JPH10326468A - 情報機器 - Google Patents

情報機器

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JPH10326468A
JPH10326468A JP7407498A JP7407498A JPH10326468A JP H10326468 A JPH10326468 A JP H10326468A JP 7407498 A JP7407498 A JP 7407498A JP 7407498 A JP7407498 A JP 7407498A JP H10326468 A JPH10326468 A JP H10326468A
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JP
Japan
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rolling bearing
film
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fluorine
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JP7407498A
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English (en)
Inventor
Yasushi Toyoda
豊田  泰
Kazunori Hayashida
一徳 林田
Terukazu Karashima
輝一 辛島
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】情報機器において、揺動部分または回転部分の
支持用の転がり軸受のトルク特性、発塵性を向上し、情
報記録・再生動作の安定化を図ること。 【解決手段】揺動部分または回転部分の支持に転がり軸
受16を用いた情報機器Aであって、転がり軸受16の
少なくとも軌道面に、官能基を有する含ふっ素重合体か
らなる被膜27が流動性を有する状態で形成されてい
る。この被膜27は、従来のふっ素系グリースのように
不均一な粒子径の増稠剤や増稠剤の均一分散用のイオン
が含まれておらず、また、膜切れや発塵がしにくく、摩
擦抵抗がきわめて小さなものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報機器に関す
る。具体的に、情報機器は、磁気ディスクや光ディスク
などの情報記録ディスクのドライブ装置、例えばハード
ディスクドライブ装置(HDD)などが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平5−135515号公報
に示すように、情報の記録・再生用のヘッドを移動させ
るスイングアームの揺動支点軸は、2つのラジアル転が
り軸受で支持されている。この転がり軸受では、その潤
滑剤として、潤滑性に優れたふっ素系グリースを使用
し、必要最小限の量を封入するようになっている。
【0003】このふっ素系グリースとしては、PTFE
(ポリテトラフロオロエチレン)などの微小粉末(例え
ば粒子径2〜3μm)を増稠剤として添加したもの、例
えばPTFE・フルオロカーボン油グリース、PTFE
・フロロシリコーン油グリース、PTFE・ふっ素化ポ
リエーテル油グリースなどが挙げられる。この種のふっ
素系グリースは、添加する増稠剤の分散を均一とするた
めに、適宜のイオンを用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記情報機
器では、スイングアーム支持用の転がり軸受に上述した
ようなふっ素系グリースを用いているために、下記する
ような不具合が発生している。
【0005】まず、前述のふっ素系グリースでは転動体
と軌道輪との間で膜切れが起こりやすいため、転がり軸
受の転動体が引きずられることが起こり、転動体と軌道
輪との直接接触が起こるなど、転動体や軌道輪の摩耗が
発生することがある。
【0006】また、ふっ素系グリースに添加する増稠剤
としてのPTFEについて、選別作業の困難性に伴い規
定よりも大きな粒子径のものが混じっていることが原因
で、転がり軸受から微小なスパイクノイズを発生するな
ど、トルク特性が不安定になりやすく、記録・再生時の
ヘッドの位置決め精度が低下する。
【0007】さらに、ふっ素系グリースの漏れが起こる
ことがあり、この漏れたふっ素系グリースの特に増稠剤
の均一分散用のイオンが、情報記録ディスクの表面に付
着して情報記録ディスクの保護膜にとりこまれたりする
と、記録・再生の妨げとなるといった弊害をもたらす。
【0008】さらに、このような情報機器を真空中等の
低気圧雰囲気で使用する場合、ふっ素系グリースからガ
スが発生し、このガスが情報記憶ディスクの保護膜に悪
影響を与えるといった問題もある。
【0009】また、ふっ素系以外のグリースの場合に
は、その中に含まれるハイドロカーボンが情報機器に悪
影響を与えるといった問題がある。さらに、グリースを
用いた転がり軸受では、長時間使用せずに放置しておく
と、グリースが硬化し、使用開始時に回転トルクが大き
くなるという問題があった。
【0010】したがって、本発明は、情報機器におい
て、揺動部分または回転部分の支持用の転がり軸受の潤
滑性、トルク特性、発塵性を向上し、情報記録・再生動
作の安定化を図ることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の情報機器
は、揺動部分または回転部分の支持に転がり軸受を用い
たもので、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、官能
基を有する含ふっ素重合体からなる被膜が流動性を有す
る状態で形成されている。
【0012】本発明の第2の情報機器は、記録・再生用
のヘッドまたは情報記録ディスクの支持に転がり軸受を
用いたもので、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、
官能基を有する含ふっ素重合体からなる被膜が流動性を
有する状態で形成されている。
【0013】上記本発明での被膜は、含ふっ素重合体の
官能基が被付着面に強固に付着するため、流動性を有し
ているものの、膜切れや発塵がしにくく、摩擦抵抗がき
わめて小さいものである。しかも、前述の被膜は、従来
のふっ素系グリースのように不均一な粒子径の増稠剤
や、増稠剤の均一分散用のイオンが含まれていない。そ
のため、転がり軸受の動作がきわめて円滑になって、従
来のような微小なスパイクノイズが発生することがなく
なる。
【0014】なお、本発明の情報機器として、転がり軸
受の近傍に情報記録ディスクを配設しているものとする
場合、仮に、被膜からの発塵成分が情報記録ディスクに
一般的に形成している保護膜にとりこまれたとしても、
前記被膜が前記保護膜と同種の成分であるので、情報記
録ディスクの情報記録・再生の妨げにならない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図1ないし
図8に示す実施形態に基づいて説明する。図1および図
2は本発明の一実施形態にかかり、図1は、ハードディ
スクドライブ装置の縦断面図、図2は、転がり軸受の半
分を拡大した図である。
【0016】図1において、Aは情報機器としてのハー
ドディスクドライブ装置の全体を示しており、1は枠
体、2は枠体1の内部に水平姿勢で配設される磁気ディ
スクや光ディスクなどの情報記録ディスク、3は枠体1
に情報記録ディスク2を回転自在に支持するスピンドル
ユニット、4は情報記録ディスク2に対する情報の記録
・再生を行う記録・再生ヘッド、5は記録・再生ヘッド
4を情報記録ディスク2の任意のトラックに対して移動
させる移動ユニットである。
【0017】情報記録ディスク2の表面には、保護膜
(図示省略)が流動性を有する状態で形成されている。
この保護膜は、一般的に、パーフルオロポリエーテル
(PFPE)からなる。
【0018】スピンドルユニット3は、情報記録ディス
ク1の回転中心に上下に突出する状態に貫通固定される
スピンドル軸6と、このスピンドル軸6の上下突出部分
をそれぞれ枠体1に対して回転自在に支持する一対の転
がり軸受7,7と、情報記録ディスク2を回転駆動する
モータ8とを備えている。前述のモータ8は、スピンド
ル軸6において枠体1の下方に突出する下端に固定され
るロータ(永久磁石)9と、ロータ9の下方に非接触で
対向配置されるステータ(コイル)10とで構成されて
いる。ステータ10は、基体11上に枠体1側に弾発付
勢するコイルバネなどの弾性体12を介して取り付けら
れるヨーク13に貼着されている。
【0019】移動ユニット5は、記録・再生ヘッド4が
取り付けられるスイングアーム14と、枠体1に固定さ
れるヘッドキャリッジ軸15と、ヘッドキャリッジ軸1
5にスイングアーム14を揺動自在に支持する一対の転
がり軸受16,16と、スイングアーム14を揺動駆動
するモータ17とを備えている。前述のモータ17は、
スイングアーム14の下端に固定されるロータ(永久磁
石)18と、ロータ18の下方に非接触で対向配置され
るステータ(コイル)19とで構成されている。ステー
タ19は、基体11上に枠体1側に弾発付勢するコイル
バネなどの弾性体20を介して取り付けられるヨーク2
1に貼着されている。
【0020】上述した移動ユニット5に備える一対の転
がり軸受16は、図2に示すように、内輪22と、外輪
23と、球状の転動体24と、冠形の保持器25と、シ
ール26とを備える深溝型玉軸受とされている。ここで
は、内輪22の外周面、外輪23の内周面、転動体24
の表面および保持器25の表面に、官能基を有する含フ
ッ素重合体からなる被膜27が流動性を有する状態で形
成されている。なお、被膜27は、少なくとも内・外輪
22,23の軌道面のみに形成すればよい。
【0021】ここで、内・外輪22,23および転動体
24は、金属材料により形成されている。金属材料とし
ては、例えばJIS規格SUJ2などの高炭素クロム軸
受鋼などが挙げられる。耐食性が要求される場合には、
JIS規格SUS440Cなどのマルテンサイト系ステ
ンレス鋼、例えばJIS規格SUS630などの析出硬
化型ステンレス鋼に適当な硬化熱処理を施した金属材な
どが好ましい。また、軽荷重用途では、例えばJIS規
格SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼と
することができる。なお、転動体24は、セラミックス
材により形成することもできる。このセラミックス材と
しては、焼結助剤として、イットリア(Y23)および
アルミナ(Al23)、その他、適宜、窒化アルミ(A
lN)、酸化チタン(TiO2)、スピネル(MgAl2
4)を用いた窒化けい素(Si34)を主体とするも
のの他、アルミナ(Al23)や炭化けい素(Si
C)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AlN)
などを用いることができる。
【0022】保持器25は、SPCC材などの軟鋼の
他、合成樹脂材料により形成される。合成樹脂材料とし
ては、一般的なポリアミド樹脂(ナイロン66)の他、
耐熱性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリテトラフルオ
ロエチレン(以下、PTFEと略称する)、エチレンテ
トラフルオロエチレン(ETFE)などのふっ素系樹脂
やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォ
ン(PES)、ナイロン46などのエンジニアリングプ
ラスチックスなども使用できる。保持器の形式として
は、図示する冠型の他、波型やもみ抜き型などが任意に
使用される。
【0023】前述の官能基を有する含フッ素重合体から
なる被膜27は、前述した情報記録ディスク2の保護膜
と同種の成分になっている。この含フッ素重合体として
は、フルオロポリエーテル重合体またはポリフルオロア
ルキル重合体が好ましい。フルオロポリエーテル重合体
は、−CX2X−O−という一般式(Xは1〜4の整
数)で示される単位を主要構造単位とし、いずれも数平
均分子量が1000〜50000の重合体とするものが
挙げられる。ポリフルオロアルキル重合体は、下記化学
式1に示すものが挙げられる。また、前述の官能基は、
金属に対して親和性の高いもの(例えばアルコール基、
エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メル
カプト基、イソシアネート基、スルフォン基またはエス
テル基など)が好ましく、例えば下記化学式2,3に示
すものが挙げられる。このような含フッ素重合体は、単
独で用いるか、または2種以上を併用して用いてもよ
い。その場合は、より耐摩耗性の優れた薄膜が得られる
ように、組み合わされた基が互いに反応して重合体をよ
り高分子量化させるように配慮するのが望ましい。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】前述の被膜27として、より詳しくは、パ
ーフルオロポリエーテル(PFPE)あるいはその誘導
体との混合物、具体的に例えばモンテカチーニ社の商品
名フォンブリン(FONBLIN)Yスタンダード、フォンブ
リンエマルジョン(FE20、EM04など)またはフォンブリ
ンZ誘導体(FONBLIN Z DEAL、FONBLIN Z DIAC、FONBLI
N Z DISOC、FONBLIN Z DOL、FONBLIN Z DOLTX2000、FON
BLIN Z TETRAOLなど)が好適に用いられる。これら例示
したものは、いずれも濃度が濃く、金属に対する親和性
がきわめて悪いので、そのままでは膜状に付着させるこ
とが困難である。そのため、被膜27の形成は、下記す
るような方法が適用される。
【0028】次に、上述した被膜27の形成方法の一例
を説明する。
【0029】(a) 官能基を有する含フッ素重合体か
らなる被膜27を得るための溶液を用意し、この溶液中
に内・外輪22,23、転動体24および保持器25を
それぞれ個別に浸漬するか、あるいはそれらを組み立て
た状態での転がり軸受16を浸漬して数回回転させるこ
とにより、内輪22、外輪23、転動体24および保持
器25に液状膜を付着させる(付着処理)。なお、局部
的に付着する場合、不要箇所をマスキングして溶液中に
浸漬したり、溶液をスプレーしたりすればよい。また、
内・外輪22,23間で転動体24の存在する箇所に、
溶液を微量注入可能な注射器などにより注入するように
してもよい。ここで用意した溶液は、例えばフォンブリ
ンZ DOLのうちフォンブリンZ DOL2000(分子量が200
0のもの)を適当な希釈溶媒(ふっ素系溶剤SV90)
でフォンブリン濃度を0.25〜1.0mass%にま
で希釈したものである。
【0030】(b) 前記液状膜を付着した転がり軸受
16の全体を40〜50度で約3分間加熱し、液状膜に
含む溶媒を除去する(乾燥処理)。
【0031】(c) この後、軸受使用環境での雰囲気
温度を考慮して、例えば80〜180度で15〜60分
間、加熱する(仕上げ乾燥処理)。
【0032】なお、(a)、(b)は必要に応じて数回
繰り返すようにしてもよく、最終的には、被膜27の膜
厚を例えば0.2μm以下に設定する。但し、使用溶液
の性状、薄膜形成方法や生成後の膜厚などは、適宜に設
定すればよい。
【0033】このようにすれば、転がり軸受16の構成
要素において互いに接触する部位に被膜27を好適な膜
厚で形成することができて、しかも、前述したように溶
媒を除去しておけば、転がり軸受16の動作時の不要な
発塵がなくなる。また、被膜27の膜厚をきわめて薄く
設定しているから、油成分による発塵もほとんどなくな
る。
【0034】上記被膜27は、含ふっ素重合体の官能基
が被付着面(転がり軸受の表面)に強固に付着するた
め、流動性を有しているものの、膜切れや発塵がしにく
いものであるとともに、摩擦抵抗がきわめて小さいもの
である。しかも、前述の被膜27は、情報記録ディスク
2に付着している保護膜(図示省略)と同種の成分であ
り、これら被膜27や保護膜は、従来のふっ素系グリー
スのように不均一な粒子径の増稠剤や、増稠剤の均一分
散用のイオンが含まれていない。
【0035】そのため、記録・再生ヘッド4支持用の転
がり軸受16の動作がきわめて円滑になって従来のよう
な微小なスパイクノイズが発生することがなくなるな
ど、トルク特性が安定することになり、結果的に記録・
再生ヘッド4の位置決め精度が向上することになる。ま
た、仮に、被膜27からの発塵成分が情報記録ディスク
2の保護膜にとりこまれたとしても、保護膜と被膜27
の発塵成分とが同種の成分であるから、情報記録ディス
ク2の情報記録・再生の妨げにならない。
【0036】ここで、上述した被膜27についての発塵
寿命、トルク寿命を調べているので、説明する。ここで
は、実施例、比較例の2つを調べている。
【0037】実施例では、被膜27を内・外輪22,2
3、転動体24、保持器25の全表面に形成しており、
膜厚は、0.2μmに設定している。被膜27は、末端
が水酸基(−OH)の官能基付き含ふっ素重合体〔フォ
ンブリンZ誘導体(FONBLINZ DOL2000)〕を用い、濃度
を0.25mass%とし、膜厚を0.2μmとしてい
る。
【0038】比較例では、ふっ素系グリースとしてダイ
キン工業(株)製の商品名デムナムを用い、転がり軸受
16に封入している。
【0039】まず、大気環境での試験には、図3に示す
装置を、また、真空環境での試験には、図4に示す装置
を用いている。図中、50,50は試験軸受、51は回
転軸、52はケーシング、53は磁性流体シール、54
は発塵個数計測装置(パーティクルカウンター)、55
は計測結果記録機(レコーダ)、56は軸受ハウジン
グ、57はアキシャル荷重付加用のコイルバネである。
【0040】試験軸受50は、実施例、比較例のいずれ
も、呼び番号SE608(φ8×φ22×7)とし、内
・外輪および転動体(玉)をJIS規格SUS440
C、保持器(波形タイプ)をJIS規格SUS304と
している。内・外輪の軌道の表面粗さを共に0.1Z、
転動体の表面粗さを0.05aとしている。
【0041】試験条件は、下記のとおり。
【0042】 発塵試験では、雰囲気を大気、環境温度を室温、ア
キシャル荷重を50Nとし、回転初期50時間の総発塵
量の測定を行った。なお、測定は粒子径0.1μm以上
の発塵粒子について実施した。結果は、比較例が30
ケ、実施例が10ケと、実施例が比較例に比べて優れて
いた。
【0043】 イオンコンタミネーション性能試験で
は、転がり軸受から発生する陰イオン量の測定を行っ
た。結果は、図5のグラフに示すように、実施例が比較
例に比べて、陰イオンの発生量が少なくなっている。
【0044】 アウトガス性能試験では、図6のグラ
フに示すように、大気圧から1×10-6Paまでのそれ
ぞれの気圧下で、雰囲気温度を徐々に上昇させて、ガス
の発生する温度を測定した。結果は、比較例では、室温
で気圧が1×10-1Paのレベルでガスが発生するが、
実施例では、気圧を1×10-4Paまで下げてもガスが
発生しない。
【0045】 トルク寿命試験では、雰囲気を真空、
環境温度を室温とし、アキシャル荷重を25N、50N
としている。ここでは、図7のグラフに示すように、実
施例では、600時間で打ち切っているが、アキシャル
荷重25Nでトルクが1〜2×10-3N・m、アキシャ
ル荷重50Nでトルクが1〜2×10-3N・m、比較例
では、アキシャル荷重25Nでトルクが9×10-3N・
m、アキシャル荷重50Nでトルクが11×10-3N・
mとなり、実施例が比較例に比べてトルクを約1/5
と、かなり軽減できるようになる。
【0046】しかも、トルク特性についても、実施例で
はスパイクノイズが0.072gfcm、比較例ではス
パイクノイズが0.156gfcmとなり、実施例が比
較例に比べて半減する。また、騒音特性つまり音響(ア
キシャル振動値)についても、実施例では38.8m
G、比較例では44.6mGとなり、実施例が比較例に
比べて良好となる。
【0047】 さらに、常温放置後のトルク変化につ
いても、図8のグラフに示すように、1ケ月以上放置し
た後も、エージング直後と変化が無かった。
【0048】なお、本発明は上記実施形態のみに限定さ
れるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0049】(1) 本発明の情報機器は、上述したハ
ードディスクドライブ装置の他にも、精密回転機構を有
する装置とすることができる。
【0050】(2) 上記実施形態では、移動ユニット
5のスイングアーム支持用の転がり軸受16として深溝
型玉軸受を引用しているが、その他、種々な形式の転が
り軸受とすることができる。
【0051】(3) 上記実施形態では、移動ユニット
5のスイングアーム支持用の転がり軸受16に被膜27
を形成しているが、スピンドルユニット3の転がり軸受
7にも同様に被膜27を形成してもよい。この場合、情
報記録ディスク2の回転精度の向上に貢献できる。
【0052】
【発明の効果】本発明の情報機器では、その揺動部分ま
たは回転部分に用いる転がり軸受の軌道輪の軌道面に、
膜切れや発塵がしにくくて摩擦抵抗がきわめて小さく、
かつ、従来のふっ素系グリースのように不均一な粒子径
の増稠剤や増稠剤の均一分散用のイオンが含まれていな
い被膜を形成しているから、転がり軸受の動作がきわめ
て円滑になって従来のような微小なスパイクノイズが発
生することがなくなるなど、トルク特性が安定すること
になる。
【0053】なお、本発明の情報機器として、転がり軸
受の近傍に情報記録ディスクや記録・再生ヘッドを配設
しているものとする場合、それらの支持用の転がり軸受
のトルク特性が安定になるので、記録・再生時のヘッド
の位置決め精度や情報記録ディスクの回転精度が向上す
ることになる。また、仮に、被膜からの発塵成分が情報
記録ディスクに一般的に形成している保護膜にとりこま
れたとしても、前記被膜が前記保護膜と同種の成分であ
るので、情報記録ディスクの情報記録・再生の妨げにな
らない。
【0054】このように、本発明では、長期間にわたっ
て優れた性能を発揮する信頼性の高い情報機器を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハードディスクド
ライブ装置の縦断面図
【図2】図1の移動ユニットの転がり軸受の半分を拡大
した図
【図3】大気環境で用いる試験装置の概略構成図
【図4】真空環境で用いる試験装置の概略構成図
【図5】イオンコンタミネーション性能の測定結果を示
すグラフ
【図6】アウトガス性能の測定結果を示すグラフ
【図7】同軸受の大気環境でのトルク寿命に関する試験
結果を示すグラフ
【図8】常温放置後のトルク変化の測定結果を示すグラ
【符号の説明】
A ハードディスクドライブ装置 2 情報記録ディスク 4 記録・再生ヘッド 5 記録・再生ヘッドの移動ユニット 14 移動ユニットのスイングアーム 16 スイングアーム支持用の転がり軸受 22 内輪 23 外輪 27 被膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揺動部分または回転部分の支持に転がり
    軸受を用いた情報機器であって、前記転がり軸受の少な
    くとも軌道面に、官能基を有する含ふっ素重合体からな
    る被膜が流動性を有する状態で形成されている、ことを
    特徴とする情報機器。
  2. 【請求項2】 記録・再生用のヘッドまたは情報記録デ
    ィスクの支持に転がり軸受を用いた情報機器であって、
    前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、官能基を有する
    含ふっ素重合体からなる被膜が流動性を有する状態で形
    成されている、ことを特徴とする情報機器。
JP7407498A 1997-03-25 1998-03-23 情報機器 Pending JPH10326468A (ja)

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JP9-71647 1997-03-25
JP7164797 1997-03-25
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JP (1) JPH10326468A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1262674A3 (en) * 2001-05-29 2006-10-04 NSK Ltd. Rolling sliding member and rolling apparatus

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1262674A3 (en) * 2001-05-29 2006-10-04 NSK Ltd. Rolling sliding member and rolling apparatus

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