JP2006009892A - 転がり軸受及び転がり軸受ユニット - Google Patents

転がり軸受及び転がり軸受ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】 低発塵性,極低温における安定した低トルク性能,及び高温における耐久性を併せ持つ転がり軸受及び転がり軸受ユニットを提供する。
【解決手段】 転がり軸受ユニット1に組み込まれた転がり軸受30は、内輪31の軌道面,外輪32の軌道面,及び転動体33の転動面のうち少なくとも一つが、潤滑剤層で覆われている。この潤滑剤層は、ポリ四フッ化エチレン樹脂及びフッ素系潤滑油を含有するフッ素系潤滑剤からなり、その厚さは0.5μm以上10μm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受及び転がり軸受ユニットに関する。
ハードディスクドライブ(以降はHDDと記す)においては、作動系の構成部品として転がり軸受が使用されている。従来のHDDは、最新のものと比較して、磁気ヘッド部と磁気ディスクの間隙(フライングハイト)がある程度広く設定されていたため、磁気ディスク上に少量の異物が付着しても、致命的な障害は発生しにくかった。そのため、HDD用転がり軸受に使用される潤滑剤においては、潤滑性能の向上(長期的耐久性)が最優先課題とされており、低発塵性(発塵の少なさ)はそれほど重要視されていなかった。
ところが、最近のHDDは高記録密度化,高精度化がさらに進み、フライングハイトが50nm以下と極端に小さくなってきており、このような微小隙間においては、磁気ディスクへの異物の付着は致命的な障害になりかねない。固体物質に限らず潤滑油のような液状物質であっても、磁気ディスク表面に付着すると、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間の隙間に潤滑油が溜まり磁気ディスクと磁気ヘッドとが吸着する問題や、付着した潤滑油により「ゆらぎ」が生じて正常な読み書きができなくなる問題が発生するおそれがある。
また、HDDの薄型化に伴うボイスコイルモータ出力(VCM出力)の低下に対して、転がり軸受の低トルク化が要求されている。さらに、HDDの構造上、アクチュエータ用転がり軸受ユニットは磁気ディスクの極近傍に配置されているため、コンタミネーションの影響を及ぼしやすい。
さらに、車載用HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受には、低発塵性,極低温における安定した低トルク性能,及び高温における耐久性の向上が要求されている。また、使用温度に対する性能については、自動車関連機器に要求される温度性能が適用される。
さらに、HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受には、従来から潤滑剤としてグリースが使用されている。一方、HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受の潤滑剤として潤滑油が使用された例としては、特許文献1のフッ素系潤滑油がある。
特開2003−97573号公報
車載用HDDはスペース上の問題から非常にコンパクトに設計されているため、車載用HDDに用いられる転がり軸受に備えられるシールは、その構造が簡易的となっている。また、車載されることにより使用温度が極低温から高温(100℃近傍)まで広範囲であるため、極低温でのトルク性能及び高温での耐久性が要求される。さらに、フッ素系潤滑油は粘度指数が高く、極低温から高温まで流動性が良好であることから、何重かのシール構造が確保されるHDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受の潤滑剤として有効である。
しかしながら、車載用HDDでは前述のように発塵を防ぐためのシール構造が簡略化されている。また、HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受は、ある一定の角度幅の揺動運動を繰り返し、その際に潤滑剤は転がり軸受内部にて揺動撹拌される。そして、フッ素系潤滑油は表面エネルギーが低いため、揺動撹拌された際に起こる潤滑油の乱流により形成される気泡が弾けやすく、この気泡が弾ける際に微細な飛沫が発生する。このことにより、車載用HDDにおいては、微細なフッ素系潤滑油の飛沫が発塵として転がり軸受の外部に飛散し、磁気ディスクに付着する場合がある。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、低発塵性,極低温における安定した低トルク性能,及び高温における耐久性を併せ持つ転がり軸受及び転がり軸受ユニットを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転がり軸受において、前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つを、ポリ四フッ化エチレン樹脂及びフッ素系潤滑油を含有するフッ素系潤滑剤からなる厚さ0.5μm以上10μm以下の潤滑剤層で覆ったことを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の転がり軸受は、請求項1に記載の転がり軸受において、ポリ四フッ化エチレン樹脂の含有量は、前記フッ素系潤滑剤全体の1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受において、前記フッ素系潤滑油の少なくとも一部は、官能基を有するフッ素化合物であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の転がり軸受ユニットは、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受を備えることを特徴とする。
本発明の転がり軸受及び転がり軸受ユニットは、低発塵性,極低温における安定した低トルク性能,及び高温における耐久性を有する。
本発明に係る転がり軸受及び転がり軸受ユニットの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の転がり軸受を備えた転がり軸受ユニットの一実施形態を説明する縦断面図である。
図1の転がり軸受ユニット1は、軸部材10と、軸部材10が挿通された略筒状のハウジング20と、軸部材10とハウジング20との間に介装されており、軸部材10とハウジング20とを相対回転自在に支持する転がり軸受30,30と、で構成されている。
2つの転がり軸受30は、転がり軸受ユニット1の軸方向両端部に配されていて、転がり軸受30の内輪31が軸部材10に固定され、外輪32がハウジング20に固定されている。また、転がり軸受30は、内輪31及び外輪32の間に転動自在に配された複数の転動体33と、内輪31及び外輪32の間に転動体33を保持する保持器34と、内輪31及び外輪32の間の隙間の開口を覆うシール35と、を備えている。このシール35は、転がり軸受30の軸方向一端部のみに備えられていて、2つのシール35によって転がり軸受ユニット1の軸方向両端の開口が密封されるようになっている。
さらに、図示されていないが、内輪31の軌道面,外輪32の軌道面,及び転動体33の転動面のうち少なくとも一つは、潤滑剤層で覆われている。この潤滑剤層は、ポリ四フッ化エチレン樹脂(以降はPTFEと記す)及びフッ素系潤滑油を含有するフッ素系潤滑剤からなり、その厚さは0.5μm以上10μm以下である。なお、PTFEの含有量は、フッ素系潤滑剤全体の1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、PTFEは粉末であることが好ましい。さらに、フッ素系潤滑油の少なくとも一部は、官能基を有するフッ素化合物であることが好ましい。
潤滑剤層の厚さが0.5μm未満であると、潤滑性が不足して耐久性が不十分となるおそれがある。一方、10μm超過であると、極低温における安定した低トルク性能が得られないおそれがある。また、フッ素系潤滑剤中のPTFEの含有量が1質量%未満であると、発塵が多くなるという不都合が生じるおそれがある。一方、50質量%超過であると、トルク及びトルク変動が増大するという不都合が生じるおそれがある。
このような転がり軸受30及び転がり軸受ユニット1は、その摺動部に前述のような潤滑剤層を有しているため、低発塵性,極低温における安定した低トルク性能,及び高温における耐久性を有している。よって、HDDの構成部品であるアクチュエータ(特にスイングアーム)に組み込まれた、磁気ディスクに読み書きを行う磁気ヘッドを支持する転がり軸受及び転がり軸受ユニットとして好適である。また、HDDの中でも、使用温度が極低温から高温(100℃近傍)まで広範囲である車載用HDDに特に好適である。
低温での流動特性や蒸発性に優れるフッ素系潤滑油で潤滑される転がり軸受及び転がり軸受ユニットは、低トルク性や耐久性に優れるが、車載用HDDに使用された場合に磁気ディスクを潤滑油で汚染するおそれがある。これに対して、PTFE及びフッ素系潤滑油を含有するフッ素系潤滑剤からなる潤滑剤層で潤滑される本発明の転がり軸受及び転がり軸受ユニットは、フッ素系潤滑油がPTFE粉末に保持されるため、低発塵性である。また、フッ素系潤滑剤からなる潤滑剤層は流動性を有するため、低トルクであるとともにトルク変動が小さい安定したトルク性能を有し、且つ、耐久性に優れている。
HDDにおける読み取り動作及び書き込み動作を高精度とするためには、トルク変動はできる限り小さい方が好ましいが、従来のグリース潤滑では充填されているグリースとの引掛かり現象によるトルク変動が生じるおそれがあった。この問題を解決するため、グリースの充填量を削減することによって低トルク化を図ることが可能であるが、潤滑油を用いた場合ほどの低トルク化は望めないし、増ちょう剤に起因するトルク変動は抑制が難しい。また、グリースの充填量の削減により、軸受寿命が低下するおそれもある。逆に、グリースの充填量を増やすと軸受寿命の改善は可能であるが、軸受の低トルク化とトルク変動の抑制を図ることは困難となる。
次に、車戴用HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受について、詳細に説明する。車戴用HDDのアクチュエータに用いられる転がり軸受は、スピンドル用の転がり軸受とは異なり、磁性流体シールやラビリンス構造を備えたモータユニットになっていない。そして、通常は磁気ディスクの上部近傍に配置され、非接触モータ(ボイスコイルモータ)によって高速で揺動撹拌されるため、スピンドル用の転がり軸受で使用される潤滑剤よりも低発塵であることが望まれる。
前述したようにフッ素系潤滑油は表面エネルギーが低いため、揺動撹拌された際に起こる潤滑油の乱流により形成される気泡が弾けやすく、この気泡が弾ける際に微細な飛沫が発生する。フッ素系潤滑油が分子構造中に官能基を有するものであっても、全てのフッ素系潤滑油分子が摺動面に化学的に付着している訳ではないので、摺動面の相対運動によってフッ素系潤滑油が発塵粒子として放出されるため、フッ素系潤滑油を摺動面に強固に付着させるだけでは、十分な低発塵化は困難である。
そこで、フッ素系潤滑油に粉末状のPTFEを添加してゲル状の潤滑剤とすると、PTFE粉末にフッ素系潤滑油が保持されるため、発塵が抑制されて十分な低発塵性が達成される。発塵が抑制されると、転がり軸受内部の潤滑剤の減少が長期間にわたって抑制される。また、転動体の転がり動作時において金属同士が直接的に接触せず、常に潤滑剤が介在することとなるので、安定した潤滑作用が発揮される。
次に、フッ素系潤滑剤について詳細に説明する。フッ素系潤滑剤はPTFEとフッ素系潤滑油とを含有するが、このフッ素系潤滑油としては、フルオロポリエーテル重合体,ポリフルオロアルキル重合体のような含フッ素重合体があげられ、さらにこれらの誘導体(官能基を有するフッ素化合物)を含有していてもよい。
フルオロポリエーテル重合体及びその誘導体としては、「−CX 2X−O−」(Xは1〜4の整数)を繰り返し単位とする重合体が好ましい。そして、その平均分子量は1000以上15000以下が好ましいが、潤滑性能やトルク性能を考慮すると、3000以上13000以下がより好ましい。
具体的には、下記の化学式I,IIのような側鎖構造又は直鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルがあげられ、特に直鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルは蒸発特性,潤滑特性に優れる。
Figure 2006009892
Figure 2006009892
上記化学式のようなパーフルオロアルキルポリエーテルは、平均分子量が3000以上であると粘度指数が高く、流動点も低いので、広い温度範囲において良好な潤滑特性が得られる。
側鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルの具体例としては、DUPONT社のクライトックス143,クライトックスGPL,クライトックス1500や、AUSIMONNT社のフォンブリンYスタンダードや、NOKクリューバ株式会社のバリエルタJフルードがあげられる。また、直鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルの具体例としては、ダイキン工業社のデムナム,AUSIMONNT社のフォンブリンZがあげられる。これらの中でも、直鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルであるデムナムS100は、潤滑性(耐フレッチング性)が良好である。
また、フルオロポリエーテル重合体の誘導体としては、側鎖構造又は直鎖構造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルの片末端又は両末端に、イソシアネート基,水酸基(−OH),カルボキシル基(−COOH),エステル基(−COOR)等の官能基を導入した変性体があげられる。例えば、水酸基を導入した変性体としては、下記の化学式III ,IVのようなものがあげられる。なお、末端の官能基が異種のものを組み合わせて使用してもよい。
Figure 2006009892
Figure 2006009892
末端に官能基を導入した変性体の具体例としては、AUSIMONNT社のフォンブリンZ誘導体,DUPONT社のクライトックス157,ダイキン工業株式会社のデムナム変性タイプがあげられる。
これらの含フッ素重合体は、平均分子量や官能基の種類が異なるものを併用してもよく、粘度の調整や官能基を導入した変性体の併用により、フッ素系潤滑油の金属への濡れ性の向上等を図ることが可能である。ただし、官能基を導入した変性体は、分子鎖の片末端又は両末端が官能基で変性されているため、官能基を有していないものと比較して蒸気圧が若干高い。したがって、アクチュエータからの発塵を低減させるためには、蒸気圧の非常に低い直鎖構造を有するパーフルオロポリエーテルがより好ましい。なお、これらのフッ素系潤滑油は、後述するように適当な溶媒で希釈して使用してもよい。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。前述の転がり軸受ユニット1とほぼ同様の構成の転がり軸受ユニット(実施例1,2)を用意して、発塵性,トルク性能,耐久性を評価した。
この転がり軸受ユニットに備えられた転がり軸受(呼び番B4−47,外径7mm,内径4mm,幅2mm)にはフッ素系潤滑剤が封入されており、内輪の軌道面,外輪の軌道面,及び転動体の転動面が、フッ素系潤滑剤からなる潤滑剤層で覆われている。なお、フッ素系潤滑剤は、前述のようにそのまま転がり軸受に封入してもよいが、有機溶剤で希釈して塗布してもよい。ただし、フッ素系潤滑剤の粘度が高い場合は、転がり軸受がタッキングする可能性もあるので、転がり軸受の内部に直接注入する方法が好ましい。
フッ素系潤滑剤を転がり軸受に塗布する方法は特に限定されるものではないが、極微量のフッ素系潤滑剤を計量できるマイクロシリンジやポンプによって、内輪,外輪,転動体,保持器が組み上がった状態の転がり軸受の転動体に規定量のフッ素系潤滑剤を吐出した後、転がり軸受を数回転回転させる方法が好ましい。また、フッ素系潤滑剤の転がり軸受からの漏洩を防ぐために、フッ素系潤滑剤の潤滑剤層の厚さを薄くしたい場合は、フッ素系潤滑剤を有機溶剤で希釈して、その希釈液に転がり軸受を浸漬してもよい。さらに、転がり軸受外部へのフッ素系潤滑剤の付着を避けるために、前記希釈液を転がり軸受内部の転動体に吐出した後に乾燥させ、潤滑剤層を設けてもよい。
実施例1の転がり軸受ユニットは、以下のようにして得られた転がり軸受が組み込まれている。59質量%のデムナムS100と、1質量%のクライトックス157FSM(前述した末端に官能基を導入した変性体)と、40質量%のPTFE粉末(粒径は1μm以下である)とを混合して得られたフッ素系潤滑剤を、希釈溶媒AK−225(旭硝子株式会社製)で5質量%の濃度に希釈し、この希釈液を転がり軸受に塗布した。そして、転がり軸受を恒温槽内に入れ、真空下80℃で約40分間加熱して、希釈溶媒を除去した。これにより形成されたフッ素系潤滑剤からなる潤滑剤層の厚さは1μmであった。
実施例2の転がり軸受ユニットは、フッ素系潤滑剤が、60質量%のデムナムS100と40質量%のPTFE粉末(粒径は1μm以下である)とを混合して得られたものである点を除いては、実施例1と同様である。
なお、比較例として、以下のような転がり軸受が組み込まれた転がり軸受ユニットを用意した。比較例1は、転がり軸受の摺動面(内輪の軌道面,外輪の軌道面,及び転動体の転動面)が、アルコール変性されたポリフルオロポリエーテルからなる潤滑剤層(厚さは1μm)で覆われたものである。また、比較例2は、転がり軸受の摺動面(内輪の軌道面,外輪の軌道面,及び転動体の転動面)が、変性されていないポリフルオロポリエーテルからなる潤滑剤層(厚さは1μm)で覆われたものである。
ここで、発塵性,トルク性能,耐久性の評価方法及び評価結果について説明する。
〔発塵性の評価について〕
転がり軸受ユニット100をHDDのアクチュエータ200に組み込んで、密閉容器300内に設置した(図2及び図2のA部分の拡大断面図である図3を参照)。そして、HDD(アクチュエータ200)を駆動して発塵を発生させ、発生した発塵粒子を吸引口301から吸引して図示しないパーティクル測定機へ送り、粒径0.1μm以上の発塵粒子の個数を計測した。なお、アクチュエータ200の揺動角度は0〜26deg、揺動の周波数は40Hz、雰囲気温度は常温、測定時間は10分間であり、吸引口301からの吸引量は283cm3 /minである。
評価結果を図4のグラフに示す。グラフから分かるように、実施例1,2は比較例1,2と比べて発塵粒子の個数が非常に少なかった。特に実施例1は、発塵粒子が5個と極めて少なかった。
〔トルク性能の評価について〕
前述の実施例1の転がり軸受ユニットにおいて、フッ素系潤滑剤からなる潤滑剤層の厚さを種々変更したものを用意した。そして、回転時に変動するトルクの最大値と最小値の差(トルク変動値)によって、トルク性能を評価した。なお、潤滑剤層の厚さは、フッ素系潤滑剤の希釈液の希釈濃度を変更することにより調整した。回転トルクの測定条件は、回転速度が2min-1、アキシアル荷重が2N、雰囲気温度が−40℃である。
評価結果を図5のグラフに示す。グラフから分かるように、潤滑剤層の厚さが10μm以下である転がり軸受ユニットは、極低温下でのトルク変動値が9.8×10-6N・m以下という優れたトルク性能を示した。
〔耐久性の評価について〕
トルク性能の評価に用いたものと同様の転がり軸受ユニットを、HDDのアクチュエータに組み込んで駆動した。アクチュエータの揺動角度は0〜26deg、揺動の周波数は60Hz、アキシアル荷重は2N、雰囲気温度は常温、揺動回数は5×108 回である。そして、アクチュエータ駆動時の転がり軸受ユニットのトルク変動値を測定し、駆動初期のトルク変動値と駆動終期のトルク変動値との比(終期/初期)によって、転がり軸受ユニットの耐久性を評価した。
評価結果を図5のグラフに示す。グラフから分かるように、潤滑剤層の厚さが0.5μm以上である転がり軸受ユニットは、駆動初期のトルク変動値と駆動終期のトルク変動値との比が1.5倍以下という優れた耐久性を示した。
本発明の転がり軸受及び転がり軸受ユニットは、HDDの構成部品であるアクチュエータ(特にスイングアーム)に組み込まれる転がり軸受及び転がり軸受ユニットとして好適である。
本発明の転がり軸受を備えた転がり軸受ユニットの一実施形態を説明する縦断面図である。 発塵性の評価方法を説明する図である。 図2の部分拡大断面図である。 発塵性の評価結果を示すグラフである。 トルク性能及び耐久性の評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 転がり軸受ユニット
10 軸部材
20 ハウジング
30 転がり軸受
31 内輪
32 外輪
33 転動体
35 シール
100 転がり軸受ユニット

Claims (4)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転がり軸受において、
    前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面のうち少なくとも一つを、ポリ四フッ化エチレン樹脂及びフッ素系潤滑油を含有するフッ素系潤滑剤からなる厚さ0.5μm以上10μm以下の潤滑剤層で覆ったことを特徴とする転がり軸受。
  2. ポリ四フッ化エチレン樹脂の含有量は、前記フッ素系潤滑剤全体の1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記フッ素系潤滑油の少なくとも一部は、官能基を有するフッ素化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受を備えることを特徴とする転がり軸受ユニット。
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