JP2002302688A - ハードディスクドライブ用転がり軸受 - Google Patents
ハードディスクドライブ用転がり軸受Info
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- JP2002302688A JP2002302688A JP2001105933A JP2001105933A JP2002302688A JP 2002302688 A JP2002302688 A JP 2002302688A JP 2001105933 A JP2001105933 A JP 2001105933A JP 2001105933 A JP2001105933 A JP 2001105933A JP 2002302688 A JP2002302688 A JP 2002302688A
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- Japan
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- grease
- hdd
- hard disk
- disk drive
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- Lubricants (AREA)
- Moving Of Heads (AREA)
- Rotational Drive Of Disk (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 アウトガスの発生が少なく、また低トルクで
トルク変動も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり軸
受を提供する。 【解決手段】 内・外輪の間に保持器を介して複数個の
転動体を保持し、グリースを封止してなるハードディス
クドライブ用転がり軸受において、前記グリースが、フ
ッ素系潤滑油からなる基油に、ポリテトラフルオロエチ
レンを5〜20重量%の割合で配合してなることを特徴
とするハードディスクドライブ用転がり軸受。
トルク変動も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり軸
受を提供する。 【解決手段】 内・外輪の間に保持器を介して複数個の
転動体を保持し、グリースを封止してなるハードディス
クドライブ用転がり軸受において、前記グリースが、フ
ッ素系潤滑油からなる基油に、ポリテトラフルオロエチ
レンを5〜20重量%の割合で配合してなることを特徴
とするハードディスクドライブ用転がり軸受。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ(以下HDDと称する)の構成部品の一部である
アクチュエータ(特にスイングアーム)及びスピンドル
に組み込まれたり、ユニットとして使用されるHDD用
転がり軸受に関する。
ライブ(以下HDDと称する)の構成部品の一部である
アクチュエータ(特にスイングアーム)及びスピンドル
に組み込まれたり、ユニットとして使用されるHDD用
転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ関連産業は、他の産業分野
に比較すると歴史の浅い業種であるにも関わらず技術革
新のスピードが速い。特に、HDDは一つの機種の存在
期間が短い上、新技術を導入した新機種(高信頼性、小
電力化、高応答性、高精度化、コンパクト化等)が次々
と開発されている。
に比較すると歴史の浅い業種であるにも関わらず技術革
新のスピードが速い。特に、HDDは一つの機種の存在
期間が短い上、新技術を導入した新機種(高信頼性、小
電力化、高応答性、高精度化、コンパクト化等)が次々
と開発されている。
【0003】従来のHDDでは、磁気ヘッド部と磁気デ
ィスクとの間隙(フライングハイト)がある程度広く設
定されていたため、磁気ディスク上に小量の異物が付着
しても、致命的な障害は発生し難かった。それゆえ、H
DD用転がり軸受は、低発塵性よりは潤滑性能、特に長
期的音響特性が最優先課題とされており、封入されるグ
リースも低アウトガス性能はそれ程重要視されていなか
った。また、従来はディスクトップ型パソコンが主流で
あり、HDDも据え置き型で、小電力の面でトルク性能
はあまり重要視されていなかった。
ィスクとの間隙(フライングハイト)がある程度広く設
定されていたため、磁気ディスク上に小量の異物が付着
しても、致命的な障害は発生し難かった。それゆえ、H
DD用転がり軸受は、低発塵性よりは潤滑性能、特に長
期的音響特性が最優先課題とされており、封入されるグ
リースも低アウトガス性能はそれ程重要視されていなか
った。また、従来はディスクトップ型パソコンが主流で
あり、HDDも据え置き型で、小電力の面でトルク性能
はあまり重要視されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近のHDDはより高
記録密度化、高精度化が進み、フライングハイトが10
0nm以下へと極端に狭まってきている。この様な微少
隙間では、磁気ディスク上への異物の付着は致命的な障
害になりかねない。そこで、HDD内で使用される部材
には、よりケミカルコンタミネーションの少ない部材が
望まれている。特に、グリースが封入されているHDD
用転がり軸受では、HDDの稼動に伴う発熱によりグリ
ースから潤滑油が蒸発して磁気ディスク表面に付着し、
磁気ヘッドとの隙間に溜まってヘッドクラッシュを起こ
し易く、現在ではこのようなアウトガス発生の問題を解
決することが至上課題となりつつある。
記録密度化、高精度化が進み、フライングハイトが10
0nm以下へと極端に狭まってきている。この様な微少
隙間では、磁気ディスク上への異物の付着は致命的な障
害になりかねない。そこで、HDD内で使用される部材
には、よりケミカルコンタミネーションの少ない部材が
望まれている。特に、グリースが封入されているHDD
用転がり軸受では、HDDの稼動に伴う発熱によりグリ
ースから潤滑油が蒸発して磁気ディスク表面に付着し、
磁気ヘッドとの隙間に溜まってヘッドクラッシュを起こ
し易く、現在ではこのようなアウトガス発生の問題を解
決することが至上課題となりつつある。
【0005】また、パソコンの携帯化が進み、それに伴
ってコンパクト化によるモータの低出力化の要求や、バ
ッテリー駆動に対応して小電力化に対する要求も高まっ
ており、HDD用転がり軸受にはより一層の低トルク化
が望まれている。更に、磁気ディスクへの高記録密度化
に拍車がかかり、より高密度に磁気記録する際に位置決
め精度を左右するトルク変動を極力抑えることも必須性
能になりつつある。
ってコンパクト化によるモータの低出力化の要求や、バ
ッテリー駆動に対応して小電力化に対する要求も高まっ
ており、HDD用転がり軸受にはより一層の低トルク化
が望まれている。更に、磁気ディスクへの高記録密度化
に拍車がかかり、より高密度に磁気記録する際に位置決
め精度を左右するトルク変動を極力抑えることも必須性
能になりつつある。
【0006】上記したアウトガス発生の抑制、低トルク
化、トルク変動の抑制に対する要求は年々厳しくなって
おり、今後も同様に続くことが容易に予想される。
化、トルク変動の抑制に対する要求は年々厳しくなって
おり、今後も同様に続くことが容易に予想される。
【0007】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、アウトガスの発生が少なく、また低トルク
でトルク変動も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり
軸受を提供することを目的とする。
ものであり、アウトガスの発生が少なく、また低トルク
でトルク変動も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり
軸受を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明に
係る、内・外輪の間に保持器を介して複数個の転動体を
保持し、グリースを封止してなるHDD用転がり軸受に
おいて、前記グリースが、フッ素系潤滑油からなる基油
に、ポリテトラフルオロエチレンを5〜20重量%の割
合で配合してなることを特徴とするHDD用転がり軸受
によって達成される。
係る、内・外輪の間に保持器を介して複数個の転動体を
保持し、グリースを封止してなるHDD用転がり軸受に
おいて、前記グリースが、フッ素系潤滑油からなる基油
に、ポリテトラフルオロエチレンを5〜20重量%の割
合で配合してなることを特徴とするHDD用転がり軸受
によって達成される。
【0009】
【作用】本発明のHDD用転がり軸受では、封入される
グリースの基油が蒸気圧の低いフッ素系潤滑油であるこ
とから、グリースからのアウトガスの低減が図れ、HD
D中の磁気ディスクを潤滑油で汚染する恐れはない。ま
た、増ちょう剤のポリテトラフルオロエチレンはフッ素
系潤滑油との親和性が良く、良好なゲル構造を形成する
ため基油の保持性も高い。しかも、従来に比べて基油の
配合割合を多くしたことによりグリースのちょう度が高
まり、トルクが低減し、またトルク変動も抑制でき、転
動面への潤滑油の付着性が向上して耐久性を高めること
が出来る。
グリースの基油が蒸気圧の低いフッ素系潤滑油であるこ
とから、グリースからのアウトガスの低減が図れ、HD
D中の磁気ディスクを潤滑油で汚染する恐れはない。ま
た、増ちょう剤のポリテトラフルオロエチレンはフッ素
系潤滑油との親和性が良く、良好なゲル構造を形成する
ため基油の保持性も高い。しかも、従来に比べて基油の
配合割合を多くしたことによりグリースのちょう度が高
まり、トルクが低減し、またトルク変動も抑制でき、転
動面への潤滑油の付着性が向上して耐久性を高めること
が出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のHDD用転がり軸
受について図面を参照して詳細に説明する。
受について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】本発明のHDD用転がり軸受は、その構造
自体は特に制限されるものではなく、例えば図1に断面
図で示される玉軸受を例示することができる、即ち、外
周面に内輪軌道面1を有する内輪2と、内周面に外輪軌
道面3を有する外輪4とを同心に配し、内輪軌道面1と
外輪軌道面3との間に複数個の転動体である玉5を保持
器7により転動自在に保持し、後述されるグリース(図
示せず)をシール部材6により封止して概略構成され
る。
自体は特に制限されるものではなく、例えば図1に断面
図で示される玉軸受を例示することができる、即ち、外
周面に内輪軌道面1を有する内輪2と、内周面に外輪軌
道面3を有する外輪4とを同心に配し、内輪軌道面1と
外輪軌道面3との間に複数個の転動体である玉5を保持
器7により転動自在に保持し、後述されるグリース(図
示せず)をシール部材6により封止して概略構成され
る。
【0012】本発明のHDD用転がり軸受に封入される
グリースは、フッ素系潤滑油を基油とし、増ちょう剤と
してポリテトラフルオロエチレンを5〜20重量%の割
合で配合される。ポリテトラフルオロエチレンはフッ素
系潤滑油との親和性が高く、グリースのゲル構造を長期
にわたり良好に維持される。また、基油の割合が高いた
めに、グリースのちょう度が高まり、トルクの低減とト
ルク変動の抑制が図られる。尚、ポリテトラフルオロエ
チレンとして、市販品ではDUPONT社製クライトッ
クスDF等を例示できる。
グリースは、フッ素系潤滑油を基油とし、増ちょう剤と
してポリテトラフルオロエチレンを5〜20重量%の割
合で配合される。ポリテトラフルオロエチレンはフッ素
系潤滑油との親和性が高く、グリースのゲル構造を長期
にわたり良好に維持される。また、基油の割合が高いた
めに、グリースのちょう度が高まり、トルクの低減とト
ルク変動の抑制が図られる。尚、ポリテトラフルオロエ
チレンとして、市販品ではDUPONT社製クライトッ
クスDF等を例示できる。
【0013】通常、フッ素グリースは高温下で使用され
ることが多く、高温状態でのちょう度を保つために、増
ちょう剤は25〜35重量%程度の高い割合で配合され
ている。しかしながら、HDD用転がり軸受は通常10
0℃以下の環境下で使用されるため、低トルク、低トル
ク変動が要求される場合、増ちょう剤量が20重量%を
越えるとトルク及びトルク変動ともに大きくなることが
判明した。また、増ちょう剤量が5重量%未満では、油
分離が大きく、経時的に安定なゲル構造を維持できない
ことも判明した。本発明はこのような知見に基づくもの
である。
ることが多く、高温状態でのちょう度を保つために、増
ちょう剤は25〜35重量%程度の高い割合で配合され
ている。しかしながら、HDD用転がり軸受は通常10
0℃以下の環境下で使用されるため、低トルク、低トル
ク変動が要求される場合、増ちょう剤量が20重量%を
越えるとトルク及びトルク変動ともに大きくなることが
判明した。また、増ちょう剤量が5重量%未満では、油
分離が大きく、経時的に安定なゲル構造を維持できない
ことも判明した。本発明はこのような知見に基づくもの
である。
【0014】上記フッ素系潤滑油としては、パーフルオ
ロポリエーテル重合体及びその誘導体が好ましく、特に
「−CXF2X−O−(Xは1〜4の整数)」を主要構造単
位とし、平均分子量1000〜15000の重合体が好
ましい。また、潤滑性能やトルク性能を考慮すると、平
均分子量が3000〜13000であることがより好ま
しい。このような平均分子量の重合体は粘度指数が高
く、流動点も低いため、低トルク化、トルク変動の抑制
を更に図ることが出来る。
ロポリエーテル重合体及びその誘導体が好ましく、特に
「−CXF2X−O−(Xは1〜4の整数)」を主要構造単
位とし、平均分子量1000〜15000の重合体が好
ましい。また、潤滑性能やトルク性能を考慮すると、平
均分子量が3000〜13000であることがより好ま
しい。このような平均分子量の重合体は粘度指数が高
く、流動点も低いため、低トルク化、トルク変動の抑制
を更に図ることが出来る。
【0015】パーフルオロポリエーテル重合体の具体的
としては、下記の側鎖構造を有するものや、
としては、下記の側鎖構造を有するものや、
【0016】
【化1】
【0017】下記の直鎖構造を有するものを好適に挙げ
ることができる。尚、何れにおいても、nは正の整数で
ある。
ることができる。尚、何れにおいても、nは正の整数で
ある。
【0018】
【化2】
【0019】これらは市場からも入手でき、側鎖構造を
有するものとしてDUPONT社のクライトックス14
3、クライトックスGPL、クライトックス1500、
AUSIMONNT社のフォンブリンYスタンダード、
NOKクリューバー社のバリエルタJフルード等を、ま
た直鎖構造を有するものとしてダイキン工業社のデムナ
ム、AUSIMONNT社のフォンブリンZ等を例示で
きる。中でも、直鎖構造を有するデムナムシリーズは潤
滑性(耐フレッチング性)が良好である。特に、直鎖構
造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルは蒸発特
性、潤滑特性に優れるため好適である。
有するものとしてDUPONT社のクライトックス14
3、クライトックスGPL、クライトックス1500、
AUSIMONNT社のフォンブリンYスタンダード、
NOKクリューバー社のバリエルタJフルード等を、ま
た直鎖構造を有するものとしてダイキン工業社のデムナ
ム、AUSIMONNT社のフォンブリンZ等を例示で
きる。中でも、直鎖構造を有するデムナムシリーズは潤
滑性(耐フレッチング性)が良好である。特に、直鎖構
造を有するパーフルオロアルキルポリエーテルは蒸発特
性、潤滑特性に優れるため好適である。
【0020】また、パーフルオロポリエーテル重合体の
誘導体としては、上記の直鎖構造または側鎖構造の両末
端基に、イソシアネート基、水酸基(アルコール含
む)、カルボキシル基、エステル基を官能基として導入
した変性構造を有するものが挙げられる。特に水酸基変
性物が好ましく、例えば下記に示すものが挙げられる。
尚、m、nは共に正の整数である。
誘導体としては、上記の直鎖構造または側鎖構造の両末
端基に、イソシアネート基、水酸基(アルコール含
む)、カルボキシル基、エステル基を官能基として導入
した変性構造を有するものが挙げられる。特に水酸基変
性物が好ましく、例えば下記に示すものが挙げられる。
尚、m、nは共に正の整数である。
【0021】
【化3】
【0022】また、アルコール変性物としては、「OH
−(CH2CH2−O)n−CH2−CF2−」で変性した
ものが好適である。尚、nは正の整数である。
−(CH2CH2−O)n−CH2−CF2−」で変性した
ものが好適である。尚、nは正の整数である。
【0023】これらは市場からも入手可能であり、例え
ば、AUSIMONNT社のフォンブリンZ誘導体、D
UPONT社クライトックス157、ダイキン工業社デ
ムナム変性タイプ等を例示できる。
ば、AUSIMONNT社のフォンブリンZ誘導体、D
UPONT社クライトックス157、ダイキン工業社デ
ムナム変性タイプ等を例示できる。
【0024】上記したパーフルオロポリエーテル重合体
及びその誘導体は、平均分子量や官能基の異なるものを
任意に混合して使用することができる。それにより、粘
度の調整や、金属への濡れ性の向上等を図ることが可能
になる。しかしながら、誘導体は、構造末端の双方また
は片方が上記のような官能基で変性されているため、パ
ーフルオロポリエーテルと比較して若干蒸気圧が高い。
従って、混合使用する場合は、蒸気圧の非常に低い直鎖
構造を有したパーフルオロポリエーテルを主体とし、こ
れに若干量の誘導体を混合することが好ましい。
及びその誘導体は、平均分子量や官能基の異なるものを
任意に混合して使用することができる。それにより、粘
度の調整や、金属への濡れ性の向上等を図ることが可能
になる。しかしながら、誘導体は、構造末端の双方また
は片方が上記のような官能基で変性されているため、パ
ーフルオロポリエーテルと比較して若干蒸気圧が高い。
従って、混合使用する場合は、蒸気圧の非常に低い直鎖
構造を有したパーフルオロポリエーテルを主体とし、こ
れに若干量の誘導体を混合することが好ましい。
【0025】また、フッ素系潤滑油として、上記の他
に、リン、窒素を基本骨格としているフルオロフォスフ
ァゼン油も好適に使用することができる。
に、リン、窒素を基本骨格としているフルオロフォスフ
ァゼン油も好適に使用することができる。
【0026】上記グリースには、必要に応じて、一般的
なフッ素系グリースに添加される各種添加剤を適量添加
してもよい。
なフッ素系グリースに添加される各種添加剤を適量添加
してもよい。
【0027】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるもの
ではない。
に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるもの
ではない。
【0028】[グリース経時安定性評価]DUPONT
社製クライトックスDFにポリテトラフルオロエチレン
微粒子を加え、加熱しながら攪拌し、クライトックスD
F中の溶媒成分を揮発させてグリースを調製した。この
同一の操作を、ポリテトラフルオロエチレン微粒子の配
合量を変えて行い、増ちょう剤量が1重量%〜22重量
%の範囲で異なる種々の試験グリースを調製した。そし
て、各試験グリースをガラス製スクリュー管に半分程度
封入し、常温にて3ヶ月間放置した後、グリースのかさ
高さに対し、油分離している高さの比率(油分離比率)
を求めた。
社製クライトックスDFにポリテトラフルオロエチレン
微粒子を加え、加熱しながら攪拌し、クライトックスD
F中の溶媒成分を揮発させてグリースを調製した。この
同一の操作を、ポリテトラフルオロエチレン微粒子の配
合量を変えて行い、増ちょう剤量が1重量%〜22重量
%の範囲で異なる種々の試験グリースを調製した。そし
て、各試験グリースをガラス製スクリュー管に半分程度
封入し、常温にて3ヶ月間放置した後、グリースのかさ
高さに対し、油分離している高さの比率(油分離比率)
を求めた。
【0029】また、比較のために、増ちょう剤が約30
%含有されている市販フッ素グリースについて同様に油
分離比率を求めた。この値を1とし、これとの比にて各
試験グリースの油分離比率を図3に示した。
%含有されている市販フッ素グリースについて同様に油
分離比率を求めた。この値を1とし、これとの比にて各
試験グリースの油分離比率を図3に示した。
【0030】[トルク評価試験]供試軸受(SR181
0;外径12.7mm、内径7.94mm、幅3.97
mm)に、上記の各試験グリースを空間容積の約5%を
占めるように封入し、図2に示すトルク測定装置を用い
てトルクを測定した。
0;外径12.7mm、内径7.94mm、幅3.97
mm)に、上記の各試験グリースを空間容積の約5%を
占めるように封入し、図2に示すトルク測定装置を用い
てトルクを測定した。
【0031】図示されるトルク測定装置において、供試
軸受11、11はハウジング12に上下一対で装着され
る。ハウジング12の一端にはモータ13が、他端には
スイングアーム14がそれぞれ付設されており、更にス
イングアーム14の先端部にはターゲット16と対向し
て非接触変位計15が配置されている。また、非接触変
位計15は回転ステージ17の面上に固定されており、
この回転ステージ17は回転ステージ用ドライバ18に
より周方向に往復運動され、スイングアーム14はシー
ク相当動作19を行う。モータ13はドライバ20を介
して非接触変位計15に接続しており、トラッキング相
当動作量14に相当する駆動電流21がパソコン22に
より計測される。
軸受11、11はハウジング12に上下一対で装着され
る。ハウジング12の一端にはモータ13が、他端には
スイングアーム14がそれぞれ付設されており、更にス
イングアーム14の先端部にはターゲット16と対向し
て非接触変位計15が配置されている。また、非接触変
位計15は回転ステージ17の面上に固定されており、
この回転ステージ17は回転ステージ用ドライバ18に
より周方向に往復運動され、スイングアーム14はシー
ク相当動作19を行う。モータ13はドライバ20を介
して非接触変位計15に接続しており、トラッキング相
当動作量14に相当する駆動電流21がパソコン22に
より計測される。
【0032】ここでは、揺動角度26°の範囲を10分
間で1往復させ、その時の駆動電流21からトルク変動
率を測定した。また、比較のために、増ちょう剤が約3
0%含有されている市販フッ素グリースを封入して同様
にトルクを測定した。そして、この値を1とし、これと
の比にてトルク変動率を図3に示した。
間で1往復させ、その時の駆動電流21からトルク変動
率を測定した。また、比較のために、増ちょう剤が約3
0%含有されている市販フッ素グリースを封入して同様
にトルクを測定した。そして、この値を1とし、これと
の比にてトルク変動率を図3に示した。
【0033】図3から、ポリテトラフルオロエチレン微
粒子の含有量が5〜20重量%であれば、油分離比率及
びトルク変動比率ともに5分の1以下に低減されること
がわかる。
粒子の含有量が5〜20重量%であれば、油分離比率及
びトルク変動比率ともに5分の1以下に低減されること
がわかる。
【0034】[アウトガス試験]DUPONT社製クラ
イトックスDFにポリテトラフルオロエチレン微粒子を
5重量%(実施例1)または20重量%(実施例2)含む
グリースを調製し、上記供試軸受に軸受空間容積の約5
%を占めるように封入し、85℃で3時間加熱した。そ
して、そのとき発生したガス成分を質量分析型ガスクロ
マトグラフ(GCMS)にて分析し、発生した炭化水素
のトータル量(テトラデカン換算)を測定した。また、
比較のために、増ちょう剤が約12%含有されている市
販合成油−鉱油系ウレアグリース(比較例1)を用いて
同様の測定を行った。測定結果を表1に示すが、比較例
1の値を1とし、それとの比で示してある。
イトックスDFにポリテトラフルオロエチレン微粒子を
5重量%(実施例1)または20重量%(実施例2)含む
グリースを調製し、上記供試軸受に軸受空間容積の約5
%を占めるように封入し、85℃で3時間加熱した。そ
して、そのとき発生したガス成分を質量分析型ガスクロ
マトグラフ(GCMS)にて分析し、発生した炭化水素
のトータル量(テトラデカン換算)を測定した。また、
比較のために、増ちょう剤が約12%含有されている市
販合成油−鉱油系ウレアグリース(比較例1)を用いて
同様の測定を行った。測定結果を表1に示すが、比較例
1の値を1とし、それとの比で示してある。
【0035】
【表1】
【0036】表1から、各実施例では比較例1に比べて
アウトガスの発生量が10分の1以下に大幅に低減して
いることがわかる。
アウトガスの発生量が10分の1以下に大幅に低減して
いることがわかる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アウトガスの発生が少なく、また低トルクでトルク変動
も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり軸受が提供さ
れる。
アウトガスの発生が少なく、また低トルクでトルク変動
も小さく、耐久性に優れたHDD用転がり軸受が提供さ
れる。
【図1】本発明のHDD用転がり軸受の一実施形態を示
す断面図である。
す断面図である。
【図2】実施例で用いたトルク測定装置を示す概略構成
図である。
図である。
【図3】実施例で得られた、ポリテトラフルオロエチレ
ン量と油分離比率及びトルク変動率との関係を示すグラ
フである。
ン量と油分離比率及びトルク変動率との関係を示すグラ
フである。
1 内輪軌道面 2 内輪 3 外輪軌道面 4 外輪 5 玉 6 シール部材 7 保持器 11 供試軸受 12 ハウジング 13 モータ 14 スイングアーム 15 非接触変位計 16 ターゲット 17 回転ステージ 18 回転ステージ用ドライバ 19 シーク相当動作 20 ドライバ 21 駆動電流 22 パソコン 23 トラッキング相当動作
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/66 F16C 33/66 Z G11B 19/20 G11B 19/20 E 21/02 630 21/02 630A // C10N 30:00 C10N 30:00 Z 40:02 40:02 40:06 40:06 50:10 50:10 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA32 AA42 AA52 AA62 CA40 EA63 FA32 GA53 4H104 BH14 CD02 CD04 CH09 LA20 PA02 PA04 QA18 5D068 AA01 BB01 CC12 EE19 GG07 5D109 BB01 BB16 BB31
Claims (2)
- 【請求項1】 内・外輪の間に保持器を介して複数個の
転動体を保持し、グリースを封止してなるハードディス
クドライブ用転がり軸受において、 前記グリースが、フッ素系潤滑油からなる基油に、ポリ
テトラフルオロエチレンを5〜20重量%の割合で配合
してなることを特徴とするハードディスクドライブ用転
がり軸受。 - 【請求項2】 フッ素系潤滑油が、パーフルオロポリエ
ーテル及びその誘導体、フルオロフォスファゼン油から
選択されることを特徴とする請求項1記載のハードディ
スクドライブ用転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001105933A JP2002302688A (ja) | 2001-04-04 | 2001-04-04 | ハードディスクドライブ用転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001105933A JP2002302688A (ja) | 2001-04-04 | 2001-04-04 | ハードディスクドライブ用転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002302688A true JP2002302688A (ja) | 2002-10-18 |
Family
ID=18958532
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001105933A Pending JP2002302688A (ja) | 2001-04-04 | 2001-04-04 | ハードディスクドライブ用転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002302688A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008297519A (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Dic Corp | グリース基油拡散防止剤 |
JP2009109018A (ja) * | 2008-12-09 | 2009-05-21 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
US8182155B2 (en) | 2005-09-02 | 2012-05-22 | Ntn Corporation | Lubricating grease and lubricating grease-enclosed roller bearing |
JP2021017484A (ja) * | 2019-07-18 | 2021-02-15 | デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社 | 潤滑剤組成物 |
-
2001
- 2001-04-04 JP JP2001105933A patent/JP2002302688A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP2021017484A (ja) * | 2019-07-18 | 2021-02-15 | デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社 | 潤滑剤組成物 |
JP7273639B2 (ja) | 2019-07-18 | 2023-05-15 | デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社 | 潤滑剤組成物 |
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