JP2021017484A - 潤滑剤組成物 - Google Patents

潤滑剤組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2021017484A
JP2021017484A JP2019133171A JP2019133171A JP2021017484A JP 2021017484 A JP2021017484 A JP 2021017484A JP 2019133171 A JP2019133171 A JP 2019133171A JP 2019133171 A JP2019133171 A JP 2019133171A JP 2021017484 A JP2021017484 A JP 2021017484A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
lubricant composition
sec
polytetrafluoroethylene powder
lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019133171A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7273639B2 (ja
Inventor
淳 池澤
Atsushi Ikezawa
淳 池澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DuPont Toray Specialty Materials KK
Original Assignee
DuPont Toray Specialty Materials KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DuPont Toray Specialty Materials KK filed Critical DuPont Toray Specialty Materials KK
Priority to JP2019133171A priority Critical patent/JP7273639B2/ja
Publication of JP2021017484A publication Critical patent/JP2021017484A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7273639B2 publication Critical patent/JP7273639B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図る。【解決手段】一般式(1)で表され、40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下であるパーフルオロポリエーテル油(A)と、平均一次粒子径が0.15μm以上1.00μm以下の範囲であるポリテトラフルオロエチレン粉末(B)と、を含有し、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%以上17.5重量%以下であり、150℃で30分加熱した後に25℃に冷却するヒートサイクルを5回繰り返したときの、前記ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2,000μNm未満である。RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 一般式(1)【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑剤組成物に関する。
自動車、電気機器、情報機器、建設機械、産業機械、工作機械などの各種機械の回転体または摺動体の摺動部には、その潤滑性を向上するために、通常潤滑剤が用いられている。これらのうち、150℃以上の高温で使用される潤滑剤としては、高温環境下でも良好な安定性を示すフッ素系潤滑剤組成物が使用されている。潤滑剤組成物は基油及び増稠剤を基本構成としており、フッ素系潤滑剤組成物の場合は、基油としてパーフルオロポリエーテル油(PFPE)、増稠剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の単独重合体または共重合体、さらには添加剤として少量の防錆剤のような添加物質から構成されている。
パーフルオロポリエーテル油は、直鎖タイプと側鎖タイプとに大別され、直鎖タイプのものは、側鎖タイプのものに比べて粘度の温度依存性が小さい。すなわち、低温では、直鎖タイプのパーフルオロポリエーテル油は側鎖タイプのものよりも粘度が低く、高温では、直鎖タイプのものは側鎖タイプのものよりも粘度が高くなる。回転体または摺動体が低温状態にある場合、起動に必要な駆動トルクは大きくなる。この起動トルクを低減し回転体または摺動体を容易に起動させることができるようにするためには、低温における潤滑剤の粘度は低いことが好ましい。
近年、回転体または摺動体の高温高速化により摩擦損失エネルギーが増大し、より低く安定した摺動トルクを提供し省エネルギー化に貢献できる潤滑剤が求められている。回転体または摺動体の摺動部に用いられる潤滑剤として要求される性能としては、トルクが小さいこと、静音性に優れること、および揮発性が低いこと、などが挙げられる。特許文献1では、分子量の大きい直鎖タイプのパーフルオロポリエーテル油と分子量の小さい直鎖タイプのパーフルオロポリエーテル油を混合し、増稠剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることにより、低温時のトルクが小さいグリース組成物が得られる旨記載されている。また、分子量の大きい直鎖タイプ及び分子量の小さい直鎖タイプの2種類のパーフルオロポリエーテルと、20〜35質量%のパーフルオロポリエーテルを含有するグリース組成物が具体的に開示されている。
ところで、回転体または摺動体の起動及び停止が繰り返されると、回転体または摺動体の摺動部は加熱及び冷却が繰り返されることとなり、この熱履歴(ヒートサイクル)によって回転体または摺動体の摺動部から潤滑剤が流出する現象(ポンプアウト)が生じる。回転体または摺動体の摺動部から潤滑剤が流出すると潤滑性が悪化するため、摺動部の磨耗が生じ、回転体または摺動体の耐久寿命が低下することが問題となっていた。
ポンプアウトは、加熱された潤滑剤が熱膨張し、摺動部から潤滑剤が流出または拡散した場合に生じる潤滑剤の排出現象であり、熱履歴を経ることで進行する。一方、加熱により潤滑剤が摺動部から一時的に流出しても、その後冷却され収縮した際に潤滑剤が元の位置に戻るための流動性がある場合には、ポンプアウトは生じにくい。よって、潤滑剤としては流動性が必要な一方で、熱膨張により流出されたものが冷却されて潤滑箇所に戻ることができる位置に留まる特性(潤滑剤の保持性)も要求される。
摺動部での潤滑剤の保持性を高めるためには、より多くのポリテトラフルオロエチレン粉末を潤滑剤に添加することが好ましいが、固体成分の増加は摺動トルクの増大を引き起こす。潤滑剤中のポリテトラフルオロエチレン粉末の含有量を低くすることにより低トルクを提供することが可能になるが、同時に潤滑剤の流動性が高くなるため、加熱された際に潤滑剤が広範囲に拡散しやすく、冷却時に基油を引き戻す効果も弱くなる。その結果、摺動部への潤滑剤の保持性が低下する。このため、従来の粘度特性を有する直鎖タイプのパーフルオロポリエーテル油とポリテトラフルオロエチレン粉末を用いた潤滑剤では、高温高速運転される回転体または摺動体への安定した低摺動トルクの提供と、熱履歴によるポンプアウトの防止、という相反する2つの要求特性に対応することが困難となっている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図ることができる、潤滑剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは潤滑剤中のポリテトラフルオロエチレン粉末の量および粒径について種々検討した結果、特定の粒径のポリテトラフルオロエチレン粉末を特定量用い、かつ特定のパーフルオロポリエーテル油と組み合わせて使用することにより、上記の2つの要求特性を満たすことを見出した。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で表され、40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下であるパーフルオロポリエーテル油(A)と、平均一次粒子径が0.15μm以上1.00μm以下の範囲であるポリテトラフルオロエチレン粉末(B)と、を含有し、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%以上17.5重量%以下であり、150℃で30分加熱した後に25℃に冷却するヒートサイクルを5回繰り返したときの、前記ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2,000μNm未満である。
RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 一般式(1)
一般式(1)中、Rfは炭素数1以上4以下のパーフルオロ低級アルキル基であり、mおよびnはそれぞれ0以上の整数であり、mとnとの和は30以上190以下であり、CF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合されている。
本発明の潤滑剤組成物は、25℃およびせん断速度10/秒における第1せん断粘度が1Pa・s以上15Pa・s以下であり、25℃およびせん断速度10/秒におけるせん断粘度に対する前記第1せん断粘度の比であるチキソトロピーインデックスが、1.2以上5.0以下の範囲であることが好ましい。
また、前記パーフルオロポリエーテル油(A)の40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下であることが好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量は、5重量%以上10重量%以下の範囲にあることが好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均二次粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)は、乳化重合によって得られたものであることが好ましい。
上記の潤滑剤組成物は、150℃以上に加熱される摺動部または回転体に適用することができる。
本発明によれば、トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図ることができる、という効果を奏する。
図1は、潤滑剤組成物の熱履歴によるトルクの変化を示す図である。
以下、本実施形態にかかる潤滑剤組成物について説明する。
<潤滑剤組成物>
本実施形態の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で表され、40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下であるパーフルオロポリエーテル油(A)と、平均一次粒子径が0.15μm以上1.00μm以下の範囲であるポリテトラフルオロエチレン粉末(B)と、を含有し、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%以上17.5重量%以下であり、150℃で30分加熱した後に25℃に冷却するヒートサイクルを5回繰り返したときの、前記ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2,000μNm未満である。
RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 一般式(1)
本実施形態の潤滑剤組成物は、上記構成であることによって、トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図ることができる。
本実施形態の潤滑剤組成物は、例えば、部材同士が接触する部分である摺動部に介在されて用いられる。摺動部を構成する部材は、例えば、軸受と軸受の内側に配置されたシャフト、ベルト部材と該ベルト部材の内側または外側から該ベルト部材を加圧する加圧部材、などが挙げられる。なお、摺動部を構成する部材は、部材同士が接触する部分である領域(摺動部)を構成する部材であればよく、これらに限定されない。
トルクとは、摺動部を構成する部材の駆動トルクを表す。部材が軸受の内側に配置されたシャフト(回転体)である場合、トルクは、シャフトを駆動するモータの回転トルクを意味する。摺動部を構成する1対の部材の内、一方の部材が他方の部材に対して駆動(相対移動)する構成である場合、トルクは、該部材を駆動する駆動部の駆動トルクを意味する。
ポンプアウトとは、摺動部を構成する部材の駆動および停止が繰り返され、摺動部の加熱と冷却との対からなるヒートサイクルが繰り返されることにより、摺動部の潤滑剤保持性が低下し、摺動部から潤滑剤が流出する現象を意味する。ヒートサイクルは、熱履歴と称される場合もある。
本実施形態の潤滑剤組成物は、上記パーフルオロポリエーテル油(A)と、上記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)を5重量%以上17.5重量%以下と、を含有した構成とすることで、トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図る事が出来ることが明らかとなった。
以下、各成分の詳細について説明する。
<パーフルオロポリエーテル油(A)>
本実施形態に係るパーフルオロポリエーテル油(A)は、上記一般式(1)で表され40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下である。
パーフルオロポリエーテル油(A)の40℃における動粘度は、好ましくは50mm2/秒以上400mm2/秒以下であり、さらに好ましくは80mm2/秒以上350mm2/秒であり、90mm2/秒以上320mm2/秒以下であることが更に好ましい。
パーフルオロポリエーテル油(A)の動粘度の測定は、JIS Z8803の方法に従って行なうことができる。
上記一般式(1)中、Rfは、炭素数1以上4以下のパーフルオロ低級アルキル基であり、炭素数1以上2以下であることが更に好ましい。Rfは、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、などである。これらの中でも、Rfは、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、mとnとの和は、30以上190以下である。また、上記一般式(1)中、nに対するmの比(m/n)は、1以上であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるパーフルオロポリエーテル油(A)のCF2CF2O基およびCF2O基は、パーフルオロポリエーテル油(A)の主鎖中にランダムに結合されてなる。
CF2CF2O基およびCF2O基がランダムに結合されてなる、とは、直鎖状のパーフルオロポリエーテル油(A)の主鎖が、CF2CF2O基の1または複数の繰返し単位とCF2O基の1または複数の繰返し単位とを交互に配置した構成であり、CF2CF2O基の繰返し単位の数とCF2O基の繰返し単位の数との主鎖方向の配置に規則性が無い事を意味する。
上記パーフルオロポリエーテル油(A)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)>
ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)は、平均一次粒子径が0.15μm以上1.00μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉末である。
平均一次粒子径とは、本実施形態では、個数平均一次粒子径を意味する。ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均一次粒子径は、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)により観察することができる。
なお、本実施形態に係るポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均一次粒子径は、0.15μm以上1.00μm以下であり、好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下である。
ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均一次粒子径が0.15μmよりも小さいと、ポンプアウトが生じやすくなる。理論に拘束されるものではないが、上記の粒径範囲よりも小さいPTFE樹脂粉末を含有する潤滑剤は、高温時に膨張したパーフルオロポリエーテル油(A)と供に増稠剤であるPTFE樹脂粉末も摺動部から移動し易く、容易にポンプアウトが生じると考えられる。一方、平均一次粒子径が0.15μmよりも大きい粉末を用いた場合には、粉末粒子間の間隙が広くなるために高温時にパーフルオロポリエーテル油のみが移動し易くなる事から、パーフルオロポリエーテル油を保持する増稠剤が熱履歴による基油の膨張収縮に流されず摺動部近傍に留まり、パーフルオロポリエーテル油を保持することでポンプアウトによる潤滑剤の排出を抑制すると考えられる。
一方で、ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均一次粒子径が1μmよりも大きいと増稠効果が低下する。これを解消するためにはポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の添加量を増やさなければならず、摺動トルクが高くなる。
ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均二次次粒子径は1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。平均二次粒子径がこの範囲内であると、潤滑剤組成物中へのポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の分散が容易となり、均一な低トルクの潤滑剤樹脂組成物を提供することができる。
なお、平均二次粒子径とは、本実施形態では、数平均二次粒子径を意味する。ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均二次粒子径は、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)による観察、マイクロトラック法、または光透過法などによって測定することができる。
本実施形態のポリテトラフルオロエチレン粉末(B)は、単量体を、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの方法によって重合して得られる。本発明では、乳化重合によって得られたポリテトラフルオロエチレン粉末(B)が好ましい。
乳化重合で得られたポリテトラフルオロエチレン粉末(B)は、上記の平均一次粒子径を充足する小粒子径の粉末であり、かつ比表面積が大きく、吸油量も大きい。このため、乳化重合で得られたポリテトラフルオロエチレン粉末(B)は潤滑剤組成物中で分離しにくく、安定な潤滑剤組成物が得られるためである。
本実施形態のポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000である。ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の重量平均分子量は、示差走査熱量分析あるいは、粘弾性やメルトフローレート測定で得られた値から計算することができる。
潤滑剤組成物における上記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量は、潤滑剤組成物を基準として、5重量%以上17.5重量%以下であり、5重量%以上10重量%以下である事が更に好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%未満であると、得られた潤滑剤組成物が柔らか過ぎ、流動性が大きくなり潤滑箇所からの流出が懸念される。一方でポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が17.5重量%より多いと、得られた潤滑剤組成物が硬過ぎ、低摺動トルクの提供と熱履歴によるポンプアウトに対応することが困難となる。
<その他成分>
本実施形態の潤滑剤組成物は、更にその他の成分を含んでいてもよい。潤滑剤組成物中における上記その他成分の含有量は0質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まない形態を意味する。
該その他の成分としては、例えば、防錆剤、等が挙げられる。
<潤滑剤組成物の調製方法>
本実施形態の潤滑剤組成物は、従来より公知の方法によって調製することができる。例えば、パーフルオロポリエーテル油(A)とポリテトラフルオロエチレン粉末(B)と、を撹拌・混合し、ロールミル等を通すことによって、本実施形態の潤滑グリース組成物を得ることができる。
<潤滑剤組成物の測定>
本実施形態の潤滑剤組成物は、150℃に加熱し30分保持した後に25℃に冷却し30分保持するヒートサイクルを5回繰返したときの、ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2000μNm未満である。
また、本実施形態の潤滑剤組成物は、25℃およびせん断速度10/秒における第1せん断粘度(η10)が1Pa・s以上15Pa・s以下であり、25℃およびせん断速度10/秒における第2せん断粘度(η100)に対する上記第1せん断粘度(η100)の比(η10/η100)であるチキソトロピーインデックスが1.2以上5.0以下の範囲にある。
潤滑剤組成物を、上記構成とすることで、本実施形態の潤滑剤組成物は、上記範囲の、トルク、第1せん断粘度(η10)、および上記チキソトロピーインデックス((η10)/(η100))を実現することができる。
このため、本実施形態の潤滑剤組成物は、トルク低減とポンプアウト抑制との両立を図ることができると考えられる。
なお、本実施形態の潤滑剤組成物の、せん断粘度(第1せん断粘度(η10)、第2せん断粘度(η100))、およびヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクは、コーン/プレート型回転粘度計(例えば、アントンパール社製回転式レオメータMCR302)を用いて測定することができる。
<適用部材>
上述したように、本実施形態の潤滑剤組成物は、摺動部を構成する部材間に介在させて用いられる。
例えば、潤滑剤組成物は、ゴム部材、樹脂部材、金属部材セラミックス等からなる摺動部材の表面に塗布することで潤滑皮膜を形成することができる。
摺動部を構成する部材の材質としては、金属、プラスチック、ゴム及びこれらの組み合わせがある。
なお、本実施形態の潤滑剤組成物は、上述したように、ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2000μNm未満である。このため、本実施形態の潤滑剤組成物は、150℃以上に加熱される摺動部や、摺動部を構成する回転体などの部材の表面などに好適に適用される。
なお、本実施形態の潤滑剤組成物の用途には、何ら制約はない。例えば、本実施形態の潤滑剤組成物は、家電、船舶、鉄道、航空機、機械、構造物、自動車補修、自動車、建築、建材、繊維、皮革、文房具、木工、家具、雑貨、鋼板、缶、電子基板、電子部品、印刷等の用途に用いることができる。これらの中でも、本実施形態の潤滑剤組成物は、その性質から特に自動車および産業機械の用途に有用である。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<パーフルオロポリエーテル油(A)の調整>
パーフルオロポリエーテル油(A)として、以下のA1、A2、A3の3種類を用意した。
・A1:パーフルオロポリエーテル
40℃の動粘度:92mm2/秒
一般式(1)中、Rf=トリフルオロメチル基,m+n=40〜180
・A2:パーフルオロポリエーテル
40℃の動粘度:159mm2/秒
一般式(1)中、Rf=トリフルオロメチル基,m+n=40〜180
・A3:パーフルオロポリエーテル
40℃の動粘度:310mm2/秒
一般式(1)中、Rf=トリフルオロメチル基,m+n=40〜180
<ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の調整>
ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)として、以下のB1、B2の2種類を用意した。
・B1:ポリテトラフルオロエチレン
乳化重合品
平均一次粒子径:0.2μm〜0.4μm
平均二次粒子径:5μm
・B2:ポリテトラフルオロエチレン
乳化重合品
平均一次粒子径:0.125μm
平均二次粒子径:4μm
<実施例1〜実施例5,比較例1〜比較例4>
上記に調整したパーフルオロポリエーテル油(A)であるA1、A2、A3の何れか1つと、ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)であるB1またはB2とを、表1に示す含有量(重量%)で均一に混合し、三本ロールミルで混練し、脱泡を行い、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5と、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4と、を得た。なお、表1に示す含有量(重量%)は、潤滑剤組成物(比較潤滑剤組成物)100重量%に対する含有量を示す。
<評価>
実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5、および、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4、の各々について、せん断粘度(第1せん断粘度(η10)、第2せん断粘度(η100))、チキソトロピーインデックス((η10)/(η100))、ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクを測定した。なお、各種試験方法については以下の通りである。
測定は、アントンパール社製回転式レオメータMCR302を用い、以下の条件で行った。
せん断粘度:ギャップを0.1mmとしたパラレルプレートを用いて測定した。具体的には、直径25mmのプレート(可動プレート)と、相対するプレート(固定プレート)との間隔(ギャップ)を0.1mmとし、温度を25℃に設定し、恒温(25℃)環境下で該ギャップに潤滑剤組成物1を介在させ、せん断速度10/秒で可動プレートを2分間回転させたときの、最後の10秒間のせん断粘度の平均値を、潤滑剤組成物1の第1せん断粘度(η10)として測定した。同様に、温度を25℃に設定したまま、せん断速度100/秒で可動プレートを2分間回転させたときの、最後の10秒間のせん断粘度の平均値を、潤滑剤組成物1の第2せん断粘度(η100)として測定した。なお、せん断粘度(第1せん断粘度、第2せん断粘度)の記録は毎秒行い、1分51秒から2分までに得られた10点のせん断粘度の平均値を算出した。
チキソトロピーインデックス:測定温度25℃でせん断速度10/秒の第1せん断粘度(η10)およびせん断速度100/秒の第2せん断粘度(η100)を上述のように測定し、これらのせん断粘度の比率をチキソトロピーインデックスとした。
チキソトロピーインデックス(TI値)=[η10]/[η100
上記測定および算出を、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5、および、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4、の各々について行った。せん断粘度(第1せん断粘度(η10)、第2せん断粘度(η100))の測定結果、および、チキソトロピーインデックス(TI値)((η10)/(η100))の算出結果を、表1に示した。
Figure 2021017484
熱履歴測定
実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5、および、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4、の各々について、熱履歴を測定した。上記と同様に、直径25mmのプレートを用いて、アントンパール社製回転式レオメータMCR302を用いた。ギャップは0.1mmに設定した。
上記25℃におけるせん断粘度の測定後、以下の(1)と(2)の工程からなるヒートサイクルを5回繰り返した。
(1)プレートの回転駆動を停止した状態で、プレートの温度を150℃に加熱し、150℃を30分間温度保持した後のトルク(150℃のトルク)を測定。
(2)プレートの温度を下降させて25℃に冷却した後、25℃を30分間保持。
トルク値は、せん断粘度と同様に直径25mmのパラレルプレートを用いて、アントンパール社製回転式レオメータMCR302を用いて測定した。ギャップを0.1mm、温度を25℃に設定し、せん断速度10/秒で2分間回転させたときの最終10秒間のトルク値の平均値を算出した。
実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5、および、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4、の各々の、ヒートサイクル1〜5回の各々の150℃のトルクの測定結果を、表2および図1に示した。また、表2には、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5、および、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4、の各々の、ヒートサイクル1〜5回の150℃のトルクの最大値を示した。
Figure 2021017484
表1に示すように、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5の第1せん断粘度(η10)は1Pa・s以上15Pa・s以下であり、チキソトロピーインデックス(TI値:(η10)/(η100))は、1.2以上5.0以下であった。一方、比較例1、比較例2および比較例4の比較潤滑剤組成物1、2および4は、第1せん断粘度(η10)およびチキソトロピーインデックス(TI値:(η10)/(η100))の少なくとも一方が、上記範囲外であった。
また、表2および図1に示すように、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5の、150℃で加熱した後に25℃に冷却するヒートサイクルを5回繰り返した時の、ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクは、何れも2000μNm未満であった。一方、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4の、ヒートサイクルの150℃における5回のトルクには、2000μNmを超える値が含まれていた。
このため、これらの評価結果から、実施例1〜実施例5の潤滑剤組成物1〜潤滑剤組成物5は、比較例1〜比較例4の比較潤滑剤組成物1〜比較潤滑剤組成物4に比べて、トルク低減と、ポンプアウト抑制と、の両立を図ることができることが確認できた。
特開2003−206491号公報

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表され、40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下であるパーフルオロポリエーテル油(A)と、平均一次粒子径が0.15μm以上1.00μm以下の範囲であるポリテトラフルオロエチレン粉末(B)と、を含有し、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%以上17.5重量%以下であり、150℃で30分加熱した後に25℃に冷却するヒートサイクルを5回繰り返したときの、前記ヒートサイクルの150℃における5回の各々のトルクが2,000μNm未満であることを特徴とする、潤滑剤組成物。
    RfO(CF2CF2O)m(CF2O)nRf 一般式(1)
    〔一般式(1)中、Rfは炭素数1以上4以下のパーフルオロ低級アルキル基であり、mおよびnはそれぞれ0以上の整数であり、mとnとの和は30以上190以下であり、CF2CF2O基およびCF2O基は主鎖中にランダムに結合されている。〕
  2. 25℃およびせん断速度10/秒における第1せん断粘度が1Pa・s以上15Pa・s以下であり、25℃およびせん断速度10/秒におけるせん断粘度に対する前記第1せん断粘度の比であるチキソトロピーインデックスが、1.2以上5.0以下の範囲である、
    請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. 前記パーフルオロポリエーテル油(A)の40℃における動粘度が50mm2/秒以上400mm2/秒以下である、請求項1または請求項2に記載の潤滑剤組成物。
  4. 前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の含有量が5重量%以上10重量%以下の範囲にある、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  5. 前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)の平均二次粒子径が1μm以上10μm以下の範囲である、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の潤滑剤組成物。
  6. 前記ポリテトラフルオロエチレン粉末(B)が乳化重合によって得られたものである、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の潤滑剤組成物。
  7. 150℃以上に加熱される摺動部または回転体に適用される、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の潤滑剤組成物。
JP2019133171A 2019-07-18 2019-07-18 潤滑剤組成物 Active JP7273639B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019133171A JP7273639B2 (ja) 2019-07-18 2019-07-18 潤滑剤組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019133171A JP7273639B2 (ja) 2019-07-18 2019-07-18 潤滑剤組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021017484A true JP2021017484A (ja) 2021-02-15
JP7273639B2 JP7273639B2 (ja) 2023-05-15

Family

ID=74564093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019133171A Active JP7273639B2 (ja) 2019-07-18 2019-07-18 潤滑剤組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7273639B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302688A (ja) * 2001-04-04 2002-10-18 Nsk Ltd ハードディスクドライブ用転がり軸受
JP2006241386A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Nok Kluber Kk 潤滑剤組成物
JP2008138815A (ja) * 2006-12-04 2008-06-19 Jtekt Corp 転がり軸受及び総転動体軸受
WO2010010789A1 (ja) * 2008-07-22 2010-01-28 Nokクリューバー株式会社 導電性グリース

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302688A (ja) * 2001-04-04 2002-10-18 Nsk Ltd ハードディスクドライブ用転がり軸受
JP2006241386A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Nok Kluber Kk 潤滑剤組成物
JP2008138815A (ja) * 2006-12-04 2008-06-19 Jtekt Corp 転がり軸受及び総転動体軸受
WO2010010789A1 (ja) * 2008-07-22 2010-01-28 Nokクリューバー株式会社 導電性グリース

Also Published As

Publication number Publication date
JP7273639B2 (ja) 2023-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100900748B1 (ko) 윤활제
JP5444806B2 (ja) グリース組成物及び機械部品
US7939477B2 (en) Lubricant composition for oil-impregnated sintered bearings
TWI432566B (zh) 傳動元件用半固體狀潤滑劑組成物及具備該組成物之機械系統
US6723684B2 (en) Low torque grease composition
WO2007052522A1 (ja) グリース組成物
JP2020502345A (ja) 摩耗を低減するためのポリエーテルケトンケトンをベースとしたポリマー材料の使用
KR100320641B1 (ko) 개선된특성을가지는광물질또는합성수소-기재그리스
JP5734269B2 (ja) 潤滑グリース組成物
JP6973708B2 (ja) 乾性潤滑被膜組成物、及びその乾性潤滑被膜組成物により摺動層を構成した摺動部材
JP6028201B2 (ja) パーフルオロポリエーテル油の拡散防止剤、並びにフッ素系潤滑剤
JP7273639B2 (ja) 潤滑剤組成物
CN110662826B (zh) 润滑脂组合物以及用其涂覆的滑动构件
JP6166448B1 (ja) 潤滑剤組成物、グリース組成物、潤滑油希釈溶液、摺動部材
JP2009091464A (ja) 潤滑グリース組成物
WO2015178495A1 (ja) 転動装置
JP5606939B2 (ja) 含油軸受用潤滑剤組成物
JP2021054945A (ja) プロペラシャフト
JP6281086B2 (ja) 非拡散性フッ素系潤滑剤組成物
JP2012201718A (ja) グリース組成物
JP6811006B2 (ja) 水素結合による会合体及び該会合体を含む潤滑剤組成物
JP6281084B2 (ja) パーフルオロポリエーテル油の拡散防止剤、並びにフッ素系潤滑剤
JP5405060B2 (ja) 潤滑グリース組成物
JP2022096698A (ja) 拡散防止剤およびフッ素グリース組成物
JP2024017822A (ja) 溶剤希釈型フッ素系潤滑剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20190911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190911

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7273639

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150