた際の熱電対の測定精度を載置面上に設
置したウエハの温度バラツキを測定することにより確認
した。なお、評価基準として、耐久テスト後の温度バラ
ツキが0.3℃以内のものを○、これを越えるものは△
とし、1.0℃を越えるものは×として評価した。
【0084】結果を表2に示した。
【0085】
【表2】
【0086】表2から判るように、素線の線径をnと
し、素線の引張強度(N)が200×n2より値がより
小さいNo.1、4、7は、耐久テスト後、ウエハの温
度バラツキが大きくなった。これに対し、素線の引張強
度(N)が200×n2より値がより大きいNo.2、
3、5、6、8、9は、温度バラツキが小さく良好であ
った。熱電対の測定精度を向上させるため、素線溶接部
の成分の相互拡散を防止することが必要だが、素線接合
部の接合強度が200×n2以上になるようにしないと
熱電対の耐久性が低下することが判った。
【0087】実施例 3 ここでは、熱電対素線の結晶粒径と、接合時の強度と拡
散距離、ウエハ加熱装置に組み込んだ際の耐久性を評価
した。
【0088】断面直径がそれぞれ0.2mmφのNi/
Cr線とNi合金線において、任意5断面の平均結晶粒
径が0.6μm、1μm、2μm、5μm、12μm、
20μm、30μm、40μmの素線を用意し、これら
の熱電対を実施例1と同様の方法で接合し、接合部の拡
散距離を実施例1と同様の手法で測定した。ウエハ加熱
装置に組み込み評価を行った。前記平均結晶粒径は、熱
電対素線を熱処理することにより調整した。また、熱電
対素線の接合については、接合部に少なくとも球形の溜
まりができないように、接合条件を調整した。
【0089】また、素線の平均結晶粒径は、任意5断面
を鏡面研磨し、エッチング後100倍の金属顕微鏡写真
の画像処理により求めた。
【0090】評価の方法、および評価基準は、実施例1
と同様にした。それぞれの結果は表3に示す通りであ
る。
【0091】
【表3】
【0092】表3から判るように、熱電対素線の平均結
晶粒径が0.6μmであったNo.1は、接合時の拡散
距離が大きくなり、耐久テスト後の温度安定時間が初期
に較べて30%増加した。また、前記平均結晶粒径が4
0μmであったNo.8は、接合部の強度が低く、耐久
テスト後の温度安定時間が初期に較べて40%増加し
た。
【0093】これに対して、前記平均結晶粒径が1〜3
0μmであるNo.2〜7は、引張強度、耐久テストの
温度安定時間ともに、良好であった。
【0094】従来は、熱電対素線の平均結晶粒径を管理
していなかったが、精密な温度測定を必要とする用途で
は、熱電対素線の平均結晶粒径の管理が必要であること
が判った。また、本発明により、ウエハ加熱装置のよう
な高精度の温度制御を要する用途でも使用可能な熱電対
を確保できるようになった。
【0095】実施例 4 ここでは、熱電対接合部の接合だまりと、接合強度、素
線間の元素の拡散層の大きさとの関係を調べた。レーザ
ーの照射時間を調整することにより、熱電対接合部の接
合だまりの大きさを変更して、接合だまりのないもの、
接合だまりが素線の上下左右のうち一方向に確認できる
もの、隣合う二方向に確認できるもの、三方向に確認で
きるもの、球状に形成されたものを作製し、接合強度と
拡散層の大きさを確認した。結果を表4に示した。
【0096】
【表4】
【0097】表4から判るように、接合だまりが球状も
しくは素線の三方向に形成されるNo.4、5は、接合
強度は向上するものの拡散層の大きさが素線径の10倍
を超えてしまうので好ましくない。これに対し、接合だ
まりが一方向、もしくは隣合う二方向に形成されている
No.2、3は、接合だまりが形成されないNo.1よ
り接合部の接合強度が向上し、拡散層の大きさも10倍
以内とすることが出来ることが判った。
【0098】実施例 5 ここでは、熱電対の2種類の素線間の平均結晶粒径のバ
ラツキによる効果を調べた。断面直径がそれぞれ0.2
mmのNi/Cr線とNi合金線において、任意5断面
の平均結晶粒径のばらつきが−100%、−50%、0
%、50%、100%である熱電対を実施例1と同様の
方法で組み付けてウエハ加熱装置を作製した。平均結晶
粒径のバラツキは、任意5断面を鏡面出し、エッチング
後100倍の金属顕微鏡写真の画像処理のより求めた。
また、測温接点部の拡散層の大きさは4倍、素線間の距
離は0.1mm、凹部との距離は1mmの条件で作製し
た。
【0099】評価の方法、および評価基準は実施例1と
同様に行った。
【0100】それぞれの結果は表5に示す通りである。
【0101】
【表5】
【0102】表2から判るように、平均結晶粒径のばら
つきが−50%より小さいNo.11、及び50%より
大きいNo.15は温度ばらつきが大きくなる傾向にな
った。一方、平均結晶粒径のばらつきが−50%〜50
%であるNo.12〜14は、温度ばらつきが小さく、
さらにウエハ過渡時の温度安定時間がより短くなること
がわかった。これは、均一な組織を有する素線を用いる
ことにより、2素線間に発生する起電力のばらつきが小
さくなり、ウエハ面の温度を正確に測温できるようにな
ったものと考えられる。
【0103】従来は、使用する2種類の熱電対素線の平
均結晶粒径を管理していなかったが、精密な温度制御に
使用する熱電対については、平均結晶粒径の管理が必要
であることが判った。また、本発明により、ウエハ加熱
装置のような高精度の温度制御を要する用途でも使用可
能な熱電対を確保できるようになった。
【0104】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、セラミ
ック板の表面または内部に発熱抵抗体を形成してなり、
被加熱物を加熱する加熱面の反対側から加熱面に向けて
凹部を設け、該凹部にセラミック板の温度制御用の熱電
対を設置したウエハ加熱装置において、前記熱電対の測
温接点部に素線径の0.5〜10倍の拡散層を形成する
ことにより、高い精度で温度制御することが可能なウエ
ハ加熱装置を提供することが可能となった。
【0105】また、前記熱電対の接合部の引張強度が熱
電対の線径n(mm)に対し、2000×n2N以上と
することにより、耐久性を向上させることが可能とな
る。
【0106】また、前記熱電対の素線の平均結晶粒径が
1〜30μmとし、前記熱電対の接合部の外径が、熱電
対素線の外径と略等しい外径であると共に、ひとつもし
くは隣合うふたつの方向に接合だまりを形成することに
より、さらに耐久性を改善できることが出来る事がわか
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウエハ加熱装置を示す断面図である。
【図2】本発明のウエハ加熱装置の均熱板を示す平面図
である。
【図3】本発明のウエハ加熱装置の測温素子設置部を示
す断面図である。
【図4】(a)は、本発明のウエハ加熱装置に用いる測
温素子を示す平面図であり、(b)は、その側面図であ
る。
【図5】従来のウエハ加熱装置を示す断面図である。
【図6】従来のウエハ加熱装置に用いる測温素子設置部
を示す断面図である。
【図7】従来の熱電対の模式図である。
【符号の説明】
1:ウエハ加熱装置 2:均熱板 3:載置面 4:絶縁層 5:発熱抵抗体 6:給電部 7:導通端子 8:弾性体 10:測温素子 11:支持体 21:凹部 22:充填材 W:半導体ウエハ t:厚み

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック板の表面または内部に発熱抵抗
    体を形成してなり、被加熱物を加熱する加熱面の反対側
    から加熱面に向けて凹部を設け、該凹部にセラミック板
    の温度制御用の熱電対を設置したウエハ加熱装置におい
    て、前記熱電対の測温接点部に素線径の0.5〜10倍
    の拡散層を形成したことを特徴とするウエハ加熱装置。
  2. 【請求項2】前記熱電対の接合部の引張強度が熱電対の
    線径n(mm)に対し、2000×n2N以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のウエハ加熱装置。
  3. 【請求項3】前記熱電対の素線の平均結晶粒径が1〜3
    0μmであることを特徴とする請求項1、2のいずれか
    に記載のウエハ加熱装置。
  4. 【請求項4】前記熱電対の接合部の外径が、熱電対素線
    の外径と略等しい外径であると共に、ひとつもしくは隣
    合うふたつの方向に接合だまりを形成してなることを特
    徴とする請求項1記載のウエハ加熱装置。
  5. 【請求項5】前記熱電対の2種類の素線の平均結晶粒径
    のばらつきが−50%から50%であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のウエハ加熱装置。
  6. 【請求項6】前記熱電対の接合部が素線が絶縁物で被覆
    されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のウエハ加熱装置。
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Cited By (3)

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